15
~ 1 ~ 2014 年第 15 2014.11.11(株)JTB総合研究所(東京都千代田区 代表取締役社長 日比野健)は、「ミレニアル世代(1925 歳) の価値観と旅行に関する調査~日本におけるスマホネイティブ世代のライフスタイルと旅~」をまとめました。 当研究所では、生活者のライフスタイルや価値観が消費行動や旅行に与える影響に関する調査分析を継続的に行 っています。 当研究所が以前実施した調査から、国内での LCC の普及は、高速バス同様に手ごろな価格で利用でき、若い 世代の旅行を後押ししていることが分かりました。また今年 10 月に実施した「スマートフォンの利用と旅行消 費に関する調査」では、20 代は他の年代と比較して、モバイル機器や SNS の広がりが旅行やお出かけのきっか けとなる割合が高いことも明らかになりました。近年、若者の旅行離れがささやかれていますが、若い世代の旅 行はニーズや形を変えつつも活性化していると言えるのではないでしょうか。 若者の中でミレニアル世代と言われる 19 歳から 25 歳の若者は、10 代後半からスマートフォンを持ち、常に ネット上でつながりを持つことがあたりまえの、まさに「スマホネイティブ」世代といえます。このミレニアル 世代は、価値観や社会活動そして旅行を含む消費行動の分野で、海外では既に注目されており、WEF(ダボス 会議で知られる世界経済フォーラム)、WTTC(世界旅行観光協議会)でも取り上げられています。物心ついた 時からデジタルの世界で育った、現時点で 18 歳から 30 歳の旅行者は急速に拡大し、近い将来旅行市場の 20% を占め、市場規模は 1,800 億ドル(約 19 兆円)になるとも言われています。その特徴として、「既に確立された ミレニアル世代(1925 歳)の価値観と旅行に関する調査 ~日本におけるスマホネイティブ世代のライフスタイルと旅~ ◆小学生の頃の家族旅行の経験はミレニアル世代が最も豊富 ◆成長後の現在も旅行頻度は高く、将来の旅行需要に期待が持たれる ◆良くも悪くも SNS のおよぼす影響が最も大きい SNS の投稿を見て、行ってみたい場所に出かけた(28.4%)、いいと思ったものを購入した(19.9%SNS は見るだけで投稿はしなくなってきた(43.8%)、ネガティブな情報は出さないようにした(31.3%◆意外に現実的な一面が浮かぶ。一方、他世代より社会貢献に関心を示す -「学歴は高いほどいいと思う」「世の中すべてお金で決まることが多い」 -「社会のために役立つような仕事がしたい」「いつか世界を変えたい」

~日本におけるスマホネイティブ世代のライフスタイルと旅 ...~ 1 ~ 2014 年第15 号 (2014.11.11) (株)JTB総合研究所(東京都千代田区 代表取締役社長

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~ 1 ~

2014 年第 15 号

(2014.11.11)

(株)JTB総合研究所(東京都千代田区 代表取締役社長 日比野健)は、「ミレニアル世代(19~25 歳)

の価値観と旅行に関する調査~日本におけるスマホネイティブ世代のライフスタイルと旅~」をまとめました。

当研究所では、生活者のライフスタイルや価値観が消費行動や旅行に与える影響に関する調査分析を継続的に行

っています。 当研究所が以前実施した調査から、国内での LCC の普及は、高速バス同様に手ごろな価格で利用でき、若い

世代の旅行を後押ししていることが分かりました。また今年 10 月に実施した「スマートフォンの利用と旅行消

費に関する調査」では、20 代は他の年代と比較して、モバイル機器や SNS の広がりが旅行やお出かけのきっか

けとなる割合が高いことも明らかになりました。近年、若者の旅行離れがささやかれていますが、若い世代の旅

行はニーズや形を変えつつも活性化していると言えるのではないでしょうか。 若者の中でミレニアル世代と言われる 19 歳から 25 歳の若者は、10 代後半からスマートフォンを持ち、常に

ネット上でつながりを持つことがあたりまえの、まさに「スマホネイティブ」世代といえます。このミレニアル

世代は、価値観や社会活動そして旅行を含む消費行動の分野で、海外では既に注目されており、WEF(ダボス

会議で知られる世界経済フォーラム)、WTTC(世界旅行観光協議会)でも取り上げられています。物心ついた

時からデジタルの世界で育った、現時点で 18 歳から 30 歳の旅行者は急速に拡大し、近い将来旅行市場の 20%を占め、市場規模は 1,800 億ドル(約 19 兆円)になるとも言われています。その特徴として、「既に確立された

ミレニアル世代(19~25 歳)の価値観と旅行に関する調査 ~日本におけるスマホネイティブ世代のライフスタイルと旅~

◆小学生の頃の家族旅行の経験はミレニアル世代が最も豊富

◆成長後の現在も旅行頻度は高く、将来の旅行需要に期待が持たれる

◆良くも悪くも SNS のおよぼす影響が最も大きい -

SNS の投稿を見て、行ってみたい場所に出かけた(28.4%)、いいと思ったものを購入した(19.9%) -

SNS は見るだけで投稿はしなくなってきた(43.8%)、ネガティブな情報は出さないようにした(31.3%)

◆意外に現実的な一面が浮かぶ。一方、他世代より社会貢献に関心を示す

-「学歴は高いほどいいと思う」「世の中すべてお金で決まることが多い」

-「社会のために役立つような仕事がしたい」「いつか世界を変えたい」

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~ 2 ~

観光より自分のやりたいことや価値観にあった体験を求める」、「一方的に発信された情報には信頼をおかず、同

じような立場の個人旅行者のクチコミを通じて商品の良し悪しを判断して購買を決定する」、「‘ミレニアル世代’

のようにマスのうちの 1 人として見られるのを嫌う」といった傾向があるようです*1。 では日本のミレニアル世代についてはどうでしょうか? この世代は、どのような価値観を持ちながら、どの

ような日常を過ごし、旅行をしているのでしょうか。今回の調査では、スマートフォンを利用している 19 歳か

ら 25 歳のミレニアル世代のライフスタイルと旅行についてひも解きます。

調査概要

○調査方法:インターネットアンケート調査

○調査対象者:(スクリーニング調査)首都圏、名古屋圏、大阪圏に住む 18歳から 69歳までの男女 30,000名

(本調査)スクリーニング調査回答者の中で、以下に該当する 2,060名

・スマートフォンを利用している

・過去1年以内に1回以上の旅行(日帰りも含める)をしたことがある

○期間:2014年 9月 6日~9月 11日

【ミレニアルプロフィール】n=201(本調査の対象者)

【各世代の特徴】

年齢(20 14年時)

団塊Jr.世代 1971 1975 39 ~43

ポスト団塊Jr.世代 1976 1980 34 ~38

プレゆとり世代 1981 1988 26 ~33

ミレニアル世代 1989 1995 19 ~25

プレゆとり世代同様に日本の景気が良かった時代を知らず、現状への不満は少ない。しかしバブル世代である親世代の価値観を共有し、ブランドなどを好む一面も。10代の後半からスマホ利用も多い。いわゆる「ゆとり教育」を受けた「ゆとり世代」とも重なる。

日本の景気が良かった時代を知らないため、現状に特に不満も持っていない世代。ただし先の見えない社会には不安を持っており、友人や仲間を大切にする傾向。mixiや2ちゃんねるなどネットでの発信も広がった。

特徴

成人前後にバブル崩壊を経験し、期待外れ感を味わった世代。子供の頃にはファミコンが流行し、ゲーム好きも多い。

就職氷河期を経験し、無駄な消費は嫌う世代。派遣労働などを経験している人も多い。高校生の時にポケベルが流行った。

世代名称 生年

200万未満

17%

200~600万未

22%

600万以上

23%

わからない

24%

無回答

14%

世帯年収

公務員・会社員

21%専業主婦(主

夫)8%

パート・アルバ

イト

6%

学生

59%

その他

6%

職業

男性

59%

女性

41%

性別

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~ 3 ~

1.ミレニアル世代は小学生の頃の旅行経験が全世代の中で最も豊富。33.9%が年2回以上家族旅行を経験

成長した現在も、旅行頻度は他世代より高い。将来の旅行需要に期待が持たれる世代

ミレニアル世代は全世代の中で、小学生の頃の家族旅行の経験が最も豊富な世代であることが分かりまし

た。国内海外を問わず、1年に2回以上の家族旅行経験者が 33.9%。1年に1回も 39.4%ありました(図

1)。この世代が小学生の頃にミニバンがブームとなり、多くの家族がミニバンでキャンプなどの家族旅行

を楽しみました。また、ミレニアル世代の親世代はバブル期に卒業旅行で海外に行ったり、テーマパークを

楽しんだり、旅行経験が豊富な世代でもあります。プレゆとり世代より上の世代と比較して、子供の頃から

親と共に国内外へ出かけるチャンスは多かったと言えるのではないでしょうか。

現在の旅行頻度と小学生の頃の家族旅行の経験との関係を調べてみたところ、1年間の家族旅行の回数が

多い人ほど、大人になっても旅行への関心が高い傾向になりました(図2)。特に小学生の頃の旅行頻度が

高かったミレニアル世代は、成長した現在でも全世代の中で旅行頻度が国内旅行、海外旅行共に高い結果と

なっています。もちろん、現在の旅行頻度は、各ライフステージの中で、現在の時間や自由になるお金にも

左右されると考えられます。しかしながら、世代間の特徴として、日本においてもミレニアル世代は、将来

に向けての旅行需要に期待が持たれる世代であると思われます。

(図1)小学生の頃の家族旅行経験 (単一回答)

23.2

33.9

31.4

26.9

24.7

36

39.4

39

40

39.8

16.4

14

14.5

16.3

16.3

10.3

6.4

7.4

7.7

9.1

14.1

6.3

7.7

9

10.2

0% 20% 40% 60% 80% 100%

全体(29137)

ミレニアル(2736)

プレゆとり(4629)

ポスト団塊Jr.(3110)

団塊ジュニア(3148)

小学生の頃の家族旅行経験

1年に2回以上 1年に1回くらい 2~3年に1回くらい 小学校の6年間を通じて1回くらい 1度もない

JTB総合研究所

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~ 4 ~

(図2)現在の旅行頻度と小学生の頃の家族旅行経験(左:国内旅行、右:海外旅行) (単一回答)

2.ミレニアル世代の人間関係に不可欠なスマートフォン。良くも悪くも SNSのおよぼす影響は大きい

現在スマートフォンは当社の調べではミレニアル世代の 84.0%(全体 55.1%)が保有し、彼らの生活に

不可欠なアイテムとなっています。10月に当研究所で実施した「スマートフォンの利用と旅行消費に関す

る調査(2014)」の結果をもとに、ミレニアル世代のスマホの利用実態について分析してみました。その結

果、他の世代に比べて日常生活に良くも悪くも SNSの及ぼす影響が大きいことが分かりました。

(1)スマートフォン利用者でミレニアル世代が最も利用するコミュニケーション手段は、

メッセージ・チャットアプリ(59.2%)。SNS(13.4%)、メール(6%)の利用

(図3)スマートフォンで最もよく利用する機能 (複数回答)

53.8

41.2

27.5

24.5

11.6

9.6

31.6

39.7

46.5

43.8

36.5

34.0

7.9

10.7

14.4

19.6

25.1

14.9

2.9

4.3

5.2

7.9

15.7

13.8

3.7

4.1

6.4

4.2

11.0

27.7

0% 20% 40% 60% 80% 100%

年に3回以上(617)

年に2回程度(690)

年に1回程度(708)

2~3年に1回程度(265)

それ以下(362)

行かない(94)

現在の「国内旅行」頻度別 小学生の頃の旅行経験

(ミレニアル世代)

1年に2回以上 1年に1回くらい2~3年に1回くらい 小学校の6年間を通じて1回くらい1度もない

JTB総合研究所

61.3

55.8

48.1

44.3

38.2

25.6

25.8

35.1

39.2

38.0

38.4

40.7

3.2

3.9

7.7

11.0

12.9

16.9

6.5

2.6

2.3

3.7

7.0

7.7

3.2

2.6

2.7

3.0

3.4

9.1

0% 20% 40% 60% 80% 100%

年に3回以上(31)

年に2回程度(77)

年に1回程度(260)

2~3年に1回程度(300)

それ以下(612)

行かない(1456)

現在の「海外旅行」頻度別 小学生の頃の旅行経験

(ミレニアル世代)

1年に2回以上 1年に1回くらい

2~3年に1回くらい 小学校の6年間を通じて1回くらい

1度もない

JTB総合研究所

37.7

28.1

19.5

13.8

13.0

10.4

31.3

37.1

41.6

37.2

32.8

28.4

12.6

15.0

16.3

22.4

19.9

15.5

7.6

8.3

9.7

11.8

14.8

16.0

10.8

11.5

12.9

14.7

19.5

29.7

0% 20% 40% 60% 80% 100%

年に3回以上(6074)

年に2回程度(6559)

年に1回程度(7503)

2~3年に1回程度(3009)

それ以下(4873)

行かない(1119)

現在の「国内旅行」頻度別 小学生の頃の旅行経験

(全体)

1年に2回以上 1年に1回くらい2~3年に1回くらい 小学校の6年間を通じて1回くらい1度もない

JTB総合研究所

44.4

38.1

32.2

29.4

23.6

17.8

31.1

32.7

36.9

37.0

37.0

35.2

9.8

11.9

13.1

15.1

17.3

17.4

6.1

7.3

7.8

8.5

10.2

11.6

8.6

10.0

10.0

10.1

11.9

18.0

0% 20% 40% 60% 80% 100%

年に3回以上(396)

年に2回程度(840)

年に1回程度(2610)

2~3年に1回程度(3240)

それ以下(9382)

行かない(12669)

現在の「海外旅行」頻度別 小学生の頃の旅行経験

(全体)

1年に2回以上 1年に1回くらい2~3年に1回くらい 小学校の6年間を通じて1回くらい1度もない

JTB総合研究所

31.1

6.1

28.0

10.3

59.2

13.4 6.0 4.5

48.5

7.0 13.4

6.4

0%

20%

40%

60%

80%

メッセージ・

チャットアプリ

SNS メール 電話

スマートフォンで最もよく利用する機能

全体(2060) ミレニアル(201) プレゆとり(344)

JTB総合研究所

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~ 5 ~

(2)メッセージ・チャットアプリ、SNS は複数使用があたりまえ。一人で4個が最も多い結果に

利用回数は、最も利用者の多い LINEで、毎日 10回以上利用する人が 47.6%

ミレニアル世代が最も利用するコミュニケーション手段は LINEが 1位になりました(92.0%)。これに

YouTube(74.1%)、twitter(67.2%)、Facebook(61.7%)が続きます。ミレニアル世代には他の世代より

twitter の方が Facebookより支持が高い結果となりました。twitterの方が気軽に手早く発信できることが

魅力のようです(図4)。

利用するメッセージ・チャットアプリや SNSの個数については、全世代では 2個が最も多く 22.9%でした

が、ミレニアル世代では 4個が最も多く 24.9%でした。6割が 4個以上利用している結果となりました(図

5)。

利用回数については、プレゆとり世代に比べてミレニアル世代はアクセス頻度が高い傾向がみられ、最も

利用者の多い LINEでは毎日 10回以上利用する人が 47.6%とプレゆとり世代より 17.5ポイント高い結果と

なりました(図6)。

(図4)スマートフォンで利用している主なサービス(上位4つ)(複数回答)

(図5)スマートフォンで利用するサービスの数 (単一回答)

68.7

52.3

30.0

42.3

92.0

74.1 67.2

61.7

83.1

65.4

36.3

58.1

0%

20%

40%

60%

80%

100%

スマートフォンで利用している主なサービス(上位4つ)

全体(2060) ミレニアル(201) プレゆとり(344)

JTB 総合研究所

22.2

4.0

13.1

18.5

27.6

22.9

17.9

18.9

25.6

23.2

16.4

16.4

20.3

22.3

15.0

11.6

24.9

16.0

10.4

12.2

7.4

19.4

13.7

8.5

3.3

7.8

15.9

14.5

9.5

5.7

11.8

1.5

3.5

5.2

13.0

0% 20% 40% 60% 80% 100%

全体(2060)

ミレニアル(201)

プレゆとり(344)

ポスト団塊Jr.(211)

団塊Jr.(246)

スマートフォンで利用しているサービスの個数

1個 2個 3個 4個 5個 6個以上 無回答

JTB総合研究所

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~ 6 ~

(図6)スマートフォンで利用するサービスの利用回数(アクセス頻度)(単一回答)

(3)旅行や外出、買い物のきっかけとなる一方、SNS疲れを感じる人も最も多い

SNS で経験したことを聞いたところ、ミレニアル世代は「昔の知り合いとつながって再び交流するよ

うになった(28.9%)」、「投稿を見て、行ってみたいと思った場所に出かけた(28.4%)」、「SNSで知った

情報で、いいと思ったものを購入した(19.9%)」など旅行、ショッピングのきっかけとなる一方で、「SNS

は見るだけで投稿はしなくなった(43.8%)」、「見ている人を意識してネガティブ情報はあまり出さない

ようにした(31.3%)」と SNSの影響を気にし、他の世代より、他の人を気遣う姿が浮き彫りになりまし

た(図7)。

(図7)SNSを利用して経験したこと (複数回答)

47.6

30.1

41.5

17.6

16.1

6.5

3.4

2.7

17.8

21.3

12.6

10.4

9.7

16.0

6.0

3.6

18.4

19.2

23.0

20.0

18.5

24.0

8.7

6.7

11.9

12.6

12.6

17.6

23.4

15.6

25.5

21.5

4.3

16.8

10.4

34.4

32.3

71.6

56.4

32.0

0% 20% 40% 60% 80% 100%

LINE(185)

LINE(286)

Twitter(135)

Twitter(125)

Facebook(124)

Facebook(200)

Youtube(149)

Youtube(225)

利用する主なサービスへのアクセス頻度

毎日10回以上 毎日4~9回 毎日2~3回 毎日1回 2~3日に1回かそれ以下

JTB総合研究所

ミレニアル

プレゆとり

ミレニアル

プレゆとり

ミレニアル

プレゆとり

ミレニアル

プレゆとり

21.3 15.7

9.6 7.2

29.6

18.3 15.1

12.3

28.9 28.4

19.9 15.9

43.8

31.3

16.9

10.9

32.8

21.2

14.2 11.0

40.7

29.7

17.4 20.1

0%

20%

40%

60%

昔の知り合いとSNS

でつながって、再び

交流するようになった

SNS

の投稿を見て、行ってみたいと思っ

た場所に出かけた

SNS

で知った情報で、いいと思ったもの

を購入した

SNS

で知り合った人に会いに出かけた

SNS

は見るだけで、投稿はしなくなっ

てきた

見ている人を意識して、ネガティブな

情報はあまり出さないようにした

何となくSNS

に関心がなくなってきた

ので、利用頻度を減らした、止めた

あまりいいとは思わなくても、投稿者

に気をつかって、いいね、などの評価を

つけた

SNSを利用していて経験したこと(上位4つずつ)

全体(2060) ミレニアル(201) プレゆとり(344)

JTB 総合研究所

つながりや移動のきっかけ SNS疲れ

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~ 7 ~

(4)ニュースサイトでニュースを読む(38.3%)より、まとめサイトを読む(42.8%)

旅行のきっかけと情報収集は、「家族と友人との会話」や「SNSでの交流や投稿」が多い傾向 ニュースを含む一般的な情報の取得は、全体ではヤフーなどのニュース検索サイトが 56.5%と最も多かっ

たものの、ミレニアル世代では、NAVER まとめ、All About など、まとめサイトが 42.8%と、ニュースサ

イト(38.3%)よりも利用率が高い結果となりました(図8)。ニュースアプリの利用者はまだ少ないです

が、テレビ CF の効果でここ数か月急速に拡大しているようです。アプリはどんな人が登録しているのか比

較的分かりやすく、個々人の興味にあったニュースを配信するキュレ―ション(目利き)機能があるため、

まとめサイトと共に今後の利用率が注目されます。 「旅行に行くきっかけ」「旅行先の決定」では、ミレニアル世代は他の世代よりも「友人や家族との会話」

「Facebook や Twitter などの投稿や友人とのやり取り」が多い結果となりました(図9)。

(図8)スマートフォンで利用する機能(複数回答の中からまとめサイト、ニュース、ニュースアプリを抜粋)

(図9)旅行のきっかけと影響を与えた情報 (複数回答)

20.7

56.5

13.5

42.8 38.3

12.9

33.4

50.9

14.2

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

まとめサイト インターネットニュース ニュースアプリ

スマートフォンで利用する機能

全体(2060) ミレニアル(201) プレゆとり(344)

JTB総合研究所

62.0

14.1 10.1 5.0 6.5 5.8 1.7 4.3

8.9

54.1

12.1 9.5 10.7 11.5 8.5 5.6 6.1 1.9

68.7

13.4 6.5 6.5 6.0 5.0 4.5 4.5 4.5

61.2

12.9 10.0 9.5 8.0 7.0 6.5 6.0 5.5

0%

30%

60%

90%

友人や家族との会話

テレビ

旅行会社の

パンフレット

観光協会などの

サイト

ポータルサイトでの

検索

雑誌

SNS

での友達との

やりとり

インターネットニュー

旅行会社や旅行情報

サイト

友人や家族との会話

テレビ

ポータルサイトでの

検索

旅行会社の

パンフレット

旅行会社や

旅行情報サイト

宿泊施設の

ホームページ

雑誌

観光協会などのサイ

SNS

での投稿

旅行のきっかけと影響を与えた情報 全体(2060) ミレニアル(201)JTB総合研究所

旅行を思い立ったきっかけ

旅行先を決めるのに影響を与えたこと

Page 8: ~日本におけるスマホネイティブ世代のライフスタイルと旅 ...~ 1 ~ 2014 年第15 号 (2014.11.11) (株)JTB総合研究所(東京都千代田区 代表取締役社長

~ 8 ~

3.ミレニアル世代のリアルな生活:月1回以上時間を使うことは、1位外食、2位ショッピング、3位料理

飲み会、スポーツ、映画鑑賞、語学など、自分の時間に比較的時間を使う

普段、自分の時間を使うことと、その頻度を回答してもらったところ、月1回以上時間を使うこととし

て、1位は「外食(96.0%)」、2位「ショッピング(92.0%)」、3位「料理(76.6%)」となりました。ま

た、ミレニアル世代は他の世代と比べ、「飲み会(63.2%)」、「スポーツ(57.2%)」、「映画鑑賞(38.3%)」、

「語学学習など自己啓発(15.4%)」などが多い結果となりました。一方、「読書(59.2%)」や「ボランテ

ィアなど(5.5%)」は全体より低い傾向がみられました(図 10)。

(図 10)月1回以上時間を使うこと (複数回答)

4.ホンネを言える友人の数は平均 3.9人。普段からよく一緒に出かけ、LINEや SNSなどでも密接につながる

ミレニアル世代がホンネを言える友人の数は、平均で 3.9 人(全世代では 3.2 人)。4 人以上と回答した

人の割合は 39.8%と、全世代で最も多くなりました。また、最も親しい友達とは、普段からよく一緒に出

かけたり(57.8%)、泊りがけで旅行をしたりする(29.2%)だけでなく、LINE や SNS などで密接につな

がっているようです(図 11~図 13)。

(図 11)ホンネを言える友人の数 (単一回答)

94.1 92.478.4

46.9

65.0

47.8

31.6

13.2 11.3 7.3 9.21.5

96.092.0

76.6

63.2 59.2 57.2

38.3

15.4 12.48.5 5.5

1.0

95.1 91.981.7

52.6 57.846.8

34.3

13.7 10.2 6.7 5.2 1.50%

20%

40%

60%

80%

100%

外食

ショッピング

料理

飲み会

読書

スポーツ

映画鑑賞

語学学習など自己啓

国内旅行

芝居、芸術鑑賞

ボランティアなど

その他

月1回以上時間を使うこと

全体(2060) ミレニアル(201) プレゆとり(344)

JTB総合研究所

14.3

8.7

16.0

11.2

16.7

31.8

21.7

26.1

29.0

33.9

28.2

29.8

30.0

28.4

29.4

18.4

28.0

18.5

21.3

17.2

3.5

5.0

4.9

5.9

1.7

3.7

6.8

4.5

4.1

1.1

0% 20% 40% 60% 80% 100%

全体(2060)

ミレニアル(201)

プレゆとり(344)

ポスト団塊Jr.(211)

団塊Jr.(246)

ホンネを言える友人の数

1人 2人 3人 4~5人 6~9人 10人以上

JTB総合研究所

(3.2)

(3.9)

(3.3)

(3.5)

(2.8)

平均

Page 9: ~日本におけるスマホネイティブ世代のライフスタイルと旅 ...~ 1 ~ 2014 年第15 号 (2014.11.11) (株)JTB総合研究所(東京都千代田区 代表取締役社長

~ 9 ~

(図 12)最も親しいと思う友人 (単一回答)

(図 13)最も親しい友人との繋がり (複数回答)

56.6

90.7

70.4

59.2

50.0

6.3

3.7

5.6

5.3

5.6

13.7

3.1

8.0

11.2

12.2

15.2

1.9

11.8

16.6

18.9

4.9

2.4

6.5

10.6

3.3

0.6

1.7

1.2

2.8

0% 20% 40% 60% 80% 100%

全体(1562)

ミレニアル(161)

プレゆとり(287)

ポスト団塊Jr.(169)

団塊Jr.(180)

最も親しいと思う友人

学校の友人、学生時代の友人 近所の友人

趣味を通じた仲間 会社の同僚・仕事関係

子供を通じた友人 その他

JTB総合研究所

40.0 46.8

28.1 24.2

41.5

25.3

6.9

65.2 57.8 54.0

29.2 16.8 12.4

4.3

53.3 42.9

27.2 26.1

59.9

23.7

5.6

0%

20%

40%

60%

80%

普段からよく

LINE

をする

普段からよく一

緒に出掛けたり

する

SNS

でつながってい

一緒に泊まりが

けで旅行をする

普段からよく

メールをする

普段からよく電

話をする

その他

最も親しい友人との普段のやりとり

全体(1562) ミレニアル(161) プレゆとり(287)

JTB総合研究所

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~ 10 ~

5.女性ミレニアル世代は友人とお揃いの服を着たり、持ち物を揃えたりすることに抵抗がない。

男性ミレニアル世代も他の世代と比較すると、お揃いには抵抗がない傾向

最近は街中で、友人同士でお揃いの服を着たり、イメージを揃えて出かけたりする姿を目にします。お揃

いの服装をすることについてどのように考えているのでしょうか。

全世代では、72.8%の人が、「友達とお揃いの服を着て出かけたり、持ち物を揃えたりすることは嫌いだ」

と回答している一方で、ミレニアル世代は、「嫌だ」と答えた人は 48.8%(男性 63.0%、女性 28.0%)と

半分以下になりました。ミレニアル世代全体では、普段からお揃いの服を着るという積極派は5%程度です

が、「普段はあまりしないが、テーマパークへ出かけるなど、特別な時は盛り上がるのでしたい」「自分から

しないが、誘われればお揃いの服を着て出かけたり、持ち物を揃えたりする」が同数の 22.9%になりました

(図 14)。

男女別では、圧倒的に女性がお揃いの服や持ち物を楽しんでいることがわかります。

(図 14)友達とお揃いの服を着たり、持ち物を揃えたりすることへの意向 (単一回答)

6.旅の持つ意義:国内旅行は「楽しみ」「リフレッシュ」「家族や友人との思い出づくり」

海外旅行は「知らない世界を経験すること」「非日常的な経験ができること」「楽しみ」

旅行に出かける障害は、自分の経済状況と語学・現地情勢への不安

ミレニアル世代にとって、旅行とはどのような意味を持つものでしょうか。「あなたにとって旅行とは」

という質問をしたところ、国内旅行では1位「楽しみ」、2 位「リフレッシュ」、3位「家族や友人との思い

出づくり」となりました。海外旅行では1位「知らない世界を経験すること」、2位「非日常的な経験がで

きること」、3位「楽しみ」でした。国内旅行は、どちらかというと日常に華を添え、より充実した時間を

過ごすためのものであり、海外旅行は、日々の生活から離れて違う世界を体験し、見聞を広げ、成長の糧に

近いものと言えるかもしれません(図 15)。 海外旅行を今まであきらめたことがある人に対し、その理由を尋ねたところミレニアル世代の1位は「経

済的余裕がなかった」、2位「語学ができないので不安」、3位「治安など海外情勢が不安」となりました。

まだ海外旅行の経験が少ないことが、海外でのコミュニケーションや有事への対応についての曖昧な不安を

募らせ、海外旅行へ二の足を踏ませることにつながっているのではないでしょうか。

3.6

5.0

2.2

6.1

2.9

5.5

8.5

16.8

14.5

31.7

11.5

22.9

8.8

15.1

16.8

34.1

12.8

22.9

79.0

63.0

66.5

28.0

72.8

48.8

0% 20% 40% 60% 80% 100%

男性全体(1030)

男性ミレニアル(119)

女性全体(1030)

女性ミレニアル(82)

全体(2060)

ミレニアル(201)

友達とお揃いの服を着たり、持ち物を揃えたりすることへの意向

普段から友達とお揃いの洋服を着て出かけたり、持ち物をお揃いにしたりするのが好き

普段はあまりしないが、テーマパークへ出かけるなど、特別な時は盛り上がるのでしたい

自分からはしないが、誘われれば友達とお揃いの洋服を着て出かけたり、持ち物を揃えたりする

友達とお揃いの洋服を着て出かけたり、持ち物を揃えたりするのは、嫌だ

JTB総合研究所

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~ 11 ~

(図 15)あなたにとって旅行とは?(上:国内旅行、下:海外旅行)(複数回答)

(図 16)海外旅行を諦めた理由 (複数回答)

52.7 63.9

46.5

16.8 28.9

13.7 10.2

64.7 55.2

49.8

20.9 19.9 12.4 11.9

61.3 67.2

53.5

24.7 22.7 10.5 8.4

0%

20%

40%

60%

80%

楽しみ

リフレッシュ

家族や友人との

思い出づくり

自分へのごほうび

リラックス、癒し

非日常的な経験

ができること

年間のイベント

国内旅行とは?

全体(2060) ミレニアル(201) プレゆとり(211)

JTB総合研究所

42.0

31.6 32.9

19.8

31.9 23.5

8.3

47.8

31.8 30.3

19.4 18.9 17.4 16.9

39.0 36.931.4 28.8

35.526.5

12.5

0%

20%

40%

60%

80%

知らない世界を経

験すること

非日常的な経験が

できること

楽しみ

自分へのごほうび

リフレッシュ

家族や友人との思い

出づくり

自分を成長させて

くれるもの

海外旅行とは?

全体(2060) ミレニアル(201) プレゆとり(211)

JTB総合研究所

31.0

8.2 12.7 14.7

25.5

9.1 7.4 2.6 3.9 4.2

44.8

17.4 14.4 13.9

10.9 10.4

4.5 4.0 4.0 3.5

39.8

11.9 13.1 18.0

29.9

8.4 8.1 4.7 3.8 3.8

0%

20%

40%

60%

経済的な余裕がなかった

語学ができないので不安になった

治安など現地の情勢が不安になった

同行者と休みが合わなかった

仕事が忙しくて休みが取れなかった

一緒に行く相手がいなかった

海外旅行よりほかに時間やお金を使

いたいものが出来た

同行者の経済的な余裕に気を使っ

て、国内旅行にした

同行者の時間的な余裕に気を使っ

て、国内旅行にした

その他

海外旅行を諦めた理由

全体(2060) ミレニアル(201) プレゆとり(344)

JTB総合研究所

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~ 12 ~

7.旅行の移動手段は、半数近くが電車やバスで。価格面だけでなく、同行者に気を使わないことも理由

若い世代は車を運転しないと言われますが、旅行の主たる交通手段について聞いた結果、ミレニアル世代

では 47.3%が公共交通機関を使って旅行をし、自家用車および自宅からレンタカーの合計(46.2%)より多

い結果となりました(図 17)。旅行手段を選ぶ理由としては「費用が安いから」が最も多くなりましたが、

「運転できる人がいないから」という理由が高いのもミレニアルの特徴といえそうです。また全世代で、同

行者や自分が運転しないので気を使わないという点が高いことも注目できます(図 18)。

(図 17)旅行で利用する主な交通手段 (単一回答)

(図 18)電車やバスなどの公共交通機関を利用して旅行する理由(複数回答)

8.価値観によるタイプの分類で、ミレニアル世代は他人の目を意識し流行に敏感な「共感型」タイプが主流 スマートフォンを駆使するミレニアル世代の特徴を明らかにするため、日常生活や旅行に対する意識や行

動についての回答をもとに因子分析とクラスター分析を行い、各因子への反応の強弱からミレニアル世代を

5つのタイプに分けました。 全世代で最も多いタイプは「メリハリ消費」タイプ(30.9%)。流行にはとらわれない、肩肘張らない生

活への志向が高いタイプです。旅行への意欲は高くはない一方で、折角ならと宿泊先など内容や質を重視す

る傾向にあります。一方、ミレニアル世代で多かったのは「共感型」タイプ(40.8%)。SNS 利用率が高く、

人と繋がっていたい、たとえ「1 人」でも「みんな」と同じでいたいという意向もあります。他人の目を意

識し、流行を気にします。LCC が日本に登場したばかりの時も“押さえておくべき流行の一つ”としてこ

のタイプに利用者が多い傾向でした。共感型タイプは面倒な予約手続きは任せて簡単に旅行がしたいと、総

47.3

36.9

24.2

23.6

35.3

46.8

60.7

57.7

10.9

6.1

2.8

2.8

5.5

9.6

11.8

15.4

1.0

0.6

0.5

0.4

0% 20% 40% 60% 80% 100%

ミレニアル(201)

プレゆとり(344)

ポスト団塊Jr.(211)

団塊Jr.(246)

旅行で利用する交通手段

電車やバスなどの公共交通機関を使って旅行をすることが多い

自家用車を利用して旅行をすることが多い

自宅近くからレンタカーを利用して旅行をすることが多い

飛行機を使って旅行をすることが多い

その他

JTB総合研究所

41.8 36.8

29.8

12.7 12.6 7.7

54.7

33.7

23.2 18.9 15.8

5.3

0%10%20%30%40%50%60%

費用が安いから

同行者や自分が運転せ

ずにすむので気を使わな

いから

旅情が味わえるから

自宅から出発できて便

利だから

運転できる人がいないか

その他

電車やバスなどの公共交通機関を利用して旅行する理由

全体 ミレニアル

JTB総合研究所

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~ 13 ~

じてパッケージツアーを好みますが、安ければいいというわけでもないようです。「合理派無頓着」タイプ

もこれに続きました(図 19)。 (図 19)価値観によるタイプの分類

(表1)価値観によるタイプの説明

流行に

敏感

旅行好き

1.「共感型」タイプ

2.「合理派・無頓着」タイプ

3.「メリハリ消費」タイプ

4.「モノよりコト」タイプ5.「高アンテナ」タイプ

n=344

22.1%35.8%

24.7%

12.5%4.9%

プレゆとり

流行に

敏感

旅行好き

1.「共感型」タイプ

2.「合理派・無頓着」タイプ

3.「メリハリ消費」タイプ

4.「モノよりコト」タイプ

5.「高アンテナ」タイプ

n=201

ミレニアル

40.8%

29.9%

13.9%

10.0%5.5%

流行に

敏感

旅行好き

1.「共感型」タイプ

2.「合理派・無頓着」タイプ

3.「メリハリ消費」タイプ

4.「モノよりコト」タイプ5.「高アンテナ」タイプ

n=2060

30.9%26.1%

22.6%

12.6%7.9%

全体

1 「共感型」タイプ

・SNSの利用率は高い。たとえ「一人」でも「みんな」と同じでいたい・社会的な規範意識は高い・他人の目を意識する面があり、流行は押さえておきたいものの一つ・旅行する際はパッケージツアーを好む。人との出会いも旅の楽しみ

2「合理派・無頓着」

タイプ

・流行には関心低い。無駄のないシンプルなものを好む。無駄なものにお金をかけたくない。・無理しない、肩肘張らない生活をしたい。・LCCやパッケージ旅行を利用し、安く、楽に旅行をしたい。行先や現地での体験よりは同行者との時間を楽しむことを重視する。

3「モノよりコト」

タイプ・流行にはとらわれない。知的好奇心が高く、体験を重視する。・旅行への関心は高い。話題になっている場所よりは、人が知らないところを積極的に開拓する。

4「メリハリ消費」

タイプ

・流行にはとらわれない。肩肘張らない生活への志向が強い。・シンプルな生活を求め、無駄なお金は使わないが、本当に気に入ったものなら価格にこだわらず手に入れる。・旅行意欲はあまり高くないが、旅行する際には宿・ホテルなどの内容、質を重視し、リピートするタイプ。

5「高アンテナ」

タイプ

・流行に敏感。流行のものを人よりも早く知っておきたい、体験したいという意向が強い。・自分の個性を表現できるような商品を選ぶ。・知的好奇心が高く、様々な情報源を活用して情報収集や発信を行う。・旅行意欲も高く、話題のスポットも好き。今まで行ったことのない場所に行ってみたい。

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~ 14 ~

9.他の世代と比較して、意外に現実的なミレニアル世代の一面浮かび上がる:

「世の中すべてお金で決まることが多い(30.3%)」「学歴は高いほどいい(27.4%)」が他より高い傾向に

一方、「社会のために役立つような仕事がしたい」、「いつか世界を変えたい」気持ちも他より高め

全体とミレニアル世代の差が大きい項目順に見てみると、ミレニアル世代が全体よりも高い項目としては、

「学歴は高いほどいいと思う」(ミレニアル 27.4%、全体 19.9%)、「いつか世界を変えたい」(ミレニアル

13.9%、全体 6.6%)、「世の中はすべて金で決まることが多い」(ミレニアル 30.3%、全体 25.5%)となり

ました。一方、ミレニアル世代が全体より低い項目は、「日本の歴史や文化をより知りたい」(ミレニアル

21.4%、全体 34.1%)、「外国語を使えることが今後ますます重要になっていく」(ミレニアル 35.3%、全体

44.7%)、「やりたい仕事につければ、会社の規模や有名かどうかにはこだわらない」(ミレニアル 29.9%、

全体 37.0%)でした。「社会のために役立つような仕事をしたい」など、貢献意識も比較的高い傾向がみら

れますが、意外に現実的な側面が浮かび上がりました(表2)。

(表2)自分の考えにあてはまる価値観

10.まとめ

ミレニアル世代に注目するきっかけは、欧米では既に将来旅行消費を牽引する世代として調査研究が進ん

でいたことでした。一方、アフリカやアジアの新興国では社会インフラや教育制度の整備などが課題とされ

ながらも、急速なグローバル化により、海外からの投資が進み、既に現地の若者たちはスマートフォンで直

接世界とつながっています。これら新興国のミレニアル世代が将来の国際交流人口の拡大に、果たす役割は

大きいと考えられます。 ミレニアル世代は世界でもまだ旅行市場においてコアな存在ではありませんが、近い将来旅行市場を牽引

する世代になると予測されます。ただし、このミレニアル世代への対応は、従来のようなライフステージの

変化や規模への対応だけでなく、全く新しい提案が必要であるとも言われています。アメリカにおけるミレ

ニアル世代は上の世代と異なり、多様性を受け入れ、グローバルな視点を持ち合わせ、新しい体験をするこ

とにオープンで、ブランドロイヤリティの高い世代であるようです*2。この現象はスマートフォンや SNSが他の世代とは違う影響をミレニアル世代におよぼしているからと考えられます。

自分の考えにあてはまるもの 全体(2060)ミレニアル

(201)

プレゆとり

(344)

ポスト団塊

Jr.(211)

団塊

Jr.(246)

学歴は高いほどいいと思う 19.9 27.4 19.2 19.9 19.9

いつか世界を変えたいと思う 6.6 13.9 9.6 8.1 4.1

世の中はすべて金で決まることが多い 25.5 30.3 33.7 27.0 27.2

海外で働いてみたい 12.9 17.4 18.0 15.6 13.0

外国語を話すことに抵抗がある 8.3 11.9 10.2 9.5 10.2

海外で勉強や修行をしたい 16.4 17.9 20.6 20.4 15.9

社会のために役立つような仕事をしたい 24.9 26.4 26.7 26.5 22.4

日本の歴史や文化をより深く知りたい 34.1 21.4 30.8 32.2 26.8

外国語を使えることが、今後ますます重要になっていくと思う 44.7 35.3 44.8 39.3 41.5

やりたい仕事につければ、会社の規模や有名かどうかにはこだわらない 37.0 29.9 41.0 37.9 35.8

夫婦が別の性を名のってもかまわないと思う 26.5 20.4 27.0 27.5 25.6

環境や地域を応援するためになるなら、金額が高くても買おうと思う 9.2 3.5 6.4 13.3 6.9

なるべく、モノは買い替えず、長く大切に使いたい 42.3 38.3 47.1 43.6 39.0

事故や災害に備えた生活をしたい 30.7 26.9 29.7 32.2 29.7

仕事や会社の選択には、安定性が重要だ 35.8 32.3 41.3 37.9 37.0

デートの時の勘定は男が払うべきだと思う 21.6 18.4 23.3 22.7 19.5

海外に移住したい 13.0 10.0 15.7 11.8 13.8

日本の伝統や文化を感じられるものを買ったり、身に着けたりしたいと思う 18.4 15.9 17.4 25.6 15.0

ミレニアル

世代

が全

体より

高い項

目ミレニアル

世代

が全

体より低

い項

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~ 15 ~

日本におけるミレニアル世代(ここでは 2014 年時点 19 歳~25 歳)については、スマートフォンや SNSが与える影響が、プレゆとり世代(26 歳~33 歳)より上の世代と異なっていることが明らかになりました。

SNS がきっかけで、行ってみたい場所に行ったり、商品を購入したりする人が多い傾向があり、リアルな

行動に結びつきやすいといえるでしょう。また小学生の頃の家族旅行の経験が多いことから、将来も旅行へ

の需要がある期待ができそうです。しかしながら、本調査における「価値観におけるタイプの分類」では、

「共感型タイプ」「合理派・無頓着タイプ」が多い結果となりました。このタイプは旅行好きとは言えませ

ん。ただし、考えようによっては、大多数が行くような観光地に旅行に行くという感覚より、「自分の関心

あることを達成するための手段」としての意味合いが強くなっているとも考えられます。アートを目的とし

た旅に 20 代男性の関心が高いことも事例の一つといえるでしょう*3 情報とミレニアル世代の関係性をみると、「旅行に行くきっかけ」、「旅行先の決定」についてはいずれも

どの世代よりも、「友人や家族との会話」「Facebook や twitter などの投稿や友人とのやりとり」が多い結

果となりました。一方通行の情報より、同じような立場の個人旅行者のクチコミを通じて商品を選択する傾

向は、海外のミレニアル世代と共通しているようです。これはニュースサイトでニュースを取得するより、

キュレ―ション(目利き)機能のある、まとめサイトやニュースアプリを好む傾向とも共通しています。旅

行先の情報の取得は、わずかながらも旅行会社の店舗からの情報も他の世代より高くなっていることが分か

りました。これは当研究所が 2014 年 6 月に実施した「女性の旅行と情報収集についての調査」で、旅行会

社の店舗で旅行を申し込む割合が 20 代で最も高いことともつながります。IT にせよリアルにせよ、情報過

多により自身で選別が難しい時代において、ある程度目利きして、後押ししてほしいニーズがこの世代には

あるのかもしれません。

最後に、第9章で示したとおり、ミレニアル世代は、外国語の必要性や、日本の文化への関心が他の世代

より低い傾向にありました。プレゆとり世代が全世代の平均に近いことを考えると、日本のミレニアル世代

は、比較的内向きで、他人を意識し、案外交友関係も狭いのかもしれません。ただし、ミレニアル世代の特

徴として挙げられたことについては、世代間の特徴なのか、ライフステージによって左右される特徴なのか、

まだ明確ではない点があると考えられます。今後日本のミレニアル世代が、就職や結婚などにより価値観や

行動が変わっていくのか、世代としての特徴が、グローバル化していくのかガラパゴス化していくのかを含

めて、次に続く世代含めて注視する必要があると考えています。

(参考資料) *1 JTB 総合研究所 常務取締役 高松正人

「チャレンジに対峙し、機会を見出す-WTTC アメリカス サミットから」 http://www.tourism.jp/ *2 The Boston Consulting Group ‘Traveling with millennials’ *3 株式会社ジェイティービー 「アート旅(美術館や芸術祭などを楽しむ旅)に関する調査」

<お問い合わせ> (株)JTB総合研究所

調査・分析担当:早野陽子

03-3525-4495

(担当 早野・波潟)

www.tourism.jp