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中学校数学におけるICT利活用の促進 学習指導上の課題解決を目指した教科研修会を通して 長期研修Ⅱ 研修員 村山 《研究の概要》 中学校数学でICT利活用の促進を図るために、教科研修会を工夫した。簡単で効果の あるICT利活用について知ったり見たりするICT研修会、学習指導上の課題を踏まえ て授業でどのようにICT利活用をするか考えるICT利活用実践研修会、ICT利活用 をやってみて効果を実感するICT利活用実践を考えた。これら三つの研修会を段階的に 進めることで、ICT利活用が促進されるとともに、学習指導上の課題解決ができた。 【情報教育 ICT利活用 中学校数学 教科研修会 コンテンツ集】 キーワード 主題設定の理由 「群馬県教育情報化推進構想 (群馬県教育委 員会平成18年12月)で、分かる授業・楽しい授業 の実現のために、ICTを利活用することが必要 であるとされている。また、新学習指導要領(平 成20年3月)においても、視聴覚教材や教育機器 などの教材・教具の適切な活用を図ることとされ ている。一方で、授業でのICT利活用がなかな か進んでいないという実態もある 「平成19年度 学校における教育の情報化の実態に関する調査結 (文部科学省)によると 「授業中にICT を活用して指導する能力」の項目で 「わりにで きる 「ややできる」の割合が、全国平均で55.2 %、本県中学校は55.6%になっている。この結果 は、他の四つの項目の中で最も低い値となってい る。 次に 「地域・学校の特色等を活かしたICT 環境活用先進事例に関する調査研究 (日本教育 工学振興会平成19年3月)では 「授業における ICT活用の障害」について 「ICT機器の不 足」とともに 「活用イメージが分からない」が 52.2 と半分以上になっていて、授業の中でどの ようにICTを利活用をしたらよいかが分からな いことが、授業でのICT利活用が進まない原因 となっていることが分かる。また 「ICT環境 整備への要望・期待」として、ソフトやコンテン ツの充実を求める割合が87.4%と高くなってい る。 協力校では、コンピュータは教師一人にほぼ一 台配備されているが、その用途については、校務 処理やワークシート作成などが多い。数学教師4 人にアンケートしたところ、全員が授業でICT を利活用してみたいと回答しているが、実際に授 業でICTを利活用したことはほとんどないとい うことだった。その理由を聞いてみると 「何と なくイメージはできるが具体的にどう利用したら よいか分からない 「どのような効果があるのか よく分からない」ということだった。また 「コ ンテンツを探すのが大変」という声もあった。 このようなことから、授業におけるICT利活 用を促進するためには、ICT利活用の方法につ いて理解を図るとともに、その効果を実感しても らうことが必要であると考えた。 研究のねらい 中学校数学の教科研修会を通して、簡単にでき るICT利活用の方法及び効果について理解し、 学習指導上の課題解決を目指したICT利活用計 画を考え、授業でICT利活用の効果を実感すれ ば、授業でのICT利活用が促進されることを実 践を通して明らかにする。 研究の内容と方法 基本的な考え方 授業でのICT利活用について簡単な使い方で も効果があることを知り、具体的な活用の様子を 見る「ICT研修会」を実施する。次に、各数学 教師が学習指導上の課題をICTを利活用してど のように解決するかを考える「ICT利活用実践 研修会」を実施し、そこで作成したICT利活用 計画を基に、授業でICT利活用をやってみて、 効果を実感する「ICT利活用実践」を行う。ま た、各研修会で利用できるコンテンツ集を作成し 提示する。 このように 「ICT研修会 「ICT利活用 F12 - 01 平20.240集

中学校数学におけるICT利活用の促進 - gsn.ed.jpている。一方で、授業でのICT利活用がなかな か進んでいないという実態もある。「平成19年度

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中学校数学におけるICT利活用の促進- -学習指導上の課題解決を目指した教科研修会を通して

長期研修Ⅱ 研修員 村山 聡

《研究の概要》

中学校数学でICT利活用の促進を図るために、教科研修会を工夫した。簡単で効果の

あるICT利活用について知ったり見たりするICT研修会、学習指導上の課題を踏まえ

て授業でどのようにICT利活用をするか考えるICT利活用実践研修会、ICT利活用

をやってみて効果を実感するICT利活用実践を考えた。これら三つの研修会を段階的に

進めることで、ICT利活用が促進されるとともに、学習指導上の課題解決ができた。

【情報教育 ICT利活用 中学校数学 教科研修会 コンテンツ集】キーワード

Ⅰ 主題設定の理由

「群馬県教育情報化推進構想 (群馬県教育委」

員会平成18年12月)で、分かる授業・楽しい授業

の実現のために、ICTを利活用することが必要

であるとされている。また、新学習指導要領(平

成20年3月)においても、視聴覚教材や教育機器

などの教材・教具の適切な活用を図ることとされ

ている。一方で、授業でのICT利活用がなかな

か進んでいないという実態もある 「平成19年度。

学校における教育の情報化の実態に関する調査結

果 (文部科学省)によると 「授業中にICT」 、

を活用して指導する能力」の項目で 「わりにで、

きる 「ややできる」の割合が、全国平均で55.2」

%、本県中学校は55.6%になっている。この結果

は、他の四つの項目の中で最も低い値となってい

る。

次に 「地域・学校の特色等を活かしたICT、

環境活用先進事例に関する調査研究 (日本教育」

工学振興会平成19年3月)では 「授業における、

ICT活用の障害」について 「ICT機器の不、

足」とともに 「活用イメージが分からない」が、

52.2 と半分以上になっていて、授業の中でどの%

ようにICTを利活用をしたらよいかが分からな

いことが、授業でのICT利活用が進まない原因

となっていることが分かる。また 「ICT環境、

整備への要望・期待」として、ソフトやコンテン

ツの充実を求める割合が87.4%と高くなってい

る。

協力校では、コンピュータは教師一人にほぼ一

台配備されているが、その用途については、校務

処理やワークシート作成などが多い。数学教師4

人にアンケートしたところ、全員が授業でICT

を利活用してみたいと回答しているが、実際に授

業でICTを利活用したことはほとんどないとい

うことだった。その理由を聞いてみると 「何と、

なくイメージはできるが具体的にどう利用したら

よいか分からない 「どのような効果があるのか」

よく分からない」ということだった。また 「コ、

ンテンツを探すのが大変」という声もあった。

このようなことから、授業におけるICT利活

用を促進するためには、ICT利活用の方法につ

いて理解を図るとともに、その効果を実感しても

らうことが必要であると考えた。

Ⅱ 研究のねらい

中学校数学の教科研修会を通して、簡単にでき

るICT利活用の方法及び効果について理解し、

学習指導上の課題解決を目指したICT利活用計

画を考え、授業でICT利活用の効果を実感すれ

ば、授業でのICT利活用が促進されることを実

践を通して明らかにする。

Ⅲ 研究の内容と方法

1 基本的な考え方

授業でのICT利活用について簡単な使い方で

も効果があることを知り、具体的な活用の様子を

見る「ICT研修会」を実施する。次に、各数学

教師が学習指導上の課題をICTを利活用してど

のように解決するかを考える「ICT利活用実践

研修会」を実施し、そこで作成したICT利活用

計画を基に、授業でICT利活用をやってみて、

効果を実感する「ICT利活用実践」を行う。ま

た、各研修会で利用できるコンテンツ集を作成し

提示する。

このように 「ICT研修会 「ICT利活用、 」

群 F12 - 01

セ 平20.240集

Page 2: 中学校数学におけるICT利活用の促進 - gsn.ed.jpている。一方で、授業でのICT利活用がなかな か進んでいないという実態もある。「平成19年度

実践研修会 「ICT利活用実践」の三つの教科」

研修会を計画的に実施することがICT利活用の

促進に有効であり、学習指導上の課題解決を通し

て授業力の向上につながると考える。図1は、こ

のような研究の構想を示したものである。

(1) ICT研修会について

授業でのICT利活用の方法及び効果について

理解を図る。ここでは、数学教師に「授業で使っ

てみたい 「効果がありそうだ」と感じてもらう」

が大切である。また 「この程度なら自分でも使、

えそうだ」と感じてもらうことも大切である。そ

こで、簡単で効果があるICT利活用の方法を具

体的な場面を通して示すのが有効であると考え

る。さらに、放課後も部活動指導等で時間が取れ

ない状況を考えると、数学教師の負担を軽減する

ために一回15分程度で効率よく研修することも大

切である。

最初に利用するICT機器としては、操作が簡

単で実物を映すだけで使える実物投影機とする。

利活用方法としては、作図の学習で生徒と同じ三

角定規やコンパスを使ってかき方を示したり、グ

ラフの学習で点の位置やグラフの様子を確認する

ときに生徒と同じグラフ用紙や教科書を映すとい

う使い方が効果的である。生徒と同じものを大き

く映す簡単な方法であるが、生徒に分かりやすく

説明したり理解させたりすることができ、すぐに

授業で活かせる方法である。

次に、コンピュータの利活用方法についてであ

るが、コンピュータでは、グラフ作成ソフトを利

用して係数を変えながらグラフを変化させて映し

たり、動点の問題で点を動かしながら変化の様子

を映したりという使い方が効果的である。数学で

は、変化する事象から規則性を見いだしたり変化

の様子を調べたりする。そうした学習でコンピュ

ータを利用すれば変化する様子を直接示すことが

でき、生徒の理解を深めるのに有効である。

このように、実物投影機を利用して大きく映し

たり、コンピュータを利用してグラフや図を変化

させて映したりするなど簡単で生徒の理解を深め

るのに効果があるICT利活用の方法を知ること

から始めるのがよいと考える。

さらに、ICTは使うことによってよさが分か

る。そこで、ICT機器やコンテンツの操作を体

験してもらうとともに、ICTを利活用した授業

図1 研究の全体構想

Page 3: 中学校数学におけるICT利活用の促進 - gsn.ed.jpている。一方で、授業でのICT利活用がなかな か進んでいないという実態もある。「平成19年度

を参観してもらうなど、具体的な場面を見ること

によって理解を図ることが大切である。

(2) ICT利活用実践研修会について

各数学教師と一緒に授業でのICT利活用計画

(図2)を作成する。

ここでは 「課題解決ができそうだ 「授業を、 」

してみたい」と感じてもらうことが大切である。

そこで、まず今までの学習指導でうまく教えら

れなかったことやもう少し工夫が必要だと感じて

いることなど学習指導上の課題を考えることから

始める必要がある。例えば 「図形」領域では、、

先述した作図の学習以外に、生徒が証明を板書す

るのに時間がかかり発表できる生徒の数が限られ

てしまう。また、図形の性質を考えるときに、条

件に合った図を多く示し、その中から共通する図

形の性質を見いださせることが有効であるが、板

書だとあまり多くは示せないなどの課題が考えら

れる。

このように考えられる学習指導上の課題に対し

てICT利活用が課題解決につながるか、ICT

利活用によりどのような効果が期待できるかを考

える。このとき 「大きく示せる 「動きを示せ、 」

る 「いろいろ変化させて示せる」などICTの」

課題を考える

ICT利活用の方法、効果を考える

場面を考える

課題解決を実感する

特徴を踏まえて考えることが大切である。

ICT利活用の方法を考えるときには、無理な

く授業の中で使えるように計画することも大切で

ある。そこで、先述したように、まず操作が簡単

な実物投影機の利活用から検討を始めるのがよい

と考える。例えば、証明の発表に時間がかかると

いう課題では、実物投影機でノートをそのまま映

。 、せばすぐに発表ができ課題解決につながる また

この計画の作成では、今までの各数学教師の学習

スタイルを活かしつつ、ICTを授業のどの場面

で利用すればより効果的かを考えることも大切で

ある。

(3) ICT利活用実践について

作成したICT利活用計画を基に、各数学教師

が実際に授業をやってみる。ここでは 「ICT、

を利活用すると理解を深めるのに効果がある 今」「

までの学習指導上の課題が解決できた」と実感し

てもらうことが大切である。そこで、授業後に各

数学教師に感想を聞いたり書いてもらったりして

授業を振り返る機会をもつ(図2 。こうするこ)

とによって、授業中に感じた効果を改めて確認で

きるとともに、ICT利活用の改善点についても

考えることができ、その後のより効果的なICT

利活用をするための参考になると考える。

また、授業でICT機器を使いやすくする配慮

として、実物投影機、プロジェクタ、スクリーン

を一カ所にまとめたり、接続コードには接続箇所

が分かるようにタグを付けたりすることや機器を

設置するときの支援も必要であると考える。

(4) コンテンツ集について

授業で、コンテンツを利用しやすいようにコン

テンツ集を作成する。コンテンツ集は 「ICT、

研修会」で、授業でのコンピュータ利活用のイメ

ージをつかんでもらうために利用したり 「IC、

T利活用実践研修会」で、ICT利活用計画を作

成するときに、学習指導上の課題解決の手だてと

して参考にしたりする 「ICT利活用実践」で。

は、授業で実際にコンピュータを利用し、課題解

決に活かしその効果を実感してもらう。

コンテンツ集は、まずコンピュータ利活用の効

果が高いコンテンツから用意する。具体的には、

関数のグラフを提示するもの、図形を変形させな

がら提示するもの、動点の問題に関するものなど

が挙げられる。また、コンテンツは、教科書に合

ったものが必要である。そこで、G-TaKやフ

リーソフトから選んで利用するとともに、教科書

図2 ICT利活用計画

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に合ったものがない場合は自作する。

コンテンツ集を作成するに当たっては、コンテ

。 、ンツを探しやすくすることも大切である そこで

各領域ごとに全学年のコンテンツの一覧表(図3

中段)を作成したり、単元ごとのメニューページ

ではコンテンツの内容が視覚的に分かるようにサ

ムネイル(図3下段)で示したりする。

コンテンツ集は、校内のファイルサーバの数学

用フォルダに保存し、そこから各数学教師のコン

ピュータにダウンロードし利用してもらう。

Ⅳ 研究の展開

1 ICT研修会の実際

数学教師4人を対象に、放課後の部活動指導前

の時間を利用して、1回15~20分程度で3回に分

けて、授業でのICT利活用について説明し、そ

の後提案授業を実施した。その概要を示す。

単元別一覧

のページ

トップページ

領域別の

一覧表へ

単元別の

一覧表へ領域別一覧

のページ

(1) 第1回(15分)9月24日

ねらい

・ICT利活用について、簡単な使い方でも効果

があることを理解する。

・実物投影機で教科書やワークシート、作図の様

子などを映した。

・グラフ作成ソフトでグラフをいろいろ変化させ

て映した。

・コンピュータで動点の問題を示した。

資料: ICT活用指導ハンドブック」「

(コンピュータ教育開発センター)

(2) 第2回(20分)9月30日

ねらい

・ICT機器の設置方法を知る。

・実物投影機の利用方法を考える。

内 容

・実物投影機、プロジェクタの設置、接続方法を

確認した。

・教科書やワークシート、作図など手元の操作の

様子などを実物投影機で映す体験をした。

(3) 第3回(15分)10月2日

ねらい

・ICTを利活用した授業例について知る。

・コンテンツの内容や利用方法を知る。

内 容

・ICTを利活用した授業の展開例を示した。

・図形を変形させるソフトで、条件を保持したま

まいろいろな形や大きさの図形を示した。

・知識を確認するコンテンツでは、計算の規則や

図形の性質をプレゼンテーションソフトを利用

して映した。

研修会後の感想

・ICTをうまく使うと授業の効率を上げられる

ことが分かった。

・ICTの使い方が具体的に見られたのでよかっ

た。

・大きく映すだけでも効果があることが分かっ

た。

・実物投影機は手軽で使ってみたい。

・グラフ作成ソフトや動点のコンテンツはすぐに

使ってみたい。

図3 コンテンツ集

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授業でのICT利活用について、その有効性を

感じた感想が多かった。今までICTというとコ

ンピュータというイメージがあり取り組むのが大

変だという意識があったが、実物投影機を利用し

たことによりICT利活用は思ったより簡単だと

いう意識に変わった。また、具体的な場面でのI

CT利活用について説明したり、実際に操作した

りしながら研修会を進めたことが、ICT利活用

の方法を理解するのに役立ったと思われる。

(4) 提案授業の参観

3年数学「関数y=ax 」のグラフの学習で2

授業を3時間行った(提案授業1~3 。事前に)

ICT利活用のねらいや方法を示した授業計画を

配付し、生徒の様子を見る視点を明確にした。

① 提案授業1 10月6日(全12時間予定の4時間目)

グラフをかく場面で、生徒と同じグラフ用紙を大きく映すことによって、説明や指示を伝えやすくす

るのに実物投影機を利活用した。

主な学習活動 ICT利活用の場面 ICT利活用のねらい

・生徒に配付したグラフ用紙と同じ ・生徒のグラフ用紙と同

グラフ用紙をそのまま実物投影 じものを映すことで、

・xの値が1間隔の表をかき、グラフ上 機で映したり、ズーム機能を利 グラフに点をとるとき

に点をとった。 用して拡大して映したりして、 に位置を分かりやすく

・-1≦x≦1の範囲で 間隔で点を 点の位置を示した。 示せる。0.1

とり、原点付近のグラフの様子を調べ ・ 間隔で点をとったグラフを ・細かく点をとったグラ0.01

た。 点が並んでいる様子がわかると フをズームアウトして

・ 間隔で点をとったグラフを見て、 ころまで拡大して映した後、一 映すことで、グラフが0.01

グラフが点の集まりであることを理解 つの曲線に見えるようになるま 点の集まりであること

した。 で徐々にズームアウトして映し を理解させることがで

・y=x のグラフの特徴をまとめた。 た。 きる。2

〈生徒の感想〉

・目盛りの途中のどこに点をとってよいか分からないところがあった

が、自分のグラフ用紙と同じものを大きく映しているので、スクリ

ーンで分かりやすく点の位置を確認することができた。

・自分のグラフ用紙よりも細かいところまで大きく映っていたので、

直接教えてもらうよりもスクリーンで教えてもらう方が点の位置を

正確にとることができた。

・原点付近のグラフの学習で、0.01の間隔で点をとったグラフを少し

ずつ離して映したのを見て、最初は点の集まりに見えていたものが連続した曲線に見えるようになった。

〈参観者の感想〉

・点の位置を示すのに分かりやすかった。

・細かな点の集まりを離して見せることで、生徒はグラフを点の集まりとして意識できるようになった。

・スクリーンと生徒のグラフ用紙が同じなので、生徒も安心して学習に取り組めていた。

② 提案授業2 10月9日(全12時間予定の5時間目)

グラフの様子を確認する場面で、生徒のかいたグラフを大きく映すことによって、発表しやすくする

のに実物投影機を利活用したり、グラフの特徴を理解するのにコンピュータを利活用した(コンテンツ

はコンテンツ集を利用 。)

主な学習活動 ICT利活用の場面 ICT利活用のねらい

・生徒に配付したグラフ用紙と同じ ・かいたグラフをすぐに

グラフ用紙を実物投影機で映し、 提示でき、生徒が発表

点をとった。 しやすくなる。

・生徒がかいたグラフを実物投影機 ・いろいろなグラフを示

・前時のy=x の表を基に y=2x で映し、グラフの様子を確認し すことで、aの値によ2 2

、 、

y=3x 、y=1/2x の表をかき、グラ た。 るグラフの違いについ2 2

フに表した。 ・コンピュータを利用して生徒がか て理解を深めることが

y=ax で、aの値を正の範囲で変2

えてグラフをかき、その特徴を考えよ

う。

y=x のグラフをかこう。2

Page 6: 中学校数学におけるICT利活用の促進 - gsn.ed.jpている。一方で、授業でのICT利活用がなかな か進んでいないという実態もある。「平成19年度

・a>0のときのグラフの特徴をaの値 いたグラフ以外のグラフを示し できる。

に着目して考えた。 た。

・コンピュータで提示されたグラフを見

て、グラフの特徴を確認した。

〈生徒の感想〉

・発表するのに、黒板に写さなくてよいので簡単。

・自分のグラフ用紙と同じものが映っているので、自分のグラフが合っているか確認しやすい。

・aの値が変わるとグラフがどう変わっていくか分かりやすかった。

〈参観者の感想〉

・生徒がかいたグラフを示す時間が短縮できてよい。

・aの値を変化させながら、いろいろなグラフが見せられるので、グラフの特徴を確認しやすくなった。

③ 提案授業3 10月10日(全12時間予定の6時間目)

グラフの特徴を考える場面で、係数を変化させながらグラフを示すことによって、グラフの特徴に気

付きやすくしたり、気付いたグラフの特徴について理解を深めるのにコンピュータを利活用した(コン

テンツはコンテンツ集を利用 。)

主な学習活動 ICT利活用の場面 ICT利活用のねらい

・コンピュータを利用し、aの値が ・aの絶対値が同じで符

1と-1のグラフ、2と-2の 号が異なる場合のグラ

グラフというように、絶対値が フを順次示すことで、

同じグラフを1組ずつ変化させ aの値によるグラフの

・y=-2x 、y=-3x 、y=- ながらプロジェクタで映した。 特徴に気付きやすくす2 2

1/2

x のグラフをかいた。 ることができる。2

・グラフの特徴をaの値に着目して考え ・aの値の違いによるグ

た。 ラフの変化について理

・y=ax のグラフの特徴をまとめた。 解を深めることができ2

・放物線、軸、頂点の意味を理解した。 る。

〈生徒の反応〉

・グラフをいろいろ比べることができたので分かりやすかった。

・aの値が変わっていくときのグラフの変化が分かりやすかった。

〈参観者の感想〉

・方眼黒板では、いろいろなグラフをかくのに時間がかかったり、aの値によってグラフが変化していく様

子を一つずつ示すことは難しいが、コンピュータを利用すれば、aの値を変化させ簡単にいろいろなグラ

フを映すことができるのでよい。

・グラフの範囲や一目盛りの大きさも簡単に変えることができるので、方眼黒板では見せることができない

、 、範囲のグラフを見せたり x軸に対称なグラフを1組ずつ見せたりといろいろな見せ方をすることができ

グラフの理解が深まる。

y=ax で、aの値を負の範囲で2

変えてグラフをかき、y=ax のグ2

ラフの特徴をまとめよう。

提案授業を通しての参観者の感想

・見て考えるという場面ではとても効果的であ

る。

・板書にかける時間が短縮され、その分効率よく

授業が展開でき、生徒への説明に時間をかける

ことができる。

・生徒の発表がしやすくなるのと、自分のかいた

ものが教材として示されることによって、学習

意欲の向上にもなる。

、 。・分かりやすく 興味をもって生徒は取り組める

・生徒のワークシートと同じものが提示されてい

るので生徒に安心感を与えることができた。

・板書では見せにくい部分(グラフ)も見せるこ

とができるので、生徒が考えた後に確認ができ

る。

参観した教師から、ICT利活用の方法及び効

果について理解を図るという授業を参観してもら

ったねらいに合った感想が得られた。その中で、

「時間短縮ができる 「発表しやすくなる」とい」

ったことだけではなくそのことによって 「説明、

の時間をかけることができる 「学習意欲の向上」

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にもなる」というような学力向上につながる視点

でICT利活用をとらえた感想を得られたこと

は、ICT利活用のねらいを踏まえた上で、その

方法及び効果について理解してもらえたと考え

る。

2 ICT利活用実践研修会とICT利活用実践の実際

空き時間や放課後を利用して、各数学教師と一

緒にICT利活用計画を立てた。まず今までの学

習指導で、指導しにくい内容や理解させにくいと

感じていることから次のような課題が出された。

〈関数の学習指導上の課題〉

・いろいろなグラフを示して、グラフの特徴の理

解を深めたいときに、黒板だと時間がかかった

り、傾きなどの変化とともにグラフがどう変わ

っていくかを示しにくい。

・グラフをかかせるときに、正確にかかせること

ができない。

・動点の問題や図形を移動させながら変化する数

量を考える問題で、生徒にイメージをつかませ

にくい。

〈図形の学習指導上の課題〉

・図をかかせるときに、かく手順がうまく伝わら

ない。

・黒板にかいた図とワークシートやノートに生徒

がかいた図がどうしても違ってしまうので、指

示や説明が伝わりにくことがある。

・証明を発表させるときに、黒板に書き写す時間

がかかってしまい、多くの生徒に発表させたい

と思うがなかなかできない。

このような課題を、ICTを利活用することに

。 、よって解決できないかを話し合った その過程で

実物投影機やコンピュータの利活用例を紹介した

、 。 、り 期待される効果を説明したりした その結果

次のような考えが出された。

・関数の学習でグラフをかくことがねらいの授業

では、実物投影機で生徒と同じものを映して生

徒にきちんとかかせながら授業を進める。

・関数の学習でいろいろなグラフを比較したい場

合や変化の様子をつかませたい場合はコンピュ

ータを利用する。

・図形の学習で図形をかかせるときには、実物投

影機で生徒と同じ三角定規やコンパスを使って

手順を示す。

・図形の学習で多くの生徒に証明などを発表させ

たいときには、実物投影機を使って生徒のかい

たものをそのまま映す。

、 、話合いの中で ICT利活用の方法だけでなく

コンピュータでグラフや図を示すのは便利だけれ

ども、グラフや図をきちんとかかせることも理解

を深めるために必要なことである、授業のねらい

をよく考えてICT利活用することが大切だとい

、 、う意見も聞かれ ICT利活用の方法だけでなく

ねらいについての理解も深まったと感じられた。

その後、作成したICT利活用計画を基に各数

( )。学教師が授業に取り組んだ 利活用実践1~3

以下に各学年の実践の一部を示す。

(1) 利活用実践1(単元名:1年「比例と反比例」)

説明する場面で、生徒のプリントと同じものを

大きく映すことによって、説明や指示を伝えやす

くするのにコンピュータを利活用した授業実践

学習内容 平面上の点の表し方を理解する。

指導上の 黒板(方眼黒板)で示したグラフ

課題 と生徒のグラフが違うため、生徒が

点の位置が分かりにくい。

ICT利 コンピュータを利用して、生徒が

活用のね 使っているのと同じグラフ用紙を映

らい して説明することで、点をとるとき

に位置を分かりやすく示す。

学習活動 ICT利活用の方法

ICT利活用の場面 (準備したICT機器)

・コンピュータで示 ・コンピュータで示した

されたグラフを見 グラフと同じグラフ

ながら、点のとり 用紙を生徒に配付し、

方や点の座標の表 プロジェクタで映し

し方を理解した。 たスクリーン上のグ

・グラフに示された ラフに点をとり座標

点の座標を表した の表し方を説明した。。

・座標を示された点 (コンピュータ、プロジ

をグラフにとった ェクタ、スクリーン)。

授業者の感想

生徒が使っているものと同じグラフを提示する

ことにより生徒は点の位置を確認しやすくなり、

座標の理解が深まった。また、練習問題で、生徒

にグラフに点をとらせる場合でも、プリントと同

じなので安心感があり積極的に取り組んでいた。

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(2) 利活用実践2(単元名:2年「平行と合同」)

作図の方法を説明する場面で、生徒が使ってい

るのと同じ三角定規やコンパスを使い、かき方を

大きく映すことによって、作図の方法を分かりや

すく伝えるのに実物投影機を利活用した授業実践

学習内容 三角形の合同条件を理解する。

指導上の 生徒に合同な三角形のかき方を説

課題 明するときに、黒板で大きな三角定

、規やコンパスでかき方を説明すると

生徒が使っている三角定規やコンパ

スと大きさが違うので、かき方が伝

わりにくい。

ICT利 実物投影機を利用して、生徒が使

活用のね っている三角定規やコンパスを使っ

らい て合同な三角形のかき方を映しなが

ら説明することで、生徒は教師と同

じ感覚で図をかくことができ、理解

しやすくなる。

学習活動 ICT利活用の方法

ICT利活用の場面 (準備したICT機器)

・提示された三角形 ・合同な三角形のかき方

と合同な三角形の を、生徒と同じ三角

かき方を考えた。 定規やコンパスを使

・合同な三角形のか い作図の様子を実物

き方を理解した。 投影機で映しながら

・2つの三角形が合 説明した。

同になる条件につ ・実物投影機で、教科書

いて考えた。 の合同な三角形を見

・合同条件を利用し いだす問題を映し説

て、合同な三角形 明した。

を見いだした。 (実物投影機、プロジェ

クタ、スクリーン)

授業者の感想

大きな三角定規やコンパスでかくときと比べ

て、生徒がかいているのと同じ感覚でかき方を示

すことができたことによって、分かりやすく伝え

ることができた。また、生徒の視線もスクリーン

に集中していた。さらに、プリントや問題につい

て指示したり、説明したりするときも問題や図そ

のものを指し示しながら指導できるので理解させ

やすかった。

(3) 利活用実践3(単元名:3年「関数y=ax 」)2

問題の説明や解法を考える場面で、問題のイメ

ージをもたせたり、理解を深めたりするのにコン

ピュータを利活用した授業実践(コンテンツは

コンテンツ集を利用)

学習内容 図形のなかに現れる関数を見いだ

し、その関係を考える。

指導上の 図形を移動したときの2つの図形

課題 の重なる様子の変化を理解させにく

かった。

ICT利 コンピュータを利用して、実際に

活用のね 図形が重なっていくときの様子を示

らい すことで、問題の内容を理解しやす

くなる。

学習活動 ICT利活用の方法

ICT利活用の場面 (準備したICT機器)

・三角形が移動し、 ・コンピュータを利用し

正方形と重なった て三角形を移動させ

部分の面積の変化 たときの2つの図形

の様子を調べ、グ の重なる様子をプロ

ラフに表した。 ジェクタで映した。

・台形が移動し、長

方形と重なった部

分の面積の変化の

様子を、2つの場

合に分けて調べ、

グラフに表した。

・コンテンツを利用して

台形を移動させたとき

の2つの図形の重なる

様子をプロジェクタで

映した。

(コンピュータ、プロジ

ェクタ、スクリーン)

授業者の感想

文章で書かれた問題の意味を理解するのに大変

役に立った。また、移動が目に見えることによっ

て点が動くという問題のイメージをとらえること

ができ、同じ内容の問題の解決の際にも題意がと

らえやすくなった。

各数学教師の授業後の感想では 「理解が深ま、

」「 」 、った 分かりやすくなった という声が聞かれ

ICT利活用の効果が実感できたと考える。

Page 9: 中学校数学におけるICT利活用の促進 - gsn.ed.jpている。一方で、授業でのICT利活用がなかな か進んでいないという実態もある。「平成19年度

Ⅴ 結果と考察

1 ICT研修会を通して

研修会では 「ICTの使い方が具体的に見ら、

れたのでよかった 「大きく映すだけでも効果が」

あることが分かった」など研修会のねらいに合っ

た感想が聞かれた。研修会終了後に 「授業のど、

のような場面で、どのようにICTを利活用すれ

ばよいかが理解できたか 「ICT機器の操作方」

法や接続方法が分かったか」についてアンケート

したところ、4人の数学教師全員が「分かった」

という回答だった。これらのことから、授業の具

体的な場面を取り上げて実物投影機やコンピュー

タを利用しながら説明したことは、ICT利活用

についての理解を図るのに有効であったと考え

る。また、15分程度の短い時間で研修会を設定し

たことで、気軽に参加でき、この程度ならできそ

うだという意識をもってもらえたと考える。

提案授業後に 「授業のどのような場面で、ど、

のようにICTを利活用すればよいのかを考える

参考になったか 「実物投影機やコンピュータを」

利用したことは、生徒の理解を促すのに有効であ

ったか」についてアンケートしたところ、4人の

「 」 。数学教師全員が 有効であった と回答している

また感想の中にも 「見て考えるという場面では、

とても効果的である 「分かりやすく、興味をも」

って生徒は取り組める」という声が聞かれた。さ

らに、授業後の生徒のアンケートでも 「手元の、

グラフ用紙と同じグラフ用紙を実物投影機で映し

、 、 、て グラフをかいたり 説明をしたりしたことは

方眼黒板を使って授業をした場合と比べてどうで

したか 「関数y=ax で、コンピュータを利」 2

用してaの値を変えながらグラフを映したこと

は、aの値によるグラフの変化の様子を理解する

のにどうでしたか」という質問に対して、授業を

受けた14人全員が「分かりやすかった」と答えて

いる。

このような結果から、ICT研修会のねらいで

あるICT利活用の方法及び効果について理解が

図れたと考える。

課題としては、研修会後のアンケートで「もっ

といろいろな活用場面、方法を知りたい」という

意見があった。なかなか研修の時間が取れない現

状では、時間を長くしたり、回数を増やすことは

難しい。そこで、研修会で示した以外のICT利

活用の方法については、実践例を集めた資料を作

成し参考にしてもらうのがよいと考える。

ICT利活用実践研修会とICT利活用実践を通し2

各数学教師の授業実践後に 「ICTを利活用、

した授業実践に向けて相談しながら計画を立てた

ことは役に立ったか 「ICT利活用計画は役に」

立ったか」についてアンケートしたところ、3人

の数学教師が「役に立った」と答えている。1人

の数学教師はなかなか時間が取れず事前に検討す

ることができなかったが 「授業の前に相談する、

時間があった方がよい」と答えている。ICTを

利活用した授業をするときには、今まで積み上げ

てきた学習指導の経験から感じている課題を基

に、各数学教師が自分のスタイルに合わせて考え

ることが大切である。しかし、ICT利活用の経

験が少ない場合はなかなか一人では考えられな

い。そのような状況の中で、一緒に考えながら計

画を立てる機会を設定したことは、ICTを利活

用した授業に取り組む上で有効であったと考え

る。

、 、「 」また 授業実践後の感想に 理解が深まった

「積極的に取り組んでいた 「分かりやすく伝え」

ることができた 「題意がとらえやすくなった」」

などと書かれていた。また 「ICTを利活用す、

ることは、授業改善に役立つと思いますか」につ

、 「 」いてアンケートしたところ 4人全員が 役立つ

と回答し 「今後もICTを利活用した授業をし、

たいと思いますか」については「そう思う」が2

人 「まあまあそう思う」が2人であった。この、

ような結果から、授業実践を通してICT利活用

の効果が実感できたと考える。

課題としては、各数学教師がどのようにICT

を授業の中で活かしているかをお互いに知る機会

を多くすることが挙げられる。今回の授業実践で

は、各数学教師がお互いに授業を見合うことはな

かなかできなかったが、より多くのICT利活用

の実践例を知り、それを参考に各数学教師が工夫

し学習指導に活かしていくことが、効果的な授業

改善には必要であると考える。

コンテンツ集について3

「コンテンツ集は授業に役立ったか」について

アンケートしたところ 「役に立った」が3人で、

あった。今回 「図形 「数量関係」で図やグラ、 」

フを提示するものを中心に44のコンテンツを用意

Page 10: 中学校数学におけるICT利活用の促進 - gsn.ed.jpている。一方で、授業でのICT利活用がなかな か進んでいないという実態もある。「平成19年度

したが、グラフを変化させて示したり、動点の問

題で実際に点を動かしながら示したりするコンテ

ンツが効果があるという感想があった。このこと

から、図やグラフについて、変化させながら提示

できるコンテンツから用意したことは有効であっ

たと考える。また、コンテンツを利用した授業は

全学年合わせて5回程度(授業数ではなく学習内

容として)であり、コンテンツ集があることは、

授業でのICT利活用に役立つと考える。

課題としては、コンテンツの一層の充実が挙げ

られる。今後は、多様な学習課題の解決に利用で

きるように 「数と式」に関わるコンテンツや具、

体的な事象を扱ったコンテンツを加えたり、図や

グラフについてもコンテンツを増やしたりする必

要がある。また、同じ教材でも教師によって指導

方法が違ってくるように、同じコンテンツの内容

でも「授業でこう使いたい 「こんなふうに示せ」

」 。るとよい などコンテンツに求めるものも異なる

そこで、同じ内容で使えなそうなコンテンツを複

数用意し、各数学教師の指導方法に合ったものを

選択できるようにお互いに考えを出し合いながら

充実させていくことも必要であると考える。

Ⅵ まとめ

1 成果

○ ICT利活用について、段階的に教科研修会

を工夫したことによって、数学教師の変容が見

られ、ICT利活用の促進が図れた。

○ コンテンツ集を工夫し提示することによっ

て、コンテンツを利用しやすくなり、学習指導

上の課題を解決するためにコンピュータの利活

用を考えたり、実際に授業でコンピュータを利

活用し課題解決ができるようになった。このこ

とから、教科書の内容に合ったコンテンツを用

、 、意したり コンテンツを探しやすくすることは

授業でのICT利活用の促進に有効であること

が分かった。

○ 2学期末時点で、授業でICTを利活用した

回数を聞いたところ、全学年合わせて延べ40時

間程だった。2学期の最初に取ったアンケート

では、過去1年で授業でのICT利活用はほと

んどなかったことと比較するとICTを利活用

する機会が増えた。こうして授業でICTを利

活用することにより学習指導上の課題解決がで

き、授業力の向上が図れた。

2 課題

○ 簡単な使い方でも効果のあるICT利活用を

中心に研修を進めた。各数学教師がICT利活

用をさらに進めるための支援として、ICT利

活用を考えるときに参考にできるような事例集

を作成したいと考える。

○ ICT機器を準備しやすくなるように、機器

、 、をまとめたり コードにタグを付けたりしたが

やはり負担感は残った。今後は、できるだけ簡

単に準備ができるようにお互いに意見を出し合

いながら工夫する必要があると考える。

○ 今後、数学の授業でICTをより効果的に利

活用するために、ICTの利活用が効果的だっ

た実践事例や授業で活用できるコンテンツを数

学教師間で共有していくことが必要であると考

える。

<参考文献>

・文部科学省 『平成19年度学校における教育の

』( )情報化の実態等に関する調査結果 平成20年

・日本教育工学振興会 『地域・学校の特色等を

活かしたICT環境活用先進事例に関する調査

研究 (平成19年)』

・堀田 龍也、高橋 純 編著 『あなたの学校

でもできるプロジェクタ活用50の研修場面』

高陵社書店(2006)

・堀田 龍也、野中 陽一 編著 『わかる・で

きる授業のための教室ICT環境』

三省堂(2008)