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学習院大学 青木研究室 2013/04/05 女性ライフコース・マーケティング研究会 第2期研究会・オープニング・セミナー 1 <オープニング・セミナー> 変化の時代を読み解く視点 ~「ライフコース」という思考の補助線を中心に~ 2013..青木 幸弘 (学習院大学経済学部) 第2期女性ライフコース・マーケティング研究会 2 私のライフコース研究(自己紹介に代えて) 日本経済新聞出版社(2008年) ISBN 978-4-532-31406-4 2003年よりライフコース研究に着手。 学習院大学経済経営研究所の研究プロ ジェクトとして「女性のライフコース研究会」 を立ち上げ、2005年にパイロット調査を実 施、2006年より「女性の就業と消費意識に 関するパネル調査」を実施し、現在に至る 201210月に第8回調査を実施)。 2008年に第3回パネル調査までの結果を 取りまとめた書籍を出版。 201012月に女性10000人を対象 としたWEB調査を実施。 2011年のmifパネル調査に関与、2012よりmif研究会(「女性ライフコース・マーケ ティング研究会」)の座長。 3 本日の主な話題(話の流れ) ●「ライフコース」という思考の補助線 ●今日の市場構造変化をどう捉えるか ●ライフコース・アプローチの特長 mif研究会での活動について 変化の時代をどう読み解くのか。 まずは最近の話題から・・・ 5 『日本経済新聞』(2013222日)、3面。 『日経ビジネス』(2013225日号) 最近の話題と言えば、やはり「アベノミクス」だが・・・ 6 『日本経済新聞』(201339日)、1面。 今のところは、株高による「資産効果」が中心か・・・

<オープニング・セミナー> 変化の時代を読み解く視点...2013/04/05  · C学習院大学青木研究室 2013/04/05 女性ライフコース・マーケティング研究会

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    2013/04/05女性ライフコース・マーケティング研究会

    第2期研究会・オープニング・セミナー

    1

    <オープニング・セミナー>

    変化の時代を読み解く視点

    ~「ライフコース」という思考の補助線を中心に~

    2013.4.5

    青木 幸弘

    (学習院大学経済学部)

    第2期女性ライフコース・マーケティング研究会

    2

    私のライフコース研究(自己紹介に代えて)

    日本経済新聞出版社(2008年)ISBN 978-4-532-31406-4

    2003年よりライフコース研究に着手。

    学習院大学経済経営研究所の研究プロジェクトとして「女性のライフコース研究会」を立ち上げ、2005年にパイロット調査を実施、2006年より「女性の就業と消費意識に関するパネル調査」を実施し、現在に至る(2012年10月に第8回調査を実施)。

    2008年に第3回パネル調査までの結果を取りまとめた書籍を出版。

    2010年12月に女性10000人を対象としたWEB調査を実施。

    2011年のmifパネル調査に関与、2012年よりmif研究会(「女性ライフコース・マーケティング研究会」)の座長。

    3

    本日の主な話題(話の流れ)

    ●「ライフコース」という思考の補助線

    ●今日の市場構造変化をどう捉えるか

    ●ライフコース・アプローチの特長

    ●mif研究会での活動について

    4

    変化の時代をどう読み解くのか。

    まずは最近の話題から・・・

    5

    『日本経済新聞』(2013年2月22日)、3面。『日経ビジネス』(2013年2月25日号)

    最近の話題と言えば、やはり「アベノミクス」だが・・・

    6

    『日本経済新聞』(2013年3月9日)、1面。

    今のところは、株高による「資産効果」が中心か・・・

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    2013/04/05女性ライフコース・マーケティング研究会

    第2期研究会・オープニング・セミナー

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    7

    『日経ビジネス』(2013年2月25日号)、27頁。

    円安・株高は進んだが、賃金の先行きは不透明

    『日本経済新聞』(2013年3月13日)、1面。

    8

    余談になりますが・・・・

    9

    出所)『日経ビジネス』(2013年2月25日号)、28~29頁。

    デフレ脱却か負の循環かの鍵は、GDPの6割を占める「個人消費」

    不況期の消費者心理を理解する

    戦略的に投資する

    長期的なブランドの育成に投資しつつ、短期的な売り上げを伸ばす

    「急ブレーキを踏む」セグメント「痛みに耐える」セグメント「かなり余裕のある」セグメント「その日暮らし」セグメント

    歯車がどちらに回ったとしても・・・・

    『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー』、2009年5月号。10

    好況期になり資産効果で急発進する消費者もいれば、相変わらずその日暮らしの消費者もいる。

    問題は、市場にどのようなセグメントが存在するのか、その背景にあるメカニズムを理解すること。

    11

    市場構造とその変化のメカニズム。

    それを解き明かす「思考の補助線」

    それが「ライフコース」視点です。

    12

    筑摩書房(2008)

    ・・・・問題の総量は減らないにしても、見え方が変わるということはある。ちょうど、幾何学の問題で、たった一本の補助線を引いただけで、解答への道筋が見えるように、「思考の補助線」を引くことで、私たちは今までとは少し違った態度で、世の中の謎に向き合うことができる。・・・・・

    「ライフコース」という思考の補助線を引くことで、混沌とした市場の謎に少し違った態度で臨むことができるのでは・・・・・・

    「ライフコース」という思考の補助線を引く

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    2013/04/05女性ライフコース・マーケティング研究会

    第2期研究会・オープニング・セミナー

    3

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    少子高齢化に象徴される人口動態の変化に加えて、人々の価値意識の多様化は、戦後長きに渡って築かれてきた標準的ライフコースを変化させ、様々な就業スタイルや生活スタイルを生み出すと共に、経済格差や新たな消費行動を発生させている。

    ライフコース視点は、多様なライフイベント(就学・就職・結婚・出産、復職・・・・)における選択によって構成される生活者の「人生行路」(ライフコース)に着目し、消費行動の変化を分析・予測すると共に、新しいセグメントを発見し、それに対するマーケティング活動にとって有用な手段と成り得る。

    mifの3万人パネルとMROCパネルという道具立てと定量・定性データを駆使しつつ、新たなマーケティングのフロンティアを切り拓いていきたい。

    基本的な問題意識

    14

    就 学(学歴の選択)

    就 業(職業の選択)

    結 婚(配偶者の選択)

    出 産(家族の選択)

    これらのライフイベントでの選択の結果(職業的・家族的な役割の取得の仕方)によって、様々なライフコース(人生行路)が描かれることになる

    “人生の道筋”としてのライフコース

    ※「ライフステージ」はライフコースの一段階、「ライフスタイル」はライフコースとライフステージの交点における一断面、消費者属性はある時点での社会的・家族的役割のセットである。

    15

    ライフコースの変化

    ライフスタイルの変化

    市場・消費の変化

    ライフコースの変化は市場構造変化の淵源

    Ex.マントル対流、プレート移動 Ex.造山活動、地形変化 Ex.地震、噴火

    喩えて言うならば、「ライフコース論」は、地球物理学における「プレート・テクトニクス理論」のようなもので、人びとは「地震」といった現象には関心があるが、その背後にあるメカニズムを理解しようとはしない。

    今重要なことは、表面的な現象のみに囚われたり、単純な年代論・世代論でことを終わらせるのではなく、根本的なメカニズムにまで掘り下げた議論が必要なのではないか。

    根底にある変動メカニズム 近因としての変化 具体的現象

    16

    「ライフスタイル」は

    スナップ(静止画)

    「ライフコース」は

    ムービー(動画)

    「ライフスタイル」概念と「ライフコース」概念の位置づけ

    17

    市場と消費の構造変化を見据えた形でのセグメンテーションが

    可能になる。

    ライフコース選択の結果として生活や消費の多様性を捉えるこ

    とにより、戦略策定のロジックが明確になる。

    ライフコースの中での意識変化についてのインサイトを得るこ

    とにより、共感性の高いマーケティング対応が可能になる。

    Mkgにおけるライフコース・アプローチの意義

    18

    ライフコースの多様化が男性よりも早く多様に進行し、社会変動や市場構造変化に直結している

    家族(世帯)消費に直接的に影響を及ぼす(購買者として、意思決定者として)

    消費トレンドやライフスタイル変化の先行的な担い手である

    なぜ“女性”のライフコースなのか

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    2013/04/05女性ライフコース・マーケティング研究会

    第2期研究会・オープニング・セミナー

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    それでは今起こりつつある

    市場構造の変化を

    女性のライフコース変化と

    関連付けて見ていきましょう。

    20

    『日本経済新聞』2013年1月1日(46面) 『日本経済新聞』2013年3月28日(1面)

    先行楽観論に水差す現実①(人口減少)

    21

    先行楽観論に水差す現実②(格差拡大)

    『週刊東洋経済』(2013年4月6日号)

    22

    人口動態の変化

    経済格差の拡大

    価値意識の変化

    個人消費を読み解く3つの視点

    結婚行動(晩婚・非婚)、出生行動(晩産・少産・非産)の変化と結果としての人口減少、少子化、高齢化(特に、高齢単身世帯の増加)

    雇用制度・慣行の変化、働き方の変化と結果としての所得・資産・消費の格差拡大(消費階層化)

    役割意識・帰属意識の変化、幸福観の変化、モノからコト(経験)関係性(絆)の重視

    市場構造変化を引き起こす要因連鎖

    人口の変化人口減少・人口構造の変化

    (人口減少、高齢者人口の増加、生産人口の減少、単独世帯(特に高齢者)の増加、等)

    家族の変化家族の個人化・世帯の多様化

    (晩婚化、非婚化、晩産化、少産化、離婚・未婚の増加、パラサイト・シングルの増加、等

    雇用の変化

    雇用の多様化・非正規化

    (女性の雇用場面の増大、 非正規労働の増大、新卒者の離職、団塊世代の大量退職、等)

    家計の変化家計の個計化・ダブルインカム化

    (共働き世帯の増大、非正規雇用の増大、所得格差・資産格差の拡大、等)

    マクロ・レベル

    ミクロ・レベル

    社会・人口的側面 経済(雇用)的側面

    23 24

    市場規模を規定する3つのルート

    購買意欲

    購買能力

    購買人口 人口動態の変化

    経済格差の拡大

    価値意識の変化

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    2013/04/05女性ライフコース・マーケティング研究会

    第2期研究会・オープニング・セミナー

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    25

    これら3つの視点(側面)を

    掘り下げてみると・・・・

    26

    Aspect Ⅰ 人口動態の変化が消費を変える

    急速に進む「人口減少」、その背景にある「高齢化」と

    「少子化」、人口構造の変化は消費市場を量的にも質的

    にも変えていく。「団塊の世代」のボリュームに期待した

    り、従来通りの単純な「世代論」で総てを語っていて良い

    のであろうか?ライフコース視点の可能性を考える。

    27

    少子高齢化も長年議論されてきたテーマであるが・・・・

    28『日本経済新聞』(2012年4月18日)、第1面。

    日本の総人口は既に減少、最近では減少幅が拡大

    29

    日本の総人口(人口構成)の推移(実績と推計)

    30

    未婚化の進展

    若 い 世 代 (結 婚 前 世 代)

    出所)『少子化社会白書』(平成16年版)16頁を一部修正。

    晩婚化の進展

    結 婚 ・ 出 産

    夫婦の出生力の低下 少子化生涯未婚率の増大

    結婚の先送り現象

    (女性就業率の高まり、独身生活の利点、

    結婚・出産の機会費用の増大、結婚資金不足、等)

    パラサイト・シングルの増大

    ニート、フリーターの増大

    子育てコストの増大核家族化

    家族の小規模化

    少子化(出生率低下)の原因とその背景にある諸要因

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    2013/04/05女性ライフコース・マーケティング研究会

    第2期研究会・オープニング・セミナー

    6

    31

    少子化の背後にあるもの

    結婚や結婚年齢についての規範意識が変わり、「晩婚」や「生涯未婚」も増えている。

    一方で、最近頭打ちといえども、相変わらず「離婚」も多い。

    32

    一方、高齢化については・・・

    33

    人口高齢化の諸側面

    長寿化と高齢化

    長寿化:平均寿命の伸長

    高齢化:人口の年齢構成における高齢者比率の増大

    「高齢化」は、「長寿化」に「少子化」が加わることで進行し、平均寿命が変わらなくとも、出生率に低下によって加速化する。

    高齢単独世帯の増加

    高齢化により、一人暮らしの高齢者(特に、女性)が増加する(「お一人様の老後)。

    34

    東洋経済新報社(2010) ダイヤモンド社(2012)

    超高齢社会の到来とシニア・シフトの進展

    35

    『日本経済新聞』(2012年1月21日) 『日本経済新聞』(2012年3月29日)

    シニアの消費額と大手小売りのシニア・シフト

    36

    出所)第一生命研究所経済調査部(2011年12月9日)

    第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストが、2011年の60歳以上の消費支出金額は101兆2000億円と推計(但し、この金額は過大推計であるとの指摘もある)。

    「シニア消費100兆円」報道のインパクト

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    第2期研究会・オープニング・セミナー

    7

    37『日本経済新聞』(2012年11月5日)

    シニア消費への取り組みは、決して簡単ではない・・・

    38

    シニア市場の「可能性」と「多様性」を考える①

    購買人口

    購買能力

    購買意欲

    市場規模の規定要因

    団塊世代が65歳の高齢期を迎える中で購買人口は急速に増大

    していく

    十分な資産や可処分所得を持ち、時間的にもゆとりがあって、且つ、健康で活動的な高齢者

    医療や介護だけでなく、質の高い消費や経験的な消費に対して

    十分な意欲を持つ高齢者。

    典型的な想定・前提

    *mifプラチナ・セミナー講演資料

    購買人口

    購買能力

    購買意欲

    市場規模の規定要因 「可能性」と「多様性」を考える上でのポイント

    年齢区分で市場は異なる

    従来は下限年齢についての議論がほとんど、上限年齢の取り方によって購買人口は大きく異なり、消費の質、市場ポテンシャルも異なる。

    高齢になるほど格差は拡大資産や年収などの経済的購買能力、活動能力や認知能力といった非経済的購買能力などの格差は高齢になるほど大きく、多様性を生み出す。

    動機のタイプで意欲は異なる

    解決型vs.向上型といった動機のタイプ、移行型vs評価型といった自己制御モードによって購買意欲は大きく異なる。

    39

    シニア市場の「可能性」と「多様性」を考える②

    *mifプラチナ・セミナー講演資料

    40

    『日本経済新聞』(2012年5月1日)

    シニア市場の「可能性」と「多様性」を考える③

    シニア市場の多様性に着目すべきという主張は多い

    41

    <ご参考> mifプラチナでのライフコース別セグメント42

    高齢化する市場の新たな切り口

    それがライフコース視点である。

    同時に、

    高齢者の市場は女性市場でもある。

  • 学習院大学 青木研究室C

    2013/04/05女性ライフコース・マーケティング研究会

    第2期研究会・オープニング・セミナー

    8

    43

    出所)『高齢社会白書』(平成24年版)2頁。

    高齢化の現状

    44

    出所)平成24年版高齢社会白書

    日本における平均寿命の推移(実績と推計)

    45

    出所)ニッセイ基礎研究所(2010)『高齢単独世帯の居住状況』、6頁。

    高齢単独世帯の大半は女性高齢者

    46

    人口高齢化の1つの帰結

    「高齢化(長寿化)」、「非婚・非産」、「(熟年)離婚」といった流れは、女性たちに「シングル・アゲイン」といった形を含めて、「おひとりさまの老後」を強く意識させていった。

    上野(2007)

    47

    Aspect Ⅱ 経済力格差が消費を変える

    所得、資産、消費の各側面で格差が拡大し固定化して

    いるという。階層化や階層の固定化(閉鎖化)の議論は

    ともかくとして、「総中流時代」のマス・マーケティング的

    発想が通用しなくなった今、どのような切り口で消費市

    場を捉えていけば良いのであろうか?ここでもライフコ

    ース視点の可能性を考えてみる。

    48

    格差・不平等問題も2000年代のテーマであった

  • 学習院大学 青木研究室C

    2013/04/05女性ライフコース・マーケティング研究会

    第2期研究会・オープニング・セミナー

    9

    49

    『週刊ダイヤモンド』(2008年3月8日号) 橘木(2008)

    最近では、働き方による格差や女性間の格差の問題も・・・

    50

    働き方の違いが格差を生み出す

    働き方の多様化によって、「男女格差」ならぬ「女女格差」が生まれている。

    正規か非正規かによって、生涯所得で2億円以上の差が発生する。

    51出所)内閣府『男女共同参画白書』(平成23年版)、63頁。

    共働き世帯数の推移

    確実に共働き世帯の数は増加している

    52出所)『経済財政白書』(平成15年版)、177頁。

    出産・子育てによる就業中断に伴う逸失所得

    出所)『経済財政白書』(平成15年版)、177頁。

    出産・子育てによる就業中断に伴う逸失所得額

    53 54

    消費スタイル(消費生活の様式と内容)

    就業スタイル(キャリア・デザイン)

    家族スタイル(家族役割:夫婦・親子)

    相互に結び付きながら「ライフコース」を規定

    今は3つのスタイルが連関する時代

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    2013/04/05女性ライフコース・マーケティング研究会

    第2期研究会・オープニング・セミナー

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    55橘木・迫田(2012)

    格差が拡大しつつある日本。家族の最小単位である「夫婦」もその流れに拍車をかけている。さまざまなデータに基づき、日本の夫婦の今を探ると見えてくるのは、夫の所得と無関係に働くようになった妻の影響力の大きさだ。医師夫婦に代表されるパワーカップルと、対極にある若いウィークカップルなど、興味深い事例を紹介。また、結婚できない人たちから、離婚、そして地域差まで視野を広げ、夫婦をめぐる格差を考える。

    <パワーカップル>

    医師夫婦、法曹夫婦、研究者夫婦、管理職夫婦

    <ウィークカップル>

    非正規労働者夫婦

    経済格差に対する新たな視点

    56

    一億総中流

    階層分化

    富裕層

    人数は少でも購買力は大

    低所得層

    人数は大でも購買力は小

    中間層

    価値意識も多様ライフコースによって上にも下にも移動

    日本の消費市場は分断されていくのか?

    57

    Aspect Ⅲ 価値意識の変化が消費を変える

    「価値意識の変化」は従来から言われてきたことである

    が、今起こっていることは、個々人のパースペクティブが

    外に向かって拡がると共に、内に向かって閉じていくと

    いった形での多様性である。ここでは役割意識との関連

    ライフコース視点の可能性を考えてみる。

    58

    Heinemann(1976) The Urban Institute(1979)

    70年代の米国において2つの革命の始まりが指摘された

    59

    Heinemann(1976)

    「見えざる革命」(unseen revolution)

    高齢者社会の到来と年金基金が将来の大問題となることを警告した問題作。

    Peter F. Drucker (1909~2005)

    60

    経済のサービス化は女性を労働市場に

    引き込んだだけでなく、結婚や夫婦のあ

    り方や出産パターンにいたるまで大きな

    変化を巻き起こす。アメリカでこの変化が

    最初におき、それが社会を大きく変革し、

    社会制度の変化を余儀なくされたことか

    ら、この変化は「静かな革命」(Subtle

    Revolution)と呼ばれている。

    大沢・原田 『21世紀の女性と仕事』よりThe Urban Institute(1979)

    「静かな革命」(subtle revolution)

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    第2期研究会・オープニング・セミナー

    11

    61

    「静かな革命」がもたらしたもの

    女性の高学歴化が進むと共に、既婚女性の労働

    参加率が高まり、出生率が低下。女性の経済的

    自立を促した反面、離婚率が上昇し、共働き世帯

    と片働き世帯の所得格差が拡大していった。

    62

    日本でも「静かな革命」が進行

    日本経済新聞社(1998)

    「個族」の時代が始まる

    「いざなみ経済」の出現

    「雌伏」から「雌飛」へ

    「定年離婚」の妻たち

    結婚への反乱

    自分だけの墓を

    育児休暇の穴

    仕事や生きがいを手にして自立した女性たちは、隣人や友人、地域とのネットワークによる支え合いを模索し始めた。それは、夫婦や親子のつながりを軸にした家族だけではなく、人々が個として生きる時代に芽生える「新しい家族」への予兆かも知れない。 本文105頁。

    63

    Harper Business(2009) ダイヤモンド社(2009)

    30年を経て、「静かな革命」の帰結が顕在化

    64

    日本経済新聞出版社(2008)

    ウィノミクス(womenomics:女性経済学)を提唱。

    第1章 女性が変える経済と金融

    第2章 女性が変える雇用

    第3章 企業における女性の活用

    第4章 女性が変える消費

    第5章 女性の金融資産保有力

    25~54歳の男女2470名を対象にしたインターネット調査を実施。

    ウーマノミクスへの関心の高まり①

    65

    NHKクローズアップ現代(2011年1月11日放送)『“ウーマノミクス”が日本を変える』

    ウーマノミクスへの関心の高まり②

    66『日本経済新聞』(2013年2月10日)、13面。

    ゴールドマン・サックス証券が女性と経済を重ねた造語として「ウーマノミクス」唱えて14年。少子高齢化で労働力人口が減るなか、「女性は日本経済の潜在力」と着眼した政策が広がりつつある。

    ウーマノミクスへの関心の高まり③

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    2013/04/05女性ライフコース・マーケティング研究会

    第2期研究会・オープニング・セミナー

    12

    ダイヤモンド社(2009)

    台頭する「ウーマン・エコノミー」の知られざるインパクト!

    ●世界で働く女性は10億人を超える

    ●高等教育における女性の割合はアメリカで57%、世界では47%

    ●世界の消費の64%は女性が支配している

    ●女性の消費は、現在の2000兆円から、数年後には2800兆円に拡大する

    彼女たちを抜きにして、世界の経済は語れない!

    ~同書表紙裏の紹介文より~

    世界で最も注文の多い消費者・・・・

    67 68

    愛情

    充実感

    お金ワークライフ

    バランス

    充足感

    ●思い通りの幸せや満足を追求する自由

    ●地位とゆとり●抑圧のない状態●制約や限界がないこと●望みを叶えるための後押し

    ワークライフバランス

    ●忙しさによるストレスのため、手間や時間がかからず簡単なものを求める

    ●トレードオフや難しい決断など、すべてを抱え込んで悩む

    ●増える負担。仕事・家事・育児のやりくり。時間を「買う」方法や負担を分担する方法を探る。

    愛情、人とのつながり

    ●ロマンチックな関係と愛情がいつまでも続くこと

    ●パートナーの信頼、支え、誠実、責任

    ●健康で幸せな家族●家族、友人、同僚、近所とのつながり

    ●組織・共同体への帰属意識

    ステータスとしてのお金

    ●女性が稼ぎ、収支バランスをコントロールする割合が増加

    ●お金の賢い使い方を慎重に、貪欲に探る

    ●お金に見合う価値への期待の高まり。売り文句に懐疑的

    ●安心、貯蓄、よりよい将来を求める。犠牲も覚悟の上

    出所)『ウーマン・エコノミー』45頁。

    女性が求めているものは、時間、バリュー、生活の向上

    69

    やることが多すぎる

    優先順位をつけるのが難しい

    自分の時間が持てない

    「時間の三重苦」と女性の複数役割

    <時間の三重苦>

    職 妻

    <女性の複数役割>

    ライフコースによって軸足が大きく変化する。

    朝日新聞社 (2003)、ISBN: 402257884X

    小倉千加子、『結婚の条件』(2003)の紹介

    <結婚の階層分化>

    生存のための結婚-高卒者

    依存のための結婚-短大卒

    保存のための結婚-四大卒勝ち組

    <新・専業主婦志向>

    「男は仕事、女は家事」から

    「男は仕事、女は仕事と家事」を経て、

    「男は仕事と家事、女は家事と趣味(的仕事)」

    という分業志向に突入した。

    70

    71

    結婚・継続就業(DINKS、

    ワーキングマザー等)

    非婚・晩婚化

    裁量所得大・裁量時間少

    経済格差

    専業主婦・子供2人(従来の標準的ライフコース)

    どの役割に重きを置くかでライフコースは分岐する72

    改めて、

    ライフコース・アプローチについて

    整理しておきましょう。

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    第2期研究会・オープニング・セミナー

    13

    73

    新たな分析視角「ライフコース」アプローチ

    これまでマーケティングの世界では、ライフサイクル論

    をベースにした「ライフ・ステージ」の考え方や価値意識

    多様性を踏まえた「ライフ・スタイル」論が展開されてきた。

    ただ、世代や階層といった従来型の分析視点が切れ味

    を失いつつある今、新たな視点での分析が求められて

    いるのはなかろうか?これまでの議論をベースに、ライフ

    コース・アプローチの特長について考えてみる。

    74

    ライフ・ステージ(段階的同質性の強調)

    ライフ・スタイル(価値の異質性の強調)

    ライフ・コース(選択性と個人化を強調)

    家族と消費を捉える3つの視点

    75

    独身段階

    新婚段階

    フルネストⅠ(末子6歳未満)

    フルネストⅡ(末子6歳以上)

    フルネストⅢ(子を扶養する中年夫婦)

    エンプティネストⅠ(現役)

    エンプティネストⅡ(退職)

    老齢単身(現役)段階

    老齢単身(退職)段階

    家族ライフサイクルにおける主なステージ

    今日においては、ライフサイクルが複線化し始めている。

    76

    「ライフコース」とは

    「ライフコース(life course)」=「個人が一生の間に辿る道筋(人生行路)」

    「個人の生涯における人生上の出来事(life events)や社会的役割の配列(sequence)のこと」

    Elder.G.H(1985)

    時期が来れば自動的に次の段階に移行する「サイクル」ではなく、特定の社会の中で、時代と格闘しながら、様々な個人がそれぞれの立場で構築していく人生の軌跡(コース)の多様さを、多様なままに捉えようとする概念。

    77

    人生における様々な選択(役割の獲得)

    就学の選択

    就業の選択

    結婚(配偶者)の選択

    家族(出産)の選択

    これらの選択の仕方によって様々なライフコース(人生行路)が描かれる

    78

    学校卒業

    就職

    アイデンティティ形成期

    非婚への方向づけ結婚への方向づけ・選択

    専業主婦型 両立型 非婚就業型

    出産DINKS型

    結婚延期型

    (仕事は結婚・出産まで) (結婚しても仕事) (結婚しないで仕事)

    (出産しても仕事) (子供もたないで仕事)

    DEWKS型

    出産

    結婚

    ポスト子育て期の危機

    出産をめぐる方向選択の危機

    トータルなライフスタイルをめぐる危機

    職業・母親アイデンティティの葛藤

    出産延期型

    結婚をめぐる方向性選択の危機

    ・前にも進めず後ろへも退けない宙づり感覚

    ・トータルな生き方では両立型にはかなわない

    ・子供のいない人生で本当に良かったのか

    ・独りでいるのは寂しい

    ・スーパーウーマン幻想

    ・空の巣症候群

    ・世の中に取り残されそう

    年齢

    20

    30

    40

    DEWKS: Double Employed With KidsDINKS: Double Income No Kids

    現代女性のライフコースの木

    出典:『新女性のためのライフサイクル心理学』13頁を一部修正。

    青年期

    成人初期

    中年期

    離職

    離職 復職 継続就業

    中断再就職型

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    14

    79

    ライフコース多様化の明と暗

    <専業主婦であることの難しさ>

    育児や家事に対する評価は大変な割に低く、「主婦である」ことでアイデンティティを確認することは難しい。このままでは世の中から取り残されるという焦りは家庭の外へ目を向けさせ、また、ポスト子育て期には「空の巣症候群」を発病する例も多い。

    <働き続けることの難しさ>

    職場における「ガラスの天井」(男女格差)の存在、前にも進めず、後ろへも引けないという「宙づり感覚」は女性を転職、資格取得、大学院進学、海外留学へと駆り立てる。また、家事も育児も仕事も完璧にという「スーパーウーマン幻想」は女を疲弊させる。

    <シングルでいることの難しさ>

    出産年齢の限界を迎える40代、結婚もせず、子どもも生まなかった女性は、トータルな生き方として自分の人生を再評価し、もし1人の人間としてのアイデンティティを確認できない場合には一層孤独感を深めることになる。

    出所)『新・女性のためのライフサイクル心理学』、12-18頁。 80

    ライフコース多様化の背景

    長寿化によるライフサイクルの長期化

    女性の働き方の変化(雇用労働者化・継続就業の増大)

    規範意識(適齢期・役割意識)の弱化

    経済的基盤の確立 → 個の自立・確立

    但し、一方では女女格差も

    家族役割の変化 → 夫離れ、子離れ

    但し、一方では絆づくりも

    ポスト子育て期の長期化 → 人生設計の見直し但し、先の見えぬ不安も

    81

    結婚 末子出産 末子結婚 夫死亡

    14.7年 25.2年 4.6年

    7.7年 25.9年 13.9年

    4.5年

    27.2年 19.6年

    出産期 養 育 期 手離れ期

    51.3年

    47.5年

    計44.5年

    1970年結婚コーホート夫26.9歳妻24.2歳で結婚、子2人

    1950年結婚コーホート夫25.9歳妻23.0歳で結婚、子3人

    1930年結婚コーホート夫26.3歳妻22.2歳で結婚、子5人

    出典)森岡・望月、1993、73頁。

    ライフサイクルが長期化し「空の巣」期間も伸びている

    82

    ライフコースの分析視点

    人生の節目(岐路)における方向づけを問題にする

    ライフイベントのタイミングと順序を問題にする

    ライフコース選択には価値意識が反映されており、また、選択したライフコースによって直面する課題も異なる。

    結婚、出産のタイミングの違いにより、同一ライフコースであっても、生活・消費に違いが出てくる(ex.「末子度」)。

    様々な役割の中での軸足の置き方を問題にする

    様々な役割(妻・母・娘・稼ぎ手、等)の中での軸足の置き方によって、時間や所得といった生活資源の配分(=消費)に大きな違いが出てくる。

    役割の違いに着目した分析視点

    私(娘)私(娘)

    私妻

    私(娘)

    私 妻

    母 職

    就業 結婚 出産 復職

    妻私

    ワーキングシングル

    DINKS

    専業主婦

    リターナ

    83

    DEWKS

    家事(イエゴト)

    母事(ハハorママゴト)

    親事(オヤゴト)

    仕事(シゴト)

    外事(ソトゴト)

    私事(ワタシゴト)

    炊事・洗濯・掃除・健康管理・家計管理・日常の買物

    育児・子どもの教育や養育

    親の世話・介護

    学生の就学/(有償の)就労行動

    地域活動・ボランティア・NPO活動等

    趣味・学び・レジャー活動・ショッピング

    役割

    私 母妻

    6つのコト(生活行動領域)

    職 妻 母私

    母妻

    私 職

    女性の役割と 6つのコト(生活行動領域)

    84

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    85

    重要なことは、

    「ライフコース視点」で考えること。

    86

    ライフコース × ライフサイクル = ライフスタイル(ステージ)

    基本的認識

    女性のライフコースが分岐し、もはやライフサイクル(ステージ)だけでは捉えきれない。

    ●ライフスタイルの多様性を、まずはライフコースで説明し、ライフステージで分解する。

    ●ライフコースに着目することにより、セグメントの量的・質的を、ある程度見通すことが可能。

    87

    長期継続的な調査(パネル調査)

    ライフコース視点の分析

    長期的視点での構造変化の把握

    女性の役割(意識)変化への着目

    生活資源(特に時間)への着目

    女性市場(消費)を捉える上での基本的視点

    ●学習院大学経済経営研究所「女性の就業と消費意識に関するパネル調査」第1回調査(2006年1月) 現在第8回調査を実施中

    ●三菱総合研究所「生活者市場予測システム(MIF)」第1回調査(2011年6月) 今後10年間実施予定

    いかにして、表層的な分析を超えていくか・・・・

    88

    ライフコースの多様化(就業スタイル・家族スタイル

    ・生活スタイルの変化)

    生活リスク、生活ストレスという切り口

    人的ネットワーク(女縁)という切り口

    (「母娘」関係を含む)

    自己愛、自己投資、人生のリセットという切り口

    自由裁量所得、自由裁量時間という切り口

    理想自己、役割自己の変化という切り口

    アンカリングという切り口(不動産購入が縛りとなる)

    家計管理の構造という切り口(家計から個計へ)

    ライフコース変化から派生する消費変化の切り口

    89

    昨年から、mifの研究会を

    スタートさせました。

    90

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    91

    分析の「視点」、「場」、「課題」について

    分析の視点

    分析の場

    分析の課題

    ライフコース・パースペクティブ(女性のライフコース変化に注目)

    最新手法MROCの活用(Market Research Online Community)

    女性消費の動向分析とマーケティング対応の検討

    (更に、mif3万人調査のデータも活用)注:・DINKS=

    Double Income No Kids (共働き収入あり、子供なし)

    ・DEWKS=Double Employed With KidS (子供を持つ共働き夫婦)20

    60

    70

    シングル 夫婦のみ 夫婦+子供

    子供の独立シニアワーキング

    シングル

    プラチナシングル

    30

    40

    50

    結婚

    ワーキングシングル40・50代

    DINKS

    広義のDEWKS

    リターナ[復職]

    本研究会におけるライフコース類型

    専業主婦

    ワーキングシングル20・30代

    専業主婦

    [結婚→退職→出産]

    +[出産→

    退職]

    出産・

    育児

    離・死別

    プラチナ夫婦[夫婦引退]

    シニア共稼夫婦

    シニア専業主婦

    継続就業DEWKS

    歳が検討対象

    92

    本研究会におけるライフコース類型の定義世帯区分 ライフコースセグメンテーション 定義 サンプル数 構成比

    20~59歳

    独身 正規雇用ワーキングシングル(~39歳) 20代~30代の正規雇用で就業中の独身女性 1019 7.0%

    正規雇用ワーキングシングル(40~59歳) 40代~50代の正規雇用で就業中の独身女性 344 2.4%

    非正規雇用ワーキングシングル(~39歳) 20代~30代の非正規雇用で就業中の独身女性 892 6.1%

    非正規雇用ワーキングシングル(40~59歳) 40代~50代の正規雇用で就業中の独身女性 256 1.8%

    その他ワーキングシングル 20代~50代の自営業主、家族従業員、在宅就労、自由業等の独身女性 664 4.6%

    非就労シングル 20代~50代の非就労の独身女性 905 6.2%

    既婚 DINKS(妻正規雇用) 20代~50代の子供のいない共働き世帯で妻が継続就業の正規雇用 147 1.0%

    DINKS(妻非正規雇用) 20代~50代の子供のいない共働き世帯で妻が継続就業の非正規雇用 123 0.8%

    DEWKS(妻正規雇用) 20代~50代の子供がいる共働き世帯で妻が継続就業の正規雇用 286 2.0%

    DEWKS(妻非正規雇用) 20代~50代の子供がいる共働き世帯で妻が継続就業の非正規雇用 146 1.0%

    リターナ 20代~50代の共働き世帯で妻が結婚または出産で一時離職したが現在復職 1758 12.1%

    専業主婦(結婚契機退職) 20代~50代の専業主婦(結婚を契機に退職)。夫は就業中 2629 18.1%

    専業主婦(出産契機退職) 20代~50代の専業主婦(出産を契機に退職)。夫は就業中 1085 7.5%

    その他専業主婦 20代~50代のその他の専業主婦(生涯非就労等の専業主婦) 905 6.2%

    60~69歳

    独身 プラチナシングル 60代で非就業の独身女性 345 2.4%

    シニアワーキングシングル 60代で就業中の独身女性 235 1.6%

    既婚 プラチナ夫婦 60代で夫婦ともに非就業 682 4.7%

    シニア共稼ぎ夫婦 60代で夫婦ともに就業 272 1.9%

    シニア専業主婦 60代の専業主婦。夫は就業中 545 3.7%

    上記以外 1311 9.0%

    合計 14549 100.0%

    出所:(株)三菱総合研究所・生活者市場予測システム(mif)

    93

    本研究会における3つのテーマ

    日常 非日常

    個・家族

    家族を超えたつながり

    テーマ1女性の働き方の変化

    テーマ2ネットワーク形成

    (女縁)

    テーマ3ライフイベントと

    リスク対応

    94

    研究会で得られた知見の概要について、第2部で紹介いたします。

    95

    5月から第2期研究会を開始します。

    96詳しくは、この後、第3部でご説明申し上げます。

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    17

    97

    定量・定性を合わせたハイブリッドなリサーチ・システム

    本研究会が依拠する道具立て

    98

    特に、第2期ではMROCのソーシャル・グラフ機能を活用

    参加者同士の関係性が表示され、どのような議論が交わされたが把握できる。

    <ソーシャル・グラフ機能>

    99

    ご清聴有難うございました。

    100

    なぜ世代論では不十分なのか?

    補論

    101

    年齢効果(発達的出来事の効果)

    時代効果(歴史的出来事の効果)

    コーホート効果(特定の歴史的出来事を特定の年齢で経験することの効果)

    世代をめぐる3つの効果

    *「コーホート」(cohort)とは、古代ローマ時代の歩兵隊の意味。

    102

    年齢(Age)

    時代(Period)

    時代効果

    年齢効果コーホート効果

    世代区分

    A(age)×P(period)×C(cohort)空間の事例(日本の場合)

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    18

    103

    松田(2009) 山岡(2009)

    世代論は一見分かりやすいが・・・・

    古市(2011)

    例えば、「若者論」の場合は

    ややもすると表層的で安易な「ラベリング」(レッテル貼り)となり、ステレオタイプ的議論に陥りやすい。

    世界文化社集英社

    2007年4月、「新40代」女性誌として創刊したが・・・

    104

    今年で6年目に突入 残念ながら休刊

    転機を迎える女性雑誌①

    105

    小学館(1996年12月創刊)

    転機を迎える女性雑誌②

    まさに、35歳はライフコースの分岐点といったところ・・・・

    106

    光文社(2008年3月創刊)

    転機を迎える女性雑誌③

    Around50は、ライフコース変化の端境期といったところか・・・

    107

    2007年4月創刊(残念ながら同年8月号で休刊)

    進化

    日経BP社(1988年4月創刊)

    転機を迎える女性雑誌④

    するはずだったが・・・

    残念ながら、継続就業層もエグゼクティブを輩出するまでにはなっていないのか・・・・・・

    108リサ・ランドール『ワープする宇宙』48頁。

    まさにライフコースは

    “passage”を問題とするのだが・・・・・

    単に「世代」という幻影を見ているのかも知れない

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    19

    109

    本当に終わり。