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海外にルーツを持つ子どもの支援状況 アンケート調査 NPO法人青少年自立援助センター 定住外国人支援事業部 YSCグローバル・スクール 2020/4/24 NPO法人青少年自立援助センター Copyright©NPOYouthSupportCenter

海外にルーツを持つ子どもの支援状況 アンケート調査...東京都福生市志茂183-2 MAIL [email protected] URL NPO法人青少年自立援助センター

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海外にルーツを持つ子どもの支援状況アンケート調査

NPO法人青少年自立援助センター

定住外国人支援事業部 YSCグローバル・スクール

2020/4/24

NPO法人青少年自立援助センターCopyright©NPOYouthSupportCenter

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2010年より海外にルーツを持つ子ども・若者の教育と就労を支援するYSCグローバル・スクール( NPO法人青少年自立援助センター定住外国人支援事業部運営:東京都福生市)では、新型コロナウィルスにより、海外にルーツを持つ子どもたち(およびその家庭)に対する支援活動にどのような影響があるかを把握するため、全国の海外ルーツの子ども・若者を支援する関係機関、ボランティアや個人等を対象にアンケート調査を実施しました。

日本社会に暮らす海外にルーツを持つ子どもたちは、近年増加の一途をたどっています。しかし、その支援体制や受け入れ環境は自治体・学校・地域間による格差が大きい状況が続いています。全国の公立学校には、約51,000人の日本語がわからない子どもたちが在籍していますが、その内の11,000人は学校で何の支援も受けていない無支援状態にあります。(文科省2018年調査より)特に小さな自治体や外国人が少ない地域では、人材や予算の不足から支援体制を整備することができていません。

こうした自治体による支援の空白を長年埋めてきたのは、ボランティアによる善意の活動や学校の先生方による手探りの支援でした。子どもたちに日本語教育や学習支援機会を提供したり、外国人保護者が必要とする子育てや教育情報をわかりやすく伝えるなど、きめ細かに外国人家庭を支えてきた草の根活動の多くが、今般のコロナ禍によって活動休止や縮小を余儀なくされています。

本アンケートを通して、その現状を少しでも明らかにすること。海外ルーツの子どもたちやその家庭に寄り添ってきた支援者だからこそ垣間見えている課題について、広く日本社会の方々に知っていただくことで、有事の際にいっそうの困難に直面しやすい外国人家庭やその子どもたちに対する支援の輪が広がることを期待しています。

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本アンケートについて:

◆目的:新型コロナウイルスによる海外ルーツを持つ子どもや家庭への影響を明らかにする◆対象:海外にルーツを持つ子どもやその家庭支援に携わるNPO等公益活動団体、行政機関、研究者、ボランティアや個人支援者等◆手法:web調査◆期間:2020年4月15日~4月21日◆回答数:104

【本件に関するお問合せ先】NPO法人青少年自立援助センター定住外国人支援事業部 YSCグローバル・スクール東京都福生市志茂183-2 MAIL [email protected] URL https://www.kodomo-nihongo.com/index.html

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回答者の活動地域

北海道・東北 6

関東

44中部

21

近畿

21

四国

0

中国

3九州

9

活動地域の外国人在住状況

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外国人集住地域

34%

集住と散在が混合

27%

外国人散在地域

37%

その他

2%

n=104/(人)

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支援形態

ボランティア, 56

有償支援者, 40

学校教職員, 14

大学等関係者, 8

自治体関係者, 5

国際交流協会, 2その他, 6

n=104/(人)

回答者104名がどのような形で海外ルーツの子ども支援に携わっているか尋ねたもの。複数回答可とし、研究者でもあり、ボランティア活動にも携わるような方が「大学関係者」「ボランティア」の双方を選択できるようにした。

平時以上

9%

平時通り

8%

平時より縮小

18%

活動を休止(すでに再開)

10%

活動を休止(現在も休止)

47%

その他

8%

活動の継続状況について

新型コロナウィルスの影響によって、回答者の活動状況が回答時点で平時と比較してどうなっているか尋ねた(その他の内容としては、準備中、未定など)

n=104

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継続して実施している活動内容

学習や居場所支援(オンライン)

16

相談支援(オンライン)

18

学習や居場所支援(対面・集合)

17

相談支援(対面・集

合)

16

生活支援

11

その他

9

その他:動画配信、メール連絡、課題を郵送、教員への研修など NPO法人青少年自立援助センター

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複数回答(回答数87件)

新型コロナウィルスの影響の中、現在も継続して行っている活動内容について複数回答で尋ねた

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活動における工夫や課題(一部抜粋)

【工夫していること】

・曜日毎に、通う子どもを分けて支援している。

・公民館等が使えないので、自宅や学習者自宅を会場にしている。

・まずは繋がること。オンラインでできることを無理のない範囲で続ける。

・普段からLINEで友達になっておく。地震のときに素早くLINEで安否確認する。それで信頼できる人という認識を持ってもらう。

・地元自治体の教育委員会や国際交流窓口と、日頃から支援が必要な子どもについて情報交換を行うようにしている。

・子どもを家から出すことが出来ないため、家庭訪問をし、きちんと生活しているかの確認。宿題のポスティング、子どもや保護者が疑問に思ったことをメッセンジャーやLINEで個々に答えている。

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活動を継続するために行っている工夫や課題について自由回答で尋ねた

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活動における工夫や課題(一部抜粋)

【課題だと感じていること】

・保護者が日中働いている家庭だと子どもが扱える端末がないため、なかなかオンラインでもつなげない家庭もある。

・オンライン支援を開始したばかりで、学校教職員全体がノウハウがなく活用出来ていない。

・オンライン授業が出来たら良いと思っているが、現状は小中学校から来る緊急のおたよりを多言語翻訳することで時間を取られてしまっている。

・通訳派遣では検温、マスク着用、手洗いなどをしているが、どうしても濃厚接触になるので悩んでいる。

・緊急事態のためオンライン対応は予算外。ボランティアでもやりたいと名乗り出てくれる人がいない。

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活動を継続するために行っている工夫や課題について自由回答で尋ねた

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・学校の再開時期にあわせて活動再開の予定。

・主たる活動場所が公共施設ということもあり、施設が再開しないと活動再開とならない。密集しないで活動できる場所が確保できれば再開したい。

・遠隔授業のためのツールが子どもたちにあれば、出来る限りの活動を行いたい。

・地域行政(教育委員会)や学校と連絡を取り合い、現状を考慮して再開の目途を検討している。

・活動が再開できそうな団体との連携。

・この状況が続くのであれば、オンラインで実施。学校が始まるときに遅れが無いように準備しておきたい。

・自治体の教育委員会学校教育課で採用された日本語指導講師。原則として学校の授業日に指導をするため先月より指導休止の状態。すぐにでもオンラインでもSNSでもできることをしたいが、難しい状況。

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活動の再開見通しや再開に向け検討していること(一部抜粋)

現在活動を休止している場合に、再開の見通しや、再開に向けて検討していること、〇〇があれば再開できる、というような希望について自由回答で尋ねた

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インターネット

(SNSやメール)

で連絡

34%

電話で連絡

23%

家庭訪問・面談

13%

今後実施を検討・予定

11%

実施予定なし

11%

その他 8%

その他:個人的な連絡が禁止されているアンケートで行っている、など NPO法人青少年自立援助センター

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海外ルーツの子どもや家庭の状況把握について新型活動状況に関わらず、SNSやメール、電話、家庭訪問など、何らかの形で子どもや家庭とのつながりを維持、状況把握等を行ってるか尋ねた(複数選択)

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・ゲームばかりしてしまったり、昼近くまで寝てしまっていたりするなど、

学校がある時と比べて生活が不規則。勉強が進まない。

・高校生のやることがなく、アルバイトに行ってしまい感染リスクが高まる。

・保護者が日本語がわからないために、情報にアクセスできないことがあり現在と将来に不安を感じている。

・両親が日本語がほとんどできない。コロナのニュースを子どもがずっと翻訳しているため、子どもが自分の時間が持てない。病院、学校など親は子に頼る方が速いためか、通訳ボランティアや公的サイトなどに頼ろうとしない。

・情報が得られていない。学校からの手紙の内容が理解できていない。

・(保護者が)解雇になり借り上げ住宅も撤去しなくてはならない家庭もある。県住への入居希望をだしたり、相談窓口へ繋いでいる。

・3月で母国に帰国する予定だったため学校を辞めたが、母国でロックダウンが起こり、帰れなくなり不就学になった子どもがいた

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支援をしている子どもの状況・課題(一部抜粋)

状況把握を行っていると答えた回答者に対し、支援をしている子どもはどのような状況にあるか、何らか課題があると感じる場合に、その課題について自由回答で尋ねた

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・支援しているご家族はどこも比較的安定している。

・コロナへの恐怖で家から出ることができず仕事を休んでいるので収入が激減している。

・保護者が雇い止めにあい、子どもが学校を続けられるかどうか不確実になっ ている。

・Facebookで母語でのデマ情報が流れ、拡散され、正しい情報が掴めずパニックになる家庭も多い。

・先が見えず、気軽に話したり相談できる機会がなく不安。

・来日したばかりの外国人なので、派遣社員が多く、失業したり、休業で仕事が減り、景気回復の見通しが立たないため、今後しばらくは悪化の一途だと思う。

・市役所で対応した通訳さんが休校について理解出来ておらず、「テストの日は学校行くよ」等と誤った情報が提供されたため、不安になる家庭もあった。

・中国ルーツの子・保護者は、中国から感染が拡大したために心理的なつらさを抱えている。(外で中国語で話していると冷たい視線を浴びるなど、いわれのない肩身の狭さを感じている)

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支援をしている家庭・保護者の状況・課題(一部抜粋)

状況把握を行っていると答えた回答者に対し、支援をしている家庭や保護者はどのような状況にあるか、何らか課題があると感じる場合に、その課題について自由回答で尋ねた

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・子どもへのSNSなどを活用したコンタクト、親との電話による相互連絡。

・学校と情報共有をはかることに努める。そうすることで、学校教職員の意識を高める働きかけとなるだろうと考えている。

・校内カフェの相談機能を切り離してオンライン化するなどの検討を、運営法人内で提案しようと考えている。

・教育委員会を通じての把握を検討している。

・家庭訪問を検討しているが、緊急事態宣言でソーシャルディスタンスを保ちながらどのような形態で行うか検討中。

・子どもへのSNSなどを活用したコンタクト、親との電話による相互連絡。課題は親がなかなか電話に出ない人も多く、ボランティアの負担が大きくなってしまうこと。

・市教委や学校のトップが動いてくれないことには進まない。まず現場の自分たちが声を上げることが重要と考えている

・具体的なアドバイスができる自信がない。

・プライバシーに対する配慮をどのようにするか(が課題)

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今後、検討している状況把握手段(現在状況把握を行っていない場合。一部抜粋)

現在子どもや家庭の状況把握を行っていないが今後実施を予定・検討していると答えた方々へどのような手段を検討しているか、また、検討時に課題となっていることを訪ねた。

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オンラインで

支援を行っている

20%

オンラインで支援は行っていないが、

検討している

45%

オンラインで支援は行っておらず、

検討もしていない

27%

その他

8%

その他:オンラインで支援したいができない、など

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海外ルーツの子どもに対するオンライン支援について新型現在関係のある海外ルーツの子どもたちに対する、オンライン支援(学習や相談など)の現状について尋ねた

n=104

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【使っているツール】

・zoomを使って、学習、ゲーム、クイズ、相談などを行なっている。

・休校した場合スマホなどでも参加できるオンラインシステムで授業などをし、登校日などをもうけて、課題などの提出を確認する。

・学校の宿題で、分からない問題をLINEで送ってもらい、回答を書いてLINEで説明する。

・Zoomで子どもたちには遊びの場や他の子どもたちと関われる場を、保護者には周りと関わる場を提供している(外国にルーツのみの対象ではなく日本国籍の子どもも含む支援)。

・ネットで学習できる教材などを個別に案内している。(ショートメッセージ、メッセンジャー、WeChat、Lineなどそれぞれ対応)

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オンライン支援について(オンライン支援の実施または検討状況。一部抜粋)

子どもたちに対するオンライン支援で行っている内容や、今後オンラインでの支援を検討したい内容。また、オンライン支援における課題について自由回答で尋ねた。

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【課題】

・小学校は保護者の機器を使うことになるので、できるのかどうか悩んでいる。

・zoomでの日本語授業を検討中。主催側がまずオンライン授業に慣れることが課題。ほかにも、受講側の準備をどう行うかなど。

・zoomを検討しているが、セキュリティに問題があるようで、踏み切れない。

・デジタル環境に差がある。また、この時期当スクールは日本語がまったくできない生徒が多いので、どのような指導ができるか悩んでいる。

・(支援者で)従来の支援の方法にこだわる方がいて、話が前に進まない。

・家庭のネット環境が課題。

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オンライン支援について(オンライン支援の実施または検討状況。一部抜粋)

子どもたちに対するオンライン支援で行っている内容や、今後オンラインでの支援を検討したい内容。また、オンライン支援における課題について自由回答で尋ねた。

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【課題】

・(生徒の)日本語力がほとんどないため、中学校の内容をオンラインで教えるのは難しい。

・年齢の高い生徒に対しては有効だと思うが、年齢の小さな子に対しては難しいと感じている。

・対象の子供に、スマホやインターネットアクセスの環境がない。

・Zoomのセキュリティの不安が報道されどれを使うのがよいか知りたい。

・主催者のIT関係の導入が遅れている。提案はしているが反応が乏しい。

・ボランティアがオンラインに拒否反応が強い。

・支援者も集まって協議する機会がない。段取りが作れない。

・ボランティア側のスキル不足でオンライン利用が難しい。

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オンライン支援について(オンラインでの支援を行わない理由。一部抜粋)

子どもたちに対するオンライン支援について、「現在行っていない、検討もしていない」と答えた方々へ、自由記述でその理由を尋ねた