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Cement Science and Concrete Technology, Vol.66, 2012 47 要旨:本研究では初めに、既報により提案した hydrated monomer (HM)定量に関する新手法 1) の定量性 を検証した。 1 H- 29 Si CP MAS-NMR を用いて算出した HM 量と新手法により算出した HM 量は、C 3 S の材齢 7 日、28 日試料においてよい一致を示した。次に新手法を用いて C 3 S および C 2 S、C 3 S+C 2 S混 合物の水和反応における HM、C-S-H を定量した。その結果、水和初期において鉱物は溶解してただち に C-S-H を生成せずに HM として存在することが確認された。また、シリケート鉱物の種類が異なる と、鉱物の溶解率に対する C-S-H の生成挙動も異なることが示唆された。さらに C 2 S において、C 3 S+ C 2 S 混合物の水和反応では C 2 S 単体の水和反応と異なる C-S-H 生成過程が認められた。 HM の新しい定量方法を用いた C 3 S、C 2 S の水和解析 粟村友貴 * 1 黒澤利仁 * 2 名和豊春 * 3 湊大輔 * 4 * 1 北海道大学 工学部環境社会工学科(〒060-8628 北海道札幌市北区北 13 条西 8 丁目) * 2 北海道大学 大学院工学院環境循環システム専攻(〒060-8628 北海道札幌市北区北 13 条西 8 丁目) * 3 北海道大学 大学院工学研究院環境循環システム部門(〒060-8628 北海道札幌市北区北 13 条西 8 丁目) * 4 財団法人電力中央研究所(〒270-1194 千葉県我孫子市我孫子 1646) キーワード:Intermediate phase、Hydrated monomer、エーライト、ビーライト、水和反応、X 線回折、 核磁気共鳴分光法 1. はじめに 一般に材料の使用目的が定まれば、その目的を果たす ために材料には特定の性能が要求される。このような、 要求性能に応じた材料設計は性能型設計と呼ばれ、土木、 建築業界のコンクリート工事において最近取り入れられ つつある。そこでは、コンクリートの性能とそれを支配 する各種の影響要因の関係を明らかにする必要があり、 例えば長年にわたって培われてきた普通ポルトランドセ メントを用いたコンクリートに関する膨大な研究成果が 役立っている。 しかし、普通ポルトランドセメント以外の新しい素材 の使用や想定外の影響条件での使用など、従来の研究成 果が反映されない場合には、性能型設計を行うことがで きない。このような場合には、コンクリートを構成して いる物質のキャラクター、物質を構成している原子の量 とその種類とその空間における配列、すなわち化学組成 と構造(結晶構造、非晶質構造、空隙構造など)がコンク リートの性能に及ぼす影響を定量的に把握することが 有効である。コンクリートは骨材と硬化セメントペー ストからなり、セメントがほぼ完全に水和反応した場 合に、硬化セメントペースト体積の 60 %はカルシウム シリケートハイドレート(C-S-H)で占有される。した がって、耐久性などのコンクリートの性能は C-S-H の 性質に大きく左右されるといえる。このため C-S-H の 構造について各種の測定装置を用いて検討されており、 Richardson 2) はTEM観察や核磁気共鳴(NMR)を用い て C-S-H の形態とシリケート連結に着目した C-S-H の構造を提案している。また、Jennings 3) らは水蒸気お よび窒素吸着等温線の相違や微小角散乱法によりコロイ ド粒子の集合体のような C-S-H の構造を提案し、その 構造モデルに基づいて乾燥収縮やクリープなどの挙動を 説明することを試みている。しかし、C-S-H は水和の 進行に伴い化学組成が複雑に変化する非晶質物質である ため、測定手法、解析方法が限られており、その生成メ カニズムについて定説となるものは未だ存在しない。 C-S-Hの生成反応であるエーライト(C 3 S)の水和にお いて、C 3 S の溶解が一時停滞する誘導期に関して解明 されていない点が多く、現在も議論が交わされている。 Taylor 4) は誘導期の水和メカニズムについて、C 3 Sの 水和初期には C-S-H とは異なるゲル状水和物(Taylor は Product B と呼んでいる)が生成し、Product B が C 3 S 粒子表面を覆うことで C 3 S の溶解が停滞すると 説 明 し て い る。Bellmann ら 5) は、Product B は シ リ ケートの化学種としては水和したシリケートの単量体 (hydrated monomer、HM)のみを含む C-S-H の中間体 (intermediate phase、IP)に当たる物質であると結んで いる。また、Jennings 6) によるとC-S-H(B)、Gartner 7) によると C-S-H(m)として、加速期以降生成され る安定な C-S-H とは異なる水和物の存在が同様に報告 されている。Bellmann ら 5) は比表面積が 22m 2 /g と粉 末化した C 3 S を水/固体比 1.2 という IP が大量に生成 されると想定される条件の下で水和させ、IP の定量を 試みている。その結果、21 %の未水和 C 3 S を含む試料 で 79 %の IP が生成されることを見出し、さらに化学

HMの新しい定量方法を用いたC3S、C2Sの水和解析

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HMの新しい定量方法を用いたC3S、C2Sの水和解析, a paper about cement hydration.

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Cement Science and Concrete Technology, Vol.66, 2012

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要旨:本研究では初めに、既報により提案した hydrated monomer(HM)定量に関する新手法1)の定量性を検証した。1H-29Si CP MAS-NMR を用いて算出した HM 量と新手法により算出した HM 量は、C3Sの材齢 7 日、28 日試料においてよい一致を示した。次に新手法を用いて C3S および C2S、C3S+C2S 混合物の水和反応における HM、C-S-H を定量した。その結果、水和初期において鉱物は溶解してただちに C-S-H を生成せずに HM として存在することが確認された。また、シリケート鉱物の種類が異なると、鉱物の溶解率に対する C-S-H の生成挙動も異なることが示唆された。さらに C2S において、C3S+C2S 混合物の水和反応では C2S 単体の水和反応と異なる C-S-H 生成過程が認められた。

HM の新しい定量方法を用いた C3S、C2S の水和解析

粟村友貴 *1 黒澤利仁 *2 名和豊春 *3 湊大輔 *4

*1 北海道大学 工学部環境社会工学科(〒060-8628 北海道札幌市北区北 13 条西 8 丁目)*2 北海道大学 大学院工学院環境循環システム専攻(〒060-8628 北海道札幌市北区北 13 条西 8 丁目)*3 北海道大学 大学院工学研究院環境循環システム部門(〒060-8628 北海道札幌市北区北 13 条西 8 丁目)*4 財団法人電力中央研究所(〒270-1194 千葉県我孫子市我孫子 1646)

キーワード:Intermediate phase、Hydrated monomer、エーライト、ビーライト、水和反応、X 線回折、核磁気共鳴分光法

1. はじめに 一般に材料の使用目的が定まれば、その目的を果たすために材料には特定の性能が要求される。このような、要求性能に応じた材料設計は性能型設計と呼ばれ、土木、建築業界のコンクリート工事において最近取り入れられつつある。そこでは、コンクリートの性能とそれを支配する各種の影響要因の関係を明らかにする必要があり、例えば長年にわたって培われてきた普通ポルトランドセメントを用いたコンクリートに関する膨大な研究成果が役立っている。 しかし、普通ポルトランドセメント以外の新しい素材の使用や想定外の影響条件での使用など、従来の研究成果が反映されない場合には、性能型設計を行うことができない。このような場合には、コンクリートを構成している物質のキャラクター、物質を構成している原子の量とその種類とその空間における配列、すなわち化学組成と構造(結晶構造、非晶質構造、空隙構造など)がコンクリートの性能に及ぼす影響を定量的に把握することが有効である。コンクリートは骨材と硬化セメントペーストからなり、セメントがほぼ完全に水和反応した場合に、硬化セメントペースト体積の 60 %はカルシウムシリケートハイドレート(C-S-H)で占有される。したがって、耐久性などのコンクリートの性能は C-S-H の性質に大きく左右されるといえる。このため C-S-H の構造について各種の測定装置を用いて検討されており、Richardson2)は TEM 観察や核磁気共鳴(NMR)を用いて C-S-H の形態とシリケート連結に着目した C-S-H

の構造を提案している。また、Jennings 3)らは水蒸気および窒素吸着等温線の相違や微小角散乱法によりコロイド粒子の集合体のような C-S-H の構造を提案し、その構造モデルに基づいて乾燥収縮やクリープなどの挙動を説明することを試みている。しかし、C-S-H は水和の進行に伴い化学組成が複雑に変化する非晶質物質であるため、測定手法、解析方法が限られており、その生成メカニズムについて定説となるものは未だ存在しない。 C-S-H の生成反応であるエーライト(C3S)の水和において、C3S の溶解が一時停滞する誘導期に関して解明されていない点が多く、現在も議論が交わされている。Taylor 4)は誘導期の水和メカニズムについて、C3S の水和初期には C-S-H とは異なるゲル状水和物(Taylorは Product B と呼んでいる)が生成し、Product B がC3S 粒子表面を覆うことで C3S の溶解が停滞すると説明している。Bellmann ら5)は、Product B はシリケートの化学種としては水和したシリケートの単量体(hydrated monomer、HM)のみを含む C-S-H の中間体(intermediate phase、IP)に当たる物質であると結んでいる。また、Jennings 6)によると C-S-H(B)、Gartnerら7)によると C-S-H(m)として、加速期以降生成される安定な C-S-H とは異なる水和物の存在が同様に報告されている。Bellmann ら5)は比表面積が 22m2/g と粉末化した C3S を水/固体比 1.2 という IP が大量に生成されると想定される条件の下で水和させ、IP の定量を試みている。その結果、21 %の未水和 C3S を含む試料で 79 %の IP が生成されることを見出し、さらに化学

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ト鉱物の溶出量を算出した。内部標準物質としてコランダム(α-Al2O3)を試料重量の 10mass%添加して行った。XRD の測定条件はターゲット CuKα、管電圧 40kV、管電流 40mA、走査範囲 5~70deg.2θ、サンプリング幅0.02°、ステップ走査、計数時間 2 秒とした。リートベルト解析には SIROQUANT V3.0 を使用した。定量に際して、合成 C3S 試料は C3S(mono、tri)、Ca(OH)2、CaCO3、 合 成 C2S 試 料 は C2S(α、β、γ)、Ca(OH)2、CaCO3、C3S+C2S 試料は C3S(mono、tri)、C2S(α、β、γ)、Ca(OH)2、CaCO3 の各シリケート鉱物、水和生成物、および内部標準試料α-Al2O3 を対象とした。水和の各時点における未水和鉱物量は結晶構造の異なる多形鉱物の合計値とした。強熱減量(ig.loss)は、105 ℃で 24 時間乾燥した後、950 ℃の炉で 3 時間加熱し、強熱前後の減量から求めた。なお、XRD リートベルト法では結晶相は定量できるが非晶質相は直接定量できない。そこで非晶質量は次に示す式[1]を用いて算出した。

A= × 1- ×100 [1]

ここに、A:非晶質量(mass%)S:添加した内部標準物質量(mass%)SR:リートベルト法で得られた内部標準

物質量(mass%)

 また、式[2]を用いて各鉱物量を ig.loss で補正した。さらに、本研究ではシリケート鉱物の溶解率(%)を C3Sおよび C2S の水和の各時点における未水和鉱物量と未反応時の鉱物量の差分により、式[3]を用いて算出した。

M=MXRD× [2]

溶解率(%)= ×100 [3]

ここに、M:ig.loss 補正後の鉱物量(mass%)MXRD:ig.loss 補正前の鉱物量(mass%)L:ig.loss(mass%)M0:未反応時の鉱物量(mass%)Mt:未水和鉱物量(mass%)

(2) 29Si MAS-NMR 29Si MAS-NMR により得られる化学シフトから、シ

100100-S

SSR

100100-L

M0-MtM0

分析結果を熱分析による CaCO3 量と、29Si MAS-NMR測定による未水和C3Sとで補正して、IPのCa/Si比は2.5程度であると算出している。また最後には、IP の存在が誘導期の長さを決定し、その後の水和の進行度合いに影響を及ぼすことから、C-S-H のみを考慮した従来の水和解析では不十分であり、IP の存在を含めた新しい水和解析の必要性を述べている。 このような背景に基づいて、著者らは既報においてXRD リートベルト法と 29Si MAS-NMR を用いて HMを定量する方法を提案した1)。本手法は 1H-29Si CP MAS-NMR を用いる従来の手法より短時間で測定を終えることができ、定量性をもつ機器の組み合わせであるため、普遍的な定量が可能である。本研究では新手法を用いて算出した HM 量と 1H-29Si CP MAS-NMR を用いて算出した HM 量との比較を行い、新手法の定量性を確認した。次に純薬合成した C3S およびビーライト(C2S)の水和反応における HM を新手法により定量し、鉱物の溶解率と HM 量の関係や、C3S+C2S 混合物の水和における C3S と C2S の相互作用について検討し、C-S-H の生成メカニズムに関して考察を行った。

2. 実験概要2. 1 使用試料と試料作製 水和試料に用いた合成 C3S および C2S は Yamaguchiら8)の 報 告した Ca104Mg2Al(Na1/4K1/4Fe1/2)(AlSi35)O180、Ca85MgAl2Fe(Na1/2K1/2)(Al3Si42)O180 の 組 成 に従い特級試薬を用い、電気炉にてそれぞれ 1,600 ℃で3 時間、1,500 ℃で 2 時間焼成した。得られた合成物のXRD 測定結果では f-CaO のピークは確認されなかった。焼成後、合成物はポットミルを用いてブレーン値を2,400cm2/g 程度に粉砕し試料作製に用いた。Table 1に合成物の化学組成を示す。試料は 100 % C3S、100 %C2S、質量%で C3S50 %と C2S50 %を混合した試料の3 種類を用意した。ペーストの練り混ぜは水固体比を0.5 とし撹拌棒で 10 分間練り混ぜた。作製したペーストはブリージングがなくなるまで定期的に練り返しを行った。ブリージングが確認されなくなった後、φ50×100mm の型枠に流し込み窒素を封入して 20 ℃に設定した部屋に安置し封緘養生とした。なお、試料は所定の材齢においてアセトンに 4 時間浸漬し、その後真空デシケータ内にて 24 時間乾燥させて水和停止しそれぞれの試験に供した。2. 2 実験方法(1) XRD リートベルト法 XRD リートベルト法および強熱減量によりシリケー

Table 1 Chemical compositions of C3S and C2S(by XRF)Mass% CaO MgO Al2O3 Fe2O3 Na2O K2O SiO2C3S 71.3 1.0 1.3 0.5 0.1 0.1 25.7

C2S 61.9 0.5 3.3 1.0 0.2 0.3 32.8

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め、Fig. 1 に示すように、29Si MAS-NMR と 1H-29Si CP MAS-NMR の Q1、Q2 ピークを重ね合わせてフィッティングすることで、Q0(H)/Q1(ここに Q0(H)は 1H-29Si CP MAS-NMR で求められた Q0 量)より、HM 量を算出することが可能であると報告している。 既報1)で提案した HM 定量新手法は、鉱物から溶解したシリケートが HM か C-S-H のどちらかに含まれるとして、溶解したシリケート量を XRD リートベルト法で、C-S-H に含まれるシリケート量を 29Si MAS-NMR で算出し、その差分から HM 量を算出する方法である。本手法では 1H-29Si CP MAS-NMR 測定に定量性をもたせるためのフィッティング作業を必要としないため、短時間かつ普遍的な定量を行えるというメリットがある。 ここでは、新手法の定量性を確認するため、Broughら13)の提案するフィッティング手法と新手法により得られた HM 量を比較し検討を行った。1H-29Si CP MAS-NMR 測定は Brough らが用いたコンタクトタイム 5.0ms を用いて、待ち時間 100s、積算回数 2,000回、90 ℃パルス 4.3μs の条件で行った。また、HM の緩和時間は T1=178±18 秒であると報告されている5)

が、CP 法ではその測定原理から、HM の緩和時間 T1よりはるかに短い 1H の待ち時間で測定できることが知られている15)ため、待ち時間 100s でも十分な測定結果を得ることができる。試料は C3S を材齢 7 日、28 日で水和停止させた後、ボールミル粉砕した粉末試料とした。Fig. 2 に示すように、フィッティング手法により求めたHM 量と新手法により求めた HM 量は、今回用意した2 試料に関してはほぼ同じ値となり、新手法は従来の手法と比較しても充分に定量性のある HM の定量方法であることを確認した。

4.  C3S、C2S 単体の水和反応の解析結果および考察

 新手法を用いて算出した C3S 単体および C2S 単体水和反応における C-S-H 量、HM 量、XRD リートベルト法により求めた水酸化カルシウム(CH)量およびシリケートの水和生成物の Ca/Si 比推移(縦軸右に対応)をそれぞれFig. 3、Fig. 4に示す。なおCa/Si比はXRDリートベルト法により、鉱物から溶解したカルシウムとシリケートに関して化学量論的に求めた。 Fig. 3 に示す C3S の水和の場合、水和初期において溶解してただちに C-S-H を生成せずに HM のみが存在し、溶解率 12 %以降から C-S-H を生成する。溶解

リケートの重合度を測定した。29Si MAS-NMR の測定は Bruker MSL400(9.2T)を用いて行った。測定周波数60.6MHz、測定帯域 2.5MHz(サンプリング周波数 0.4μs)、90°パルス幅 4μs、スペクトル測定の積算回数 2,000回、待ち時間 30 秒として、HAS プローブで 7mm ジルコニアを用い室温で測定を行った。 29Si MAS-NMR による測定結果は化学シフト値によって Q0~Q4 に大きく分けられ、シリケートの重合度を区別することができる。ここで Qn における n はその Si 原子が酸素原子を介して n 個の Si 原子と隣接していることを表している。つまり Q0 は単量体のシリケートを、Q1 および Q2 は鎖状シリケートを表す。本研究では基準物質に Si(CH3)4 を用い、それぞれの化学シフト値を Table 2 に示すように Q0=-66.0~-78.0、Q1=-78.0、Q2=-81.0~-85.3 とした。Q0 および Q1には Andersen ら9)の示す化学シフト値を、Q2 にはMatsushita ら10)の示す化学シフト値を用いている。また、Q0 に関しては由来するシリケート鉱物の種類によって周囲の化学的環境の違いから化学シフト値が異なる11)ため、それぞれのピークの減少分を求めることにより C3S+C2S 混合物中で生成した C-S-H がどちらの鉱物由来か同定することが出来る。なお Q3 および Q4に関しては、セメントペースト中に存在しないことが知られているため本研究では除外した12)。

3.  HM を定量する新手法の提案 一般に、1H-29Si CP MAS-NMR のコンタクトタイムを変化させて測定すると、各化学シフトのシグナル強度の比率が変化するため、1H-29Si CP MAS-NMR の測定結果だけでは物質の定量はできないことが知られている。しかし、Brough ら13)や Rodger ら14)は、29Si MAS-NMR の測定結果から Q1/Q2 比が既知であるた

Table 2 29Si MAS-NMR chemical shifts

Kind of silicate anion Q0 Q1Q2

Q2(1Al) Q2p Q2i Q2CaRelative signal(Hz)ppm from Si(CH3)4

-66.0~-78.0 -78.0 -81.0 -82.8 -83.4 -85.3

Fig. 1  29Si MAS-NMR spectrum and 1H-29Si CP MAS-NMR spectrum of C3S hydrated for 7days

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塩を添加した溶液で C3S を水和させると、溶液がカルシウムイオンで飽和しているため、水和初期において鉱物からのシリケートイオンの溶解が制限されて、C-S-Hの沈殿が生じにくくなると報告されている16, 17)。また、C2S に比べて CH 結晶の沈殿が多く観察される C3S では、溶液のカルシウムイオン濃度は C2S の溶解した溶液に比べて高いと考えられ、そのような場合においてC3S では C2S に比べて C-S-H の生成が遅延されると推察される。しかし、C-S-H の生成が遅延されている間にもC3Sは溶解してHMが生じている。液相にシリケートイオンはほとんど存在しない18)ことから、HM がC-S-H を生成する条件として HM の液相への放出を仮定すると、カルシウムイオン濃度が高い場合は、HM の液相への放出が妨げられることで C-S-H の生成が遅延している機構も考えられる。 また、Fig. 3 及び Fig. 4 の結果より、溶解率 50 %以降では C3S の VC-S-H が C2S の VC-S-H より大きくなっていることも確認できる。Damidot ら19)は水固体比を変えて C3S の水和に伴う溶液 CaO 濃度を、Fujii ら20)

は水温を変えてβ-C2S の水和に伴う溶液カルシウムイ

率 12 %~58 %では HM の一部が C-S-H に変わりつつも、HM 量が増加している様子が確認できる。シリケート鉱物の水和では鉱物中のシリケートが溶解し HMを生成する反応、HM が C-S-H を生成する反応の 2 つの化学反応が存在するため、溶解率 12 %~58 %では鉱物が溶解して HM を生成する反応速度(VHM)が HM のC-S-H を生成する反応速度(VC-S-H)を上回るため HM量は増加する、とも考えられる。すると、溶解率 58 %以降の水和挙動は、VC-S-H が VHM を上回るため HM 量は減少に転ずる、と説明できる。また、CH 量は溶解率に対してほぼ一定の割合で増加していることが確認された。 一方、Fig. 4 に示す C2S の場合も C3S と同じく水和初期に C-S-H が生成されず HM のみが生成される。溶解率 14 %以降から C-S-H を生成することが確認でき、C-S-H が生成されるとただちに VHM と VC-S-H が等しくなり、HM 量は一定となる。溶解率 23 %以降は、VC-S-HがVHMより大きくなり、HM量は徐々に減少する。また、C3S に比べてほとんど CH が生成されないことも確認できた。 一般に C2S は C3S に比べて水和に時間がかかると言われるが、鉱物の溶解率に対するC-S-H 生成量をプロットすると、Fig. 4 より C2S の C-S-H 生成反応は溶解反応に対して非常にスムーズであると分かる。また、C3S、C2S ともに C-S-H の生成に伴い急激に Ca/Si 比が増大しており、C-S-H の生成にカルシウムが消費されたことが確認された。Fig. 3 および Fig. 4 より、C3S、C2Sともに C-S-H 生成以前は鉱物が溶解すると HM のみを生成する。C-S-H 生成以降は C3S と C2S の C-S-H、HM生成挙動に差異が生じた。C3Sは溶解率50%までは、C2S の C-S-H 生成に比べて C-S-H の生成が遅延される。一方、C2S は溶解率に対して C-S-H がほとんど 1対 1 の割合で生成されており、HM を経ずに C-S-H が生成したようにみえる。CH や CaO などのカルシウム

Fig. 2  Relation of HM by our method and the usual method with dissolution degree of C3S. The samples are C3S hydrated for 7days and 28days

Frac

tion

of C

H b

y m

ass

of C

3S(%

)

Fig. 3  Relation of C-S-H, HM, CH and Ca/Si ratio with dissolution degree of C3S

Frac

tion

of C

H b

y m

ass

of C

2S(%

)

Fig. 4  Relation of C-S-H, HM, CH and Ca/Si ratio with dissolution degree of C2S

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認できる。鉱物の溶解が再開すると、C2S 単体を水和させた時と同じように HM 量が停滞し C-S-H が一定の割合で生成されていく。混合物中の C3S、C2S それぞれの溶解率に対する総 CH 量をプロットすると、C2S の溶解が停滞している間、C3S の溶解により増加しているはずの CH 量に変化が見られない。混合物中の C2S の溶解停滞メカニズムに関しては、C-S-H の急激な生成に伴い C2S 粒子付近で、C3S の溶解により生じたカルシウムイオンの消費、すなわち CaO シートが急激に形成されていることにより C2S の溶解が停滞していると考察される。 Fig. 7 に混合物(C3S+C2S)の溶解率に対する C-S-H量、HM 量、CH 量およびシリケートの水和生成物のCa/Si 比推移を示す。C3S+C2S 混合物でも、HM の生成挙動はシリケート鉱物単体の水和と同じ傾向を示しており、溶解率 35 %以降、総 C-S-H 量は一定の割合で増加していることが確認できる。最終的には Ca/Si 比が 1.7 程度で推移しており、鉱物単体の水和と同様なC-S-H を生成していると考えられる。 今回新手法により定量した C3S+C2S 混合物中の HMのうち C-S-H 生成反応に消費された C3S 由来の HM量(HM-reacted(C3S))、C2S 由来の HM 量(HM-reacted(C2S))および総 C-S-H 量を Fig. 8 に示す。Fig. 7 では溶解率 35 %以降 C-S-H は一定の割合で増加しているようにみえたが、C3S、C2S 由来の HM-reacted をプロットすると、溶解率 35 %~50 %では C3S 由来の反応した HM 量の増加が寄与、溶解率 50 %~65 %では C2S由来の反応した HM 量の増加が寄与していることが確認でき、65 %以降再び C3S 由来の反応した HM 量が寄与すると考えられる。C3S 単体の水和の考察にあるように、溶液のカルシウムイオン濃度が高い場合、HM の液相への放出が制限を受け C-S-H の生成が阻害されるという遅延機構を考えるならば、溶解率 35 %~50 %においては C2S 粒子表面において遅延機構が発動、溶解率 50 %~65 %では C3S 粒子表面において遅延機構

オン濃度をそれぞれ測定し、いずれの鉱物、試料においても水和初期は濃度が増加するが、一定時間経過すると濃度が減少に転じる傾向を示すと報告している。これより、一定時間たつと溶液のカルシウムイオン濃度は徐々に減少し、C3S の VC-S-H が C2S の VC-S-H より大きくなった点において、C3S と C2S の溶液カルシウムイオン濃度が逆転している可能性も示唆され、カルシウムイオンが HM の液相への放出を妨げる機構の妥当性が示唆された。 以上から、IP は溶液中のカルシウムイオン濃度が高い時には高 Ca/Si となり HM をトラップすることで、C-S-H の生成を抑制するが、逆に溶液中のカルシウムイオン濃度が低い時は低 Ca/Si となり、HM を液相に放出することで、C-S-H の生成を促進する性質を有すると推論される。

5.  C3S+C2S 混合物の水和反応の解析結果および考察

 C3S+C2S 混合物の水和における C3S 由来の C-S-H量、HM 量および総 CH 量推移を Fig. 5 に、C2S 由来の C-S-H 量、HM 量および総 CH 量推移を Fig. 6 に示す。なお C-S-H 量、HM 量は単体の水和と比較するため算出した値を 2 倍した値となっている。 Fig. 5 に示す混合物中の C3S の水和では、初期にHM のみが存在、C-S-H 生成にしたがって HM 量が停滞、減少に転ずるという反応の傾向は C3S 単体の水和における傾向と一致した。しかし、VHM と VC-S-H が等しい区間が溶解率 30 %~55 %と単体と比べて長いことが確認された。 Fig. 6 に示す混合物中の C2S の水和では、C2S 単体の水和と大きく異なる挙動を示している。初期においては他の試料の水和の傾向と同じく、ただちに C-S-H を生成せず、HM を生成する。しかし、混合物中の C2Sは溶解率 25 %で溶解がいったん停滞し、その間に HMが消費され、C-S-H が急激に生成されていることが確

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(%)

Fig. 5  Relation of C-S-H, HM and CH with dissolution degree of C3S in the C3S+C2S mixture

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3S +

C2S

(%)

Fig. 6  Relation of C-S-H, HM and CH with dissolution degree of C2S in the C3S+C2S mixture

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混合物の水和解析を行った。本研究で得られた結果は以下の通りである。1) 新手法により定量した HM と従来の手法により定

量した HM を比較したところ値が一致したため、新手法の定量性が確認された。

2) C3S、C2S 単体水和時の C-S-H および HM を新手法により定量したところ、最初の C-S-H 生成以降は C3S と C2S とで HM の挙動が変化した。

3) 液相のカルシウムイオン濃度の影響により HM の液相への放出がコントロールされている可能性が示唆された。

4) C3S+C2S 混合物に新手法を適用し C-S-H およびHM を定量したところ、C2S において単体水和時と異なる C-S-H 生成挙動が認められた。

参考文献:1) 服部廉太ほか:C-S-H 形成過程における interme-diate phase の定量および C3S 水和反応解析への応用、セメント・コンクリート論文集、No. 65、pp. 46-53(2011)

2) I. G. Richardson:The calcium silicate hydrates, Cem. Con. Res., 38, pp. 137-158(2008)

3) H. M. Jennings:Refinements to colloid model of C-S-H in cement:CM-Ⅱ, Cem. Com. Res., 38, pp. 275-289(2008)

4) H. F. W. Taylor:Cement Chemistry, Thomas-Telford, London(1997)

5) F. Bellmann et al.:Improved evidence for the ex-istence of an intermediate phase during hydration of tricalcium silicate, Cem. Con. Res., 40, pp. 875-884(2010)

6) H. M. Jennings:Aqueous solubility relationships for two types of calcium silicate hydrate, J. Am. Ceram. Soc., 69, pp. 614-618(1986)

7) E. M. Gartner, J. M. Gaidis:Hydration mechanism

が発動しており、さらに溶解率が 65 %以上になると再び C2S 粒子表面で遅延機構が発生し、C2S の C-S-H の生成が遅延すると考えられる。 Gartner ら21, 22)は C3S の水和における C-S-H の生成機構に関して、C3S 粒子表面の CaO シートにシリケートが不均一に付着することでシートにひずみが生じ、そのひずんだ点からC-S-H が粒子表面より剥離して、シートごと C-S-H が液相に放出される C-S-H の Ribbon-like モデルを提案している。本研究での HM の挙動とGartner のモデルを組み合わせると、混合物中の複雑なC-S-H 生成メカニズムは以下のように考察される。まず CaO シートが C3S や C2S の粒子表面に形成されることで、HM の液相への放出が妨げられ C-S-H の生成が阻害される。しかし、溶液中のカルシウムイオン濃度が下がることで HM が液相に放出されるようになると、鉱物粒子表面において C-S-H の生成が活発となる。C-S-H が一定の大きさまで成長すると、成長過程で生じた構造上の欠損部より鉱物粒子表面からの剥離が始まり、C-S-H は液相に放出される。するとただちに C3Sや C2S の粒子表面に新たな CaO シートを形成し、再びC-S-H の生成が阻害される。以上のように粒子表面のCaO シートに注目した場合 C-S-H の生成メカニズムは、CaO シートの形成による HM の液相への放出の阻害、CaO シートへの HM の付着および C-S-H の成長、C-S-H の液相への放出、という 3 段階に分かれると考えられる。そして、C3S+C2S 混合物の溶解率 35 %以降では、C3Sの粒子表面でC-S-Hが生成されている間は、C2S の粒子表面では CaO シートが生成されて C-S-Hの生成が阻害されている、という具合に C-S-H 生成の活性もしくは不活性な状態が、C3S 粒子表面と C2S 粒子表面とで互い違いに起きていることが示唆された。

6. 結論 本研究では既報により提案した HM 定量新手法の定量性を確認し、新手法を用いた C3S、C2S および C3S+C2S

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(%)

Fig. 7  Relation of C-S-H, HM, CH and Ca/Si ratio with dissolution degree of the C3S+C2S mixture

Fig. 8  Relation of C-S-H and HM-reacted with dissolution degree of the C3S+C2S mixture

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Cement Science and Concrete Technology, Vol.66, 2012

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Am. Ceram. Soc., 71, pp. 91-96(1988)15) 日本化学学会:第 4 版 実験化学講座 5 NMR、

pp. 79-82(1991)16) D. Damidot et al.:Investigation of the early disso-lution behavior of C3S, 12th International Congress on the Chemistry of Cement, Montreal, Canada, 8.-13.7., paper W1-06.5.(2007)

17) P. P. Barret, D. Menetrier, B. Cottin:Study of silica-lime solution reactions, Cem. Con. Res., 7, pp. 51-67(1997)

18) N. L. Thomas, D. D. Double:Calcium and silicon concentrations in solution during the early hydra-tion of portland cement and tricalcium silicate, Cem. Con. Res., 11, pp. 675-687(1981)

19) D. Damidot, A. Nonat:Investigation of the C3S hy-dration process during the first hours of hydration, Hydration and Setting of Cements,. & FN Spon, pp. 23-34(1993)

20) K. Fujii, W. Kondo:Rate and mechanism of hydra-tion of β-dicalcium silicate, J. Am. Ceram. Soc., 62, pp. 161-167(1979)

21) E. M. Gartner:A proposed mechanism for the growth of C-S-H during the hydration of trical-cium silicate, Cem. Con. Res., 27, pp. 665-672(1997)

22) E. M. Gartner, K. E. Kurtis, P. J. M. Monteiro:Pro-posed mechanism of C-S-H growth tested by soft X-ray microscopy, Cem. Con. Res., 30, pp. 817-822(2000)

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8) G. Yamaguchi et al.:Proc. 5th International Sym-posium, Chemistry of Cement, Tokyo(1968)

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10) F. Matsushita et al.:Calcium silicate structure and carbonation shrinkage of a tobermorite-based material, Cem. Con. Res., 34, pp. 1251-1257(2004)

11) Grimmer et al.:Structural investigation of calcium silicates from 29Si chemical shift measurements, Application of NMR spectroscopy to cement sci-ence, Gordon and Breach Science Publishers, pp. 113-151(1994)

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Tomotaka AWAMURA*1, Kazuto KUROSAWA*2, Toyoharu NAWA*3 and Daisuke MINATO*4

*1 HOKKAIDO UNIVERSITY, Under Graduate School of Engineering(North13-West8, Kita-ku, Sapporo-shi, Hokkaido 060-8628, Japan)

*2 HOKKAIDO UNIVERSITY, Graduate School of Engineering(North13-West8, Kita-ku, Sapporo-shi, Hokkaido 060-8628, Japan)

*3 HOKKAIDO UNIVERSITY, Faculty of Engineering(North13-West8, Kita-ku, Sapporo-shi, Hokkaido 060-8628, Japan)

*4 CENTRAL RESEARCH INSTITUTE OF ELECTRIC POWER INDUSTRY(1646, Abiko, Abiko-shi, Chiba 270-1194, Japan)

ABSTRACT:It is known from the data of the reaction of tricalcium silicate that it reacts with water in two steps;In the first step, it is dissolved by proton attacking from water and forms an intermediate phase which is converted in the second step into calcium silicate hydrate(C-S-H)as the final product. The intermediate phase has been detected by the difference in the data from 1H-29Si CP MAS-NMR and 29Si MAS-NMR, but this method is complicated and expends a lot of time for measurement. This paper describes a new method for quantifying of hydrated monomer of silicate anion(HM)as intermediate phase, which can be quantified in a short time by the difference between the amount of dissolved silicate and the amount of silicate anion more than dimer. The amount of dissolved silicate is determined by X-Ray Diffraction / Rietveld analysis, while the amount of silicate anion more than dimer is determined by 29Si MAS-NMR. Comparison of the amount of HM detected by 1H-29Si CP MAS-NMR and 29Si MAS-NMR demonstrated that our method was suitable to quantify HM.Our method was applied for determining the quantity of HM during hydration process of tricalcium silicate, dicalcium silicate, and the mixture of tricalcium silicate and dicalcium silicate to make clear the mechanism on forming C-S-H. The results obtained in this study indicated that the contribution of HM to the formation of C-S-H was different depending on the kind of calcium silicate. Further, the comparison with the simple substances hydrating, it could be confirmed that the effect of HM on the formation C-S-H was complicated and different from that during hydration of the mixture of tricalcium silicate and dicalcium silicate.

KEY WORDS:Intermediate phase, Hydrated monomer, Tricalcium silicate, Dicalcium silicate, Hydration, XRD, NMR

APPLICATION OF NEW QUANTIFICATION METHOD OF HYDRATED MONOMER TO HYDRATION OF SILICATE

MINERALS