4
番号 指定 作品名称 数量 時代 備考 1 重要 文化財 腰物 こしもの ちょう 1冊 江戸時代後期 井伊家に伝来した刀剣類を約400口載 せる。 2 めい まさ つね 1口 平安時代末期 備前 びぜん もの の代表刀工に挙げられる。 3 重要 文化財 めい くに むね (備 ぜん だい ) 1口 鎌倉時代備前国の刀工。 4 重要 文化財 めい くに むね (伯耆 ほうき 1口 鎌倉時代初期 伯耆国の刀工。 5 めい かね なが 1口 鎌倉時代後期 大和国手掻 てがい 派の刀工。 6 たん とう めい らい くに とし 1口 鎌倉時代後期 山城国来 らい 派の刀工。 7 めい くに すけ 1口 鎌倉時代後期~ 南北朝時代 肥後国延寿 えんじゅ 派の刀工。 8 めい とも なり (号 ごう きみ 万歳 ばんざい 1口 鎌倉時代初期 備前 びぜん もの の代表刀工に数えられる。同 名刀工が数工知られている。 9 めい つね つぐ 1口 平安時代末期~ 鎌倉時代初期 国青江派の刀工と考えられる。 10 めい よし もり 1口 鎌倉時代前期 備前国一文字派の刀工と考えられる。 11 わき ざし めい 備前国住長船与三左衛門尉祐定 びぜんのくにじゅうおさふねよそうざえもんのじょうすけさだ 1口 室町時代末期 永禄2年 (1559) 備前国長船派の刀工。 12 かたな めい はん けい 金象嵌銘 きんぞうがんめい おも かげ (号 ごう 面影 おもかげ 1口 江戸時代初期 武蔵国江戸で活躍した刀工。 13 わき ざし めい なが おき さと 入道虎徹 にゅうどうこてつ 1口 江戸時代前期 武蔵国江戸で活躍した刀工。 14 かたな めい あわ ぐち いっ 竿 かん ただ つな 1口 江戸時代中期 正徳3年 (1713) 摂津国大坂で活躍した刀工。 15 金平目梨地鞘橘紋細太刀拵 きんひらめなしじさやたちばなもんほそたちごしらえ 1腰 江戸時代前期 太刀の拵。 16 梅花皮鮫黒研出鞘大小拵 かいらぎざめくろとぎだしさやだいしょうごしらえ 1腰 江戸時代後期 打刀の拵。大刀と小刀の2本で一組と なる。 17 なみ に千 どり 縁頭 ふちがしら めい やす ちか 1具 江戸時代中期 つか 部分に備える金具。 18 鶴丸 つるまる 透鐔 すかしつば 2枚 江戸時代後期 柄と刀身の間に備える金具。 19 堀川夜討図三所物 ほりかわようちずみところもの 1具 江戸時代後期 揃いの意匠で作られた目貫 めぬき 、小柄 こづか こうがい テーマ展「日本刀鑑賞のススメ-井伊家伝来名刀尽-」展示作品リスト ◆鉄 かね の美-古刀の地 がね と刃 もん ◆鉄 かね の美-新刀の名工による鉄- ◆刀装 とうそう の美 ※すべて彦根城博物館が所蔵する井伊家伝来の資料。

テーマ展「日本刀鑑賞のススメ-井伊家伝来名刀尽-」展示作品 …hikone-castle-museum.jp/cms/wp-content/uploads/2017/07/019e191… · テーマ展「日本刀鑑賞のススメ-井伊家伝来名刀尽-」展示作品リスト

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番号 指定 作品名称 数量 時代 備考

1重要

文化財 腰物こしもの

帳ちょう

1冊 江戸時代後期井伊家に伝来した刀剣類を約400口載

せる。

2 太た

刀ち

 銘めい

正まさ

恒つね

1口 平安時代末期 古こ

備前びぜん

物もの

の代表刀工に挙げられる。

3重要

文化財 太た

刀ち

 銘めい

国くに

宗むね

 (備び

前ぜん

二に

代だい

) 1口 鎌倉時代後期 備前国の刀工。

4重要

文化財 太た

刀ち

 銘めい

国くに

宗むね

(伯耆ほうき

) 1口 鎌倉時代初期 伯耆国の刀工。

5 太た

刀ち

 銘めい

包かね

永なが

1口 鎌倉時代後期 大和国手掻てがい

派の刀工。

6 短たん

刀とう

 銘めい

来らい

国くに

俊とし

1口 鎌倉時代後期 山城国来らい

派の刀工。

7 太た

刀ち

 銘めい

国くに

資すけ

1口鎌倉時代後期~南北朝時代 肥後国延寿

えんじゅ

派の刀工。

8 小こ

太だ

刀ち

 銘めい

友とも

成なり

(号ごう

君きみ

万歳ばんざい

) 1口 鎌倉時代初期古こ

備前びぜん

物もの

の代表刀工に数えられる。同

名刀工が数工知られている。

9 太た

刀ち

 銘めい

恒つね

次つぐ

1口平安時代末期~鎌倉時代初期 備中国青江派の刀工と考えられる。

10 太た

刀ち

 銘めい

吉よし

守もり

1口 鎌倉時代前期 備前国一文字派の刀工と考えられる。

11 脇わき

指ざし

 銘めい

備前国住長船与三左衛門尉祐定びぜんのくにじゅうおさふねよそうざえもんのじょうすけさだ

1口室町時代末期永禄2年(1559)

備前国長船派の刀工。

12 刀かたな

 銘めい

繁はん

慶けい

 金象嵌銘きんぞうがんめい

面おも

影かげ

(号ごう

面影おもかげ

) 1口 江戸時代初期 武蔵国江戸で活躍した刀工。

13 脇わき

指ざし

 銘めい

長なが

曽そ

祢ね

興おき

里さと

入道虎徹にゅうどうこてつ

1口 江戸時代前期 武蔵国江戸で活躍した刀工。

14 刀かたな

 銘めい

粟あわ

田た

口ぐち

一いっ

竿かん

子し

忠ただ

綱つな

1口江戸時代中期正徳3年(1713)

摂津国大坂で活躍した刀工。

15 金平目梨地鞘橘紋細太刀拵きんひらめなしじさやたちばなもんほそたちごしらえ

1腰 江戸時代前期 太刀の拵。

16 梅花皮鮫黒研出鞘大小拵かいらぎざめくろとぎだしさやだいしょうごしらえ

1腰 江戸時代後期打刀の拵。大刀と小刀の2本で一組となる。

17 波なみ

に千ち

鳥どり

図ず

縁頭ふちがしら

 銘めい

安やす

親ちか

1具 江戸時代中期 柄つか

部分に備える金具。

18 鶴丸つるまる

透鐔すかしつば

2枚 江戸時代後期 柄と刀身の間に備える金具。

19 堀川夜討図三所物ほりかわようちずみところもの

1具 江戸時代後期揃いの意匠で作られた目貫

めぬき

、小柄こづか

笄こうがい

テーマ展「日本刀鑑賞のススメ-井伊家伝来名刀尽-」展示作品リスト

◆鉄かね

の美-古刀の地じ

鉄がね

と刃は

文もん

◆鉄かね

の美-新刀の名工による鉄-

◆刀装とうそう

の美

※すべて彦根城博物館が所蔵する井伊家伝来の資料。

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写 真 解 説

*番号は作品リストに則しています。

4 太刀 銘 国宗(伯耆) 1口た ち めい くにむね ほう き

刃長 79.1㎝ 反り 3.0㎝

国宗 作くにむね

重要文化財

鎌倉時代初期

当館蔵(井伊家伝来資料)

小さな 鋒 を持ち、下方から強く反りがついた長身の太刀で、柄に収める茎部分には、「国宗」きっさき つか なかご くにむね

と銘が切られています。国宗と名乗った刀工は、複数工いたことが分かっており、その中でも著名

なのが鎌倉時代に備前国(現在の岡山県東部)で活躍した備前三郎国宗です。井伊家伝来の腰物帳び ぜんのくに

を見ると、本作も備前三郎と考えられていたようですが、本作のやや粗びた肌合いや高めに作られ

た鎬は、備前三郎の作品と異なり、伯耆国(現在の鳥取県西部)の刀工が制作したものと通じましのぎ ほう き のくに

す。小 鋒 と腰反りという鎌倉時代初期の太刀姿であることを鑑みると、本作は備前三郎よりも古こ きっさき こし ぞ

い時代に伯耆国で活動していた国宗の作と判じられます。井伊家12代直亮(1794-1850)の指料。なおあき さしりょう

6 短刀 銘 来国俊 1口たんとう めい らいくにとし

刃長 24.9㎝ 反り 内反り

来国俊 作らいくにとし

鎌倉時代後期

当館蔵(井伊家伝来資料)

鎌倉時代後期に山城国(現在の京都府)で活動した来派の国俊が制作した短刀。国俊の作品には、やましろのくに らい は くにとし

「国俊」と二字銘を用いる作品と「来国俊」と三字で表すものがあり、両者では作風がことなるこ

とから、同名別人の刀工と考える説があります。本作は「来国俊」と三字銘を切り、刃の元から先

に至るまで緊張感のある細い直刃や、 鋒 の刃文が品良くまとまった弧を描いて返る特徴などが、すぐ は きっさき

他の来国俊銘の作品と通じます。度重なる研磨の結果、刀身は細くなり、厚みも薄くなってはいま

すが、柄に収まる茎に反りがつく形状は、鎌倉時代の短刀に見られる特徴を今に伝えています。つか なかご

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12 刀 銘 繁慶 金象嵌銘 面影(号 面影) 1口かたな めい はんけい きんぞうがんめい おもかげ ごう おもかげ

刃長 70.5㎝ 反り 1.7㎝

野田繁慶 作の だ はんけい

江戸時代初期

当館蔵(井伊家伝来資料)

全長1メートルほどの刀で、後世の手がほとんど入っていない重ねの厚い姿を今に伝えます。柄つか

に収める茎には、制作刀工である繁慶の名が彫られるとともに、金象嵌で「面影」の二字が表されなかご はんけい きんぞうがん

ています。

本作を鍛刀した野田繁慶は、江戸時代初期の代表的な刀工の一人。繁慶の作品は、ひじき肌と呼たんとう の だ はんけい

ばれる独特な肌合いの地鉄と、鎌倉時代末期の刀工・正宗のような砂流や金筋などが刃中に表現さじ がね まさむね す ながし きんすじ

れているのが大きな特徴です。本作の焼き入れによって生み出された刃中の複雑な文様も、正宗の

作品を彷彿とさせます。井伊家伝来の古文書に「正宗ノ面影け有之由ヲ以ノ名ナリ」とあるようおも か (げ)これあるよし もって な

に、「面影」という号(通称)にふさわしい1口と言えるでしょう。ごう ふり

15 金平目梨地鞘 橘 紋細太刀 拵 1腰きんひら め なし じ さやたちばなもんほそ だ ち ごしらえ

総長 102.2㎝

江戸時代前期

当館蔵(井伊家伝来資料)

細太刀とは、儀仗用の細身の太刀で、奈良時代に起源をもつ飾太刀の代替品として用いられまほそ だ ち ぎ じょうよう かざり だ ち

した。飾太刀の 拵 が金蒔絵や螺鈿を施したり、宝石を嵌めて加飾する豪奢な作りであるのに対し、こしらえ きんまき え ら でん は

細太刀拵は、華美な装飾を控えた略式となります。本作のように、柄に鮫の皮を巻き、鐔は唐鐔とつか つば からつば

呼ばれる厚みのある独特な形をしたものをつけるのが特徴です。江戸時代の大名家の太刀拵には家

紋が表されることが多く、本作も種々の金具に井伊家の家紋である 橘 紋があしらわれています。たちばなもん

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16 梅花皮鮫黒研出鞘大小 拵 1腰か い ら ぎざめくろとぎだしさやだいしょうこしらえ

総長 (大)107.0㎝ (小)75.4㎝

江戸時代後期

当館蔵(井伊家伝来資料)

大小 拵 とは、江戸時代に定められた大刀(打刀)と小刀(脇指)の2口を腰に指す二本指用だいしょうごしらえ だいとう うちがたな しょうとう わきざし ふり に ほんざし

に作られた 拵 。大小ともに同一の技法で仕上げたり、金具類に共通する意匠を取り入れるのが特こしらえ

徴です。

本作の場合、大小の鞘に梅花皮鮫と呼ばれるエイの一種の皮を巻き、その上に黒漆を塗って研ぎさや か い ら ぎざめ と

出すことで、表面に満開の梅の花のような文様を表しています。さらに下緒を通す栗形と大刀の鐺、さげ お くりがた こじり

小刀の裏瓦を緑石で揃えてアクセントにし、 拵 全体の印象を引き締めています。また、鐔は海原うらがわら こしらえ つば

を彫出して蛸や月を配すほか、柄の金具は鮎の泳ぐ様があしらわれるなど、水にまつわる意匠で統たこ つか

一しています。