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合成デザイン(つづき)アルデヒドを作る
ケトンを作る
カルボン酸を作る
エステルを作る
塩化アシルを作るアミンを作る多段階合成の実際
1
アルデヒドを作る
一級アルコールの酸化
オゾン分解ー還元的後処理
2
一級アルコールの酸化によるアルデヒドの合成
PCC =
※ DMSO は溶媒ではなく酸化剤
PCC 酸化
R OHPCC
R H
ONH
CrCl O
O O
R OH
Me2SO
R H
O(COCl)2
Swern(スワーン)酸化
(クロロクロム酸ピリジニウム)
Me2SOH3C S CH3
O= DMSO =
(COCl)2 =Cl Cl
O
O
※ 普通のクロム酸酸化ではカルボン酸になってしまう
3
オゾン分解(還元的後処理)によるアルデヒドの合成
オゾン分解-還元的後処理
R1
R2
R3
H
(1) O3(2) Me2S R1
R2O +
R3
HO
※ 炭素ー炭素二重結合が切断され、カルボニル基2個になる
※ sp2炭素に H がついている場合、還元的後処理では C‒H 結合がそのまま残ってアルデヒドが得られる
Me2S = H3C S CH3ジメチルスルフィド
4
ケトンを作る
二級アルコールの酸化
オゾン分解(還元的処理)
アルキンの水和
5
酸化反応によるケトンの合成
R
OHH2CrO4
R R'
O
R'
クロム酸酸化
オゾン分解-還元的後処理
R1
R2
R3
R4
(1) O3(2) Me2S R1
R2O +
R3
R4O
※ 一級アルコールと違って「途中で止める」必要がないので単純なクロム酸酸化で十分
6
アルキンの水和によるケトンの合成
R H
H2OHgSO4, H2SO4 R
H
H
HO
R
H
H
OH
R R
H2OH2SO4 R
R
H
HO
R
R
H
OH
末端アルキンの水和
対称内部アルキンの水和
7
カルボン酸を作る
一級アルコール・アルデヒドの酸化メチルケトンの酸化(ハロホルム反応)芳香環に結合したメチル基の酸化アルケンのオゾン分解-酸化的後処理
炭素-炭素結合生成を伴うカルボン酸の合成エステルの加水分解
8
一級アルコール・アルデヒドの酸化
R OHKMnO4
R OH
O
R H
O KMnO4R OH
O
KMnO4 酸化
※ クロム酸でも可能だが、実施例は KMnO4 の方が多い(たぶん毒性の問題)
9
メチルケトンの酸化によるカルボン酸の合成
O (1) Br2/NaOH(2) H+
OH
O
ハロホルム反応
※ ケトンのα炭素がハロゲン化され、CBr3‒ として脱離
※ カルボニル基の一方がメチル基、もう一方がα水素を持たない炭素であることが必要
OBr2–OH CBr3
O–OH OH
O
CBr3+ O
O
+ HCBr3
10
芳香環に結合したメチル基の酸化
CH3 OH
OKMnO4
※ 芳香環の隣の炭素(ベンジル位)で酸化が起きる
※ かなり強い条件が必要。他に「酸化を受ける」置換基がある場合は適用できない。(アルコール、アミン、アルデヒド、アルキルケトンなど)
11
オゾン分解(酸化的後処理)によるカルボン酸の合成
オゾン分解-酸化的後処理
※ 炭素ー炭素二重結合が切断され、カルボニル基2個になる
※ sp2炭素に H がついている場合、酸化的後処理では C‒H 結合が酸化されてカルボン酸が得られる
R1
R2
R3
H
(1) O3(2) H2O2 R1
R2O +
R3
OHO
12
炭素-炭素結合生成を伴うカルボン酸の合成Grignard 試薬と CO2 の反応
SN2によるシアノ基の導入とニトリルの加水分解
マロン酸エステル合成
R MgBr
(1) CO2(2) H2O
RO
OH
R BrNaCN
R CNH+. H2O
RO
OH
OEtEtO
OO (1) NaOEt(2) R–Br
OEtEtO
OO
R
(1) NaOH(2) H+, (3) Δ
OH
OR
※ 炭素を1個増やす
※ 炭素を1個増やす
※ 炭素を2個増やす13
エステルの加水分解によるカルボン酸の合成
R OR'
O (1) NaOH(2) H+
R OH
O
※ カルボン酸をエステルで「保護」して、あとでカルボン酸に戻す
※ 酸触媒でも可能だが、塩基性条件の加水分解(けん化)が一般的
14
カルボン酸誘導体を作る
エステルの合成
塩化アシルの合成
アミドの合成
15
エステルの合成カルボン酸とアルコールの反応
塩化アシルとアルコールの反応R OH
O H+, R'OH
R OR'
O
R OH
O SOCl2
R Cl
O R'OH
R OR'
O
R OH
O(1) NaOH(2) R'–Br
R OR'
O
カルボン酸の共役塩基とハロゲン化アルキルの反応
※ 単純なカルボン酸に限る
※ 最も一般的
※ 一級・二級のハロゲン化アルキルに限る (SN2)
16
塩化アシルの反応
R OH
O SOCl2
R Cl
O
※ 一般性高い
※ カルボン酸誘導体の合成のほか、Friedel‒Crafts アシル化にも使われる
カルボン酸と塩化チオニルの反応
17
アミドの合成塩化アシルとアミンの反応
酸無水物とアミンの反応
R OH
O SOCl2
R Cl
OR'NH2Et3N
R NH
OR'
R' NH2Et3NAc2O
H3C NH
OR'
※ 一般性高い
※ 単純なカルボン酸限定(Ac2O = 無水酢酸はよく使われる)※ 複雑なカルボン酸だと、無水物を作ることが難しい
18
アミンを作る
イミン・ニトリルの還元
芳香族ニトロ化合物の還元
アンモニア・アミンのアルキル化
19
NH
O
O
NaHN
O
O
R BrN
O
O
R
H+H2O
R NH2+
COOH
COOH
アンモニア・アミンのアルキル化によるアミンの合成アンモニア・アミンとハロゲン化アルキルの反応 (SN2)
R Br
NH3(excess) R NH2
R' BrR NH2(excess) R
NHR'
※ 一級・二級ハロゲン化アルキル限定(SN2 だから)※ 単純なアルキル基の場合に使う
一級アミンの Gabriel (ガブリエル)合成
※ 一級アミンを選択的に合成
20
還元反応によるアミンの合成イミンの NaBH4 還元
ニトリルの LiAlH4 還元
芳香族ニトロ化合物の接触水素添加
R R'
NR'' (1) NaBH4
(2) H+
R R'
NR''H
H
R C
(1) LiAlH4(2) H+
N R C NH
H
H
H
HNO3H2SO4
NO2 H2, Pd/C NH2
※ イミンはアルデヒド・ケトンとアミンから合成
※ ニトリルはハロゲン化アルキル+シアン化物イオンなどで合成
21
ClCOOHO2N
(a) (b) (c) (d)
COOHCHO
【練習問題】ベンゼン、トルエン、炭素数4以下のアルコールまたはカルボン酸(ジオール・ジカルボン酸も可)、および任意の無機試薬を用いて、以下の化合物を合成する方法を提案しなさい。ただし、有機試薬としてmCPBA, PCC, BPO, PPh3 は用いてよい。
22
Cl OH OBrMg+
O OH
BrMg Br HO
三級ハロゲン化アルキル⇒三級アルコール
三級アルコール⇒ケトン+Grignard
ケトン⇒二級アルコール
Grignard⇒ハロゲン化アルキル
一級ハロゲン化アルキル⇒一級アルコール
23
HOPBr3
Br BrMgMg
OH O
H2CrO4
BrMgH3O+
OH
(1)(2) HCl
Cl
一級アルコール→一級ハロゲン化アルキル
ハロゲン化アルキル→Grignard
二級アルコール→ケトン
ケトン+Grignard→三級アルコール
三級アルコール→三級ハロゲン化アルキル
24
COOHO2N CH3O2N
COOH
CH3
芳香族カルボン酸⇒芳香族+メチル基
芳香族ニトロ化合物⇒芳香族?
芳香族ニトロ化合物⇒芳香族
25
CH3 CH3O2N
HNO3H2SO4 KMnO4
COOHO2N
芳香族→芳香族ニトロ化合物
芳香族+メチル基→芳香族カルボン酸
26
COOHCOOEt
PPh3 O
H+
O
H+
Ph3PCOOEt
OH
H+
BrCOOEt
アルケン⇒ホスホニウムイリド+アルデヒド
これが難しい…
アルケン⇒ホスホニウムイリド+アルデヒド
難しくはないが未学習…
アルデヒド⇒一級アルコール
27
COOHCH3 COOEt
O
H+
COOH COOEt
OEtO
COOEt
OEtOO
H+
α,β-不飽和カルボン酸⇒アルデヒド+
α水素を2個持つエステル
置換マロン酸エステル⇒アルデヒド+マロン酸エステル
※ うまくいかない(アルデヒドのエノラートが優先的にできる)
カルボン酸⇒置換マロン酸エステル
COOEt
COOEt
COOH
COOH O
H
OHエステル⇒カルボン酸
アルデヒド⇒ 一級アルコール
28
OH O
HPCC
COOH
COOH
EtOHH+ COOEt
COOEtO
H, –OEt COOEt
COOEtH3O+
Δ
COOH
一級アルコール→アルデヒド
カルボン酸→エステル
アルデヒド+マロン酸エステル
→置換マロン酸エステル
置換マロン酸エステル→カルボン酸
29
CHO CH2OH CH2Br
CH3 CH3
アルデヒド⇒ 一級アルコール
一級アルコール⇒ 一級ハロゲン化アルキル
ベンジル位のハロゲン化アルキル⇒芳香環に直結したアルキル基
芳香環上の t-ブチル基⇒芳香環(FCアルキル化)
CHO CHO※ うまくいかない・不活性化置換基を持つ芳香環の FC アルキル化は困難・メタ配向性
30
OHHCl
Cl
CH3 CH3
Cl (1 eq.)AlCl3 CH2Br
Br2, hv
CH2OH–OH
CHOPCC
三級アルコール→ 三級ハロゲン化アルキル
芳香環のFCアルキル化→ 芳香環上の t-ブチル基
芳香環に直結したアルキル基→ ベンジル位のハロゲン化アルキル
一級ハロゲン化アルキル→ 一級アルコール
一級アルコール→アルデヒド
31