16
ホクレン営農技術情報誌� -1- 名称の由来 英語で農業を意味する「アグリ」と港を意味している「ポート」を組み合わせ、営農情報を船に例え、この情報誌が情報発信基地としての役割を担いたいという思いを込めて 命名しました。 北海道のたまねぎは、国内生産量の過半を占め確固たる地位を築いています。 しかし近年、消費者の食生活の変化や輸入品増加等から、需要・用途に応じた生産が求められています。 今回の特集では、たまねぎを巡る情勢とともに産地に求められる対応、新品種と栽培法、低コスト化への 取り組みなどを紹介します。今後のたまねぎづくりにお役立て下さい。 たまねぎの情勢と今後に向けた取り組み� たまねぎの情勢と今後に向けた取り組み� <特集:たまねぎの情勢と今後に向けた取り組み> たまねぎ需要動向の変化と産地対応の必要性……………………1 道内の品種別作付動向………………………………………………2 新品種「北見交38号」の紹介 ………………………………………3 たまねぎ極早生品種の品質評価と栽培技術指針…………………5 たまねぎ直播栽培現地試験結果と導入上の課題…………………7 たまねぎ生産の低コスト化へ向けた現地事例 常呂町有限会社「北雄」の取り組み………………………………8 <営農技術情報> トルコギキョウおよびデルフィニウムの湿式輸送技術…………10 水稲出穂後の水管理 ……………………………………………… 11 水稲収穫のポイントについて …………………………………… 12 <試験研究の現場から> もち米新品種「上育糯451号」のもち加工適性について………………13 <製品トピックス> 暗渠土管(素焼土管)の取扱いについて………………………………14 <酪農畜産コーナー> 子牛用初乳製剤「さいしょのミルク」…………………………………15 部門だより> 平成19年中古農機常設展示場サマーフェアの開催について ……16 たまねぎ需要動向の変化と産地対応の必要性 はじめに 国内のたまねぎ需要において、量販店等における生 食用の販売割合が他の主要野菜と同様に年々減少して います。一方で、中食・外食向けの加工・業務用需要 は総体の約57%まで伸長しています(図1) 100 H2年� H12年� H17年� 80 60 40 20 0 %� 50 56 57 このことから、生食対応と加工対応は両輪であり、 それぞれの実需者のニーズを的確にとらえて販売する ことが重要です。 図1 たまねぎの加工・業務用割合の推移 ※農林水産省生産局野菜流通加工対策室調べ(速報値) たまねぎの場合、加工用に求められる三種の神器と 言えば「高品質・安定価格・安定供給」と言われていま す。この内、高品質・安定価格については、「国産品の 大玉を安価で」と解釈されますが、それが加工マーケッ トの実態でありニーズである、ということをまず理解 する必要があります。 さらにそれに加えて、安定供給、すなわち安定的な 仕入れの確立が必要です。 近年の加工・業務用需要における輸入品増加の理由 は、国産品の端境期において輸入品が安価で安定的に 利用できる状況だったことにある、と言っても過言で はありません。 生食用だけでなく、加工・業務用需要へも対応して いくことが、輸入たまねぎの増加を抑え国産たまねぎ の需要を維持・確保するために急務となっています。 1.輸入たまねぎの動向について (1)輸入状況 近年の輸入たまねぎの相手国としては、中国、米国、

たまねぎの情勢と今後に向けた取り組み...ポイントの上昇となりました。 輸入たまねぎは、そのほとんどが加工・業務用に使 用されており、平成17年には加工・業務需要の約50%ま

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Page 1: たまねぎの情勢と今後に向けた取り組み...ポイントの上昇となりました。 輸入たまねぎは、そのほとんどが加工・業務用に使 用されており、平成17年には加工・業務需要の約50%ま

あぐりぽーと�68

ホクレン営農技術情報誌�

-1-

名称の由来 英語で農業を意味する「アグリ」と港を意味している「ポート」を組み合わせ、営農情報を船に例え、この情報誌が情報発信基地としての役割を担いたいという思いを込めて命名しました。

北海道のたまねぎは、国内生産量の過半を占め確固たる地位を築いています。

しかし近年、消費者の食生活の変化や輸入品増加等から、需要・用途に応じた生産が求められています。

今回の特集では、たまねぎを巡る情勢とともに産地に求められる対応、新品種と栽培法、低コスト化への

取り組みなどを紹介します。今後のたまねぎづくりにお役立て下さい。

目 次

たまねぎの情勢と今後に向けた取り組み�たまねぎの情勢と今後に向けた取り組み�

<特集:たまねぎの情勢と今後に向けた取り組み>

たまねぎ需要動向の変化と産地対応の必要性……………………1道内の品種別作付動向………………………………………………2新品種「北見交38号」の紹介………………………………………3たまねぎ極早生品種の品質評価と栽培技術指針…………………5たまねぎ直播栽培現地試験結果と導入上の課題…………………7たまねぎ生産の低コスト化へ向けた現地事例常呂町 有限会社「北雄」の取り組み………………………………8

<営農技術情報>

トルコギキョウおよびデルフィニウムの湿式輸送技術…………10水稲出穂後の水管理………………………………………………11水稲収穫のポイントについて……………………………………12

<試験研究の現場から>

もち米新品種「上育糯451号」のもち加工適性について………………13<製品トピックス>

暗渠土管(素焼土管)の取扱いについて………………………………14<酪農畜産コーナー>

子牛用初乳製剤「さいしょのミルク」…………………………………15<部門だより>平成19年中古農機常設展示場サマーフェアの開催について……16

たまねぎ需要動向の変化と産地対応の必要性はじめに国内のたまねぎ需要において、量販店等における生食用の販売割合が他の主要野菜と同様に年々減少しています。一方で、中食・外食向けの加工・業務用需要は総体の約57%まで伸長しています(図1)。

100

H2年� H12年� H17年�

80

60

40

20

0

%�

50 56 57

このことから、生食対応と加工対応は両輪であり、それぞれの実需者のニーズを的確にとらえて販売することが重要です。

図1 たまねぎの加工・業務用割合の推移※農林水産省生産局野菜流通加工対策室調べ(速報値)

たまねぎの場合、加工用に求められる三種の神器と言えば「高品質・安定価格・安定供給」と言われています。この内、高品質・安定価格については、「国産品の大玉を安価で」と解釈されますが、それが加工マーケットの実態でありニーズである、ということをまず理解する必要があります。さらにそれに加えて、安定供給、すなわち安定的な仕入れの確立が必要です。近年の加工・業務用需要における輸入品増加の理由は、国産品の端境期において輸入品が安価で安定的に利用できる状況だったことにある、と言っても過言ではありません。生食用だけでなく、加工・業務用需要へも対応していくことが、輸入たまねぎの増加を抑え国産たまねぎの需要を維持・確保するために急務となっています。

1.輸入たまねぎの動向について(1)輸入状況

近年の輸入たまねぎの相手国としては、中国、米国、

p-1 07.7.27 11:06 AM ページ 1

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-2-あぐりぽーとあぐりぽーと�6868

あぐりぽーと�68

ニュージーランドが主力であり、この三カ国で年間輸入量約30万トンの90%以上を占める状況となっています(図2)。

H12年�H17年�

粗食料計� 家計消費� 加工業務用�

60

50

40

30

20

10

0

2230

36

3 3

50

図3 用途別需要における輸入たまねぎの割合※農林水産省生産局野菜流通加工対策室調べ(速報値)

粗食料:食用として供給される食料のこと。国内生産量に輸入量を加え、飼料用や種子用等を除いたもの

2.北海道産の対応について今後の北海道産のたまねぎには、下記の取り組みが求められています。

(1)たまねぎ総体の取組み

北海道産の対策として、生食用と加工用のバランスを考えトータルで需給調整することによって安定価格の維持に努めることが重要です。(2)生食用への取組み

生食用については、北海道産の販売期間の拡大(CA貯蔵施設の利用、早出・遅出対策の拡充)、契約的販売(ルート販売)の拡充、消費宣伝等の実施により実需先の確保と安定価格の確保を目指します。(3)加工・業務用への取組み

加工・業務用については、国産嗜好の実需者を優先に北海道産たまねぎを安定的に供給しています。消費者の安心安全への嗜好が年々強まる中、国産原料への需要も高まっており、北海道産たまねぎの実需先確保に努めています。また、加工・業務用への取組みには、生産コストの削減が必要です。これに対応するために、直播や新容器の開発普及等についても推進しています。

輸入の時期については、米国は9月~5月、ニュージーランドは1月~6月、中国については周年で日本に輸入されています。このほとんどは、生食用として量販店に並ぶことはなく、加工用として日本国内で流通しています。一時は、価格条件を始めとして国産品が太刀打ちできなかったために、輸入品が年々増加していましたが、平成18年には各国からの輸入量が減少し、年間の輸入量は30万トンを下回る結果となりました。実に3年振りのことです。輸出国の作柄不良等もありますが、北海道産の加工向け対策やポジティブリスト制度の施行により末端ユーザーが産地・生産者・仕入ルートを明確にした安全性の高い青果物の確保を求めたことが、国産品の需要を高め輸入量を減少させた一因となっています。

(2)加工業務用における使用状況

国内のたまねぎ需要量(約100万トン~純食料ベース)については、年であまり大きな変動はありません。しかし、国内でのたまねぎ粗食料に占める輸入品の割合は、平成12年で22%でしたが平成17年では30%と8ポイントの上昇となりました。輸入たまねぎは、そのほとんどが加工・業務用に使用されており、平成17年には加工・業務需要の約50%までに増加しています(図3)。(平成17年速報値) 【種苗園芸部 市場販売課】

新品1.開北海道期にあたが課題と安定供給り組んでは少なく定となるホクレ道立北見て、早期成に取り「収多郎のに続きに認定さ

中国�

71.3

18.1

6.1 4.5

米国�

その他�

ニュージーランド�

図2 平成17年度

たまねぎ輸入

相手国別比率(%)

道内の品種別作付動向北海道内のたまねぎ栽培は、明治4年(1871年)にわが国で最初にたまねぎが食用として試験栽培されて以来、明治13年頃から札幌付近で試作されるようになり、明治40年頃までには岩見沢、滝川、富良野へと普及が拡大していきました。品種はイエロー・グローブ・ダンバースから変化した札幌黄、空知黄、北見黄などが農家・農協単位で自家採種・選抜され、作付される時代が長く続きましたが、病気の多発などから昭和53~54年頃よりF1(1代雑種)品種が導入され、現在では種苗会社によるF1品種が殆

どを占めるようになっています。現在、北海道で栽培される主要品種の近年の作付面積を図1に示しました。熟期帯別の作付動向としては、平成14年産に比較して、極早生の割合が若干伸び5%程度を占めるようになりました。主要な品種は「北はやて2号」です。早生品種は、極早生品種が増えた分だけ若干減少しております。品種としては主力の「改良オホーツク1号」から、平成18年より実用化された後継品種の「オホーツク222」に置換わりつつあります。「オホーツク222」

平成19年

平成18年

平成17年

平成16年

平成15年

平成14年

図1 主※各品種

は、「改良少なく規中・晩

「北もみみじ」をいます。切替は、ます。新しい茎葉病害良食味を

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-3- あぐりぽーとあぐりぽーと�6868

2.品種特性(極早生慣行品種との比較)熟期は北海道作付け品種の中では最も早く、8月中旬収穫が可能です。葉色が淡く、草姿は開帳気味です。球の肥大性・規格内率・規格内収量とも慣行品種と比較して遜色はありません(表1)。皮色は同程度に濃く、皮ムケしにくいため、外観品質は高い評価となっています(写真2)。貯蔵性は慣行品種並で、10月下旬まで出荷可能です。乾腐病抵抗性は極早生品種の中で最も強く、中晩生慣行品種と同程度という結果が得られています。しかし、乾腐病激発圃場では発生する危険性がありますので、作付は避けてください。極早生品種は共通して中・晩生品種よりも辛味が弱いという傾向がありますが、本品種も同様の特徴を持っています。辛味の強さの指標となるピルビン酸生成量が他の極早生品種と同様に低く、生食にも適した品種

表1 極早生品種試験結果(長沼研究農場 平成15~17年の3カ年平均)規格内

収量

(kg/a)

601.3

609.4

458.5

規格内

収量比

(%)

99

100

75

総収量

(kg/a)

693.2

720.8

647.7

総収量比

(%)

96

100

90

平均

一球重

(g)

262.8

261.6

229.6

規格内

(%)

86.3

84.3

70.7

a外観

品質

5.5

5.8

5.0

b乾腐病

罹病率

(%)

20.2

52.1

54.3

倒伏期

(月.日)

7.19

7.26

7.23

品種名

北見交38号

慣行品種A

慣行品種B

a:外観品質 1(劣)-5(並)-9(優)b:浸根接種法による乾腐病接種試験結果(平成16~17年の2カ年平均)

新品種「北見交38号」の紹介1.開発の背景北海道産のたまねぎの流通において、早期の出荷時期にあたる8月中旬から9月上旬にかけての安定出荷が課題となっています。北海道ではたまねぎの長期間安定供給を目的として8月中旬からの極早期出荷に取り組んでいますが、この作型に対応しうる極早生品種は少なく、現行品種では年次・地域により出荷が不安定となることが原因の一つとしてあげられます。ホクレン農業総合研究所では、平成12年度から北海道立北見農業試験場、株式会社サカタのタネと共同して、早期出荷に適した多収で高品質な極早生品種の育成に取り組んできました。その成果として、昨年度「収多郎(北見交39号)」が北海道奨励品種に認定されたのに続き、「北見交38号」が平成18年度北海道奨励品種に認定されましたのでご紹介します。

【種苗園芸部 種苗課】

北早生3号�北はやて2号�北こがね�

改良オホーツク1号�オホーツク222

ウルフ�北こがね2号�

カムイ�イオマンテ�

コタン�北もみじ2000

スーパー北もみじ�

イコル�

平成19年産�

平成18年産�

平成17年産�

平成16年産�

平成15年産�

平成14年産�

0 2500 5000 7500 10000 12500

極早生� 早 生�極早生�

早 生�

中 生�

晩 生�

中 生� 晩 生�

面積(ha)�

図1 主要品種の作付面積推移※各品種の作付面積は種子流通量からの換算面積(推算値)

は、「改良オホーツク1号」より芯ずれ、抱き球の発生が少なく規格内率が高く、貯蔵性が高いことが特徴です。中・晩生では、規格内率が高く貯蔵性が非常に高い

「北もみじ2000」の割合が飛躍的に伸び、「スーパー北もみじ」を始めとする既存の他品種がいずれも減少しています。「スーパー北もみじ」から「北もみじ2000」への切替は、特に上川・北見地区で顕著な傾向となっています。新しい品種として、「イコル」は多収性の晩生品種で、茎葉病害にも強く作付面積が増加しています。その他、良食味を謳った品種や機能性成分が高含量であること

を特徴にした品種、サラダ用生食向け品種や在来種を改良した新品種などバラエティーが見られるようになってきていますが、主力品種は4系統(5品種)~(北はやて2号、改良オホーツク1号、オホーツク222、北もみじ2000、スーパー北もみじ)の寡占状況となっており、理想から言えば各熟期帯で複数品種がバランス良く選択されるようになることが望ましく、更に有望品種の開発が待たれます。特に道産たまねぎの出荷期間延長を安定化する極早生新品種、紅色根腐病に耐性を持つ品種、加工専用の超多収品種などが望まれているところです。

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あぐりぽーと�68

たまねぎ極早生品種の品質評価と栽培技術指針1.はじめに道立農試では道産のたまねぎ品種を「極早生」、「早生」、

「中生」、「晩生」の4種類に分類しています。ここでは、今後の生産量拡大が期待できる極早生品種に関して、その特徴と安定生産のための栽培技術を紹介します。

2.極早生品種とは北海道の春まき栽培で8月上旬からの出荷が可能な早出し用品種を指します。耐抽台性に優れ、生育が早いですが、平成18年度の全道での栽培面積は約600haであり、全栽培面積のわずか約5%にすぎません。これまで

3.極早生品種の食味極早生品種の収穫時のピルビン酸生成量(辛みの強

さを表す指標値)は、次頁の図1に示したように同じ道産の中・晩生品種と比較すると約半分で、極早生品種は辛みが少なく良食味であるといえます。

図2にのような率につい

図1 ピル

図3 淡路

図2 ブリ

14

12

10

8

6

4

2

0

ピルビン酸生成量( mol/g)�

5/30

10

9

8

7

6

5

4

3

北北北ス

5/30

ブリックス(%)�

このこしない場とを示し淡路産たそれほど

4.栽

100

80

60

40

20

0

評価した人の割合(%)�

注1)調理法

極早生イサイズ4)べたがの関係、育・収量び圃場間

は、おもに「北早生3号」が栽培されていましたが、現在は「北はやて2号」の面積が増えています。北見農試がホクレン、サカタのタネと共同で育成した「収多郎(北見交39号)」及び「北見交38号」も北海道の優良品種となりました。

【道立北見農業試験場 作物研究部畑作園芸科長 西田 忠志】

mol/g

ピルビン酸生成量

( )5.54.55.210.4

写真1 北見交38号

と言えます(表2)。

写真2 外観の比較

3.栽培上の留意点

表2 理化学分析結果(ホクレン農総研 平成16~18年の3カ年平均)

写真3 根量の比較(左)北見交38号(右)慣行品種A

表3 苗生育結果(北見農試 平成16~18年の3カ年平均)

(1)発 芽

発芽性は15℃~25℃の温度帯では問題ありませんが、30℃以上になるとやや低下する傾向にあります。発芽揃いまでシルバーポリで被覆しますが、好天時には換気を行い地温が30℃以上にならないようにするなど、温度管理には注意が必要です。

4.おわりに「北見交38号」は平成19年より試作を開始し、平成21年からの実作付を目指しています。昨年度北海道奨励品種に認定された「収多郎」と合わせ、極早生品種の選択肢を広げることで、より地域に合った品種の作付に貢献し得ると考えています。これらの普及が北海道産たまねぎの早期安定出荷に繋がることを期待しています。

北見交38号 慣行品種B 慣行品種A

【農業総合研究所 園芸作物開発課 萩原 拓也】

品種名

北見交38号極早生慣行品種A極早生慣行品種B中・晩生慣行品種

固形分

(%)9.69.610.19.5

Brix

(%)8.78.69.28.4

極早生:8月下旬~9月上旬調査中・晩生:11月中旬調査

品種名

北見交38号極早生慣行品種A極早生慣行品種B

葉数(枚)2.82.52.5

草丈(cm)24.918.917.1

葉鞘径(mm)3.863.503.36

*移植時苗調査:移植時苗30本を調査

(2)育苗管理

本品種は発芽後の生育が早く、移植時の葉数、草丈、葉鞘径とも慣行品種よりも優ります(表3)。発芽揃い後の温度・水管理に注意を払い、徒長苗とならないように気をつけてください。育苗期間が70日前後となるように播種してください。

(3)根切り

本品種は根量が多く根張りが強いため(写真3)、根切り作業が不十分な場合には切断されなかった根が土中に残り、球の2次肥大や枯葉遅延につながるおそれがあります。根が完全に切断されるように根切りを行なってください。

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図2に示したブリックスの値も「スーパー北もみじ」のような晩生品種に比べるとやや低い値となり、乾物率についても1.0~1.5%低くなる傾向があります。

図1 ピルビン酸生成量の推移(17~18年、北見農試圃場)

図3 淡路産たまねぎに対する「北見交38号」の食味評価

図2 ブリックスの推移(17~18年、北見農試圃場)

14

12

10

8

6

4

2

0

北はやて2号�北見交38号�北見交39号�

収穫(極早生)�

サンプリング月日�

収穫(スーパー)�

スーパー北もみじ�

ピルビン酸生成量( mol/g)�

5/30 6/20 7/11 8/1 8/22 9/12 10/3 10/2411/14

12/5 12/261/16 2/6 2/27

10

9

8

7

6

5

4

3

サンプリング月日�

収穫(極早生)�収穫(スーパー)�

北はやて2号�北見交38号�北見交39号�スーパー北もみじ�

5/30 6/20 7/11 8/1 8/22 9/12 10/3 10/2411/14

12/5 12/261/16 2/6 2/27

ブリックス(%)�

このことは、極早生品種は食感が柔らかく、加熱をしない場合や加工度の低い調理に適した素材であることを示しており、サラダの食味試験結果では、有名な淡路産たまねぎを越える食味とまでは言いませんが、それほど遜色のない評価をもらったと思っています。

4.栽培法の検討

100

78

2944 50

22

28

39

17

41

2911

辛み� 香り� 総合�

低評価�同等�

高評価�

歯ざわり�

80

60

40

20

0

11

評価した人の割合(%)�

注1)調理法:サラダ(1mm厚にスライスし、1分間冷水にさらした)

極早生品種の栽培法を検討するにあたっては、1)トレイサイズの違い、2)育苗培土の違い、3)育苗期間の違い、4)べたがけ被覆の効果確認、5)窒素施肥量と生育・収量の関係、6)減農薬栽培の実証、7)根切り時期の違いと生育・収量の関係、8)極早生品種の生育に及ぼす地域および圃場間差の影響等について詳細な試験を実施しまし

5.極早生品種栽培のキーポイント

た。なお、各項目についての具体的なデータは北見農試畑作園芸科に問い合わせてもらえれば紹介します。ここでは、表1に極早生たまねぎの栽培マニュアルとしてまとめた表を示しますが、次に若干の補足説明をいたします。

6.極早生品種の付加価値北海道における極早生品種の位置づけは、これまでは府県産と道産の端境期を埋めるつなぎでした。しかし、収量性に優れた新品種が開発された現在、極早生品種は道産たまねぎの新たな特産品となり得ます。その最大の理由は、極早生たまねぎが府県産並に辛みが少なく、歯ざわりも柔らかいことですが、その他にも、農薬散布回数が10回以下、さらには5回以下での低農薬栽培が可能な点や、収穫後の後作緑肥を8月中に播種することが可能なため充分な生育量を確保できる、といった点があります。貯蔵性については中・晩生品種よりは劣るものの、

常温でも12月中、冷蔵すれば2月中までの貯蔵は可能です。北見農試では、今後も安全・安心で良食味な道産極早生たまねぎの普及に向けた栽培試験を継続する予

1)大苗の移植:極早生品種の場合、6月中までには収量確保のための充分な葉数を得る必要があり、初期生育が旺盛となる環境条件を整えることが重要です。

2)べたがけ被覆:極早生品種に対するべたがけ被覆の効果は高く、平均して10%前後、高台に位置する圃場であれば年次によっては約20%の増収となります。

3)農薬散布回数:7月中旬には倒伏が始まり、この時期には球肥大の80~90%が完成している極早生品種では基本的には殺菌剤の散布は必要ありません。ネギアザミウマに対しては 1~2回の防除で充分であり、北見農試の極早生品種栽培区では、表2に示したように、例年4~5回の農薬散布回数が標準です。

4)収量性:表3に示したように北見農試の低地土圃場における極早生品種の規格内収量は中・晩生品種の90%程度となっていますが、これはべたがけ被覆を行っていない試験区の数値で、被覆処理によりほぼ同等の収量となります。さらに、多収性の「北見交39号(収多郎)」であれば、べたがけ被覆をしない場合でも中・晩生品種を上回ることも可能で、極早生品種の収量性はかなり改善されています。

5)低収要因:極早生品種が低収となるのは、初期生育が遅れる傾向にある高台に位置する火山性土圃場や紅色根腐病の発生圃場です。しかし、火山性土圃場では大苗の移植、べたがけ被覆処理、栽培日数の延長等を組み合わせることで増収が可能です。

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あぐりぽーと�68

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成型トレイ育苗の場合、2月10日~20日の間に播種する。出芽期までの日数は約15日。

4月20日~30日の間に移植する。無理に早植えすることが必ずしも増収にはつながらないた

め、天候不順等の理由で定植が遅れる場合は、その間ハウスでの大苗育成に努める。

従来の鉱質土主体の育苗培土に対して、ピートモスを主体とした軽量培土は作業性に優れ、苗

の生育も旺盛となる。たまねぎ専用の新たな軽量培土は現在、開発中である。

極早生品種は大苗移植による増収効果が大きい。移植苗は葉数4.0枚・葉鞘径4.0mm以上が

望ましいが、葉数3.5枚・葉鞘径3.5mm以上は確保するようにする。

土壌診断に基づく施肥対応を行う。熱水抽出性N含量が5mg/100g以上の圃場においては、

窒素施肥量は12kg/10aとする。

べたがけ被覆による増収効果は高い(被覆なしに対し、10~15%)。8月上旬のもっとも早い

出荷となる圃場や高台に位置する火山性土圃場や洪積土圃場ではできるだけ使用した方がよ

い。被覆期間は移植後30日目までを目安とし、6月以降には除去する。

散布は6月下旬~7月中旬を重点的に行う。散布回数は2回でも充分であるが、効果の高い薬

剤の選定が重要。

クリーン農業技術体系による早生品種に対する茎葉散布回数は6回だが、早生品種よりも生

育の早い極早生品種では、基本的には散布する必要性は低い。

7月下旬~8月上旬の倒伏揃い後も一日当たり2gの球重増加が認められ、根切り時期を見極

めることも増収技術の一つといえる。根切り処理は倒伏揃い期から5日目を標準的な処理日

とするが、根切り処理を遅らせる場合は生育状況に応じて処理日を判断する。

紅色根腐病の発生圃場、気温の低い地域、干ばつの影響を受けやすい圃場では、極早生品種は

中・晩生品種よりも減収の程度が大きい。

定です。なお、今回の試験は現地圃場も含めてすべて北見地域の平野部で行いました。したがって山麓地帯や沿岸

表2 たまねぎ極早生品種に対する防除歴(平成18年) 表3 圃場間による生育・収量の違い(平成16~18年の平均)

標準栽培区(4回)

ネギアザミウマ2回

白斑葉枯病1回

軟腐病1回

べと病0回

6/26

6/30

7/6

7/13

銅(水酸化

第二銅)

フルアジナム

プロチオホス

シペルメトリン

注1)北見農試低地土及び火山性土圃場共通注1)根の赤変指数(根切り時):微(1)~甚(4)。注2)極早生品種は、「北はやて2号」、「収多郎」、「北見交38号」の平均。注3)中・晩生品種は、「北もみじ2000」、「スーパー北もみじ」の平均。注4)極早生品種区では、べたがけ被覆処理はなし。

月日 圃 場 品 種 移植日

平 均

球 重

(g)

規格内

収量

(kg/10a)

根の赤変

指数

(根切時)

収量比

低地土

農試

火山性土

農試

A町

網走管内

中・晩生

極早生

中・晩生

極早生

中・晩生

極早生

5/8

4/22

5/10

4/27

4/28

4/28

233

213

250

167

148

98

6758

5980

6979

4663

4525

3066

100

88

103

69

67

45

0.0

0.0

0.0

0.0

1.7

3.2

表1 道産極早生たまねぎの栽培マニュアル(早期播種作型)

項  目 基準値及び処理による効果

1. 播種期

2. 移植期

3. 育苗培土

4. 移植時の苗質

5. 窒素施肥量

6. べたがけ被覆

7. 殺虫剤防除

8. 殺菌剤防除

9. 根切り時期

10. 圃場の選定

たホクレ

応し、直

部等と連

また、

使用登録

した。

そこで

験結果を

ました。

1.現平成17現地試験(1)播種直播栽適期に播温で播種り適期播なりまし

戸数�

9

8

7

6

5

43

3

4/19

2

1

0

図1 北見

図2 北見

(2)供試これまることがを中心にーツク22

kg/10a

7000

6000

5000

4000

3000

2000

1000

1 0

地帯、さらには道央地帯においては、べたがけ被覆による増収効果、病害虫防除の効果等には地域間差が考えられます。

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-7- あぐりぽーとあぐりぽーと�6868

たまねぎ直播栽培現地試験結果と導入上の課題ホクレン種苗園芸部では、輸入たまねぎの増加に対

応し、直播栽培導入のための現地試験を各JAの青年

部等と連携して取り組んできました。

また、懸案となっていた直播栽培における除草剤の

使用登録がなされ、本格的な取り組みが可能となりま

した。

そこで、平成17~18年度の2年間の各地区の現地試

験結果を紹介し、直播栽培導入上の課題を整理してみ

ました。

1.現地試験結果平成17年は網走地区、平成18年は網走、空知地区で現地試験を行ないました。(1)播種時期直播栽培は4月下旬が播種適期です。平成17年度は適期に播種されましたが、平成18年は4月の天候が低温で播種が遅れ、5月上旬の播種も多くあり、年により適期播種が困難な地区、圃場があることが明らかとなりました(図1)。

戸数�

9

8

7

6

5

43 3 3

4

1 1 1

2 2

8

3

4/19 4/27 4/284/30 4/29 4/305/4 5/3 5/4 5/7

2

1

0

平成17年� 平成18年�

図1 北見地区の直播栽培播種日

表1 たまねぎ直播栽培の労働時間(10a当り)

図2 北見地区の「北もみじ2000」での直播栽培収量事例

(2)供試品種これまでの試験結果より中晩生種及び中生種が適することがあきらかとなり、試験品種も「北もみじ2000」を中心に「純心」、早生種の中では肥大性の良い「オホーツク222」の試作が多くなりました。

kg/10a

7000

6000

5000

4000

3000

2000

1000

1 2 3 4 5 6 7 8 2 3 4 5 6 7 8 9 10111213141 0

平成17年�

農家番号�

規格内�加工用�平成18年�

2.収量安定化の課題直播栽培で安定した収量を得るためには、収量を低下させている主要因である欠株、小玉、変形球(分球)をいかに少なくするかが大切です。欠株の対策は、種子の播種精度の向上と土壌クラストの発生防止、適期播種です。小玉対策は、4月下旬播種と初期生育の確保により球肥大に必要な生葉数を得ることです。そして8月下旬倒伏、9月中旬根切り、9月下旬収穫を目標にできる圃場が必要です。変形、分球対策では発芽率、発芽勢を向上させ、欠株や複数株立ちを最小限とすることです。これらの条件を満たすためには、圃場、土づくりがしっかりされていることが前提条件となります。直播栽培は、移植栽培以上に播種条件を含めて圃場条件の良否に左右されることを理解しておくべきです。

3 直播種栽培の省力、低コスト化の現状直播種栽培の省力・低コスト化の可能性を現地試験調査や道の生産技術体系資料等から推計すると以下のようになります。労働時間は慣行33.1時間/10aに対し、直播栽培は

17.3時間/10aで、差は15.8時間でした(表1)。

育苗

は種・移植

中耕・除草・防除

収穫・調整

その他

合計

労賃換算(円)

直播栽培

0.3

1.7

9.8

5.5

17.3

17,300

慣行栽培

14.9

1.2

1.7

9.8

5.5

33.1

33,100

▲14.9

▲0.9

0

0

0

▲15.8

▲15,800

※北海道農業生産技術体系より試算

移植までのコストは、慣行栽培が24,972円/10aに対し、直播栽培は2,774円/10aで、差は22,198円/10aであり、労賃を時給1,000円で試算すると、慣行栽培と直播種栽培のコスト差は38,000円/10aとなります(表2)。したがって、500kg/10a減収すると、直播栽培の低コスト分は打ち消されますので収量の確保が重要です。

(3)収量調査結果比較的安定した収量を示した「北もみじ2000」で収量レベルを見ると、平成17年は比較的安定した収量が得られましたが、平成18年は播種時期が遅れた地域もあるために、各地域の収量差が大きくなりました(図2)。すなわち、平成17年は5t/10aレベルの地域が多かったですが、平成18年は1t~5t/10aと大きくばらついています。

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-8-あぐりぽーとあぐりぽーと�6868

あぐりぽーと�68

これらの試算が経営的意味を持つのは、規模拡大や新規栽培を行う際に新たな施設、機械投資が必要な場合です。今、たまねぎ産地では、新たな規模拡大や新規作付けを検討している生産者がいます。これらの生産者の選択枝の一つとして直播栽培の技術的確立が急がれます。

【ホクレン園芸総合課 主任技師 有村利治】

表2 たまねぎ直播栽培コスト削減試算(移植までの差~10a当り)

項 目

育苗経費

移植機

播種機

原価償却

小 計

労 賃

合計(円)

直播栽培

1,460

1,314

2,774

17,300

20,074

慣行栽培

16,768

3,600

4,604

24,972

33,100

58,072

備 考

8年償却

人参は種機

機械・施設

差38,000

※津別町玉葱振興会青年部試験成績より作成

たまねぎ生産の低コスト化へ向けた現地事例常呂町 有限会社「北雄」の取り組み

はじめに常呂町は、オホーツク海沿岸部の畑作地帯であり、

管内では、小麦、てん菜、馬鈴薯、たまねぎ等が主に

作付けされています。JAところ管内のたまねぎ耕作

者数は39戸で、平成19年度のたまねぎ作付け面積は

385haです。

今回訪れた有限会社「北雄」は、常呂町の共立地区に

あります。5戸が共同で法人組織を立ち上げ、効率的

で低コストなたまねぎ栽培に積極的に取り組んでいま

す。そこで、代表取締役 斉藤 英昌氏と取締役の斉藤

隆氏にお話しを伺いました。

1.有限会社「北雄」のたまねぎ生産の概況

q平成19年度の作付面積は、総面積が122ha、作物別ではたまねぎ48ha、てん菜34ha、麦類40ha(秋小麦28ha、春小麦12ha)となっています。

w圃場の土質は、沖積土がほとんどで一部重粘土や泥炭です。

e昨年度のたまねぎ生産実績は、10a当たり収量で約5.5t。生産量で2,400t、生産額は約1億2千万円となっています。

rたまねぎの作型区分の比率は、早生3割、中生3割、晩生4割となっています。品種は早生が、北はやて2号、改良オホーツク1号、オホーツク222、中生は、北もみじ2000、晩生は、スーパー北もみじを作付けしています。

t移植作業は4畦用移植機が2台と、今年から本格導入した8畦用移植機1台の計3台で行っています。

y収穫作業は、ピッカーとタッパーが3台ずつ計6台で行っています。(内、法人所有はピッカー2台とタッパー1台)

2.たまねぎ生産に係る作業効率化と低コスト化への取り組み

3.今

q作物毎に圃場をブロック化

法人化(平成15年)を契機に、全戸が所有していた圃場の区画を可能なかぎり大きくするとともに、概ね作物毎にまとめることで、移動距離を減らし作業が効率的に行えるようにしました(写真1)。これにより作業効率が上がり、さらに他の作物と

接する面積を減らせたので、農薬散布時の他作物への飛散防止対策としても有効でした。

写真2 畦用移植機

写真1有

w高能率

てん移植作した8畦移植機率化を日約6h

e効率的

なお散布作した堆ており

r土壌分

各圃で土壌ていま100kgていままた

示制度り12kg

t所有機

法人継がれ力以上機械をり、個減出来

法人化国産たまたまねぎ

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-9- あぐりぽーとあぐりぽーと�6868

3.今後に向けた取り組み

写真1有限会社「北雄」の圃場図面

写真左からお話を伺った斉藤英昌氏と斉藤隆氏

w高能率機械の適所配置による移植作業の効率化

てん菜の移植作業と重なる最繁忙期のたまねぎ移植作業を効率的に行うため、大面積の移植に適した8畦用移植機(写真2)と、小回りがきく4畦用移植機を作業する圃場に合わせて配置することで効率化を図り、適期の移植に努めています。(3台で1日約6ha移植、本年は4月28日から5月6日で移植)

e効率的な作業による土づくりへの取り組み

なお、法人化で効率的な作業を行うことで、堆肥散布作業等へも人員配置が可能となり、毎年、購入した堆肥(1,200t)を小麦や一部たまねぎ跡に散布しており、地力向上と生産量の安定化を図っています。

r土壌分析に基づいた効率的な施肥

各圃場毎に概ね2~3年間隔(圃場によっては毎年)で土壌分析を行い、それに基づいて施肥量を調整しています。例えば、リン酸質肥料は当初10a当り80~100kg投入していましたが、近年は半分以下に抑えています。また、北のクリーン農産物表示制度(YES!clean表

示制度)にも積極的に取り組み、窒素施肥量も10a当り12kg程度に減じています。

t所有機械の見直しによる機械費用の削減

法人化と同時に、各戸が所有していて法人へ引き継がれた機械類も見直し、例えばトラクター(70馬力以上)は合計19台を12台に削減するなど、不要な機械を処分し費用の削減を図りました。これらにより、個人経営の時点に比べ機械費用を半分以下に削減出来ました。

法人化した動機として、世界との垣根が低くなり中国産たまねぎ等、国内価格を大幅に下回る安価な輸入たまねぎの流入に対し、強い危機感を持ったことがあ

ります。コストを引き下げるための手段として取り組んだのが法人化でした。設立5年を経て、まだまだ課題もありますが、今後も以下のことなどに取り組みたいと思います。q1戸当たり面積を増やし、作付け面積を150ha程度にしたいと思います。

w現在、5戸共同で会社を運営していますが、新しい感覚を導入するため新たな構成員の加入も検討したいと思います。

e干ばつなどの気候変動下でも安定した収量が得られるように、堆肥の投入量を増やすなど積極的に土づくりをしたいと思います。

rたまねぎだけでなく、例えばてん菜の移植作業など、他の作物の作業も効率化に向けて更に改善していきたいと思います。

(なお、取材には常呂町農業協同組合販売課 堤青果係長とホクレン北見支所青果課 五藤課長に同行いただきました。)

【役員室 営農対策課】

事務所の壁面に掲示していたもの、右は拡大図(各圃場には番号がつけられていて作物毎に色分けされている)(たまねぎ~黄色)

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近年、切り花を水に生けた状態で輸送する湿式輸送が、首都圏近郊の産地で普及しています。北海道の花き産地においても、首都圏の市場から湿式輸送の導入を要望され、検討している産地が多いかと思います。そこで、今回はトルコギキョウおよびデルフィニウムの道外市場出荷を想定した湿式輸送技術とその効果について紹介します。

あぐりぽーと�68

-10-あぐりぽーとあぐりぽーと�6868

あぐりぽーと�68 あぐりぽーと�68

1.はじめに

2.湿式輸送とは

4.具体的な輸送技術(表1参照) 1. は

2.出

3.湿式輸送の効果は

湿式輸送には、湿式輸送専用のリターナブル容器を利用した「バケット方式」(写真1)、この方式に段ボールの囲いをつけた「バケット梱包方式」(写真2)、縦型段ボールの中に簡易な容器を入れた「湿式縦箱方式」(写真3)などがあります。「バケット方式」の積み込みには専用の台車およびトラックが必要になります(写真1)。また、「バケット梱包方式」、「湿式縦箱方式」では、積み上げることも可能ですが、輸送箱を縦置きするため積載効率が低下します。このように、湿式輸送では新たな資材が必要となるほか、積載効率が低下するなど、輸送コストが増加します。

湿式輸送の大きな効果は、輸送後にしおれがみられないなど、鮮度が良くなることです。特に、トルコギキョウでは、品質保持剤を利用することで乾式輸送よりも花持ちが延長し、花弁の色あせを防ぐ効果もあります。

写真1 バケット方式(ELFシステム)

写真3 湿式縦箱方式

表1 本州出荷を想定した切り花湿式輸送法

写真2 バケット梱包方式(高濱原図)

(1)トルコギキョウ

切り前は乾式輸送と同じで構いません。前処理液は、STS0.2mM(クリザールK20Cなら1000倍希釈)とショ糖(スクロース)4%と抗菌剤を使用します。処理温度は8~18℃で切り花品質に差は見られません。なお、処理液から吸収されたスクロースは下葉から蓄えられるので、前処理前に無駄な下葉をあらかじめ除去するようにします。また、下葉には土が付いていることが多く、前処理前に下葉を取り除くことで前処理液をきれいに保つことができます。湿式輸送の処理液は、スクロース1~4%と抗菌剤を使用し、輸送後も切り花の切り口が十分に漬かる量を容器に入れます。輸送温度は8~23℃で問題ありません。(2)デルフィニウム(ベラドンナ系)

湿式輸送では輸送中に開花が進むため、切り前を乾式輸送の場合よりもやや早めにする必要があります(品種や採花時期で調整が必要)。前処理液(STS0.2mM)で6時間以上処理し、切り花に有効成分を確実に吸収させます。前処理の前に水に漬けたり低い濃度(クリザールK20Cの1000倍以上の希釈)の処理では、必要な量の有効成分を吸収できませんので、規定濃度で採花後直ちに処理を開始します。また、前処理液にショ糖(スクロース)4%と抗菌剤を加えることで、花持ちの延長効果があります。前処理は、乾式輸送、湿式輸送のいずれの輸送方法においても重要です。湿式輸送の処理液は、雑菌の繁殖を抑えるため抗菌剤を使用し、輸送後も切り花の切り口が十分に漬かる量を容器に入れます。輸送温度が高くなると花持ちが低下するため、10℃以下の低温輸送が維持できるように集荷場での管理、トラック内の温度設定に注意します。

【花・野菜技術センター 花き科 研究職員 黒島 学】

・切り前慣行、前処理前に下葉除去

・処理液は、STS剤0.2mM+スクロース4%+

抗菌剤を使用

・処理温度は8~18℃

・切り前はやや早めにし、採花後直ちに

処理を開始し、6時間以上が目安

・処理液は、STS剤0.2mM+スクロース4%+

抗菌剤を使用

切り花品質

(現行前処理

と比較して)

切り花品質

(乾式輸送と

比較して)

鮮度良好

花持ち向上

花弁の色あせを防ぐ

鮮度良好

花落ち防止、花持ち向上

花弁の色あせを防ぐ

採花後開花する小花が大きくなる

花持ち向上

花弁の色あせを防ぐ

湿式輸送

処理

・処理液は抗菌剤+スクロース1~4%を使用

・8~23℃で輸送

・処理液は、抗菌剤を使用

・10℃以下での低温輸送

切り花調製

前処理

世界的の北海道今のとこていないに一等米ているも理もその

しかします。登なり、デ量低下、この対とで出穂されてい

出穂後による地ることが北海道ですが、流しが指この年いる水田でした。登熟の状す。潅漑考えてお出穂開グライ土壌水分をます。稲ので、生う(図2

図1 北海

トルコギキョウ デルフィニウム

【用語解説】 切り前:切り花時の開花ステージを示す。

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-11- あぐりぽーとあぐりぽーと�6868

あぐりぽーと�68

1. はじめに

2.出穂後の水管理

3.生育進度と水管理

【北海道米麦改良協会 技監 山崎 信弘】

世界的に地球温暖化の影響が発生しています。最近の北海道の豊作は、技術改善の効果が高いこともあり、今のところ温暖化の影響を受けているとまでにはなっていないようです。ここ十数年は、同一収量でも格段に一等米比率が向上していて、技術向上の結果が現れているものと考えられています(図1)。登熟期の水管理もその技術の大きな要因となっています。

しかし、府県では夏の高温が日常的になってきています。登熟期の昼夜の高温によって稲の呼吸量が多くなり、デンプンが消費されて登熟にまわらないため収量低下、品質低下が頻繁に起こっています。この対策として、移植時期を1週間以上遅くすることで出穂を遅らせ、高い登熟温度を避けることが指導されています。

出穂後の異常高温対策としては、潅漑水の掛け流しによる地温の低下を図り、稲の生育環境の気温を下げることが行われています。北海道では出穂後にこのような高温となることは希ですが、平成12年に異常高温対策として潅漑水の掛け流しが指導されました。この年は生育が進んでいて、8月上旬には落水している水田が多く見られ、ひび割れが発生している状況でした。日照が強く気温の高い日が続き、まさに高温登熟の状態でした。今年の夏は暑いと予報されています。潅漑水の掛け流しを行わなければならないことも考えておきましょう。出穂開花後は、水を張っておく必要はありませんが、グライ土で約60%以上、褐色低地土で約70%以上の土壌水分を保つように、入水を繰り返す間断潅漑を行います。稲の生育進度は、生産者・品種ごとに違いますので、生育状況を把握して適切な水管理を行いましょう(図2)。

100

100 200 300 400 500 600

80

60

40

20

0

収量(kg/10a)�

一等米比率(%)�

昭40~49 昭50~59 昭60~平6 平7~18

図1 北海道の平均収量と一等米比率の関係(平成19年田中原図)

図3 粒厚分布調査(平成9年 中後志普及センター ほしのゆめ)

図2 出穂後の水管理

出穂後�

乳熟期�糊熟期�

●適期落水とその�後の走り水管理�

登 熟 期�

黄熟期�

25日目�50日目�

出穂期�

成熟期�

出穂の�確 認� 穂屈みの確認� 収穫�

走り水�

入水・間断かんがい�

日中、葉で造られたデンプンは、夜間玄米に運ばれます。登熟初期~中期に土壌水分が不足すると、デンプンの流れが停滞して乳白粒や腹白粒、痩せ米などが発生し、品質低下につながる元となります。また、落水後乾燥が進んで大きなひび割れが発生すると、稲の根が切断され水分吸収が妨げられ登熟不良となります。玄米は、受精後25日程度で大きさができあがりますので、穂揃い期後25日以降に落水するようにし、その後も田面の乾燥にあわせて走水をしましょう。

北海道の秋の気象は、平年では8月末から9月には比較的雨の多い時期となり、完全落水しても適度な降雨により登熟障害が起こるような年は少ないのですが、生育の早い年には気温が高いため乾きが早く、ひび割れの発生が多いようです。最近では、平成16年に一部の地域で、平成9年には広範囲で干ばつによる影響を大きく受け、粒重低下による減収、品質・食味の低下が起きました(図3)。

また、生育が遅れ、登熟が9月にずれ込むような年はけっこうあります。良質・良食味米生産のためには、この時期の水分不足は致命的になりますので、水利組合や、土地改良区と協議して通水の延長を図る必要があります。美味しいお米・高品質米の生産のためには、きちんと登熟させることが大切です。最後まで水管理の手をゆるめることのないようにしましょう。

2.0mm>

1.95mm>

1.90mm>

1.85mm>

<1.8mm

正常�

干ばつ�

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早生穂などで立毛胴割れが目立ったときは、こき胴の回転が速いと胴割れを助長するので、コンバインが発する警報ギリギリまでこき胴の回転数と作業速度を低下させるようにしましょう。また、イモチ病などの被害を受けたイネは、節で折れやすく、コンバイン搬送部のチェーンなどに巻きついたりして脱穀しにくいので、速度を落として刈ることが重要です。

あぐりぽーと�68

あぐりぽーと�68

-12-あぐりぽーとあぐりぽーと�6868

あぐりぽーと�68

もち米w主食用5つがあチン)の分「時間がた飯の原材状況とな

1.は

2.試

3.試

この主ており、ためにはへの供給の開発がそのよ種候補*と加工適性結果をご(* 現在北

試料はなお、府3品種を(1)上(2)北(3)府

もち用好まれまよるもちこれはいて一定

【道立中央農業試験場 生産研究部機械科長 木村 義彰】

はじめに水稲の収穫は、コンバインの運転・調節によ

っては収量や品質を低下させてしまう場合があ

ります。みなさんが、育苗から長い期間かけて

育ててきた稲です。圃場での最後の仕事である

収穫作業で品質や収量を低下させるのは残念な

ことです。今回は、稲刈りのタイミングや刈り

にくい稲を刈り取る場合の留意事項について述

べます。

収穫直後の籾

搬送風景

qできるかぎり、葉が乾いているときに稲刈りしましょう。昔に比べて、最近のコンバインは性能が向上しているので、多少、葉が濡れていても、詰まることなく収穫作業ができます。しかし、やはり葉が濡れていると、モミが葉についたままいっしょに排出されてしまう場合が見うけられます(この場合、濡れたワラがなかなか排出されずに脱穀部でガタガタと音がします。また、ワラが詰まらないように掃塵弁(排じん口)を開きすぎると、ワラ屑といっしょに、良いモミも排出されてしまいます)。さらに、詰まりを防ぐため、こき胴の回転数やコンバインの速度を上げすぎた場合、脱穀されたモミの皮むけや損傷による品質の劣化が発生します。これらのことから、できるかぎり、葉が乾いているときに稲刈りするようにしましょう。

w刈りにくいイネを収穫するときのコンバイン調整

1)斜め刈り・横刈り:搬送チェーンから穂が落ちやすいので、少量ずつ刈りましょう。

草丈の短いイネの収穫時、畦際、中割り刈り、田んぼの隅の斜め刈り時、枕地を横刈りする場合、コンバインのチェーンへワラが厚く入ってしまい、チェーンがワラをつかみきれず、穂が下にこぼれ落ちてしまうことが多く見られます。この場合、コンバインの作業速度は低下させてください。特に、作業速度を低下させることによって、刈り取りの量が減るので、落ち穂がでにくくなります。

2)立毛胴割れなどの刈取りはこき胴回転と刈り取り速度を落としましょう。

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もち米が利用される用途は、大別するとqもち用途、w主食用途、e米菓用途、r米粉用途、t菓子用途の5つがあります。北海道もち米は、でん粉(アミロペクチン)の分枝構造の違いから、他の府県産もち米よりも「時間がたっても硬くなりにくい」特性をもつため、赤飯の原材料などといった主食用途での利用比率が高い状況となっています(図1)。

1.はじめに

4.試験結果

2.試 料

3.試験方法

5.今後の取り進めについて

w主食用途�59%�

qもち用途�20%�e米菓用途�

11%�

r米粉用途�7%�

t菓子用途�2%� yその他�

1%�

図1 北海道もち米の利用用途別契約比率(平成18年産)

※平成19年4月末現在:米穀部原材料課調べ

この主食用途での需要量は近年ほぼ横ばいで推移しており、今後、北海道もち米の需要をさらに拡大するためには、主食用途に次いで需要量が多い「もち用途」への供給拡大が重要であり、もち加工適性が高い品種の開発が望まれていました。そのような状況下で、北海道立上川農業試験場が品種候補*として検討を進めている「上育糯 451号」のもち加工適性を生地硬化特性の面から評価しましたので、結果をご紹介します。(* 現在北海道の優良品種に認定され品種登録出願中)

試料は、いずれも平成18年産米を用いました。なお、府県産もち米は、生産量が多く代表的な以下の3品種を用いました。(1)上育糯451号(2)北海道産比較品種  はくちょうもち(3)府県産比較品種 qこがねもち(新潟県産)

wヒメノモチ(岩手県産)eヒヨクモチ(佐賀県産)

もち用途では、のした後に「硬くなりやすい」特性が好まれます。そこで、各試料について、つり下げ法によるもち生地硬化性測定試験を行いました。これは、家庭用もちつき機(東芝製PFC-20FK型)を用いて一定条件でついたもち生地を棒状にのし、5℃で

24時間冷蔵硬化させた後、中央部から針金でつり下げて硬さを比較したものです。つり下げた時のもち生地の曲がり具合が小さいほど硬くなりやすく、もち用途適性が高いと評価することができます。

試験結果を図2に示しました。「上育糯451号」は、代表的な北海道もち米「はくちょうもち」よりも硬くなりやすく、もち加工適性に優る品質であることが認められました。「新潟こがねもち」よりはやわらかく劣る結果となりましたが、「岩手ヒメノモチ」、「佐賀ヒヨクモチ」に比べて優ることも確認されました。以上のことから、「上育糯451号」は、今までの北海道もち米にない「硬化しやすい特性」を有し、府県産の主力品種である「ヒメノモチ」や「ヒヨクモチ」に比べてももち加工適性が高いことが確認されました。

この試験は、米穀事業本部と連携して実施したもので、販売の観点から「上育糯 451号」の有望度を判断するための基礎資料として活用しました。今後は、ユーザーに安定した品質のもち米を供給するための基礎データ収集(年次および産地間差の確認)や、もち用途において重要とされアピールのポイントとなりうる、もち生地の「のび」と「こし」について評価手法を検討することなど、需要拡大に向け引き続き試験を実施する予定です。

【農業総合研究所 食品加工研究課 中野 裕】

図2 つり下げ法によるもち生地の硬化性(平成18年度産もち米)

q上育糯451号 wはくちょうもち

e新潟こがねもち

t佐賀ヒヨクモチ

r岩手ヒメノモチ

もち米新品種「上育糯451号」のもち加工適性について

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暗渠(あんきょ)排水用の管材の一種である土管は

素焼土管とも言われ、粘土を加工したいわゆる「焼き

物」です。粘土は私達が身近に手に入れることのでき

る自然素材であり、これに適量の水を含ませることに

より自由に形を作ることができ、乾かして焼くことで

固結し、その形を長く保つことが出来ます。

1.素焼土管のメリット

2.施工方法

1)多孔質なので、常時水分を含むことができ、赤さびや水垢はむろん、ヘドロも付着しにくい。

(2)化学合成管に比べ管径が大きく(外径80mm以上)、管の長さが短い(約30cm)。そのため、接続部分が多く表面積も広くなり、更に管肌が粗く多孔質であるため、集水・排水ともに高い効果を発揮する。

(3)耐用年数は約30年以上(丁寧な施工と維持管理が必要)。

(4)化学合成管は軽いため、使用途中に地面から浮かび上がったり、地中で蛇行することがあるが、素焼土管は暗渠底を平らにして、管を密着させることが可能で、施工後も浮かび上がることがない。

土管暗渠の効果を高めるために以下の工程が必要となります。

配線の設定⇒資材の配置⇒掘削⇒土管の敷設

⇒疎水材の充填⇒埋め戻し

(1)暗渠施工の工程が重要。土中に水の通り道の発達

を促すように施工しなければならない。

土壌には元来、作物の必要とする水や空気を保ち、余分な水を排除する動きが備わっています。このような土壌本来の働きを助けることが暗渠の役割です。その機能を発揮するには、暗渠に土中の余剰水が速やかにたくさん集まるようにする必要があります。

(2)掘削と埋め戻しは、必ず土壌が乾いている時に行

う。

埋め戻し土の透水性を確保することが何より重要となります。そのためには、土壌水分が多い状態で

の掘削や埋め戻しは絶対に避けてください。過湿条件における施工は、土壌構造に回復しにくいダメージを与え、施工後の暗渠の効果を低下させます。

(3)土管の敷設はあくまでも丁寧に行う。

焼きものである土管は、表面は粗く形にも若干の歪みが生じています。従って管の継ぎ目には平均1mmの隙間ができ、また管の周囲にも隙間が出来やすく素材自体にも吸水性があるため、水が集まりやすく、集まった水は継ぎ目から管内に流入し速やかに排出されます。土管暗渠で危惧される管のズレは、敷設を丁寧に行うことで回避できます。

(4)疎水材(砂利等)の必要性について

疎水材は埋め戻し部分の透水性を高め、余剰水分を暗渠管に流入しやすくするものです。疎水材に必要な特性は透水性が大きいこと、現地で入手しやすいこと、耐久性に優れていること、有害物質を生じない事などです。疎水材の充填後は、埋め戻し後の圧縮沈下を防ぐため、十分に踏み込んでおくことが必要ですが、過度の圧縮は透水性を悪くするので注意が必要です。

(5)暗渠管の維持・管理

暗渠排水がその機能を十分に発揮し、かつ持続性を確保するためには、日常のほ場や施設の管理が欠かせません。qほ場の管理

融雪促進、心土破砕、水田の中干し、適期落水や溝きり、稲わらや作物残さの処理等により土壌の乾燥を促進すること、また過湿時の機械作業を回避する等により土壌構造の維持発達を図ることが暗渠の効果を高める上で重要です。w施設の管理

水閘(すいこう)は、常に清掃し止水が完全に行われるように管理してください。落水口が破損したりしていないか点検し、必要に応じて落水口の修理、草刈や清掃を行って落水口が常に水面上に出ているようにしてください。

※上記資材をお求めの際はお近くのJAまでお願いします。また、素焼土管の使用マニュアル及びその他資材情報については本会資材課ホームページ「地平線.NET」をご参照ください。(http://www.shizai.hokuren.or.jp/)

【施設資材部 資材課】

牛は、

きません

に対する

末化した

をつけ、

初乳を

どうい

子牛にを3リッ初乳に大きい蛋ロブリン時間の経た、分娩も急激に

子牛にや漏乳し使い、グしょう。た初乳で

100

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吸収率(%)�

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あぐりぽーと�68

牛は、胎内で母親から免疫抗体を受け取ることがで

きません。このため、生まれたばかりの子牛は病原菌

に対する抵抗力がありません。初乳、または初乳を粉

末化した製剤をできるだけ早く子牛に給与し、免疫力

をつけ、子牛を守る必要があります。

初乳を飲ませるのはいつ?

初乳が手に入らない場合は?

どういう初乳がいいのか?

子牛にできるだけ早く(目安は生後6時間以内)初乳を3リットル飲ませましょう!初乳に多く含まれるグロブリンは、非常に分子量の大きい蛋白質です。生まれたばかりの子牛は、このグロブリンを腸管から吸収する能力を備えていますが、時間の経過とともに吸収できる能力が低下します。また、分娩後24時間以降、母乳に含まれるグロブリン量も急激に減少します。

子牛に飲ませる初乳は、乳房炎に感染しているものや漏乳していたものは避けましょう。また、比重計を使い、グロブリンを充分含む良質の初乳か、確認しましょう。比重1.04~1.05以上が子牛に給与するのに適した初乳です。

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80

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免疫グロブリンの吸収�

出生後時間� (hr)�

吸収率(%)�

吸収率�

比重計(右)

リニューアルした初乳製剤「さいしょのミルク」が有効です。グロブリン含有量を強化し、従来品と比べ、より溶けやすくなりました。

【使用方法】

○生まれてから、6時間以内に、1袋(250g)をお湯750ml(45~50℃)に溶かし、子牛に給与しましょう。給与時は、40~42℃になるようにしましょう。また、12時間以内に、もう1袋給与しましょう。

○生後2日目、お湯1,000mlに1袋(250g)を溶かし、2回給与しましょう。○生後3日目、お湯1,000mlに、「さいしょのミルク」25gと牛用代用乳75gを溶かし、2回給与しましょう。

【さいしょのミルク】の特徴

○免疫グロブリン量を強化しました。1袋(250g入り)あたり75gの免疫グロブリンを含有します。○一袋毎に表示票を記載しました。

【成分量】

粗たん白質   40.0%以上粗 脂 肪   10.0%以上可消化養分総量 102.0%以上

【飼料部 飼料養鶏課 011-232-6185】

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平成19年8月1日発行(隔月発行)あぐりぽーと68号 定価200円(税込)発行責任者=細矢 亮二 発行所=ホクレン農業協同組合連合会 1 011‐232‐6105 FAX011‐242‐5047

お知らせ

〔次号の特集〕

●本誌に対するご意見、ご要望、購読申込みは下記まで●札幌市中央局私書箱167号 ホクレン「あぐりぽーと」編集事務局●FAX011‐242‐5047

編集後記

あぐりぽーとあぐりぽーと�6868

「あぐりぽーと」は、直接購読方式となっており、生産者の皆様にダイレクトメールでお届けしております。年間の購読料(6回発行)は1200円です。なお、農協によっては一括申込みして皆様に配布する場合(購読料は年間420円)がありますのでご確認下さい。

昨今、道内業者の食肉偽装問題や輸入農産物の安全性等、食の安全・安心に対する消費者の不安は再び高まっています。国産の農産物に寄せられている、消費者の安全への期待を裏切らないよう、今一度、気を引き締めることが大切だと思います。これから農繁期に入りますが、国産農産物への信頼をさらに確かなものとすべく、生産履歴を確実に記帳することや農薬等の適正な使用を徹底するなど、農畜産物の安全確保に向けて、それぞれができることを確実に行うことが求められていると思います。

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当編集事務局(ホクレン営農対策課)で所有しております購読者の皆様の個人情報に関しましては、厳正なる管理の上、本誌の発送のみに使用させていただいております。個人情報に関するお問合せ先:ホクレン営農対策課 

「あぐりぽーと」編集事務局 TEL011‐232‐6105

「省力化に向けた技術の展望について」

全道各地の中古農機常設展示場では下記の日程によりサマーフェアーを開催いたします。多数のご来場をお待ちしております。なお、詳しくは中古農機情報システム「アルーダ」をご覧ください。

平成19年中古農機常設展示場サマーフェアの開催について

アルーダ・ホームページアドレスhttp://www.aruda.hokuren.or.jp/

各開催日は変更になる場合があります。お近くの農協、またはインターネットのホームページでお確かめのうえご来場下さい。

展示会風景

展示場名称

アルーダ函館

アルーダ後志

アルーダ旭川

アルーダJAふらの

アルーダ士別

アルーダ十勝

アルーダ網走

アルーダ中春別

運営者

ホクレン油機サービス函館支店

後志くみあい機械センター

ホクレン油機サービス旭川支店

JAふらの

JA北ひびき士別農機具センター

十勝くみあい農機事業センター

ホクレン油機サービス網走支店

中春別マシーンセンター

所在地

函館市昭和町3丁目16番3号

倶知安町字比羅夫69番地

旭川市永山2条13丁目1-28

富良野市字山部東17線11

士別市武徳43線東3号

帯広市東9条南18丁目1-2

網走市呼人382番地

別海町中春別南町3

サマーフェア日程

9月8日

8月3日

8月2日

8月17日

8月1日~2日

8月23日~24日

8月22日

8月25日

電話番号

(0138)41-5257

(0136)22-1247

(0166)48-1181

(0167)39-6210

(01652)2-4520

(0155)48-5159

(0152)48-2111

(0153)76-2117

【農機燃料自動車部農業機械課 TEL011-232-6171】

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