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1 利用技術の研究開発報告 平成25年7月5日 利用技術本部 利用研究部 鹿志村 HISUIプロジェクト】

H22年度 次世代地球観測衛星 利用基盤技術の研究開発 成果一覧 · 4 主な研究開発の進捗状況 分野 構築する手法/技術 h19 h20 h21 h22 h23 エネルギー・資源

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1

利用技術の研究開発報告

平成25年7月5日

利用技術本部 利用研究部 鹿志村 修

【HISUIプロジェクト】

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目 次

・目的

・平成24年度の研究開発

・研究開発事例紹介

①半乾燥地域から乾燥地域における土壌塩分濃度マッピング手法の研究開発

②中部カリマンタンにおける泥炭湿地林モニタリング手法

の研究開発

③鉱床探査のための鉱物同定アルゴリズムの開発

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HISUI:ハイパースペクトル&マルチスペクトルセンサ システム

METI

J-Spacesystems J-Spacesystems,

NEC

センサ機器開発

J-Spacesystems,

AIST

校正・データ処理・地上システム(GDS)の開発 利用技術の研究開発

目的:・エネルギー・資源、農林業、環境等の分野での利用基盤技術の研究開発を行い、実用化のための解析技術の研究開発。

・ 上記解析技術を支える情報抽出技術(等価マルチバンド衛星データ作成技術、HISUIシミュレーションデータ作成技術等)の研究開発。

・スペクトルデータライブラリの蓄積と解析例や作業手順を含むガイドラインから成るスペクトルデータベースの構築。

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主な研究開発の進捗状況 分野 構築する手法/技術 H19 H20 H21 H22 H23

エネルギー・資源

石油探鉱における潜在適用技術・対象地域

酸化鉄型銅金鉱床探鉱

岩石鉱物識別技術(POSAMアルゴリズム改良)

熱水性鉱床探査のための岩石・鉱物識別技術

そのほかのl鉱床探査(予定)(ラテライトニッケル鉱床〃カーボナタイト鉱床〃漂砂型鉱床探査)

農業

牧草地の生産性評価

水稲の収量等推定(国内)

茶の生育状況把握

小麦の収量・品質・生育状況推定

水稲の収量等推定(インドネシア)

ケシ等植物の不法栽培監視

環境

沿岸環境モニタリング(CDOM等)手法

サンゴの白化及び回復状況の把握

泥炭湿地林における森林・泥炭地劣化抽出

森林 樹種、樹高、材積量等の森林管理情報の抽出

ナラ枯れ初期検知技術

情報抽出技術 等価マルチバンド衛星データ作成

HISUIシミュレーションデータ作成

H07-16年にハイパーデータによる研究開発実施

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平成24年度の研究開発

分野 研究開発の内容

実用化技術研究開発

エネルギー・資源

鉱床探査のための鉱物同定アルゴリズムの開発

環境 半乾燥地域から乾燥地域における土壌塩分濃度マッピング手法の研究開発

中部カリマンタンにおける泥炭湿地林モニタリング手法の開発 自然草地・自然林の植生分類に関する実用化技術の研究開発

情報抽出技術研究開発 HISUIシミュレーションデータ作成技術の研究開発

スペクトルデータベースの構築

塩沼湿地スペクトルデータの収集・分析とフェノロジーを考慮したスペクトルの代表性の検討評価

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研究開発事例紹介

半乾燥地域から乾燥地域における土壌塩分濃度マッピング手法の研究開発

中部カリマンタンにおける泥炭湿地林モニタリング手法の研究開発

鉱床探査のための鉱物同定アルゴリズムの開発

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土壌・地下水・表流水の塩害化により、塩害化による経済的・環境的問題が世界中で発生

背景

─ 農業生産量の減少

塩害耕地からの収量は通常の耕地の約1/4(オーストラリア)

世界では毎年1000万haの耕作地が失われている。

(世界の耕作地の約2%、日本の耕作地総面積の約2.5倍相当)

─ 生物多様性の喪失(例、西オーストラリア州)

塩害の影響を受けている植物: 1,500種

うち、絶滅の危機に瀕している植物: 450種

豪州NSW州の塩害による農作物損失額は、$130M/年以上

(2011)

世界の塩害土壌分布(左:D’Odorico ら2013、右:Sparks 1995)

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背景(続)

【要求事項】

*精度の高い塩分マップ

*塩害化の早期検知(低塩分濃度の検知)

*広域かつ低コストのモニタリング

リモートセンシングの強み

現地での目視判断に比べ

*広域かつ低コストでマッピングが可能

*客観的な解析により人為的ミスを減少

【塩害化対策】 植生の保護・植林、

農学的方法、耐塩性のある作物の育種、

工学的方法、地下水位の低下、等

植林地

排水溝

ポンプ

Hyperデータのメリット: 1.土壌塩害化の初期段階を検知可能

タイムリーなデータで低コストならば、土地の改善や、土地の劣化を防ぎたい。

2.土壌塩害化の定量的計測が可能

塩害化エリアの特定と進行の正確な把握をしたい。

土壌の診断と再生を適切に行いたい。

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EC (mS/m)

0

100

200

1000

2500

ASTERによる研究成果のある塩分濃度帯

本研究で扱う塩分濃度帯

→ 塩害化初期段階での検出

塩分濃度

LANDSATや航空写真の

目視判読で扱う塩分濃度帯

既存の研究

*有効ではあるが、地表のラフネスに影響を受けるため難しい。

*有効ではあるが、実用的なセンサがなかったため顕著な研究はまだない。

*著しく塩分が集積している地域を検出

*塩害初期の詳細な情報は提供できない。

マルチスペクトル センサ

SAR センサ

熱赤外域センサ

~ ~

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目的

ハイパースペクトルデータを用い、土壌の塩分濃度を土壌スペクトルから定量的に推定する手法を開発

達成目標

・塩類集積が土壌スペクトルに与える影響を把握する

・塩類集積の度合いを示す指標を求める

・ASD FieldSpecデータを用いた場合の推定式を試作し、各指標の精度および汎用性を評価する

塩分濃度推定能力の目安:

多くの作物の成長に影響を与えるEC (40-100mS/m)の塩分濃度帯の検出と、

耕作限界の塩分濃度帯(小麦では180-200mS/m)の検出を可能とする

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地域 塩類土壌 塩質土壌 合計 %

オーストラリア 17.6 340.0 357.6 38.4

アジア 194.7 121.9 316.5 33.9

アメリカ 77.6 69.3 146.9 15.8

アフリカ 53.5 26.9 80.4 8.6

欧州 7.8 22.9 30.8 3.3

世界 351.2 581.0 932.2 100

塩害の影響を受けている地域 (百万ha)

出展:FAO

対象地域

West Australia

Salt Concentration Zone Deserted cultivated Land Reduction in Yield

低地は塩害化が進行中。

塩性植物のSamphierが卓越。

耐塩性が高い菜種でも健全に育たず丈が低く、まばら。

以前は農地。

塩性植物 ( Ice Plant) が侵入。

生育不良なエリアが斑に存在。

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Line sampling 2

土壌採取の考え方と分析項目

Sample number: 全70 サンプル

12 lines * 5 point

10 Random sampling

土壌化学分析項目

* EC

* pH * 陰イオン (Cl-, SO4

2-, HCO3-, etc.)

* 陽イオン (Na+, Ca2+, Mg2+, etc.)

* XRD

ASD FieldSpec 計測:

コンタクトプローブを使った室内計測

・塩類集積の見られない地域から高濃度集積

地に向かってラインサンプリングを行う

・1ラインにつき、5つのサンプル地点

・2ラインを使って、高濃度集積地域をまたぐ

土壌採取地点設定:

塩類晶出地域

塩類集積土壌域

塩類集積の

見られない地域 Line sampling 1

Line sampling 3

[土壌採集地点概念図]

Line sampling 4 検証用データ

健全な小麦畑

生育不良な小麦畑

耕作放棄地

塩類晶出地域

Point 1

Extremely saline

Point 2

very saline

Point 3

moderately saline

Point 4

slightly saline

Point 5

Non saline

低地 丘の上 2km程度

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BenDor et al. (2009):1900nm付近における吸収ピーク位置のシフト現象を利用する

検証結果:

塩分濃度が高くなるにつれ、吸収ピーク一が長波長側にシフトス傾向が確認された。また、塩分濃度が高くなるにつれ、1980nm付近に吸収の肩が出現する。

スペクトルの特徴に着目

塩類の結晶中には多くの液体の水分子が含まれており、液体水吸収範囲は土壌塩分量推定に役立つ。

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2025nmと1996nmの反射率の差が、ECの値と最も良い相関関係にある 。

この指標を用い、EC推定式を作成;

EC=27300*(R2025-R1996)/Rmax-647.68

R2:0.9102

場所が変わっても、また土壌のタイプを問わず、良い精度で推定可能。

1970

2130

2130 1996

2025

(nm)

R2

0.2

0.9

0

500

1000

1500

2000

2500

0 0.02 0.04 0.06 0.08 0.1 0.12

EC

(R2025-R1996)Rmax

Tenosol

Hydrosol

Red Kandosol

y = 27300x - 647.68

R² = 0.9102

Typical profile

Typical profile

Tenosol: 粒径の揃った砂質土壌

黄色

Red Kandosol: 非常に細かいローム質土壌

赤色

Hydrosol: 細礫の混じる粘土質土壌

河川由来

灰色

EC推定式の検討

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結果:2波長域における反射率の差分

2035と2010nmの差分が最も相関が高い。

EC=31818*(R2035-R2010)/Rmax-645.87

R2:0.9099

y = 31818x – 645.87

R² = 0.9099

-5

0

5

10

15

20

25

0 0.02 0.04 0.06 0.08 0.1

EC

(R2035-R2010)/Rmax

波長幅をHISUI相当(12.5nm)

に変えても、推定精度は低下しない。

R2

0.2

0.9

1960

2135

2135

(nm)

1960 2010

2035

HISUI波長幅での有効性の確認

1500

2500

2000

1000

500 E

C

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まとめ

1.塩類集積が土壌スペクトルに与える影響を把握した。

2.塩類集積の度合いを示す指標は、

2000nm周辺におけるスペクトル特徴を利用した指標が最も推定精度が高い。

(例えば、ASD FieldSpecデータを用いた場合、

EC=27300*(R2025-R1996)/Rmax-647.68 )

3.多くの作物の成長に影響を与えるEC(40~200mS/m)の塩分濃度帯の推定が可能であることが示唆された。

4.土壌のタイプを問わず、推定可能であり、波長幅をHISUIに合わせても推定精度が落ちることはない。

ただし、水蒸気および二酸化炭素の吸収域に隣接するため、大気の影響が極力排除されたプロダクトが望まれる。

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研究開発事例紹介

半乾燥地域から乾燥地域における土壌塩分濃度マッピング手法の研究開発

中部カリマンタンにおける泥炭湿地林モニタリング手法の研究開発

鉱床探査のための鉱物同定アルゴリズムの開発

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排出量1, 百万トンCO2換算

220

440

770970890

810

37060

25

30

25

輸送

電気

土地利用、

土地利用変化、

林業(LULUCF)2

泥炭

農業

オイル &ガス

セメント

建物

2030

3,260

670

150 105

75 40

2020

2,530

730

145 103

45

2005

2,055

840

110

130 96

全世界の排出量に占める割合

4.97% 5.07%

出所:Indonesia GHG Abatement Cost Curve

1 各セクタからの直接排出のみ

2 LULUCFからの排出は吸収量なども考慮した正味の排出量

4.97% 5.07%

インドネシアにおけるCO2排出量(現状と予測)

泥炭湿地林からの排出量を削減すること

が重要

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背景と目的

– 泥炭湿地林は大量の炭素を蓄積 ⇒ 大規模なCO2発生源に

• 要因:水路敷設等の人為的な開発に伴う水文環境の悪化、地下水位低下 →泥炭の乾燥、分解、火災

– 地球温暖化防止の観点から、泥炭湿地林における適切な炭素管理が必要

• REDD+、二国間オフセット・クレジット制度(BOCM)等の活動として有望

• 広域の泥炭湿地林モニタリングシステムが必要 →MRV(測定、報告、検証)システム構築に貢献

水路

劣化した森林

地下水位 乾燥

水位低下

健全な森林

火災による 撹乱

生育不良

地上部のバイオマスからの排出

泥炭地

C C C

C C

C

バイオマス推定

①森林タイプ分類手法

②バイオマス推定手法

ハイパースペクトルデータを利用した泥炭湿地林モニタリングシステム構築に貢献

地下水位の推定 泥炭の分解

による排出

溶存炭素(DOC)の推定 溶存炭素

の排出

泥炭分解の指標となる地下水位の評価

CO2

H24年度実施

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成果目標

• 1. バイオマス評価手法の高度化 【目 標】

• バイオマス推定に適切な森林タイプの設定

– 大径木、Tumih、小径木の3つに分類

– 分類精度85%程度以上を目標 →REDD+で目標とされる総合精度(REDD+ CookBookより)

• 300t/ha以上の領域まで推定可能なバイオマス推定手法を開発

– 泥炭湿地林のバイオマス量の領域に対応可能な手法

» PALSARでは飽和してしまうバイオマス量の領域に対応

• 2. 地下水位の評価手法の検証 【目 標】

• 「地下水位」「水ポテンシャル」「含水率」「スペクトル」の要素間の関係把握

• ハイパースペクトルセンサによる地下水位評価の可能性を考察

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研究対象地域

– インドネシア中部カリマンタン州 パランカラヤ周辺2地区 • TestSite1:Hampangen地区

• TestSite2:タルナ地区

TestSite1

TestSite2

パランカラヤ市街

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22

航空機搭載ハイパースペクトルデータの取得

撮影日

Test site 1: 2011/7/16

Test site 2: 2011/7/15, 7/16

放射輝度画像

大気補正

BRDF 補正

反射率画像

解析処理

HyMap 諸元

空間分解能 4.2m

観測幅 440~2,480nm

波長分解能 440~1,350nm 15nm

1,400~1,800nm 13nm

1,950~2,480nm 17nm バンド数 124

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23

1.バイオマス評価手法の高度化

2.地下水位の評価手法の検証

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24

森林コドラート調査の実施状況・方法

– 実施時期 • 2012年8月31日~9月11日

– 調査地点数 • TestSite1:19地点 • TestSite2:6地点

– 調査内容 • 樹種調査(LIPIに同定を委託) • DBH計測 • 樹高計測 • 林冠被覆率計測(魚眼レンズによる全天写真)

20m

10m5m

SW SE

NENW

A

B C

D

1

2 3

4

1

2 3

4 1

2 3

4

1

2 3

4大径木 小径木 Tumih林

調査コドラート

大径木 :(DBH25cm以上の木が全個体の7%以上の混交林)

小径木 :(大径木以外の混交林)

Tumih林 : 当該地域で火災跡地にいち早く群落を形成するTumihの単一林

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25

森林タイプ分類手法の概要

HyMAPデータ

(124バンド)

水吸収帯

等除去

(86バンド) スパース

判別分析

森林タイプ分類の判別式

教師データ

(森林タイプ)

説明変数(スペクトル、テクスチャのパラメータ)の中から森林タイプに対して説明力のある変数を選定

HyMapデータ

森林タイプ

分類結果

HyMAP PC1 テクスチャ画像

一昨年度:スペクトル情報のみにより樹種構成の分類を実施

昨年度:大径木に着目し、林冠の凹凸に起因するテクスチャ情報もパラメータに追加

GLCM(同時生起行列)による処理

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26

森林タイプ分類結果

■大径木林

■小径木林

■Tumih林

森林タイプ分類結果(スペクトル+テクスチャ)

テクスチャを使用することで分類精度が9割以上となった

反射率86バンドのみ使用

現地調査結果

大径木 Tumih林 小径木

大径木 35 1 4

Tumih 4 27 1

小径木 5 0 57

評価

正当率 0.80 0.96 0.92

反射率+

テクスチャ使用

現地調査結果

大径木 Tumih林 小径木

大径木 40 0 0

Tumih 0 32 0

小径木 4 0 56

評価

正当率 0.91 1.00 1.00

分類正答率 スペクトル情報

テクスチャ使用

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27

バイオマス推定モデルの比較

NDSI

LASSO回帰

300t/ha以上はモデル化困難

300t/ha以上についてもNDSIに比べモデル化可能

全コドラートを用いたモデル 300t/ha以下を対象としたモデル

[t/ha] [t/ha]

[t/ha] [t/ha]

RMSE:88.92 RMSE:43.02

RMSE:49.10 RMSE:37.12

300t/ha以下では精度がより良い

300t/ha以下では精度がより良い

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バイオマス推定結果

0 300 200 100 [t/ha]

推定精度 RMSE:49.10

300t/haを超えるバイオマスも概ねモデル化が可能

概ね現地の傾向に即したバイオマス分布を表現

森林タイプ分類と同様、反射率データ(86バンド)とテクスチャデータ(GLCM)を入力データとして、各コドラートのバイオマスに対し、LASSO回帰による推定モデルを作成

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1.バイオマス評価手法の高度化

2.地下水位の評価手法の検証

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30

一昨年度の結果

y = 0.020ln(x) + 0.037R² = 0.586

-0.05

-0.04

-0.03

-0.02

-0.01

0

0.01

0.02

0.03

0.04

0.05

0.06

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2

ND

WI

Under Ground Water Level [m]

地下水位が低下するとNDWIが高くな

る傾向がみられた

・・・・・・地下水位低下にともなう乾燥に対する

植物の適応か?

NDWI:Normalized Difference Water Index

NDWI=(R857nm-R1241nm)/(R857nm+R1241nm)

NDWIと地下水位の関係

H24年度

個葉のスペクトルと水ポテンシャ

ル、含水率、そして地下水位の

測定と相互の関係を把握した。

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葉スペクトル・含水率・水ポテンシャル・地下水位計測

– 実施時期 • 2012年8月29日~9月11日

– 個葉計測方法 • スペクトル :FieldSpecにより計測

• 水含水率 :電子秤により計測

• 水ポテンシャル :サイクロメータにより計測

• 地下水位 :塩ビ管及びビニルホースにて計測

– 計測数 • Tumih :3個体、個葉73枚

• Grunggang:3個体、個葉72枚

• Palaquium leiocarpum Blume :3個体、個葉94枚

• Shorea balangeran :3個体、個葉73枚

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スペクトルと水ポテンシャル・水含水率の関係

水ポテンシャル、含水率とも概ね水指標(スペクトル)との関係が見られる。

水ポテンシャルと比べ、含水率の推定モデルは決定係数が低い

⇒混交林に対しては、水ポテンシャルの方が水指標による表現が容易

WBI

全樹種のサンプル

y = -1017.2x2 + 2184.2x - 1173.7R² = 0.5628

-10

-9

-8

-7

-6

-5

-4

-3

-2

-1

0

0.98 1 1.02 1.04 1.06 1.08 1.1 1.12

水ポテンシャル

[MP

a]

WBI

y = 7.3694e2.43x

R² = 0.394

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

0.5 0.7 0.9 1.1 1.3

含水率

[%]

NMDI

WBI:Water Band Index

WBI = R970nm/R900nm

NMDI:Normalized Multiband Drought Index

R860nm -(R1640nm-R2130nm) NMDI = ━━━━━━━━━━━━ R860nm +(R1640nm-R2130nm)

nm

nm

R

RWBI

900

970

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地下水位と水ポテンシャルの関係分析

– 地下水位が50cm程度異なる2地点において、生育する同じ樹種の個体における個葉の水ポテンシャルを比較 • 樹種:Tumih ⇒ 地下水位の低い地点で水ポテンシャルが高い結果

– 地下水位と水ポテンシャルの間に、以下の関係が示唆される。 • 地下水位が低下 ⇒ 水ポテンシャルが向上 ⇒ 葉の含水率向上 ⇒ 湿潤な傾向を示す

-16

-8

0

1.02 1.04 1.06

WP

(bar

)

WBI

プロット110 Tm

プロット111 Tm

Tumih

0

20

40

60

80

地点110 地点111

地下水位

[cm

]

今後、さらに現地計測データを増やし解析・検討・評価が必要。

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まとめ

– バイオマス評価手法の高度化 • 中部カリマンタン地域の泥炭湿地林において、バイオマス量が異なる3つの森林

タイプの高精度な分類手法を開発 – ハイパースペクトル画像〒テクスチャ情報を使用 – 90%以上の高い正答率を達成 →REDD+活動で目標とされる分類精度超を実

現 • 300t/haを超える領域を含めたバイオマス推定手法を開発

– ハイパースペクトル画像〒テクスチャ情報を使用 → HISUIのハイパースペクトル画像+マルチスペクトル画像のテクスチャ情報で

実現可能

– 地下水位の評価手法の検証 • 個葉の分析結果より、スペクトル、含水率、水ポテンシャル、地下水位の関係を

把握 • ハイパースペクトルデータによる、水ポテンシャル、含水率の推定モデルを構築

– 含水率、水ポテンシャルが高いと、ハイパースペクトルデータによる推定モデルは湿潤な傾向を示す

– 地下水位が低いと、水ポテンシャルは高い傾向を示す

今後、現地計測データを増やして汎用的な手法を開発することで、熱帯泥炭湿地林を対象としたREDD+活動のMRVへの適用が期待される

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ご清聴ありがとうございました