60
1 JSSCシンポジウム 「エンジニアリングセッション」 JSSC疲労設計指針の改定要旨と設計例 1117日(木) 13:0015:00 プログラム(案) 技術・標準委員会委員長挨拶 児嶋 一雄(鹿島建設) 疲労設計指針改定の経緯 森 猛(法政大学) 改定指針の内容(1) 1~3貝沼 重信(九州大学) 改定指針の内容(2) 4~6舘石 和雄(名古屋大学) 設計例(1) 道路橋 内田 大介(三井造船) 設計例(2) 大型浮体空港 福岡 哲二(三井造船) 設計例(3) 天井クレーン走行桁 蔦森 正憲(IHI運搬機械) 質疑(次期改定に向けて) 技術・標準委員会幹事長挨拶 前田 祥三(鹿島建設) 司会:南 邦明(鉄道運輸機構)

JSSC疲労設計指針の改定要旨と設計例5 板厚補正,平均応力の補正なども行うことを解説で示 した. 4.5 疲労照査 疲労照査は,応力範囲としてホットスポット応力範囲を,疲労設計曲

  • Upload
    others

  • View
    4

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

1

JSSCシンポジウム 「エンジニアリングセッション」

JSSC疲労設計指針の改定要旨と設計例

11月17日(木) 13:00~15:00プログラム(案)

技術・標準委員会委員長挨拶 児嶋 一雄(鹿島建設)疲労設計指針改定の経緯 森 猛(法政大学)改定指針の内容(1) 1~3章 貝沼 重信(九州大学)改定指針の内容(2) 4~6章 舘石 和雄(名古屋大学)設計例(1) 道路橋 内田 大介(三井造船)設計例(2) 大型浮体空港 福岡 哲二(三井造船)設計例(3) 天井クレーン走行桁 蔦森 正憲(IHI運搬機械)質疑(次期改定に向けて)技術・標準委員会幹事長挨拶 前田 祥三(鹿島建設)

司会:南 邦明(鉄道運輸機構)

2011/10/25

1

1

2

2011/10/25

2

3

4

2011/10/25

3

5i

i

NnD

6

2011/10/25

4

7

8

2011/10/25

5

9

bm (4/5)+=

10

2011/10/25

6

bm (4/5)+=11

cos= p

12

2011/10/25

7

13

14

2011/10/25

8

15

104 106 108

N cycles10

50

100

200

500

1000

JSSC–F1987

20

2011/10/25

9

17

(3/4)+

18

2011/10/25

10

41

25t

Ct

61

25t

Ct

19

20

2011/10/25

11

21

22

2011/10/25

12

23

24

2011/10/25

13

25

26

2011/10/25

14

27

28

2011/10/25

15

29

miwb

1D)(

30

1

改訂指針の内容4~6章

名古屋大学 舘石和雄

4~6章の内容と旧指針からの改訂のポイント

4章 ホットスポット応力による疲労照査ホットスポット応力の求め方をより具体的に記述.

5章 疲労き裂進展解析を用いた疲労照査旧指針での付録から本文へ格上げ.充実.

6章 既設鋼構造物の疲労照査と点検・診断・対策旧指針「8.維持・管理」に加筆・改訂.

1

2

○旧指針をほぼ踏襲.

第4章 ホットスポット応力を用いた疲労照査

4.1 ホットスポット応力

4.1.1 ホットスポット応力の定義ホットスポット応力は, 溶接ビードによる局部的な応力集中を含まず,構造的な応力集中を考慮した溶接止端位置の応力として定義する.

4.1.2 適用範囲ホットスポット応力を用いた疲労照査は,溶接継手の止端部からき裂が発生する疲労損傷を対象とする.

4.1.3 ホットスポット応力の評価ホットスポット応力はひずみ計測,有限要素解析,構造的応力集中の簡易式などにより求める.

2

3

3

4.2 ホットスポット応力をひずみ計測により求める方法

4.2.1 ひずみ計測ホットスポット応力をひずみ計測により求める場合,ひずみ計測位置や計測方法,ひずみゲージの大きさに注意する.

4.2.2 ホットスポット応力の算出ホットスポット応力は,溶接止端位置から0.4t および1.0t(t:板厚)の点における表面での応力からホットスポット位置に線形外挿して求める.

4

○他の手法は解説で紹介.

○2点外挿法を本文に記載.

板表面の応力

ホットスポット応力

t

0.4t1.0t

5

4

○溶接ビードをモデル化することを原則とした.

○要素サイズの考え方も解説に記述.

○ホットスポット応力の外挿位置は0.4tと1.0tと

した.

4.3 ホットスポット応力を有限要素解析で求める方法

4.3.1 解析に用いる要素とモデルホットスポット応力を有限要素解析により求める場合には, 3 次元解析にはソリッド要素を, 2 次元解析には板要素を用い, 溶接ビードもモデル化することを原則とする. また, 要素の大きさや形状に注意する.

4.3.2 ホットスポット応力の算出ホットスポット応力は,4.2.2 項に示す方法により求める.

6

○旧指針を踏襲.

荷重非伝達型十字継手:E等級またはD等級

荷重伝達型十字継手(すみ肉,PP):F等級またはE等級

○IIWの疲労設計曲線とは若干値が異なる.

4.4 ホットスポット応力に対する疲労設計曲線ホットスポット応力を4.2 節または4.3 節に示す方法で評価する場合は,表3.4に示す荷重非伝達型十字継手に対する疲労設計曲線を用いる.ただし着目する部位が荷重伝達型すみ肉溶接あるいは部分溶込み溶接とみなされる継手については,荷重伝達型十字継手に対する疲労設計曲線を用いる.

7

5

○板厚補正,平均応力の補正なども行うことを解説で示した.

4.5 疲労照査疲労照査は, 応力範囲としてホットスポット応力範囲を, 疲労設計曲線として4.4 節に示すものを用い, 3.3 節にしたがって疲労照査を行う.

8

○旧指針を踏襲.ただし,「疲労き裂進展寿命が全疲労寿

命の大半を占める場合」と追加.

第5 章 疲労き裂進展解析を用いた疲労照査

5.1 適用範囲(1)疲労き裂進展解析の適用は, 以下の場合に有効である.

1)き裂状のきずが生じた継手の疲労強度・疲労寿命の評価2)表3.4 の継手の強度等級分類に適合しない継手の疲労強度評

価.ただし, 疲労き裂進展寿命が全疲労寿命の大半を占める場合3)維持・管理における検査周期の設定4)供用中の鋼構造物で疲労き裂が検出された場合の余寿命評価

(2)直応力による疲労き裂進展(モードⅠ)を対象とする.

9

6

○旧指針を踏襲.

○関数 f(ΔK) は5.4節で与える.

5.2 計算方法疲労き裂進展寿命Npの計算は, 疲労き裂進展速度の表示式を, 初期き裂寸法ai から限界き裂寸法ac まで積分することにより求める.

da/dN:疲労き裂進展速度,ΔK:応力拡大係数範囲

c

i

a

ap KfdaN

KfdNda

)(

)(

10

○きずをき裂に置換える方法はWES2805:2008に準拠.

5.3 き裂のモデル化5.3.1 初期き裂非破壊検査で検出されたきずがき裂状のものでないことが確認できない

場合には,それをき裂とみなす.対象きずは,割れ,融合不良,溶込み不良,アンダーカット,スラグ巻込み,ブローホールの6 種とする.きずは,内部貫通き裂,片側貫通き裂,楕円形埋没き裂,半楕円形表面き裂, 1/4 楕円形表面き裂のいずれかに置換え,初期き裂とする.

11

7

○止端き裂の初期き裂長の推奨値を解説に記載.

(つづき)きずが発見されない継手で止端破壊を想定して疲労き裂進展解析によ

り疲労強度・疲労寿命を評価する場合は,応力集中部の溶接止端に適切な形状・寸法の初期き裂を想定する. また, ルート破壊を想定する場合は,未溶着部を初期き裂とする.

きずを含まない溶接止端からの破壊を想定して,疲労き裂進展解析により疲労強度・疲労寿命を評価する場合は,初期き裂として,溶接止端に深さ0.1~0.2mm 程度の半円き裂を用いることを推奨する.

12

○旧指針を踏襲.

5.3.2 限界き裂限界き裂は,繰返し荷重により疲労き裂が進展し,以下に示す他の破壊モードに移行するときの寸法のき裂として定義する.(1)脆性破壊(2)延性破壊(3)部材の全断面降伏(4)き裂の板厚貫通

13

8

5.4 疲労き裂進展速度表示式疲労き裂進展速度は次式で表示する.

C, n: 定数, ΔKth: 下限界応力拡大係数範囲ΔK ΔKth では, da/dN=0 である.単位としてda/dNにmm/cycle,ΔK にN/mm3/2 を使用する場合,定数C,n および下限界応力拡大係数範囲ΔKth は, 表5.1 に示す値とする.

通常の計算では, 最安全設計曲線のC,n,ΔKth を用いる. 平均的な疲労寿命あるいは疲労強度を求める場合には, 平均設計曲線のC,n,ΔKth を用いる. 式(5.2)の適用限界は,ΔK = 3.0×103 N/mm3/2 である.

)( nth

n KKCdNda

C n ΔKth最安全設計曲線 2.0×10-12 2.75 63平均設計曲線 1.1×10-12 2.75 76

表5.1 疲労き裂進展の材料特性

14

○過去の膨大なデータを再整理した結果,

旧指針を踏襲することとした.

○単位を MPa√m からN/mm3/2 に変更.

(MPav m =31.6 N/mm3/2)

15

9

5.5 応力拡大係数範囲

5.5.1 き裂の形状・寸法 → 略

5.5.2 応力分布 → 略

5.5.3 応力拡大係数範囲応力拡大係数範囲ΔK は次式から求める.

Ft : 軸方向応力に対する形状補正係数Fb : 曲げ応力に対する形状補正係数a: き裂寸法

形状補正係数Ft,Fb は, き裂形状により付録に示す係数を用いることを原則とする. その他のΔK の表示式や,FEM 解析等により直接計算し

た値を用いてもよい.

aFFK bbtt )(

16

○付録に代表的なき裂に対する解析解,簡易式を示している.

17

10

○等価応力拡大係数範囲を定義.指数は2.75.

5.6 疲労き裂進展の解析方法

5.6.1 進展解析の対象となるき裂面 → 略5.6.2 き裂進展式の積分 → 略

5.6.3 変動荷重下でのき裂進展量の計算変動荷重下では, 各負荷サイクルで逐次ΔKを計算することにより, き

裂進展解析を行う.また,以下に示す等価応力拡大係数範囲ΔKeq をΔKに代えてき裂進展解析を行ってもよい.負荷サイクル数N( =Σni ) で構成されるブロック荷重が, 繰返し反復される変動応力を考える.各ブロックのステップ数をk とし,各ステップでの応力拡大係数範囲と負荷サイクル数が(ΔK1, n1 ), (ΔK2, n2 ), ... ,(ΔKk, nk )である場合,ΔKeq は次式で与えられる.

ただし,ΔKi<ΔKth の場合には,ni=0 としてよい.

n

k

i i

k

i ini

eqn

nKK

1

1

1

18

○安全係数の指数は2.75とした.

5.7 疲労照査疲労照査は疲労き裂進展寿命および安全係数を用いて行う.疲労照査では,式(5.5)が成り立つことを確かめる.

(5.5)

L: 設計寿命Lp:Np に対応する疲労寿命n: 疲労き裂進展速度表示式の指数(2.75)γb,γw,γi: 安全係数

niwb

pLL)(

19

11

○既設構造物では応力範囲頻度分布を測定することが可

能であることを意識した条文.

第6章 既設鋼構造物の疲労照査と点検・診断・対策

6.1 疲労照査既設鋼構造物の疲労照査は, 想定寿命を定めた上で, 現時点までに

対象部位が受けた応力範囲の頻度分布と今後受けるであろう応力範囲の頻度分布を適切な方法で求め, 3.3 節にしたがって行う.

20

○旧指針をほぼ踏襲

6.2 点検6.2.1 点検計画疲労を対象とした点検に関する指針等を必要に応じて作成することが望

ましい.6.2.2 点検周期疲労照査およびこれまでの経験により疲労き裂が発生しやすいと判断さ

れる部位については, 供用期間中に点検計画にしたがって定期的な点検を行う.疲労き裂の有無を確認するための点検周期は,想定した安全レベルを

確保できるように設定する. その際, 破壊力学を用いた疲労き裂進展解析が有効である.荷重やその頻度が設計時に想定したものと著しく異なる場合には,その

時点で新たに疲労照査を行い,それを点検周期に反映させる必要がある.また,部材の点検周期はその破壊が構造物の機能や安全性に及ぼす影響も考慮して設定するのが望ましい.6.2.3 点検方法点検が必要と判断された箇所は, 適切な方法で点検を行う.

21

12

○旧指針をほぼ踏襲

○「経過観察」を追記

6.3 診断点検によって疲労き裂が検出された場合には,疲労設計で想定した安

全性レベルを確保し,き裂への対策を適切なものとするために,検出されたき裂が構造物の安全性や機能に及ぼす影響を診断する.その際に,破壊力学解析や疲労き裂進展解析を用いることは有効である.場合によっては, 経過観察という診断が可能な場合もある.診断は主として以下の項目について行う.1)き裂の発生した部位が破壊した場合の構造物の安全性と機能2)き裂の進展挙動(進展方向および進展速度)3)限界き裂長4)その他

22

○「予防対策」を追記

○「緊急対策」,「応急対策」,「恒久対策」の概念を追記

6.4 対策6.4.1 疲労き裂発生前の対策予防対策は,疲労き裂が発生する可能性が高いと考えられる部位に対

して,疲労き裂の発生を未然に防ぐために行う.6.4.2 疲労き裂発生後の対策疲労き裂発生後の対策は,緊急対策,応急対策および恒久対策に分け

られる.緊急対策は,発見された疲労き裂が重大事故の原因となるような場合の対策として実施される. 応急対策は疲労き裂のさらなる進展や脆性破壊が生じないために実施される.恒久対策である補修は,疲労き裂が発生する前の状態に回復すること,補強は疲労き裂が発生する前よりも疲労耐久性を向上させることを目的として実施される.補修・補強を行う際には, 疲労き裂の発生原因について十分に検討す

るとともに,き裂を放置した場合に予想される挙動などを考慮しなければならない.補修・補強を行う場合には, 補修・補強後の構造を対象とした疲労照査を行う.

23

1

H23.11.17

設計例(1) 道路橋

三井造船 内田

2

道路橋の設計例

A-1:3径間連続非合成4主I桁橋(多主桁)

A-2:3径間連続合成2主I桁橋(少数主桁)

A-3:3径間連続非合成2主箱桁橋

2

3

1.設計条件構造形式:3径間連続合成2主I桁橋(少数主桁)

設計荷重:B活荷重

構造概要:支間長40.0m+50.0m+40.0m(直橋)

設計寿命:100年

計画交通量:1方向1車線あたりの日大型車設計交通量:3,000台

構造設計の適用示方書:

・道路橋示方書・同解説(日本道路協会H14.3.)・鋼道路橋設計便覧(日本道路協会S55.8)

・鋼道路橋設計ガイドライン(案)(国土交通省 H10.5.)疲労設計の適用示方書

・JSSC疲労設計指針改定版

※本例では,主桁のいくつかの断面にのみ着目し照査

4

2.一般図

3

5

3.荷重(1)代表荷重単位

T荷重(道路橋示方書)

6

3.荷重◎車両の同時載荷の影響

同時載荷係数:γT2 (鋼道路橋の疲労設計指針)

影響線が正負交番する3径間連続ばりのため,同時載荷係数γT2=1.0

◎動的影響 衝撃係数:if (鋼道路橋の疲労設計指針)

道路橋示方書の定める衝撃係数の値の1/2を考慮する.if=10/(50+L)

L:衝撃係数を求めるときの支間長(m)本橋梁では

A1~P1間,P2~A2間:L=40m,if=0.11P1~P2間 :L=50m,if=0.10

4

7

3.荷重(2)最大荷重単位代表荷重単位に鋼道路橋の疲労設計指針に規定され

るT荷重補正係数γT1を乗じた値

T活荷重補正係数:γT1:実測された最大重量の大きさを考慮

γT1=log(LB1)+1.5 ここに、2.0=γT1=3.0LB1:着目する部材位置に対する影響線の基線長(影響線波形の縦距

が0から0の区間の長さ)のうち縦距が最大のもの(m)設計対象橋梁では,

A1~P1間、P2~A2間:LB1=40m,log(LB1)+1.5=3.10となり、γT1=3.0P1~P2間 :LB1=50m,log(LB1)+1.5=3.20となり、γT1=3.0

(3)設計計算応力補正係数α=1.0(鋼道路橋の疲労設計指針 構造解析係数)

8

<補足>

T荷重補正係数γT1 2.02.0≦≦γγT1T1≦≦3.03.0頻度補正係数γn 1/ (γn)1/m=1/(0.030.03)1/3=3.223.22

鋼道路橋の疲労設計指針

①T荷重にT荷重補正係数を乗じた最大荷重単

位で一定振幅応力に対する応力範囲の打切り限界を用いた疲労照査(簡便な疲労照査)

②最大荷重単位を照査荷重とし、大型車が通過する頻度を考慮するための頻度補正係数γnを乗じて累積損傷を考慮した疲労照査

満足しなかった場合

5

9

4.疲労照査の手順

NO

※継手の変更、継手位置の変更、構造の変更等の対処をし、適切なところからフローに従い再検討を行う

疲労照査の終了

NO再検討※

YES

YES

累積疲労損傷比を用いた疲労照査(3.3.4)

応力範囲頻度分布の算出Δσi,j,ni,j

簡便な疲労照査(3.3.2)

最大応力範囲の算出Δσmax

最大荷重単位(T荷重補正係数γT1)同時載荷係数γT2動的効果(衝撃係数if)設計計算応力補正係数α

(γb・γw・γi)Δσmax = Δσce・CR・Ct(3.10)

安全係数γb・γw・γi平均応力補正係数CR板厚補正係数Ct

一定振幅応力に対する応力範囲の打ち切り限界

Δσce継手の強度等級A,B,…,I,

代表荷重単位同時載荷係数γT2動的効果(衝撃係数if)設計計算応力補正係数α設計繰返し数(日大型車交通量,設計寿命)

(γb・γw・γi)m・D = 1(3.14)

安全係数γb・γw・γi

2×106回基本疲労強度Δσf 継手の強度等級A,B,…,I,

累積疲労損傷比の計算D=Σ(σi,jm・ni,j)/{2×106・σfm)・(CR・Ct)m}

平均応力補正係数CR板厚補正係数Ct疲労設計曲線の傾きを表すための定数m

10

5.疲労照査少数主桁橋の主桁に用いられる代表的な継手

横突合せ継手

スタッドを溶接した継手

面外ガセット溶接継手

荷重非伝達型十字溶接継手

縦方向溶接継手(すみ肉)

縦方向溶接継手(スカラップを含む)

6

11

5.1 疲労照査位置

270

024

750

75024

267

6

C4

J3

13

540

2

1 1

270

054

750

750

29

267

117

P1

C9

2700

24

750

750

24

267

6

13

100

100

0

658

.513

25687.

5

6

55

3 344

J3近傍 P1支点上

中央径間中央(C9)

7 6 7

850

⑦ フランジ首溶接部 D(100)縦方向溶接継手-すみ肉溶接継手

④,⑤ 横桁連結ガセット端 G(50)ガセット溶接継手-面外ガセット-すみ肉溶接継手(l>100mm)

⑥ 垂直補剛材下端 E(80)十字溶接継手-荷重非伝達型-非仕上げのすみ肉溶接継手

② 主桁ウェブスカラップ G(50)縦方向溶接継手-スカラップを含む溶接継手-非仕上げ

③ 垂直補剛材フランジ溶接部 E(80)十字溶接継手-荷重非伝達型-非仕上げのすみ肉溶接継手

照査点 照査位置疲労強度等級

(N/mm2)継手の種類

① 水平補剛材端 G(50)ガセット溶接継手-面外ガセット-すみ肉溶接継手(l>100mm)

J3近傍(側径間交番部)

中央径間中央(C9)

P1支点上

12

5.2 断面力および応力範囲の算定(1)断面力の算定

G1 G2

5,500

10,700

600 9,500

2,600 2,600

6003,500 3,500

第1車線 第2車線

875875

1,750 875875

875875

1,750 875875

◎格子モデル・解析コード:

MSC NASTRAN 2008・使用要素:3次元梁要素・合成桁の考え方

床版の有効幅分を主桁剛性へ付加

7

13

5.2 断面力および応力範囲の算定24

2676

24

750

750

24

2676

24

750

5177.2300

104

合成前 合成後

2676

750

750

合成前 合成後

24

2676

24

750

750

24

2676

24

750

300

合成前 合成後

54

29

2676

750

54

29

4830

104

50200 50

φ22 ctc.100

5136.1

104

J3近傍(側径間交番部) 中央径間中央(C9)P1支点上

(2)応力範囲の算出

◎各照査点の断面

・WEB付きの継手:照査点①,④,⑤,⑥⇒直応力とせん断応力が同時に作用する継手

・照査点②(スカラップ溶接継手)⇒主桁ウェブに生じるせん断応力を考慮

14

5.2 断面力および応力範囲の算定(2)応力範囲の算出

◎計算結果(第一車線通過時)

○2つの応力振幅のうち、最大の応力範囲に着目○せん断応力・算出時は断面内の分布を考慮(平均せん断応力との差は微小)。

・このケースではせん断応力の変動は小さい。

① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦曲げモーメントMD1 4.32E+09 2.14E+09 -1.15E+10 -1.15E+10 5.51E+09 5.51E+09 5.51E+09

せん断力QD1 -3.80E+05 -6.70E+05 - -9.60E+05 0.00E+00 0.00E+00 -曲げモーメントMD2 7.32E+08 4.25E+08 -1.56E+09 -1.56E+09 9.83E+08 9.83E+08 9.83E+08

せん断力QD2 -5.32E+04 -9.70E+04 - -1.40E+05 0.00E+00 0.00E+00 -曲げモーメントMT -1.30E+09 -1.46E+09 -5.79E+06 -1.10E+09 -4.29E+08 -4.29E+08 -4.29E+08

せん 断力QT 6.23E+04 6.23E+04 - -1.44E+05 -3.00E+04 -3.00E+04 -曲げモーメントMT 3.89E+09 3.51E+09 3.19E+08 3.19E+08 2.91E+09 2.91E+09 2.91E+09

せん 断力QT 8.35E+04 5.96E+04 - 1.16E+04 -1.31E+05 -1.31E+05 -直応力σ 34.8 20.1 189.2 95.9 25.4 85.0 91.6

せん断応力τ -10.6 -15.1 - -34.3 -0.7 -0.5 -直応力σ 81.3 78.0 195.5 94.7 48.4 121.5 129.6

せん断応力τ -10.1 -15.1 - -30.4 -3.3 -2.2 -

照 査 点

断面力(M:N・mm,Q:N)

合成前死荷重

合成後死荷重

活荷重(補正、衝撃考慮)

設計応力最小時

設計応力最大時

応力(N/mm2) 死荷重+活荷重設計応力最小時

設計応力最大時

8

15

5.3 疲労照査(1)簡便な疲労照査

◎照査点①,④,⑤,⑥(主桁ウェブ付)

・最大,あるいは最小主応力のうち応力範囲が卓越した方が評価応力

σp:主応力,σm:直応力,τ:せん断応力

22

22mm

p

16

5.3 疲労照査(1)簡便な疲労照査

◎照査点②(スカラップ溶接継手)

◎照査点③,⑦

Δσ=Δσm+3/4Δτ

Δσm:直応力範囲,Δτ:主桁ウェブのせん断応力範囲

直応力範囲Δσm が評価応力

9

17

5.3 疲労照査(1)簡便な疲労照査

◎疲労照査結果

①水平補剛材端(面外ガセット)②主桁ウェブスカラップ部

① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦

1 1 1 1 1 1 1

44.8 57.8 6.3 3.3 23.2 36.5 38.0

32 32 62 32 32 62 84

1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0

1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0

γb (冗長度係数) 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0

γi (検査係数) 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0

γw (重要度係数) 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0

NG NG OK OK OK OK OK

照 査 点

設計計算応力補正係数α

設計応力の最大応力範囲Δσmax

応力範囲の打ち切り限界(一定振幅応力)

平均応力補正係数CR

板厚補正係数Ct

安全係数

簡便な照査

が照査を満足せず

累積疲労損傷比を用いた疲労照査

Δσ1,1Δσ1,2 Δσ2,2

Δσ2,1

18

5.3 疲労照査(2)累積疲労損傷比を用いた疲労照査

◎応力範囲頻度分布の算出Δσi,j i:車線番号

(当該橋梁では=1,2)j:疲労設計荷重一組の移動

載荷によって得られる応力範囲の番号

照査点 ① ②

Δσ1,1 15.5 19.0

Δσ1,2 0.8 1.2

Δσ2,1 3.9 5.1

Δσ2,2 0.3 0.4

10

19

5.3 疲労照査(2)累積疲労損傷比を用いた疲労照査

◎疲労照査結果

①,②供に照査を満足せず

ディテールの改良

① ②

1 1G G

50.0 50.0

1.E+08 1.E+08

1.0 1.0

1.0 1.0

1.66 3.07γb (冗長度係数) 1.0 1.0γi (検査係数) 1.0 1.0γw (重要度係数) 1.0 1.0

NG NG

照 査 点

設計計算応力補正係数α

疲労強度等級

2×106回基本疲労強度Δσf(N/mm2)

設計繰返し数nt

平均応力補正係数CR

板厚補正係数Ct

累積疲労損傷比

安全係数

累積疲労損傷比を用いた疲労照査

20

5.3 疲労照査(2)累積疲労損傷比を用いた疲労照査

◎ディテール改良(止端仕上げ)後の疲労照査結果

②(スカラップ溶接継手)は照査を満足せず

① ②1 1F F

65.0 65.0

1.E+08 1.E+08

1.0 1.0

1.0 1.0

0.75 1.40γb 1.0 1.0γi 1.0 1.0γw 1.0 1.0

OK NG

照 査 点

設計計算応力補正係数α

疲労強度等級

2×106回基本疲労強度Δσf(N/mm2)

設計繰返し数nt

平均応力補正係数CR

板厚補正係数Ct

累積疲労損傷比

安全係数

累積疲労損傷比を用いた疲労照査

11

21

6.まとめ・今回行った疲労照査では,主桁ウェブの水平補剛材とスカラップを含む溶接継手について,簡便な疲労照査,累積疲労損傷比を用いた疲労照査を満足しなかった。

・主桁ウェブの水平補剛材部については止端仕上げを行うことにより累積疲労損傷比を用いた疲労照査を満足した。

・主桁ウェブのスカラップを含む溶接継手に対しては疲労強度向上が確認された新しいスカラップディテールへの変更やスカラップ部の埋戻しの他,溶接継手の高力ボルト継手へ変更等から適切な対策を選択する必要がある。

22

ご静聴ありがとうございました

2011/10/31

1

1

設計例(2) 海洋構造物(大型浮体空港試設計モデル)

三井造船 福岡

H23.11.17

2

浮体式海上空港の試設計モデル

波浪条件:東京灯標における長期観測データ

東京湾奥水深:20m防 波 堤:なし

波浪条件:東京灯標における長期観測データ

設計寿命:100年

2011/10/31

2

3

浮体式海上空港の概要

2本の滑走路

駐機場

旅客ターミナルビル

• 構造形式:鋼製箱型(ポンツーンタイプ)構造• 全長:4770m x 全幅:1714m x 深さ:6m,喫水:約1m• 曲げ剛性:8.48x107kN-m2/m (単位幅あたり)

4

浮体の構造様式スチフナで補強された上甲板,底外板と

それを支える縦横の隔壁からなる箱型構造

2011/11/1

1

5

代表断面構造と疲労照査対象部材

250x90x10/15t=126

000

t=16

t=17.5A-A断面

A

A

①上甲板付きスチフナの面材と横隔壁付きチフナの面外ガセット溶接継手

②上甲板と横隔壁の隅肉溶接継手③上甲板の

突合せ溶接継手

④底外板の洋上接合部

底外板

横隔壁

上甲板

750

6

荷重単位

上甲板と底板の溶接継手に作用する

曲げモーメントによる応力の繰り返し

M:曲げモーメント

Z:断面係数、上甲板:0.125、底板:0.151m3/m

ZM

2011/10/31

4

7

①超大型浮体の規則波中の弾性応答解析により波振幅1mあたりの応力振幅(応答関数)を算定する.

②応力の応答関数と波スペクトルより,短期の海象における応力の応答スペクトルが得られる.

③1つの短期海象(有義波高Hs、有義波周期Ts、波の主方向θs)における応力範囲の頻度分布はレーレー分布で近似することにより算定する.

④長期の波浪データに基づいて個々の短期海象における応力範囲の超過確率(1-確率分布)を足し合わせることにより、長期の応力範囲の確率分布を算定する.

応力範囲の頻度分布の算定手順

8

応力範囲の頻度分布の算定手順

① 規則波中の弾性応答解析

波振幅1mあたりの応力振幅:TR(T,θ)波スペクトル:Shh

③ 短期海象下の応力範囲の確率分布レーレー分布:Fs 長期波浪データ

ps(Hs,j,Ts,k,θs,l)

長期の応力範囲の繰り返し頻度ni

④ 長期の応力範囲の確率分布:FL

② 応答スペクトル:Sσσ

不規則に変動する波浪による応力とその繰返し数は確率論的手法により算定する.

2011/10/31

5

9

規則波中の弾性応答超大型浮体の規則波中の弾性応答解析により波振幅1mあたりの応力振幅を算定する

幅方向の曲げ応力

0

100

200

300

400

0 4 8 12 16波周期::T(秒)

TR

:2σ

a/H

 [M

Pa/

m]

θ= 0° 15° 30°45° 60° 75°90°

θ

波長さ方向の曲げ応力

0

100

200

300

0 4 8 12 16波周期::T(秒)

TR

:2σ

a/H

 [M

Pa/

m]

θ= 0° 15° 30°45° 60° 75°90°

θ

上甲板の曲げ応力振幅

波振

幅1m

あた

りの

応力

振幅

波振

幅1m

あた

りの

応力

振幅

10

短期海象を表す波スペクトル

10.0,08.0,0.205.1:

,/1,

)]ln(01915.0094.1[)9.1(185.00336.0230.0

0624.0])(25.1exp[)(

21

2

1

1

]2/)1(exp[4542 22

)ピーク周期( sp

p

pp

fTppshh

TTff

Tff

fTfTHfS p

JONSWAPスペクトル

0.0

0.2

0.4

0.6

0.8

1.0

0 0.1 0.2

f (1/sec)

S(f)/

H1/32

-0.5

-0.4

-0.3

-0.2

-0.1

0.0

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

0.0 20.0 40.0 60.0 80.0 100.0 120.0 140.0 160.0 180.0 200.0

t (秒)

η(m

)

1/TP

短期海象(有義波高Hs、有義波周期Ts、波の主方向θs)

2011/10/31

6

11

波の方向分布

20

22)(cos

38)( 4

S

SSG

- /2 /2

方向分布関数浮体

θ

θ-θS

主方向θsから±90°の範囲に分布

12

短期海象下の応力範囲の頻度分布

応力の応答関数(波振幅1mあたりの応力振幅)と波スペクトルより,短期の海象における応力の応答スペクトルが得られる.

応答スペクトル面積より応力の標準偏差が得られる.

応力範囲の頻度分布はレーレー分布で近似することにより算定する.

)()(),(),,|,( 2shhsss GfSfTRTHfS

dfdTHfSR sss0

2 ),,|,(

2,, )

2(

21exp1),,|(

RTHF ksjsS

Rs2

2011/10/31

7

13

東京灯標で観測された波高出現頻度表

有義波高1.375m有義波周期3.5秒の短期海象

,,,,

,,,,,,,, ),,(:

kjkj

kjsksjsskjs m

mTHpp発現確率,,: kjm波の発現個数

14

東京灯標で観測された波高出現頻度表

有義波高1.375m主方向東南東の短期海象

,,,,

,,,,,,,, ),,(:

kjkj

kjsksjsskjs m

mTHpp発現確率,,: kjm波の発現個数

2011/10/31

8

15

長期の応力範囲の確率分布の算定

現個数波浪頻度表における発:

),,(

,,

,,,,

,,,,,,,,

kj

kjkj

kjsksjsskjs

m

mm

THpp

,,,,,)(11)(

kjkjssL pFF

長期の波浪データに基づいて個々の短期海象における応力範囲の超過確率(1-確率分布)を足し合わせることにより、長期の応力範囲の確率分布を算定する.

幅応力範囲の分割ピッチ:

)2

()2

(

d

dFdFnn iLiLTi

1E+0 1E+1 1E+2 1E+3 1E+4 1E+5 1E+6 1E+7 1E+8 1E+9

超過繰返し数応

力範

囲 

 (N

/mm

2 )

in

)(LFi

16

25462

13728

7247

3679

1790

837

378

166

71

29

12

5

2

1481039

4176587

123820

49916

420446

993694784

1.E+0

1.E+1

1.E+2

1.E+3

1.E+4

1.E+5

1.E+6

1.E+7

1.E+8

1.E+9

6.8

20.3

33.9

47.4

61.0

74.6

88.1

101.7

115.2

128.8

142.3

155.9

169.4

183.0

196.5

210.1

223.7

237.2

250.8

⊿σi:応力範囲 (MPa)

ni:頻度

長期の応力範囲の繰り返し数

総繰返し数:109回 (200年相当)

2011/10/31

9

17

疲労照査手順

18

疲労損傷比の算出

iai

tRmf

im

i CCn

D

,

6

2102

)(

iwbD 1

疲労損傷比の算出

許容疲労損傷比

γb:冗長度係数

γw:検査係数

γi:重要度係数

CR :平均応力の影響係数

Ct :板厚の影響係数

2011/10/31

10

19

疲労損傷比の算出疲 労 強 度 等 級 F

2 x 1 0 6 回 基 本 疲 労 強 度 ⊿ σ f 6 5 M P a

m 3

変 動 振 幅 応 力 に 対 す る

応 力 範 囲 の 打 切 り 限 界

2 1 M P a

設 計 総 繰 返 し 数 1 0 9 回

設 計 計 算 応 力 補 正 係 数 : α 1 . 0

平 均 応 力 の 影 響 係 数 : C R 1 . 0

板 厚 の 影 響 係 数 : C t 1 . 0

冗 長 度 係 数 : γ b 1 . 0

検 査 係 数 : γ w 1 . 0

重 要 度 係 数 : γ i 1 . 0

20

応力範囲 繰返し数 ⊿σiに対する疲労寿命 疲労損傷比

⊿σi (MPa) ni 回 Ni 回 Di

6.8 993,694,784 8 0.00020.3 4,176,587 8 0.00033.9 1,481,039 18,521,821 0.08047.4 420,446 5,632,019 0.07561.0 123,820 2,523,052 0.04974.6 49,916 1,355,812 0.03788.1 25,462 814,052 0.031

101.7 13,728 527,390 0.026115.2 7,247 361,286 0.020128.8 3,679 258,337 0.014142.3 1,790 191,117 0.009155.9 837 145,359 0.006169.4 378 113,128 0.003183.0 166 89,769 0.002196.5 71 72,426 0.001210.1 29 59,280 0.000

223.7 12 49,134 0.000

237.2 5 41,177 0.000

250.8 2 34,851 0.000

累積繰返し数 999,999,997 累積疲労損傷比 0.354

2011/10/31

11

21

疲労強度照査結果

疲労損傷比 検討対象箇所

強度

等級 長さ方向 幅方向

①上甲板付きスチフナと横

隔壁付きスチフナの面外

ガセット溶接継手

F 0.35 -

②上甲板と横隔壁の隅肉溶

接継手 E 0.16 0.10

③上甲板の突合せ溶接継手 D 0.06 0.04

④底外板の洋上接合部の裏

当金付き片面溶接 F 0.19 0.13

1

設計例 (3)

天井クレーン走行桁

IHI運搬機械株式会社 蔦森正憲

2

1. 設計条件

2. 一般寸法図

3. 荷重

4. 疲労照査フローチャート

5. 疲労照査

目 次

2

3

1. 設計条件(1)

図 1 疲労強度照査の対象とした天井クレーン走行桁

製鉄所内 天井クレーン

照査対象天井クレーン走行桁

4

1. 設計条件(2)

(1)構造形式: フランジ・ウェブのI型プレートガーダー

(2)設計荷重: 天井クレーンから与えられる輪荷重

(3)設計寿命: 40年

(4)構造設計基準 : 日本建築学会「鋼構造設計基準」

3

5

2. 一般寸法図

図 2 疲労照査対象天井クレーン走行桁

A

B

A

(補助ガーダー)

(走行桁)

B

走行桁

補助ガーダー(バックガーダー)

6

3. 荷 重

クレーンの車輪配置

(1)天井クレーン輪荷重

P =200t×9.8

12(両側車輪数)+

(170t+24t)×9.8×29m32m×6(片側車輪数)

170t

24t(最大吊り荷重)

ガーダー(200t)

3000 2900032000

= 450 kN/輪

走行桁

輪荷重 P×6

4

7

3. 荷 重

(2)疲労設計荷重(吊り荷重)の種類

1日当たりの吊り上げ回数(平均)

鋼塊1本の重量(kN)

36.0 87.2

49.5 106.8

7.2 138.2

24.3 181.3

4.5 213.6

17.2 235.2

8

3. 荷 重

クレーン稼動シミュレーション例

(3)荷重単位: 下記3種類の稼動単位に分類Case1 挿入作業:鋼塊台車からピットへ鋼塊の移動

Case2 抽出作業:ピットからバギー車への鋼塊の移動

Case3 通 過:空荷での通過

平均69.4回/日

平均69.4回/日

平均17.3回/日

着目断面位置

5

9

3. 荷 重

9.0×105

回数

00 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1.0

⊿σ/⊿σmax

(4) 応力範囲頻度分布回数(40年間):ni ⊿σ/⊿σmax

153900 0.05

62700 0.15

62700 0.25

57000 0.35

79800 0.45

684000 0.55

843600 0.65

205200 0.75

68400 0.85

51300 0.95

合計 2.27E+06

3 3 /})/{(maxmax iie nnσσσσ

4.5×105

等価応力範囲算出式

(40年間)

10

4. 疲労照査フローチャート静的設計

建築限界天井クレーン 定格荷重天井クレーン 車輪配置

定格最大吊り荷重を接近限界で吊った天井クレーンの輪荷重を積載

最大曲げモーメント Mmax、 最大せん断力 Qmax

断面決定 板厚補正係数 Ct

① 簡便な疲労照査

疲労照査対象部位の選定

疲労照査対象部位の継手等級

応力範囲の打切り限界(一定)⊿σce

平均応力補正係数CR

最大応力範囲 ⊿σmax

詳細な疲労照査不要

疲労照査対象部位の応力範囲の打切り限界(変動)⊿σve

② 等価応力範囲を用いた疲労照査

応力範囲頻度分布応力範囲 ⊿σi繰返し回数 ni

天井クレーンの稼動シミュレーション吊り荷重

走行、横行方向と回数

等価応力範囲 ⊿σe

設計応力範囲 ⊿σd

疲労強度 ⊿σR

O.K.

照査終了

断面変更板厚増厚継手ディテール変更

等価応力範囲を用いた疲労照査の判定

(γb、γw、γi)⊿σd≦ ⊿σR

詳細な疲労照査の要否の判定(γb、γw、γi)⊿σmax≦ CR・Ct・⊿σce

a

a

安全係数の設定 γb、 γw、 γi

最大応力 σmax、 最小応力 σmin

6

11

5. 疲労照査

5.1 疲労強度照査部位5.2 強度等級5.3 断面寸法および断面力の算定5.4 疲労照査(等価応力)

1)安全係数、補正係数について2)等価応力範囲3)疲労照査

12

5.1 疲労強度照査部位

亀裂

亀裂

走行桁

②下フランジと垂直補助材の溶接部

①垂直補助材下部の溶接部

7

13

5.2 強度等級

照査位置 強度等級 継手の種類

① E (80 N/mm2)荷重非伝達型十字溶接継手

非仕上げのすみ肉継手

② E (80 N/mm2)荷重非伝達型十字溶接継手

非仕上げのすみ肉継手

継手の強度等級

14

5.3 断面寸法および断面力の算定

疲労強度照査対象桁の寸法諸元

Z断面性能

M曲げモーメント直応力

( )

W

Y

Aウェブ断面積

Fせん断力 せん断応力 )(

②103N/mm2

①88N/mm2

直応力(曲げ応力)分布

最大曲げ応力

8

15

a)安全係数

γb(冗長度係数): 1.0γw(重要度係数): 1.1γi(検査係数): 1.1

b)平均応力の影響

クレーン走行桁は単純桁であり, ここでは引張り側を照査対象とすることから, 平均応力正

の領域となる。 そのため, 疲労強度の補正は行わない。

c)板厚の影響

引張りフランジの板厚が55mm(>25mm)であるが, 付加板厚が12mm(≦12mm)のため, 疲労強度の補正は行わない。

十字継手の存在するウェブは, 板厚が19mm(<25mm)であることから, 疲労強度の補正

は行わない。

5.4 疲労照査

1)安全係数、補正係数について

16

2)等価応力範囲 (照査位置:①)

照査する応力 直応力 せん断応力 組合せ(主応力)

設計計算応力補正係数α 1.0 1.0 1.0

応 力

最 大 σmax= 88 N/mm2 τmax= 28 N/mm

2 σPmax= 96 N/mm2

最 小 σmin= 3 N/mm2 τmin= 2 N/mm

2 σPmin= 4 N/mm2

応力範囲- -

⊿σPi =92 N/mm2

繰返し数ni 2.27×106

応力範囲の打切り限界変動応力

- - ⊿σPve= 29 N/mm2

等価応力範囲 - - ⊿σPe= 57 N/mm2

5.4 疲労照査

9

17

照査する応力 直応力

設計計算応力補正係数α 1.0

応 力最 大 σmax= 103 N/mm

2

最 小 σmin= 3 N/mm2

応力範囲 ⊿σi= 100 N/mm2

繰返し数ni 2.27×106

応力範囲の打切り限界変動応力

⊿σve= 29 N/mm2

等価応力範囲 ⊿σe= 61 N/mm2

5.4 疲労照査

2)等価応力範囲 (照査位置:②)

18

5.4 疲労照査

3)疲労照査 (照査位置:①)

照査する応力 組合せ(主応力) 備 考

疲労強度等級 E

組み合わせ応力の場合には,主応力方向と溶接の角度を用いて応力の大きさを補正するが,ここでは回し溶接があるため,この

補正を行っていない。

2×106回基本疲労強度 ⊿σPf= 80 N/mm2

設計繰返し回数nt 2.27×106

平均応力補正係数CR 1.0

板厚補正係数Ct 1.0

安全係数γb, γw, γi 1.0×1.1×1.1

設計応力範囲α = 1.0

⊿σPd= 57 N/mm2

疲労強度 ⊿σPR= 77 N/mm2

疲労照査γb・γw・γi・⊿σPd= 69 N/mm

2

≦ 77 N/mm2= ⊿σPR

OK.判 定

10

19

照査する応力 直応力

疲労強度等級 E

2×106回基本疲労強度 ⊿σf= 80 N/mm2

設計繰返し回数nt 2.27×106

平均応力補正係数CR 1.0

板厚補正係数Ct 1.0

安全係数γb, γw, γi 1.0×1.1×1.1

設計応力範囲α = 1.0

⊿σd= 61N/mm2

疲労強度 ⊿σR= 77 N/mm2

疲労照査γb・γw・γi・⊿σd = 74 N/mm2

≦ 77 N/mm2 = ⊿σR

判 定 OK.

5.4 疲労照査

3)疲労照査 (照査位置:②)

20

5.4 疲労照査

以上の疲労照査より、本天井クレーン走行桁は耐用年数40年に対し、安全であると結論される。