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JR 天王寺駅北地区の活性化まちづくり調査検討 【概要版】 大 阪 市 天 王 寺 区 平成 26 年 3 月

JR 天王寺駅北地区の活性化まちづくり調査検討 報 告 書 · 対象地区の用途地域(図-3) 対象地区は、商業地域に指定されている。建ぺい率および容積率は以下のとおりで

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JR 天王寺駅北地区の活性化まちづくり調査検討

報 告 書

【概要版】

大 阪 市 天 王 寺 区

平成 26 年 3 月

1

■位置図(図-1)

本地区は、JR天王寺駅の北側に位置している。

JR、地下鉄、近鉄、阪堺電車の各駅が集積するターミナルである天王寺エリアは、

関西国際空港とを最速約 30分(特急使用時)で結んでおり、大阪市内の国際的な玄関

口の一つといえる。

また、近鉄南大阪線、JR阪和線などによる大阪の南の玄関口ということができる。

■周辺詳細図(図-2)

詳細の位置を見ると、JR天王寺駅との間にあたる地区南側は、玉造筋に面しており、

地区西側は谷町筋に面している。谷町筋を挟んだ西側には、天王寺公園が立地してい

る。

また、地区北側のエリアには、施行院、庚申堂といった四天王寺に関係する寺院が

立地しているなど、天王寺区の特徴である四天王寺をはじめとする歴史文化エリアの

玄関口ともなっている。

■対象地区の用途地域(図-3)

対象地区は、商業地域に指定されている。建ぺい率および容積率は以下のとおりで

ある。

建ぺい率/容積率

谷町筋沿い 80%/600%

玉造筋沿い 80%/800%

その他 80%/400%

■土地利用現況(H19)(図-4)

当該地域の周縁部は、商業施設の他、業務施設が多く立地している。地域中心部には、

長屋住宅などの住居が立地している。

第 2 章 現況調査

なんば

関西国際空港

天王寺

梅田 大阪市役所

最速約 30 分

天王寺公園

JR 天王寺駅

四天王寺

玉造筋

庚申堂

施行院

一心寺

谷町筋

JR 大阪環状線

国道 25 号

堀越神社

天王寺中学校

天王寺小学校

JR天王寺駅北地区(天王寺区堀越町)は、その周辺で阿倍野再開発、近鉄グループに

よる再開発、天王寺動植物公園の整備が進展する一方で、老朽木造建物が密集し、

商店街も空き店舗が目立つなど、防災上、防犯上、大きな課題を抱える状況にある。

このことは、当地区だけの課題にとどまるのではなく、天王寺区の活性化はもと

より、大阪のまち全体の均衡のとれた発展(天王寺・阿倍野地区はキタ、ミナミとと

もに大阪を代表するターミナルエリア)という観点からもその解決は重要な課題で

ある。

そこで、地元商店街を含む周辺地域の活性化をはじめとする、当地区のまちづく

りの将来像(将来ビジョン)の確立に向け、当検討調査業務を実施するものである。

第 1 章 調査の目的

図-1 位置図 図-2 周辺詳細図

図-3 用途地域図

図-4 土地利用現況図

2

対象地区周辺についての現況を整理する。

3

駅舎前

第 3 章 課題の抽出と整理

■天王寺駅北地区の整備課題

空き店舗の多い商店街

界隈性のある路地裏

南では、あべのキューズモールやあべのハルカスなどの商業施設を中心とし

た集客施設が立地し、人の流れも(南へ)大きく変わってきている。また、

地区東側では大型のマンションなどの立地も進んできている。これらの状況

を踏まえ、周辺開発との関係性や連携を考慮し、駅周辺を一体的に捉えたま

ちづくりとしての検討が必要となっている。

地区内には、オープンスペースなどの憩える空間がないうえに、幅員が狭く

暗い商店街となっているなど、歩行者にとって快適、安全に回遊できる空間

づくりが必要となっている。

地区内には、天王寺駅前阪和商店街や路地裏などの界隈性のある商店街があ

りますが、近年、建物が老朽化し、空き店舗が多くなるなど、商業機能は低

下傾向にあり、その機能向上を中心とした地区の活性化が課題となっている。

地区内では、路地裏の空間が個性的なイメージを残していますが、その道路

に木造家屋が密集し、防災上の問題が大きくなっている。

界隈性のある個性的な商業立地がある一方で、

空き店舗や老朽化した店舗が目立つ

また、地区内には個性的な店舗が立地しており、

若者から年配の世代まで様々な客層の利用が見られ

る。ただ、空き店舗が目立ち、アーケードの老朽化

による暗い印象も持たれる。

駅南の集客エリア

狭隘な道路と木造家屋

上記の道路は、主に私道であり、前面道路幅員が 4m未満と不足しており、個

別での建て替えが困難な建物が多くなっている。

広域

連携

1.周辺開発との関係性や連携を考慮したまちづくりが必要

となっている

2.オープンスペースがなく、憩える空間づくりや歩行者の

快適な回遊性の向上が求められる

3.天王寺駅周辺全体を捉えた位置づけのなかで、商業機能

を中心とした地区の活性化が求められる

■整備課題

四天王寺への参道としての賑わいが見られる

天王寺駅前商店街は、四天王寺への参道として、

四天王寺における行事にあわせ、沿道の商店や露店

が賑わっている。

また、周辺には、料亭や旅館などの趣のある建物

が立地している。

道路幅員が狭いところが多い

地区内の道路については、私道であり、幅員が狭

小なため、接する建物の建替え等が進んでいない

また、建物が建ち並んでいるため、来訪者の憩い

の空間など、空間としてのゆとりも少ない状況であ

る。

4.狭隘な道路に木造家屋が密集し、防災上の問題が大きい

建物の老朽化が進んでいる

地区内には、新たに建替えられたり、リニューア

ルされた店舗が見られるが、多くが木造の住宅・店

舗で老朽化が進んでいる。比較的堅固な建物も立地

しているが、中には、老朽化し、更新が必要なもの

もみられる。

大規模開発等によるまちの更新が進んでいる

あべのキューズモールや近鉄あべのハルカス本店

などの商業施設の立地、周辺エリアを含むマンショ

ン開発の進行などによる、まちの更新が進み、また

人の流れが変わってきている。

5.前面道路幅員が不足しており、個別での建替えが困難な

個所が多い

回遊

商業

防災

建替

■地区を取り巻く状況

駅前の建物の立地

4

第 4 章 まちづくりの方向性の検討

■地区の目指すべき方向性

1.地区全体の防災性の向上を目指す

地区内には、狭隘な道路に木造家屋が密集し、防災上の問題が大きくなっているうえに、前面

道路幅員が不足し、建替えができない家屋も存在している。

こうした問題に対処するべく、本地区の目指すべき方向性としては、まずは「防災性の向上」

を追及しながら立地環境を最大限に活かした取り組みが求められる。このため、その機能として

は、以下に示すように「賑わい」「回遊」「都心居住」の 3つが必要となる。

2.天王寺駅北地区(堀越町)ならではの個性や界隈性を残しつつ、より魅力ある

商業環境をつくることにより、賑わい機能の導入を図り、地区全体の活性化を

目指す

本計画では、天王寺の歴史文化性を継承しつつ、駅周辺のエリア全体で役割分担しながら、バ

ランスのとれた都心としての空間づくりの形成を図っていくことが望ましい。

そのために、周辺での大規模開発の中、古い街並みや天王寺駅北地区ならではの界隈性のある

個性的な空間イメージを継承していくとともに、より魅力ある商業環境を整え、賑わい機能を導

入させることにより、地区全体を活性化させていく。

3.周辺エリアの諸施設と有機的に連携し、賑わいとアメニティ性の高い歩行者回

遊ネットワークの形成を図る

駅南の諸施設との賑わいの連続性をもたせながら、駅北の特徴を最大限に活かし、人を主体と

した魅力ある都市環境・空間形成をつくるなど、誰もが楽しく快適に回遊でき、安全に通行でき

る歩行者ネットワークの形成を図っていく。

とくに、路地裏空間などを中心に、界隈性のある“ヒューマンスケール”のイメージを継承し

つつ、天王寺公園や四天王寺などの周辺資源とも連携させるなど、賑わいとアメニティ性の高く、

誰もが楽しく快適に回遊でき、安全に通行できる歩行者ネットワークの形成を図っていく。

4.生活道路の整備等に併せ、防災性、安全性を高め、地区ポテンシャルを活かし

た定住魅力あふれる都心居住の環境をつくる

地区の防災性や安全性を高めていくためには、必要最低限として、現在狭隘な道路を整備し、

基盤を整えていくことが必要である。これにより、建物の自力での更新(とくに居住エリア)が

可能となり、ゆとりとうるおいのある住環境の形成を目指す。

■配慮事項

1.駅北の開発ポテンシャルと開発可能性を考慮

2.隣接他地区との関連性、バランスを考慮

3.歴史的文化資源などの周辺資源の立地を考慮

■まちづくりコンセプトの検討(例)

上位計画や地区整備課題等を踏まえ、“南の商業集積地”との差別化として、周辺の

住宅立地を踏まえた生活利便機能を備えつつ、ターミナル駅という玄関口としてふさ

わしい都市機能の集積による、「ここでしか味わえない こだわり生活利便空間」とし

て整備する。

そのために、以下に示す「賑やかさ」「懐かしさ」「個性」をテーマとし、それぞれを

関連(ネットワーク)づけ、界隈性、テーマ性のあるイメージを継承しながら、楽し

く歩ける回遊都市の創造を目指していく。

ここでしか味わえない こだわりの生活利便空間

~ 界隈性、テーマ性のある「回遊都市空間」の創造 ~

■キーワード(イメージ)

天王寺区ビジョンでは、周辺の「文化・歴史・

商業」というバラエティある魅力を活かし、「現

在の天王寺区には無い都市機能」による「新し

い表情」を創り出すとしている。

そこで、ターミナル駅という立地からの

「賑やかさ(回遊性)」と歴史文化的な「懐

かしさ(界隈性)」を併せ持つとともに、

「堀越町ならでは」という「個性」(テー

マ性)の要素をもったまちづくりを進めて

いくものとする。

賑やかさ

(回遊性)

個性

(テーマ性)

懐かしさ

(界隈性)

こだわりの 生活利便空間

文化

歴史

商業

賑わい

回遊

都心

居住

防災

5

第 5 章 事業化方策の検討

■地域活性化手法の検討

目的 具体的な手法例 利点 課題 面的整備 ・土地区画整理事業

・市街地再開発事業

・防災街区整備事業

※その他任意事業として

「優良建築物等整備事

業」「連担建築物設計制

度」などを組み合わせる

ことにより、地権者の意

向や地域の実状に併せ

た手法を検討ことも考

えられる

・一般的に、従前地権者の残留希望に対応することができる。

・区画道路などの生活道路整備なども同時に行うことが可能。

・市街地再開発事業、防災街区整備事業では、さらに建物整備を一体的に行うこと

ができ、地区の整備課題を総合的に解消することができる。

・複雑な権利関係を解消することが可能。

・一般的に都市計画事業として実施することができるため、地権者の全員同意は必

要とならない。

・ソフト事業に比べ、事業費が多額となり、市の負担額(補助金)も大きくなる。

・整備までに、地元との検討・協議なども含め長期間の時間を要する。

・上物整備が必ずしも地域の活性化に結びつくとは限らない。

・都市計画事業としての位置づけが必要となる。

まちなみづくり ・大阪市 HOPEゾーン事業 ・市民と連携・協働して、様々なまちづくり活動を展開しながら、それぞれのまち

の特性を活かしたまちなみづくりを進め、魅力ある居住地づくりを進めることが

できる。

・テーマやコンセプトを定め、それに基づく取り組みを展開することができる。

・接道条件など基盤整備を伴わずに行うことも可能である。

・本地区では接道条件などが満たさない敷地があるため、大規模改修にかかる場合

などにおいて、一定の段階で何らかのハード整備が必要となる。

・地元組織を組織する必要がある。

・防災性能を向上させる整備でなく、建物本体が更新されるわけではないので、防

災上の問題が解消されない。

・特定範囲の総合的整備手

法(地区計画等)

・市街地形成の状況に応じて様々な内容を定めることができる。

<建築協定の場合>

・建築物の敷地規模、位置、構造、用途、形態、意匠または建築設備に関すること

であれば原則として何でも定めることができる。(例えば、建築物の壁面の位置や、

道路に面する外壁、材料、色彩等)

<地区計画の場合>

・建築物等の容積率の最高限度、敷地面積の最低限度、壁面の位置、建築物等の高

さ、建築物の構造、後退部分の工作物の制限などを定めることができる。

・最低敷地面積、壁面の位置、建築物等の高さ、壁面後退部分の工作物の制限を定

めることで、道路斜線制限、前面道路幅員による容積率制限を緩和することがで

きる(街並み誘導型地区計画)。

(課題)

・本地区では接道条件などが満たさない敷地があるため、ルールに基づく建物更新

を行うためには、一定の段階で何らかのハード整備が必要となる。

・地元組織を形成する必要がある。

・任意のルールの場合、更新が進まず、防災上の問題の解消されない面がある。

商業振興

(ハード事業)

・商店街まちづくり事業

(補助金)(中小企業庁)

・商店街振興組合、事業協同組合等において組織される法人格を持った商店街組織

として一定の要件を満たせば補助金が得られる。

・安心・安全、歩行者通行量の改善等を目指す事業であり、回遊性の向上やにぎわ

いづくりの取組みとして、課題解消につながる。

例)・街路灯の LED化

・防犯カメラの設置

・アーケードの撤去・改修

・子育て支援施設などによる空き店舗の 活用 など

(課題)

・事業計画の申請とその採択が必要となる。

・事業費の 3分の 1は地元商店街等が負担する必要あり。

・防災上の課題や建替えの問題などの解消には直接つながっていかない。

商業振興

(ソフト事業)

・地域商店街活性化事業

(補助金)(経済産業省)

・消費喚起に向けたイベント事業などに対する補助事業で来街者と商店街がひとつ

になって盛り上げられる。

例)・夏まつりなど来街者と商店街が一つになって盛り上がるイベント など

・限度額あり(上限 400万円(単独~4商店街組織)、800万円(5~9商店街組織)、

1,200万円(10商店街組織以上)、下限 30万円)

・事業申請とその採択が必要となる。

・防災上の課題や建替えの問題などの解消には直接つながっていかない。

・その他任意事業

(まちなかバル、商店街な

どでの体験、食育などテ

ーマ性のあるまち歩き

イベント など)

・商店街組織が存在しており、商店街として取り組む事業は実施できる素地はある。

・天王寺駅南側なども含め、商業集積があるため、エリアとしての展開が可能。

・回遊性の向上やにぎわいづくりの取組みとして、短期的な実施が比較的可能。(平

成 25年度に実施経験あり)

・防災上の課題や建替えの問題などの解消には直接つながっていかない。

6

1.公共施設の整備の考え方

[区画道路]

・対象地区内の東西方向に谷町筋と天王寺駅前阪和商店街を結ぶ生活道路(区画道路)を集約(現況 4 路線を 1

~3路線に集約)して整備し、地区の防災性、安全性を高める。

[歩行者ネットワーク]

・上記の区画道整備を図るとともに、谷町筋及び玉造筋、天王寺駅前阪和商店街、地区北側道路を結ぶ歩行者ネ

ットワークの形成を図る。

・現在の駅前広場ロータリーの北側及び北口より、本地区へ至る安全な歩行者ネットワークの形成を図り、駅南

側エリアからの歩行者動線を引き込み、駅周辺が一体となった賑わい空間の創出を図る。

2.土地利用の考え方

[南側街区及び中央街区]

・都市基盤整備とあわせて市街地再開発事業等により、まとまったエリアにおいて敷地の共同化と土地利用の高

度利用化を図り、駅北地区に相応しい商業・飲食サービス機能や都市型住宅機能の導入を図る。

・しかし、既に高度利用化されている敷地については、建物調査の結果や権利者の意向を踏まえ、共同化事業か

ら除外していくことも検討する必要がある。(図の表現はあくまでもその例)

[北側街区]

・基本的に、現状と同様、住宅や宿泊機能を中心としたゾーンとしていくことが望ましいが、駅北地区(本調査

地区)が一体でまとまる場合においては、上記の中央街区、あるいは、南側街区をも含めた一体街区の中で、

敷地の共同化と高度利用化を図り、商業・娯楽・飲食サービス機能や都市型住宅機能の導入を図っていくこと

も考えられる。

第 6 章 面的整備手法による検討

市街地再開発事業等により、まとまったエリアにおいて共同化

駅南地区との連携

北側街区

歩行者ネットワークの整備

歴史文化性を継承した沿道づくり

区画道路の整備 建物の共同にあたっては、一部の敷地は除外する可能性あり

中央街区

南側街区

区画道路の集約整備 まとまって一体開発の場合は、不要となる

建物の共同にあたっては、一部の敷地は除外する可能性あり

基本的には、住宅、宿泊機能等 ただし、まとまった場合には、中央及び南側街区と一体的に面整備も考えられる

7

■モデル事業案の検討

○ 事業化区域の検討

前ページに示す地区整備イメージを実現させていくため

の事業手法としては、区画道路などの都市基盤整備と防災

性向上のための建物を一体的に整備する「市街地再開発事

業」「防災街区整備事業」または、「土地区画整理事業+優

良建築物等整備事業などの共同化事業」による整備が望ま

しい。

ここでは、その代表的な手法として「市街地再開発事業」

を例にあげて、以下検討を行う。

対象地区には、既に耐火建築物が建築され、一定の高度

利用がされた敷地が複数存在する。これらの敷地や建物を

含めて、面的整備を行うにあたっては、建物の老朽度や耐

震化の状況や関係権利者の意向はもちろん、事業費や従前

資産額の高騰の可能性も含めた事業採算性の検討を行い、

再開発事業などの共同ビル整備にあたっては、事業区域に

含めるか等の判断を行う必要があり、これらの点について

留意しながら検討を進めていく必要がある。

上記の点に留意し、面的整備を行う事業化区域について

は、上記の地権者の合意が得られにくいと考えるエリアを

除外したり、望ましい機能配置のあり方などにより、地区

を分割していくことなどが考えられ、以下及び次ページ以

降に示す 5パターンとした。(面積は図上求積)

なお、対象地区の整備にあたっては、まとまったエリア

において共同化などの整備となり、地権者の開発意向等に

よって、例えば、E 案による整備からその他の街区の整備

へといった段階的整備も考えられる。

案 考え方 施行区域面積

A案 区域全域を対象 12,556㎡

B案 北側の既に高度利用されている

建物を含むエリアとして北側街

区の一部を除外 9,953㎡

C案 住宅及び宿泊機能のエリアとな

っている北側街区を除外し区画

道路で区分 8,146㎡

D案 南側街区のみ 6,156㎡

E案

北側及び南側の既に高度利用さ

れている建物を含むエリアとし

て北側街区の一部及び南側街区

の一部を除外

5,839㎡

8

■天王寺駅北地区 施設建築物計画案(ボリューム検討及び概算資金計画)の比較検討

  敷地面積 7,338 ㎡   敷地面積 5,630 ㎡   敷地面積 4,335 ㎡  容積対象面積   58,450 ㎡   容積対象面積   44,332 ㎡   容積対象面積   33,744 ㎡  容積率 796.5 %   容積率 787.4 %   容積率 778.4 %  建築面積 5,666 ㎡   建築面積 4,267 ㎡   建築面積 3,050 ㎡  建ぺい率 77.2 %   建ぺい率 75.8 %   建ぺい率 70.4 %

階 商業 住宅 公益 機械室等 駐車場 合計 階 商業 住宅 公益 機械室等 駐車場 合計 階 商業 住宅 公益 機械室等 駐車場 合計20 20 20 20 20 20

42 33 24

           

                 

           

  42,028   42,028   32,074   32,074   24,332   24,332

  (1,106×38)     (1,106×29)     (1,106×22)  

     

     

     

     

5 5 4 5,679 5,679 4 4,267 3,867 4

3 5,679 5,679 3 4,267 3,867 32 5,126 140 5,266 2 3,727 140 3,867 2 2,822 140 2,9621 4,762 374   130 5,266 1 3,358 379   130 3,867 1 2,508 324   130 2,962

地階 4,846   1,024   5,870 地階 3,753   751   4,504 地階1 2,924   544 3,468   

タワーP 0 タワーP 0 タワーP 1,350合計 14,734 42,542 0 1,174 11,358 69,808 合計 10,838 32,593 0 901 8,534 52,866 合計 8,254 24,796 0 694 1,350 35,094

418戸 319戸 242戸325台 244台 90台

うち 機械式タワー うち 機械式タワー うち 90台 機械式タワー 90台

附置義務 設置台数 設置率 附置義務 設置台数 設置率 附置義務 設置台数 設置率

住宅 台 225台 54% 住宅 台 170台 53% 住宅 台 33台 14%

商業 台 100台 0% 商業 台 74台 0% 商業 台 57台 0%

計 124台 325台 計 94台 244台 計 71台 90台

■資金計画案の検討 ■資金計画案の検討 ■資金計画案の検討前提条件 前提条件 前提条件

平均土地価格 440 千円/㎡ 平均土地価格 476 千円/㎡ 平均土地価格 487 千円/㎡工事費単価 294 千円/㎡ 工事費単価 295 千円/㎡ 工事費単価 324 千円/㎡

商業施設 200 千円/㎡ 商業施設 200 千円/㎡ 商業施設 200 千円/㎡住宅施設 350 千円/㎡ 住宅施設 350 千円/㎡ 住宅施設 350 千円/㎡駐車場 150 千円/㎡ 駐車場 150 千円/㎡ 駐車場 150 千円/㎡機械式駐車場 2,000 千円/台 機械式駐車場 2,000 千円/台 機械式駐車場 2,000 千円/台

工期(解体含む) 36 ヶ月 工期(解体含む) 30 ヶ月 工期(解体含む) 24 ヶ月土地利用指数 商業 100 土地利用指数 商業 100 土地利用指数 商業 100

住宅 70 住宅 70 住宅 70駐車場 0 駐車場 0 駐車場 0

転出率 土地所有者 30% 建物所有者 30% 転出率 土地所有者 30% 建物所有者 30% 転出率 土地所有者 30% 建物所有者 30%

事業費および床価格の試算 事業費および床価格の試算 事業費および床価格の試算

総事業費 35,339 百万円 総事業費 26,760 百万円 総事業費 19,950 百万円保留床処分金 27,175 百万円 保留床処分金 20,564 百万円 保留床処分金 15,283 百万円公共施設管理者負担金 462 百万円 公共施設管理者負担金 436 百万円 公共施設管理者負担金 389 百万円再開発補助金 7,702 百万円 再開発補助金 5,760 百万円 再開発補助金 4,278 百万円

対総事業費 21.8 % 対総事業費 21.5 % 対総事業費 21.4 %

市負担計 2,388 百万円 市負担計 1,876 百万円 市負担計 1,459 百万円

うち 再開発補助(1/4) 1,925 百万円 うち 一般会計補助(1/4) 1,440 百万円 うち 一般会計補助(1/4) 1,069 百万円市単独費(区画道路) 462 百万円 市単独費(区画道路) 436 百万円 市単独費(区画道路) 389 百万円

商業床ネット単価(原価) 649 千円/㎡ 商業床ネット単価(原価) 651 千円/㎡ 商業床ネット単価(原価) 666 千円/㎡住宅床ネット単価(原価) 710 千円/㎡ 住宅床ネット単価(原価) 713 千円/㎡ 住宅床ネット単価(原価) 711 千円/㎡

  2,346 千円/坪   2,356 千円/坪   2,349 千円/坪

* 72㎡換算住宅価格(原価) 51,086 千円 * 72㎡換算住宅価格(原価) 51,303 千円 * 72㎡換算住宅価格(原価) 51,160 千円

駐車場 住宅戸数

住宅塔状案(42階)

駐車場 住宅戸数

~ ~ ~

駐車場 住宅戸数

A-1案

施行区域 12,556㎡

C案

施行区域 8,146㎡

住宅塔状案(28階)

B案

施行区域 9,953㎡

住宅板状案(33階)

  敷地面積 2,862 ㎡   敷地面積 3,379 ㎡  容積対象面積   15,690 ㎡   容積対象面積   17,523 ㎡  容積率 548.2 %   容積率 518.6 %  建築面積 1,740 ㎡   建築面積 2,138 ㎡  建ぺい率 60.8 %   建ぺい率 63.3 %

階 商業 住宅 公益 機械室等 駐車場 合計 階 商業 住宅 公益 機械室等 駐車場 合計20 20 20 20

14 14~

       

           

       

  10,080   10,080   7,760   7,760

  (840×12)     (970×8)  

   

   

  7  

  6   2,138 2,138

5 2,138 2,1384 4 1,712 48 1,760

3 3 1,712 48 1,760

2 1,602 48 1,650 2 1,712 48 1,7601 1,348 115   187 1,650 1 1,458 115   187 1,760

地階1 2,039   251 2,290 地階1 2,369   334 2,703

タワーP 1,350 タワーP 0合計 4,989 10,243 0 458 1,350 17,040 合計 8,963 7,923 0 541 4,276 21,703

132戸 96戸90台 122台

うち 90台 機械式タワー 90台 うち 機械式タワー

附置義務 設置台数 設置率 附置義務 設置台数 設置率

住宅 台 55台 42% 住宅 台 61台 50%

商業 台 35台 0% 商業 台 61台 0%

計 34台 90台 計 41台 122台

■資金計画案の検討 ■資金計画案の検討前提条件 前提条件

平均土地価格 516 千円/㎡ 平均土地価格 411 千円/㎡工事費単価 243 千円/㎡ 工事費単価 211 千円/㎡

商業施設 200 千円/㎡ 商業施設 200 千円/㎡住宅施設 230 千円/㎡ 住宅施設 230 千円/㎡駐車場 150 千円/㎡ 駐車場 150 千円/㎡機械式駐車場 2,000 千円/台 機械式駐車場 2,000 千円/台

工期(解体含む) 24 ヶ月 工期(解体含む) 24 ヶ月土地利用指数 商業 100 土地利用指数 商業 100

住宅 70 住宅 70駐車場 0 駐車場 0

転出率 土地所有者 30% 建物所有者 30% 転出率 土地所有者 30% 建物所有者 30%

事業費および床価格の試算 事業費および床価格の試算

総事業費 8,916 百万円 総事業費 7,891 百万円保留床処分金 5,847 百万円 保留床処分金 5,573 百万円公共施設管理者負担金 368 百万円 公共施設管理者負担金 556 百万円再開発補助金 2,702 百万円 再開発補助金 1,762 百万円

対総事業費 30.3 % 対総事業費 22.3 %

市負担計 1,043 百万円 市負担計 997 百万円

うち 一般会計補助(1/4) 675 百万円 うち 一般会計補助(1/4) 440 百万円市単独費(区画道路) 368 百万円 市単独費(区画道路) 556 百万円

商業床ネット単価(原価) 838 千円/㎡ 商業床ネット単価(原価) 678 千円/㎡住宅床ネット単価(原価) 620 千円/㎡ 住宅床ネット単価(原価) 528 千円/㎡

  2,050 千円/坪     1,746 千円/坪

* 72㎡換算住宅価格(原価) 44,653 千円 * 72㎡換算住宅価格(原価) 38,033 千円

住宅戸数 駐車場

D案

施行区域 6,156㎡

住宅板状案(14階)

住宅戸数 駐車場

E案

施行区域 5,839㎡

住宅板状案(14階)

9

■事業成立性の検討

従後の床価格(原価)について、販売価格が比較しやすい住宅の価格で各案と比較検討を行う。以

下にその結果を整理する。(前ページ参照)

・住宅棟が塔状となる A-1~C 案と比べて、板状となる D 案、E 案の方が相対的に床価格は低い。こ

れは、主に、塔状案よりも板状案の方が、容積対象床として確保できる割合が高く、効率がよいこ

とに加え、塔状案が超高層化することによる工事単価が割高になることに起因していると考えられ

る。

・また、5章の検討により、住宅施設の床価格を周辺の相場(約 210~220万円/坪(利益含む)→約

175~185万円/坪(約 530~560千円/㎡)(利益率 20%とした原価))と比較すると、住宅が超高層

となる A~D案については、いずれも周辺相場と比較してやや高価格となっている。(中層となり、

かつ区域を縮小して補償物件を抑えた E案については、概ね周辺相場価格程度以下に抑えられる。)

・商業施設については、A-1案が最も床価格は低く、B~D案への区域を縮小していくにつれて床価格

が高くなる。これは、主に、B~D案へいくに従い、土地の平均単価や補償費の割合が相対的に高く

なることに起因しているものと考える。

従後の床価格(原価)の比較検討

A-1案 B案 C案 D案 E案

施行区域面積 1.3ha 1.0ha 0.8ha 0.6ha 0.6ha

住宅棟 塔状 塔状 塔状 板状 板状

商業施設

(ネット)

649

千円/㎡

651

千円/㎡

666

千円/㎡

838

千円/㎡

678

千円/㎡

住宅施設

(ネット)

710

千円/㎡

713

千円/㎡

711

千円/㎡

620

千円/㎡

528

千円/㎡

以上を整理すると概ね以下のとおりまとめられる。

・施設床価格の相場にかかるヒアリング結果に鑑みると、本試算に基づくと、A~C案のような超高層

による住宅棟の配置は、事業成立性が低いといわざるを得ない。

・D 案は、施設床価格の面からは A~C 案より事業成立性が高いと言えるが、地区の中心部にある老

朽木造建物の解消につながるものでない。

・E 案は、施設床価格面から A~C 案より事業成立性が高いと言え、また、老朽木造建物が並ぶ地区

の中心部を対象とするため、防災性向上にもつながるものである。

・ただし、E 案については、隣接敷地との関係上、建物高さなどに配慮する必要があり、施設建築物

の下層階には、採光条件などから、住宅施設以外の機能(商業または業務、駐車場など)の導入が

必要となってくるため、施設需要の再検討が課題となる。

■実現に向けた課題の検討

今後、望ましい「まちの姿」を実現していくにあたって、課題となる点を以下にまとめる。

周辺との連携や調和のとれた整備のあり方等の検討

本地区は、市のターミナル駅の玄関口にあたる地区として、その整備にあたっては、本地区のみな

らず、周辺地区、商店街等とも連携・調和のとれたまちづくりが求められ、その取り組みが必要とな

る。

こうした中で、本地区の整備にあたって、その整備のあり方や事業区域、事業手法の選択にあたっ

ては、隣接地区の動向をも充分踏まえ、関連する機能等については、充分に調整、または連携を図っ

ていくことが必要となる。

全関係権利者の意向把握と合意形成

第 6 章では、将来のまちづくりの方向性を明らかにするために、その事業化について、市街地再開

発事業を例にあげ、その事業成立性の検証を行った。

こうした中で、今後、事業を具体化していくうえでは、事業採算性の検証だけではなく、事業に関

係する全権利者の意向を充分踏まえたうえで、事業化への合意形成を図っていく必要がある。したが

って、地元の意向をまちづくりに反映させるなど、きめの細かい地権者対応は不可欠であり、場合に

よっては、地元のニーズに即した事業手法を取り入れることなどの検討についても行っていく必要が

あり、地権者等の合意形成を図りつつ、まちづくりの推進体制を固めていく必要がある。

適切な事業手法の選定と段階的整備をも視野に入れた検討

本調査では、駅周辺の中での役割、位置づけや地区の課題等を考慮し、将来的に望ましいまちづく

りのあり方として、地区の防災性や安全性を高めていくとともに、ターミナル立地にふさわしい土地

の合理的かつ健全な高度利用を目指し、市街地再開発事業をとりあげ、その可能性の検討を行った。

今後、より具体的な地区活性化に向けての検討にあたっては、地区の課題を解消していくにふさわ

しく、かつ、上記の地元意向や民間事業者のニーズ等をも把握しながら、実現可能な整備手法を選定

していくことが求められ、場合によっては、できるところから整備を行うといった、段階的整備をも

視野に入れた長期的なスパンで検討を行うことも必要となる。

10

第 7 章 ソフト事業の展開方策

本章では、第 5章で整理した課題解決のための地域活性化手法のうち、面的整備手法以外の課題解決手法について整理する。

■まちなみづくりの手法

(1)大阪市 HOPEゾーン事業

歴史的・文化的な雰囲気やまちなみなどに恵まれた地域を、本市の居住地イメージを高めるモデルゾーン

(HOPEゾーン)として位置付け、市民のみなさんと連携・協働して、様々なまちづくり活動を展開しながら、

それぞれのまちの特性を活かしたまちなみづくりを進め、魅力ある居住地づくり(地域との連携・協働による、

住みたい、そして、住み続けたいまちづくり)をめざす事業。

(2)特定範囲の総合的整備手法(地区計画など)

①憲章

・「安全・安心のまちづくり」に向けて、関係者が取組む活動目標をわかりやすく文章化し、団体の関係者及び

外部に対して、アピールするもの。

②建築協定

・関係権利者等の全員合意によって、建築物や敷地等のルールについて定める。

・私法的契約という性格を持つため、協定内容の検討から全員合意による締結、運営まで地域主導で行う。

③地区計画

・都市計画法によって建築物等の用途や高さ、形態及び意匠等についてきめ細やかなルールを定める。

・策定主体は市になるが、案の作成にあたっては、区域内の土地の所有者等が主体的に充分に話合いを行い、

一定の合意形成が得られた段階で、大阪市が利害関係者の意見を充分聞いて、都市計画決定する。

■商業振興事業(ハード事業)

○商店街まちづくり事業(補助金)(中小企業庁)

商店街等が地域の行政機関等からの要請に基づ

いて実施する、地域住民の安心・安全な生活環境

を守るための施設・設備等の整備等を支援するこ

とにより、高齢社会が進展する中、安心・安全に

配慮した、身近で快適な商店街づくりを目指すこ

とを目的としている。

<補助対象事業>

・商店街等において実施する事業であって、当該

地域の行政機関等の要請に基づく地域住民の安

心・安全な生活環境の維持のための施設・設備

等の整備。 ・補助事業実施期間中における事業実施効果(集

客力に限る。)の測定のための事業も対象。

■商業振興事業(ソフト事業)

○地域商店街活性化事業

商店街組織が地域コミュニティの担い手として実施する、継続的な集客促

進、需要喚起、商店街の体質強化に効果のある取組に要する経費助成事業。

<補助対象事業>

・商店街組織が地域コミュニティの担い手として行う、集客促進、需要喚

起に効果のある取組であって、商店街の恒常的な集客力向上や、販売力

向上が見込まれるイベント等の事業を対象。

・こうしたイベントの効果を最大化し、持続させるため、商店街の体質強

化に資する次のような事業も支援の対象として想定。

■その他任意事業

○取組例の概要

(1)まちなかバル

・1冊 5枚つづりのチケットを使いながら、参加店を食べ歩き、飲み

歩きをするイベント。

・半券 1枚で、ピンチョスと呼ばれる一口サイズの食べ物と 1ドリン

クの提供を受けられる。

・参加者は、参加店舗の記載されたマップをもとに、まちを歩きなが

ら、お目当ての店舗を回ることで、安価でその店の味だけでなく店

舗の雰囲気なども知ることができる。これまで敷居が高い、または、

雰囲気が分からず入りづらいと感じていた店への来訪が手軽にで

き、地域のお気に入りの店の新規開拓などに繋がっている。

(2)まちゼミ

・プロならではの専門的な知識や情報、コツを無料で受講者(お客様)

にお伝えする少人数制のゼミナール形式の取組み。

・お店の存在・特徴を知っていただくと共に、お店(店主やスタッフ)

とお客様のコミュミケーションの場から、信頼関係を築くことを目

的とする事業。

・販促活動は、まちゼミの講義時間中は行わないのが原則。

・物販や飲食店など業種を問わず参加が可能。

(3)100円商店街

・商店街の各店舗が選り抜きの 100円商品を用意することにより、商

店街全体をひとつの 100円ショップに見立てる事業

・参加店舗にとっては、新規客を開拓することができる場であり、各

個店が主役となって事業を行うことができる。

(4)まちセリ

・商店街の各店が店頭で商品をセリ形式で販売することにより、店の

こだわりや商品の魅力をアピール。

・買い物客は、セリでの掛け合いを楽しみながら、店や店主について

詳しく知ることができる。

・参加店舗にとっては、新規客を開拓することができる場であり、各

個店が主役となって事業を行うことができる。

(5)まち歩きイベントとの連携

・まち歩きイベントの立ち寄り先として商店街もコースに取り入れて

もらうことで、場所や雰囲気を知ってもらう。

・イベント参加者には、安価での商品提供をしたり、商店主などが商

店街や地域についての説明をするなどしながら、コミュニケーショ

ンを図ることができる。

空き店舗を託児所として活用(ママトモ魚

町:福岡県北九州市・魚町商店街振興組合)

施設名 内容

街路灯 商店街街路灯の設置・補修(広告灯は除く)、省エネ照明事業、LED 化事業

防犯対応設備 防犯カメラの設置

アーチ 商店街サインポールの設置・補修

アーケード 道路の片側または全面に設けるアーケード等設置・補修または撤去

カラー舗装 商店街の公共的道路に設置されるものの舗装・補修

コミュニティ関連施設 コミュニティ広場・ホール・ストリートファニチャー(モニュメントや休憩施設)の設置

公衆便所 一般顧客を対象とする水洗便所の設置・改修

防災施設 防災施設(持ち運び可能な消火器は除く)の設置・補修

放送設備 放送設備(一般・緊急放送用)の設置・補修

駐(輪)車場 駐(輪)車場(一般顧客が無料で使用できるもの)の設置・補修

冷房施設 冷房施設(一般顧客を対象とするもの)の設置・取替え

商店街まちづくり事業の補助対象の例

まちなかバル

まちゼミ

100円商店街

まちセリ

まち歩き

イベント

との連携

11

■実現に向けた課題の検討

今後、ソフトな取り組みを進め、望ましい「まちの姿」を実現していくにあたって、課題となる

点を以下にまとめる。

地区における将来像の共有

ソフトな取り組みを含め地区のまちづくりを進めていくにあたっては、個々バラバラに進めてい

くのではなく、地区全体の方向性(将来像)を共有しておく必要がある。また、権利者及び商業者

だけでなく、地域の自治会などとも共有しながら進めていくことが望ましい。

そうした中で、様々な取り組みを進めていくための地区全体の将来像を検討したうえで、様々な

取り組みを進めていくことが重要である。

地区における取り組みを推進する体制(組織)づくり

将来像の検討、共有を行いながら、地区計画などのルール検討から商店街振興のソフト施策の実

施まで含め、地域としての動きをつくりながら、検討や実施などを進めていく必要がある。

現状では、商店街組織、自治会のほかに、地区のまちづくりを包括的に検討していく組織が存在

しないため、今後の取り組みを進めていくための体制・組織づくりを目指していく必要がある。

防災上の課題解決の検討

本地域の重要な課題として、防災性の向上が挙げられるが、地区計画などのルールによる防災施

工上は、建物更新時での解決となり、短期的な解決にはすぐには結び付かない。

また、ソフト事業を展開しても防災性の向上にはつながらないため、どこかの時点でハード整備

にかかる事業を検討、実施していく必要がある。

本章で整理したなかで、ハード整備に係る事業も整理しているが、現状において接道条件を満た

していない区画があるため、ルールによる施設更新や HOPE ゾーン事業などによるハード整備を行

うにあたっては、何らかの事業手法を併せて進めるなどしながら、接道条件等を満たしていく必要

がある。

■課題解決に向けたソフト事業の展開案

前項で整理した課題を解決しながら、本地区において今後ソフト事業を展開していく段階について案として

整理する。

Step1 既存の組織を中心とした組織づくり及び将来像の検討

本地区の将来像を設定し、その将来像に向けた取り組みを行っていくための検討組織が必要となるが、現状、

商店街組織や自治会といった組織はあるものの、地域を包括するような組織が存在しない。

そのため、まずは商店街組織や自治会などを中心とした集まりの中で組織(協議会)づくりを進めるのが望

ましく、その中で、地区の将来像を検討し、共有していくことが必要である。

地区の将来像に掲げたコンセプトなどに沿って、「面的整備」やそれにつなげる地区の「ルールづくり」、

HOPEゾーン事業の取組みなどを見据え取り組みを進めていく。

一方、将来像の実現及び各組織(とくに商店街組織)における組織内の活動を活発化させ、組織内部の地区

に対する意識も高めていくために、「その他任意事業」に列挙したような商業者の自主事業的な取組みや来訪

客を受け入れるための体制づくり、マップや PRにかかるツールなどの製作などを行いながら、商店街内部の

取組みを活発化させていく。

取り組みを行う中で、周辺自治会や地域団体などと連携しながらの事業も行っていくことで、組織としての

広がりやコミュニケーションが図れる環境づくりを行っていく。

Step2 現状で可能なハード整備の検討、更新

地区内の建物は、防災面での課題とあわせ、建物の老朽化や陳腐化が進んでおり、空き店舗も一定見られる。

そのため、大規模な面的整備に関わらず、商業環境としての充実、向上のために一定更新を図っていく必要が

ある。

ソフト事業の取組みをきっかけに自主的な更新が行われることが望ましいが、外部からの取組みを呼び込む

必要がある。として「商業振興事業(ソフト事業)」に例示したような取組みとして、チャレンジショップと

しての空き店舗活用やアーケードや街路灯、トイレなどの整備・リニューアルによる地区としての環境向上を

図っていく。

なお、Step1 で、HOPE ゾーン事業に取り組むなどの方向性が見出された場合は、ガイドラインに即したま

ちなみ形成などの取組みを行っていく段階と考えられる。

Step3 ハード整備に向けた検討

先述したように、本地区の課題の一つである防災性の向上には、ある程度のハード整備が必要となってくる

が、現状ではその条件を満たしていないため、一定の整備手法を用いる必要がある。

そのため、ハード整備に向けては、組織(協議会)の中で地権者などを中心とした部会を立ち上げるなどし

て、ハード整備を中心とした検討を進める必要がある。

12

第 8 章 総括

・地域の活性化に向けては、第 3章「地区の整備課題」で検討した 5点の課題に対し、同時に対応していくこと

が求められる。

・対象地区の整備にあたっては、上記の課題を同時に解消させる方策として、ある程度、面的に整備を行うこと

が理想であり、そのために、「市街地再開発事業」または「防災街区整備事業」による公共施設整備と建築敷地

を一体的に整備することが望ましい。

・整備区域については、区画道路などの公共施設の整備を行う必要性から、ある程度まとまったエリアにおいて

整備を行うことが必要となり、本調査区域全体(北街区+中央街区+南街区)を必要整備区域として検討を行

うことが望ましい。

・しかし、上記の整備には、地元合意や関係者、関係機関等の調整などからかなり長期の時間を要することが想

定されるため、当面は、整備課題を部分的に解決していく手法として、大規模な整備を伴わない、「まちの空間

の質を向上させるためにまちなみの整備を図る手法」、「まちの回遊性やにぎわいをつくるためのソフトな取り

組み」などの、いわゆる「ソフト事業」を適切に組み合わせ、各々の課題に対応させていくことが考えられる。

それらの手法を本地区への適用にあたり、課題となるポイント等について整理する。

目的 具体的な手法例 本地区への適用にあたって

面的整

・土地区画整理

事業

○利点

・生活道路の整備など、地区の防災上の課題や建物の建て替え更新の課題に

対応できる。

○課題

・上物(建物)の整備を伴う事業ではないため、上物整備が必ずしも地域の

活性化に結びつくとは限らない。

・別途、優良建築物等整備事業など建物の共同化事業の組み合わせがあれば

適用も考えられる。

・市街地再開発

事業

○利点

・本地区の課題を総合的に解消する事業手法としては、最も適した手法とい

える。

○課題

・事業費が多額となり、補助金などによる市負担も大きくなる。

・地権者の合意形成など、整備までに長期間の時間を要する可能性が大きい

ことなどから、段階的整備を視野に入れ、他の手法との組み合わせ(例え

ば、一定の範囲を市街地再開発事業、その他まとまるエリアを優良建築物

等整備事業、または任意開発など)による整備が考えられる。

・防災街区整備

事業 ・市街地再開発事業に同じ

・優良建築物等

整備事業

○利点

・建物の共同化により、建築物の不燃化などの地区の防災上の課題や、個別

では建て替えのできない建物の更新などの建て替えの課題に対応するこ

とができる。

○課題

・関係権利者の全員同意が必要となるため、一定の範囲を対象とした面での

整備は極めて難しい。

・都市計画決定も必要がなく、部分的にまとまったエリアにおいて当手法を

活用することは考えられるが、それが逆にバラバラな乱開発となってしま

う可能性もあるため、別途地区計画などの導入が有効と考える。

・連担建築物設

計制度

○利点

・防災上の課題や建替えの問題などの解消につながる。

○課題

・関係権利者の全員の同意が前提となるため、本地区への導入は、かなりハ

ードルが高いといえる。

目的 具体的な手法例 本地区への適用にあたって

まちな

みづく

・大阪市 HOPEゾー

ン事業

○利点

・市民と連携・協働して、様々なまちづくり活動を展開しながら、それぞれのまちの特性を活かしたまちなみづくりを進め、魅力ある居住地づくりを進めることができる。

・テーマやコンセプトを定め、それに基づく取り組みを展開することができる。 ・接道条件など基盤整備を伴わずに行うことも可能である。 ○課題

・本地区では接道条件などが満たさない敷地があるため、大規模改修にかかる場合などにおいて、一定の段階で何らかのハード整備が必要となる。

・地元組織を組織する必要がある。

・防災性能を向上させる整備ではないため、防災上の問題の解消されない面が

ある。

・特定範囲の総合的

整備手法(地区計

画等)

○利点

・市街地形成の状況に応じて様々な内容を定めることができる。 <建築協定の場合>

・建築物の敷地規模、位置、構造、用途、形態、意匠または建築設備に関することであれば原則として何でも定めることができる。(例えば、建築物の壁面の位置や、道路に面する外壁、材料、色彩等)

<地区計画の場合>

・建築物等の容積率の最高限度、敷地面積の最低限度、壁面の位置、建築物等の高さ、建築物の構造、後退部分の工作物の制限などを定めることができる。

・最低敷地面積、壁面の位置、建築物等の高さ、壁面後退部分の工作物の制限を定めることで、道路斜線制限、前面道路幅員による容積率制限を緩和することができる(街並み誘導型地区計画)。

○課題

・本地区では接道条件などが満たさない敷地があるため、ルールに基づく建物更新を行うためには、一定の段階で何らかのハード整備が必要となる。

・地元組織を形成する必要がある。 ・任意のルールの場合、更新が進まず防災上の問題の解消されない面がある。

商業振

興(ハ

ード事

業)

・商店街まちづくり

事業(補助金)(中

小企業庁)

○利点

・安心・安全、歩行者通行量の改善等を目指す事業であり、回遊性の向上やにぎわいづくりの取組みとして、課題解消につながる。

○課題

・防災上の課題や建替えの問題などの解消には直接つながっていかない。

商業振

興(ソ

フト事

業)

・地域商店街活性化

事業(補助金)(経

済産業省)

○利点

・商店街組織が存在しており、商店街として取り組む事業は実施できる素地はある。

・福祉や子育てなど商業機能以外の施設導入する場合は、様々な利用客が商店街のエリアを出入りすることになる。

○課題

・福祉や子育てなど商業機能以外を導入する場合は、担い手が必要となる。 ・防災上の課題や建替えの問題などの解消には直接つながっていかない。

・その他任意事業

(まちなかバル、

商店街などでの

体験、食育などテ

ーマ性のあるま

ち歩きイベント

など)

○利点

・商店街組織が存在しており、商店街として取り組む事業は実施できる素地はある。

・天王寺駅南側なども含め商業集積があるため、エリアとしての展開が可能。 ・回遊性の向上やにぎわいづくりの取組みとして、短期的な実施が比較的可能。(バル事業については、平成 25年度に実施経験あり)

○課題

・防災上の課題や建替えの問題などの解消には直接つながっていかない。