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オーストラリアに学ぶ多文化共生施策 多⽂化共⽣リソースセンター東海 神⽥すみれ 名東区役所保険年金課 伊藤結花 名古屋市市長室国際交流課 若山寮弥 1

オーストラリアに学ぶ多文化共生施策...オーストラリア 総人口 21,507,717人 国外出 者 5,294,146人 アボリジニ及びトーレス海峡諸島民 548,369人

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  • オーストラリアに学ぶ多文化共生施策

    多⽂化共⽣リソースセンター東海 神⽥すみれ

    名東区役所保険年金課 伊藤結花

    名古屋市市長室国際交流課 若山寮弥

    1

  • 本日の内容

    1 研修概要

    2 オーストラリアと日本との比較

    3 研修を通じて考えたこと、感じた事

    2

  • 2 研修概要 • 研修のねらい

    全住民の約4 分の1 が海外⽣まれという多民族国家オーストラリアで、活動現場や関係者と の意見交換等を通じて、多⽂化主義政策に関する地方行政・地域づくりに対する理解 を深め、日本の多⽂化共⽣に対応した地域づくりの現状や課題を改めて見直すとともに、国際感覚のか ん養を図る。

    =先進的なオーストラリアの現場を肌で感じて、 日本の多文化共生に活かそう!

    • 実施主体

    一般財団法人自治体国際化協会(クレア)

    3

  • 10月26日 月 AM (一財)自治体国際化協会事務所集合 オリエンテーション PM NSW州多⽂化コミュニティー関係委員会(政府機関)

    10月27日 火 AM エスニック・コミュニティ・サービス協会(NPO団体) PM NSW州救急サービス(政府機関)

    10月28日 水 AM 多様性サービス(NPO団体) PM 医療通訳機関「シドニー地域健康局」(政府機関)

    10月29日 木 AM NSW州異⽂化メンタル・ヘルス・サービス(政府機関) PM ハバ―フィールド小学校(公立小学校)

    10月30日 金 AM オーバン市(市役所) PM 豪州地方自治センター(大学機関)

    10月31日 土 サマリー 参加者振り返り、意見交換(クレアシドニーにて)

    11月 1日 日 ナゴヤデー(名古屋・シドニー姉妹都市35周年記念イベント)(若山・伊藤)

    11月 2日 月

    AM 若山:コミュニティー語学学校協会(NPO団体) 伊藤:NSW保健省(政府組織) PM 若山:エスニック団体協会(NPO団体) 伊藤:シドニー大学

    4

  • 一般的に・・・

    •少子高齢化社会

    問題

    •労働力が確保できない

    •大規模災害時に

    ボランティアとして

    活躍できる人材が減少

    •地域の過疎化、衰退

    etc.

    結果

    3 オーストラリアの現状 日本との比較

    5

  • 日本の人口推移 2015年 2050年

    国立社会保障・人口問題研究所の公表資料による 6

  • オーストラリアの人口推移 2015年 2050年

    豪州統計局統計

    7

  • オーストラリア 総人口 21,507,717人 国外出⽣者 5,294,146人 アボリジニ及びトーレス海峡諸島民 548,369人

    2011年国勢調査(豪州統計局)

    日本(2015年6月)

    総人口 126,929,000人 各月1日現在人口(総務省統計局)

    外国人人口 2,172,892人 在留外国人統計(旧登録外国人統計)(法務省)

    国外出⽣者は 人口の約25%

    外国人人口は 約2%

    オーストラリアの人口①

    8

  • シドニー都市圏 総人口 4,391,674人 国外出⽣者 1,503,623人 アボリジニ及びトーレス海峡諸島民 54,746人

    2011年国勢調査(豪州統計局)

    名古屋 総人口 2,286,440人 外国人人口 67,830人

    平成28年12月1日現在(名古屋市統計)

    国外出⽣者は 人口の約34%

    外国人人口は 約3%

    オーストラリアの人口①

    9

  • 順位 出生国 人口(,000)

    1 英国 1,192.9

    2 ニュージーランド 544.2

    3 中国 379.8

    4 インド 340.6

    5 イタリア 216.3

    6 ベトナム 210.8

    7 フィリピン 177.4

    8 南アフリカ 155.7

    9 マレーシア 135.6

    10 ドイツ 128.6

    オーストラリアの人口②出⽣国別人口(国外出⽣者)~

    2011年国勢調査(豪州統計局) 10

  • オーストラリアの人口増加率

    人口増加率 海外からの移住(移民)

    自然増加率

    自然増加 :45% 移民 :55%

    豪州統計局統計

    移民の受け入れにより人口増加を維持

    11

  • 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020

    オーストラリア 2.7 1.6 2.3 2.7 3.6 2.1 2.7 2.4 2.9 3.1 3.0 2.9 2.8

    日本 -1.0 -5.5 4.7 -0.5 1.7 1.6 -0.1 0.6 1.0 0.4 0.7 0.9 0.7

    -8.0

    -6.0

    -4.0

    -2.0

    0.0

    2.0

    4.0

    6.0

    GDP成長率

    出所:国際通貨基金(IMF)World Economic Outlook 2015年10月版

    オーストラリアはプラス成長を維持している。

    オーストラリアの経済① GDP成長率

    12

  • 順位 国 単位:%

    1 日本 246.17 2 ギリシャ 177.05 3 ジャマイカ 135.69 4 レバノン 133.05 5 イタリア 132.09 6 エリトリア 132.06 7 ポルトガル 130.19 8 カーボベルデ 114.00 9 アイルランド 107.55 10 ブータン 107.51 121 オーストラリア 33.88

    出所:国際通貨基金(IMF)World Economic Outlook 2015年10月版

    オーストラリアの経済②

    政府総債務残高(対GDP比)ランキング2015

    13

  • 多⽂化主義政策の比較(オーストラリア・日本)

    ① 法整備 ② 外国人庁

    ③ 国のサービス

    14

  • ① 多文化政策の法整備

    オーストラリア 1970年代~政策導入 1973 「未来に向けた多⽂化社会」

    →⽂化の多様性を維持・発展させることを公式に承認

    1975 「人種差別禁止法」

    →人種、肌の色、国籍、民族起源に基づく多文化差別を禁止

    1978「ガルバリー報告」

    →豪州の多⽂化主義の基本方針の策定 など

    1980年代~政策発展 1985 「アクセスと公平性確保のための計画戦略」

    →各省庁施策(制度)やサービスの

    「アクセスの公平性」確保 など

    日本

    2006年3月総務省国際室が 「多文化共生推進プラン」を 都道府県と政令市へ通知

    →国の基本法はない

    15

  • (NSW州の場合)

    2000年制定「コミュニティ関係委員会及び多文化主義の原則に関する法律」

    第3条 多⽂化主義の原則

    ・ 多様であることや多様なコミュニティーをありのまま継続することを受け入れる

    ・ 法によって統治される共有的価値の重要性を認める

    ・ すべての人々が社会参加する機会を創造する

    ・ 英語を共通の言語とするが、異なる⽂化、言語、宗教を尊重する

    ・ すべての市民がNSW州のサービスを利用でき、参加できるようにする

    ・ 多様性を資産として、 NSW州の発展に寄与する

    「・・・、各公的団体は、事務を実施するに当たり、多文化主義の原則を遵守しなければな

    らない。」

    第3条第4項

    ① 多文化政策の法整備

    16

  • ② 外国人庁

    オーストラリア

    有り

    移民国境警備省と福祉省が担当

    日本

    無し

    外国人政策を

    総合的に扱う省庁はない

    17

  • オーストラリア

    有り

    連邦政府が移民向けの

    定住支援サービスを実施

    日本

    RHQ支援センター(東京のみ)

    →難民向け定住支援プログラム 572授業時間の日本語教育 120授業時間の⽣活ガイダンス(1授業時間=45分)

    JICE「外国人就労・定着支援研修」 →定住外国人向け(90~132時間)

    ③ 国のサービス

    有り(不十分)

    18

  • 成人向け 英語プログラム

    ・移住して間もない永住権をもつ成人、人道移民が対象 ・日常⽣活において必要とされる英語能力を養成 ・無料 ・510 時間の英語学習機会を提供

    コミュニティ サービス支援

    ・助成制度 (移民向けの対面による定住支援サービスを 実施している非営利組織など)

    人道移民 定住サービス

    ・人道移民が対象 ・ケースワーク、情報提供、宿泊施設の提供、 短期の拷問・トラウマカウンセリングなど ・6ヵ月間のサービスを実施

    通訳翻訳 サービス

    ・無料通訳翻訳 ・TIS 電話通訳サービス ・現場通訳サービス

    ③ 国のサービス 連邦政府の定住支援サービス

    19

  • 「定住支援助成金」

    地方自治体や非営利組織、社団法人、コミュニティ組織に交付

    連邦政府

    地方自治体 非営利組織 社団法人 コミュニ

    ティ組織

    定住支援助成金

    ③ 国のサービス コミュニティサービス支援

    20

  • 定住支援助成金の助成額(2012-13)

    州 申請団体数 助成金額 全体に占める

    割合

    ACT 6 $ 870,043 4.5%

    NSW 30 $ 4,467,758 23.2%

    NT 3 $ 260,821 1.4%

    QLD 17 $ 3,343,889 17.4%

    SA 7 $ 2,871,126 14.9%

    TAS 4 $ 288,710 1.5%

    VIC 28 $ 4,607,633 24.0%

    WA 7 $ 2,507,409 13.0%

    合計 102 $ 19,217,389 100.0%

    約16億円を助成金として支出 (1$=83.2円) 出所:THE SETTLEMENT GRANTS PROGRAM 2013-2014

    ③ 国のサービス コミュニティサービス支援

    21

  • 無料通訳翻訳

    ・オーストラリア国籍保持者及び永住者が対象 ・地方自治体、民間医療機関、非営利組織※ などを利用する時 (※定住支援サービスを実施、助成を受けているものに限る)

    ・170 言語以上に対応

    電話通訳サービス(有料)

    ・個人(誰でも) ・政府系、非政府機関によるサービスを利用する際 ・170 言語以上に対応 ・最初の 15 分は$24.42~

    現場通訳サービス(有料) ・上記と同様、対面での通訳サービス ・最初の 90 分は$159.06~

    ※通訳サービスについては、州政府が実施しているものもある。 例えば NSW 州内の公立病院における医療通訳は、英語を話せないすべての市民に対して無料で提供。

    ③ 国のサービス 通訳翻訳サービス

    22

  • オーストラリア 日本

    多文化施策の 法整備

    ○ 1970年代~ 政策導入 1980年代~ 政策の発展

    × 国の基本法はない 2006年3月総務省が 「多⽂化共⽣推進プラン」を通知。

    外国人庁 (外国人政策を 総合的に 扱う省庁)

    ○ 移民国境警備省と福祉省が担当

    ×

    国のサービス ○ 連邦政府が「定住支援サービス」を実施

    △ (十分ではない)

    RHQ支援センター 「外国人就労・定着支援研修」

    多⽂化主義政策の比較(オーストラリア・日本)

    23

  • 研修を通じて 考えたこと、感じたこと

    多文化共生リソースセンター東海

    神田 すみれ

    24

  • 1.Access and Equity ~すべての人がサービスやプログラムに平等にアクセスできること~

    2. コーディネーターの存在とセクター間の連携

    25

  • Access and Equity

    ~すべての人がサービスやプログラムに平等にアクセスできること~

    26

  • 通訳・翻訳サービス

    27

  • 翻訳・通訳サービス

    NSW州多文化コミュニティ関係委員会:翻訳・通訳サービス (The Community Relations Commission for a Multicultural NSW)

    ・自治体公共サービス受付(全国に40カ所)で翻訳、通訳を受け付ける。 ・600~700人が通訳、翻訳者として登録。 ・プロ通訳の資格のある人のみが登録。 ・有料の通訳、翻訳サービスは組織の収入源にもなっている。 ・裁判の通訳費用は、利用者負担はない。 ・公共機関の場合は、その公共機関が負担する。

    28

  • 翻訳・通訳サービス

    医療通訳機関 シドニー地域健康局 (Sydney Local Health District)

    ・通訳サービスの提供施設: 17の病院、 17のコミュニティヘルスセンター 44の乳幼児センター 非政府組織

    29

    ・通訳者の雇用形態: 常勤36人、非常勤155人 ・2014年実績 対面式通訳 31,332回 25,000時間 電話通訳 3,412回 1,000時間 自宅通訳 2,854回、 2,650時間

    ・DVDを活用した医療関係者対象とした通訳の利用方法 ・ITシステムの更なる導入、テレビ電話の導入

  • 行政手続き・医療・司法の通訳・翻訳 利用者負担無し

    30

  • 情報を伝えるための様々な工夫

    31

  • NSW州救急サービス

    (NSW State Emergency Service) • メディアでの多言語発信

    • 地域に合わせた言語

    • 携帯電話SMS

    • 多言語チラシ(漫画)

    • 地元企業

    情報を伝えるための様々な工夫

    32

  • 33

  • アイコンを使った情報提供ツール

    情報を伝えるための様々な工夫

    34

  • • システムの情報提供は5か国語とアイコンを活用 • ⽂字は最小限 • サービスの種類を知ってもらうことに重点

    • 高齢者がコミュニティに関わり、社会とつながれるような仕組みを構築するための情報提供

    • A5サイズで印刷

    • 地域のあらゆる場所に配架、ポスティング

    • 社会との繋がりがなく、孤立している人たちに情報が届くような工夫

    • このチラシをみることで高齢者自身が、高齢者の社会からの孤立という問題について確認、認識することができる。また近所の人が、このチラシをみて、地域に暮らす高齢者のことで市役所に連絡してくる等の効果もある。

    35

  • St. George Migrant Information Day 2015 情報を伝えるための様々な工夫

    36

  • 37

  • 「言葉が通じなければ100%効率的なサービスを提供しているとは言えない。人口の25%にあたる人たちにも平等にサービスをうけられるようにする、ということを常に主張していくことが大切。情報が伝わっていないということは、その行政サービスは効率的なビジネスモデルとはいえない。」 NSW州多文化コミュニティ関係委員会

    38

  • 「話をする人のコミュニケーションの力を伸ばすこと。専門用語ではなく、日常会話を使うことが原則。わかりやすい話し方をするのは話者の役割であって通訳の役割ではない。」

    NSW州多⽂化コミュニティ関係委員会

    39

  • 平等なアクセスのための工夫

    40

  • オーバン市 Wordless consultations (言葉を使わない話し合い)

    3. 平等なアクセスのための工夫

    41

  • 1985年 アクセスと公平政策

    Access & Equity Strategy

    42

  • コーディネーターと連携

    43

  • オーバン市

    「コミュニティ・オブ・プラクティス(Community of Practice)」

    ・ネットワーク構築システム

    ・交通手段、研修・訓練、行事や チラシ・パンフレット・発行物の資源や専門技術を共有

    まちづくり

    ユニット

    サービス

    提供者

    住民

    グループ

    アドボカシー団体

    文化団体

    行政・政府機関

    コーディネーターと連携

    44

  • 「私は地域のコーディネーターです」

    オーバン市職員

    45

  • 「支援組織とコミュニティとの関係ではなく、コミュニティ同士が理解し合う仕組みづくりが大切」

    NSW州多文化コミュニティ関係委員会

    46

  • •届けたい人に情報が届く方法をとっているか

    •意思表示ができる環境・条件を整えているか配慮しているか

    •つなぐ役割と連携

    (対等な関係で事業を一緒に作りあげる)

    47

  • 研修を通じて 考えたこと、感じたこと

    ~多⽂化対応力(Cultural Competency)を意識すること~

    名東区役所保険年金課 伊藤

    48

  • 外国人対応で耳にする言葉

    うなずいていたから、きっと理解してくれている

    分かっていなさそうだったけどしょうがない

    そんなに困っているなら通訳を連れてくるはず

    外国人対応で困っていることは特にない

    など

    49

  • 日本での⽣活で困っていること 40.9

    33.1 33.1

    22.3

    26.7

    16.7

    9.7 7.5

    9.5

    0.3 3.1

    17.5

    1.7

    0

    5

    10

    15

    20

    25

    30

    35

    40

    45

    税金

    保険関係

    母国語の通じる病院

    雇用関係

    医療通訳

    介護福祉

    在留資格

    育児

    ごみ分別

    DV

    その他

    特にない

    無回答

    滞在年数2~5年未満(359人)

    29.8

    25.4

    16.5

    20.6

    15.2 12.4

    7.6

    10.8

    3.9

    0.7 1.2

    33.7

    3.7

    0

    5

    10

    15

    20

    25

    30

    35

    40

    税金

    保険関係

    母国語の通じる病院

    雇用関係

    医療通訳

    介護福祉

    在留資格

    育児

    ごみ分別

    DV

    その他

    特にない

    無回答

    滞在年数10~20年未満(564人)

    参考:平成22年 名古屋市外国人市民アンケート調査結果報告書(平成23年3月 名古屋市) 50

  • 困っているのは6~8割

    困って

    いる

    81%

    特にな

    17%

    無回答

    2%

    2~5年未満(359人)

    困って

    いる

    62%

    特にな

    34%

    無回答

    4%

    10~20年未満(564人)

    参考:平成22年 名古屋市外国人市民アンケート調査結果報告書(平成23年3月 名古屋市) 51

  • 困っていることに気づいたり、情報を正確に聞いたり伝えるための“チカラ”について

    オーストラリアでは、

    CULTURAL COMPETENCY という言葉が最近では使われています。 →多⽂化に対応できる能力 =多⽂化対応力

    52

  • 組織ごとにトレーニング方法をもつ

    •この“チカラ”は、人が⽣まれつき持つ能力ではありません。

    オーストラリアでも、その能力を向上させるためのトレーニングを、各々の組織の実情に合わせて行っています。

    53

  • 多⽂化対応力について

    オーストラリアの取り組み 多⽂化対応力の4要素

    組織の取り組み【事例1】NSW州保健局

    組織の取り組み【事例2】シドニー大学

    54

  • ①自分自身の文化的世界観や、

    先入観、偏見への気づき

    ②文化の違いに対する

    オープンマインドな態度

    ③異なる文化的習慣や世界観についての

    一定レベルの知識

    ④異文化交流における

    コミュニケーションスキル

    ⽂章抜粋: SESLHD Multicultural Health Service, イメージ画: HETI(Health Education and Training Institute) “WORK BETTER IN DIVERSE CONTEXIS”

    多⽂化対応力の4要素

    55

  • ①自分自身の文化的世界観や

    先入観、偏見への気づき

    Awareness of your own cultural view of the world (assumptions , biases etc )

    ⽂章抜粋: SESLHD Multicultural Health Service, イメージ画: HETI(Health Education and Training Institute) “WORK BETTER IN DIVERSE CONTEXIS” 56

  • ②文化の違いに対する

    オープンマインドな態度

    Open minded attitude towards cultural differences

    ⽂章抜粋: SESLHD Multicultural Health Service, イメージ画: HETI(Health Education and Training Institute) “WORK BETTER IN DIVERSE CONTEXIS” 57

  • ③異なる文化的習慣や

    世界観についての

    一定レベルの知識

    A level of knowledge of different cultural practices and worldviews

    ⽂章抜粋: SESLHD Multicultural Health Service, イメージ画: HETI(Health Education and Training Institute) “WORK BETTER IN DIVERSE CONTEXIS” 58

  • ④異文化交流における

    コミュニケーションスキル

    Cross-cultural communication skills

    ⽂章抜粋: SESLHD Multicultural Health Service, イメージ画: HETI(Health Education and Training Institute) “WORK BETTER IN DIVERSE CONTEXIS” 59

  • 組織の取り組み事例1 NSW州保健局

    ~さまざまな形のトレーニング方法~

    60

  • NSW州保健局(NSW HEALTH)

    組織概要 公的医療制度の立案・施行 国立病院運営(ヘルスケアサービス) 病院数:230以上(15管理区) その他:救急医療サービス、インフラストラクチャー、病理学、情報コミュニケーション技術、健康教育訓練施設(HETI)など様々。

    61

  • NSW州はとても広い

    62

  • 面積比較 NSW州:面積 809,444㎢ →2倍以上 (日本:377,900㎢)

    63

  • 医療関係者向け多文化対応力向上トレーニング

    ウェブ教材でいつでもどこでも受講可能

    →個人の理解度チェックも可能

    多様な研修方法がある

    DVD教材、講義、ワークショップ

    など

    64

  • 1977年~本格実施。

    公的医療機関においては、通訳を介するのが決まり

    (対象:英語が流暢に話せない人)

    基本的に医療通訳者はNAATIの国家資格保持者

    メディケア加入者は無料

    言語情報や通訳使用状況を記録する電子カルテがある

    このような先進的な制度も医師や医療スタッフが

    上手く活用できないことがあります。

    NSW州保健局(NSW HEALTH)の医療通訳制度について

    65

  • 大切なのは「対応力」 •「優れたシステムより、職員がどのように対応するかが大切です。」

    優れたシステム

    職員の 対応力

    by ニックさん ( NSW Health )

    the most expensive thing is…

    言語情報の登録可能な電子カルテ・質の高い医療通訳制度・多言語チラシ など

    66

  • 医師・医療関係者向けDVD教材

    67

  • 職員が医療通訳の使い方を学びます!

    家族や友人を通訳として使うリスク

    医者自ら、積極的に 通訳者を使う判断をする

    通訳者を通して、医師が患者と Face-to-Faceのコミュニケーションをとる

    電話通訳の場合、 通訳しやすいよう伝え方に配慮する

    68

  • 組織の取り組み事例2 シドニー大学

    NATIONAL CENTER FOR CULTURAL COMPETENCY(NCCC)

    ~全員の多⽂化対応力~

    69

  • シドニー大学 設立1850年10月1日 オーストラリア最古の大学

    70

  • NATIONAL CENTER FOR CULTURAL COMPETENCY(NCCC)の多⽂化対応力教育

    設立:2014年

    活動開始:2016年予定

    職員数:10人(所長含む)

    活動内容:

    ・先住民への理解

    ・多⽂化対応力育成のための教材作り

    ・多⽂化対応力のあるグローバル人材育成指導。

    応対者:Dr Gabrielle Russell-Mundine

    71

  • 全員の “チカラ”向上

    全学部の教授・大学職員

    約8,000人

    NCCC 10人

    全17学部の学生 約52,800人

    全教授は、各々のカリキュラムに「多⽂化対応力」を学べる内容を取り入れ、学⽣に講義を行います。

    72

  • 考えたこと、感じたこと

    組織ごとの取り組みが大切

    「ひと」が大切

    73

  • 「多⽂化対応力」向上を個人任せにせず、それぞれの組織が人材育成に取り組むことの大切さ。

    考えたこと、感じたこと

    組織ごとの取り組みが大切

    74

  • 考えたこと、感じたこと

    「ひと」が大切

    75

    情報を正確に伝えるための工夫ができるように、

    必要とされる 多⽂化対応力を一人一人が身に着けることが大

    切。 (やさしい日本語、トリオフォン、多言

    語チラシの活用 etc..,)

  • 研修を通じて 考えたこと、感じたこと ~外国人が活躍できる(参画できる)社会~

    名古屋市役所 若山 76

  • オーストラリアでは、各機関の理事、スタッフ、 ボランティアなどとして移民であった人たちが活躍

    外国人が活躍できる(参画できる)社会 77

  • 外国人が活躍できる(参画できる)社会

    1.外国人へのサポート

    2.受入れ側の意識

    78

  • アドバンス多様性サービス (Advance Diversity Services) • 組織概要

    1981年設立

    地域密着型の非営利団体

    ⽂化的に多様な背景を持つ

    スタッフを起用

    • 目的

    英語を母国語としない移民たちを

    オーストラリアへ成功裏に

    定住させること。

    1.外国人へのサポート 1-1自助力の向上

    79

  • 定住支援 (Settlement Services Program) 【ビジョン】

    支援を通して移民それぞれが独立し オーストラリア社会に十分に参画すること。

    【支援期間】5年間

    【活動内容】

    • キャパシティービルディング(能力構築のための支援)

    • ケースワーク(1対1での対応)サービス

    • インフォメーションセッション

    • ニーズ評価・アドボカシー

    • 地域におけるネットワークづくり支援

    • コミュニティーを活性化するためのプログラム・プロジェクト

    1-1自助力の向上

    80

  • 振り返り

    計画

    設計

    実行 評価

    再設計 アドバンス 多様性 サービス

    10人程度のグループを構成 月1回の協議

    設計案: ・祖父母の社交クラブ ・子供のダンス教室 ・健康教室 ・文化スポーツイベント

    プロジェクトを実行

    プロジェクトを評価、振り返り

    評価に基づき計画を修正 移民に対する

    訓練・教育プログラム

    リーダーの養成

    コミュニティーの自助力向上

    キャパシティービルディング (コミュニティーの能力構築)

    81

  • NSWコミュニティ言語学校協会 (NSW Federation of community language schools)

    • 組織概要

    1978年設立

    非営利団体

    • 目的

    すべてのコミュニティ語学学校を統一し、 コミュニティ言語の維持や NSW州の多⽂化資産に貢献するために コミュニティ言語学校と共同する。 すべてのコミュニティ語学学校が、 州政府が提供する様々なプログラムから 利益を得るよう支援をすることを目指す。

    1.外国人へのサポート 1-2言語教育(母語)

    82

  • コミュニティ言語学校 (Community Language School)

    概 要

    • 主に幼稚園から高校⽣を対象

    • 言語、⽂化、宗教

    • 保護者などが運営

    • 放課後や土曜日

    • 公立学校の教室を利用して実施

    • NSW州460地域、250校、56言語

    政府からのサポート

    • 政府より⽣徒一人あたり

    年間 126.8 ドル助成

    (幼稚園からYear 12(高校⽣)まで)

    • 設立資金援助 2,500ドル(初年度)

    (次年度からは2,000ドル)

    • 教師の研修をはじめとしたサポート体制

    • 教育リソースの無償提供

    83

  • コミュニティ言語(母語)の必要性

    教科学習と語学能力の形成

    アイデンティティ形成

    家族とのコミュニケーション

    84

  • 外国人へのサポートにおいて重要なこと

    「コミュニティーの強み」(ADS)

    「全てのコミュニティーは均一ではない」

    (Not all community groups are homogeneous.)

    国籍だけにとらわれない➡一人ひとりを見る

    by アドバンス多様性サービス

    85

    「どのような問題があるか」 ではなく、「どのような強みを持っているか」ということに注目する!

  • 外国人が活躍できる(参画できる)社会

    1.外国人へのサポート

    2.受入れ側の意識

    86

  • NSW州多⽂化コミュニティ関係委員会

    (The Community Relations Commission for a Multicultural NSW)

    • 組織概要

    1977年設立

    州政府機関

    ・目的

    NSW州の全ての人々の⽣活を

    豊かにするように、結束力のある

    調和のとれた多⽂化主義の社会を

    構築し、維持していくことである。

    2.受入れ側の意識 2-1社会への啓発

    87

  • ・多⽂化主義マーケティング賞 (The Australian Multicultural Marketing Awards)

    多⽂化主義がビジネスに好影響を及ぼすことを 証明するための表彰

    2-1社会への啓発 2.受入れ側の意識

    88

  • エスニックコミュニティ協議会 (Ethnic Communities Council) ・組織概要

    1975年設立

    非営利団体

    ・目的

    それぞれのコミュニ ティ内の連絡協調

    各コミュニティ間と協力をしながら、

    オーストラリアの多⽂化共⽣政策を

    民主的に作り上げること

    2.受入れ側の意識 2-1社会への啓発

    89

  • SBS(Special Broadcasting Service)

    •オーストラリアの公共放送局

    •ラジオ1975年~、テレビ1980年~

    •多言語放送、世界中の番組、ニュースリーダーが多様な容姿

    「主流のテレビ局のニュースリーダーは、金髪で青い目の女性ばかり。 全くマルチカルチャーではない。彼らは変わらなければならない。 オーストラリアはもはやそうではないのだから。」

    90

  • SBS指導プログラム(SBS Mentor program)

    •2012年~

    •ECC、SBS、Macquarie 大学の連携事業

    •メディア専攻の学⽣対象(多⽂化の背景を持った学⽣も)

    •SBSの専門家からジャーナリズムを学ぶ

    •多⽂化について学習

    •卒業後、主流のTV局へ (Ch.7 CH.9)

    91

  • 「移民と受入れ社会の

    『橋渡し』をするのではなく、

    『川をなくせば』自然とつながるのだ。」

    2.受入れ側の意識 2-2行政職員の意識

    「どのようなことをするにしても

    『多様性はポジティブである』ことを

    常に意識して取り組んでいる。」 by Multicultural NSW

    by Ethnic Communities’ Council 92

  • オーストラリアにおける受入れ側の意識

    Social Cohesion Index(社会的結束指標)

    87%

    多⽂化主義を積極的に評価している。

    93

  • Q. 多⽂化主義を積極的に評価していない 13%の人へのアプローチは?

    オーストラリアにおける受入れ側の意識

    A. 学校教育に力を入れている。 多様な人をインクルーシブな形で教育し、 そのインクルーシブな価値観を持って 多様であることが普通と認識できるようにしたい。

    94

  • ハバーフィールド小学校 ( Haberfield Public School ) ・組織概要

    1910年設立、公立小学校

    ・教育内容

    中国語、イタリア語の学習

    GATSプログラム

    英語を第二の外国語としている

    児童のための特別授業

    受入れ側の意識(学校現場ではどうか)

    95

  • 子どもたちへのインタビュー Q. ⽂化や人種が違うことに対して違和感はないか? 異⽂化であることで起こる衝突はあるか?

    A. 違いは当たり前。 その「違い」に興味があり、 実際に他の⽂化や歴史など、 お互い色んな話が聞けて楽しい。 ⽂化が異なっても、衝突には繋がらない。

    受入れ側の意識(学校現場ではどうか)

    96

  • 研修にて気づいたこと

    ひとりひとりの人間を見ている

    • 国籍でひとくくりにはしない

    • 移民は「外国人」ではなく、

    違う国で⽣まれた「オーストラリア人」

    支援される側が支援をする側として活躍している

    • 移住をした人々の

    ⽂化的言語的に多様な背景を活かして支援を実施 97

  • 多⽂化共⽣のあり方

    •外国人支援(上下) 日本

    •ともに社会を支える(対等) オーストラリア

    98

  • 将来のキーパーソンへ

    ともに社会を

    支えるという

    意識の周知

    言語的⽂化的に

    多様な人物の育成

    社会を豊かにする

    キーパーソン

    99

  • まとめ 名古屋市としてできること ~外国人が活躍できる(参画できる)社会の実現のために~

    「ともに社会を支える」多⽂化共⽣推進プラン

    周知・協働・各機関による徹底

    100