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平成29年度第7回海外石油天然ガス動向ブリーフィング
【メキシコ入札ラウンド状況】
平成29年11月24日
メキシコ事務所【 所長 森元 英樹 】
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はじめに
入札ラウンドは順調に進展?
多くの社がオペレーターとしての基盤を形成
ガス鉱区の採算性?
2018年大統領選挙
最後に
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エネルギー改革(石油)とは
1938年に石油産業国有化、メキシコ石油公社(PEMEX)を設立、1960年には民間参入が禁止となり、石油・ガス産業は国家が事実上の独占状態。その結果、石油・ガス生産量及び埋蔵量が減少、その減少にも歯止めがきかない状態となった。しかし、生産量及び埋蔵量を確保には、PEMEX単独では資金力、技術力での対応が難しく、魅力のある大水深、シェール開発の先行きが不透明となった。
そのため、エネルギー改革により、外国企業を含む民間企業に対してメキシコ石油・ガス産業を開放することにより、国内外からの資金、技術の調達を進め、市場を活性化し、強靱化を図る。
● 国の歳入に対する石油関連収入の割合が原油生産量の低下と油価低下の影響により減少の一途
● 原油生産量は、過去最低レベルに、PEMEXビジネスプランにおいても急激な改善は見込まれない。
● 上流分野の改革は順調に進んでおり、鉱区入札はR02-L01(2017年7月現在)まで終了。93入札鉱区中、69鉱区が落札され、外国企業に加え、多くのメキシコ企業が設立され同分野への参入を果たした。
出典:PEMEXビジネスプラン2017-2021
改革の必要性
それから・・・
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入札スケジュール(2017年11月現在)
出典:CNH情報を基にメキシコ事務所にて作成
先住民問題が未解決2鉱区除外(12→10鉱区)
ラウンド1~4を予定しており、2017年11月までにR02-L03まで終了、Farmoutも進展中
R01-L04(大水深)でCevron、PEMEXとコンソーシアムを形成した日本企業が鉱区を落札
国立公園近辺の環境調査の検討30→29鉱区
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鉱区入札の捉え方に変化
2016年12月の入札時(Economista紙)・中国のメキシコ湾への進出は政治的背景の可能性も・PEMEX、小額を受け取り豪州が吸い取る
(Financiero紙) メジャーがメキシコ湾を“食らう”
(El Pais紙) 中国、米国境付近で原油を探る
2016年12月のファームアウト、大水深入札では、メキシコの石油を「盗む」、中国の「政治的利用」等のネガティブな記載が・・・
2017年に入り・・・ポジティブなメッセージ?
海外投資への期待 → 国民の期待はガソリン価格の低下
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新たな石油企業の参入
Siera Oil &Gas社(5鉱区) 米、西、馬などの多国籍企業とコンソーシアムを形成し、陸上のみならず、海洋鉱区にも参画しているメキシコ企業(EnCap等の3つの投資ファンドによりエネルギー改革を機に設立)。同社幹部はコンソーシアム形成の難しさを説明しつつ、重要性を説明。
伊Eni社(4鉱区) R01-L02で落札した海洋鉱区の試掘で成果をあげ、年9,000百万US$の探鉱投資を行い、2017月5月にはPeña Nieto大統領とトップ会談、2017年に更に3つのパーフォレーションを実施すると発表。また、R02-L01では3鉱区(うち2鉱区はメキシコ年金基金を原資としたCitlaEnergy社とコンソーシアムを形成)を落札した注目企業。
Renaissance社(4鉱区) Veracruz州の陸上鉱区のみを落札。コンソーシアムを形成せず単独で探鉱作業を進めている。
仏Total社(4鉱区) 大水深鉱区3鉱区を落札した国際企業、R02-L01ではガスフィールドと評価されている15鉱区を落札(試掘義務はなし)。同社幹部は、メキシコ湾米国側での経験を示し、墨大水深鉱区の妥当性を強調
馬Petronas(3鉱区) 同社の中長期計画にメキシコ鉱区が加えられており、大水深2鉱区を獲得しているアジア企業、R02-L01では3者競合の末、第6鉱区を落札、約2,800US$の探鉱費をコミットしている。
R01-L01からR02-L03まで計7回の入札が行われ新たに66社が新たに入札に参画し、そのうち33社がメキシコ企業
例えば、以下に示す5社の参画鉱区の総投資予想額は382億US$(メキシコ市3年分の予算に匹敵する)
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メキシコ民間石油企業も誕生
0%10%20%30%40%50%60%70%80%90%
100%
R1L1 R1L2 R1L3 R1L4 R2L1 R2L2 R2L3
墨企業(現地法人含) 国際企業
企業名資本金(MUS$) 参入分野 入札鉱区数 落札鉱区
落札率% 掘削義務
国家利益分配率%
Sierra 1,050 陸上、洋上 8 5 62.5 4R1L1;55.99,68.99,
R1L4;22.99,26.10,R2L1;62.28
Citla 500 陸上、洋上 9 3 33.3 4 R2L1;37.27,75.00(2)
Jaguar 非公開 陸上 23 11 47.8 20R2L2;16.96〜45
R2L3;40〜45
Diavaz 非公開 陸上、洋上 8 2 25.0 3 R1L3;63.9,64.5
Carso O&G (230) 陸上 10 2 20.0 4 R2L3;40,45
Petrobal 非公開 陸上、洋上 8 1 12.5 2 R1-L2;33.7
メキシコ企業参入例
国際企業の参画割合が増える
出典:CNH情報を基にメキシコ事務所にて作成
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全て順調?
成熟油田陸上 Radador, Ogarrio, Cardenas-Mora, Samaria
洋上 Bolontiku, Sinan, Ek(UOG), Balam(UOG)
超重質 Ayastsil, Tekel, Utsil
大水深ガス Kunah, Piklis
大水深石油 Trion, Exploratus, Nobiles-Maximino
SENERは、2014年にRoundZeroでPEMEXが獲得した108鉱区(開発生産鉱区はメキシコ2Pの83%に相当、探鉱鉱区は、想定資源量の21%に相当)の開発期限の延長を承認。PEMEXが保有した108鉱区のうち、不完全履行(部分的達成)と達成を評価。2014年の承認時には、3年以内に最低限の投資額に至らない案件は政府に返還することが義務づけられていた。
Farm-Outは・・・
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全て順調?
非在来型は?
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落札鉱区で開発作業の中止が発生、他の鉱区に影響を与える可能性
R01-L03の14鉱区の落札者、採算が取れないとして鉱区開発を中止。Additional royalty Value(ARV;国家利益分配率)を高く設定しすぎたことが理由か
政府が設定した国家利益分配率平均3.68%に対し、落札鉱区の最高分配率は80%を超え、最低でも30%強、平均分配率は50%を超えていた。
鉱区 政府設定ARV 落札ARV 差
14 5 85.69 80.69
4 5 81.36 76.36
15 10 80.69 70.69
25 10 78.79 68.79
24 1 68.40 67.40
R1-L03陸上鉱区入札において、政府が設定したARVとの差が大きい鉱区
出典:CNH情報を基にメキシコ事務所にて作成
全て順調?
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メキシコが石油生産を回復させるには大水深開発が重要な鍵
期待のR02-L04 (大水深)
2025年全生産の58%(1.5百万bblが浅海)
現存鉱区在来型
浅海
大水深
非在来型
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期待のR02-L04 (大水深)
海洋の資源量 257億バレルと推計されており、明年1月のR2L4入札は、大水深の約3割を占める重要なポイント、29社がPQ登録
PEMEX3,860
R1L41,947
R2L44,228
大規模構造の発見が続く 2017年11月 ユカタン半島Veracruz市南に位置するIxachi坑井での発見資源量1,500百万bbl、埋蔵量350百万bbl(共に石油換算)、ガス60%、残りは軽質油と
推計。大統領は、PEMEX直近15年の歴史で最も重要な発見とアピール
2017年7月 R01-L01浅海第7鉱区(Zama-1)の試掘成功(Talos社、英Primer Oil社、Sierra Oil & Gas社)
2017年3月 Campeche湾浅海のAmoca-2坑井の幾つかの層で油の徴候の確認をRound1で落札したENI社が発表。掘削深度3,500m。同海域の浅い部分では重質油
が確認されており、今回の試掘では高品質の軽質油の可能性
出典:CNH情報を基にメキシコ事務所にて作成
PEMEX5,450
R3L11,988
浅海9,866
大水深15,859
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R02-L04 (大水深)入札鉱区
鉱区面積約7万㎢
除外となった鉱区
出典:CNH情報をメキシコ事務所にて修正
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除外となった鉱区
出典:CNH情報をメキシコ事務所にて修正
R02-L04 (大水深)入札鉱区
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過去の選挙を振り返ると → ポピュリスト政権は回避か?前回:38%の得票率でEnrique Peña Nieto候補(PRI)勝利。PRIの政権復帰、同32%
のAndrés Manuel López Obradorは敗北。
ペニャ・ニエト大統領支持率低下が続く(大統領選挙への影響)・汚職、不十分な経済対策、治安悪化にともなう犯罪組織対策・治安悪化(2017年は近年Worst記録更新の見通し)
2018年3月末:立候補者登録、3~6月:選挙期間、7月1日:投票日、12月1日:新大統領就任式
現在、大統領候補を表明しているのは、López Obradorだけ、その他政党は党大会を開催し、候補者を擁立することとなる、しかし、PAN有力議員の離党など勢力分裂の動きも。
Andres Manuel候補
エネルギー改革の国民投票の発言をしたこともあるが、直近は、特に目立った発言はない政権交代が起こったとしても・・・国会運営は厳しくエネルギー改革の方向性に変化はないか・・
2018年大統領選挙
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※ 新聞報道、関係者との意見交換等からメキシコ事務所にて作成
メキシコ(PEMEX)が抱える問題
赤字 → 黒字化(ビジネスプランの実施)
上流 中流 下流
人員削減組合とのダイアログの設置
近代化:230億ドル(主に製油所関係)
不採算部門の資産売却
Nobilis-Maximino鉱区
生産量減退
不正メーター問題
2016年被害額:21,500百万ペソ(1,200億円)
パイプライン網整備
プラス
マイナス
破壊・強奪 度重なる製油所等事故
6月Salina Cruz製油所火災
Farm Out進展
工事の遅れ 多業種が新規参入
輸入ガソリン増加
盗難ガソリン販売
コンソ形成での入札参加
R02-L02先住民問題下がらないガソリン価格市民の不満は・・・?
・Obderecht工事費増・大規模災害
メキシコはガソリン需要の拡大が続く世界有数の市場
2017年四半期ベースで黒字を達成するも
国立公園、鉱区外構造
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ありがとうございました。
メキシコにお越しの際は、お立ち寄りください