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Thermoelectric Conversion Devices Using Thick Film Technology and Their Application Osamu ABE 厚膜技術を用いた熱電気変換素子とその応用 日大生産工 ○阿部 治 はじめに 厚膜による電子回路形成、電子部品作製の技 術が世界に出現してから60年以上経過した。 製作法の容易さから現在でも多く用いられて いる 1) 厚膜の製作に用いられるペーストは、主に機 能成分、これらを結合させて基板に付着させる ための固結剤、樹脂、溶剤などから構成され、 スクリーン印刷、スプレー、スピンコート、デ ィップなどの手法により成膜される。厚膜化に よりFig.1のように従来の個別部品を膜に置き 換えられるというメリットがある。今回はスク リーン印刷により熱電気変換素子を試作し、マ イクロエレクトロニクス分野だけでなく、異分 野での応用を模索した。 特性測定用試料の作製方法 ガラス粉末とRuO2粉末を重量比で50:50混合し、有機ビヒクルを適量くわえた後、遠心 撹拌装置を用いて脱泡してスクリーン印刷可 能なペーストを作製した。ステンレススクリー ンを用いてアルミナ基板上に印刷し、乾燥後、 ベルト炉で800℃、 10分間のピーク温度時間で 焼成した。 Fig.1 電子回路の厚膜化のイメージ 次に同様にAgペーストを印刷・乾燥後600で焼成した。スクリーン印刷の概要と過程を Fig.2Fig.3に、ベルト炉の構造をFig.4に、1 接合特性測定と直列接続特性測定をするため の試料の形状をFig.5に示す。 Fig.2 スクリーン印刷の概要 Fig.3 スクリーン印刷の過程 Fig.4 ベルト炉の構造 −日本大学生産工学部第47回学術講演会講演概要(2014-12-6)− ISSN 2186-5647 ― 575 ― 3-52

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Thermoelectric Conversion Devices Using Thick Film Technology

and Their Application

Osamu ABE

厚膜技術を用いた熱電気変換素子とその応用

日大生産工 ○阿部 治

1 はじめに 厚膜による電子回路形成、電子部品作製の技

術が世界に出現してから60年以上経過した。

製作法の容易さから現在でも多く用いられて

いる1)。 厚膜の製作に用いられるペーストは、主に機

能成分、これらを結合させて基板に付着させる

ための固結剤、樹脂、溶剤などから構成され、

スクリーン印刷、スプレー、スピンコート、デ

ィップなどの手法により成膜される。厚膜化に

よりFig.1のように従来の個別部品を膜に置き

換えられるというメリットがある。今回はスク

リーン印刷により熱電気変換素子を試作し、マ

イクロエレクトロニクス分野だけでなく、異分

野での応用を模索した。 2 特性測定用試料の作製方法 ガラス粉末とRuO2粉末を重量比で50:50に

混合し、有機ビヒクルを適量くわえた後、遠心

撹拌装置を用いて脱泡してスクリーン印刷可

能なペーストを作製した。ステンレススクリー

ンを用いてアルミナ基板上に印刷し、乾燥後、

ベルト炉で800℃、10分間のピーク温度時間で

焼成した。

Fig.1 電子回路の厚膜化のイメージ

次に同様にAgペーストを印刷・乾燥後600℃で焼成した。スクリーン印刷の概要と過程を

Fig.2とFig.3に、ベルト炉の構造をFig.4に、1

接合特性測定と直列接続特性測定をするため

の試料の形状をFig.5に示す。

Fig.2 スクリーン印刷の概要

Fig.3 スクリーン印刷の過程

Fig.4 ベルト炉の構造

−日本大学生産工学部第47回学術講演会講演概要(2014-12-6)−

ISSN 2186-5647

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Fig.5 特性測定用試料の形状 3 実験結果 特性測定用基板の片側を加熱することによ

り基板内で温度勾配をつけ、Fig.5のAB間と

AC間の起電力を測定した。結果をFig.6に示

す。起電力と温度差の関係はほぼ直線となり、

70℃の温度差の場合、2接点で1mV程度の

起電力が得られた。また、AC間の起電力がA

B間の起電力のおよそ2倍となっていること

から、接合部を増やすことによって、乾電池を

直列接続した場合と同様に起電力を大きくす

ることが可能であることがわかった。

Fig.6 試料の起電力測定結果

4 まとめと異分野への応用 今回の実験で、接合部の数を増やし、直列

に接続することによって、温度差による起電

力を増加させることができることがわかっ

た。そこで、Fig.7にみられるように厚膜印刷

の特徴を生かして1基板上に多数の接合部

を製作し、さらに基板を直列あるいは並列に

接続することにより、安定した電力の供給を

試みている。

Fig.7 厚膜印刷による多接点化

Fig.8 外壁材の内側に貼り付け 39号館の外壁材にFig.7の基板を貼り付け

た写真がFig.8である。起電力が小さく、LE

Dを点灯させるまでには至らなかったが、多数

貼り付ける、あるいは外壁材製作時に中に多数

埋め込むなどによって外壁内外の温度差によ

って発電できる外壁材がつくれる可能性があ

る。また、軽量ブロックやコンクリートブロッ

クなどに埋め込むことも可能である。

「参考文献」 1) 阿部治, 厚膜のメカニズム, エレクト

ロニクス実装学会誌,Vol.6 No.1(2003)pp. 102-106.

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