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NTT技術ジャーナル 2016.660
グローバルスタンダード最前線
I TU -T(In te rna t i ona l Te le -c ommun i ca t i o n Un i o n -Te l e -communication Standardization Sec tor)のCJK(China, Japan, and Korea) CTO会 合 が2016年 3 月21日に韓国のソウルで開催されました.ここでは,今回の会合の主な議題とな っ た,5Gお よ びIoT(Internet of Things),映像などについての議論結果を紹介します.
CJK CTO会合
ITU-T (International Tele com-munication Union-Tele communication Standardization Sec tor)CJK CTO会合はITU-T局長の諮問機関として,通 信 分 野 に お け る 産 業 界 の 声 をITU-Tの標準化活動に反映させる目
的で,ITU-Tに参加する中国(China),日本(Japan),韓国(Korea)の主要民間企業のCTOなどを招いて行われる会議です.
5G,IoT(Internet of Things)を中心として,ITU-Tに対する取り組みへの期待,取り組むべき重点技術分野や運営方法に関する議論を行い,ITU-Tに対する提言として “コミュニケ*” と呼ばれる声明文書が作成されました.ここではCTO会合で意見交換された産業界が高い関心を寄せる今後の標準化課題について概要を紹介します.
CTO会合は2008年のWTSA(World Tele communication Standardization As sem bly) 総 会 の 決 議68に よ りITU-T局長に課せられた取り組みで,2008年以降, 1 年に 1 度開催されてい ま す.CJKの 3 カ 国 に 限 定 し た
CTO会合は現在のITU-T局長であるChae-sub Lee氏によって2015年 4 月に初めて開催されました.今回は,昨年 4 月に続く 2 回目の開催となります. Lee局長は韓国出身であり,関係の深い日本,中国とともにCJKの3 カ国を中核メンバとした標準化連携強化をねらった取り組みです.ITU-Tの 役 職 者 数 や 寄 書 数 な ど,CJKで現在過半数を占める 3 カ国の関係者が標準化課題についての意見交換を図り,友好を深める機会が得られることは,標準化戦略を練るうえでも有益と考えられます.今回は表に示す民間企業を中心とした代表者と,ITU-T事務局からLee局長などが参加しました(写真).
会議の模様
今会合では,「5Gを支える固定ネットワーク」「IoTとその応用」「映像の将来」「WTSA-16に向けて」を主な議題として意見交換を実施しました.■5Gを支える固定ネットワーク
5Gについては,2015年 5 月に設立されたフォーカスグループ(FG)であるFG-IMT2020の検討について,その活動成果に対する感謝の意を表し,CJKの参加メンバは今後ともFG活動に積極的に貢献していくことが確認されました.また,5Gを支えるネットワークの今後の技術的な重要課題とし
表 参加メンバ
中国
Alibaba GroupFiberHome Technologies GroupHuawei TechnologiesZTE
日本
富士通KDDINECNICTNTTNTTドコモ
韓国
ETRIKTLG U PlusSamsung ElectronicsSK Telecom *コミュニケ:会議において参加者の意思を反映
し取りまとめられる,公式の共同声明文書.
ITU-T CJK CTO会合におけるITU-T標準化動向
藤ふじわら
原 正まさかつ
勝NTT研究企画部門
NTT技術ジャーナル 2016.6 61
て,①エンドツーエンドネットワーク管理,②ネットワークアーキテクチャと固定−携帯網連携,③フロントホールおよびバックホール区間を含んだネットワークのソフトウェア化とスライシング,④インフォメーションセントリックネットワーク,等であることを確認しました.さらに,5Gの標準化の進め方として3GPP(3rd Gen er-a tion Partnership Project)など他の標準化団体と協調して取り組みの重複をできる限り回避し,オープンソース団体との連携が重要であることを確認しました.■IoTとその応用
IoTに関しては,2015年の新SG20の設立を高く評価するとともに,SG20がIoTに関する国際標準の策定に関して,M2M(Machine to Ma chine)通信やユビキタスセンサネットワークを含むIoT技術の進展とともに協調して開発できるようにする責任があるという認識で一致しました.また,oneM2Mなど他の標準化団体との検討の重複を避け,標準化団体間で協調するために連携の強化が重要であることを確認しました.■映像の将来
ネットワークを流れる映像トラフィックが近年急速に増加していることを踏まえ,さらにこの先も大きく増加すると見通されるため,映像の品質,信頼性,可用性等を確保することがネットワークにとっての大きな課題になるという認識で一致しました.また,
リアルタイム ・ イマーシブな超高臨場映像を含むさまざまな新しい形式の映像の登場が見込まれ,こうした映像についても今後ネットワークとして適切に扱うことがますます重要になり,消費帯域の最適化等の各種技術が標準化課題として重要であることが認識されました.■WTSA-16に向けて
WTSA-16総会が,2016年10月25日から11月 3 日まで,チュニジアのYasmine Hammametで開催されることがアナウンスされました.それに先立ち,10月23日にCxO会合が計画されていることが紹介され,CTOメンバへの参加が要請されました.WTSA-16では,SG構成の見直しとその議長 ・副議長が選定されるとともに,ITU-Tの作業方法の見直しが議論されることから,CTOメンバからの提案についての寄書が要請されました(1).
今後の展開
2015年に行われた第 1 回の本会議においては,IoTに関する取り組みの強化がコミュニケに盛り込まれ,それを根拠の 1 つとしてIoTの標準化を行うための新Study GroupであるSG20の設立がその直後に決定されました.こうした経緯からもITU-T事務局として本会議の結果を重視するとともに今後のITU-Tが力を入れると考えられる取り組みがコミュニケには示されているといえます.詳細な内容についてはITU-TのWebサイトにおいて公開されていますので,興味のある方はご覧ください(2).
■参考文献(1) http://www.ttc.or.jp/maedablog/2016/20160323/(2) http://www.itu.int/en/ITU-T/tsbdir/cto/
Documents/160321/Final_communique.pdf
写真 CJK CTO会合