25
第5回「熊本地震に関する県内事業主アンケート」 ~震災とコロナ禍、そして豪雨~ 2020年8月

~震災とコロナ禍、そして豪雨~ · 2020. 9. 14. · 1 第5回「熊本地震に関する県内事業主アンケート」122 ~震災とコロナ禍、そして豪雨~

  • Upload
    others

  • View
    0

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

  • 1

    第5回「熊本地震に関する県内事業主アンケート」

    ~震災とコロナ禍、そして豪雨~

    2020年8月

  • 1

    第5回「熊本地震に関する県内事業主アンケート」

    ~震災とコロナ禍、そして豪雨~

    <趣旨>

    熊本地震から、4 年が経過した。

    被災からの売上回復が進まない中、復興需要は終わり、収束の見えないコロナ禍が、日増し

    に重くのしかかりだした。更には、豪雨の追い打ちである。

    この難局は、乗り切ることができるのか?

    本件アンケート調査は、発災の年から、行政・各経済団体などへの情報提供、そして皆様の

    事業の継続・発展に資することを目的に、毎年実施している。5 回目となる今回からは、慶應

    大学蟹江教授のご指導を頂いた。

    感染症拡大が経済活動に与えるダメージを含め、今後も覚悟しなければならない自然災害と

    いう突発変動に対して、是非とも、その突破口を見出したい。

    【監修】慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 教授 蟹江 憲史※

    ※内閣府「地方創生 SDGs 官民連携プラットフォーム」幹事会幹事

    国際連合大学サステイナビリティ高等研究所 非常勤教授、他多数

    <本レポートの構成>

    第1章:震災からの回復とコロナ禍

    復興需要は終わり、売上回復の足取りは重い。そこに襲ったコロナ禍の収束は見えず、

    経営の大きな下押し圧力となっている。

    第2章:「震災×コロナ禍」と「経営課題」

    売上減少、値下げ圧力、安定仕入、運転資金問題など、何れも昨年調査比、経営課題と

    して急浮上した。人手不足の問題も一変し、‘過剰’とする業種が出てきた。

    第3章:「自然災害」や「コロナ禍」に立ち向かう

    「SDG 経営」が、ICT を活用し、「新しい働き方」にも積極的に取り組んで、コロナ禍に

    立ち向かおうとしている。

    そして、売上回復に、「SDG 経営」が突破口を開きつつある。

    <調査概要>

    熊本89546.5%

    菊池1336.9%

    上益城954.9%

    阿蘇814.2%

    宇城904.7%

    球磨1145.9%

    八代1427.4%

    玉名1226.3%

    芦北552.9%

    鹿本472.4%

    天草1497.7%

    農林水産業302%

    鉱業70%

    製造業29015%

    建設業40021%

    電力・ガス・

    水道業70%

    卸売業19010%

    小売業1809%

    金融・保険業91%

    不動産業372%

    運輸・

    情報通信業1287%

    医療・福祉業22912%

    宿泊業281%

    飲食業201%

    その他

    サービス業35019%

    2016年 2017年 2018年 2019年 2020年(今回)

    対象事業所従業員4人以上の

    県内事業所(除く行政)

    同左 同左 同左 同左

    発送先数 10,044先 9,546先 9,406先 9,269先 9,178先

    有効回答数 2,439先 1,857先 1,719先 1,850先 1,924先

    調査期間 6月24日~7月15日 5月23日~6月9日 6月20日~7月5日 6月4日~6月21日 6月4日~6月26日

  • 2

    5.3%

    14.3%

    2.5%

    3.8%

    11.8%

    2.3%

    9.3%

    4.2%

    7.7%

    4.7%

    7.6%

    14.3%

    21.4%

    3.3%

    4.3%

    4.0%

    1.8%

    7.7%

    4.5%

    9.4%

    9.5%

    35.7%

    10.0%

    9.4%

    11.8%

    10.1%

    9.3%

    12.1%

    10.4%

    77.6%

    76.2%

    28.6%

    84.2%

    86.8%

    76.5%

    83.3%

    77.3%

    81.8%

    84.6%

    80.4%

    0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

    その他サービス業

    飲食業

    宿泊業

    運輸・情報通信業

    不動産業

    小売業

    卸売業

    建設業

    製造業

    農林水産業

    総計

    ~20% ~60% ~80% ~100%

    第 1 章:震災からの回復とコロナ禍

    1.ハード面の回復状況

    ➢未だに、11.2%の事業所の操業能力が、75%未満(震災前の操業能力=100)。

    ➢業種別は、農林水産業 31.6%、宿泊業 22.7%、不動産業 17.9%と未回復の割合が高い。

    図表1:操業能力の回復状況(2020年4月末時点)

    図表(参考):操業能力の回復状況(2016年4月末時点)

    0.4%

    4.5%

    1.3%

    5.0%

    3.6%

    2.3%

    1.4%

    2.8%

    1.6%

    1.7%

    6.3%

    1.3%

    3.6%

    0.8%

    1.4%

    1.9%

    1.6%

    1.4%

    7.9%

    18.2%

    5.6%

    5.0%

    10.7%

    9.2%

    8.5%

    7.9%

    8.5%

    31.6%

    8.2%

    72.7%

    75.0%

    59.1%

    76.3%

    67.5%

    71.4%

    74.8%

    72.5%

    68.1%

    69.8%

    57.9%

    71.3%

    17.4%

    18.8%

    18.2%

    16.9%

    21.3%

    10.7%

    13.0%

    16.2%

    19.4%

    20.1%

    10.5%

    17.5%

    0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

    その他サービス業 (n=242)

    飲食業 (n=16)

    宿泊業 (n=22)

    医療・福祉業 (n=160)

    運輸・情報通信業 (n=80)

    不動産業 (n=28)

    小売業 (n=131)

    卸売業 (n=142)

    建設業 (n=216)

    製造業 (n=189)

    農林水産業 (n=19)

    総計 (n=1245)

    ~25% ~50% ~75% ~100% 100%超

    11.2%

    31.6%

    17.9%

    22.7%

  • 3

    77.2%

    69.2%

    76.2%

    85.4%

    80.8%

    77.8%

    85.1%

    73.6%

    73.6%

    73.8%

    66.7%

    76.4%

    4.8%

    7.7%

    4.8%

    2.4%

    1.9%

    2.3%

    6.3%

    2.8%

    3.8%

    5.5%

    7.7%

    4.9%

    5.8%

    5.6%

    4.1%

    8.0%

    5.4%

    5.6%

    5.5%

    5.5%

    2.4%

    3.8%

    11.1%

    1.4%

    4.6%

    7.5%

    7.5%

    5.5%

    6.9%

    15.4%

    19.0%

    4.9%

    7.7%

    5.6%

    9.5%

    11.5%

    7.1%

    10.3%

    33.3%

    8.8%

    0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

    その他サービス業 (n=145)

    飲食業 (n=13)

    宿泊業 (n=21)

    医療・福祉業 (n=41)

    運輸・情報通信業 (n=52)

    不動産業 (n=18)

    小売業 (n=74)

    卸売業 (n=87)

    建設業 (n=239)

    製造業 (n=107)

    農林水産業 (n=9)

    総計 (n=806)

    既に終了 3ヵ月未満 3~6ヵ月 6~12ヵ月 1年以上

    38.4%

    15.8%

    73.7%

    41.3%

    47.6%

    33.3%

    42.9%

    73.1%

    41.8%

    36.7%

    42.9%

    42.4%

    61.6%

    84.2%

    26.3%

    58.7%

    52.4%

    66.7%

    57.1%

    26.9%

    58.2%

    63.3%

    57.1%

    57.6%

    0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

    その他サービス業 (n=362)

    飲食業 (n=19)

    宿泊業 (n=26)

    医療・福祉業 (n=221)

    運輸・情報通信業 (n=121)

    不動産業 (n=37)

    小売業 (n=170)

    卸売業 (n=185)

    建設業 (n=385)

    製造業 (n=281)

    農林水産業 (n=29)

    総計 (n=1836)

    影響あり 影響なし

    2.復興需要

    ➢復興需要の影響を受けたとした事業所は、全体の 42.4%。

    業種別には、宿泊業 73.7%、卸売業 73.1%と影響が大きい(図表 2)。

    ➢しかし、復興需要の影響を受けた先において、「既に終了した」とする事業所は 76.4%、

    「今後半年以内に終了する」の 9.3%を加えると、85.7%に達する(図表 3)。

    図表2:復興需要と売上

    図表3:復興需要はいつまで?

    76.4% 9.3%

  • 4

    0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

    有り 38.7% 無し 61.3%

    0% 20% 40% 60% 80% 100%

    売上に震災の影響「有・無」

    現在の「売上」(震災前=100)

    75%未満49.4%

    75~100%超50.6%

    3.「売上」回復の状況

    ➢震災で売上が減少した事業所は、38.7%。

    その内、49.4%の事業所が、未だに回復していない(図表 4)。

    ➢業種別には、飲食業 68.8%、建設業 64.1%と回復が遅れている(図表 5)。

    ➢震災から 4年が経過しても売上回復は進まず、本年、復興需要剥落にコロナ禍の影響

    も加わり、売上未回復先は 24.1%から 49.4%へ逆に悪化した。

    東北 3県の売上回復状況を見ても、‘時間’は解決してくれない(図表 6)。

    図表4:売上に震災の影響「有・無」 × 現在の「売上」(その①)

    図表5:売上の回復状況(業種別)

    図表6:売上回復の推移(東北3県との比較)

    48.5%

    68.8%

    55.6%

    37.8%

    50.0%

    31.3%

    51.1%

    50.0%

    64.1%

    45.0%

    54.5%

    49.4%

    51.5%

    31.3%

    44.4%

    62.2%

    50.0%

    68.8%

    48.9%

    50.0%

    35.9%

    55.0%

    45.5%

    50.6%

    0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

    その他サービス業 (n=134)

    飲食業 (n=16)

    宿泊業 (n=18)

    医療・福祉業 (n=74)

    運輸・情報通信業 (n=46)

    不動産業 (n=16)

    小売業 (n=88)

    卸売業 (n=70)

    建設業 (n=64)

    製造業 (n=111)

    農林水産業 (n=11)

    総計 (n=656)

    75%未満 75~100%超

    48.8 44.3 42.1 37.9 40.3 37.9 37.0 36.1 36.6

    0

    20

    40

    60

    80

    100

    2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

    21.3 28.9 28.8 24.149.4

    0

    20

    40

    60

    80

    100

    2016 2017 2018 2019 2020東北被災3県(東北経済産業局)

    熊本県内(当研究所)(%)

    売上回復=75~100%超

    ☜売上未回復=0~75%

    ☜売上未回復

    (%)

  • 5

    5.8%

    6.8%

    2.1%

    3.7%

    2.0%

    3.8%

    5.2%

    2.7%

    4.1%

    10.4%

    5.6%

    16.1%

    13.4%

    14.8%

    9.5%

    5.1%

    13.9%

    5.0%

    9.9%

    20.0%

    11.1%

    7.1%

    9.9%

    13.4%

    3.7%

    19.6%

    13.4%

    19.9%

    18.1%

    21.1%

    16.5%

    14.2%

    22.2%

    14.3%

    17.4%

    13.4%

    29.6%

    15.5%

    13.4%

    13.9%

    17.2%

    15.2%

    14.2%

    27.8%

    42.9%

    13.7%

    12.4%

    7.4%

    15.5%

    19.7%

    15.6%

    17.6%

    31.6%

    16.5%

    35.4%

    33.3%

    35.7%

    36.0%

    45.4%

    40.7%

    37.8%

    44.6%

    31.6%

    39.4%

    47.4%

    37.7%

    0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

    その他サービス業 (n=260)

    飲食業 (n=18)

    宿泊業 (n=28)

    医療・福祉業 (n=161)

    運輸・情報通信業 (n=97)

    不動産業 (n=27)

    小売業 (n=148)

    卸売業 (n=157)

    建設業 (n=231)

    製造業 (n=221)

    農林水産業 (n=19)

    総計 (n=1367)

    既に終了 3ヵ月未満 3~6ヵ月 6~12ヵ月 1年以上 わからない

    73.0%

    90.0%

    100.0%

    70.9%

    75.4%

    78.4%

    82.6%

    82.4%

    59.8%

    76.8%

    70.4%

    73.3%

    27.0%

    10.0%

    29.1%

    24.6%

    21.6%

    17.4%

    17.6%

    40.2%

    23.2%

    29.6%

    26.7%

    0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

    その他サービス業 (n=356)

    飲食業 (n=20)

    宿泊業 (n=27)

    医療・福祉業 (n=223)

    運輸・情報通信業 (n=126)

    不動産業 (n=37)

    小売業 (n=178)

    卸売業 (n=187)

    建設業 (n=383)

    製造業 (n=285)

    農林水産業 (n=27)

    総計 (n=1849)

    影響あり 影響なし

    4.コロナ禍の影響(売上への影響と期間)

    ➢73.3%の事業者が、売上減少の影響を受けている。

    業種別には、特に宿泊業 100%、飲食業 90%と影響を受けた割合が高い。(図表 7)。

    ➢69.4%の事業所が、「6ヶ月以上」続くまたは「わからない」と回答。

    業種別には、宿泊業 92.9%、飲食業 83.3%と長期化懸念が大きく出ている(図表 8)。

    図表7:コロナ禍の影響

    図表8:影響の期間

    69.4%

    92.9%

    83.3%

  • 6

    0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

    有り 38.7% 無し 61.3%

    0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

    売上に震災の影響「有・無」

    現在の「売上」(震災前=100)

    75%未満49.4%

    75~100%超50.6%

    75%未満12.9%

    75~100%超87.1%

    A B

    50.5% 28.8% 15.2%3.4%

    0.6%1.5%

    0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

    大きく減少 減少 やや減少 影響なし やや増加 増加

    36.1% 29.3% 17.3% 13.5%3.0%

    0.8%

    0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

    大きく減少 減少 やや減少 影響なし やや増加 増加

    5.コロナ禍の影響(その特徴)

    ➢震災の影響を受けなかった事業所も、12.9%が売上 75%未満(図表 9)。

    ➢更に、震災で売上が減少した事業所は 94.5%、震災の影響を受けなかった事業所も

    82.7%が、コロナ禍の影響で売上を落としている(図表 10)。

    図表9:売上に震災の影響「有・無」 × 現在の「売上」(その②)

    図表10:「売上75%未満(震災前=100)の事業所」 × 「コロナ禍」

    <第 1 章のまとめ>

    ➢震災からの売上回復の足取りは重く、復興需要の剥落にコロナ禍が襲い、経営に重い

    負担が生じている。

    ➢更には、コロナ禍の収束の見通しは立たず、大きな下押し圧力になっている。

    ➢次章では、「震災×コロナ禍」の中で急浮上している「経営課題」を明らかにし、

    その解決策を探る。

    82.7%

    ←コロナ禍の影響

    ←コロナ禍の影響

    94.5%

  • 7

    第2章: 「震災×コロナ禍」 と 「経営課題」

    ➢売上減少、値下げ圧力、安定仕入、運転資金問題など、何れも昨年調査比、経営

    課題として急浮上した。

    ➢人手不足の問題も一変し、‘過剰’とする業種が出てきた。

  • 8

    30.9%

    70.0%

    89.3%

    28.4%

    43.2%

    18.9%

    45.8%

    39.3%

    15.8%

    43.0%

    48.1%

    33.7%

    26.8%

    10.0%

    7.1%

    28.0%

    28.8%

    43.2%

    32.2%

    34.4%

    28.3%

    28.9%

    11.1%

    28.6%

    10.8%

    5.0%

    6.9%

    3.2%

    9.0%

    12.6%

    17.4%

    10.2%

    14.8%

    10.7%

    13.5%

    10.0%

    11.5%

    12.0%

    18.9%

    6.8%

    7.1%

    20.3%

    8.1%

    11.1%

    12.3%

    18.0%

    5.0%

    3.6%

    25.2%

    12.8%

    18.9%

    6.2%

    6.6%

    18.2%

    9.9%

    14.8%

    14.6%

    0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

    その他サービス業 (n=362)

    飲食業 (n=20)

    宿泊業 (n=28)

    医療・福祉業 (n=218)

    運輸・情報通信業 (n=125)

    不動産業 (n=37)

    小売業 (n=177)

    卸売業 (n=183)

    建設業 (n=385)

    製造業 (n=284)

    農林水産業 (n=27)

    総計 (n=1846)

    問題あり やや問題 どちらとも あまりない 問題なし

    1.売上の減少

    ➢売上減少を、62.3%が経営課題としており、昨年 36.7%と比べ、大幅に増加して

    いる。(図表 1)。

    ➢業種別には、宿泊業 96.4%、飲食業 80.0%と、顕著である(図表 2)。

    ➢また、コロナ禍の影響がある事業所は、77.9%に達する(図表 3)。

    図表1:売上減少(昨年調査との比較)

    図表2:売上減少(業種別)

    図表3:売上減少(コロナ禍)

    16.2%

    33.7%

    20.5%

    28.6% 10.7% 12.3% 14.6%

    0.0% 10.0% 20.0% 30.0% 40.0% 50.0% 60.0% 70.0% 80.0% 90.0% 100.0%

    2019

    2020

    問題あり やや問題 どちらとも あまりない 問題なし

    62.3%

    36.7%

    6.5%

    44.0%

    15%

    33.9%

    15.4%

    9.0%

    22.8%

    8.1%

    40.0%

    5.0%

    0.0% 10.0% 20.0% 30.0% 40.0% 50.0% 60.0% 70.0% 80.0% 90.0% 100.0%

    コロナ禍

    影響なし

    コロナ禍

    影響あり

    問題あり やや問題 どちらとも あまりない 問題なし

    77.9%

  • 9

    2.値下げ圧力

    ➢値下げ圧力を、17.6%が経営課題としており、昨年 14.2%と比べて増加(図表 4)。

    ➣業種別には、不動産業 38.9%、農林水産業 34.6%、宿泊業 33.3%、飲食業 26.3%

    に、値下げ圧力が強まっている。

    ➢また、コロナ禍の影響がある事業所は 20.5%と、影響のない事業所の2倍以上と

    なっている。

    図表4:値下げ圧力(昨年調査との比較)

    図表5:値下げ圧力(業種別)

    図表6:値下げ圧力(コロナ禍)

    2.8%

    10.5%

    14.8%

    0.5%

    5.0%

    8.3%

    5.2%

    6.6%

    4.5%

    5.4%

    19.2%

    4.7%

    11.3%

    15.8%

    18.5%

    3.4%9.1%

    30.6%

    14.9%

    15.9%

    13.6%

    16.1%

    15.4%

    12.9%

    19.5%

    15.8%

    18.5%

    12.7%

    14.9%

    11.1%

    17.8%

    17.0%

    20.1%

    21.9%

    11.5%

    18.1%

    24.0%

    31.6%

    33.3%

    22.9%

    30.6%

    11.1%

    27.6%

    29.1%

    28.1%

    26.5%

    15.4%

    26.3%

    42.4%

    26.3%

    14.8%

    60.5%

    40.5%

    38.9%

    34.5%

    31.3%

    33.7%

    30.1%

    38.5%

    38.0%

    0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

    その他サービス業 (n=354)

    飲食業 (n=19)

    宿泊業 (n=27)

    医療・福祉業 (n=205)

    運輸・情報通信業 (n=121)

    不動産業 (n=36)

    小売業 (n=174)

    卸売業 (n=182)

    建設業 (n=374)

    製造業 (n=279)

    農林水産業 (n=26)

    総計 (n=1797)

    問題あり やや問題 どちらとも あまりない 問題なし

    3.8%

    4.7%

    10.4%

    12.9% 18.1% 26.3% 38.0%

    0.0% 10.0% 20.0% 30.0% 40.0% 50.0% 60.0% 70.0% 80.0% 90.0% 100.0%

    2019

    2020

    問題あり やや問題 どちらとも あまりない 問題なし

    17.6%

    14.2%

    1.6%

    5.9%

    7.8%

    14.6%

    14.2%

    20.0%

    23.8%

    27.4%

    52.6%

    32.2%

    0.0% 10.0% 20.0% 30.0% 40.0% 50.0% 60.0% 70.0% 80.0% 90.0% 100.0%

    コロナ禍影

    響なし

    コロナ禍影

    響あり

    問題あり やや問題 どちらとも あまりない 問題なし

    20.5%

  • 10

    3.運転資金

    ➢運転資金を、35.0%が経営課題としており、昨年 23.4%と比べて増加(図表 7)。

    ➢業種別には、宿泊業 92.9%、飲食業 75.0%、農林水産業 59.2%が大きい(図表 8)。

    ➢また、コロナ禍の影響がある事業所は、44.0%に達する(図表 9)。

    図表7:運転資金の負担(昨年調査との比較)

    図表8:運転資金の負担(業種別)

    図表9:運転資金の負担(コロナ禍)

    11.2%

    40.0%

    67.9%

    9.3%

    20.3%

    8.3%

    10.9%

    10.9%

    6.4%

    17.2%

    37.0%

    13.0%

    25.0%

    35.0%

    25.0%

    19.2%

    20.3%

    13.9%

    25.7%

    17.4%

    21.0%

    23.3%

    22.2%

    22.0%

    17.1%

    20.0%

    3.6%

    18.7%

    11.4%

    25.0%

    19.4%

    26.6%

    18.6%

    18.6%

    7.4%

    18.5%

    13.8%

    5.0%

    15.0%

    26.8%

    13.9%

    18.9%

    19.0%

    20.7%

    18.3%

    14.8%

    17.6%

    32.9%

    3.6%

    37.9%

    21.1%

    38.9%

    25.1%

    26.1%

    33.4%

    22.6%

    18.5%

    28.9%

    0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

    その他サービス業 (n=356)

    飲食業 (n=20)

    宿泊業 (n=28)

    医療・福祉業 (n=214)

    運輸・情報通信業 (n=123)

    不動産業 (n=36)

    小売業 (n=175)

    卸売業 (n=184)

    建設業 (n=377)

    製造業 (n=279)

    農林水産業 (n=27)

    総計 (n=1819)

    問題あり やや問題 どちらとも あまりない 問題なし

    8.6%

    13.0%

    14.8%

    22.0% 18.0% 18.0% 29.0%

    0.0% 10.0% 20.0% 30.0% 40.0% 50.0% 60.0% 70.0% 80.0% 90.0% 100.0%

    2019

    2020

    問題あり やや問題 どちらとも あまりない 問題なし

    35.0%

    23.4%

    2.4%

    16.9%

    9.0%

    27.1%

    16.5%

    19.2%

    20.6%

    16.5%

    51.4%

    20.3%

    0.0% 10.0% 20.0% 30.0% 40.0% 50.0% 60.0% 70.0% 80.0% 90.0% 100.0%

    コロナ禍影

    響なし

    コロナ禍影

    響あり

    問題あり やや問題 どちらとも あまりない 問題なし

    44.0%

  • 11

    4.事業承継・継続

    ➢事業承継・継続を、26.2%が経営課題としており、昨年とほぼ同じ(図表 10)。

    ➢業種別には、宿泊業 60.7%、飲食業 55.0%、農林水産業 38.4%が高い(図表 11)。

    ➢また、コロナ禍の影響がある事業所は 29.9%と、より強い(図表 12)。

    図表10:事業承継・継続の問題(昨年調査との比較)

    図表11:事業承継・継続の問題(業種別)

    図表12:事業承継・継続の問題(コロナ禍)

    9.0%

    30.0%

    39.3%

    2.8%

    8.2%

    8.3%

    11.6%

    10.4%

    7.9%

    9.6%

    26.9%

    9.4%

    13.5%

    25.0%

    21.4%

    14.9%

    18.0%

    20.3%

    18.1%

    17.6%

    19.3%

    11.5%

    16.8%

    24.4%

    15.0%

    25.0%

    17.7%

    21.3%

    11.1%

    17.4%

    22.5%

    19.2%

    20.4%

    19.2%

    20.4%

    16.9%

    15.0%

    10.7%

    17.7%

    18.0%

    19.4%

    18.0%

    18.1%

    21.6%

    21.4%

    7.7%

    18.8%

    36.2%

    15.0%

    3.6%

    47.0%

    34.4%

    61.1%

    32.6%

    30.8%

    33.7%

    29.3%

    34.6%

    34.6%

    0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

    その他サービス業 (n=356)

    飲食業 (n=20)

    宿泊業 (n=28)

    医療・福祉業 (n=215)

    運輸・情報通信業 (n=122)

    不動産業 (n=36)

    小売業 (n=172)

    卸売業 (n=182)

    建設業 (n=380)

    製造業 (n=280)

    農林水産業 (n=26)

    総計 (n=1817)

    問題あり やや問題 どちらとも あまりない 問題なし

    11.5%

    9.4%

    14.4%

    16.8% 20.4% 18.8% 34.6%

    0.0% 10.0% 20.0% 30.0% 40.0% 50.0% 60.0% 70.0% 80.0% 90.0% 100.0%

    2019

    2020

    問題あり やや問題 どちらとも あまりない 問題なし

    26.2%

    25.9%

    3.9%

    11.4%

    12.8%

    18.5%

    15.5%

    22.4%

    17.7%

    19.2%

    50.1%

    28.4%

    0.0% 10.0% 20.0% 30.0% 40.0% 50.0% 60.0% 70.0% 80.0% 90.0% 100.0%

    コロナ禍影

    響なし

    コロナ禍影

    響あり

    問題あり やや問題 どちらとも あまりない 問題なし

    29.9%

  • 12

    5.人手の問題

    ➢ビフォー・コロナでは「人手不足」一色だったが、コロナ禍で一変し、「過剰」と

    する事業所が現れた。

    特に、宿泊業 25.0%、飲食業 25.0%が顕著(図表 13)。

    図表13:人手不足の問題(業種別)

    <自由コメント>

    業種 ポイント 内容

    農林水

    産業

    外国人

    労働者 人手不足でベトナムから来てもらう予定がコロナで日程が決まっていない。

    製造業 外国人

    技術継承

    人手不足が続いています。外国人労働者(研修生)を 2 名受け入れていますが、まもなく帰国しま

    す。現状、次の研修生の受け入れができない為、人材確保は喫緊の課題です。又、若い世代へ

    の技術の継承も課題です。

    建設業 人材確保の

    為の投資

    建設業における最大の経営資源は人であり、人材の確保育成は最重要課題として捉えている。

    その為、安全衛生並びに業務効率化、作業環境の改善等への設備投資が増加している。

    卸売業 人材育成

    の視点

    業種構造的な収益性低下の中で、人手の不足感・人件費の上昇・消費増税等、プラス要因が見

    出しづらい状況。限られた人員で競争力を保ちつつ、働き方改革に則した体制づくりが急務。営

    業時間の短縮・店休日の設定をしつつ、魅力の高い売り場とサービスの実現。その原動力とな

    る、中核人材の確保と育成が一層重要になると思われます。

    小売業 雇用のミス

    マッチ解消

    車も変わり、新しい設備投資が国から求められている。設備投資ができず、後継者もいない自動

    車整備業の方の、雇用の受け皿で貢献できるなら、していきたい。

    医療・ 福祉業

    コロナ禍

    要因

    業界自体が人手不足の仕事であるが、コロナの影響によりますます人材確保が難しくなってい

    る。高齢者相手の為、少しでも熱があった場合(職員本人や職員家族)はしばらく休ませるため、

    その間はその他の職員が休日出勤等で対応することになる。

    宿泊業 将来的な

    人手確保

    ホテル売り上げの主力である宴会が全く動いていない。婚礼も含め大半が下期~来期への延期

    となっている。コロナが終息すると延期案件が一定期間に集中する恐れあり。配膳会やコンパニ

    オンなどの周辺での人手確保が難しく、仕事をこなしきれない可能性が大きい。また新しい生活

    様式対応でこれまで以上に人手がかかり利益率も落ちる。

    飲食業 人手余剰 店舗縮小や売り上げ減の為、社員が過剰になってしまった。

    14.5%

    35.0%

    14.3%

    16.4%

    19.4%

    5.6%

    7.5%

    6.0%

    22.8%

    5.0%

    7.4%

    13.8%

    35.8%

    25.0%

    35.7%

    29.6%

    29.0%

    22.2%

    30.6%

    24.5%

    38.6%

    32.5%

    33.3%

    32.6%

    42.5%

    15.0%

    25.0%

    44.6%

    39.5%

    66.7%

    49.7%

    57.1%

    31.9%

    45.4%

    44.4%

    42.8%

    7.0%

    20.0%

    21.4%

    8.0%

    10.5%

    5.6%

    11.6%

    10.3%

    5.7%

    12.9%

    7.4%

    9.1%

    0.3%

    5.0%

    3.6%

    1.4%

    1.6%

    0.6%

    2.2%

    1.0%

    4.3%

    7.4%

    1.7%

    0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

    その他サービス業 (n=358)

    飲食業 (n=20)

    宿泊業 (n=28)

    医療・福祉業 (n=213)

    運輸・情報通信業 (n=124)

    不動産業 (n=36)

    小売業 (n=173)

    卸売業 (n=184)

    建設業 (n=386)

    製造業 (n=280)

    農林水産業 (n=27)

    総計 (n=1829)

    不足 やや不足 どちらとも やや過剰 過剰

  • 13

    <自由コメント> 今回、熱心なコメントを、数多くいただいた。ここに、その一部を紹介する。

    「コロナ禍」 と「経営課題」

    <キーワード>

    業種 ポイント 内容

    農林水

    産業

    地域資源の

    活用

    地域に根ざした文化や伝統、食と守りながら良く知り身近な方の口こみが地域を担い育てていく基

    本的なことのように思います。

    卸売業 熊本地震の

    教訓

    日本経済・世界経済の破綻の可能性がある状況の中、熊本県民としては熊本地震を乗り越えた力

    強さはあるかと思いますが、それ以上に厳しい業種の方々を思うと心苦しく思います。今後の対応・

    対策としては、国・県・市・企業が臨機応変に行動し『破綻』にはならない様に一丸となって取り組ま

    ねばならないと考えます。

    医療 〃

    創造的復興は正しく「BCP]であり、コロナ渦にも応用できると考える。熊本はここ 4 年で、2 つの貴

    重な「天災」を経験し、計画は策定できていなくとも、「直感」によりBCP実践ができているように思

    われる。

    運輸業

    固定費

    従業員への

    配慮

    復興に向けては県市経済界の努力の結果が生まれていると思います。住宅の設備等が急務の課

    題として残っています。タクシー需要にも多少影響は残っていて、1日 1 車両当の運収はまだマイナ

    ス現象が続いています。当然消費税の影響もあります。コロナ渦では初めての大幅な減収で先が

    見えません。雇調金での対応を 3 月から始め、現在の拡充で少し補っていますが、未だ審査中で

    す。近く確定の様子です。売上は 6 月に入り少し稼働台数を増やしつつありますので、少しカバーを

    始めましたが、とても固定費をカバー出来ず苦慮しています。ただし。社員さんは給与面等では喜

    んでくれています。

    福祉 モチベー

    ション

    今の現状を、良い状況にする為にも、1 人 1 人がチャレンジ精神をもち、行動して行くこと。コロナは

    見えないのが厄介である。少々パニック気味ではあるが、個人個人が今の状況を把握して、どのよ

    うな観点から物事を考え、モチベーションを維持していくか。当施設においては、リモートワークはで

    きない。利用者支援において課題であり、各施設における対応策を考えるべきだろう。

    宿泊業 コロナ

    対応

    コロナについては通年でつきあっていく事と位置付けて、業務を進めていくしかない。正しい情報と

    正しい対策を準備し、理解し、共有して日々の生活を営むしかないと思います。

    飲食業 業態の

    見直し

    震災から4年が過ぎ飲食業は年々売り上げが減少しましたが、4年でやっと少しずつ前年をクリアし

    て行っている矢先に繁忙期(3月~5月)が大打撃。4月は前年のマイナス 70%今期黒字の予定が

    大きく激減した。今後の市場がどこまで戻るかは予想がつかず業態の見直しを検討している。

    *ユーザーローカル テキストマイニングツール( https://textmining.userlocal.jp/ )で分析

  • 14

    <頂いた「自由コメント」から>

    6 月調査時点において、「自粛」や「需要減退」の直接的影響を受ける事業所が、大変厳しい

    状況に置かれている。

    そことの取引関係のある事業所も同様だか、「これから、影響がより深刻化する。」との声が

    多く聞かれた。今回の豪雨は、更に、過酷な追い打ちをかけているのである。

    一方、ウイズ・コロナへの適応や、イノベーションに挑戦する動きが、注目される。

    コロナ禍は、4~5 年先と思われていた変化を、一気に引き寄せたところがある。

    「対応しなければいけないと、分かってはいるけど、それは今じゃなくても ・・・。」と

    いった態度を、一蹴した。

    コロナ禍は、「パラダイム・シフト」と「不可逆的変動」への対応を、我々に迫っている。

    以上

    やっと回復した矢先☞56社売上が回復していない☞9社まだ借入が残っている☞16社

    食品・薬品製造業等廃棄物処理

    卸/倉庫・不動産貨物運送

    対法人サービス建設/車修理・販売

    小売/旅客運送/宿泊・飲食医療・福祉

    対個人サービス288社

    79社

    不安/恐怖☞39社事業継続が困難☞27社生産能力を縮小☞6社売上が‘激減’☞176社

    価格低下☞63社

    熊本地震

    不安/恐怖☞11社事業継続が困難☞8社生産能力を縮小☞4社売上が‘激減’☞110社値引き要請☞58社

    267社

    ネット販売デジタル化新しい働き方

    <適応>

    新事業将来を見る(熊本地震での気づき)

    <挑戦>

    海外仕入れ困難

    海外仕入れ困難

    1.「合理性追求」一辺倒の限界☞熊本地震での ☞‘連携’

    2.これまでの「成功体験」が通用しない☞事実認識に基づく経営判断

    3.「社会課題」の中にビジネスチャンス☞過疎地域に潜在する住宅需要

    4.「骨太方針2020」の大転換☞‘ちょんまげ企業’の淘汰

    5.「日本型雇用慣行」の制度疲労☞担い手のシェリング(副業・兼業)

    ジョブ型雇用(成果物評価)テレワーク(在宅勤務、ワーケーション)家族まで含めた健康経営

    6.「無償労働」の再評価☞家事や育児・介護などの男女の役割分担

    パラダイム・シフト

    1.過密都市から地方へ☞世界中のメガロポリスがコロナ禍の渦中に

    2.デジタル格差☞行政・医療・教育、地域企業の変革

    3.インバウンド・アウトバウンドの変化☞マイクロツーリズムへ

    4.海外拠点の国内回帰☞生産拠点、販売拠点、仕入・・・。

    5.ソーシャル・ディスタンス☞対面(サービス)型消費⇒非対面型消費

    量販店テイクアウトネット通販

    6.食糧・エネルギー(再生エネ)の自給☞懐かしい未来

    不可逆的変動

  • 15

    第3章: 「自然災害」 や 「コロナ禍」に立ち向かう

    ➢「SDG 経営」が、ICT を活用し、「新しい働き方」にも積極的に取り組んで、コロナ

    禍に立ち向かおうとしている。

    ➢そして、売上回復に、「SDG 経営」が突破口を開きつつある。

    これは、震災やコロナ禍ばかりでなく、豪雨を含め、突発変動に対する力強い方

    向性を示している。

  • 16

    1.SDG経営

    ➢昨年までの本調査に於いて、「SDG 経営」が、震災からの売上の回復に、有効に

    機能していることを明らかにしている。

    ➢本章では、この点を掘り下げるが、まずは、有効回答 1,924件の「SDG経営」の

    分布状況を確認する。

    ➢正規分布の作成を試みると、「SDG 経営」に関心のあるグループと、関心のない

    グループとの、2つの母集団が存在することが分かった(図表 1)。

    <「SDG経営」とは>

    S D G sエスディージーズ

    (持続可能な開発目標:Sustainable Development Goals)は、2015 年に国連で採

    択されたもので、17 個の目標(Goals)から構成され、経済・社会・環境問題を一体とし、‘誰

    一人取り残さない’という包摂的理念を掲げる。

    「SDG 経営」とは、事業活動の中心に SDGs を置く経営を言う。

    図表1:「SDG経営」分布図

    <「SDG経営」の指数化>

    本調査において、SDGs の認知度や、経営に取り組む考え、ビジネスチャンスとの関係、

    リスクヘッジとしての効果などについて、1~19p の段階評価をお願いした。

    0

    100

    200

    300

    400

    500

    600

    1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19

    積極派18.3%

    消極派16.8%

    無関心派

  • 17

    2.「SDG経営」と「ICT」

    ➢前項の「SDG 経営」分布図から、「積極派」「消極派」「無関心派」の3グループ

    を抽出し、ICT活用状況を比較する。

    ➢庶務/単純業務の効率化(図表 2)、マーケティングやマネジメントへの活用(図

    表 3・4)ともに、SDG経営の「積極派」が積極的に取り組んでいる。

    ➢また、モバイル PCなどテレワーク関連も同様である(図表 5)。

    図表2:SDG経営×ICT(庶務/単純業務など)

    46.1% 47.9%

    6.0%

    0.0%

    10.0%

    20.0%

    30.0%

    40.0%

    50.0%

    60.0%

    70.0%

    ICT低 ICT中 ICT高

    SDG経営「無関心派」

    36.7%

    54.7%

    8.6%

    0.0%

    10.0%

    20.0%

    30.0%

    40.0%

    50.0%

    60.0%

    70.0%

    ICT低 ICT中 ICT高

    SDG経営「消極派」

    SDG経営「積極派」

    11.7%

    60.4%

    27.9%

    0.0%

    10.0%

    20.0%

    30.0%

    40.0%

    50.0%

    60.0%

    70.0%

    ICT低 ICT中 ICT高

  • 18

    図表3:SDG経営×ICT(市場調査/商品・価格・販路・販促政策など)

    図表4:SDG経営×ICT(業務・実績の進捗管理など)

    図表5:SDG経営×ICT(モバイルPCなどテレワーク関連)

    55.9%

    41.5%

    2.6%

    0.0%

    10.0%

    20.0%

    30.0%

    40.0%

    50.0%

    60.0%

    70.0%

    ICT低 ICT中 ICT高

    SDG経営「無関心派」 SDG経営「積極派」

    45.3% 46.8%

    7.9%

    0.0%

    10.0%

    20.0%

    30.0%

    40.0%

    50.0%

    60.0%

    70.0%

    ICT低 ICT中 ICT高

    22.7%

    65.6%

    11.7%

    0.0%

    10.0%

    20.0%

    30.0%

    40.0%

    50.0%

    60.0%

    70.0%

    ICT低 ICT中 ICT高

    SDG経営「消極派」

    48.0% 46.8%

    5.2%

    0.0%

    10.0%

    20.0%

    30.0%

    40.0%

    50.0%

    60.0%

    ICT低 ICT中 ICT高

    SDG経営「無関心派」 SDG経営「積極派」

    41.6%

    51.8%

    6.6%

    0.0%

    10.0%

    20.0%

    30.0%

    40.0%

    50.0%

    60.0%

    ICT低 ICT中 ICT高

    19.9%

    56.3%

    23.8%

    0.0%

    10.0%

    20.0%

    30.0%

    40.0%

    50.0%

    60.0%

    ICT低 ICT中 ICT高

    SDG経営「消極派」

    71.8%

    26.0%

    2.2%

    0.0%

    10.0%

    20.0%

    30.0%

    40.0%

    50.0%

    60.0%

    70.0%

    80.0%

    ICT低 ICT中 ICT高

    SDG経営「無関心派」 SDG経営「積極派」

    66.2%

    28.7%

    5.1%

    0.0%

    10.0%

    20.0%

    30.0%

    40.0%

    50.0%

    60.0%

    70.0%

    80.0%

    ICT低 ICT中 ICT高

    35.9%

    44.4%

    19.6%

    0.0%

    10.0%

    20.0%

    30.0%

    40.0%

    50.0%

    60.0%

    70.0%

    80.0%

    ICT低 ICT中 ICT高

    SDG経営「消極派」

  • 19

    3.「SDG経営」と「新しい働き方」

    ➢「時差出勤」の取り組みに対し、現在・コロナ禍収束後共に、SDG経営「積極派」

    が積極的(図表 6・7)。

    ➢「テレワーク」も、同様(図表 8・9)。

    ※紙面の都合で「無関心派」を割愛したが、結果は、前項同様である。

    図表6:SDG経営×時差出勤(現在)

    図表7: 〃 (コロナ禍収束後)

    SDG経営「消極派」

    0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

    その他

    サービス業

    医療・福祉

    運輸・情報通信

    小売業

    卸売業

    建設業

    製造業

    全体

    実施している 試行的に実施 実施予定 今後検討 実施していない/業態的にできない

    SDG経営「積極派」

    0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

    その他

    サービス業

    医療・福祉

    運輸・情報通信

    小売業

    卸売業

    建設業

    製造業

    全体

    実施している 試行的に実施 実施予定 今後検討 実施していない/業態的にできない

    0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

    その他サービス業医療・福祉

    運輸・情報通信小売業卸売業建設業製造業全体

    常態として

    実施する

    必要に応じ

    柔軟に実施

    検討する 未定 実施しない/業態的にできない

    SDG経営「消極派」

    0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

    その他サービス業医療・福祉

    運輸・情報通信小売業卸売業建設業製造業

    全体

    常態として

    実施する

    必要に応じ

    柔軟に実施

    検討する 未定 実施しない/業態的にできない

    SDG経営「積極派」

  • 20

    図表8:SDG経営×テレワーク(現在)

    図表9: 〃 (コロナ禍収束後)

    SDG経営「消極派」

    0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

    その他

    サービス業

    医療・福祉

    運輸・情報通信

    小売業

    卸売業

    建設業

    製造業

    全体

    実施している 試行的に実施 実施予定 今後検討 実施していない/業態的にできない

    SDG経営「積極派」

    0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

    その他

    サービス業

    医療・福祉

    運輸・情報通信

    小売業

    卸売業

    建設業

    製造業

    全体

    実施している 試行的に実施 実施予定 今後検討 実施していない/業態的にできない

    SDG経営「消極派」

    0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

    その他サービス業医療・福祉

    運輸・情報通信小売業卸売業建設業製造業

    全体

    常態として

    実施する

    必要に応じ

    柔軟に実施

    検討する 未定 実施しない/業態的にできない

    SDG経営「積極派」

    0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

    その他サービス業医療・福祉

    運輸・情報通信小売業卸売業建設業製造業

    全体

    常態として

    実施する

    必要に応じ

    柔軟に実施

    検討する 未定 実施しない/業態的にできない

  • 21

    62.6p

    64.2p

    80.1p

    0.0p 10.0p 20.0p 30.0p 40.0p 50.0p 60.0p 70.0p 80.0p 90.0p

    無関心派

    消極派

    積極派

    56.7p

    63.7p

    79.9p

    0.0p 10.0p 20.0p 30.0p 40.0p 50.0p 60.0p 70.0p 80.0p 90.0p

    無関心派

    消極派

    積極派

    58.2p

    64.5p

    77.9p

    0.0p 10.0p 20.0p 30.0p 40.0p 50.0p 60.0p 70.0p 80.0p 90.0p

    無関心派

    消極派

    積極派

    4.「SDG経営」と「ESG」

    ➢「ESG」への取り組みに対し、SDG経営「積極派」が積極的(図表 10・11・12)。

    ➢ SDG経営への取り組みは、ESGの関心の強さに表れている。

    <「ESG」とは>

    E S Gイーエスジー

    とは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の頭文字を

    取ったもの。 今日、企業の長期的な成長のためには、ESG が示す 3 つの観点が必要だという

    考え方が世界的に広まっている。

    図表10:SDG経営×地球環境への関心

    図表11:SDG経営×地域社会への関心

    図表12:SDG経営×社会規範への関心

    仮置き

  • 22

    60.6%

    58.7%

    42.9%

    35.5%

    37.0%

    46.4%

    3.9%

    4.3%

    10.7%

    0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

    無関心派

    消極派

    積極派

    75%以下 ~100% 100%超

    5.「SDG経営」と「売上回復」

    ➢震災とコロナ禍の双方の影響を受けている事業所が、34.7%ある。

    この二重苦に直面する事業所(A1・B1)の「SDG経営」の分布図を作成した(図

    表 13)。

    ➢SDG経営「積極派」の、実に 57.1%が売上を回復もしくは 100%超となっており

    (震災前の売上=100)、「SDG 経営」が、自然災害とコロナ禍の突破口を開こうとしている(図表 14)。

    図表13:A1B

    1の「SDG経営」分布

    図表14:A1B

    1の「SDG経営」×売上の回復

    0

    20

    40

    60

    80

    100

    120

    140

    160

    1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19

    積極派20.2%

    消極派16.4%

    無関心派

    34.7%

    73.3%

    38.7%

    43.2% 22.1%

    26.7%

    61.3%

    0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

    震災×コロナ禍

    コロナ禍の影響「有・無」

    震災の影響「有・無」

    A1B2・A2B1A1B1 A2B2

    有りA1 無しA2

    有りB1 無しB2

  • 23

    16.0%

    5.1%

    2.6%

    33.7%

    29.2%

    11.0%

    39.3%

    43.8%

    38.3%

    9.7%

    21.2%

    38.3%

    1.4%

    0.7%

    9.7%

    0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

    無関心派

    消極派

    積極派

    関心が無い あまり関心が無い どちらとも言えない やや関心が有る 関心が有る

    6.「SDG経営」と「事業ニーズ共有化システム」

    ➢事業ニーズ共有化システムへの関心は、SDG経営「積極派」の 48.0%に関心があ

    る(図表 15)。SDG 経営「積極派」の経営者は、コロナ禍をはじめ集中豪雨など

    の災禍や人口減少が引き起こす社会変容に伴い複雑・多様化する経営課題の解決

    を、異業種連携(SDG17.パートナーシップ)に求めている。

    図表15:SDG経営×事業ニーズ共有化システム

    <「事業ニーズ共有化システム」のご案内>

    「事業ニーズ共有化システム」は、当研究所の HP に提供している異業種連携の場です。

    2016 年(熊本地震)の翌年の 2 月に立ち上げました。

    ‘売ります’‘買います’の単なるビジネスマッチングではなく、事業主の方々が直面して

    いる様々な課題を、「生産要素」「マーケティング」「マネジメント」に分類し、データベース

    化することによって、相互の交流を促進し、事業継続発展に向けたバリューチェーン(価値

    連鎖)を形成することを目指しています。

    パンデミックや度重なる自然災害に対し、異業種連携して、課題解決に向かいたいと考え

    ます。

    A事業所

    B事業所

    C事業所

    D事業所

    E事業所

    バリューチェーン(価値連鎖)

    E個人

    相談者 提案者サプライヤー

    事業ニーズ 主な内容

    1.生産要素 人手、人材、設備、資金、技術、情報、etc

    2.マーケティング 商品、価格、販路、販促、出店、市場、海外、etc

    3.マネジメント コストコントロール、コミュニケーション、運営管理、etc

    ニーズ

    サプライ

    会員番号

    主な事業従業員数その他

    ID登録

    課題解決者

    海外への関心必要な海外情報

    アイディア・技術の商品化助言を受けたい内容

    その他困っていること等

    主な事業従業員数その他

    相談者

    ID登録

    事業ニーズ公開(個社名非表示)

    閲覧者

    サプライ

    提案

    当研究所HP

    採用の判断

    採用の可否

    回答

    商工会会員等

    商工会等入会

    地域の事業者

    会員

    NO

    YES

    ご利用

    無 料

  • 24

    <総括>

    1.災害からの売上回復 ☞‘時間’は解決してくれない

    大きな自然災害に襲われた後、ハード面の復旧は目に見えても、見えないモノがある。

    熊本地震から 4 年が経過し、売上回復は遅々として進んでいない。そこにコロナ禍、更に

    は集中豪雨である。

    東日本大震災後の、売上回復の推移を見ても、‘時間’は、解決してくれない。

    2.急浮上する過酷な経営課題

    2020 年に入る早々、急変する経営環境は、過酷である。

    売上減少、値下げ圧力、運転資金、事業承継・継続といった問題が、急浮上している。

    一方で、ビフォーコロナでは人手不足一色だったが、一変した。

    3.度重なる自然災害とパンデミックの中で

    売上回復に、‘時間’は、解決してくれない。

    しかし、今回の調査で、エビデンスに基づき、経営戦略の明確な解決の糸口を見出した。

    「SDG 経営」である。

    4.「SDG経営」

    県内事業者の「SDG 経営」は、ICT を活用し、新しい働き方を積極的に取り組み、結果

    として、目先の利益追求だけではなく、働き手・取引先・地域社会との一体感を強め、回復

    力の結果を出そうとしている。

    <熊本地震からの売上回復の推移> 東北被災3県との比較

    以上

    48.8 44.3 42.1 37.9 40.3 37.9 37.0 36.1 36.6

    0

    20

    40

    60

    80

    100

    2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

    21.3 28.9 28.8 24.149.4

    0

    20

    40

    60

    80

    100

    2016 2017 2018 2019 2020

    東北被災3県(東北経済産業局)

    熊本県内(当研究所)(%)

    売上回復=75~100%超

    ☜売上未回復=0~75%

    ☜売上未回復

    (%)

    2020年6月4日~26日有効回答:1,924先

    37.559.2

    積極派 消極派 ☜ SDG経営