6
IPM技術による病害虫防除技術 2011/09/07 宮崎大学農学部(植物生産環境科学科) 1 IPM技術による病害虫防除技術 宮崎大学農学部 植物生産環境科学科 応用昆虫学研究室 大野和朗 県内往復500kmの露地ナ ス生物多様性調査・・・学生、 農家、大野も勉強? IPMの基本概念と新たな展開① IPMの意義をこれまでのさまざまな定 義を含めて検討する。現場への適用に 際して問題点と改善点に関する議論を 深める。 3 Integrated Pest Management (IPM) 国連食糧農業機関(FAO)による(1967) Food and Agriculture Organization of the United Nations あらゆる適切な技術を相互に矛盾しない形で使用 し、経済的被害を生じるレベル以下に害虫個体群 を減少させ、かつその低いレベルに維持するため の害虫管理システム。 農薬至上主義 天敵至上主義 4 総合的有害生物管理 IPM IPMとは、収量の維持または増加を図るため、 環境や社会へのリスクを最小にし、農家の利 益にもなる防除手段の合理的な組み合わせ システム。(Kogan, 1998) 総合的害虫管理の重要なコンセプト 1)複数の防除法の合理的統合 2)経済的被害許容水準 3)害虫個体群管理システム 5 IPMとは、 経済的損失が生じる水準(EIL)以下に、害虫密度を保つ。 そのために、あらゆる可能な防除技術(生物的・耕種 的・物理的・化学的防除)を相互に矛盾しない形で組 み合わせる。 農生態系(Agro-Ecosystem)の長期的安定性持続性 (sustainability)の維持を可能にする 特に、自然界に存在する天敵などを最大限に活用する。 化学農薬は、害虫の発生消長をモニタリングしながら、 経済的損害が生じる場合に限り、実施する。注)IP Mは化学農薬を否定するものではない。 6 IPMが意味し、目指すところ 各種の防除手段を併用する 農薬の集中的、無制限な使用を控え、効率的な 利用を進める。 そのため、防除が必要な害虫密度つまり要防除 密度を設ける。 現場での害虫の発生動向を正確に把握 害虫個体群の変動つまり個体群動態を把握する。 7 総合的病害虫・雑草管理の定義 総合的病害虫・雑草管理(IPM)実践指針(農林水産省)より http://www.maff.go.jp/j/syouan/syokubo/gaicyu/g_ipm/index.html IPMの目的

IPM技術による病害虫防除技術 2011/09/07 - miyazaki-u.ac.jp · 2012. 7. 24. · IPM技術による病害虫防除技術 2011/09/07 宮崎大学農学部(植物生産環境科学科)

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  • IPM技術による病害虫防除技術 2011/09/07

    宮崎大学農学部(植物生産環境科学科) 1

    IPM技術による病害虫防除技術

    宮崎大学農学部 植物生産環境科学科

    応用昆虫学研究室 大野和朗

    県内往復500kmの露地ナス生物多様性調査・・・学生、農家、大野も勉強?

    IPMの基本概念と新たな展開①

    IPMの意義をこれまでのさまざまな定

    義を含めて検討する。現場への適用に際して問題点と改善点に関する議論を深める。

    3

    Integrated Pest Management (IPM)

    国連食糧農業機関(FAO)による(1967) Food and Agriculture Organization of the United Nations

    あらゆる適切な技術を相互に矛盾しない形で使用し、経済的被害を生じるレベル以下に害虫個体群を減少させ、かつその低いレベルに維持するための害虫管理システム。

    農薬至上主義 天敵至上主義

    4

    総合的有害生物管理 IPM

    IPMとは、収量の維持または増加を図るため、環境や社会へのリスクを最小にし、農家の利益にもなる防除手段の合理的な組み合わせシステム。(Kogan, 1998)

    総合的害虫管理の重要なコンセプト

    1)複数の防除法の合理的統合

    2)経済的被害許容水準

    3)害虫個体群管理システム 5

    IPMとは、

    経済的損失が生じる水準(EIL)以下に、害虫密度を保つ。

    そのために、あらゆる可能な防除技術(生物的・耕種的・物理的・化学的防除)を相互に矛盾しない形で組み合わせる。

    農生態系(Agro-Ecosystem)の長期的安定性と持続性(sustainability)の維持を可能にする

    特に、自然界に存在する天敵などを最大限に活用する。

    化学農薬は、害虫の発生消長をモニタリングしながら、経済的損害が生じる場合に限り、実施する。注)IPMは化学農薬を否定するものではない。

    6

    IPMが意味し、目指すところ

    各種の防除手段を併用する

    農薬の集中的、無制限な使用を控え、効率的な利用を進める。

    そのため、防除が必要な害虫密度つまり要防除密度を設ける。

    現場での害虫の発生動向を正確に把握

    害虫個体群の変動つまり個体群動態を把握する。

    7

    総合的病害虫・雑草管理の定義

    総合的病害虫・雑草管理(IPM)実践指針(農林水産省)より

    http://www.maff.go.jp/j/syouan/syokubo/gaicyu/g_ipm/index.html

    IPMの目的

  • IPM技術による病害虫防除技術 2011/09/07

    宮崎大学農学部(植物生産環境科学科) 2

    IPMの基本的な実践方法

    0

    5

    10

    15

    20

    25

    1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003

    kg/ha

    農薬使用量

    日本

    韓国

    オランダ

    イギリス

    フランス

    ドイツ

    アメリカ

    農地あたり農薬使用量の推移(OECD;経済協力開発機構調べ)

    12

    0 1 2 3 4 5 6 7

    露地果菜類

    露地葉菜類

    露地根菜類

    露地その他

    野菜施設栽培

    花き露地栽培

    花き施設栽培

    果樹露地栽培

    水稲

    kg/10a

    殺虫剤

    殺菌剤

    図2 日本における作物毎の農薬投下量(1996年~1997年調べ)

    (農林水産省調査、1998)

    Can you believe ? ・・・ あるバラ農家のつぶやき・・ 1年に300日近く、農薬を散布している

    13

    単植栽培 (モノカルチャー)

    自然植生の排除 肥料の過剰施肥

    作物(寄主植物)の大量供給

    農薬の集中的使用

    有用昆虫の生息場所破壊

    除草剤

    作物への寄主転換

    害虫の誘引

    害虫の生活環成立

    生物多様性の低下

    自然制御力(天敵等)の低下

    作物での栄養的不均衡

    害虫に対する脆弱性増大

    殺虫剤

    殺虫剤抵抗性

    天敵排除

    オトリ植物や天敵繁殖場所の排除 誘導多発

    生(リサージェンス)

    二次害虫の顕在化 害虫問題の深刻化

    図1 単植栽培における害虫問題と農薬の悪循環(Nicholls & Altieri (2007))より作図

    大きな疑問

    総合的病害虫・雑草管理

    病害虫管理と雑草管理は相容れるものか? 基本的なコンセプトの矛盾

    単植栽培 (モノカルチャー)

    自然植生の排除 肥料の過剰施肥

    作物(寄主植物)の大量供給

    農薬の集中的使用

    有用昆虫の生息場所破壊

    除草剤

    作物への寄主転換

    害虫の誘引

    害虫の生活環成立

    生物多様性の低下

    自然制御力(天敵等)の低下

    作物での栄養的不均衡

    害虫に対する脆弱性増大

    殺虫剤

    殺虫剤抵抗性

    天敵排除

    オトリ植物や天敵繁殖場所の排除 誘導多発

    生(リサージェンス)

    二次害虫の顕在化 害虫問題の深刻化

    植生管理 適正施肥管理 農薬の選択的使用

    総合的作物管理

    インセクタリー・プラント (天敵温存植物) リフュージ (天敵の隠れ場所)

    ランドスケープ・マネージメント (景観管理) ↓ 生物多様性の向上 ↓ 生態系サービスの活用 (自然制御の取り込み)

    栄養的均衡 ↓

    植物の防御 機構増大

    選択的農薬の使用 ↓

    土着天敵の保護

    雑草維持・活用 (天敵の発生源確保)

    生物多様性の向上 害虫の低密度平衡

    栽培作業との整合性

    宮崎大学農学部 植物生産環境科学科 応用昆虫学研究室

    Laboratory of Applied Entomology, UOM

    17

    有機栽培コーヒー園 Organic, sustainable, fair trade

    インドネシア アグロポリス

    生態系サービス(自然制御)を取り入れた農業

    IPMにおける重要な基準:EIL

    経済的被害許容水準 (EIL:Economic Injury Level)

    害虫の密度と収量の関係式から導かれ、害虫の被害が経済的に許容できる最低限度(損害限界)時の害虫密度。このレベルを超えると、防除コストが防除による利益を上回る。

    要防除密度(CT, ET, AT) (Control threshold, Economic threshold, Action threshold)

    防除をしなければ、EILを超えるまで害虫密度が増加すると判断される害虫密度、つまり防除が必要な限界密度。

    18

  • IPM技術による病害虫防除技術 2011/09/07

    宮崎大学農学部(植物生産環境科学科) 3

    経済的被害許容水準と要防除密度の関係

    害虫密度

    時 間 →

    EIL

    要防除密度

    被害

    害虫密度

    ↑被害許容水準(EIL)

    要防除密度↑

    被害許容限界

    19

    日本におけるEILとETの例 水稲

    トビイロウンカ 0.36匹/株(8月上旬)ET

    ミナミアオアカメムシ 5.4~6.1匹/50回すくい取り(ET)

    果樹

    ミカンハダニ 春葉1,150匹/葉 (EIL)

    チャノキイロアザミウマ 10匹/黄色粘着トラップ (ET)

    野菜

    ミナミキイロアザミウマ ナス0.06匹/葉

    (EIL 5%減収)

    20

    定植

    IPM

    耕起

    長期予報

    生物的防除

    ★化学的防除

    記帳 トラップ

    耕種的防除

    被害許容水準

    発生予察

    County commisions,North Dakota State University and U.S. Department of Agriculture cooperating.

    21

    農家圃場でのIPMの限界

    IPM実行に不可欠な要素であるEIL、ETが確立されていない。

    害虫密度のモニタリング(発生予察)無理。

    各県の病害虫防除所による発生予察は県内全域の発生動向を調査するが、農家圃場単位でのモニタリングはできない。

    天敵などを組み入れたIPMでは、EILやETそのものが化学防除の場合と大きく変わる。 (大野)

    22

    ET

    ET

    EIL

    EIL

    害虫個体数

    時間(定植から収穫、栽培終了まで)

    経済的被害許容水準と要防除密度

    栽培期間中にEILやETが変化する場合もある。

    23

    【IPMの定義】FAO(国連食糧農業機関)2003年

    IPMとは、全ての利用可能な病害虫防除技術を慎重に考慮のうえ、病害虫密度の増加を抑え、かつ農薬およびその他の防御措置を経済的に適正で、人の健康と環境へのリスクを軽減あるいは最小に維持する適切な手段の統合をいう。

    総合的病害虫管理では、農業生態系内の撹乱を可能な限り減らし、健康な作物の生長を重視し、自然の病害虫抑制メカニズムを取り入れる。

    農薬はあくまで最終手段! 24

    総合的害虫管理

    IPMは生態学に基盤を置くアプローチであり、自然制御、害虫除去、化学農薬等を利用した害虫防除が目的。

    自然制御(Natural Control)には、作物管理、気象条件、作物抵抗性、生物的防除資材が含まれる。

    R. Smith and R. van den Bosch による IPM (Integrated Control)の定義

    害虫個体数を減少させるかまたは経済的被害を及ぼさない水準以下に管理するため、あらゆる適切な手法を用いる。

    化学農薬の限界や不利な点を理解、対象作物での経済的被害許容水準の決定、害虫の発生状況調査や監視、農薬散布の精度向上、さらに生物的防除因子(天敵)の使用方法や信頼性向上に努めながら、自然制御因子を最大限に引き出すことができる。

    生物的防除は作物に対する被害を抑えるため、捕食者、捕食寄生者、昆虫寄生性微生物、拮抗生物、競争生物を利用する方法。

    25

    IPMとは? 農家が使う

    総合的害虫管理(IPM)戦略とは、害虫、雑草や病気による作物への被害を防ぐためのものである。

    IPMの取り組み:抵抗性品種、栽培方法、天敵、発生モニタリング、適正な農薬使用など。

    なぜIPMなのか?

    IPM技術は、環境の保全、質の高い作物の生産、農地の収益性維持に役立つ。

    26

    IPMの理想と生産現場の現実

    感受性低下、抵抗性害虫の出現

    輪番施用(ローテーション散布)

    効果の高い農薬の利用に集中

    天敵などの自然制御力を最大限に利用

    使用される農薬の大半は非選択的農薬

    発生予察、EILに基づく適正な農薬散布

    害虫は発生させない、スケジュール散布

    Sustainability 持続可能な農家?

    ・新規薬剤の効力低下、農薬散布に追われる毎日。 ・輸入野菜などによる、生産物の価格低迷。 ・資材費の高騰 ・天敵昆虫等の費用高(普通に考えると使えない) ・普及センター、農協の統合。 ・後継者不足と高齢化

    27

  • IPM技術による病害虫防除技術 2011/09/07

    宮崎大学農学部(植物生産環境科学科) 4

    大量放飼 接種的放飼 伝統的(永続的) 生物的防除

    天敵保護

    総合的害虫管理 (IPM)

    機械的・ 物理的防除

    耐虫性・ 組み替え

    遺伝的防除 不妊虫放飼

    生物農薬 生物的 防除

    化学農薬

    露地野菜 果樹園 水田

    果樹園 森林 街路樹 河川

    施設野菜 施設果樹

    施設野菜 露地野菜

    Eilenberg et al., (2001)を一部修正、網掛け部分を追加 28

    IPMの基本概念と新たな展開②

    慣行的IPM(conventional-IPM)から、天敵を基幹としたBiointensive-IPMまでの推移

    29

    オランダは21世紀ミレニアムに向けて天敵利用技術を開発、農薬の大幅削減を達成した!

    海外で開発・生産された天敵が日本にも輸入され、少しずつ野菜ハウスなどで使われている。

    農薬に依存した農業を変えるチャンス?

    農家の皆さんはきつい農薬散布から解放される!

    天敵利用って、環境に易しい!!

    30

    31

    0

    5

    10

    15

    20

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    1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003

    kg/ha

    農薬使用量

    日本

    韓国

    オランダ

    イギリス

    フランス

    ドイツ

    アメリカ

    オランダは天敵利用技術の開発により、農薬の大幅削減を達成した

    0

    200

    400

    600

    800

    1000

    1974 1976 1978 1980 1982 1984 1986 1988 1990 1991 1992

    ピーマン栽培面積

    チリカブリダニ

    ククメリスカブリダニ

    アブラバチ他

    タイリクヒメハナ

    栽培面積(10ha)

    オランダにおける天敵利用面積の推移

    地域農家の参加で創る、生態系活用型農業

    なぜ、科学先進国日本が農薬使用量トップなのか?

    1)大学が農業現場や地域農家から遊離、2)技術普及に関する大学の意識欠如、3)実態とかけ離れた実験室、学内圃場での試験研究の展開、4)基礎研究と応用研究を結ぶ努力の欠如、5)現場に根差した普及教育システムの欠如。

    IPM 新たな取り組み

    34

    慣行IPM vs 天敵IPM conventional IPM vs Biointensive IPM

    慣行IPM 化学合成農薬を優先的に使用する。

    元々のIPMの概念では、各種防除手段を併用し、農薬利用は最終的な解決手段であった。

    慣行IPMに対する批判のひとつは、各種防除手段との整合性、特に生物的防除(自然制御)が取り込まれていない点にある。→農薬の過剰使用へ

    生物的防除に基盤を置いたIPMが今注目されているのは、天敵を含めた自然の制御因子を取り込むことが、持続可能な農業につながるという理由からである。

    35

    Biointensive IPM

    選択性農薬や生物農薬(Biopesticides)を最終的

    な手段としながら、リスクを最小限にするため、に各種防除手段を併用する。

    抵抗性品種、作物の健全性維持、輪作、交信かく乱フェロモン、天敵等による自然制御などを最大化する。

    36

  • IPM技術による病害虫防除技術 2011/09/07

    宮崎大学農学部(植物生産環境科学科) 5

    Biointensive IPM

    ATTRA (Appropriate Technology Transfer for Rural Areas), USDA (2001)

    37

    単植栽培 (モノカルチャー)

    自然植生の排除 肥料の過剰施肥

    作物(寄主植物)の大量供給

    農薬の集中的使用

    有用昆虫の生息場所破壊

    除草剤

    作物への寄主転換

    害虫の誘引

    害虫の生活環成立

    生物多様性の低下

    自然制御力(天敵等)の低下

    作物での栄養的不均衡

    害虫に対する脆弱性増大

    殺虫剤

    殺虫剤抵抗性

    天敵排除

    おとり植物や天敵繁殖場所の排除

    誘導多発生(リサージェンス) 二次害虫

    の顕在化

    害虫問題の深刻化

    38

    慣行IPM vs 天敵IPM conventional IPM vs Biointensive IPM

    •慣行IPMでは、

    化学合成農薬を優先的に使用する。

    本来のIPMの概念では、各種防除手段を併用し、農薬利用は最終的な解決手段とされている。

    •生物的防除を基盤としたIPMでは、

    天敵の働きを補完するため、必要な場合に選択性農薬を中心に防除を実施。

    39

    IPMのバージョン・アップ それとも IPMの進化?

    IPMに対する批判

    化学的防除中心のIPM

    化学的防除中心のIPM(chemically-based IPM) 総合的農薬管理(Integrated Pesticide Management) 生態学に基盤を置いたIPM (Ecologically-based IPM) 生物的防除を基幹としたIPM (BC-IPM)

    総合的作物管理(ICM)

    環境(生態系)へのリスク

    持続性・生物多様性の向上

    40

    IPM修正版

    The Evolution of IPM to ICM in Vegetable Crops

    野菜作物における総合的害虫管理(IPM)から総合的作物管理(ICM)への進化

    ヨーロッパおよび北アメリカでは、IPMはもはや単独で成り立つ技術ではない。経済的あるいは市場の現実性、複雑な生物間の関係を考慮することで、IPMは総合的作物管理(ICM)の一部として進化してきた。

    農家や生産者が取り組むことを考えるならICMを想定した、IPM技術の開発は当然!?

    41

    高知県での天敵利用の取組:雑然さの中の秩序?

    42

    剪定後の葉を圃場に残す。天敵が好む雑草を圃場内に残す。他の作物を植えておく(餌となる害虫の発生)

    0.0

    0.2

    0.4

    0.6

    カブリダニ

    アザミ成虫

    アザミ幼虫

    コナ成虫

    コナ幼虫

    アブラ無翅

    アブラ有翅

    0.0

    0.2

    0.4

    0.6

    カブリダニ

    アザミ成虫

    アザミ幼虫

    コナ成虫

    コナ幼虫

    アブラ無翅

    アブラ有翅

    苗の花 苗の葉

    抑制栽培キュウリから半促成栽培ナス ナスポット苗への天敵移動 (2011年)

    (藤・吉村,未発表データ)

    一般的な指導は、

    「前作の残渣は圃場外に持ち出し、圃場内やその周辺に残渣を残さない」

    BC-IPMの最終ゴールは • 天敵が活動、繁殖できる空間(植生管理や栽培作業の修正により)を確保することで、害虫の発生に備えるシステムを作る・・・

    例えが悪いかもしれませんが、常に多様な天敵群集(軍団?)により、害虫に対する早期警戒体制や出撃体制を維持、確立すること

    44

    個人的意見:BC-IPMでは、従来のIPMに比べ、発生予察や発生モニタリング、EILなどの生態学的(しかし、適用の難しい)ツールに依存する度合いは低くなるのでは・・?

    有機農法と慣行農法の間に位置する生産手段。

    ICMは消費者からの二つの異なった要求の妥協点でもある。

    総合的作物管理:ICM

    安全、入手容易、新鮮、きずのない、形・大きさとも申し分ない食料

    農薬を低減した、環境に優しい農業 ICM

    注)IPMがあればICMの概念は不要という意見がある。しかし、有機農法や慣行農法に対して、IPM「農法」という概念を並列的に議論できないことから、

    45

  • IPM技術による病害虫防除技術 2011/09/07

    宮崎大学農学部(植物生産環境科学科) 6

    オハイオ州立大学 普及昆虫学科 IPM研修資料

    Goals of an IPM Program IPMプログラムの目標

    Effectively manage pest populations 害虫個体群の効率的管理

    Limit damage caused by pests 被害軽減

    Reduce the exposure of humans to pesticides 農薬被爆の低減

    Limit negative environmental impact 環境負荷の低減

    Make the program cost effective 防除体系の効率化

    Components of an IPM Program IPMプログラムの構成要素

    Monitor and effectively identify pest populations 同定と発生予察

    Determine action levels 要防除密度設定

    Apply IPM management strategies IPM戦略の適用

    Evaluate program effectiveness プログラム評価

    Educate all people involved 教育研修

    教員数22名、その他48名 46

    南西アジア~バングラディシュ洪水と貧困の国

    1988~1990 昆虫学長期専門家

    休憩

    47

    日米バ三国プロジェクト:バングラデシュ農業大学院計画 Institute of Postgraduate Studies in

    Agriculture (IPSA)

    アメリカ5大学&USAID+九州大学&JICA