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IVR の歩んできた道,歩む道 はじめに Interventional Radiology IVR)” という言葉はよく知 られているように, 1967 MargulisAR AJR 誌に閉 塞した胆道 T チューブを透視下で開通させ Interven- tional diagnostic radiology A new subspecialty-” いう論説の中で用いたのが最初である 1。しかしその用 語は一般化せず,9 年後の 1976 Walles, S Cancer 誌に Interventional Radiologyという総説 2を記述, 解説してから普及した。わが国に於いては Interven- tionは介在,干渉,介入などと訳され, “嫌がること を無理強いする” ような印象があり,また RadiologyIVR を行うのは放射線科だけとは限らないという反 発もあってなかなか一般化しなかった。しかし IVR 意味するところは画像診断を用いて主として経皮的に 病巣に接近,到達して直接治療することであるとして “放射線診断の治療的応用” と意訳するのが適当であ 3とされる。従って放射線診断を画像診断に置き換 えて “画像診断法の治療的応用” とするのが妥当と考 えるが,現在では IVRという用語自体が定着して いる。 IVR は用語として使用されてから 40 数年を経た現 在,救急医療の場は無論,日常診療の中でも不可欠 な存在となって普及してきている。このような IVR 辿ってきた道からわれわれが学ぶことは何であろう か。その第一は発想,発案の動機である。何故そのよ うに考えたのか,考えついたのかを知ることである。 第二は発想,発案の動機を普遍化,日常化することで, そのためには簡単,容易(合理的)であること,理屈(必 要性)が通っていることである。第三には将来展望す なわち将来を見据えた洞察力,明日に役立つことは何 かを常に考えることである。以上のような観点から, IVR 発展の歴史からわれわれが学び得ることを血管系 IVR を中心に,誌面が許す限りそれぞれの分野の小史 も織り込んで各論的に述べてみたい。 血管造影法の発達 血管系 IVR の基本手技である血管造影法最初の報告 はレントゲンによる X 線発見報告の僅か 4 週後,1896 1 Haschek, E Lindenthal, OTh による切断手指 北海道大学,医療技術短期大学部,名誉教授 Office-IVR・北海道 森田 穰 特別寄稿 IVR 会誌 Jpn J Intervent Radiol 23:285-299, 2008. The developmental history of vascular interventional radiology (Vascular-IVR) outlined focusing on the following 5 points : 1) The history of angiography. 2) Intra-arterial infusion chemotherapy. 3) Embolization and embolic materials. 4) Percutaneous transluminal angioplasty (PTA) and the stent, the stentgraft. 5)IVR in Japan. In addition, achievements and anecdotes of the pioneers and inventors are introduced in the following 5 stories. 1) Cerebral angiography of Egas Moniz and thorotrast. 2) Seldinger, SI and his method. 3) Gianturco, C and wooly tails. 4) Five great achievements of Charles T, Dotter. 5) Gruntzig dilating balloon and percutaneous coronar y angioplasty (PTCA). Taking a general survey of these pioneers’ achievements, it can be seen that one development accelerate the progress of other improvements, and key points of development are to make a ceaseless effort. Summary The steps of Interventional Radiology -Forward and Behind- Prof. Emeritus, College of Medical Technology, University of Hokkaido Office-IVR . Hokkaido Yutaka Morita 28545

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IVRの歩んできた道,歩む道

はじめに “Interventional Radiology(IVR)” という言葉はよく知られているように,1967年Margulis,ARがAJR誌に閉塞した胆道Tチューブを透視下で開通させ “Interven-tional diagnostic radiology-A new subspecialty-” という論説の中で用いたのが最初である1)。しかしその用語は一般化せず,9年後の 1976年Walles, SがCancer誌に “Interventional Radiology” という総説 2)を記述,解説してから普及した。わが国に於いては “Interven-tion” は介在,干渉,介入などと訳され, “嫌がることを無理強いする” ような印象があり,また “Radiology” も IVRを行うのは放射線科だけとは限らないという反発もあってなかなか一般化しなかった。しかし IVRの意味するところは画像診断を用いて主として経皮的に病巣に接近,到達して直接治療することであるとして “放射線診断の治療的応用” と意訳するのが適当である 3)とされる。従って放射線診断を画像診断に置き換えて “画像診断法の治療的応用” とするのが妥当と考えるが,現在では “IVR” という用語自体が定着して

いる。 IVRは用語として使用されてから40数年を経た現在,救急医療の場は無論,日常診療の中でも不可欠な存在となって普及してきている。このような IVRが辿ってきた道からわれわれが学ぶことは何であろうか。その第一は発想,発案の動機である。何故そのように考えたのか,考えついたのかを知ることである。第二は発想,発案の動機を普遍化,日常化することで,そのためには簡単,容易(合理的)であること,理屈(必要性)が通っていることである。第三には将来展望すなわち将来を見据えた洞察力,明日に役立つことは何かを常に考えることである。以上のような観点から,IVR発展の歴史からわれわれが学び得ることを血管系IVRを中心に,誌面が許す限りそれぞれの分野の小史も織り込んで各論的に述べてみたい。

血管造影法の発達 血管系 IVRの基本手技である血管造影法最初の報告はレントゲンによるX線発見報告の僅か4週後,1896年 1月Haschek, EとLindenthal, OThによる切断手指

北海道大学,医療技術短期大学部,名誉教授Office-IVR・北海道

森田 穰

特別寄稿

IVR 会誌 Jpn J Intervent Radiol 23:285-299, 2008.

The developmental history of vascular interventional radiology (Vascular-IVR) outlined focusing on the following 5 points : 1) The history of angiography. 2) Intra-arterial infusion chemotherapy. 3) Embolization and embolic materials. 4) Percutaneous transluminal angioplasty (PTA) and the stent, the stentgraft. 5)IVR in Japan.

In addition, achievements and anecdotes of the pioneers and inventors are introduced in the following 5 stories.

1) Cerebral angiography of Egas Moniz and thorotrast. 2) Seldinger, SI and his method. 3) Gianturco, C and wooly tails. 4) Five great achievements of Charles T, Dotter. 5) Gruntzig dilating balloon and percutaneous coronary angioplasty (PTCA).

Taking a general survey of these pioneers’ achievements, it can be seen that one development accelerate the progress of other improvements, and key points of development are to make a ceaseless effort.

● Summary ●

The steps of Interventional Radiology -Forward and Behind-

Prof. Emeritus, College of Medical Technology, University of HokkaidoOffice-IVR . Hokkaido

Yutaka Morita

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特別寄稿:森田 穰

の動脈造影である 4)。注入造影剤は濃い白墨の乳剤(Teichman’s mixture)で,57分間の曝射により得られている。その後の30年間は動物,屍体の造影が中心でもっぱら血管解剖の研究が行われており,これは人体に安全な血管造影剤が未だ開発されていないためである。臨床上最初の血管造影は1923年,20%臭化ストロンチュウム溶液を直接穿刺注入して得られたBerberich, JとHirsch, Sによる上肢静脈造影で 5),その1年後の1924年Brooks, Bにより切開,血管露出後20~30%沃化ナトリウム溶液を注入した下肢動脈造影が6),1927年Moniz, Eにより脳血管造影が最初は頸動脈の切開露出,後に直接穿刺により行われている 7)。1929年には腹部大動脈直接穿刺による経腰的大動脈造影(Translumber Aortograply)がDos Santos, Rにより8),同年Forssmann, Wにより自分の肘静脈より右心房にカテーテルを挿入する方法 9),1936年にはNuvoli, Iにより経胸腔直接穿刺による上行~胸部大動脈造影 10)が報告されている。このような人体実験あるいは無謀との謗りを招きかねない直接穿刺による造影は1930年以降余り行われなくなり,動脈を切開露出する方法に変わりはないが,より安全確実な方法を求めて様々な工夫が行われた。1930年Saito, Mは少量の造影剤を用いて良好な造影像を得るため目的とする動脈の側枝を血管鉗子で一時遮断する方法を 11),1936年市川篤二は大腿動脈を切開露出する際に筋肉枝の1本より輸尿管を挿入して胸~腹部大動脈造影を行う方法 12)を考案した。同様に1941年,Farinās, PLは切開露出した大腿動脈に

トラカール針を穿刺し,尿管カテーテルを挿入する大動脈造影法を報告している13)。また1945年にはWipple, AOとBlakemore, AHにより最初の門脈造影 14,15),すなわち開腹下腸間膜静脈経由門脈造影法が遠位脾腎短絡術施行時に行われた。1951年Bierman, HRにより上腕動脈切開法による選択的腹部動脈造影法が行われ 16),2年後の1953年にはSeldinger, SIにより経皮的血管内カテーテル挿入法が報告された 17)。1956年Ödman, Pにより大腿動脈経由,セルジンガー法による選択的腹部血管造影法が行われ 18),レントゲンのX線発見以来61年余を経て今日の経皮的カテーテル挿入法に基づく選択的血管造影法時代の幕明けを迎えた(表1)。 血管造影法の発達史を辿ってみると,第一にその発達は装置の開発,手技・器具の改良,造影剤の発達という3つの要素に因ることである。血管造影の発達は今日迄1960年代以降20年毎に3つのピークを持っているが,前述の三要点を考えてみると,1960年代はX線テレビ,Seldinger法,トリヨード造影剤であり,1980年代はDSA,IVR,低浸透圧造影剤で,2000年代は多次元(複合)装置,マイクロ IVR,非造影剤の時代といえる。第二は造影法の開発には必然性があることで,1923年,1924年に始まった静脈造影,動脈造影に比較して門脈造影は20年遅れの1945年に始まっている。遅れの理由は静脈は見ることが出来,動脈は触ることが出来るが,門脈は見ることも触ることも出来ず,造影するためには開腹して直接見る,触ることにより初めて可能になったといえる。

報告年 報 告 者 事 項 経路(造影剤)1885.12 Röntgen, W C X線の発見,報告1886.1 Haschek, E & Lindenthal, OTh 切断手の血管造影 屍体(Teichman mixture)1920 Orrin, HC 血管解剖書の出版(ロンドン) 屍体,動物1920 Berberich, J & Hirsch, S 上肢静脈造影 直接穿刺(20%臭化ストロンチュウム)1924 Brooks, B 下肢動脈造影 切開露出(20~30%沃化ナトリウム)1927 Moniz, E 脳血管造影 頸動脈穿刺(70%臭化ストロンチュウム)1929 Forssmann, W 右心房到達(心臓カテーテル法の開発) 自己肘静脈(ウロセレクタン)1929 Dos Santos, R 経腰的大動脈造影法 経腰的直接穿刺(沃化ナトリウム)1932 Saito, S 脳血管,四肢動脈造影 切開・側枝駆血造影(L’ombre)1936 市川篤二 胸~腹部大動脈造影(輸尿管カテーテル) 大腿動脈露出(回旋動脈枝)1936 Nuvoli, I 上行~胸部大動脈造影 経胸腔的直接穿刺1941.5 Farinãs, PL 腹部大動脈造影(尿管カテーテル) トラカール針穿刺1945.4 Wipple, AO & Blakemore, AH 門脈造影 開腹,回結腸静脈経由

1949.3 Jönsson, G 胸部大動脈造影 総頸動脈,二重カニューラ針穿刺,銀線誘導

1949.6 Radner, S 椎骨動脈,胸部大動脈造影 橈骨動脈切開,結紮1951.1 Peirce, EC 胸部大動脈造影(ポリエチレンチューブ) 大口径針(17G)1951.4 Bierman, HR 選択的腹部血管造影 上腕動脈切開露出1951.4 Donald, DC Jr 左内頚動脈造影 大口径穿刺針(17G)留置1953 Seldinger, SI 経皮的カテーテル挿入法 二重穿刺針,ガイドワイヤー1956.1 Ödman, P 選択的腹部血管造影法 大腿動脈経由(Seldinger法)

表1 血管造影法の発達史

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①脳血管造影法とトロトラスト Egas Moniz(1874~1958年)はポルトガル生まれの神経科医,今でいう脳神経外科医である。彼は脳神経外科という新しい領域の創始者,脳血管造影法の開発者,そして1949年前頭葉切除術を主な受賞対象としてノーベル医学・生理学賞を受賞している。最初の脳血管造影は1927年6月28日,リスボン大学病院の最も近代的な一室で,トルコ鞍腫瘍(疑)の患者に行われている。彼は脳血管造影を行うに当たり先駆者が用いた造影剤を慎重に検討し,特に臭化化合物,沃化化合物の溶液濃度について実験を繰り返し,また頭蓋骨と造影された脳血管のコントラストを比較するためゴム管に各種物質溶液を注入して比較試験を行っており(図1),脳血管造影により頭蓋内腫瘍の局在ばかりでなく質的診断も可能と考えていたようである 19)。脳血管造影法で最初に用いられた70%臭化ストロンチュウム溶液では6人中1人(16.7%)が死亡し,その後25%沃化ナトリウム溶液の注入では3年間,200例中死亡は2例(1.0%)と死亡率は減少したが,大多数の患者は激しい頭痛,痙攣,一過性麻痺を起こした 20)。1931年以降,二酸化トリウムコロイド(トロトラスト)を造影剤として用いてから合併症も無く,コントラストの良い脳血管造影像が得られることから夢の造影剤としてトロトラストの使用を推奨した。 造影剤トロトラストは二酸化ナトリウムコロイドを主剤とするX線造影剤で,1930年ハイデン社(ドイツ)より製品化,発売された。体内に注入されたトロトラストは血管内を循環した後,網内系細胞に異物として取り込まれ,肝臓,脾臓,リンパ節,骨髄などに蓄積される。トリウムからのα線,娘核種からのγ線による長期被曝により肝癌,白血病を誘発することから放射線の晩発障害としてよく知られ,1942年Wohlwill, Fにより初めてトロトラストによる急性白血病が報告された 21)。わが国では1932~1945年迄,戦傷者を中心に使用され,使用者数は1~ 2万人と推定される。トロトラスト投与患者の癌死亡率は肝腫瘍死22.0%(6.7%),白血病死23.5%(1.8%)と括弧内の自然発生死亡率と比

図2 Dr. Seldinger, SI(left)and the author(right)

図1a : Dr. Moniz, Eb : A skul l and series of

rubber tubes filled with dif ferent substances, used to study the amount of contrast produced by various compounds against bone tissue.

較して極めて高率である。トロトラストによる発癌は注入後20年で,発売中止になってすでに60数年を経た現在では新しい癌患者の発生はまず無いと考えられるが,夢の造影剤と喧伝されたものでも後年とんでもないことになりうるという事実は極めて教訓的である。②Seldinger, SIと血管後壁穿刺 Sven-Ivar, Seldinger(1921~1998年)はスウェーデン生まれの放射線科医で,経皮的血管内カテーテル挿入法,いわゆるSeldinger法の考案,開発者である。彼は 1953年 “Catheter replacement of the needle in percutaneous angiography : A new techniques” をActa Radiologica誌に発表したが,血管造影法,IVRの開拓,功労者として北米 IVR学会(SCVIR)よりゴールドメダルを授与されたのは何故か40年後の1991年である。来日されたのは 1988年 5月の The 2th international symposium of IVR & new vascular imagings(平松京一会長,箱根)の時で,翌年の国際放射線学会(パリ)でわざわざ声を掛けて下さり,日本は本当に良い処でしたとBritt-Lis夫人と共に喜んで下さったのを覚えている(図2)。彼は1950年からKarolinska Sjukhusat(ストックホルム)で放射線科医のトレーニングを始め,その後16年間スタッフとして勤務しているが,Seldinger法は上司に余り評価されなかったようで,この方法で

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行った上腕動脈穿刺による鎖骨下動脈造影により,手術時に発見出来なかった縦隔上皮小体腫瘍の発見も “Beginner’s luck” とされたようである 22)。1967年,彼は放射線科講師になったあと郷里Moraに帰り,Mora Lasarettの一放射線科医として生涯を過ごしている。 良く言われているようにSeldinger法が無かったら血管造影,IVRはどのような道を辿っていただろうか。Seldingerがこの方法を考えついたのはスウェーデンの放射線医研修制度の一環として外科レジデントをしていた1952年であった。その方法は切開露出した大腿動脈をトラッカー針で穿刺,尿管カテーテルを挿入する大動脈造影法(Farinās, PL. 1941年)13),橈骨動脈を切開,結紮して行う椎骨動脈,胸部大動脈造影法(Radner, S. 1949年)23),鈍なカニューラで総頸動脈を穿刺し銀線で誘導して行う胸部大動脈造影(Jönsson, G. 1949年)24),太い針を通して壁の薄いポリエチレンチューブを挿入した大動脈造影法(Peirce, EC. 1951年)25),大口径針を用い,出血させないために穿刺針をそのまま留置しておく方法(Donald, DC. 1951年)26)などを参考にしている。Seldinger法の骨子は穿刺針,ガイドワイヤー,カテーテルの相補作業であり,最初はカテーテルに側孔を付けそこから針を挿入し穿刺と同時にカテーテルを血管内に挿入する方法であったが 27),カテーテル壁が厚く血管内に進められず,この方法を断念している。Seldinger法の利点は先端が鈍で短い外筒と先端が鋭利で少し長い内筒の二重になっている点で,血管後壁を穿刺貫通し,内筒を抜いた後外筒を引いてきて動脈血が噴出することを確認しながら針を進めて血管腔内に確実に針を挿入固定する点である。現在,鋭利な穿刺針で血管前壁だけを穿刺し,噴出した動脈血をみながら神業のようにガイドワイヤーを挿入する方法はSeldingerの原法とは全く異なる方法である。

動脈内注入化学療法の発達 動脈内注入化学療法(動注化学療法)の方法は1941年経腰的大動脈造影法(Dos Santos法)に替わる新しい大動脈造影法を発表,講演したFarinās, PLが第41回アメリカ放射線学会の閉会の辞で,大動脈内に挿入したカテーテルを担癌臓器の支配動脈分岐近くに置くことにより腫瘍内に高濃度薬剤を注入可能なことを示唆したことに始まる 13)。同時期,第一次大戦に用いられた毒ガス(イペリット)による白血球減少効果に着目し,白血病の治療薬として抗癌剤nitrogen mustardの開発研究がスローン・ケタリング癌研究所で始まった。1950年Klopp, CTは頭頸部腫瘍に対して上甲状腺動脈を切開露出し,ポリエチレンチューブを挿入して外頸動脈領域へnitrogen mustardの動注を行い,7例全例に鎮痛,除痛効果と10例中8例に腫瘍の著しい縮少を認めたと報告した 28)。1956年わが国動注化学療法の先駆者,白羽弥右衛門はナイトロミン(NMO)の動脈内挿管注入を実験腫瘍,臨床例に行い多くの知見を報告すると共に骨盤内腫瘍に対して動脈内注入と下大静脈結紮術を併用した 29)。このような流入,流出路を

孤立化しうる臓器に対する体外循環による抗癌剤局所灌流の試みは1958年Ryan, RF30),Creech, Oら 31)によって積極的に行われた。1961年Byron, RLは乳癌に対する乳房切断術中に内胸動脈,側胸動脈,鎖骨下動脈領域への動注化学療法,Arterial Regional Chemotherapy(ARC)を 32),1971年Ansfield, FJは肝癌に対して切開法による上腕動脈経由肝動脈内注入法を 33),1974年三浦健は開腹下胃十二指腸動脈経由肝動脈内注入法を報告している 34)。1980年Cohen, AHは転移性肝癌に対して初めて経皮的上腕動脈経由肝動脈内注入法と体内埋込み式持続動注ポンプを報告し 35),これ以降は今日のSeldinger法による大腿動脈経由リザーバー留置法へと移行する。いっぽう,器具の開発は1930年代より人工心肺装置としてメタリックフィンガーポンプ,ロータリーポンプが開発され,患者のベットサイドで大型注入ポンプと接続する持続動注法が1960年頃まで続けられた。1963年Watkins, E Jrによりポータブル持続注入器,すなわちネジ巻き時計式で薬剤を注入するChronofusor持続動注用ポンプが開発され 36),同時期Watkins(Lahey Clinic.ボストン)の許に留学中の三浦健は,装置の共同開発にあたると共にいち早くこの装置を本邦に紹介し 37)以後持続動注療法の臨床研究を精力的に行っている。1980年Buchwald, Hは体内埋込み式持続動注ポンプ(Infusa)を 38),1982年荒井保明は経動脈的皮下埋込みリザーバーを開発し 39),その後1985年に改良型(Infus-A-Port)40),1991~ 1993年にはリザーバー留置のための血流改変術,留置カテーテルの固定法を報告 41)し,この領域で世界をリードする業績を挙げている。 動注化学療法発展の3要素は①動注の方法,②使用器具,③抗癌剤であり,その具備条件は①高濃度薬剤を局所,集中的に投与可能なこと,②全身的副作用が少ないこと,③短期血中依存型の抗癌剤を用いること,④局所反応が著しく,短期間で効果確認が可能なことなどとされる。これらの具備条件から最初の動注化学療法は何故頭頸部領域で始まったかを考えると,外頸動脈分枝は表在,拍動性で,切開露出,チューブ挿入が容易で,腫瘍は可視的で治療効果判定が容易であることが要因である。また今日の抗癌剤動注療法の目的は留置により苦痛の軽減,穿刺回数の減少,注入の確実性を得ることであり,また埋込みにより感染の減少,点滴回路から解放することである。以上のような観点からこれ迄の動注化学療法の発達を辿ると大型が小型に,間歇的が持続的に,切開露出が経皮的に,維持困難が維持容易に変わったことで起居制限が起居自由に,入院治療から在宅治療へと大きく変化したといえる(図3,表2)。

塞栓術と塞栓物質の発達 塞栓術は今から104年前の1904年,第41回北米医学会(外科・解剖学分科会)に於いてDawbarn, RHMが “The starvation operation for malignancy in the external

carotid area : Its failuares and successes” を発表したの

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に始まり 42),その後の発展過程を辿れば60余年の長きにわたり,この “飢餓手術” は頭頸部領域に限定して行われている。すなわち1904年顔面肉腫に対してパラフィン,ワゼリンを用いたDawbarnの外頸動脈とその分枝塞栓 42),1931年内頸動脈海綿静脈洞(Carotid - cavernous fistula:CCF)に対して自己筋肉片を用いたBrooks, Bの内頸動脈塞栓 42),1960年頭蓋内動静脈瘻に対してメチールメタクリレート(外科用合成樹脂メタクリル片)を用いたLuessenhop, AJの総頸動脈経由内頸動脈塞栓 44),そして1967年CCFに対してゲルフォームを用いた Ishimori, Sの内頸動脈塞栓である 45)。頭頸部領域以外では1968年Porstmann, Wの非開胸的動脈

管閉鎖術(Porstmann法)が行われている 46)。この方法は心臓カテーテル検査中に動脈管に同じ太さのカテーテルを挿入した時心雑音が消失したことが開発の契機となり,大腿動・静脈間にガイドワイヤーを張り,アイバロンスポンジ閉鎖用プラグで動脈管開存部を閉鎖する塞栓術式である。同年Doppman, JLは背髄動静脈瘻に対してセルジンガー法を用いて金属球を注入する肋間,腰動脈塞栓術を 47),1969年Morbin-Uddin, Kは内頸静脈露出切開によりカテーテルを下大静脈に挿入しアンブレラ型,6フックの合金を薄いシリコンラバーで覆った器具を留置する肺動脈血栓・塞栓症予防のための下大静脈内フィルター留置術を発表した 48)。1970

報告年 報 告 者 内  容 抗癌剤の開発1941 Fariñas, P 動注化学療法の可能性を示唆(腹部大動脈造影) Nitrogen mustard(1941-1945年)1950 Klopp, CT 頭頸部腫瘍(上甲状腺動脈切開留置,外頸動脈領域) Actinomycin-D.5FU(1955年)1957 Ryan, RF 抗癌剤局所灌流療法の試み1958.4 Creech, O Jr 抗癌剤局所灌流療法の試み1958.7 白羽弥右衛門 動脈内挿管,骨盤内腫瘍(大動脈注入,下大静脈結紮) MTX(1959年)1960年代 ロータリーポンプ,メタリックフィンガーポンプ1961 Byron, RL 乳癌(術中動注),Arterial Regional Chemotherapy(ARC)1963 Watkins, E Jr Chronofusor持続動注ポンプの開発1966 三浦 健 Watkins, E Jrの持続動注ポンプの本邦への紹介1970 Scribner, BH 在宅非経口栄養路1971 Ansfield, FJ 転移性肝癌(切開,露出,上腕動脈経由) BLM, ADM(1968-1974年)1974 三浦 健 転移性肝癌(開腹,胃十二指腸動脈経由) CDDP(1975年以降)1980.3 Buchwald, H 体内埋込み式持続動注ポンプ(Infusaid)1980.5 Cohen, AM 転移性肝癌(経皮的上腕動脈経由)1982.10 荒井保明 経動脈的皮下埋え込みリザーバー1982.12 Gyves, J 経静脈的皮下埋込みリザーバー1990 荒井保明 血流改変術,リザーバー留置カテーテル固定法

図3 Instruments for infusion chemotherapy

a : Rotary pumpb : Chronometric infuserc : Implanted infusion pump

表2 動脈・静脈内注入化学療法の変遷

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特別寄稿:森田 穰

年以降はセルジンガー法を用いた選択的血管造影法による塞栓術式が定着し,現在行われている殆ど全ての塞栓術が行われた。1971年には,Baum, Sは消化管出血に対する血管収縮剤の動注 49),Lang, EKによる腎細胞癌に対するゴールドシード,ラドンゴールドシードを用いた腎動脈塞栓が 50),1992年にはRösch, Jによる急性消化管出血に対する自己凝血塊を用いた上腸間膜動脈塞栓 51),1979年Margolies, MNによる骨盤骨折に対する内腸骨動脈塞栓 52)が行われた。1973年にはMaddison, FEによる脾機能亢進症に対する脾動脈塞栓 53),Remy, Jによる喀血に対する気管支動脈塞栓 54),1974年にはDoyon, Dにより肝悪性腫瘍に対するスポンゼルを用いた肝動脈塞栓55),1976年Goldstein, HMは肝,脾,腎動脈に対して系統的経カテーテル塞栓を行い 56),今日の塞栓術時代の幕明けを迎えた。1974年以降は静脈系に対する塞栓術も行われ,1974年Lunderquit, Aにより経皮経肝門脈造影(Percutaneous Transhepatic Portography : PTP)を利用して胃冠状静脈に 50%グルコース,トロンビン未,スポンゴスタチンを注入する胃・食道静脈瘤塞栓(Percutaneous Transhepatic Obliteration : PTO)が報告された 57)。1979年,植田俊夫は開腹下経腸間膜静脈性門脈造影法を応用した経回結腸静脈胃・食道静脈瘤閉鎖術(Transiliocolic vein obliteration of gastroesophageal varices : TIO)を 58),1991年金川博史は孤立性胃静脈瘤に対するバルーン閉塞下逆行性静脈的塞栓術(Balloon-occluded retrograde transveneous obliteration : B-RTO)59),1994年森田穰は複雑な側副路を有する巨大食道・胃静脈瘤,十二指腸

静脈瘤に対して流入路,流出路をバルーンで同時閉鎖して液状~金属塞栓子を用いる同時性バルーン閉鎖下塞栓術(Dual Balloon Occluded Embolotherapy : DBOE)60)

を報告している。いっぽう,塞栓物質は1904年Dawbarnのパラフィンワゼリンに始まり 42),自己筋肉片(1931年)43),合成樹脂メタクリル片(1960年)44),ゲルフォーム(1967年)45),スポンジプラーク46),金属球(1968年)47),放射性金属片(1971年)50),自己凝血塊(1972年)51)を経て 1973年以降今日のようなスポンゼル細片が使われ始め,その後Serbinenko, FAにより離脱式バルーン(1974年)が開発されている 61)。1975年はまさに“塞栓物質元年”とも言うべき年で液状塞栓物質であるヒストアクリル(Isobutyl-2-cyanoacrylate : NBCA)62),永久塞栓物質であるアイバロン(Polyvinyl alcohol foam : Ivaron)63),そして金属コイル64),無水エタノールなど 65)

が開発,報告された。 塞栓術,塞栓物質発達の歴史は3期に分けられ,その要因は塞栓対象血管の部位,疾患の性質,塞栓物質である。第1期は1904~ 1969年迄の65年間で,特に頭頸部領域への塞栓は63年の長きにわたる。その理由は動注化学療法の発達と同様,血管の露出,カテーテルの挿入が容易で,治療効果が目で見えるからで,まさに頭頸部塞栓の時代と言うべきである。第2期は1971~1974年迄の僅か4年間であるが,消化管や外傷による出血,腫瘍に対して塞栓術が行われ,第1期で塞栓対象血管が切開露出されたのに対してセルジンガー法が行われ文字通り経皮的方法による出血に対する止血,腫瘍に対する壊死治療の時代といえる。特に出血

報告年 報 告 者 塞栓物質 塞栓対象(経由)1904 Dawbarn, RHM パラフィン,ワゼリン 顔面肉腫(外頸動脈)1930 Brooks, B 自己筋肉細片 内頸動脈海綿静脈洞(内頸動脈)1960 Luessenhop, AJ メチール・メタクリレート 脳動・静脈瘻(総頸動脈)1967 Ishimori, S ゲルフォーム 内頸動脈海綿静脈洞(内頸動脈)1968 Porstmann, W スポンジプラーク 動脈管開存症(大腿動・静脈)1968 Doppman, JL 金属球 脊髄動静脈瘻(肋間動脈)1971 Lang, EK ゴールドシード,ラドンゴールドシード 腎細胞癌(腎動脈)1972 Rösch, J 自己凝血塊 急性消化管出血(上腸間膜動脈)1973 Remy, J スポンゼル細片 喀血(気管支動脈)1974.8 Serbinenko, FA 離脱式バルーン 脳動脈瘤,A-V動脈瘤(内頸動脈)1974.9 Lunderquist, A スポンゴスタチン・トロンビン溶液 食道静脈瘤(左胃静脈)1974.11 Doyon, D スポンゼル細片 肝悪性腫瘍(肝動脈)1975.1 Dotter, CT NBCA(ヒストアクリル)* 性器出血(内腸骨動脈)1975.7 Gianturco, C 金属コイル 腎細胞癌(腎動脈)1975.11 Tadavarthy, SM Ivaron(アイバロン)** 肝,顔面血管内皮腫(肝,外頸動脈)1980 Ellman, BA Absolute Ethanol 実験犬(腎動脈)1981 Kastaneda-Zuniga, WR スパイダー,有刺型コイル(フック付コイル) 大口径肺動静脈瘻(右大腿静脈)1998.3 Kónya, A アンカーコイル(コイル逸脱防止)の開発 大口径,高血流血管の閉塞(動物実験)1998.11 Coley, SC デタッチャブルコイルの開発 精索静脈瘤,肺動静脈瘻(右大腿静脈)*:Isobutyle-2-cyanoacrylate **:Polyvinyl alcohol foam

表3 塞栓物質の変遷

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に対する塞栓術は1963年Nusbaum, MとBaum, Sが発表した血管造影上,血管外造影剤漏出像は毎分0.5㎖以上の出血がある場合に出現するという論文に因るところが大きい 66)。第3期は1974~ 1995年迄の20年間で,1974年Lunderquistの食道・胃静脈瘤に対する胃冠状静脈塞栓に始まる静脈瘤に対する塞栓の時代といえる。門脈系の塞栓術式は門脈造影法と密接な関係があり,超音波誘導下PTPはLunderquistの報告と同年Burcharth, Fにより報告されている 67)。塞栓物質は先に述べたように1980年迄に今日使用されている固形と液体,永久効果と一時効果を有している塞栓物質が出揃ったが,その後の発達は塞栓物質の補助器具,すなわち留置した金属コイルが逸脱しないような工夫が施されたデタッチャブルコイル68)やフック付きコイルとしてのスパイダー型 69),アンカー型 70)などのコイル径選択が容易で逸脱防止器具の開発に向かっている(表3)。①Gianturco, Cと“Wooly tails” Cesare Gianturco(1905~1995年)はナポリ生まれの放射線科医で,ナポリ大学を卒業後,ローマ大学で放射線科レジデント,ベルリン大学で病理学レジデントを終えた。1930年以降Mayo clinic(ロチエスター,北米)で放射線科医,ミネソタ大学を経て1968年よりMDアンダーソン癌センター教授となった。彼は何時も何かを考えている人で,その創意,工夫により北米での特許10件,諸外国の特許も多数持っている。主な業績は1976年の動脈閉塞用コイルスプリングで血栓化を促すため毛付き塞栓コイル “Wooly tail” を考案し 64),それは19G,長さ3㎜のスチール管に長さ5㎜の毛糸が付いた器具である(図4)。その他,1984年には下大静脈フィルター“Bird Nest”や1985年胆管,脈管ステントいわゆるGianturco Zステント,1987年Gianturco-Roubin冠動脈ステントなどの考案,開発者として有名である。その功績に対して1994年,America College of Radiologyよりゴールドメダルが授与されている。

血管拡張術,ステント,ステントグラフトの発達 経皮経管血管形成術(Percutaneous tranluminal angioplasty : PTP)は1965年Dotter, CTがCirculation誌

に発表した “Transluminal treatment of arteriosclerotic obstruction : Description of a new technic and prelimi-nary report of its application”71)と 10年後の 1974年Grüntzing, AがDtsch. Med. Wochenschr誌に報告した “Perkutane Recanalisation chronischer arterieller Verschüsse mit eine neuen Dilatationskatether -Modifikation der Dotter Technik-”72)により開発,確立された。臨床応用は静脈,動脈,門脈でそれぞれ異なり,動脈に対する拡張術は腸骨動脈を主とした下肢動脈に対して1964年(Dotter)71),1974年(Grüntzing)72),冠動脈は1978年(Grüntzing)73),脳血管系には1981年(Hasso, AN.74),Motarjeme, A.75))に行われたのに対して静脈は下大静脈狭窄に対する開腹下バルーン拡張術が1969年(広岡仁夫)76),下大静脈閉塞症に対する非手術的バルーン拡張術は1974年(Eguchi, S)により行われている 77)。このように動脈,静脈に対する拡張術がほぼ同時期に行われたのに対して門脈に対する拡張術は約10年後の1985年(Uflacker, R)に慢性膵炎による門脈本幹狭窄に対して行われている 78)。管腔を単に拡張するばかりでなく,拡張維持させるStentの開発は1969年Dotterによる管状鋳型のcoil spring endoarterial tube graftに始まる 79)。1980年代はステント開発の時代とも言うべきで下大静脈に対するdouble-helix spiral stent(Maass, D. 1982年)80),その後北米を中心に形状記憶合金素材のnitinol coil stent(Dotter. 1983年)81),nitinol wire stent(Cragg, A. 1983年)82),ステンレス鋼素材のGianturo Z stent(Wrigst, KC. 1985年 83),Chansangavej, C. 1986年 84),Dupart, GJ. 1987年 85)),Rösch modified GZ stent(Uchida, BT. 1988年 86))などが相次いで考案,報告された。これ迄報告されたステントが自己拡張型(Self expandable)であるのに対してステンレス鋼材を打ち抜きバルーンで拡張させるバルーン拡張型(Balloon expandable) の Palmaz stent(Palmaz, JC. 1985年 87),1987年 88))も報告された。いっぽうヨーロッパでは屈曲部によく対応し血管壁への密着性のよいステンレス鋼線ワイヤーメッシュ編みのステントがスイスの技術者Hans Wallsten(1923~現在)により考案され,Wall stent(Sigwart, U.89),Puel, PJ.90),Rousseu, H.91),1987年,Zollikofer, CL. 1988年 92),Gillams, A. 1990年 93))と

図4Dr. Gianturco, C (left) and wooly tails (right)

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して脈管系のみならず胆管系にも使用され広く普及した。またPalmaz stent以外のバルーン拡張型ステントとしてタンタムル鋼線を自動編みしたStrecker stent(Strecker, EP. 1990年 94))も報告されている。PTA後のリコイル(recoil)などによる再狭窄に対してステントが開発されたのと同様ステント留置後の内腔への腫瘍浸潤や血液流入阻止の目的で被覆ステント(covered stent),ステントグラフト(stent-graft)の開発が始まった。1986年Balko, Aは動物実験ではあるが腹部大動脈瘤治療目的でステンレス鋼やニチノール鋼ステントをポリウレタン(polyurethane)で被覆したステントグラフトを開発し 95),1991年Parodi, JCは紡鍾型ダクロン被覆のステントグラフトを腹部大動脈瘤患者5人に留置し 96),IVRによる大動脈瘤治療,Endovascular aneurysm repair(EVAR)という新しい分野が始まった。1992年Dake, Mは上行~胸部大動脈解離や瘤にウーベンダクロン(woven Dacron)で被覆したZステントを留置し 97),その後枝付き金属リング円筒型(Inoue, K. 1996年 98)),分岐型(Chuter, TAM. 1996年 99)),開窓型(Park, JH. 1996年101),神武裕1999年102)),弯曲型(Sanada,

J. 2000年100)),など様々なEVAR用ステントグラフトが開発されている。大動脈以外の脈管系で使用される被覆ステントは被覆膜素材の実験的,臨床的検討が行われポリウレタン(1986年 95)),ナイロンメッシュ(1988年 103)),ダクロン(1991年 96),1992年 104,105)),ポリテトラフルオロエチレン(PTFE,1995年106)),シリコン(1997年 107))などが使用されている。特にTIPSに於ける門脈-肝静脈間留置実験ではPTFEが有効であったと報告

されており 106),臨床使用例では肝細胞癌の門脈腫瘍栓に対する門脈内留置 104,105),外傷性大腿動静脈瘻に対する大腿動脈留置例などがある 108)。 血管拡張術の発達は狭窄,閉塞した管腔構造を “拡張する”, “拡張・維持する”, “拡張・維持して外部遮断する” の三つに分けられる。1965年より始まった “拡張” は繰り返し述べてきたようにDotterのPTAとGrüntzingの拡張バルーンであるが開発の糸口は尿道拡張術で,Béniqué, PJの尿道ブジー法(1846年),Reybard, JFのFoleyカテーテル法(1855年)がヒントになったと推定される。これら尿道拡張術はいずれも1850年代に血管拡張術に先んじて開発されたが血管閉塞より尿道閉塞の方がより身近で切実な問題であったためと考えられる。1969年に始まる “拡張・維持” はメタリックステントの開発でステントの語源は19世紀イングランドの歯科医Charles Thomas Stent(1807~1885年)が歯の鋳型を造る器具(Stent composition)を開発してステントと命名したという説と古いイングランド語またはスコットランド語の “Stint” (拡張する)に由来するという説がある 109)。いずれにしてもステント留置術により拡張後の内腔維持が飛躍的に向上し今では拡張術にはなくてはならない重要手技であり “小さく折りたたんで大きく拡げる” を主題にステントの素材,基本構造などに工夫がなされている。1986年Balkoにより始まったステントグラフト,その後の被覆ステントは拡張した内腔への腫瘍増殖,浸潤,腫瘍栓の発育を阻止すること,血流遮断などを主目的に開発されたが,特にステントグラフトは大動脈~臓器動脈瘤の治

報告年 報 告 者 対象疾患 方法の概要1965 Dotter, CT 浅大腿動脈狭窄 カテーテル拡張術(PTAの始まり)1969 広岡仁夫 下大静脈狭窄(Budd-Chiari症候群) 開腹下バルーン拡張術(Fogarty balloon)1974.5 Eguchi, S 下大静脈膜様閉塞(Budd-Chiari症候群) 経皮的バルーン破砕術(Fogarty balloon)1974.12 Grüntzig, A 腸骨動脈閉塞 バルーン拡張術(Grüntzig balloon)1978 Grüntzig, A 冠動脈狭窄 経皮的バルーン拡張(PTCAの始まり)1980 Cope, C 短絡部狭窄(Meso-caval shunt) 経皮経静脈的バルーン拡張術1981 Hasso, AN 内頚動脈狭窄(線維筋性異形成) 経皮的バルーン拡張術(Grüntzig balloon)1982 Vitek, JJ 外頚動脈狭窄~閉塞 バルーン拡張術1985 Uflacker, R 門脈本幹~脾静脈狭窄 バルーン拡張術(PTP法にて)1986 Chansangavegi, C 上・下大静脈狭窄(腫瘍浸潤) バルーン拡張術→GZステント留置1987.3 Sigvart, U 腸骨~大腿動脈狭窄,冠動脈狭窄 バルーン拡張術→Wallstent留置1987.4 Rousseu, H 腸骨~浅大腿動脈狭窄(PTA後再発を含む) 小口径ステント留置(約5mm)1987.7 Puel, J 冠動脈狭窄 PTCA→ステント留置1988 Zollikofer, CL 腸骨静脈狭窄,透析シャント不全 Grüntzigバルーン拡張→Wallstent留置1989 Richiter, GM 門脈圧亢進症 TIPS(初成功例,Palmazステント)1990 Olcott, EW 肝移植後門脈吻合部狭窄 バルーン拡張術→ステント留置術

1991 Parodi, JC 腹部大動脈瘤 大動脈内ステントグラフト留置(ダクロン被覆ステント)

1993 Martin, ML 外傷性下肢動静脈瘻 動脈内ステントグラフト留置1994 Marks, MP 脳動脈,静脈疾患 脳血管内ステント留置

表4 血管拡張術の発達

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療ばかりでなく経皮的な腹腔内での血管吻合など短絡路の造設も可能にし 110,111),血管系 IVRの領域をさらに拡大させている。被覆ステントの問題点は挿入には大口径イントロデューサーが必要,血栓付着形成の危険性,側枝を塞ぐ可能性,血管壁との密着性である。また被覆膜の素材の具備条件は①極めて薄くなめらかであること②耐水性③血管壁固定のために内側へ組織増殖する性質④網目が無いこととされる。いずれにしても性質の異なる物質の複合体を素材にすべきで,被覆ステント,ステントグラフトの開発にはイントロ

デューサー内でベントが重ならないようなスパイラル構造を持つ形状記憶合金ステントを複合素材で被覆するのが開発のコンセプトである(表4,表5)。①Charles T. Dotterの五大業績 Charles Theodore Dotter(1920~1985年)はボストン生まれの放射線科医で,PTAの開発考案により血管系 IVRの父と言われている。PTAの第一例は1964年1月16日,82歳女性Ms. Shaw Lauraの浅大腿動脈限局性狭窄に対してガイドワイヤーとテフロン二重カテーテルを用いて血管拡張を行い,壊死に陥っていた左第

図5Dr. Dotter, CT (left) and his successful clinical results (right)

報告年 報 告 者 ステント・ステントグラフトの種類 概 要1969 Dotter, CT Coil spring endoarterial tubegraft ステント開発の始まり1982 Maass, D Double-helix spiral stent IVC内留置1983.4 Dotter, CT Nitinol coil stent 熱可変性形状記憶ステントの始まり1983.4 Cragg, A Nitinol wire stent         〃1985.7 Wright, KC Gianturco Z stent 自己拡張型ステント(Gianturco, C開発)1985.7 Palmaz, JC Palmaz stent バルーン拡張型ステント1986 Balko, A 腹部大動脈瘤用stentgraft Stentgraft(被覆ステント)の始まり1987.3 Sigwart, U Wallstent ステンレス鋼線ワイヤーメッシュ編み(Wallstent, H開発)1987.8 Schatz, RA Palmaz-Schatz coronary stent 冠動脈ステントの始まり1987.10 Roubin, GS Gianturco-Roubin coronary stent      〃1988 Uchida, BT Rösch modified GZ stent GZ stentの過拡張抑制1990 Strecker, EP Strecker stent タンタルム鋼線自動編み(バルーン拡張型)1991 Parodi, JC 腹部大動脈瘤用stentgraft 臨床応用第一例1992 Dake, MD 胸部大動脈瘤用stentgraft Z stent+ウーベンダクロン1996.10 Inoue, K 胸腹部大動脈瘤用stentgraft 金属リング円筒型(一体型)1996.10 Chuter, TAM 腹部大動脈~総腸骨動脈瘤用stentgraft 分岐型ステントグラフト1996.11 Park, JH 腹部大動脈瘤用stentgraft 開窓型ステントグラフト2000 Sanada, J M-K stent 弯曲型ステントグラフト

表5 ステント・ステントグラフトの開発

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Ⅲ~第Ⅴ趾を5ヵ月後に治癒させている(図5)。その後の4年間にPTAに関する論文を17編報告するなど実験し,臨床に応用し,その結果を報告して得た研究助成金でまた新たな研究を始めるなど実験研究と臨床治験を精力的に行ったために付いたニックネームは “Crazy Charlie” であった 112)。研究助成金についても逸話があり,PTAにより下肢切断をまぬがれたニューヨークの大金持Stella Guttman氏はオレゴン大学の血管研究に50万ドルを寄付し “The model of a grateful patient !” と言われている113)。しかし血管内治療の始まりとも言うべきPTAは北米では余り評価されずDotterが居たオレゴン州立大学(ポートランド,オレゴン)でのみ行われたのに対してZeitler, E(ニュールンベルグ,旧西ドイツ)らヨーロッパの医師はいち早くその成果に注目し,10年後のGrüntzing拡張バルーンの開発に繋がった。Dotterが行ったカテーテルを通すのみのPTAでは再狭窄率が高くその普及にはGrüntzing拡張バルーンに因ることが多いとはいえ,それ自体が画期的でPTAは別名 “Dottering” と言われる所以である。現在DotterといえばPTAと言われるがその業績は各領域に及び,①閉鎖用ダブルルーメンカテーテルの開発(1951年114)),②経皮経管血管形成術(PTA)の開発(1964年 71)),③血管内ステント “Coil spring endarterial tube graft” の開発(1969年 79)),④動脈内血栓溶解療法(SKの low dose持続注入)の開発(1974年 115)),⑤液体塞栓物質(NBCA)の使用(1975年62))などまさに “血管系 IVRの父” にふさわしい業績である。②Grüntzig拡張バルーンと冠動脈形成術 Andreas R,Grüntzig(1939~1985年)はドレスデン(旧東ドイツ)生まれの放射線科医,正確には血管内科医である。ハイデルベルグ大学卒業後チューリッヒ大学病院に血管内科医として勤務中に血管拡張バルーン

の開発と冠動脈形成術の成功という二つの大きな足跡を残し,更なる飛躍を求めてエモリー大学(アトランタ,北米)に移籍したが自家用飛行機事故のため46才の若さで不慮の死を遂げた。DotterのPTA法をZeitlerの紹介で知ったGrüntzigは1855年に考案されたReybard, JFの尿道拡張術にヒントを得てバルーンで血管を拡張する事を思い付いた。1974年,総腸骨動脈の限局性狭窄に対し行ったバルーン拡張術の成績をDtsck. Med. Wochenschr誌に報告するが 72),その有用点は①通常の動脈穿刺孔で挿入可能,②縦方向の移動が無い,③横方向の拡張は各血管径に対応,④4㎜以上の拡張が得られるとしている。また成功の要因は拡張バルーンの材質がPolyvinyl chroride(PVC)であったことで,自宅台所で妻を助手にして実験を繰り返したことから “Kitchen built catheter” の別名もある(図6)。その後も細い血管を拡張しうるバルーンの開発研究を行い,1977年 9月 16日,チューリッヒ大学病院でGrüntzig自身により冠動脈形成術(Percutaneous transluminal coronary angioplasty : PTCA)が行われ 73),冠動脈疾患の標準的治療法として現在では世界中で行われている。第一例は冠動脈左前下行枝に約3㎜,80%狭窄のある不安定狭心症の38才保険会社員Adolph Backman氏で,PTCA施行25周年記念講演では “パイオニアとしての患者” という演題で患者自ら講演しその成果を讃えている。 “冠動脈形成術が行われた最初の患者-23年後の経過-”によれば 116),この患者は23年後61才で再び冠動脈造影を受けたが前回治療部位の拡張は保たれていたという。

わが国に於けるIVRの発達 わが国に於ける IVRは今を遡ること34年前のホテルオークラの一室にその第一歩が印された。日本血管造

図6a : Dr. Grüntzig, Ab : Grüntzig balloonc, d : Angiogram of the first

coronary angioplasty, before and 23 years after

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影・IVR研究会は1974年10月22日,血管造影像をお互いに読み合うFilm sessionの形式で始まり,その間の演題数は10数題,参加人数も20~ 30人の微々たるものであった。しかし発足後6年を経た1980年10月,第7回研究会(本保善一郎世話人,長崎市)では34題の演題が寄せられ,会場の長崎県医師会館は150数名の出席者で溢れ,補助椅子を出しても出しても追い付かない状態であった。演者,座長,事務局関係者(慶大医,放診)しか居なく,会場を借りるのにも苦労のあった研究会発足時を知る者にとってはうれしさを通りこして感無量であった。その後の歩みは全く順調で,1993年11月にはプログラム主体の研究会雑誌からピンクの表紙が鮮やかな IVR会誌が発刊された。1995年1月より研究会から学会に移行し,2006年1月より日本インターベンショナルラジオロジー学会と名称を変更した。歴代の理事長(当初は代表世話人)は初代平松京一教授(慶大医,放診),二代目打田日出夫教授(奈良医大,放),三代目は岡崎正敏教授(福大医,放)であり,IVR会誌の編集委員長は初代打田日出夫教授,二代目森田穰教授(北大医短,診放),三代目栗林幸夫教授(慶大医,放診)である。正会員数は2007年11月現在2075名,2002年度より制定された指導医制度(2006年より専門医制度に変更)による専門医数は472名である。 わが国初期 IVRの歩みを辿ると,動注化学療法の白羽弥右衛門(1958年)29),内頸動脈海綿静脈洞に対するゲルフオルムを用いた内頸動脈塞栓術のIshimori, S(1967年)に始まり 45),非開胸的動脈管閉鎖術(Porstmann法)の高宮 誠(1971年)117),転移性肝癌に対する胃十二指腸動脈経由肝動注リザーバー開発の三浦 健(1974年)34),閉塞性黄疸に対するPTCDと内瘻化の打田日出夫,黒田知純(1975年)118),潰瘍性大腸炎に対するプレドニン動注のHiramatsu, K119),腎細胞癌に対する腎動脈塞栓術の高橋睦正(1976年)120),肝細胞癌に対するスポンゼル,抗癌剤による肝動脈塞栓術の山田龍作 121),PTO

の中尾宣夫(1978年)122),膝窩動脈と腎動脈狭窄に対するバルーンPTAの久 直史,平松京一(1980年)123),肝部下大静脈広域閉塞症に対するブロッケンブロー針を用いた閉塞部破砕とバルーン拡張術の山田龍作(1981年)124),経動脈的皮下埋め込みリザーバーの荒井保明(1982年)39),超音波影像下経皮的腫瘍内エタノール注入いわゆるPEITの杉浦信之(1983年)125)などの業蹟が挙げられる。これらわが国 IVRの初期業績を通覧すると1970年代後半から1980年前半に第一回のピークがあり,日本血管造影・IVR研究会隆盛の分岐点となった1980年の第7回研究会と軌を一にしている。しかしなんといっても本邦におけるこれ迄の IVRの進歩を率先し支え続けたのは本邦 “IVRの御三家” といわれる“導入の平松京一”, “開発の山田龍作”, “発展の打田日出夫” の三先生であり,改めて敬意を表し感謝申しあげたい(図7)。

まとめ 血管系 IVRの発展を1)血管造影法,2)動脈内注入化学療法,3)塞栓術と塞栓物質,4)拡張術とステント,ステントグラフト,5)わが国におけるIVRの5項目にわけてその概要を述べた。また IVR発展の貢献者,開発者として脳血管造影法のMonitz, E.,経皮的血管造影法のSeldinger, ST.,金属コイル,ステントのGianturco, C.,経皮経管血管形成術のDotter, CT.,血管拡張バルーン,PTCAのGrüntzig, A.の業績を小史として紹介した。血管系 IVRの三大術式である動注化学療法,塞栓術,拡張術は夫々異なった経緯で発達してきたようにみえるが,連続した歩みとして通覧すると一つの手技の開発,改良が他の手技の発達を促すといった相互関係,相補関係にあることが良く理解できる。そして何よりわれわれを勇気づけてくれることは,いかなる手技や器機の開発も “天才的ヒラメキ” ではなく先行する何かがあり,それを目標に不断の努力を続けるこ

Introduction Invention Development

図7 Prof. Hiramatsu, K (left), Prof. Yamada, R (middle) and Prof. Uchida, H (right)

(295)55

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特別寄稿:森田 穰

とが成功の鍵であることが示された点である。血管系IVRの将来展望が1)最小化→体外誘導,2)被覆化→複合素材,3)除去自在→生体吸収へと発展していくとするならば,これら将来展望の中にこそ “IVR発展の芽” が潜んでいるに違いない。稿を終るに当たり古寺研一(東京都済生会中央・放),中村健治(大阪市大・放),古井 滋(帝京大・放),松井 修(金沢大・経血管診療科),森田荘二郎(高知医療センター)の諸先生を始め,多くの先生方のお教えをいただいた。ここであらためて感謝申し上げると共に,調査不十分や新しい事実があれば是非御指摘戴きたい。IVRの発達史は IVRを志す全ての人々のものであり,是非正確な文献に基づいた発達史をつくりたいと願うからである。

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