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K xap.first.iir.titech.ac.jp/pdf/LabGuide2004.pdf- 1 - ご あ い さ つ on Oik .f orPmo rf ega Msse 東京工業大学未来産業技術研究所沖野研究室では,プラズマ工学,電気電子回路・計測,物理,化学,分光計測などをベースとして,マルチガス温度制御プラズマをはじめとした世界最

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ご あ い さ つ Message from Prof. Okino 東京工業大学未来産業技術研究所沖野研究室では,プラズマ工学,電気電子回路・計測,物理,化学,分光計測などをベースとして,マルチガス温度制御プラズマをはじめとした世界最先端の大気圧プラズマ装置を開発し,それぞれ装置の特性を活かした様々な分野への応用研究を行っています。現在の主な研究テーマは,殺菌/ウイルス不活化,接着強度向上等のための表面処理,大流量ガスの無害化処理,低温止血装置開発,ゲノム編集等のための植物のプラズマ処理,生体表面付着物や抗がん剤の高感度分析装置開発,単一細胞中の極微量元素分析装置開発などで,医療・分析・環境・農業・材料などの分野に貢献できるプラズマ機器の開発と応用研究を行っています。 我々の研究室の関連する主な学術分野・キーワードは,プラズマ,分光,光学,放電,分析化学,単一細胞分析,医療機器,再生医療,iPS 細胞,ゲノム編集,有害ガス分解,表面処理,殺菌,ウイルス不活化,接着,農業,美容,3Dプリンタなどで,各種大気圧プラズマ装置の設計・製作,光・イオン・原子/分子・活性種などの測定,殺菌/ウイルス・ガス分解・接着などの実験,プラズマや回路等のシミュレーションを有効に組み合わせた研究と教育を行っています。 沖野研究室は 2001 年,大学院総合理工学研究科創造エネルギー専攻に誕生しました。2015年度まで,同専攻の堀田研究室および藤井研究室(2009 年度までは根本研究室)とともに,プラズマ研究グループとして活動してきましたが,2016 年春の東工大の教育改革による改組と堀田栄喜教授の定年退職に伴い,単独研究室での活動を始めました。また同時に,科学技術創成研究院 未来産業技術研究所(旧精密工学研究所)に参画し,さらに活動の幅を広げています。 2001 年の研究室開設より,14 名の博士,59 名の修士,7 名の学士を輩出してきました。修了生は国内外の企業,大学,研究所等で活躍しています。海外の大学や企業との交流も活発に行っています。沖野准教授は 98年~99年米国ワシントンD.C.の The George Washington Univ.に客員研究員として,06年~07年米国ロサンゼルスのUCLAに客員教授として滞在しました。学生もDrexel Univ.,Indiana Univ.,Münster Univ.,BAM Berlin などに留学するほか,全ての大学院生が国際会議で発表を行ってきました。国内でも連携を強めています。各種企業のほか,関西学院大学,東京医療保健大学,東京理科大学,鳥取大学,神戸大学,東北大学,東京薬科大学,静岡大学,明星大学,神戸芸術工科大学,室蘭工業大学,千葉県立保健医療大学,農業・食品産業技術総合研究機構,国立がん研究センター等と協力して研究を行っています。 沖野研究室では,学部は工学院電気電子系,大学院は電気電子系ライフエンジニアリングコースおよび電気電子コースの教育を担当しています。大学院では,学内生のほか全国の大学・高専の全ての学科・専攻からの修士・博士後期課程への進学を歓迎しています。修士課程は電気電子系の大学院入試の突破が必要ですが,これまでの専門分野は問いません。プラズマの装置開発や医療・分析・環境・農業・材料等への応用に興味のある人はぜひ受験して下さい。より詳しい研究内容や各種の最新情報等は研究室のホームページをご覧下さい。研究室の見学や訪問等は一年を通して歓迎していますので,ご興味をお持ちの方は電子メールで気軽にお問い合わせ下さい。 また,国内外の企業との共同研究・技術指導,社会人博士の入学,修士・博士後期課程への再

入学等も常時募集していますので,ご相談下さい。 2020 年 4月 東京工業大学 未来産業技術研究所

准教授 沖 野 晃 俊

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教員および学生紹介

Staff and Studentss 准教授 沖野 晃俊 Associate Professor, Dr. Akitoshi Okino 京都市立堀川高等学校出身。大阪大学工学部応用物理学科卒業,同大学院博士前期課程修了,東京工業大学大学院原子核工学専攻博士後期課程修了。博士(工学)。東工大電気・電子工学科助手を経て01年総合理工学研究科助教授(准教授)。2016 年より現職。98 年~99 年 The George Washington 大学客員研究員,06 年~07 年 UCLA 客員教授,11 年~神戸大学大学院医学研究科客員准教授兼務。過去の趣味:クラシック鑑賞 全盛期には年間 100 回近いコンサートを聞く。京都市響,大阪フィル,新日本フィル,日本フィル,N響,ワシントンナショナル響の定期会員を歴任。音楽評論家になれるかと思った。現在の趣味:娘とおでかけ,深夜のテニス。右投げ,右打ち,両手バックハンド。

博士後期課程 末永 祐磨 Doctoral Course Student, Yuma Suenaga

2017 年鹿児島工業高等専門学校専攻科修了。2019年東京工業大学修士課程修了。大気圧プラズマの医療・農業,各種産業への応用をメインで研究しているが,最近は有機物分析など活動範囲を拡大中。やりたいことが多すぎて,時間が足りないのが最近の悩み。 趣味:テニス,卓球,ツーリング,ボードゲーム,PC ゲーム,イラスト描き,ものづくり全般,アウトドア道具を集めること

修士課程 吉田 真己 Master's Course Student, Mako Yoshida 2019 年国際基督教大学アーツサイエンス学科卒業。現在は,ICPMS/AESによる単一細胞分析システムの開発担当。趣味:ジョギング,水泳,ダンス,旅行,陶芸。今年の抱負:誰よりも清く美しく。最後の学生生活を未練なく生き抜く。マイブーム:エスニック料理巡り。でも健康第一。素材の味を最大限に引き立たせるこだわりの食事法を探求。

修士課程 飯島 勇介

Master's Course Student, Yusuke Iijima 2019 年東京工業大学電気電子工学科卒業。学部時代から沖野研究室に所属し,大気圧低温プラズマの植物への応用研究を担当。寿司屋で初めにかんぴょう巻きを食べる派。 趣味:映画,海外ドラマ,海,卓球,競馬,キャッチボール。今年の目標:競馬で大勝ちすること。マイブーム: ギャンブル動画を見ること

修士課程 中井 一輝 Master's Course Student, Kazuki Nakai 2019年東京工業高等専門学校専攻科修了。現在は,大流量トルエンの分解のための誘電体バリヤ放電処理装置の開発担当。研究室のメンバーで卓球することが一番の娯楽。 趣味:テニス,将棋,キャッチボール。今年の抱負:コミュニケーション能力を身につける。マイブーム:ラップバトル観戦

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教員および学生紹介

Staff and Studentss 准教授 沖野 晃俊 Associate Professor, Dr. Akitoshi Okino 京都市立堀川高等学校出身。大阪大学工学部応用物理学科卒業,同大学院博士前期課程修了,東京工業大学大学院原子核工学専攻博士後期課程修了。博士(工学)。東工大電気・電子工学科助手を経て01年総合理工学研究科助教授(准教授)。2016 年より現職。98 年~99 年 The George Washington 大学客員研究員,06 年~07 年 UCLA 客員教授,11 年~神戸大学大学院医学研究科客員准教授兼務。過去の趣味:クラシック鑑賞 全盛期には年間 100 回近いコンサートを聞く。京都市響,大阪フィル,新日本フィル,日本フィル,N響,ワシントンナショナル響の定期会員を歴任。音楽評論家になれるかと思った。現在の趣味:娘とおでかけ,深夜のテニス。右投げ,右打ち,両手バックハンド。

博士後期課程 末永 祐磨 Doctoral Course Student, Yuma Suenaga

2017 年鹿児島工業高等専門学校専攻科修了。2019年東京工業大学修士課程修了。大気圧プラズマの医療・農業,各種産業への応用をメインで研究しているが,最近は有機物分析など活動範囲を拡大中。やりたいことが多すぎて,時間が足りないのが最近の悩み。 趣味:テニス,卓球,ツーリング,ボードゲーム,PC ゲーム,イラスト描き,ものづくり全般,アウトドア道具を集めること

修士課程 吉田 真己 Master's Course Student, Mako Yoshida 2019 年国際基督教大学アーツサイエンス学科卒業。現在は,ICPMS/AESによる単一細胞分析システムの開発担当。趣味:ジョギング,水泳,ダンス,旅行,陶芸。今年の抱負:誰よりも清く美しく。最後の学生生活を未練なく生き抜く。マイブーム:エスニック料理巡り。でも健康第一。素材の味を最大限に引き立たせるこだわりの食事法を探求。

修士課程 飯島 勇介

Master's Course Student, Yusuke Iijima 2019 年東京工業大学電気電子工学科卒業。学部時代から沖野研究室に所属し,大気圧低温プラズマの植物への応用研究を担当。寿司屋で初めにかんぴょう巻きを食べる派。 趣味:映画,海外ドラマ,海,卓球,競馬,キャッチボール。今年の目標:競馬で大勝ちすること。マイブーム: ギャンブル動画を見ること

修士課程 中井 一輝 Master's Course Student, Kazuki Nakai 2019年東京工業高等専門学校専攻科修了。現在は,大流量トルエンの分解のための誘電体バリヤ放電処理装置の開発担当。研究室のメンバーで卓球することが一番の娯楽。 趣味:テニス,将棋,キャッチボール。今年の抱負:コミュニケーション能力を身につける。マイブーム:ラップバトル観戦

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大気圧プラズマ装置の新しいコンセプト

New concepts of our brand-new atmospheric plasma sources 物質は持っているエネルギーの大きさに応じて固体から液体,気体へと状態変化し,気体にさらにエネルギーを加えると原子と電子が分離した,プラズマの状態になります。プラズマ中には高いエネルギーを持つ粒子が多数存在するため,物質分解や半導体プロセシングなどに使用されてきました。 従来,プラズマはガラスや金属の容器内の低気圧下で生成されて利用されてきました。これは主に,低気圧がプラズマの生成に適しているという理由によるものです。大気圧プラズマの研究は 50年以上前から行われてきましたが,温度が数千度と高かったため,廃棄物処理やガス分解,溶射などに応用先が限られていました。ところが近年,大気圧プラズマの応用がさかんに報告されるようになっています。これは,室温に近い低温な大気圧プラズマが生成できるようになり,様々な物質に自由にプラズマを照射する事が可能となったためです。従来の低気圧プラズマでは,半導体,金属,セラミックスなどの,真空容器に入れられて,プラズマの高温に耐えられるものが対象でしたが,大気圧プラズマでは基本的に何にでも自由にプラズマを照射できるため,生体やプラスチックなどの熱に弱い素材や,低気圧中では蒸発してしまう液体への照射が可能になりました。 沖野研の現在の大気圧プラズマ装置の特徴を示すキーワードは,「マルチガス」,「温度制御」,「フレキシブルな設計」の 3つです。現在までに開発されている大気圧プラズマ装置のほとんどは,ヘリウム,アルゴン,窒素,空気など,使用できるガスに制限があります。我々は,あらゆるガスをプラズマ化できる「マルチガス」を最重要なキーワードとして大気圧プラズマ装置を開発しています。当然と言えば当然ですが,プラズマを生成するガスを変えると,生成されるラジカルや励起原子・分子などの活性種が変わりますので,プラズマの特性は大きく変わり,処理効果も変わります。なので,所望の処理に最も適したガスで生成したプラズマの使用が望まれます。 先にも書いたように,40~200℃程度の大気圧プラズマが低温プラズマとして注目されています。従来の数千度の熱プラズマに比べると格段に低温ですが,室温よりは高温であり,また精密な温度制御は困難でした。これに対して我々は,零下から高温まで 1℃以内の精度で制御可能な

「温度制御」プラズマを開発し,多数の特許を取得しました。熱に弱い素材や人体,細胞,植物などへのプラズマ照射や,各種の化学反応に最適な温度でのプラズマ処理を実現できます。 我々は,上記のマルチガスと温度制御が可能な様々な大気圧プラズマ装置を開発しています。例えば,上のマルチガス高温プラズマ,左のマルチガス低温プラズマジェット,大面積プラズマなどです。また,プラズマ装置ありきではなく,それぞれの応用に適した放電方式,形状,体積,流量,温度,活性種のプラズマ装

置を「フレキシブルな設計」で開発しています。例えば,プラズマの大きさは 100 ミクロン程度から 1 mを越すものまで製作しています。2015年には,世界で初めて金属の 3Dプリンターを用いて,直径 3.5 mmの内視鏡治療用プラズマジェットを開発し,論文を発表しました。現在,プラズマ源の設計には 3D-CAD,製作には金属の 3Dプリンタを主に使用しています。

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低温プラズマを用いた殺菌/ウイルス不活化

Inactivation of bacteria and virus by low temperature plasma

医療,農業,食品などの分野では,機器や野菜,水などを清潔に保つための方法として,加熱処理や薬剤による殺菌が使用されています。しかし,これらの殺菌方法では熱による変性や薬剤の残留などが問題となるため,新しい殺菌手法の開発が求められています。その一つの候補として,大気圧低温プラズマによる殺菌が注目を集めています。プラズマの殺菌要因は反応性の高い化学活性種による細胞膜やDNAの損傷などであると考えられていますが,詳細な殺菌メカニズムは明らかになっていません。そこで沖野研究室では,様々なガスをプラズマ化できるマルチガスプラズマジェットなどを使用して,各ガス種プラズマによる細菌・真菌・ウイルスの不活化実験を行っています。 従来のプラズマを処理対象へ直接照射する殺菌方法で

は,プラズマと対象物との接触面積が小さく,大面積の殺菌処理に時間を要していました。そこで,プラズマを水に直接照射し,水そのものに殺菌効果を持たせるプラズマ処

理水の研究が進められています。プラズマ処理水を用いることによって,水中の対象物の表面などを効率よく殺菌できます。しかし,従来のプラズマを水に照射する方法では,プラズマと水との接触面積が小さく,また,化学活性種が周辺空気の影響を受けるため,水中に効率よく活性種を導入することができませんでした。そこで沖野研究室では,プラズマを微小な泡として水中に導入することで,プラズマと水との接触面積を拡大し,活性種を水中に効率よく導入するプラズマバブリング方式を提案しました。この方式では従来のプラズマを水に照射する手法と比較して,下左図のように 20倍以上の活性種導入速度を実現しています。

さらに,この方法によって生成した水は殺菌効果を持つため,プラズマバブル水と呼んで殺

菌などに応用する研究を行っています。ただし,活性種には寿命があるため,水中の活性種濃度は減少していき,プラズマバブル水の殺菌効果は右上図で示されるように常温では数分で大きく低下してしまいます。このため,生成したプラズマバブル水は保存できず,すぐに使用する必要があります。逆の考え方をすると,一定時間で殺菌力のない普通の水に戻りますので,安全な殺菌水であるとも言えます。我々はこの特徴を活かすべく,医療機器の殺菌,食品や農業用の洗浄,最終的には人体の殺菌等への応用をめざして研究を開始しています。また,このバブル水に超音波を照射して機器等の表面に付着した細菌の殺菌や,マイクロバブルと併用して殺菌と洗浄の効果を持つ液体としての応用を進めています。

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零下から高温までの大気圧温度制御プラズマ

Temperature-controllable plasma source プラズマには,電子温度,励起温度,ガス温度,イオン温度などの様々な温度が定義されて

います。これらのうち,我々が熱い冷たいと感じる温度に一番近い温度は,ガス温度になります。2,000 年頃までは大気圧プラズマは熱プラズマと呼ばれ,数 1,000℃のガス温度を持つ高温プラズマでした。このため,廃棄物処理や有害ガス分解のための熱源として利用されてきました。しかし,近年,ガス温度が室温程度の低温プラズマが開発され,表面処理や医療の分野で注目を集めています。例えば,表面処理の分野ではプラスチック等の熱に弱い素材の親水化処理や接着性向上などに使用されはじめています。医療の分野では,生体に熱の影響を与えずに殺菌や止血できるツールとしての応用が期待されています。しかし,従来の低温プラズマのガス温度は,低温とはいっても 40~100℃程度であり,生体などの熱に弱い対象に長時間照射することは困難でした。このため,従来はプラズマを生成する際の放電電力を制限することで,プラズマのガス温度の上昇を抑えていました。しかし,プラズマも弱くなるため,処理効果も低下していました。 そこで沖野研究室では,上のようなプラズマのガス温度制

御システムを考案しました。このシステムでは,ボンベから供給されたガスを一度冷却した後,そのガスをヒーターで加熱します。このヒーターの加熱を制御することで,プラズマの温度を自由に制御する事が可能になります。この手法では,プラズマを生成するエネルギーとは独立に,プラズマのガス温度を零下から高温まで制御する事ができます。実験では,零下 50℃から,160℃程度の範囲で,±1℃以内の精度でガス温度を制御することに成功しており,世界各国で特許を取得しています。零下のプラズマでは,右の写真のように水を凍結させる事も可能です。沖野研究室では,世界で初めてガス温度と表面処理効果や殺菌効果や活性種生成量などの調査を行い,論文を発表しています。 さらに,沖野研究室では様々な種類のガスでプラズマを生成できる,マルチガスプラズマ装

置にも温度制御を適用しました。マルチガスプラズマ装置は金属の筐体のため,従来の温度制御方式ではガスと筐体の間で熱交換が起きてしまうため,ガス温度を大幅に変えることが困難でした。そこで,下図のように温度を制御した流体を筐体内部に流し,筐体の温度を制御することで,筐体からプラズマ生成ガスの温度を制御する装置を開発しました。この装置により,従来ではで

きなかった様々なガス種のプラズマの温度制御に成功しました。その結果,人体や植物などの熱に弱い対象に熱損傷を与えずに,今までよりも高い効果のプラズマ処理が可能になりました。もちろん,ガス温度を高温側に制御する事も可能です。プラズマのガス温度を変えると,プラズマ処理の要因となる活性種の生成量も変わるため,プラズマ処理効果の最適化や処理要因の解明につながると期待されます。

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CO2

N2

GFP 自家蛍光 明視野

ガスGFP 自家蛍光 明視野

プラズマ

シロイヌナズナ(葉,双子葉植物)

GFP 自家蛍光 明視野

プラズマ

イネ(根,単子葉植物)

GFP 自家蛍光 明視野

ガス

温度制御プラズマ処理を用いた植物のゲノム編集 Genome editing of plants using temperature-controllable plasma treatment 収穫量や品質などの向上のため,古くから植物の品種改良が行われています。品種改良をするためには違う個体同士の交配や,放射線や薬剤処理によって DNA にランダムに変異を入れるなどの手法が用いられています。しかし,これらの方法で有用品種を生み出すには,非常に長い時間と大変な労力が必要です。外来遺伝子を細胞内に導入する遺伝子組換えは,導入遺伝子がDNA上に組み込まれて次世代に遺伝するため,安全性だけでなく,遺伝子拡散や遺伝子組換え作物に対する消費者の拒絶反応などの問題があります。このため,近年ではタンパク質などの生体高分子を細胞内に導入してDNAを改変するゲノム編集が新しい品種改良法として注目されています。導入したタンパク質はその細胞内で分解されるため,導入因子が残る遺伝子組換えとは異なり,得られたゲノム編集植物には外来タンパク質は含まれません。 動物細胞では,タンパク質やDNAの導入技術が確立されていますが,植物細胞の場合は,組織表面を覆うクチクラ層や細胞壁があるため,動物細胞で利用されている技術をそのまま利用することは困難です。このため,既存の技術では前処理が必要であったり,高分子を導入する対象の組織や植物種に制限がありました。

沖野研究室では農業・食品産業技術総合研究機構と共同で,10~20℃に温度制御した窒素や二酸化炭素のプラズマを植物の組織に照射することで,細胞内にタンパク質を導入することに成功しました。左は,緑色蛍光を発するGFP融合タンパク質(分子量約 75,000)をシロイヌナズナの葉とイネの根の細胞内に導入したときの共焦点顕微鏡画像です。タバコとシロイヌナズナの葉,イネの根のいずれにもタンパク質を導入できました。この際,温度制御をしない通常のプラズマを照射した場合には,葉がダメージを受けてタンパク質を導入することができま

せんでした。タンパク質だけでなく,分子量約 4,100,000 の DNA の導入にも成功しています。開発した生体高分子導入法は,適用できる植物種や組織の範囲が広く,特殊な前処理が不要であるため,実験室だけでなく農業の現場等での利用が期待されています。 さらに沖野研究室では,開発したタンパク質導入技術を用いて,CRISPR/Cas9 によるゲノム編集に成功しました(特願 2019-206239)。プラズマ照射によってCas9 タンパク質/ガイドRNA複合体をタバコの葉に導入し,ゲノム編集を確認しました。さらに,ゲノム編集された葉の細胞から次の世代の個体を得ることができましたので,開発した技術が品種改良に応用されることが期待されます。現在は,高効率なタンパク質導入法の開発や,導入の機序解明に向けて実験を進めています。

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単一細胞中の全元素超高感度分析システム

Measurement system of multi-elements in single cell 超微量の元素を分析する手法として,高温のプラズマを用いる誘導結合プラズマ(Inductively Coupled Plasma, ICP)発光・質量分析法が開発され,様々な分野で使用されています。ICP質量分析法では,右図の ICPトーチと呼ばれるガラス管の内部で5,000℃程度の高温プラズマを生成し,分析試料をプラズマ中に導入して原子・イオン化します。そして,質量分析装置に導入し,イオン数をカウントします。この ICP 質量分析法では,ng/L 程度の超高感度分析が可能です。例えば,50 mプールの中に溶けた数mgの元素を測定できます。 近年,iPS 細胞による再生医療や,大気中微小粒子の健康影響への関心が高まっています。一細胞やナノ粒子中の微量元素の高感度分析が可能になると,iPS 細胞の分化メカニズムや,大気粉塵の起源の解明につながると期待されています。しかし,上記の ICP質量分析装置では毎分数 100 µL の試料を必要とするため,ナノ粒子や細胞一個といった超微少量試料の分析は困難でした。そこで沖野研究室では,14 pLの微小液滴を 1滴だけプラズマに導入できるドロプレットネブライザを開発し,ICP 質量分析に適用しました(右写真)。その結果,従来装置の約 1/100,000 となる微少量の試料導入と,55 zg(55×10-21g, Na)の検出下限(おそらく世界最高感度)を実現しました。さらに,実サンプルとして液滴中に単細胞藻類一個を内包させることで,単一細胞中の多元素同時分析に成功しました(右図)。現在は,ICP質量/発光分光同時分析を行うシステムを構築しており,がん細胞を用いて分析を試みています。また,単一細胞分析では多数のデータ取得が求められるため,赤外線を用いた高スループット脱溶媒装置の開発を行っ

ています(下図)。具体的には,ドロプレットが飛行するガラス管の外から近赤外線を照射することで,液滴に赤外線を吸収させて加熱し,溶媒を気化させます。ガラス管は近赤外線の透過率が 90%以上である一方,水の近赤外線吸光係数は可視光よりも 3桁以上高いため,脱溶媒の方法として有望であると考えられます。現在は,赤外線照射光学系の改良と脱溶媒条件の検討を行っています。さらに,分析で得られる質量信号に最適な信号処理法の開発にも取り組んでおり,世界初となる単一細胞,ナノ粒子中の多元素同時分析システムの実用化をめざしています。今後は,再生医療などの分野に貢献するため,さらなる高感度化と信頼性向上をめざした装置の改良を行い,単一がん細胞の分析や,iPS 細胞の高精度な分化誘導などの応用研究を行う予定です。

単細胞藻類の質量スペクトル

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大流量産業排ガスの分解処理

Decomposition of large flow industrial exhaust gases 近年,産業や医療現場などで排出

される有害物質を含んだガスをプラズマで高効率に分解する方法が注目されています。プラズマ中には高い反応性をもつ高エネルギー粒子が高密度に存在しているため,それらが有害物質を分解することが知られており,多くの研究が行われています。この手法の実用化のためには,高効率化と大流量化が課題です。そこで沖野研究室は,誘電体バリア放電などを用いて低温の大型プラズマを発生させる装置を開発し,有害ガスを分解する実験を行っています。例えば,警察庁科学警察研究所と共同で,化学兵器であるサリンの分解実験を行いました。サリンと空気の混合ガスのプラズマは,上写真のようになります。サリンを含んだ空気を直接プラズマ化することによって,最大98.4 %の分解率と 1.38�10-4 mg/Wの分解効率を達成しました。

さらに,実用化に向けて大流量の排ガスを分解できる処理装置を開発しています。産業や医療分野で排出される排ガスは大きな流量で排出されることが多く,大流量の排ガスでも安定した分解処理できる装置が求められています。そこで沖野研では,例えば左図のような大流量排ガス分解処理装置を開発しましています。この処理装置は電極板,誘電体,スペーサーで構成される誘電体バリア放電方式になっています。処理されるガスはプラズマが発生している空間を通過することで,質量の小さい分子に分解されます。この放電方式は大面積のプラズマを容易に生成する事ができ,また,電極を何層にも積層させることで処理空間を増やせますので,設置する工場などの処理流量に合わせて

装置を大型化することができます。 例えば,多層化していない基本的な装置を用いて流量 50 L/min,濃度 100 ppmのトルエン

の分解実験を行った結果,下図のように 90%以上の分解率と高い分解効率を得ることに成功しています。トルエンの初期濃度を上げても高い分解率は維持されましたので,より大流量の処理や時間的な濃度変化に対応できると考えています。今後は,放電方式や流路形状などを改良し,より大流量や高濃度のガス処理に対応できる装置の開発を行っていく予定です。また,他の様々なガスの分解処理にも適用ようと考えています。

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内視鏡止血用小型マルチガスプラズマジェット

Multi-gas small plasma jet device for endoscopic hemostasis

消化器系の内視鏡的止血術には,アルゴンプラズマ凝固装置(APC)と呼ばれるプラズマ装置が広く使用されています。しかし,APC は約 3,000℃の熱によって止血部を焼くことで止血するため,使用中に組織に穴をあけたり,術後に潰瘍を生じてしまう場合がありました。そこで沖野研究室は,大気圧低温プラズマを用いた内視鏡治療用プラズマ止血装置の開発を行っています。この装置では,熱によって血液凝固を行うものではなく,

プラズマ中で生成される活性種を血液と化学的に作用させことで血液凝固を行います。プラズマによる止血効果は確認されていますが,プラズマ装置を内視鏡に組み込むためには,直径 3.2 mm の鉗子口に挿入できる小型のプラズマジェットが必要ですう。そこで沖野研究室では,金属の 3Dプリンタを用いて直径 2.8 mmの小型プラズマジェットを製作しました。 in vitro および in vivo での止血実験を行った結果,内視

鏡下の止血には,窒素の約 160 倍の生体吸収性を持ち,血栓を生じにくい二酸化炭素が適している事を示しました。そして,開発したプラズマ装置の実用化に向けて,内視鏡下での止血効果や処理後の組織への侵襲性を調べています。現在は,出血部の把持機能を持ち,さまざまな出血様態に対応できる,実用的なプラズマ止血装置の開発をめざしています。 さわれるプラズマを用いた表面付着物分析装置

Measurement system for surface adhesion compounds using touchable plasma 医療,美容,食品,犯罪捜査などの分野では,皮膚等の熱

に弱い物質の表面に付着した微量な物質の分析が求められています。例えば医療分野では,皮膚に付着した汗や皮脂の成分を用いた疾病の診断が期待できます。しかし,表面に損傷を与えずに付着物だけを取り出すのは容易ではありません。低温プラズマ中には高エネルギーの活性種が存在するため,そのエネルギーで表面に付着した物質を分解する事なくソフトに脱離させ,かつソフトにイオン化して質量分析装置に導入します。表面に付着していた物質は,分解されずに質量分析されるため,どんな物質が付着していたかを容易に判断す

ることができます。さらに,触れる程度の低出力レーザーによる付着物脱離と低温プラズマによるソフトなイオン化を組み合わせた,新しい微小領域の付着物分析法を開発しています。レーザーをスキャンすることで,表面付着物のマッピング分析が可能になります。今後は,装置の開発と脱離やイオン化機構の解明を並行して実施していきます。さらに,信頼性の高いデータを得るために,付着物の分子質量分析と,金属元素の質量分析を同時に行うことができる装置を開発しています。

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内視鏡止血用小型マルチガスプラズマジェット

Multi-gas small plasma jet device for endoscopic hemostasis

消化器系の内視鏡的止血術には,アルゴンプラズマ凝固装置(APC)と呼ばれるプラズマ装置が広く使用されています。しかし,APC は約 3,000℃の熱によって止血部を焼くことで止血するため,使用中に組織に穴をあけたり,術後に潰瘍を生じてしまう場合がありました。そこで沖野研究室は,大気圧低温プラズマを用いた内視鏡治療用プラズマ止血装置の開発を行っています。この装置では,熱によって血液凝固を行うものではなく,

プラズマ中で生成される活性種を血液と化学的に作用させことで血液凝固を行います。プラズマによる止血効果は確認されていますが,プラズマ装置を内視鏡に組み込むためには,直径 3.2 mm の鉗子口に挿入できる小型のプラズマジェットが必要ですう。そこで沖野研究室では,金属の 3Dプリンタを用いて直径 2.8 mmの小型プラズマジェットを製作しました。 in vitro および in vivo での止血実験を行った結果,内視

鏡下の止血には,窒素の約 160 倍の生体吸収性を持ち,血栓を生じにくい二酸化炭素が適している事を示しました。そして,開発したプラズマ装置の実用化に向けて,内視鏡下での止血効果や処理後の組織への侵襲性を調べています。現在は,出血部の把持機能を持ち,さまざまな出血様態に対応できる,実用的なプラズマ止血装置の開発をめざしています。 さわれるプラズマを用いた表面付着物分析装置

Measurement system for surface adhesion compounds using touchable plasma 医療,美容,食品,犯罪捜査などの分野では,皮膚等の熱

に弱い物質の表面に付着した微量な物質の分析が求められています。例えば医療分野では,皮膚に付着した汗や皮脂の成分を用いた疾病の診断が期待できます。しかし,表面に損傷を与えずに付着物だけを取り出すのは容易ではありません。低温プラズマ中には高エネルギーの活性種が存在するため,そのエネルギーで表面に付着した物質を分解する事なくソフトに脱離させ,かつソフトにイオン化して質量分析装置に導入します。表面に付着していた物質は,分解されずに質量分析されるため,どんな物質が付着していたかを容易に判断す

ることができます。さらに,触れる程度の低出力レーザーによる付着物脱離と低温プラズマによるソフトなイオン化を組み合わせた,新しい微小領域の付着物分析法を開発しています。レーザーをスキャンすることで,表面付着物のマッピング分析が可能になります。今後は,装置の開発と脱離やイオン化機構の解明を並行して実施していきます。さらに,信頼性の高いデータを得るために,付着物の分子質量分析と,金属元素の質量分析を同時に行うことができる装置を開発しています。

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低温プラズマによる粉体の表面処理

Surface treatment of powders by low temperature plasma

近年,粉体の食品や薬剤などに対する表面処理や殺菌が求められています。従来の殺菌法には高圧蒸気処理がありますが,水蒸気に曝したくないものや,高温に弱い物質には適用が困難でした。また,放射線を用いて殺菌処理を行う方法は高コストであることや食品の風味が変化するなどの問題がありました。薬品による殺菌は,薬剤の残留性がありました。大気圧低温プラズマは低温でありながら殺菌効

果や表面処理効果を持つため,これらの問題を解決できる可能性があります。しかし,粒子の径が小さくなると表面積は大きくなるため,効果的なプラズマ照射や均一な処理が求められます。 そこで我々は,大気圧プラズマを粉体処理に適用するための基礎的な研究と,処理装置の開発を行っています。粉体の均一処理と粉体の飛散の問題を解決するため,装置の試作を行っています。例えば,粉をメッシュで挟むことで粉が外部に漏れることを防ぎつつ,装置下部からプラズマを照射して粉体を撹拌する方法や,左のようにプラズマガスの旋回流で粉体を撹拌し,処理後のガスを装置上部に設けた排出口から排出装置などを試作しました。 現在は,アルキメディアンスクリューを用いて,粉体を連続的にプラズマ処理できる装置を開発しています。 発して

μ-TAS 用プラズマ励起源と放電状態最適化電源

Inverter power supply to optimize discharge condition for microplasma emission source 現在,微少量試料を連続的にモニタリング分析できる高

感度かつ小型な装置として,試料導入部や検出部などをマイクロチップ上に集積させた Micro Total Analysis System (µ-TAS) が注目されています。沖野研究室ではµ-TASに適用できる小型の検出器として,誘電体バリア放電によるプラズマを励起源とする発光分光分析用光源を開発してきました。右に示すようなマイクロチップを用いて誘電体バリア放電を生成し,sub-ppm オーダのハロゲン元素の発光分光分析に成功しています。さらなる分析感度向上のためには,プラズマの放電条件を最適化する必要があります。プラズマの最適な放電条

件は分析対象となる元素によって異なりますが,従来の励起源では一定周波数,一定電圧の交流電源を用いて放電を生成していたため,複数の放電条件を持つプラズマを連続的に生成することはできませんでした。 そこで我々は,µ-TAS用微小プラズマ励起源の放電状態

の最適化が可能な,インバータ電源を開発しています。この電源では,インバータに適切な制御信号を入力することで,出力電圧,周波数,波形を柔軟に変更できます。このため,周波数が連続的に変化する波形や,一周期ごとにピーク電圧が変化する波形など,所望の波形を出力することができます。これにより,マイクロ流路の低損傷と各種元素の高感度分析を実現します。

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卒業生の言葉 Message from graduates 三宅 智子 Tomoko Miyake 令和元年 6月博士後期課程修了,大気圧低温プラズマが皮膚由来培養細胞の生体応答に与える影響の基礎研究

沖野先生をはじめ,多くの先生方,秘書さん,学生の皆さんに大変お世話になりました。沖野研は自由で楽しい雰囲気の中,一人一人の意思を尊重しながら,研究に打ち込める研究室です。研究テーマは装置開発,医療,農業,美容への応用など多岐にわたり,学内だけでなく,学外の研究機関や企業との共同研究も多く,刺激的な環境でした。国内外の学会で発表するチャンスもいただき,最先端の研究者と交流することもできました。私は生物系出身ですが,培養細胞を使った実験だけでなく,フライス盤などを用いた装置開発や単一細胞分析など,様々な実験をさせていただき,今までにない経験をすることができました。研究以外にも,皆さんとたこ焼きパーティー,タケノコ掘り,卓球,テニス,節分,お花見などを一緒にできたことも楽しい思い出です。 沖野先生はいつも学生を相対評価ではなく絶対評価し,成長を見守りながら見捨てることなく最後まで責任を全うされており,先生のおかげで私も学位をいただくことができました。本当にありがとうございました!!

阿部 優凜 Yuri Abe 令和 2年 3月修士課程修了,大気圧低温プラズマ処理による歯科材料の接着強度向上

私は電気以外の分野の知識を学び,より応用的な研究をしたいと考えて沖野研究室を志望しました。大学院では,「大気圧低温プラズマ処理による歯科材料の接着強度向上」を研究テーマとし,殺菌や医学,生物学など様々な分野の知識を得ることができました。様々な分野の専門家と共同研究を行うことが多く,当初はわからないことだらけでしたが,沖野研の皆さんや共同研究先の先生方とディスカッションすることで乗り切ることができました。また,多くの学会や国際会議で研究成果を発表することができ,英語での発表や他の研究者との議論などを通して,人に自分の研究成果を伝える力が身についたと思います。沖野先生をはじめ沖野研究室のメンバーには本当にお世話になりました。ありがとうございました。

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高木 拓希 Hiroki Takagi 令和 2年 3月修士課程修了,大気圧低温プラズマを用いた粉体の殺菌および表面処理装置の開発

学部時代に情報系の研究室で理論ベースの研究をしていた私は,理論だけでなく,一度度〇〇ベースで研究を行いたいと思い,沖野研究室を志望しました。研究室では今までにない様々な事を経験させていただきました。学会前には予稿の文章を先輩方や先生に何回も修正していただき,ポスターやスライドはレイアウトが見やすく綺麗に仕上げる方法を教えていただきました。また,国際発表のため海外にも行かせていただきました。英語でディスカッションをする事で,様々な興味深い研究を知る事ができただけでなく,自分の英語力を測る事もできました。1人で行った海外ではいくつかのトラブルがありましたが,今では良い思い出となっています。 守屋 翔平 Shohei Moriya 令和 2年 3月修士課程修了,マルチガス温度制御プラズマの開発と生命科学応用のための特性評価

私は学部 4年次から沖野研究室に所属し,大学院の 2年間を合わせて 3年間お世話になりました。私が沖野研に所属した理由は専門の電気以外の分野の知識を学び,より応用的な研究をしたいと考えたからです。実際に私は「生命科学応用のためのマルチガス温度制御プラズマの開発」を研究テーマとし,殺菌や止血,ゲノム編集など,化学や医学,生物学など様々な分野の研究に携わることができました。特に,沖野研ではそれぞれの応用分野の専門の共同研究者と実験や議論をする機会が多く,非常に充実した研究生活を送ることができました。また,国内外の様々な学会で研究成果を発表することができ,英語での口頭発表や他の研究者との議論など,多くの経験を通して研究者として成長できたと実感しています(いろんな場所に行けたのも楽しかったです)。沖野先生をはじめ,沖野研究室のメンバーには本当にお世話になりまし

た。ありがとうございました。 吉田 真優子 Mayuko Yoshida 令和 2年 3月修士課程修了,μ-TAS用プラズマ励起源の放電制御のためのインバータ電源開発

私は,医療や化学に関わる研究がしたいと考えて沖野研究室を志望しました。大学院では,微少量試料分析用のマイクロプラズマの放電電力を制御する電源の開発をテーマとしました。電源の開発自体は電気の知識を用いることが主でしたが,プラズマの評価を行う際には電気だけでなく化学などの知識が必要になるため,当初はわからないことも多くありました。しかし,沖野研の先輩方と交流や議論を深めることで自然にプラズマや分析に関する知識を身につけることができました。また,多くの学会に参加させて頂いたため,自分の考えを人に伝える力を養えたと思います。沖野研究室での 2年間の活動を通じて,自身を大きく成長させられたと感じています。ありがとうございました。

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最近の主な研究業績 Selected publications and awards

研究論文・解説 (1)� T. Iwai, H. Inoue, K. Kakegawa, Y. Ohrui, T. Nagoya, H. Nagashima, H. Miyahara, K. Chiba, Y. Seto and A.

Okino, “Development of a high-efficiency decomposition technology for volatile chemical warfare agent sarin using dielectric barrier discharge”, Plasma Chemistry and Plasma Processing (in press).

(2)� T. Miyake, M. Shimada, Y. Matsumoto and A. Okino, “DNA damage response after ionizing radiation exposure in skin keratinocytes derived from human induced pluripotent stem cells”, International Journal of Radiation Oncology•Biology•Physics, 105, 1, pp.193-205 (2019).

(3)� P. Ruengpirasiri, P. Trong Tue, H. Miyahara, A. Okino and Y. Takamura, “Study on effect of introduced gas bubbles for the low channel damage in Direct and Alternating Current Liquid Electrode Plasma Atomic Emission Spectrometry”, JJAP, 58, 9, pp.097001-1-7 (2019).

(4)� M. Kurosawa, T. Takamatsu, H. Kawano, Y. Hayashi, H. Miyahara, S. Ota, A. Okino and M. Yoshida, “Endoscopic Hemostasis in Porcine Gastrointestinal Tract using CO2 Low Temperature Plasma Jet”, Journal of Surgical Research, 234, pp.334-342 (2019).

(5)� H. Kawano, T. Takamatsu, Y. Matsumura, H. Miyahara, A. Iwasawa and A. Okino, “Influence of Gas Temperature in Atmospheric Non-Equilibrium Plasma on Bactericidal Effect”, Biocontrol Science, 23, pp.167-175 (2018).

(6)� M. Aida, T. Iwai, Y. Okamoto, H. Miyahara, Y. Seto and A. Okino, “Development of ionization method using hydrogenated plasma for mass analysis of surface adhesive compounds”, J. Anal. At. Spectrom., 33, pp.578-584 (2018).

(7)� 柳川由紀, 沖野晃俊, 光原一朗, “プラズマ照射で植物細胞にタンパク質を導入 植物の品種改良への応用利用へ向けて”, 化学と生物, 56, 1, pp.15-17 (2018).

(8)� M. Aida, T. Iwai, Y. Okamoto, S. Kohno, K. Kakegawa, H. Miyahara, Y. Seto and A. Okino, “Development of a Dual Plasma Desorption/Ionization System for the Noncontact and Highly Sensitive Analysis of Surface Adhesive Compounds”, Mass Spectrometry, 6, 3 S0075 (2017).

(9)� Y. Nomura, T. Takamatsu, H. Kawano, H. Miyahara, A. Okino and T. Azuma, “Investigation of Blood Coagulation Effect of Nonthermal Multigas Plasma Jet on in vitro and in vivo”, Journal of Surgical Research, 219, pp.302-309 (2017).

(10)� Y. Yanagawa, H. Kawano, T. Kobayashi, H. Miyahara, A. Okino and I. Mitsuhara, “Direct protein introduction into plant cells using a multi-gas plasma jet”, PLOS ONE, 12, e0171942 (2017).

(11)�沖野晃俊, “さまざまな展開を見せる大気圧プラズマと応用展開”, 工業材料, 65, 10, pp.17-21 (2017). (12)� K. Kakegawa, R. Harigane, M. Aida, H. Miyahara, S. Maruo and A. Okino, “Development of High-density

Microplasma Emission Source for Micro Total Analysis System”, Analytical Sciences, 33, 4 (2017). 【Best-Paper Award for Analytical Sciences 受賞】

書籍 (1)� 末永祐磨, 守屋翔平, 沖野晃俊, 高松利寛 著 (分担), “大気圧プラズマの基礎,高分子の表面処理・改質と接着性”,

R&D支援センター (2019). (2)� 沖野晃俊, 川野浩明, 高松利寛 著 (分担), “バイオフィルムの構造とその形成制御・殺菌・除去技術の現状, 有効利

用法”, シーエムシー出版 (2017). (3)� 沖野晃俊 監修, “大気圧プラズマの技術とプロセス開発 (新材料・新素材シリーズ)”, シーエムシー出版 (2017). (4)� 高松利寛, 沖野晃俊 著 (分担), “プラズマ産業応用技術 -表面処理から環境, 医療, バイオ, 農業用途まで-,低温プ

ラズマの種類・発生法法と医療分野への応用”, シーエムシー出版 (2017). (5)� A. Okino, H. Miyahara, T. Iwai and K. Chiba (分担), “Plasma Spectroscopy, The Encyclopedia of Analytical

Chemistry”, John Wiley & Sons (2016). (6)� T. Iwai, H. Miyahara and A. Okino (分担), “Microplasma Atomic Emission Spectroscopy, Encyclopedia of

Plasma Technology”, Taylor&Framcis (2016). (7)� T. Takamatsu, H. Miyahara and A. Okino (分担), “Gas Plasma Sterilization in Microbiology: Theory,

Applications, Pitfalls and New Perspectives”, Caister Academic Press (2016).

国際特許 (1)� プラズマ温度制御装置及びプラズマ温度制御方法 日本,米国,中国,シンガポール等特許査定 (2)� プラズマを用いて植物細胞内に物質を導入する方法 PCT/JP2017/21361 (3)� プラズマ生成用ガスおよびプラズマ生成方法 PCT/JP2012/064687 (4)� プラズマを用いた処理方法 PCT/JP2009/067341 (5)� 処理装置,処理方法及びプラズマ源 PCT/JP2007 (6)� 高周波整合器 PCT/JP2007/74696 (7)� 液体導入プラズマシステム PCT/JP2006/307123 ほか

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国内特許 (1)� プラズマを用いた樹脂表面のコントロール方法およびコントロール装置 特許:6544798号 (2)� ラジカル機能液およびその製造方法並びにラジカル機能液の使用方法 特許:6271223 (3)� プラズマ処理装置 特許:6224139 (4)� 大気圧プラズマを用いた生物細胞および外皮系のケア装置 特許:6180016 (5)� 原子発光検出器用マイクロプラズマ装置 特許:6167272 (6)� プラズマ装置 特許:5645157 (7)� プラズマを用いたサンプリング法およびサンプリング装置 特許:5581477 (8)� 包装容器内プラズマ処理装置方法およびその装置 特許:5455030 (9)� 液体噴射装置 特許:5272170 ほか約 60件

新聞報道・テレビ出演等 (1)� 理美容ニュース, “老化対策への研究開発に画期的な研究”, 2019/7/29 (2)� 医療ニュース, “皮膚細胞における放射線の影響を解明,老化やがんの解明に期待-東工大ら”, 2019/7/18 (3)� 東工大ニュース, プレスリリース, “放射線による皮膚への影響を解明皮膚の防護剤や疾患の治療薬,化粧品の

開発などに道”, 2019年 7月 16日 (4)� TBSテレビ「未来の起源」, “内視鏡に取り付けられるプラズマ照射装置”, 吉田真優子, 2019/3/3, 10 (5)� 日本テレビ「イノセンス 冤罪弁護士」, 化学監修, 2019/3 (6)� 日経産業新聞, “低温プラズマで止血 東工大,内視鏡向け装置 3Dプリンタを活用 照射部分を小型化”, 2018/10/19 (7)� 日本農業新聞, “植物細胞プラズマ照射 タンパク質導入成功 東工大と農研機構 生育・開花調節応用も”, 2017/2/21 (8)� 集英社 週刊ヤングジャンプ「妖怪少女 -モンスガ-」, 2014年 14号-2017年 30号 (9)� 読売新聞, “低温プラズマ 農作物殺菌 農薬不要, さび除去にも活用”, 2016/12/8 (10)� TBSテレビ「未来の起源」, “プラズマを使った成分分析”, 相田真里, 2016/4/10, 17 (11)�日経産業新聞, “五輪見据えテロ対策 東工大と科警研 有毒ガスすぐ分解 現場でプラズマ使用”, 2016/1/4

受賞等(大臣表彰:1件,国際学会賞22件,国内学会賞:78件,学内表彰:25件,その他:9件 全 135件) (1)� ライフエンジニアリングコース 各賞 20: 守屋翔平, 17: 河野聡史 (2)� SPACC award 19: 末永祐磨 (3)� 電気学会 各賞 19: 飯島勇介, 馬場美岬, 17: 阿部哲也, 16: 井上祐貴, 15: 小林智裕, 14: 石原由紀子, 大下貴也, 11:

田村利幸, 06: 坂本敏郎, 95: 沖野晃俊 (4)� プラズマ分光分析研究会 各賞 19: 吉田真優子, 吉田真己, 18: 吉田真優子, 岡本悠生,17: 河野聡史, 馬場美岬,16:

相田真里, 阿部哲也, 15: 掛川賢, 鎗柄直人, 14: 相田真里, 掛川賢, 宇都宮嘉孝, 川野浩明, 13: 野村亮仁, 奥村健祐, 石原由紀子, 12: 野村亮仁, 高妻智一, 10: 岩井貴弘, 鏑木結貴, 09: 永田洋一, 高橋勇一郎, 重田香織, 07: 永田洋一, 06: 熊谷航, 05: 大場吾朗

(5)� Analytical Sciences 誌 各賞 18: 掛川賢, 15: 石原由紀子, 14: 宮原秀一, 13: 岩井貴弘 (6)� メタロミクス研究フォーラム 各賞 18: 飯島勇介, 吉田真優子, 河野聡史, 岡本悠生 (7)� Winter Conference on Plasma Spectrochemistry 各賞 17: 相田真里, 河野聡史, 15: 相田真里, 11: 岩井貴弘, 08:

永田洋一, 06: 沖野晃俊, 宮原秀一, 02: 薮田泰伸 (8)� 日本防菌防黴学会 ポスター賞 17: 川野浩明 (9)� International Symposium on Biomedical Engineering Young Researchers Poster Award 17: 小笠原大介 (10)�日本分析化学会 各賞 17: 河野聡史, 16: 槍柄直人, 15: 井上裕貴, 掛川賢, 12: 野村亮仁, 11: 鏑木結貴, 高妻智一,

10: 岩井貴弘, 09: 永田洋一, 重田香織, 06: 瀧本和靖, 宮原秀一, 05: 大場吾郎 (11)�創造エネルギー専攻 各賞 17: 細田駿介, 15: 石原由紀子, 13: 高妻智一, 12: 柴田萌, 10: 中島尚紀 (最優秀), 08: 永

田洋一, 07: 瀧本和靖 (最優秀), 野崎啓, 06: 坂本敏郎, 大場吾朗, 05: 土肥隆行, 02: 宮原秀一 (最優秀) (12)�日本分光学会 各賞 16: 細田駿介, 14: 岩井貴弘, 渡辺洋輔, 13: 石原由紀子, 12: 野村亮仁, 11: 高妻智一, 10: 鏑木

結貴, 09: 重田香織, 田村利幸, 08: 山崎正太郎 (13)�春季応用物理学会 Poster Award 15: 井上裕貴 (14)� International Symposium on Microchemistry and Microsystems Best Poster Award of EMN 15: 宮原秀一 (15)� Top 25 most read JAAS articles 14: 重田香織 (16)� Department of Energy Sciences Presentation Award 13: 岩井貴弘 (Best), 高松利寛, 12: 鏑木結貴 (Best), 11: 柴

田萌, 10: 重田香織, 田村利幸, 09: 中島尚紀, 08: 永田洋一 (17)� Bioelectrics Best Poster Award 12: 高松利寛 (18)� The Federation of Analytical Chemistry and Spectroscopy, Student Poster Award 11: 鏑木結貴 (19)� Plasma Conference 若手優秀発表賞 11: 大下貴也 (20)� CSI presentation prize 11: 岩井貴弘, 07: 宮原秀一, 03: 沖野晃俊 (1st Prize) (21)� ICAS JAAS Poster Presentation Award 11: 根岸祐多 (22)� ICCG Poster Presentation Award 10: 佐々木良太 (1st Prize) (23)�東工大教育賞 優秀賞 09: 沖野晃俊 (24)� APFA Young Scientist's Best Presentation Award 09: 宮原秀一 (25)�手島記念研究賞 博士論文賞 06: 宮原秀一, 04: 薮田泰伸 (26)�文部科学大臣表彰 若手科学者賞 05: 沖野晃俊

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