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UDプロフェッショナルズは、我々株式会社DNPコミュニケーションデザインのユニバーサルデザイン (UD)についての考え⽅や、取り組みをより多くの⽅に知っていただき、より良い形で皆様の ビジネスと⽣活者をつなぐヒントを得ていただくコラムです。 <座談会>ユニバーサルデザインの本質的価値を探る 第2回『プロフェッショナリティを⾼める!利⽤者視点とUDコーデ ィネータ』2015年3⽉26⽇ 第1回⽬に続き、ユニバーサルデザインコーディネータの養成講座や資格制度を運営す るNPO法⼈実利⽤者研究機構(旧称:⽇本ユニバーサルデザイン研究機構)横尾理事⻑ とともに、「ユニバーサルデザインの本質的価値」をテーマに座談会を⾏った模様をお 届けします。 内閣府認証 特定⾮営利活動法⼈ 実利⽤者研究機構 横尾理事⻑ 株式会社DNPメディアクリエイト 東京企画第1企画本部第2企画部 部⻑ ⼩松達司 株式会社DNPメディアクリエイト 東京企画第1企画本部第1企画部 部⻑ 松川雅⼀ 左から、横尾理事⻑、⼩松、松川 ご対談の3⼈に質問しました。

<座談会>ユニバーサルデザインの本質的価値を探る3/6P この例で えば、『 つの情報の塊を でわかりやすく表す』という情報デザインを

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Page 1: <座談会>ユニバーサルデザインの本質的価値を探る3/6P この例で えば、『 つの情報の塊を でわかりやすく表す』という情報デザインを

UDプロフェッショナルズは、我々株式会社DNPコミュニケーションデザインのユニバーサルデザイン(UD)についての考え⽅や、取り組みをより多くの⽅に知っていただき、より良い形で皆様の ビジネスと⽣活者をつなぐヒントを得ていただくコラムです。

<座談会>ユニバーサルデザインの本質的価値を探る第2回『プロフェッショナリティを⾼める!利⽤者視点とUDコーディネータ』2015年3⽉26⽇

第1回⽬に続き、ユニバーサルデザインコーディネータの養成講座や資格制度を運営するNPO法⼈実利⽤者研究機構(旧称:⽇本ユニバーサルデザイン研究機構)横尾理事⻑とともに、「ユニバーサルデザインの本質的価値」をテーマに座談会を⾏った模様をお届けします。

内閣府認証 特定⾮営利活動法⼈ 実利⽤者研究機構 横尾理事⻑株式会社DNPメディアクリエイト 東京企画第1企画本部第2企画部 部⻑ ⼩松達司株式会社DNPメディアクリエイト 東京企画第1企画本部第1企画部 部⻑ 松川雅⼀

左から、横尾理事⻑、⼩松、松川 ご対談の3⼈に質問しました。

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■ユニバーサルデザインに取組む上で、「プロフェッショナリティ」の⾼さを重要視するようになった経緯は?

⼩松DNPメディアクリエイト(以下DMC)が、今のように調査・評価・分析をして業務課題を解決するUDに取り組むことになったのは、実利⽤者研究機構(以下ジツケン)さんの影響というところが⼤きくて、ある⾦融クライアント様の帳票改定の際に、はじめてジツケンさんと協働させてもらって、その時「正しい⽅法でやれば成果があがる」ということがわかったんです。そこから私の部⾨は「UDを強化・推進していきます」と社内に宣⾔したんですね。 それで、UDコーディネータを育成しよう、と何⼈かで講習を受けさせていただいた経緯があります。

■外部の⽅からのUDコーディネータへの評価はいかがですか?

横尾そういえば「松川さんみたいになりたいと思って受講にきました」という⼈がいましたよ。それだけ、企業の⼈からも認められるほどの『質の違い』というものがあるということでしょうね。

松川クライアント様のオリエンで名刺交換をした際に、私の名刺に『ユニバーサルデザインコーディネータ』と載せていたので、それがUDコーディネータ受講のきっかけと聞いています。

■そのクライアント様に対して提案していたのは、UDコーディネータという知⾒を活かした提案だったんですか?

松川私は『情報をもっとわかりやすく』をテーマにUDに取り組んでいますので、そうですね。そしてあるとき、クライアント様からオリエン時にいただいた原稿があって、それをもとに、サービスがカテゴライズされたパンフレットだったのですが、

原稿ではカテゴリー分けが曖昧だったんですね。⻑々とした⾒出しだったり・・・区分けも曖昧だったので、割り切って少ない⽂字数で5つのカテゴリーにまとめた提案をしました。

それは始めに提⽰された情報にはなかったのですが、要するにこういうことを⾔いたいということを、原稿から掘り下げて提案する。それこそがUDコーディネータのすべきことだと考えています。

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この例で⾔えば、『⼀つの情報の塊を⼀⾔でわかりやすく表す』という情報デザインを⾏ったわけです。こういう⾏為は、『UD的思考』だと思います。⼀⾔にしてしまう、というのはすごく伝達⼒があるので。

■そのようなオリエン内容になかった提案をして、結果はどうでしたか?

松川もう当⽇ご採⽤いただきました。 数時間後にお返事をいただき、決定がとても速かったですね。 そのわかりやすさにご満⾜していただけたのだと思います。

■なるほど。このことについて横尾理事⻑はどう思われますか?

横尾ユニバーサルデザインというと、はじめは簡単に取組めるフォントや⾊など形のある部分からスタートする⽅が多いと思います。しかし、それだけでは、読者やお客様が明確に差を感じられるほどの成果には結びつきにくい。今回の例のように『そのサービスの場合の、実際の読者にとって意味のあるわかりやすさ』という視点から、「的確な⼯夫を独⾃に⽣み出していく⼒」がついてくると、⼀気に成果を実感出来るようになってくる。まさに、そこにユニバーサルデザインの「プロフェッショナリティ」があると思います。

松川本当にクライアント様がなりたかった状態があると思うんです。もっと顧客満⾜度をUPしたいとか、誤記⼊を減らしたいとか、そう思って取り組むのですが、我々はその点を理解しつつ、『利⽤者の視点』も忘れないようにしなければなりません。それが、UDコーディネータの役割だと思っています。

⼩松本⽇はありがとうございました。

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番外編 DMCの取り組み紹介DMCではユニバーサルデザインのできるデザイナーの育成に積極的に取り組んでいます。 2014年8⽉18⽇に⾏われた研修では、20⼈がUDコーディネータ3級資格研修を受講しました。

講師:NPO法⼈実利⽤者研究機構 岡村 正昭 様

この研修を受講した、DMCデザイン制作部の、塩⽥ルーム⻑に質問しました。

■この資格を、多くのデザイナーで取得しようと思ったきっかけは何ですか?

塩⽥情報デザインにおけるユニバーサルデザインとは、フォントや配⾊を配慮すればOK(それも⼤切なことですが…)という考え⽅をするデザイナーが⼤半を占めているのが現状でした。そのため「利⽤者視点でのモノづくり」の考え⽅を⾝につけることができる資格「UDコーディネータ資格」をルーム全員で受講しました。

■勉強会など⾃主的な活動は、他にどのようなことをしているのか、 またその頻度はどのくらいですか?

塩⽥⽉1回のルーム会で勉強会をしています。CUDMS(カラーユニバーサルデザイン・マネジメントシステム)に関する勉強や、UDソリューションについての情報共有をして、『⾒やすく・読みやすく・わかりやすい』デザインについてのディスカッションをしています。

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UDC(UDコーディネータ)3級を受講した社員の声

デザイナーO担当:チラシ・パンフレット・POP・ポスターなど

■資格取得前後の意識の変化は何かありますか?

バリアフリーとUDとの基本的な考え⽅の違いについて明確に理解する事ができました。また、UDフォントを使⽤する事やカラーマネジメントをする事でUDに配慮した提案をしてきましたが、その前段階のコンセプト提案の考え⽅から⾒直さないとUDとは⾔えないので、今後の業務において有意義な知⾒を深める事ができました。

■今後、この資格をどのように活かしていきたいですか?

ユニバーサルデザインをコーディネイトする事に留意し、企画提案からデザインへの落とし込みまで、コンセプトに沿った考え⽅で業務に取組んで⾏きます。

デザイナーY担当:主に製品カタログ

■資格取得前後の意識の変化は何かありますか?

⾃分なりの解釈でUDを理解していたつもりでしたが、実際の講義を聞くと、そのほとんどが思い込みで間違っていたことに気づかされました。 そもそもの着眼点を置くところが、まずズレていたことを痛感しました。 コーディネータの役⽬とその概念を正しく理解することができました。

■今後、この資格をどのように活かしていきたいですか?

得意先、ディレクター、外部制作会社との対話(コミュニケーション)にまずは活かしていきたいです。 ADとしての知識の蓄積にもなりました。デザインを構築するプロセスの中で、「UDの可能性」を考える際の材料としたいです。今後は、より実践的な準2級取得を⽬指していきたいです。

デザイナーT担当:イラスト作成・保険業界のツール対応

■資格取得前後の意識の変化は何かありますか?

UDに関する知識も⾝に付きましたが、講師の⽅がおっしゃっていた「受け売りの知識をそのまま使ってはいけない」「必ずソース(原因)を明らかにする」ということが特に印象に残りました。点字の話などで特に、私たちがいくら分かりやすい、前より良いと思うもの を作っても、根本的な原因(指先の感触が無い、点字を読む知識がない)が分かっていないと、 問題の解決にならないことを思い知りました。 この講義を受けて、ただ「使いやすい、良いデザイン」を作るだけではなく、利⽤者に対する課題をきちんと⾒抜き、考えた上で、その解決が提案できるデザイナーになりたいと思いました。

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■今後、この資格をどのように活かしていきたいですか?

今回学んだUDの考え⽅や、課題に対する意識の仕⽅は、全てにおいて活かしていきたいと思います。

デザイナーS担当:⾦融・保険関連ツールを担当

■資格取得前後の意識の変化は何かありますか?

何気なく⽣活していると⽬にしていても気にかけませんでしたが、⾝近には多くのユニバーサルデザインを意識した製品が存在していることを知ることもできました。また、それがどのような⼈たちにとって安⼼・安全な⽣活に繋がるのかも学べ、取得前とは意識が変わってきたと思います。

■今後、この資格をどのように活かしていきたいですか?

ただ⾒やすく、読みやすいものを制作していくだけでなく、しっかりとターゲット・コンセプトを決め、プラス要素・マイナス要素を考慮した制作物を作っていきたいです。いずれは得意先にも、前提に起きる問題などの説明をし課題解決をしていきたいです。

ディレクターK担当:製品カタログ・⽣命保険ツール等

■資格取得前後の意識の変化は何かありますか?

「どのような⼈が・どのような環境で・どのように使⽤したり⾒たり感じたりするのか?」等のコンセプトを持ちながら、ものづくりをしていくことが重要だと思いました。

■今後、この資格をどのように活かしていきたいですか?

現在の業務を通じてユニバーサルデザインを少しでも社会に広めることで、得意先の信頼を得て利益にもつながると思うので、今後より深く理解し業務に活かしていきたいです。

  © 2016 DNP Communication Design Co., Ltd.