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目 次

1.日・サウジ・ビジョン2030 2.0について ……………………………………………………2

 (1)日・サウジ・ビジョン2030 2.0の概要 …………………………………………………… 2

 (2)日・サウジ・ビジョン2030 2.0の4つの特徴 …………………………………………… 3

    ① 包括的アプローチ ………………………………………………………………………… 3

    ② 官民一体の取り組み ……………………………………………………………………… 3

    ③ 人材開発へのコミットメント …………………………………………………………… 4

    ④ ビジネス促進措置(エネイブラー)……………………………………………………… 4

 (3)日・サウジ・ビジョン2030 2.0の歴史 …………………………………………………… 4

2.日・サウジ・ビジョン2030 2.0プロジェクト ………………………………………………5

 (1) ビジネス促進措置(エネイブラー) ………………………………………………………… 5

 (2)競争力のある産業 …………………………………………………………………………… 8

 (3)エネルギー・環境 ………………………………………………………………………… 11

 (4)質の高いインフラ ………………………………………………………………………… 13

 (5)エンターテイメント ……………………………………………………………………… 16

 (6)医療・ヘルスケア ………………………………………………………………………… 18

 (7)農業・食品 ………………………………………………………………………………… 19

 (8)投資・金融 ………………………………………………………………………………… 20

 (9)中小企業・人材育成 ……………………………………………………………………… 21

 (10)文化・スポーツ・教育 …………………………………………………………………… 22

 (11)その他の事業 ……………………………………………………………………………… 23

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1.日・サウジ・ビジョン2030 2.0について(1)日・サウジ・ビジョン2030 2.0の概要 1955年の国交樹立以来、サウジアラビアと日本は長年にわたる良好なパートナーシップを築いてきました。

 特に石油は両国の関係の中心を占め、これまでの石油の輸入額は1950年のファーストカーゴから累計191億バレル、100兆円に上ります。サウジアラビアは日本にとって最大の安定した石油の供給者であり、また、サウジアラビアにとっても日本は最大の石油輸出相手の一つであり続けてきました。

 同様に、高品質の製品の輸出や技術の移転等によってもこの関係は強化されてきました。例えば、近年の日本車のサウジアラビア国内の販売シェアは過半数を超えるなど、高品質の日本製品はサウジアラビアで確固たる地位を築いています。サウジアラビアにおける石油精製所や石油化学プラント等の大規模プロジェクトへの日本企業による投資の成功は、サウジアラビアの発展における重要なマイルストーンとして際立っています。

 サウジアラビアは、今、大きな社会経済変革の時代を迎えています。そして、それゆえ日本とサウジアラビアの二国間関係も大きな変化を迎えています。2016年9月1日にムハンマド・ビン・サルマン皇太子(当時は副皇太子)と安倍総理大臣が、「日・サウジ・ビジョン2030共同グループ」の設立を決定し、この二国は新たなパートナーシップの時代を迎えました。 その後、2017年3月には、安倍総理とサルマン国王により、両国の発展の礎となる新たな戦略的パートナーシップの羅針盤として「日サウジ・ビジョン2030」が発表されました。その後、新しい協力プロジェクトが拡充し、31から始まった協力プロジェクトは61まで増加し、参画する省庁・機関の数も41から64に増えました。2019年6月には進展・拡大した協力プロジェクトをとりまとめた「日・サウジ・ビジョン2030 2.0」が発表されました。

 

 日・サウジ・ビジョン2030 2.0は包括的なビジョンであり、このイニシアチブの下、サウジ・ビジョン2030と日本の成長戦略という、双方の国家戦略を掛け合わせることで、両国の経済および未来を繁栄させる戦略的パートナーシップをさらに発展させていきます。

 「サウジ・ビジョン2030」は、活気に満ちた社会、繁栄する経済、そして行動する国家を実現するための明確な目標を定めています。日本の成長戦略は、ソサイエティ 5.0、コネクテッドインダストリー、多様で活気に満ちた労働力の育成、女性のエンパワーメント、クールジャパン等、日本経済を持続的成長に導く道筋を示しています。 日本政府はサウジアラビアの社会経済改革の支援に全力で取り組んでいます。日・サウジアラビア両政府は戦略的パートナーシップの新たな羅針盤として日・サウジ・ビジョン2030を設定しました。このビジョン

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のもと、潜在的な事業機会を共同で発掘し、事業化に取り組んでいます。日・サウジ・ビジョン2030は4つのユニークな特徴を持っています。

Stable oil supplier for Japan

Saudi Vision 2030 A Vibrant Society A Thriving Economy An Ambitious Nation

Conventional relationship

Strategic Partnership

Export high quality product, investment in oil / petrochemical projects

Growth Strategy Society 5.0 Connected Industries Women’s Empowerment Cool Japan ,etc.

Conventional to Strategic Partnership Saudi-Japan Vision 2030, the new compass for strategic partnership,

seeks synergy between Saudi Vision 2030 and Japanʼs Growth Strategy.

 

(2)日・サウジ・ビジョン2030 2.0の4つの特徴①包括的アプローチ 「多様性」、「イノベーション」、「ソフトバリュー」の3本柱の下で、「競争力のある産業」、「エネルギー」、

「農業」、「中小企業」、「文化・スポーツ」といった9つのテーマを設定し、幅広い分野をカバーしています。31から始まったプロジェクトは61まで増加しました。

G to G PJs

3 Pillars

Vision

9 Themes Competitive Industry 

Entertainment& Media 

Agriculture & Food Security

Quality Infrastructure

Healthcare & Medicals Energy 

SMEs & Capability Building

Enablers Regulations Incentives Organizational support

Culture,Sports

& Education

Investment &Finance

Saudi Vision 2030 × Japan’s Growth Strategy

B to B MOUs

1 Diversity 2 Innovation 3 Soft Values

HR  Development Human Capital

 

②官民一体の取り組み 現在、両国の64にのぼる省庁、政府系機関が日・サウジ・ビジョン2030のもと活動を行っており、各事業について、両国の責任者たちによる緊密なコミュニケーションが日々行われています。また、本ビジョンにおける61のプロジェクトに加えて、多様な分野の企業がサウジアラビアの内外で積極的に事業機会を模索しています。

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Joint Group for Saudi‐Japan Vision 2030 

Minister of Commerce and Investment

Minister of Energy, Industry and Mineral

Resources

Minister of Economy, Trade and Industry

Minister of Foreign Affairs

Minister of Economy and Planning

Sub-group 2: Investment and Finance

Sub-group 4: SME and Capacity Building

SMEA

JICA

JCCME

JETRO

SME Support Japan

Sub-group 5: Culture, Sports & Education

GSA MOFA

MEXT

JICA

Sub-group 1: Trade and Investment

METI

MAFF

MHLW

JCCME

JETRO

MIC

JP

NEDO

JPO

MCI

MEWA

MOH

MOHO

MOT

MCIT

GCAM

GEA

SAIP

Saudi Exports

MODON

Saudi Post

SWCC

Sub-group 3: Energy and Industry

ANRE

METI

Sub-group 0: Enablers

METIMEP

SAGIA

WarifFoudation

…… Sub‐group leader

Implementation supporting stakeholder

MOFA MOFA

JETRO

METI

MOF

FSA

JBIC

MIC

JIC

JPX

PIF

Tadawul

SIDF

SAGIASASOSFD

MEIM

KACST

ARAMCO

NICDP

K.A.CARE

SABIC

KAPSARC

National Grid

SEC

SME Auth.

MLSDMETI

All relating Ministries integrated under PM Office“Council for Economic Interaction Expansion with Middle East”

MOFA

MLIT

GAMEPMEPMOEJ

COEJICE

VORJCCME

JPX

VOR

MEIM GCA

GEA

MOE

MOM

SCTNHKFMC

 

③人材開発へのコミットメント サウジ・ビジョン2030も日本の成長戦略も、ともに人材育成が最優先事項の一つとなっています。日本の官民によるサウジアラビアへの人材育成支援を通じ、これまでにエネルギーや産業分野で1万人を超えるサウジアラビア人のスキルアップに貢献してきました。今後はエンタメ・金融・中小企業などあらたな分野の人づくりが加速していきます。

④ビジネス促進措置(エネイブラー) 日・サウジ・ビジョン2030の協力プロジェクトの推進と並行して、両国は規制、インセンティブ、組織支援および人的資本の分野における課題の特定とその改善のための協力も行っています。両国にそれぞれが設置する

「ビジョン・オフィス」は、企業やその他プロジェクトを支援するための実働機関としての役割を果たします。

(3)日・サウジ・ビジョン2030 2.0の歴史 「日・サウジ・ビジョン2030」のはじまりは、2016年9月のムハンマド・ビン・サルマン・サウジアラビア皇太子(当時は副皇太子)の訪日に遡ります。両国がより幅広い分野でパートナーシップ関係を築くための議論をするべく、「日・サウジ・ビジョン2030共同グループ」が立ち上げられました。2016年10月の第1回会合では、参加した5大臣が5つの事務レベルのサブ・グループを設置することで合意し(2017年3月に6つ目のサブ・グループが設置)、その後、2019年6月までに閣僚級会合は3回、サブ・グループ会合は8回開催され、充実した議論が行われてきました。

 

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2.日・サウジ・ビジョン2030 2.0プロジェクト(1)ビジネス促進措置(エネイブラー)①日・サウジ・ビジョンオフィスの立ち上げ 2018年1月に日本政府が「ビジョン・オフィス・リヤド」を開設しました。「日・サウジ・ビジョン2030」のプロジェクトの推進および潜在的な協力機会の発掘のため、その前線基地となります。「ビジョン・オフィス・リヤド」は開所以来、28件のプロジェクトを支援し、159件の企業面談、14件のセミナー開催、13件の訪サ・ミッション支援を実施しています。今後も日本とサウジアラビアのビジネスに関心のある企業と積極的に関係を構築していきます。また、「ビジョン・オフィス・リヤド」が中心となり、日本企業の視点からサウジアラビアのビジネス環境整備にかかる提言をまとめる等、日本企業がサウジアラビアへより進出しやすい環境づくりに取り組んでいます。2019年6月にはサウジアラビア政府による「ビジョン・オフィス・東京」の開設が発表されました。同オフィス発足の暁には、二国間で双方向の全面的な支援が実現し、既存および将来のプロジェクトに対するより高いレベルでの支援が可能となります。

 

②エネイブラー・ショーケース・ゾーン/エネイブラー・ショーケース・プロジェクト 日サ両国の経済関係をより深化させるため、「日・サウジ・ビジョン2030」の大きな特色の1つとしてビジネス促進措置の整備があります。このうち、サウジアラビアの経済改革のショーケースとなる先進的な経済特区の設計を、日サ共同で検討する取り組みとして立ち上げたのが「エネイブラー・ショーケース・ゾーン」です。日本企業の進出を促進するためのインセンティブや緩和すべき規制を検討し、それをもとにサウジアラビア国内に広く展開可能な経済特区のマスタープラン策定に繋げることで、日本企業をはじめ各国の企業によるサウジアラビア進出を支援することを目指しています。日本貿易振興機構

(JETRO)が中心となって経済特区構想に関する具体的な提案書を取り纏め、サウジアラビア政府に提出しました。また、日本では複数のセミナーやワークショップが行われ、キング・アブドラ経済都市(KAEC)、国家産業開発・物流プログラム(NIDLP)、NEOM、キングサルマンエナジーパーク(SPARK)についての理解が深まりました。ビジョン・オフィス・リヤドおよびその他の機関は、魅力的なビジネス環境の構築に向けてサウジアラビアの関係機関とさらに議論を続けていきます。 一方、経済特区の理想像という概念的アプローチに加え、個別のプロジェクトを支援する中で必要なインセンティブや緩和すべき規制を検討するアプローチも採用しています。「エネイブラー・ショーケース・プロジェクト」として選定したプロジェクトを集中的に支援することで、企業の具体的なニーズを反映した検討が可能になります。「エネイブラー・ショーケース・プロジェクト」の一つに、東邦チタニウムのスポンジチタンプロジェクトがあります。東邦チタニウムとタスニー社の合弁会社が、低廉な電力コストを活かし世界

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最高水準の競争力を有するスポンジチタン工場をヤンブーに建設しました。2019年第3四半期に操業開始予定で事業規模は約500億円です。65人のサウジ人エンジニアが東邦チタニウム若松工場で約2年間のチタン製造に関する研修を受け習得しました。チタンは本年1月に発表されたサウジアラビアの産業成長戦略NIDLPでも重点分野の1つであり、同工場でのチタン製造は、サウジにおける航空等先端産業の産業クラスターの中核となることが期待されます。

 

③ビザの利便性向上 2017年3月13日に日・サウジ間で調印された査証料の引き下げを含む数次査証発行の円滑化に関する覚書の発効後、日本政府は、商用目的、文化人、知識人数次査証を、2018年8月1日より緩和しました。両国は、様々な分野での二国間関係強化に資する相互訪問の増加が実現していることを歓迎します。

④投資協定 2017年4月7日の日・サウジアラビア投資協定が発効しました。本協定は投資に関する法的な安定性を改善することによって投資家にとって好ましい環境を創り出し、また、そのことを通じ二国間経済関係の促進に貢献します。

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⑤コストシェア技術協力に関する国際協定 2018年12月にサウジアラビアと日本の間でコストシェア技術協力に関する口上書の交換が行われ、これにより国際協力機構

(JICA)の研修コースを含むコストシェア技術協力へのサウジアラビアの参加が可能になりました。二国間協力の第一弾として、2019年1月から3月にかけて、サウジアラビア環境・水・農業省の職員2名が、JICAが実施する日本での研修プログラムに参加しました。

⑥日サ学生交流プログラム 日サ両国が持続的な関係を深め、信頼関係を構築するためには、若者の視点や若者の相互交流は大きな意味を持ちます。若者の交流を促進するため、日サ両国政府は2020年に Warif 財団と一般財団法人日本国際協力センター(JICE)による日サ学生交流プログラム、「フューチャー・シェイパーズ・イニシアティブ」を設立します。日サ両国の学生は、互いの国に滞在し、歴史や文化を学び、交流を深めながら、両国の関係がよりよいものになるために何が必要か議論していきます。若者が将来をかたちづくる人材に育ち、日本とサウジアラビアの橋渡しの役割を担うことが期待されます。

⑦知財分野に関する協力 サウジアラビアが特許出願の国際条約に加盟したことにより、日本からの特許出願が爆発的に増えており、日本とサウジアラビアの協力関係が深化するにつれて、出願の増加が続くことが予測されます。このため、両国の特許庁は協力覚書(MOC)を結び、知財を活用しやすい環境を整備します。具体的には、特許出願の審査迅速化プログラムの試行のための議論を開始します。さらに、今後、意匠や商標に関する国際条約への加盟や人材育成、特許審査ガイドライン策定も支援します。

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(2)競争力のある産業①製造分野における日系企業の事業展開支援 中東協力センター(JCCME)は、FS 調査の支援等を通し、11の合弁事業(13社)の設立を支援しました。2018年5月にはアラムコ・アジア・ジャパン・サプライヤー・フォーラムを開催し、また、2018年11月、及び2019年3月には投資機会セミナーを開催し、サウジアラビア総合投資院

(SAGIA)やサウジアラビア海水淡水化公社(SWCC)、サウジアラビア国営水道公社(NWC)、保健省、N

ニ ド リ ッ プ

IDLP(National Industrial Development and Logistics Program)、Nネ オ ム

EOM、キングサルマンエナジーパーク(S

ス パ ー ク

PARK)の関係者を招待しました。この他、サウジアラビアのコールドチェーン市場のポテンシャルについての調査や、サウジアラビア進出に関心のある日本企業の新規ビジネス・需要聴取等を行った

「パートナーニーズ調査」を実施しました。

 

②ペトロ・ラービグ第2期計画 サウジアラムコと住友化学の合弁事業であるペトロ・ラービグは、日本とサウジアラビアとの重層的な関係強化に繋がる象徴的なプロジェクトです。この世界最大級のプラントでは、石油製品やポリエチレン、ポリプロピレンなどの石油化学製品を製造しています。2009年に運転が始まった第1期に続き、能力増強や高付加価値製品のプラント新設を目的とした第2期計画は、2017年に全プラントの建設が終了、2018年から各プラントが順次、本格稼働の準備に入りました。総事業費200億ドルの巨大プロジェクトの拡張計画に日本政府は、融資と保険引受けの資金調達面を支援しています。本プロジェクトは、サウジ屈指の巨大プロジェクトとしてサウジアラビアのエネルギー産業、石油化学産業の発展に貢献します。

 

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③�サウジ・メタノール・カンパニーの合弁契約延長 サウジ・メタノール・カンパニー(アル・ラジ)は、サウジ基礎産業公社(SABIC)と日本側コンソーシアムの国家的プロジェクトです。1980年の設立以降も、本プロジェクトはメタノール生産能力を増強しており、現在の年産能力は485万tで単一拠点としては世界最大規模です。2018年に合弁事業を20年間延長することに合意し、本プロジェクトは引き続きサウジアラビアの石油化学産業における重要なプロジェクトであり続けています。

 

④�横河電機の製造センター設立 キングサルマンエナジーパーク(SPARK)は、サウジアラビアを世界的なエネルギー・産業・技術ハブにする、50平方キロもの巨大エネルギー都市プロジェクトです。SPARK では、サウジアラムコが世界規模のエネルギー・サプライチェーンの構築を支援しています。横河電機は、産業用制御システムのサプライヤーとして、SPARK に石油・ガスを中心とした産業向け製品の製造センターを設立する予定です。また、横河電機は、2007年から同国の男女の技術者に育成プログラムを提供し、550人のエンジニアを育成しました。今後さらに2000人以上のエンジニア育成を計画しています。

 

⑤�キヤノンによるリヤドでの新拠点設立 サウジアラビアは、キヤノンが50年に渡り、パートナーとのネットワークを通じてビジネスを行ってきた重要な市場であり、イメージング製品のエコシステムを提供しています。キヤノンは2019年3月、新たにキヤノンサウジアラビアを設立し、リヤドにオフィスとビジネスソリューションのショールームを開設し、さらに2つのオフィスとショールームをジェッダとコバールに設立します。キヤノンは、最高のサービス品質と顧客との密接な関係を重視しており、サウジアラビア企業へのサービスの向上に務めていきます。また同社は、サウジアラビアの若者の才能へ投資することに重点を置いています。広範な学習および開発プログラムによる従業員への投資を行い、さらに従業員のスキルと能力の向上を図っています。これらの取り組みを通じて、2023年までに300人規模への従業員を拡大することを目指しています。

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⑥�第4次産業革命分野の協力 キング・アブドラ科学技術都市(KACST)と経済産業省の調査で、第4次産業革命分野で協力可能性のある分野の一つとして「公共の安全」が挙げられ、この分野での協力を推進するため、KACSTとNECが協力を進めています。サウジ・ビジョン2030では、サウジの3都市が世界の住みやすい都市ランキング上位に入るという目標を掲げており、また巡礼者の受入数を年間3,000万人まで増やすことも謳っています。世界トップクラスの認証精度を誇る NEC の顔認証システム等は、安心・安全の確保、活気ある社会の構築に貢献するものであり、今後の協力の進展が期待されます。

 

⑦�ナノテクノロジーおよび触媒化学における KAUST—東大等の協力 東京大学工学系研究科、東大-日本電子産学連携室とキング・アブドラ科学技術大学(KAUST)が連携し、国際的なナノテクノロジー及び触媒化学における研究・教育ネットワークを構築していきます。これは、サウジアラビアがナノテク研究を強力に推進し、国際的なナノ計測ハブ拠点となることに貢献していくものです。2019年4月に KAUST と東大工学系研究科は研究教育連携に関する MOU を締結し、本事業の具体的な取り組みについて協議を開始しています。今後、二大学間の研究者・学生の人材交流と、東大の有する世界トップレベルの電子顕微鏡技術を用いた共同研究及び教育を展開していく予定です。

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⑧�キング・アブドラ科学技術都市(KACST)でのロボットトレーニングセンターの開設 KACST と経済産業省の調査で明らかになった第4次産業革命分野での協力可能性のある分野としてロボット分野の協力があります。サウジアラビアの製造業における生産設備の自動化を目的に、ロボットの普及を図るため、川崎重工は KACST 内にロボットのトレーニングセンターを開設しました。トレーニングセンターでは、ロボットの使用方法を実演するとともに、ロボットの操作、運用にかかわるプログラミングなど、ロボットの使用に必要な技術・知識の教育を施すことを企図しています。KACSTのトレーニングセンターは、サウジアラビアの学術機関や中小企業、スタートアップに無償で開放され、川崎重工のロボットのショールームとして機能します。2019年2月、最初の溶接ロボットの設置を終え、次のロボットの仕様について協議を行っています。

(3) エネルギー・環境①�沖縄における共同石油備蓄事業 沖縄県の沖縄石油基地株式会社の石油タンクにサウジアラムコ社の原油を蔵置する共同備蓄事業を2010年より開始しています。当該石油タンクは、平時にはサウジアラムコ社の東アジア向けの供給・備蓄拠点として商業的に活用される一方、危機時には蔵置原油が日本に供給されることで日本のエネルギー安全保障に貢献するものであり、本事業は両国に裨益するプロジェクトであり続けます。

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②低炭素エネルギーシステム技術の共同研究 サウジアラビアは国内産業の多角化を推進しつつ、二酸化炭素(CO2)削減を図るためCO2の回収、利用、貯留(CCUS)システムの早期確立を目指しています。経済産業省とサウジアラムコは、CO2フリーアンモニアのサプライチェーン構築に関する実現可能性調査を実施しました。本プロジェクトの目的は、日本企業の高度な技術を使用して、サウジアラビアの石油と天然ガスから安価にカーボンフリーのアンモニアを製造することです。CO2フリーのアンモニアは日本に輸送され、石炭火力発電所の混合燃焼燃料として使用されることが想定されます。

 

③�燃料電池自動車導入実証プロジェクト 経済成長、エネルギー安全保障、環境保護のトリレンマに対する解決策となる水素社会の実現は非常に重要であり、その点において日本とサウジアラビアは認識を同じくしています。経済産業省は2018年に東京で第一回水素エネルギー大臣会合を開催し、サウジからの出席も得て、水素社会に向けた課題や機会について議論を深めました。また、水素社会の実現の第一歩として、トヨタならびにアブドゥル・ラティフ・ジャミールとサウジアラムコが、サウジアラビアで初となる水素ステーションの運用及び燃料電池自動車「MIRAI」を活用した実証事業を近日開始します。

④�電気自動車導入実証プロジェクト 2019年2月、リヤドにおいて、東京電力ホールディングス、日産自動車中東日産会社、東光高岳及びサウジアラビア電力会社(SEC)は、日産の電気自動車と東光高岳の急速充電気器を使用した、電気自動車の走行実証実験を開始しました。走行・充電データの収集、分析を通じ、サウジアラビアの厳しい気候環境下で

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の電気自動車・急速充電器の性能評価を行い、サウジアラビアでの電気自動車普及を目指します。本事業を通じ、サウジアラビアのみならず中東地域における電気自動車の普及が期待されます。

 

⑤�廃棄物管理分野における協力 サウジアラビアにおける廃棄物管理のマスタープラン策定に基づき、日本の環境省はサウジアラビアの廃棄物管理を改善するためサウジアラビア経済企画省(MEP)、気象・環境保護庁(GAMEP)と協力しています。2018年3月、環境省は MEP と GAMEP の訪問を受け、その機会に、日本の廃棄物関連技術を紹介しました。以来、環境省と中東協力センターによる廃棄物管理ワークショップをリヤドで開催したり、サウジアラビア当局が東京へ視察に訪れたりするなど、相互の交流が継続して行われてきました。今後は廃棄物分野における協力プロジェクトをより具体的に特定していく方針です。

 

(4)質の高いインフラ①�省エネルギー型海水淡水化システムの実証事業(メガトン実証プロジェクト) 日本の先進海水淡水化技術(メガトン技術)を実証すべく、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)とサウジアラビア海水淡水化公社(SWCC)は2017年12月に MOU を締結しました。2018年3月、NEDO の委託先である日立製作所・東レとSWCCとの間で協定付属書が締結され実証事業が開始しました。ウムルジ

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に10,000m3/ 日の実証プラントを2019年内に建設開始予定であり、実証終了後は商用機として活用される予定です。将来、環境面で優れた本技術がサウジアラビアにおいて環境先進技術として広く採用されることにより、海水淡水化の省エネルギー化・建設コスト削減・環境負荷低減への貢献が期待されます。

 

②�住宅分野に関する技術協力 サウジアラビア政府が取り組む住宅の大量供給政策に対する協力として、2018年10月に、国土交通省はサウジ住宅省と協力し、リヤドにおいて住宅分野のワークショップを実施しました。民間企業等12団体を含む28名が参加し、サウジアラビア住宅省やサウジアラビア総合投資院(SAGIA)と意見交換を行いました。また、サウジアラビアから提供された情報を日本企業に周知するとともに、今後も情報交流の機会を設けることで合意しました。特にサウジアラビアからは、住宅の品質確保に関する知見の共有に対する要望が強く、今後もそうした観点でサウジアラビアの住宅供給政策に貢献していきます。

 

③�交通分野における協力 交通セクターの改善を図るサウジアラビア運輸省と日本企業の新たな投資機会としてサウジアラビアの交通セクターに注目する国土交通省との間で、2018年8月に協力覚書が締結され、これに基づいて国土交通省は、サウジアラビアの交通セクターに関する調査を実施したほか、セミナーを開催し日本企業に情報を共有しました。また、サウジアラビ

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ア運輸省の専門家ミッションが訪日し、視察等を通し日本の交通インフラについて理解を深めました。今後、交通分野における日サウジアラビア間の交流継続により、日本の知見の活用や日本企業の参画を通じたサウジアラビア交通セクターの改善を図ります。

 

④ �ICT 分野における日・サウジアラビア官民ワークショップ 2018年10月、総務省は、リヤドにてサウジアラビア通信情報技術省、日・サウジアラビア両国の ICT 関連企業等とともに官民ワークショップを開催しました。両省の代表による挨拶の他、両国企業各6社によるプレゼンテーションが行われるとともに、参加者同士による活発な交流が行われました。総務省ではサウジアラビアとの ICT 分野での更なる関係強化を図るため、2019年度にサウジアラビアにおける ICT に関する調査研究を実施する予定です。

 

⑤�東京製綱社による落石防止ネットによる道路防災 サウジアラビアといえば砂漠ですが、実は南西部を中心に山岳地帯が広がっており、落石事故が多発しています。たとえばマッカ州アルハダでは、1ヶ月の間に22kmの範囲で50件以上、アルバハという地域では、32km の範囲で100件以上の落石事故が起こっています。東京製綱は防護壁を道路に建設する従来工法に代わる、金属製の落石防護ネットによるソリューションを提案しています。従来工法では、落石により防護壁の破損・崩壊が頻繁に発生し、その度に道路が閉鎖されるという難点があり、また安全対策としても不十分なものでした。東京製綱のソリューションは、金属製のネットにより落石を未然に防ぐ又は受け止めるもので、従来工法より高い安全性を実現できるとともに、耐用年数でも勝るものです。す

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でにアルハダではデモ施工も実施しており、その性能が証明され、サウジアラビア運輸省から製品認証を取得しました。落石防止ネットの活用は、その一部が山岳地帯を通過する巡礼路の安全向上にも役立ちます。巡礼路の安全は、サウジ・ビジョン2030で掲げられた目標の1つです。今後この新しいソリューションがサウジアラビアで広く活用されることが期待されます。

 

(5)エンターテイメント①エンターテイメント分野における人材開発 JCCME とサウジアラビア視聴覚メディア総合委員会

(GCAM)は、ゲーム、アニメーション、マンガ、コンピュータグラフィックスなどのエンターテインメント分野における人材育成を促進するための協力事業を実施しています。2019年3月には、8人のサウジアラビア人クリエーターが来日し、東京の日本工学院八王子専門学校で行われた2週間のゲーム開発トレーニングプログラムに参加しました。サウジアラビア企業による日本へのビジネスミッション派遣も現在検討されています。

②�番組フォーマット販売による、TBS テレビ番組「SASUKE」、「風雲!たけし城」現地版制作 2017年、TBSテレビとサウジアラビアスポーツ庁(GSA)はサウジアラビア版「風雲!たけし城」の製作に合意し、今年はGCC/MENA地域で放送が予定されています。TBSはまたBanader Gulf Media Production Co.と日本のテレビ番組「SASUKE(Ninja Warrior)」のサウジアラビア版を制作するライセンス契約も締結しています。

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③�エンターテイメント産業におけるビジネスマッチング 経済産業省と JETRO は、日本企業とサウジアラビア企業や政府系関係機関とのマッチングを通じ、日本のコンテンツの輸出やサウジアラビアの人材育成など、サウジ・ビジョン2030の下、今後大きな発展が予想されるエンターテイメント企業振興に協力しています。具体的には2018年10月に開催されたジャパン・コンテンツ・ショーケースと2019年3月に開催されたアニメジャパンに、アニメ・コンテンツのネット配信を手掛けるサウジ企業77media が参加しました。また、日本の出版大手 KADOKAWA は、マンガプロダクションと提携。サウジアラビアの歴史に関するマンガの委託制作と若手サウジアラビア人漫画家の育成を開始しています。

 

④�サウジアラビア建国記念日における、AVEX社による STAR�ISLANDの実施 経済産業省とサウジアラビア娯楽庁(GEA)の支援により、AVEX はサウジアラビア建国記念日の機会を捉え、未来型花火エンターテイメントショー「STAR ISLAND」を行うために調整を行っています。この STAR ISLAND の成功により、日本のエンターテイメントがサウジアラビアで広く受け入れられ、サウジアラビアに豊かな娯楽を提供することが期待されます。

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(6) 医療・ヘルスケア①�内視鏡分野での協力 厚生労働省とサウジアラビア保健省は、内視鏡分野で協力体制を構築するべく、サウジアラビア人医師に対し日本での内視鏡研修を実施します。2019年7月から、大分大学及び北里大学において順次研修生の受け入れを開始し、合計4名のサウジアラビア人医師が1年間の内視鏡分野の研修を受ける予定です。サウジアラビアでいまだ認知度が低い日本の医療機器の普及に繋がる可能性もあります。

②�日サウジ・ヘルスケアフォーラム 日本とサウジアラビアの医療分野での交流を深めるべく、経済産業省は、サウジアラビア保健省との協力の下、2018年2月に日・サウジ・ヘルスケアフォーラムを開催しました。医師や政府関係者など200名以上が参加し、両国医師によるセミナー(救急・災害、内視鏡、循環器、糖尿病の4分野)や日本企業による展示も実施されました。これらの取り組みを契機として、民間ベースでの協力プロジェクトが進行中です。

③ �HAL サイバニクス治療による脊髄損傷患者などの身体機能の回復 サウジアラビアでは、歩行困難者が約85万人いるとされています。また、交通事故による脊髄損傷患者が年間13,000人と日本の約2.5倍に上ります。この数字は、人口が約4倍の日本と比較して非常に多いといえます。サイバーダインの医療用ロボットスーツ「HAL」は、革新的な医療技術である「サイバニクス治療」で脊髄損傷患者などの歩行機能回復のためのリハビリを行うために開発された医療機器です。2017年よりサウジアラビアの私立病院で臨床試験が開始され、3回の臨床実験で24名の患者全員の歩行機能が大幅に改善しました。24名中10名が補助器具なしでの独立歩行が可能な状態に改善、12名はより軽度な補助器具での歩行が可能な状態に改善、2名は独立歩行での歩行速度が約1.4倍~2倍に改善しました。また、2カ所の公立病院で1回の臨床試験が実施され、

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こちらでも大きな機能回復が認められています。サウジアラビアで「人生を変える技術」と呼ばれるに至っている「HAL」は、2021年の保険適用を目指しています。保険適用の実現によりサウジアラビアで広くこのテクノロジーが普及し、多くの患者の人生が変わることが期待されています。

 

(7) 農業・食品 ①�日系企業との連携を通じたサウジの農業・食産業の発展 農林水産省はサウジアラビアの環境・水資源・農業省(MEWA)との協力し、サウジの農業や食産業に関する調査を実施しました。本調査により、外食産業、健康食品、節水施設、園芸などの有望な事業分野が特定され、SNS を通じた「インフルエンサー」の効果的な役割が明らかになりました。 本調査結果に基づき、農林水産省は2018年にサウジへビジネス環境に関する情報収集とパートナー候補企業とのビジネスマッチングを目的に官民ミッションを派遣しました。 今後、農林水産省はインフルエンサーと潜在的なパートナーとなりうる現地企業を日本に招待し、日本食の認知度向上と具体的なビジネス形成を目指したさらなる取り組みを実施していきます。 また健康食品の分野では、松谷化学がアル・イエムニ社と協力し、血糖値の上昇抑制等の効果のある希少糖製品「レアシュガー・スウィート」を2019年中にサウジアラビア市場で販売する予定です。

 

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(8) 投資・金融①�投資促進の協力 日本の銀行は、サウジアラビアで多様な事業に貢献しています。2018年のサウジアラビア向け国際協調融資のランキングでは、上位4位に日本の3メガ銀行がランクインしました。また、同行らは PIF 向け110億米ドルの国際協調融資に参加しています。2009年にみずほ銀行は証券業務を行う現地法人を、2018年に三菱UFJ銀行は支店を、三井住友銀行はアドバイザリー業務を行う現地法人をそれぞれ設立しました。また、日本の銀行とサウジアラビアの金融機関は、これまで、日・サウジアラビアの投資促進とサウジアラビア経済の発展の観点から5つの覚書に調印しています。これらの覚書に基づく協力には、サウジアラビアの金融機関へ日本企業および投資家を紹介することや、人材育成等が含まれ、日本からサウジアラビアへの投資を促進します。さらに、サウジアラビアの政府系ファンド、パブリック・インベストメント・ファンド(PIF)は、日本および世界の技術分野に投資するため、日本のパートナーと共に、ソフトバンク・ビジョン・ファンドに最大450億ドルの投資をすることにコミットしました。

②�サウジの証券市場の発展に向けた協力 サウジアラビア証券取引所(タダウル)と日本取引所(JPX)は、REIT市場を含む特定の分野で情報を交換し、専門知識を高めるために相互訪問および研修プログラムを実施しています。野村証券とは、「サウジアラビア・デー」を2度開催し、タダウルとミーティング等を行うことにより、タダウルへアジアの投資家を紹介する等関係強化を支援しています。

③�アフリカにおける機会の探求 「サウジ・ビジョン2030」でも謳われているように、サウジアラビアはアフリカへのゲートウェイとしても戦略的に重要な国です。今後も成長が続くアフリカへの進出におけるサウジアラビアとの協力の第一歩として、経済産業省が2018年5月に南アフリカで主催した「日アフリカ官民経済フォーラム」に、サウジアラビアの政府系ファンド、パブリック・インベストメント・ファンド(PIF)を招聘しました。アフリカ市場開拓におけるサウジアラビアとの協力は、日サ双方に大きな利益をもたらすものであり、今後具体的な取り組みを継続して検討していきます。

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(9) 中小企業・人材育成①�中小企業支援センターの設立 サウジアラビアの中小企業におけるサウジアラビア人被雇用率の低さや、同国内の高い失業率を改善するために、中小企業支援センターの設立が検討されており、日本は中小企業支援における知見の共有や、サウジアラビア中企庁職員向けの訪日研修を行い、中小企業支援センターの設立を支援しました。2018年10月、リヤドに最初の中小企業支援センターが設立され、今後5年以内にサウジアラビア国内にさらに5か所の設立が予定されています。日本は同センター設立に向け、継続して協力を行っていきます。

②�中小企業・人材育成 中小企業を含む両国企業の交流促進のため、JETRO は、2019年2月に、10社からなるフランチャイズミッションをサウジアラビアへ派遣しました。現地企業とのネットワーキングに加えて、Saudi Franchise EXPO へのブースの出展も行っています。JETRO は、サウジアラビアでのビジネスチャンスをつかむことができるよう引き続き、支援を行っていきます。

 

③�サウジアラビアにおけるプラント設備メンテナンスのための人材育成センターの設立 サウジアラビア政府は2020年までにサウジ人若年層の技能職業訓練生を95万人に増加させるという高い目標を掲げています。山九は、サウジアラビアで人材育成センターの設立を目指し、2019年1月には、サウジアラビア職業訓練公社(COE)と覚書を締結しました。日本・東南アジアで長年培ってきたメンテナンスの経験を基にしたカリキュラムを導入し、世界中で通用する高レベル技能技術集団の育成を目指しています。

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(10) 文化・スポーツ・教育①文化・スポーツ交流 日本は、「サウジ・ビジョン2030」で謳われている「文化イベントの奨励」、「運動する人の割合増加」等の目標の実現を最大限支援しています。好例として、文化分野では、2017年4月に開催した日本人音楽家によるサウジアラビア史上初となるオーケストラ公演が挙げられます。また、スポーツ分野では、2020年東京オリンピック・パラリンピックも見据え、柔道や空手分野での選手・指導者間の交流を継続して行っています。日本は、2019年6月からの日本人女性柔道指導者のサウジアラビア派遣や同年秋のサウジアラビアでの文化週間開催等を通じ、引き続き文化・スポーツの分野での貢献をしていきます。

 

②「アラビアの道-サウジアラビア王国の至宝」展 「アラビアの道-サウジアラビア王国の至宝」展は、サウジアラビアの至宝を日本で初めて公開し、アラビア半島の歴史に光を当てた展示で、東京国立博物館表慶館にて2018年に開催されました。好評のため、当初2018年1月23日から3月18日までの予定だった期間が、5月13日まで延長され、開催期間中99日間で250,100名の来場者がありました。これは東京国立博物館表慶館で開催した展覧会では過去30年間で最多の来場者数であり,多くの人々がアラビア半島の歴史に触れることになりました。

 

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③スポーツ・エリート交流(水泳及びフェンシング) スポーツ・エリート交流は両国スポーツ関係省庁間においてアスリート及び指導者の交流(受入れ/派遣)を行うものです。サウジアラビアの要望に基づき、2018年4月から5月にかけて、水泳の指導者を1名及びフェンシングの指導者を3名日本からサウジアラビアに派遣し、指導者研修会を実施しました。水泳プログラムについては、サウジアラビア国内の2か所で実施され、アルハサでは19名、ジッダでは17名の関係者が研修を受け、トップ選手や若年選手の年間トレーニング計画及び競技大会前の準備等についての技術や知識の習得に貢献しました。フェンシングプログラムについては、各種目に分かれた指導者研修会を実施し、特にサウジアラビアのフェンシング史上では初めて女性選手によるフェンシングホールを使用しての練習が実現しました。

 

(11)その他の事業 日・サウジ・ビジョン2030 2.0のもと、両国の政府や関連する機関は下記の事業も推進しています。

◦ 投資・貿易促進事業◦電子商取引プラットフォームの準備における協力◦模倣品対策の協力◦貿易・投資政策に関する能力開発◦貿易促進実務に関する能力強化◦サウジアラビアにおける自動車製造に関する調査◦海水淡水化と水の再利用に関する協力◦正浸透技術に関する協力◦工業廃水処理に関する協力◦サウジアラビアの住宅セクターにおける技術とデジタルソリューションの実装◦サウジアラムコの IPO に関する協力◦サウジアラビアにおける石油・天然ガスのインフラ整備に関する協力◦原子力エネルギー分野における人材開発◦ガス絶縁開閉装置の寿命延長

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◦再生可能エネルギーのグリッド統合◦省エネルギー促進◦サウジアラビア女性健診プロジェクト◦パブリック・インベストメント・ファンド(PIF)と産業革新投資機構(JIC)の協力◦サウジアラビアのキャッシュレス化促進事業◦緊急時・災害時医療に関する協力◦観光と国家遺産に関する協力◦ JICA による「KAIZEN」の普及活動◦ JICA によるサウジアラビアにおける市民参加活動の強化のための協力◦国際開発援助への共同貢献

〈ビジョン・オフィス・リヤド連絡先〉電 話:+966-11-219-9155メール:[email protected]ウェブ:https://www.jetro.go.jp/sj-visionoffice/住 所:5th Floor, Council of Saudi Chamber Building, King Fahd Road, Riyadh, 11614

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