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- 1 - FX取引に係る確定申告の留意事項 (平成20年3月申告に向けて) 公認会計士・税理士 玉置 栄一 Ⅰ 確定申告とは 1 確定申告の概要 確定申告とは、個人が毎年1月1日から 12 31 日までの1年間に生じたすべての所得金 額に対する税額を算出して翌年の2月 16 日から3月 15 日までの間に申告することをいいま す。ただし、今年は、暦の関係で、2 18 日(月)から 3 17 日(月)までの間となって います。 確定申告では、その年中に生じた所得金額の総決算をすると同時に、その算定された税金 の額を、源泉徴収された税金、予定納税で納めた税金などで精算することになります。 2 確定申告をする必要のある人 その年分の所得金額の合計額(源泉分離課税とされる利子所得及び少額配当所得等を除 く)が、所得控除の合計額を超える場合で、その超える額に対する所得税額が、配当控除額 と年末調整の住宅借入金等特別控除額の合計額を超える人は、原則として確定申告をしなけ ればなりません。 3 サラリーマンで確定申告が必要とされるケース 大半のサラリーマンの場合、勤務先が年末調整を行い、所得税の納付も行っていますので、 通常は確定申告をする必要がありません。しかし、下記のケース等に該当すれば、確定申告 をしなければなりません(特殊な事例は割愛しております)。 給与の年間収入金額が 2,000 万円を超える人 1か所から給与の支払を受けている人で、給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合 計額が20万円を超える人 2か所以上から給与の支払を受けている人で、主たる給与以外の給与の収入金額と給与 所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える人。ただし、給与所得 の収入金額から、雑損控除、医療費控除、寄付金控除、基礎控除以外の各所得控除の合 計額を差し引いた金額が150万円以下で、給与所得及び退職所得以外の所得の金額の 合計額が20万円以下であれば、申告は不要です。 同族会社の役員などで、その同族会社から貸付金の利子や資産の賃貸料などを受け取っ ている人

FX取引に係る確定申告の留意事項 (平成20年3月申告に向けて) · 2008. 2. 20. · -3 - が課せられます。税務署の調査を受ける前に自主的に期限後申告をしておれば、この無申告

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FX取引に係る確定申告の留意事項 (平成20年3月申告に向けて)

公認会計士・税理士 玉置 栄一

Ⅰ 確定申告とは

1 確定申告の概要

確定申告とは、個人が毎年1月1日から 12 月 31 日までの1年間に生じたすべての所得金

額に対する税額を算出して翌年の2月16日から3月15日までの間に申告することをいいま

す。ただし、今年は、暦の関係で、2 月 18 日(月)から 3 月 17 日(月)までの間となって

います。 確定申告では、その年中に生じた所得金額の総決算をすると同時に、その算定された税金

の額を、源泉徴収された税金、予定納税で納めた税金などで精算することになります。 2 確定申告をする必要のある人

その年分の所得金額の合計額(源泉分離課税とされる利子所得及び少額配当所得等を除

く)が、所得控除の合計額を超える場合で、その超える額に対する所得税額が、配当控除額

と年末調整の住宅借入金等特別控除額の合計額を超える人は、原則として確定申告をしなけ

ればなりません。 3 サラリーマンで確定申告が必要とされるケース

大半のサラリーマンの場合、勤務先が年末調整を行い、所得税の納付も行っていますので、

通常は確定申告をする必要がありません。しかし、下記のケース等に該当すれば、確定申告

をしなければなりません(特殊な事例は割愛しております)。 給与の年間収入金額が 2,000 万円を超える人 1か所から給与の支払を受けている人で、給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合

計額が20万円を超える人 2か所以上から給与の支払を受けている人で、主たる給与以外の給与の収入金額と給与

所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える人。ただし、給与所得

の収入金額から、雑損控除、医療費控除、寄付金控除、基礎控除以外の各所得控除の合

計額を差し引いた金額が150万円以下で、給与所得及び退職所得以外の所得の金額の

合計額が20万円以下であれば、申告は不要です。 同族会社の役員などで、その同族会社から貸付金の利子や資産の賃貸料などを受け取っ

ている人

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なお、給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額には、次の所得は入りませんので

お間違えなきようご留意願います。 配当所得のうち、確定申告不要制度を選択したもの 源泉徴収を選択した特定口座内保管上場株式等の譲渡による所得及び損失で確定申告不

要制度を選択したもの 雑所得のうち源泉分離課税とされる割引債の償還差益 利子所得や投資信託の収益の分配で源泉分離課税とされるもの 抵当証券などの金融類似商品の収益で源泉分離課税とされるもの 懸賞金付預貯金等の懸賞金等で源泉分離課税とされるもの

4 確定申告により税金が還付されるケース

下記のケースの場合、確定申告が義務付けられてはいませんが、確定申告をすることによ

り既納付済税金の還付を受けることができます。 所得が一定額以下で、総合課税の配当所得や原稿料などがある場合 給与所得者で、雑損控除や医療費控除,寄付金控除,住宅借入金等特別控除,政党等寄

付金特別控除などを受けることが出来る場合 所得が公的年金等に係る雑所得のみで医療費控除や社会保険料控除を受けることが出来

る場合 年度の途中で退職し、その後就職しなかったため、年末調整を受けなかった場合 退職所得があり、「退職所得の受給に関する申告書」を提出せず 20%の税率で源泉徴収

されていて、その税額が正規の額を超えている場合 予定納税していて、確定申告の必要がなくなった場合

なお、下記のケースに該当する方は「損失申告」の手続を行うことを検討する必要があり

ます。 各種の所得金額の合計額が赤字になる場合 災害,盗難,横領により損害を受け、その災害等に関連してやむを得ない支出をしてい

て、雑損控除額を所得金額から控除すると赤字となる場合 繰越損失額を所得金額から控除すると赤字となる場合

5 過年度における確定申告を忘れた場合の対応

確定申告は毎年1月1日から12月31日までの1年間の所得について、翌年2月 16 日

から3月 15 日までの間にすることになっていますが、この確定申告を期限内にすることを

忘れた場合、期限後申告をすることになります。 期限後申告は、気が付いた時点で、できるだけ早く申告することをお勧めいたします。税

務署の調査を受けたあとでの期限後申告や、申告をしないことについて税務署から所得金額

の決定を受けると、本来納付するべき税金に加えてその税金の15%相当額の無申告加算税

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が課せられます。税務署の調査を受ける前に自主的に期限後申告をしておれば、この無申告

加算税が5%に軽減されます。 (注) 平成19年分の確定申告期限(平成 20 年 3 月 17 日)の後に申告した場合の無申告加算税は、原則として、納付

すべき税額が50万円までは15%、50万円を超える部分は20%の割合となります。

6 過年度の申告内容に誤りがあった場合の措置

次の方法で申告内容を訂正してください。 訂正方法

申告をした税額等が実際より少なかったとき ⇒「修正申告」をして正しい額に訂正。 申告をした税額等が実際より多かったとき ⇒ 原則として確定申告書の提出期限か

ら 1 年以内に「更正の請求」をして正しい額への訂正を求める。

7 確定申告書の種類

用紙の種類 対応する申告内容 税務署等で入手できる解説書等

A 申告する所得が給与所得や雑所得、配当

所得、一時所得だけの人で、予定納税額

のない人

「所得税の確定申告の手引き(確定申告

書A)」

B 所得の種類にかかわらず、汎用的に使用

できる。 「所得税の確定申告の手引き(確定申告

書B)」 ① 土地建物等の譲渡所得がある人 ② 申告分離課税の株式等の譲渡所得等

がある人 ③ 申告分離課税の商品先物取引の雑所

得がある人

B と

分離用

④ 山林所得や退職所得がある人

「所得税の確定申告の手引き(確定申告

書B)」のほか,「譲渡所得の申告のしか

た(記載例)」,「株式等の譲渡所得等の申

告のしかた(記載例)」,「山林所得の申告

のしかた(記載例)」

⑤ 所得金額が赤字の人 ⑥ 雑損控除額を所得金額から控除する

と赤字になる人

Bと分離用又は損失用を併用

B と

損失用 ⑦ 繰越損失額を所得金額から控除する

と赤字になる人

「所得税の確定申告の手引き(確定申告

書B)」のほか,「所得税の確定申告の手

引き(損失申告用)」

税務署が確定申告用に作成する「手引き」は税務署などに備え置かれると同時に国税庁のホームページで

も公開されています。懇切丁寧な説明がなされており、特殊な事案を除けば、この「手引き」にしたがっ

て素直に記入していけば、専門的な知識がなくとも自力で作成可能だと思われます。

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Ⅱ 所得の区分とその内容

所得金額は、次の 10 種類のいずれかに当てはめて計算します。 種 類 内 容 課税方法 所 得 の 計 算 方 法

公社債や預貯金の利子などの所得 源泉分離

海外の銀行等に預けた預金利息等 総合

特定目的信託の社債的受益権の収益分配等 源泉分離 (株式取得に関連した借入金利子のみ)

不動産所得 土地・建物・船舶・航空機などの貸付による所得 総合 総収入金額-必要経費

商工業・農業・漁業・自営業から生じる所得 総合

給 与 所 得 給料・賃金、ボーナス、歳費、パート報酬等 総合 収入金額-給与所得控除等

退 職 所 得 退職金、一時払いの老齢給付金等 申告分離 (収入金額-退職所得控除)×1/2

山 林 所 得 山林(立木)を伐採して譲渡したことによる所得 申告分離 総収入金額-必要経費-特別控除

土地建物以外の固定資産やゴルフ会員権等の譲渡 総合

土地・建物、株式等を譲渡したことによる所得(株式等の譲渡については事業・雑所得に該当するものを除く)

生命保険の一時金、賞金・懸賞金(競輪・競馬) 総合

期間が5年以内の一時払養老保険等 源泉分離

公的年金等(国民年金、厚生年金、共済年金、恩給総合

事業的規模でない株式譲渡や一定の先物取引の所得申告分離

一定の割引債の償還差益 源泉分離

事 業 所 得事業規模で行う株式等を譲渡したことによる所得や一定の先物取引に係る所得

申告分離総収入金額-必要経費

譲 渡 所 得申告分離

総収入金額-(取得費+譲渡費用)

利 子 所 得 収入金額=所得金額

配 当 所 得

法人から受ける剰余金の配当、公募証券投資信託の収益の分配等

総合 収入金額-借入利息

雑所得

原稿料、生命保険契約に基づく年金等で、利子所得から一時所得までの各所得に該当しない所得(FX取引が該当)

総合総収入金額-必要経費等

一 時 所 得 (総収入金額-必要経費-特別控除)×1/2

FX取引に係る所得は、利子所得から一時所得に掲げる所得に該当しないというのが、一

般的な認識であるため、通常は、消去法により雑所得に該当するとされています。 ただ、FX取引を事業として行っていることがある程度客観的に立証できるケースであれ

ば事業所得として取り扱われることも可能と考えられます。 事業所得として取り扱われることになれば、青色申告の適用も認められ、税務的には有利

な扱いを受けることが可能となります。

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Ⅲ 所得控除と税額控除のあらまし

(平成19年分 所得税の確定申告の手引き「国税庁HP」より転載)

各種控除が適用されるための具体的な手続き等に関しては、国税庁のホームページの「確

定申告コーナー」において懇切丁寧な解説がなされておりますので、上記の控除が受けられ

そうな場合は、そちらの方で要件を満たしていることを慎重にご確認ください。

それでも十分な理解ができない場合には、同じホームページのタックスアンサーで検索し

ていただければ、大概の疑問は解決できると思います。それでもなお不明な点がありました

ら、税務署に問い合わせるか、確定申告相談センターに出向いてください。

実際の申告手続きでは、国税庁のホームページにアクセスし、確定申告作成コーナーで自

動作成ツールが提供されていますので、ガイダンスに従い、入力していけば、専門的な知識

がなくても簡単に作成できるようになっています。

ただし、正確な申告をするためには、正確なデータの準備が必要ですので、手引き等で必

要な資料を用意することだけは忘れないでください。

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Ⅳ 所得額の計算と課税方法

所得税の課税方法には、「総合課税制度」、「源泉分離課税制度」、「申告分離課税制度」の

3通りの方法が定められています。 また、異なる所得区分の黒字と赤字を相殺できる「損益通算制度」も制定されています。

1 総合課税制度

総合課税制度とは、他の所得と合計して所得税の金額を計算するもので、下記の所得がそ

の対象となります。 対象所得 適 用 除 外 さ れ る も の

利子所得 源泉分離課税とされるものを除く 配当所得 源泉分離課税とされるもの、確定申告をしないことを選択したものを除く 事業所得 株式等の譲渡等による事業所得を除く 不動産所得 給与所得 譲渡所得 土地・建物等及び株式等の譲渡等による譲渡所得を除く 一時所得 源泉分離課税とされるものを除く 雑所得 株式等の譲渡等による雑所得、源泉分離課税とされるものを除く (注) 事業所得、雑所得に係る所得の計算において、一定の先物取引による事業所得又は雑所得については、

他の所得と区分して申告分離課税の方法により所得税が課されます。

上記の所得を一定の方法により合計した金額(総所得金額)から、所得控除の合計額を控除

し、それに税率を掛けて税額を計算します。 2 源泉分離課税制度 ・・・ 確定申告の手続は不要

源泉分離課税とは、他の所得と全く分離して、所得を支払う者が支払の際に一定の税率で

所得税を源泉徴収し、それだけで納税が完結する制度です。源泉分離課税の対象となるのは

利子所得等ですが、徴収者が納税手続きをしますので、ここでの説明は省略します。

3 申告分離課税制度 ・・・ 確定申告の手続は必要

申告分離課税とは、他の所得と合計せず、分離して税額を計算し確定申告によりその税金

を納める制度です。 具体例としては以下の所得が該当します。

山林所得 土地建物等の譲渡による譲渡所得 株式等の譲渡所得等 一定の取引所金融先物取引による雑所得等 くりっく365が該当

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【申告分離課税制度の場合の税額計算】

(税率は所得税15%、住民税5%)

先物取引に係る雑所得等の金額

× 税率先物取引による総収入金額

-先物取引の差金等決済に係る先物取引に要した委託手数料その他の経費

申告分離課税制度の場合、申告書Bに加え、申告書第三表(分離課税用)の提出と下記の「先

物取引に係る雑所得等の金額の計算明細書」の添付が必要です。 (注) 取引所先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除について

確定申告書を提出する居住者等が、平成 15 年1月1日以後(金融先物取引は平成 17 年7

月1日以降)において生じた先物取引の差金等決済に係る損失の金額のうち、その差金等決

済をした年分の先物取引に係る雑所得等の金額の計算上控除しても控除しきれない金額が

あるときは、その損失の生じた年の翌年以後3年内の各年分の先物取引に係る雑所得等の金

額から繰越控除することができます。

4 損益通算

損益通算とは、2種類以上の所得があり、例えば、1つの所得が黒字、他の所得が赤字と

なった場合に、その各所得の黒字と他の所得の赤字とを、一定の順序にしたがって、差引計

算することが容認される制度をいいます。 所得が赤字の場合に損益通算の対象となる所得は次の所得です。

不動産所得 事業所得 譲渡所得 山林所得

ただし、不動産所得の金額の赤字のうち、次に揚げるような損失の金額は、その損失が生じ

なかったものとみなされ損益通算することができません。 別荘等の生活に通常必要でない資産の貸付けに係るもの 土地等を取得するために要した負債の利子に相当する部分の金額で一定のもの 一定の組合契約に基づいて営まれる事業から生じたもので、その組合の特定組合員に係

るもの

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Ⅴ 所得額の税率その他

1 所得税の税率

課税される所得金額 (千円未満切捨て) 税率 控除額

195 万円以下 5% 0

195 万円超~330 万円以下 10% 97,500 円

330 万円超~695 万円以下 20% 427,500 円

695 万円超~900 万円以下 23% 636,000 円

900 万円超~1,800 万円以下 33% 1,536,000 円

1,800 万円超 40% 2,796,000 円

2 平成19年度(20年3月申告)の主な変更点

1.定率減税が廃止されました。

2.損害保険料控除が改組され、地震保険料控除が創設されました。

3.住宅借入金等特別控除の控除額の特例が創設されるとともに、住宅借入金等特別控除の

適用対象となる増改築等の範囲に一定のバリアフリー改修工事が加えられました。

4.住宅ローン等を利用して居住の用に供する家屋について特定のバリアフリー改修工事

(特定増改築等)を含む増改築等を行い、平成 19 年4月1日以後に居住の用に供した場

合で、一定の要件に当てはまるときは、特定増改築等住宅借入金等特別控除が受けられる

こととされました。

5.寄付金控除及び政党等寄付金特別控除の控除対象限度額が総所得金額等の 100 分の 40

相当額に引き上げられました(改正前:100 分の 30)。

6.寄付金控除の対象となる特定寄付金に、地域再生法に規定する認定地域再生計画に定め

られた区域内に住所等を有する一定の個人が支出する、認定地方公共団体に指定された特

定地域雇用等促進法人に対する一定の寄付金が加えられました。

7.本人の電子署名及びその電子署名に係る電子証明書を付して所得税の確定申告を e-Tax

で行うと、 高5千円の所得税の税額控除(電子証明書等特別控除)が受けられることと

されました(平成 19 年分又は平成 20 年分のいずれか 1回)。

3 e-Tax の利用

e-Tax(国税電子申告・納税システム)はあらかじめ開始届出書を提出し登録をしておけばイン

ターネットで国税に関する申告や納税申請・届出などの手続ができる便利なシステムです。

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Ⅵ FX取引にかかる税務上の取り扱い

Q1 FX取引を行っていますが、確定申告をするにあたっての留意事項を教えてくださ

い。 『外貨ネクスト』をはじめとしたいわゆる「外国為替保証金取引」(店頭取引)で所得が発

生すれば、総合課税扱いの「雑所得」(事業性があると認められる場合は「事業所得」)と認

定されますので課税の対象となります。また外国為替保証金のみならず、銀行の外貨預金に

て発生した為替差益も、同様に総合課税扱いの「雑所得」となります(利子は税率 20%の源

泉分離課税となります)。

ただし、課税の対象となるのは、あくまで反対売買などの決済によって 1年間に確定した

売買益(スポット益およびスワップ益の合計から売買手数料を差し引いたもの)のみとなっ

ております。したがって、仮に前年中に成立した新規ポジションであっても、年を越したポ

ジションの含み益(未確定損益)に対しては、課税されることはありません。

FX取引をされている多くの方は、事業所得ではなく雑所得として扱われることになると

思われますので、雑所得という前提で、確定申告のための計算をするにあたっての留意事項

をここでは説明いたします。

1 雑所得はすべて通算する

複数の業者と行なっている外国為替保証金取引で発生した損益はもちろんのこと、銀行の

外貨預金で発生した為替差益、さらに公的年金や原稿料・講演料など、雑所得にあたるもの

はすべてひとまとめに合算する必要があります。

2 ある雑所得のマイナスをもって、他の雑所得の額を控除できる

例えば、ある個人の方が 3つの外国為替取引会社に口座を開設し、外国為替保証金取引を

行なっていたとします。そのうち 2社の取引においてそれぞれ利益が発生し、合計で 100 万

円の利益となったものの、残りの 1社の取引で 120 万円もの損失が発生し、結局 終的な収

支はマイナスとなったとします。このような場合には、すべての売買損益を通算し、合計金

額の「-20 万円」(20 万円の損失)を年間雑所得の合計額とすることができます。

こうした損失分の控除については外国為替取引同士のみに限らず、外貨預金の為替差益や

原稿料など雑所得同士であれば、どのようなものにでも適用することができます。

3 必要経費が認められている

雑所得では、その所得を獲得するために生じた必要経費の支出が認められています。そし

て、その経費を確定申告の際に届け出ることにより、所得から控除することができます。例

えば『外貨ネクスト』をはじめとする外国為替保証金取引の場合ですと、次のようなものが

必要経費として考えられます。

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売買手数料(支払手数料)

筆記用具などの事務用品(消耗品費)

電話代、プロバイダ使用料(通信費)

新聞代、専門書、経済雑誌代等(図書費)

銀行への振込手数料(支払手数料)

セミナーへの参加費(研修費)

FX仲間との情報交換会費(会議費)

パソコン購入費(減価償却分)

ただし、「新聞代」といってもすべての新聞代が経費として認められるわけではありませ

ん。スポーツ新聞は税務関係の特集でも掲載されていないかぎり無理です。『日経金融新聞』

や『株式新聞』のような専門紙なら認められると思われますが、一般紙は難しいと考えられ

ます。また電話代やプロバイダ使用料も、外国為替取引専用に利用するということは通常考

えられませんので、全額を必要経費として計上することは無理です。しかし、使用割合で経

費按分をする方法であれば一部経費として認められるはずです。

セミナー参加のための交通費や研修会費用、また情報収集などの目的で取引会社の社員と

昼食をした費用などもFX取引との関連性があれば経費として認められると思われます。

ただし、これらの費用を必要経費として計上するためには、経費として支出したことを裏

付ける資料の整備が必要です。取引の売買手数料ならば「取引残高報告書」や「売買報告書」、

その他の支出であれば「領収証」を保管しておくようにしてください。電車賃等「領収証」

の入手が困難な経費に関しては支出記録をメモであってもよいので残しておいてください。

Q2 FX取引を行っていますが、雑所得ではなく事業所得として処理することが可能でし

ょうか? またその場合、どのようなメリットがあるのでしょうか? 1 事業所得と雑所得

FX取引が、通常「雑所得」として取扱われているのは、事業性が否定されるためです。

あなたの行っているFX取引の事業性が認められれば事業所得として取扱っても問題ない

といえます。 ただ、不動産所得の場合は、課税当局が事業性についての見解を示してはいますが、FX

取引等に関しましては、具体的な指針等が明示されておらず、個々の取引者の実態に応じて

判断することになります。事業所得かどうかは、 継続的にFX取引等の投資行為を行っているか 事業といえるだけの規模であるか 事業としての外観を維持しているか(例:事務所を構えている) 生計を主としてFX取引で賄っているか

などを総合的にみて、判断することとなります。

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副次的な収入であれば雑所得と認識されることになります。ただ、事業所得であるか雑所

得であるかの明確な基準が存在するわけではありません。結論的には税務署の個別判断に委

ねざるを得ませんが、事業所得としたいのであれば、事前に税務署に行って個人事業の開業

届出書を提出しておかれることをお奨めいたします。 2 事業所得とすることのメリット

事業所得として取扱われることが容認されるには高いハードルが存在しますが、その要件

を満たせば以下のメリットを受けることができます。

給与所得などの他の所得と損益通算をすることができる 青色申告の適用を受けることができる

Q3 FX取引を行っている者が青色申告を適用することができるのでしょうか? また、

青色申告をした場合のメリットについて説明してください

1 青色申告制度の概要

我が国の所得税は、納税者が自ら税法に従って所得と税額を正しく計算し納税するという

申告納税制度を採っています。そのためには、適切な帳簿記帳の推進を政策的に推進する必

要があります。そこで、より水準の高い記帳をし、その帳簿に基づいて正しい申告をする人

に対しては、所得の計算などについて有利な取扱いが受けられる特典として青色申告の制度

があります。ただし、青色申告ができるのは、 不動産所得、事業所得、山林所得のある人

に限定されています。 ですから、FX取引を行っている方の所得が「事業所得」であると認定されれば、青色申

告の適用を受けることができます。 新たに青色申告の適用を申請する場合、その年の3月15日までに「青色申告承認申請書」

を所轄の税務署長に提出しなければなりません。その年の1月16日以後に新たに開業する

場合には、開業の日から2か月以内に申請することが必要となります。 2 青色申告者の帳簿書類とその保存

青色申告の記帳は、年末に貸借対照表と損益計算書を作成することができるような帳簿記

録が要件となっています。具体的には、現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台

帳のような帳簿を備え付けることが要請されています。ただし、簡易な記帳をすることも認

められています。FX取引のみであれば、金銭出納帳と経費帳を几帳面につけておれば問題

はないと思われます。 なお、これらの帳簿及び書類などは、原則として7年間保存することが必要となっていま

す。

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3 青色申告の特典

青色申告の特典のうち主なものとして下記のものがあります。 ① 青色申告特別控除

不動産所得又は事業所得を生ずべき事業を営んでいる青色申告者で、これらの所得の金額

に係る取引を正規の簿記の原則により記帳し、その記帳に基づいて作成した貸借対照表を損

益計算書とともに確定申告書に添付して確定申告期限内に提出すれば、所得から 高65万

円までを控除することができます。 また、それ以外の青色申告者については、不動産所得、事業所得及び山林所得を通じて

高10万円までを控除することが認められています。 ② 青色事業専従者給与

青色申告者と生計を一にしている配偶者やその他の親族のうち、年齢が15歳以上で、そ

の青色申告者の事業に専ら従事している人に支払った給与は、届出書に記載された金額の範

囲内で専従者の労務の対価として適正な金額であれば、必要経費として認められます。しか

も、専従者には給与所得控除も受けられますので、節税効果は高いと思われます。 ただし、青色事業専従者として給与の支払を受ける人は、控除対象配偶者や扶養親族には

なれませんので注意してください。 ③ 純損失の繰越しと繰戻し

事業所得などが赤字になり、純損失が生じたときには、その損失額を翌年以後3年間にわ

たって、各年分の所得から差し引くことができます。 また、前年も青色申告をしている場合は、純損失の繰越しに代えて損失額を前年の所得か

ら差し引き、前年分の所得税の還付を受けることもできます。

Q4 FX取引で申告分離課税方式が認められている商品がありますが、申告分離課税方式

は総合課税方式の商品と比較して常に有利と考えて問題ないでしょうか? 金融先物取引扱いになっているFX取引については、所得税15%、住民税5%の「申告

分離課税」方式で納税することになっており、税務上優遇されているといわれていることが

あります。 ここで、分離課税で採用されている所得税率15%が有利かどうかを8ページに掲載した

所得税速算表を参考にしながら検証させていただきます。 330万円超の所得があれば、20%の所得税率が適用されると誤解されるかもしれませ

んが、控除額があることを覚えておいて下さい。具体的な計算例で説明してみます。

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【課税所得が 350 万円の方の場合】 350 万円×20%-427,500 円=272,500 円 が所得税額となります。そのため 272,500÷350 万円=8% が実際の所得税額となります。 【課税所得が800万円の方の場合】

800 万円×23%-636,000 円=1,204,000 円 が所得税額となります。 そのため

1,204,000÷800 万円=15% が実際の所得税額となります。 ちなみに700万円であれば 14%、900万円であれば 16%というのが実効税率である

ことをご理解ください。 また、ここでいう課税所得とは、所得金額から社会保険料控除、扶養控除、基礎控除とい

った所得控除額を控除した残りの金額であることも忘れてはなりません。 給与所得者の場合、給与所得控除がありますので、月給 100 万円(年収 1,200 万円)を得

られていたとしても給与所得金額は、970 万円で、社会保険料控除や扶養控除などを合わせ

ると多くの方は課税所得金額が 800 万円以下になると思われます。 したがって、課税所得金額が 800 万円超の方にとっては分離課税が有利となりますが、そ

れ以下の方であれば、逆に分離課税は不利ということになります。 Q5 FX取引を本格的にしようと考えております。そのため、会社形式で運営したいと考

えておりますが、注意するべき事項があれば教えてください。 平成18年5月より施行された会社法では、 低資本金の制約等がなくなり、会社の設立

が容易に行われることになりました。そのため、個人で事業を行っている方が法人を設立す

る動きが目立ってきています。その目的のひとつとして節税効果を狙ったものと考えられて

います。 平成19年度の所得税は課税所得が 1,800 万円超であれば所得税率は 40%、地方住民税

は 10%となっています。つまり儲けた所得の半分が税金に持っていかれるという重税感か

ら法人成りを検討される方が多いと思われます。 法人であれば、事業者自身の報酬を役員報酬とすることで給与所得控除が適用され、家族

に対する給与も実態が伴えば損金処理が認められます。そのため、法人にした方が節税をし

易くなるといえます。 しかしながら、実態は個人事業でありながら節税目的のためだけに法人成りをする事業者

に対する封じ込め策として「特殊支配同族会社の業務主催役員給与損金不算入制度」が新設

されました。詳細な説明は割愛いたしますが、個人事業が単純に法人成りした場合、この制

度に該当し、給与所得控除額が損金不算入になってしまうケースが多いと思われます。 当然、形式的にはこの制度を逃れる手だてはありますが、節税のみを目的とした法人の設

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立は弊害もあり、あまり賛成はできません。 具体的には

役員報酬は毎月定額支給が原則である(利益金額と両睨みでの報酬金額の操作はでき

ない) 決算書の作成、税務申告は素人には難しくなるため、専門家に依頼することが通常は

必要になる 赤字であっても法人住民税の均等割7万円を納めなければならない 法人設立費用がかかる

したがって、節税目的だけでの法人設立はメリットもありますが、デメリットもあります。

他の事業との抱き合わせや、組織的にFX取引を行い、取引規模を拡大させるといった事業

目的からの必然性があるのであれば法人設立をするべきですが、そうでなければあまり賛成

はできません。 Q6 私は専業主婦ですが、FX取引で所得が発生した場合の取り扱いについて教えてくだ

さい。税金以外でも保険料などにも影響するのでしょうか。

20 万円超の利益が出た場合に確定申告が必要なのは給与所得者の場合です。給与所得等が

ない専業主婦の場合、FX取引等で所得が発生した場合、その所得金額がご本人の基礎控除

額である 38 万円と生命保険控除などの所得控除額の合計額を超え、課税所得金額が発生す

れば確定申告が必要となります。

専業主婦の方の合計所得金額が38万円までであれば、ご主人に配偶者控除の適用があり、

76 万円までであれば配偶者特別控除(奥様の所得が増えるにつれて控除される金額が低くな

ります。)を受けることができます。これらの金額を超えてしまうとご主人がこれらの控除

を受けることができなくなってしまいます。パートの主婦が、一定額以内にパート収入を抑

えることが節税につながるケースがあるのは、この配偶者控除の適用が関係しています。

また、社会保険については奥様の年収が 130 万円未満であればご主人の扶養のままでいら

れます。社会保険の扶養から外れてしまうとご自分で国民健康保険や国民年金などを負担す

ることになることをご承知おき願います。

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Q7 申告書を提出するに当たって提出しなければならない資料としてどのようなものが

ありますか。

(平成19年分 所得税の確定申告の手引き 「国税庁」)より転載)

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Q8 パソコンを購入した場合、固定資産計上し、減価償却をしなければならないといわれ

ました。減価償却って何かよく分かりませんので、その概要を教えてください。

1.減価償却の基本的な説明

建物、建物附属設備、機械装置、器具備品、車両運搬具といった長期間の利用に耐え得る

資産は、時の経過等によってその価値が減少していきます。 このような資産を減価償却資

産といいます。

一方、時の経過等によって価値が減少するとはいえない土地や骨とう品などは減価償却資

産には該当しません。

減価償却資産の取得に要した金額は、取得した時に全額必要経費として処理することは許

されず、その資産の使用可能期間の全期間にわたり分割して必要経費としていくことが求め

られています。この使用可能期間に当たるものとして 法定耐用年数が財務省令の別表に定

められています。

ちなみに、パソコンについては、“器具備品”として、4年の耐用年数で償却することと

なっています。

2.減価償却の留意事項

(1)不動産、事業、山林又は雑所得を生ずべき事業の要に供した10万円以上20万円未

満の減価償却資産については、確定申告書に明細書の添付等があれば、減価償却資産

の取得価額の合計額の3分の1に相当する金額をその業務の用に供した年以後3年間

の各年分において必要経費に算入することができます。

(2)一定の青色申告書を提出する方が、平成 15 年 4 月 1 日から平成 20 年 3 月 31 日まで

に取得した 30 万円未満の減価償却資産については、一定の要件のもとでその取得価額

に相当する金額をその業務の用に供した年分の必要経費に算入できる特例があります。

(3)使用可能期間が1年未満のもの又は取得に要した金額が10万円未満のものは、その

取得に要した金額の全額を業務の用に供した年分の必要経費となります。

(4)平成 19 年 3 月 31 日以前に取得した減価償却資産については、「旧定額法」や「旧定

率法」等の償却方法で減価償却を行い、平成 19 年 4 月 1 日以降に取得した減価償却資

産については、償却可能限度額及び残存価額が廃止された「新定額法」や「新定率法」

等の償却方法により、耐用年数経過時点において 1円まで減価償却を行います。

平成 19 年度の税制改正で減価償却に関して大幅な改定がなされており、簡潔に説明す

ることはちょっと難しいと思われます。

次項以下に、税務署が作成している「平成 19 年分収支内訳書(一般用)の書き方」を

ご参考まで添付いたします。

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Ⅶ 確定申告等で意外と知られていない事項

1.扶養親族の取扱い

扶養控除の対象となる扶養親族とは、平成 19 年 12 月 31 日現在で生計を一にする親族(配

偶者を除く)で、平成 19 年度の合計所得が 38 万円以下の者をいいます。

ここで、「生計を一にする」とは、同一の家屋に起居しているもののみをいうのではなく、

常に生活費、学資金、療養費等の送金が行われておれば、日常の起居を共にしてなくとも一

定の要件を満たしておれば扶養親族として扱うことが認められています。

また、3世代同居のケースで も所得の多い者に扶養親族を集中させることも認められま

す。そのため、お孫さんを扶養親族として申告することは可能です。

2.医療費控除

自己または自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために医療費を支払った場合

は、医療費控除として所得から差引くことが認められています。

そのため、共稼ぎの夫婦の場合、配偶者の医療費であっても所得の多いものが負担したと

して申告すれば、医療費控除は認められます。

3.非上場株式の譲渡

非上場株式を発行会社に譲渡した場合、「みなし配当課税」の対象となり、思わぬ源泉税

が徴収されることがあります。ですから、非上場株式を譲渡される場合は、適当な第三者に

譲渡されることをお勧めいたします。

「みなし配当」は説明が難しいので、該当するような場合、専門家等に相談されることを

望まれます。