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1 / 8 日興アセットマネジメント株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第 368 加入協会/一般社団法人 投資信託協会、一般社団法人 日本投資顧問業協会 引き続き堅調な推移のアジアの株式市場 サマリー 6 月の日本を除くアジア太平洋地域の株式市場(MSCI 指数の構成市場、以下同 じ)のリターン(米ドルベース、以下同じ)は、+1.7%となった。アジアの株式市場 (日本を除く、以下同じ)の好調なリターン(+2.4%)が大きくプラスに寄与したもの の、オーストラリア株式市場がマイナスのリターン(-0.2%)となったことなどから、 アジアの株式市場のリターンは、世界の株式市場全体のリターン(+1.8%)とほぼ 同水準となった。 アジアの株式市場は、6 月も政治動向にパフォーマンスが左右される傾向となった。 タイ株式市場については、軍事クーデターが発生した 5 月から株価が反発し、6 の株価はアジアの株式市場のなかで最も高い+6.9%の上昇となった。インド株式 市場では、様々な改革が BJP(インド人民党)の次期政権によって行なわれる可能 性があると報道されたことなどから、引き続き政策関連銘柄が買われた。こうした 改革が実行されることにより、問題を抱える分野でのボトルネックを大幅に減らすこ とが期待されている。 グレーターチャイナ(中国・香港・台湾)株式市場の株価は、アジア地域内や輸出先 となる主要国の経済指標が予想を上回ったことを受けて、堅調に推移し、3.3%上 昇した。各市場別での株価上昇率は、最も好調だった台湾株式市場が+5.0%、中 国株式市場が+3.3%となったが、香港株式市場は+0.7%とグレーターチャイナ 株式市場の中では劣後した。 アジア太平洋地域の先進国の株式市場については、オーストラリア株式市場とシ ンガポール株式市場の株価がいずれも-0.2%となったほか、香港株式市場の株 価も+0.7%に留まるなど、軟調な推移となった。 東南アジアの株式市場のリターンは強弱まちまちの内容となった。タイ株式市場が 反発を見せたほか、フィリピン株式市場では、構造的変化により順調な景気拡大が 続くなか、同国株式に対する旺盛な需要が続いた。6 月のフィリピン株式市場の株 価上昇率は+2.9%となり、東南アジアの株式市場の中では、タイ株式市場に次ぐ 堅調な推移となった。他方、インドネシア株式市場のリターンは-1.0%となった。 2014 7 月号 本レポートは、英語による 2014 7 月発行 From The EQUITY Desk」の日本語抄訳です。 内容については英語による原本が日本語版に 優先します。 機関投資家向け資料 ピーター・サトリ アジア株式担当 日興アセットマネジメント アジア リミテッド

From The EQUITY Desk 2014年7月 - Nikko AM...「From The EQUITY Desk」の日本語抄訳です。 内容については英語による原本が日本語版に 優先します。

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日興アセットマネジメント株式会社

金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第 368号

加入協会/一般社団法人 投資信託協会、一般社団法人 日本投資顧問業協会

機関投資家向け資料

引き続き堅調な推移のアジアの株式市場

サマリー

6 月の日本を除くアジア太平洋地域の株式市場(MSCI 指数の構成市場、以下同

じ)のリターン(米ドルベース、以下同じ)は、+1.7%となった。アジアの株式市場

(日本を除く、以下同じ)の好調なリターン(+2.4%)が大きくプラスに寄与したもの

の、オーストラリア株式市場がマイナスのリターン(-0.2%)となったことなどから、

アジアの株式市場のリターンは、世界の株式市場全体のリターン(+1.8%)とほぼ

同水準となった。

アジアの株式市場は、6 月も政治動向にパフォーマンスが左右される傾向となった。

タイ株式市場については、軍事クーデターが発生した 5 月から株価が反発し、6 月

の株価はアジアの株式市場のなかで最も高い+6.9%の上昇となった。インド株式

市場では、様々な改革が BJP(インド人民党)の次期政権によって行なわれる可能

性があると報道されたことなどから、引き続き政策関連銘柄が買われた。こうした

改革が実行されることにより、問題を抱える分野でのボトルネックを大幅に減らすこ

とが期待されている。

グレーターチャイナ(中国・香港・台湾)株式市場の株価は、アジア地域内や輸出先

となる主要国の経済指標が予想を上回ったことを受けて、堅調に推移し、3.3%上

昇した。各市場別での株価上昇率は、最も好調だった台湾株式市場が+5.0%、中

国株式市場が+3.3%となったが、香港株式市場は+0.7%とグレーターチャイナ

株式市場の中では劣後した。

アジア太平洋地域の先進国の株式市場については、オーストラリア株式市場とシ

ンガポール株式市場の株価がいずれも-0.2%となったほか、香港株式市場の株

価も+0.7%に留まるなど、軟調な推移となった。

東南アジアの株式市場のリターンは強弱まちまちの内容となった。タイ株式市場が

反発を見せたほか、フィリピン株式市場では、構造的変化により順調な景気拡大が

続くなか、同国株式に対する旺盛な需要が続いた。6 月のフィリピン株式市場の株

価上昇率は+2.9%となり、東南アジアの株式市場の中では、タイ株式市場に次ぐ

堅調な推移となった。他方、インドネシア株式市場のリターンは-1.0%となった。

2014年 7月号 本レポートは、英語による 2014年 7月発行

「From The EQUITY Desk」の日本語抄訳です。

内容については英語による原本が日本語版に

優先します。

機関投資家向け資料

ピーター・サトリ

アジア株式担当

日興アセットマネジメント

アジア リミテッド

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加入協会/一般社団法人 投資信託協会、一般社団法人 日本投資顧問業協会

機関投資家向け資料

足元のインド株式市場の堅調さを見ると、アジアの株式市場は、市場が好感するよ

うな材料があれば、株価上昇に向かう可能性があることがうかがえる。しかし、外

国人投資家はアジアの株式市場に対して悲観的な見方をしており、マクロ経済動

向に少しでも悪材料が見られると、株価が下落する展開となっている。アジアの株

式市場の株価は、過去 2ヵ月間でやや持ち直しているものの、依然として底値圏で

推移しており、外国人投資家からの関心も未だ低い状態にある。

中国株式市場に対しては明るい見通しを維持している。また、中国経済の回復が

進めば、総じて他国の経済成長にもプラスに働くと考えている。一方、香港株式市

場については、経営状態が良好な大型優良株の一部の銘柄に投資妙味があると

考えているが、慎重な見方を維持している。台湾株式市場に対しては引き続き強気

な見方をしており、韓国株式市場に対しては非常に弱気な見方、東南アジア株式

市場に対しては中立から弱気な見方をしている。

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機関投資家向け資料

投資環境

6月のアジア太平洋株式市場のリターンは世界の株式市場のリターンとほぼ同水準に

日本を除くアジア太平洋地域の株式市場のリターンは+1.7%となった。アジアの株式市場の好

調なリターン(+2.4%)が大きくプラスに寄与したものの、オーストラリア株式市場がマイナスの

リターン(-0.2%)となったことなどから、世界の株式市場全体のリターン(+1.8%)とほぼ同水

準となった。アジアでは、6 月も政治動向が株式市場の流れを左右する傾向となった。タイ株式

市場については、軍事クーデターが発生した 5 月から株価が反発し、6 月の株価上昇率はアジ

アの株式市場のなかで最も高い+6.9%となった。インド株式市場については、選挙結果を受け

た株価上昇の流れが継続し、6月のリターンは+4.5%であった。

過去 1年間におけるアジア株式市場(除く日本)、新興国株式市場、世界株式市場全体の

株価の推移

(期間:2013年 7月末~2014年 6月末)

アジア株式市場(除く日本)、新興国株式市場、世界株式市場全体の PERの推移

(期間:2003年 7月末~2014年 6月末)

※信頼できると判断した情報をもとに日興アセットマネジメント アジア リミテッドが作成

※株価の推移は米ドル・ベース。

グラフ・データは過去のものであり、将来の運用成果等を約束するものではありません。

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13年7月 13年9月 13年11月 14年1月 14年3月 14年5月

MSCI AC Asia ex Japan MSCI Emerging Markets MSCI ACWI

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2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年

MSCI AC Asia ex Japan MSCI Emerging Markets MSCI ACWI

(倍)

アジア株式

6月のアジア太平洋地

域の株式市場のリター

ンは世界の株式市場全

体のリターンと同程度

の水準

※2013年 7月末を 100 として指数化。

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機関投資家向け資料

政治動向が引き続きアジア株式市場のパフォーマンスを左右

タイ株式市場については、軍事クーデターが発生した 5月から株価が反発し、6月の株価上昇

率はアジアの株式市場のなかで最も高い+6.9%となった。軍事クーデターが発生した当初、投

資家はタイ株式の売却に動いたものの、コメ農家に対する不払い金の支払いや、大きな期待が

寄せられている同国のインフラ整備計画に関する協議の開始など、軍事政権の対応によって、

市場は落ち着きを取り戻した。インド株式市場では、様々な改革がBJPの次期政権によって行

なわれる可能性があると報道されたことなどから、引き続き政策関連銘柄が買われた。こうした

改革が実行されることにより、問題を抱える分野(インフラ、電力、農業など)でのボトルネックを

大幅に減らすことが期待されている。6月のインド株式市場の株価上昇率は、+4.5%となった。

台湾を筆頭に、グレーターチャイナ株式市場は良好な経済指標を受けて堅調に推移

グレーターチャイナ株式市場の株価は、アジア地域内や輸出先となる主要国の経済指標が予

想を上回ったことを受けて、堅調に推移し、+3.3%の上昇となった。各市場別での株価上昇率

は、最も好調だった台湾株式市場が+5.0%、中国株式市場が+3.3%となったが、香港株式市

場は+0.7%とグレーターチャイナ株式市場の中においては劣後した。台湾株式市場について

は、6月も株価が堅調に推移し、4-6月期の株価上昇率はインドに次いで第 2位となった。米中

向け輸出がGDPの 25%超を占める台湾経済は、米国の景気回復の持続、中国で実施されて

いる小規模な景気刺激策の両方から恩恵を受けている。台湾は、テクノロジー産業やオートメー

ション産業のニッチ分野における強みを確立しており、地域内の他の国に比べて輸出構造に優

位性がある。5月の鉱工業生産が前年同月比+5.2%、6月の製造業 PMI(購買担当者指数)

が 54ポイントと予想を上回るなど、台湾の経済や株式市場の見通しは明らかに改善していると

考えられる。中国では、中小企業向け融資に特化した銀行の預金準備率引き下げなどの景気

刺激策が導入された。こうした景気刺激策は、過去 1年間の金融引き締め姿勢から、金融緩和

に向けた変化の動きと見られている。6月の HSBC中国製造業 PMIは 50.7ポイントと、景気

拡大を示唆する水準まで持ち直した。イスラム過激派武装組織「ISIS」が、イラク北部において

政府軍を破り、複数の主要都市を制圧したことから、6月はブレント原油価格が上昇して 1バレ

ル=115米ドルを突破した。これを受けて、中国の石油サービス関連銘柄の株価は堅調に推移

し、同国のエネルギーセクターの株価は+5.2%の上昇となった。

アジア太平洋地域では先進国の株式市場のパフォーマンスが振るわず

アジア太平洋地域の先進国の株式市場については、オーストラリア株式市場とシンガポール株

式市場の株価がいずれも-0.2%となったほか、香港株式市場の株価も+0.7%に留まるなど、

軟調な推移となった。オーストラリア株式市場については、配当シーズンを迎えるなか、ディフェ

ンシブな高配当銘柄の堅調なパフォーマンスによって株価が下支えされた。一方で、ベースメタ

ルの価格の続落や、消費者信頼感のさらなる低下を背景に、小売売上高や融資需要が鈍化し

たことなどから、生活必需品セクターや素材セクターの株価は軟調に推移した。シンガポール株

式市場については、金融セクター、不動産セクター、電気通信セクターの株価低迷が重石となり、

市場全体のリターンが低下した。米国の経済指標が予想を上回り、米 10 年国債利回りが反発

したことを受けて、シンガポール株式市場では金利感応度の高い銘柄が下落圧力にさらされた。

また、倉荷証券を偽造し、金属在庫を数倍に見せかけて不正に融資を受けていた疑いで、中国

の青島港に拠点を置く非上場の金属商社に対する捜査が行なわれたことを受け、シンガポール

の銀行セクターの株価に下落圧力がかかった。シンガポールの銀行はいずれも今回の事件に

関与していなかったものの、投資家の間では、同ビジネス分野の成長が今後鈍化する恐れや、

中国国内の信用リスクが高まる可能性に対する懸念が高まった。香港株式市場については、4

月に小売売上高が前年同月比-9.5%の急減となったことや、マカオのカジノ全体において VIP

顧客を対象とした収入が減少したことなどが消費関連銘柄の重石となり、市場全体のパフォー

マンスを低迷させた。

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東南アジア株式市場のリターンは強弱入り混じった内容に

6月の東南アジアの株式市場のリターンは強弱まちまちの内容となった。タイ株式市場が反発を

見せたほか、フィリピン株式市場では、構造的変化により順調な景気拡大が続くなか、同国株式

に対する旺盛な需要が続いた。6 月のフィリピン株式市場の株価上昇率は+2.9%となり、タイ

株式市場に次ぐ堅調な推移となった。インドネシア株式市場については、7 月 9 日に大統領選

挙を控え、6月中は株価にやや下落圧力がかかった。選挙戦序盤において、市場の支持を集め

るジョコ・ウィドド候補(通称ジョコヴィ氏)は、ライバル候補で元軍人のプラボウォ・スビアント氏よ

りも大幅に高い支持率を得ていたが、最近の世論調査によると、支持率の差は縮まっている。

選挙の行方に対する不透明感に加え、4 月の貿易収支が予想を大幅に下回ったことで(市場は

若干の黒字(2億米ドル)を予想していたが、実際は 20億米ドルの赤字)、インドネシアルピアは

1 米ドル=12,000 インドネシアルピアの水準を再び上回り、投資家の間で同通貨を売却する動

きが見られた。インドネシア株式市場のリターンは-1%となった。マレーシア株式市場について

は、取引高が低迷し、6 月のリターンは+0.95%に留まった。東南アジアの株式市場全体のリタ

ーンは+1.1%となり、北アジア株式市場とインド株式市場のいずれのリターンにも劣後した。

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今後の見通し

足元で堅調なインド株式市場と同様、アジア株式市場は悲観論が後退すれば株価上昇の可能性も

足元のインド株式市場の堅調さを見ると、アジアの株式市場は、市場が好感するような材料が

あれば、株価上昇に向かう可能性があることがうかがえる。インド株式市場は、極端な悲観論を

背景に 2013 年 11 月まではアジアの株式市場のなかで際立って低いリターンとなっていたが、

その後は極端な楽観論が台頭し、6 ヵ月間という短い期間で株価が史上最高値を更新した。現

在、アジアの株式市場に対して投資家は悲観的な見方をしている。アジアの株式市場では、

2014 年の年初から投資資金の流出が続いており、マクロ経済動向に少しでも悪材料が見られ

ると株価が下落する展開が続いている。こうした状況の背景には、欧米の株式市場に対する楽

観論がこのところ台頭してきたこともあって、投資家の間で、過去 2 年間に大半のアジア諸国で

着実に実施されてきた金融政策や改革がさほど評価されていないということなどがある。アジア

の株式市場の株価は、過去 2 ヵ月間でやや持ち直しているものの、依然として底値圏で推移し

ており、外国人投資家からの関心も未だ低い状態にある。

アジア株式市場(除く日本)の PBRの推移

(期間:2003年 6月末~2014年 6月末)

アジア株式市場(除く日本)の予想 PERの推移

(期間:2003年 6月末~2014年 6月末)

※信頼できると判断した情報をもとに日興アセットマネジメント アジア リミテッドが作成

※横線は、表示期間における平均値(中央線)および 1標準偏差(平均値の上下の線)を示します。

グラフ・データは過去のものであり、将来の運用成果等を約束するものではありません。

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2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年

アジア市場(除く日本)のPBR 平均PBR -1標準偏差 +1標準偏差

(倍)

0.5

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20.5

25.5

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2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年

アジア市場(除く日本)の予想PER 平均PER -1標準偏差 +1標準偏差

(倍)

足元のインド株式市

場の堅調さからうか

がえるアジア株式

市場の上昇余地

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中国株式市場に対しては明るい見方を維持、中国経済の回復が進めば他国の経済成長にもプラスに働く見通し

中国では、習近平氏と李克強氏が率いる新指導部が引き続き権力基盤を強化し、断固とした姿

勢で改革実施に臨むものと見られる。汚職撲滅に向けた取り締まりの継続は、その最たる例と

言えよう。また、李克強氏は、6 月に英国を公式訪問した際の発言のなかで、持続的な経済成

長に向けて経済構造改革に取り組む姿勢を強調した。改革により、長期的に中国の市場構造

の健全性は高まると考えるが、改革を進めながら短期的な経済成長の達成も実現していくこと

は困難な課題になるものと考えられる。向こう数ヵ月間は市場で金融緩和期待が高まるであろ

うが、中国に対する明るい見方を強めるためには、さらに幅広い改革が不可欠となるだろう。中

国株式市場については、現時点で、投資機会がいつ訪れるか予想することが難しい改革関連

株よりも、堅調な収益成長を遂げており、構造的な変化によって好影響を受けるニューエコノミ

ー株に対して、より明るい見方を持っている。中国で景気回復が進めば、総じてアジア地域内の

他国の経済成長にもプラスに働くと考えている。

経営状態が良好な大型優良株の一部に投資妙味があるものの、香港株式市場に対しては慎重姿勢を維持

香港株式市場については、同国経済への追い風が見出せないことや、政治を巡る緊張の高ま

りから、総じて弱気な見方を強めている。金融業や観光業、中国への玄関口としての役割を除

けば、香港には成長を促す構造的な要素がほとんど見当たらないと考えている。中国が香港特

別行政区に対する影響力を強めるなか、最近では民主派による抗議デモが行なわれるなど、

香港内における緊張の高まりが浮き彫りとなった。ただし、香港企業は総じて経営状態が良好

で、コーポレートガバナンス面も優れており、アジア全域で幅広い事業展開を行なっている企業

もある。そのため、経営体制が優れた大型優良株の一部の銘柄には投資妙味があると考えて

いるが、香港株式市場全体については慎重な見方を維持する。

台湾株式市場に対しては強気な見方を維持 台湾株式市場については、中国、日本、韓国、他の新興国との競合が少なく、高い競争力を備

えたニッチな産業に政府が注力するなど、同国経済が大きな変貌を遂げていることから、明るい

見通しを維持している。台湾は、価格面のみで競争する状態から脱しており、産業空洞化(コスト

削減のための産業の国外移転)にも直面しておらず、経済構造の強さが増していると考えられる。

過去 3年間は不動産価格の上昇を背景に内需が低迷してきたが(台湾の消費者は、不動産価

格の上昇で、より多くの資金を住宅購入用の貯蓄に回さざるを得なかった)、足元では内需の拡

大も見られている。不動産価格の安定化や、株式市場の堅調な推移を受けて、台湾では消費

のペースが加速し始めている。また、台湾は、米国での需要の改善や中国経済の安定化から、

アジア地域内でも特に大きな恩恵を受けている。一方、韓国株式市場については、輸出関連銘

柄の占める割合が大きいことや、異次元の金融緩和策を続ける日本などの主要競合国の通貨

に対して韓国ウォンが上昇を続けていることを背景に、株価に一段の下落圧力がかかっている。

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加入協会/一般社団法人 投資信託協会、一般社団法人 日本投資顧問業協会

機関投資家向け資料

東南アジア株式市場に対しては中立から弱気な見方 東南アジアの株式市場については、引き続き慎重な見方をしている。タイ株式市場については、

投資家の間に根拠なき楽観論が台頭していると考えており、弱気な見方を続けている。タイでは

軍事クーデターが発生したが、意思決定の迅速化やインフラ整備主導の設備投資サイクルが始

まることへの期待感から、大半の投資家は好意的な反応を示した。ただし、同国は不利な人口

構成という構造的な問題に対処しなければならず、過去の平均を上回る経済成長率の達成は

難しい状態となっていると考えられる。インドネシア株式市場については、大統領選挙の実施が

間近に迫るなか、市場の支持を集めているジョコヴィ候補者のリードが縮まっていることから、そ

の行方に慎重な見方を強めている。過去 5 年間において改革が進められてこなかった結果、イ

ンドネシアの経済成長率は長期的な潜在成長率に満たない状態が続いているが、仮にジョコヴ

ィ氏が選挙に勝ったとしても、議会では過半数議席の確保が難しい見通しであることから、反対

派の抵抗にあって改革が難航する恐れもある。マレーシア株式市場については、同国の経済成

長率は底入れした様子だが、依然として株価は割高な水準にあり、割安感のある銘柄の発見は

困難となっている。これらを総合し、東南アジアの株式市場に対しては中立から弱気な見方をし

ている。

本資料は、日興アセットマネジメント アジア リミテッド(弊社)が市況環境などについてお伝えすること等を目的として作成した資料(英語)

をベースに日興アセットマネジメント株式会社が作成した日本語版であり、特定商品の勧誘資料ではありません。また、当資料に掲載する内容

は、弊社および日興アセットマネジメントのファンドの運用に何等影響を与えるものではありません。資料中において個別銘柄に言及する場合

もありますが、これは当該銘柄の組入れを約束するものでも売買を推奨するものでもありません。当資料の情報は信頼できると判断した情報に

基づき作成されていますが、情報の正確性・完全性について弊社および日興アセットマネジメントが保証するものではありません。当資料に掲

載されている数値、図表等は、特に断りのない限り当資料作成日現在のものです。また、当資料に示す意見は、特に断りのない限り当資料作成

日現在の見解を示すものです。当資料中のグラフ、数値等は過去のものであり、将来の運用成果等を約束するものではありません。当資料中の

いかなる内容も、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。尚、資料中の見解には弊社および日興アセットマネジメントのもの

ではなく著者の個人的なものも含まれていることがあり、予告なしに変更することもあります。日興アセットマネジメント アジア リミテッドは、

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