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Keysight Technologies IEEE802.11ac 規格と RF 測定 Application Note

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er’s Manual

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Keysight Technologies IEEE802.11ac 規格と RF測定

Application Note

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はじめに 1990 年、無線 LAN の統一規格を作成するためのワーキンググ

ループである 802.11 が設立されてから 20 年以上が経ちました。

その間、IEEE802.11 は市場の要求に答えるべく、802.11a/b/g

と新たな規格を作ってきました。

そして、実効速度 100MBps というさらなる高速化を実現し、新

たに MIMO 技術を使用した規格、802.11n が 2009 年に策定さ

れ、現在広く用いられています。

しかしながら昨今では無線 LAN も単なるデータ通信用途だけで

はなく、音声や高画質映像のストリーミングなどリアルタイム性

の要求も高まり、さらに高速な通信が必要となっています。その

要求に答えるべく 2013 年に 802.11n を拡張し、1GB/s のスル

ープットを目指す 802.11ac規格が策定予定です。

本アプリケーション・ノートでは IEEE802.11ac の規格と RF 測定

について説明します。

本アプリケーシ ョンでは www.ieee802.org から最新の

802.11ac ドラフト仕様、IEEE P802.11ac™/D3.1 を参照していま

す。

内容

はじめに ...................................................................................................................................................................... 2

1.無線 LAN 各規格の位置付け ................................................................................................................................. 3

2.802.11acの使用周波数 ........................................................................................................................................ 4

3.802.11n技術との違い ........................................................................................................................................... 4

4.パケットフォーマットとサブキャリア配置 .................................................................................................................. 5

5.MCS Index .............................................................................................................................................................. 7

6.Multi User MIMO.................................................................................................................................................... 8

7.RF テスト項目 ......................................................................................................................................................... 9

8.まとめ ................................................................................................................................................................... 10

付録 A Keysight関連製品 ....................................................................................................................................... 11

付録 B 関連文献 ...................................................................................................................................................... 13

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1.無線 LAN 各規格の位置付け 802.11ac の説明に進む前に、現在使用されている IEEE802.11

各規格の概要を表 1 にまとめます。802.11b 以外の規格で

OFDM が用いられています。802.11n は 802.11a/g の拡張、

802.11ac は 802.11n の拡張規格と言えます。周波数は

2.4GHz帯と 5GHz帯が用いられています。

表 1 無線 LAN各規格のまとめ

規格 周波数 帯域幅 変調方式 最大データレート

802.11b 2400~2483.5MHz(ch1~13) 2471~2497MHz(ch14)

26MHz以下 DSSS/CCK (スペクトラム拡散)

11Mbps

802.11g

2400~2483.5MHz(ch1~13) 26MHz(CCK) 18MHz(OFDM)

DSSS/CCK OFDM

11Mbps 54Mbps

802.11a 5150~5250MHz 5250~5350MHz 5470~5725MHz

18MHz以下 OFDM 54Mbps

802.11n 2400~2483.5MHz(ch1~13) 5150~5250MHz 5250~5350MHz 5470~5725MHz

18MHz以下 38MHz以下

OFDM 600Mbps (実効レート 100Mbps~)

802.11ac 5150~5250MHz 5250~5350MHz 5470~5725MHz

18MHz以下 38MHz以下 80MHz以下1 160MHz以下 1

OFDM 6.93Gbps (スループット 1Gbps ~ )

1 規格策定前のためチャネル幅を記載

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2.802.11acの使用周波数 802.11ac は 802.11a や 802.11n が使用している 5GHz 帯域を

使用します。なお、5GHz 帯の中で 5.2GHz 帯、5.3GHz 帯は屋

内専用、5.6GHz 帯は屋外利用可能となっています。また

5.3GHz 帯、5.6GHz 帯は、気象レーダが使われている帯域のた

め、レーダを探知したチャネルは一定期間使用することができま

せん。

802.11ac は 802.11n と同様の 20MHz, 40MHz のチャネルに

加えて 80MHz, 160MHz のチャネルを使用することが可能です。

さらに連続した 160MHz 帯が確保できない場合においても

160MHz 伝送と同等の伝送速度を実現する 80+80 MHz non-

contiguous modeが定義されています。設定可能な 80+80MHz

non-contiguous チャネル配置を含む日本における具体的な周

波数割り当てを図 1に示します。

なお、国内では 2012年 12月現在、法制度化がされていないた

め 80MHz、160MHzのチャネルは使用することができません。

図 1 日本における周波数割り当て(図中数字はチャネル番号)

3.802.11n技術との違い 802.11ac の物理層は 802.11n 規格の拡張であり、下位互換性

があります。表 2 は 802.11n の主な仕様、表 3 はどのように

802.11ac が拡張しているかが示されています。802.11n の理論

的な最大データレートは 40MHz 帯域、4 ストリームを使用した

時の 600MB/s となります。ただし多くのコンシューマ・デバイス

は 2 ストリームに限られています。この場合最大のデータレート

は 300MB/sです。

802.11ac の理論的な最大データレートは 6.93Gb/s です。これ

は 160MHz 帯域、8 ストリーム、256QAM を用いた MCS9、ショ

ート・ガード・インターバルを使ったときの値です。コンシューマ・

デバイスのより現実的な最大データレートの例として 80MHz、4

ストリーム、MCS9、ノーマル・ガード・インターバルを用いたと場

合 1.56GB/s となります。

表 2 802.11nの主要な仕様

特性 必須 オプション

伝送方式 OFDM

チャネル帯域 20 MHz 40 MHz

FFT サイズ 64 128

サブキャリア数 / パイロット 52 / 4 108 / 6

サブキャリア間隔 312.5 kHz

OFDM シンボル間隔 4 us 3.6 us +ショート・ガード・インターバル

変調方式 BPSK, QPSK, 16QAM, 64QAM

前方誤り訂正 Binary convolutional coding (BCC) Low density parity check (LDPC)

コーディング・レート 1/2, 2/3, 3/4, 5/6

MCS 対応 0 to 7, 0 to 15 for access points 8 to 76, 16 to 76 for APs

MIMOストリーム数 1, 2 for access points direct mapping

3 or 4 streams Tx beamforming, STBC

オペレーティングモード / PPDU フォーマット Legacy/non-HT (802.11a/b/g) Mixed/HT-mixed (802.11a/b/g/n)

Greenfield/HT-Greenfield (802.11n only)

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表 3 802.11acの主要な仕様

特性 必須 オプション

チャネル帯域 20 MHz, 40 MHz, 80 MHz 160 MHz, 80+80 MHz

FFT サイズ 64, 128, 256 512

サブキャリア数 / パイロット 52 / 4, 108 / 6, 234 / 8 468 / 16

変調方式 BPSK, QPSK, 16QAM, 64QAM 256QAM

MCS 対応 0 to 7 8 and 9

MIMO ストリーム数 1 2 to 8 Tx beamforming, STBC Multi-user MIMO (MU-MIMO)

オペレーション・モード / PPDU フォーマット Very high throughput / VHT

4.パケットフォーマットとサブキャリア配置

フレーム構造内のプリアンブルとトレーニング・フィールドにより

受信機は物理層の規格を自動で認識します。802.11n と

802.11acのプリアンブルフォーマットを図 2に示します。

Legacy (non-HT, non-VHT) STF, LTF,や SIGは下位互換性を保

つために送信されます。

VHT プリアンブルを詳細に見ていくと、まず 20MHz よりも広い

帯域では Legacy フィールドはそれぞれの 20MHz サブバンドに

適切な位相回転をして複製されています。サブキャリアは Peak-

to-average Power ratio(PAPR)を減らすために 90 度または

180 度回転されます。VHT 伝送であることを示すため、そして自

動識別可能にするための VHT-SIG-A の 1 番目のシンボルは

BPSK となり、2番目の VHT-SIG-A シンボルは 90度位相が 回

転している BPSK(QBPSK)となります。802.11n の HT-SIG はど

ちらのシンボルも QBPSK 変調を用いているので VHT-SIG と

HT-SIG は異なっています。VHT-SIG-A フィールドは VHG パケ

ットの情報、すなわち 帯域、ストリーム数、ガード・インターバル、

コーディング、MCS、ビーム・フォーミングが要求されます。プリア

ンブル中の残りのフィールドは VHT デバイスのみに対して使用

されます。VHT-STF は MIMO における自動ゲイン・コントロール

の推定に使われます。次に受信機が送信と受信のアンテナ間

の MIMO チャネルを推測するためのロング・トレイニング・シー

ケンスがあります。VHT-LTF の数はスペース・タイム・ストリーム

の数に依ります。

1, 2, 4の VHT-LTFのマッピングは 802.11n と同じです。6 もしく

は 8の VHT-LTFが追加されています。

VHT-SIG-B フィールドはシングルもしくはマルチユーザモードに

おけるデータ長と MCS を記述しています。

次にサブキャリア配置について見ていきます。20MHz、40MHz

チャネルではサブキャリア数とパイロットは 802.11n と同じです。

80MHz チャネルに新規の値が定義されています。図 3、図 4 に

キャリア配置を示します。160MHz と 80+80MHz チャネルは 2

つの 80MHz と同様に定義されます。

まず、プリアンブル部分ですが、80MHz の帯域幅では 40MHz

の帯域幅のサブキャリア配置を 2 つならべ、160MHz の帯域幅

では 80MHz の帯域幅のサブキャリア配置を 2 つならべていま

す。一方、データ部分のサブキャリア配置は、80MHz の帯域幅

では 242本、160MHzの帯域幅では 484本のサブキャリア数と

なっています。

図 2 802.11n/ac のプリアンブルフォーマット

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図 3 キャリア配置 - プリアンブル

図 4 キャリア配置 – プリアンブル(左), データ(右)

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5.MCS Index MCS 番号は 802.11n と番号の付け方が変わりました。802.11n

では 0~76 までの番号ですべての状態を表していましたが

802.11ac では各帯域幅、ストリームの数において 0~9 までの

MCS 番号を使用し、変調方式、符号化率、GI 時間、データレー

トの状態を表す形に変更されました。

表 4 は 20MHz の帯域で 1 ストリームの時の状態になります。

Mandatory となっていますが MCS8, 9 は全条件で Optional で

す。表 5 は最大の帯域幅である 160MHz、最大のストリーム数

である 8 ストリーム時の状態になります。MCS9 の時、最大の転

送レート 6933.3Mbpsが実現されます。

表 4 VHT MCSs for mandatory 20MHz, NSS = 1 (MCS 8, 9は Option)

MCS

Index Modulation R NBPSCS NSD NSP NCBPS NDBPS NES

Data Rate(Mb/s)

800ns GI 400ns GI

0 BPSK 1/2 1 52 4 52 26 1 6.5 7.2

1 QPSK 1/2 2 52 4 104 52 1 13.0 14.4

2 QPSK 3/4 2 52 4 104 78 1 19.5 21.7

3 16-QAM 1/2 4 52 4 208 104 1 26.0 28.9

4 16-QAM 3/4 4 52 4 208 156 1 39.0 43.3

5 64-QAM 2/3 6 52 4 312 208 1 52.0 57.8

6 64-QAM 3/4 6 52 4 312 234 1 58.5 65.0

7 64-QAM 5/6 6 52 4 312 260 1 65.0 72.2

82 256-QAM 3/4 8 52 4 416 312 1 78.0 86.7

9

Note: MCS9 is invalid due to mod (NCBPS/NES, DR) not being equal to 0. R –Coding Rate, NBPSCS – Bits/Subcarrier (per Spatial Stream) , NSD – Modulated Data Symbols, NSP – Pilot Symbols, NCBPS – Coded Bits/Symbol, NDBPS – Data Bits / Symbol, NES –Data Field BCC Encoders

表 5 VHT MCSs for optional 160 MHz, NSS = 8

MCS

Index

Modulation R NBPSCS NSD NSP NCBPS NDBPS NES Data Rate(Mb/s)

800ns GI 400ns GI

0 BPSK 1/2 1 468 16 3744 1872 1 468.0 520.0

1 QPSK 1/2 2 468 16 7488 3744 2 936.0 1040.0

2 QPSK 3/4 2 468 16 7488 5616 3 1404.0 1560.0

3 16-QAM 1/2 4 468 16 14976 7488 4 1872.0 2080.0

4 16-QAM 3/4 4 468 16 14976 11232 6 NA 36120.0

5

6 64-QAM 3/4 6 468 16 22464 16848 8 4212.0 4680.0

7 64-QAM 5/6 6 468 16 22464 18720 9 4680.0 5200.0

8

9 256-QAM 5/6 8 468 16 29952 24960 12 6240.0 6933.3

Note: MCS9 is invalid due to mod (NCBPS/NES, DR) not being equal to 0.

2 MCS 8,9はオプションです

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6.Multi User MIMO 従来の WLAN 規格ではアクセスポイントとデバイス間は 1 スト

リームのみです。MIMO 伝送が 802.11n から取り入られること

により、2 つ以上の完全に分離した伝送・受信チェーンで通信す

ることが可能になりました。802.11n に用いられている MIMO の

目的は単一ユーザのデータレートを上げることです。ここでいう

“MIMO”すなわち”Multi Input Multi Output”の“Input”と“Output”

は RF コンポネンツを含む送信機と受信機の伝達経路、いわゆる

“チャネル“に対する入出力です。2 つの送信機を持ったアクセス

ポイントから 2 つのチャネルに入力がある場合”MI”と表し、逆に

2 つの受信機を持つデバイスに対してチャネルから 2 つの出力

がある場合”MO”と表します。

Single Input Single Output (SISO) は多くシステムにおける標準的な伝送モードです。より複雑な

システムの容量や測定されるデータレートは SISOと比較して表されます。

Single Input Multiple Output は受信ダイバーシティと呼ばれます。一つの送信機から単一のデ

ータストリームが 2つの受信機に送られます。S/Nが悪い場合の受信データの品質の向上が

目的です。エラー率や再送の減少によるデータレートの向上が期待できますがデータ容量は

変わりません。

Multiple Input Single Outputは送信ダイバーシティ技術です。送信機が同じデータを違うタイミン

グで送る”Space Time Block Coding”が信号のロバストネスを向上するために使われます。

左図にあるように独立したデータを 2 つの送信機と2つの受信機で送受する Multiple Input

Multiple Output は”Spatial Multiplexing”とも知られています。 それぞれの受信機は送信機から

の出力の合成であるチャネルの出力を見ます。チャネル推定技術を使って受信機は2つのデ

ータストリームを分け、データを復調するために行列式を用います。ストリーム間で最大の相

関除去ができる理想的な状態であればデータ容量は 2 倍になりますが実際にはシステムに

は必ずノイズが乗ります。S/Nが良くかつアンテナ間の相関が低いほど理論値に近づきます。

現在の 802.11nのコンシューマ・デバイスは MIMOをサポートしていても 2つの Spatial Stream

のみサポートしている製品が多くを占めています。最大ストリーム数が 8の 802.11acでも当面

は 2~4ストリーム程度となるのではないかと言われています。

802.11acに取り入られた新しい技術として Multi-user MIMO (MU-MIMO)があります。MU-MIMO

は個々のデバイスのデータレートは変えずに効率的にネットワーク全体のスループットを向上

します。802.11n で採用しているシングルユーザ MIMO 技術は、1 対 1 の通信ですのでアクセ

スポイントと 1 つのデバイスが通信している間、他のデバイスは通信できません。またアクセ

スポイントが MIMO 機能を持っていたとしても端末側が SISO であれば SISO 通信をすることに

なるためこの点からもシステムの効率は良くありません。

一方、MU-MIMO はアクセスポイントが持っている MIMO のストリームを各端末デバイスに割り

当て、各デバイスと同時通信が可能になりますのでシステム効率が上がります。802.11ac の

MU-MIMO は最大 4 ユーザ、1 ユーザにつき最大 4 ストリーム、1 システムあたり最大 8 ストリ

ームまでの使用が可能です。

図 5 伝送モード

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7.RFテスト項目 802.11ac の送信、受信テストを表 4 に示します。802.11n と似

ていますが 802.11ac で加わった規格をカバーするべくいくつか

新たな定義と仕様が追加されています。ここでは 802.11ac ドラ

フト仕様(Draft 3.1)から送信系の仕様、22.3.19 と受信系の仕

様 22.3.20 を引用しています。80、160MHz のスペクトラル・マ

スク試験は 100kHz の RBW, 30kHz の VBW で測定される

40MHz のマスクの拡張です。80+80MHz ではマスクは離れた

周波数における 80MHzマスクの和になります。(図 6)

表 6 テスト項目

送信系試験 受信系試験

Transmit Spectrum Mask Receiver Minimum input level sensitivity

Spectral Flatness Adjacent channel rejection

Transmit center frequency and symbol clock frequency tolerance Nonadjacent channel rejection

Modulation Accuracy – Transmit center frequency leakage – Transmitter constellation error and Transmitter modulation accuracy(EVM)

Receiver maximum input level

Clear channel assessment(CCA) sensitivity

RSSI

図 1 中心周波数が 160Mhz離れている場合の 80+80MHzモードのスペクトラル・マスク (出典元:IEEE P802.11ac™/D3.1)

表 7 は 802.11n と 802.11ac のスペクトラル・フラットネスの仕

様です。802.11ac Draft 3.1 で記載されているリミットは

802.11n-2009 で定められている 802.11n のリミットに対して

2dB 緩和されています。ちなみに 802.11-2012 では 802.11n

の 5GHz 帯の仕様が 802.11ac と同じ値に変更されました。

(2.4GHz帯では 802.11n-2009から変更はありません。)

表 8 は 802.11n と 802.11ac の Relative Constellation Error

(RCE) (= EVM)の仕様です。256QAM が追加されコーディング・

レート 5/6 のときに最も厳しい-32dB となります。また 802.11n

の 5GHz 帯における 64QAM, コーディング・レート 5/6 時の

EVM 仕様は 802.11n-2009 では-28dB, 802.11-2012 では

-27dB に変更になっています。こちらも 802.11ac に合わせる形

となっています。

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表 7 スペクトラル・フラットネスの仕様

帯域

(MHz)

平均パワーを算出するための

サブキャリア

テストするサブキャリア

インデックス

802.11n

最大偏差(dB)

IEE802.11n-2009

802.11ac

最大偏差(dB)

20 -16 ~-1 +1 ~+16

-16 ~-1 ,+1 ~+16 -28 ~-17, +17 ~+28

+/- 2 +2 / -4

+/- 4 +4 / -6

40 -42 ~-2 +2 ~+42

-42 ~-2, +2 ~+42 -43 ~-58, +43 ~+58

+/- 2 +2 / -4

+/- 4 +4 / -6

80 -84 ~-2 +2 ~+84

-84 ~-2, +2 ~+84 -122 ~-85, +85 ~+122

+/- 4 +4 / -6

160 -250 ~-6 +6 ~+250

-250 ~-6, +6 ~+250 +4 / -6

40 Non-HT Duplicate

-42 ~-33, -31 ~-6, +6 ~+31, +33 ~+42

-42 ~-33, -31 ~-6, +6 ~+31, +33 ~+42 -43 ~-58, +43~+58

+/- 2 +2 / -4

+/- 4 +4 / -6

80 Non-HT Duplicate

-84 ~-70, -58~ -33, -31 ~-6, +6 ~+31, +33 ~+58, +70 ~+84

-84 ~ -70, -58 ~-33, -31 ~-6, +6 ~+31, +33 ~+58, +70 ~+84 -122 ~-97, -95 ~-85, +85 ~+95, +97 ~+122

+/- 4 +4 / -6

表 8 Transmitter Relative Constellation Error (RCE) (=EVM)

Modulation Coding Rate 802.11n

RCE(dB)

802.11n-2009

802.11ac

RCE (dB)

BPSK 1/2 -5 -5

QPSK 1/2 -10 -10

QPSK 3/4 -13 -13

16QAM 1/2 -16 -16

16QAM 3/4 -19 -19

64QAM 2/3 -22 -22

64QAM 3/4 -25 -25

64QAM 5/6 -28 -27

256QAM 3/4 N/A -30

256QAM 5/6 N/A -32

8.まとめ 802.11ac は 1GB/s を達成するため 80MHz, 160MHz の広帯

域の追加、256QAM 変調の追加、MU-MIMO の採用といった技

術が採用されています。しかしながらこのような複雑な仕様を採

用することにより開発には 802.11n に比べ厳しいチャレンジが

必要であると言えるでしょう。キーサイト・テクノロジーでは

802.11acの 160MHz帯域、MIMO に対応した、送信・受信測定

ソリューションをご提供することが可能です。

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付録 A Keysight関連製品

信号生成ソリューション

N7617B Signal Studio for WLAN 802.11a/b/g/n/ac

Signal Studio は basic 802.11ac option (GFP) と advanced

802.11ac option (TFP)の 2 つのオプションがあります。使用する信

号が限定的である部品テストには GFP、受信機の感度測定などのテ

ストには TFPが推奨です。

主な特長:

BCC または LDPC チャネルコーディングを含む 802.11ac 信号の

生成

全ての変調とコーディング・レート(MCS 0-9)に対応

1台の信号発生器で 20, 40, 80, 160MHz帯域までの信号生成に

対応(最大帯域はハードウェアに依存)

RF コンバイナと 2 つの信号発生器を使うことにより 80+80MHz

信号の生成可能

柔軟な Spatial Stream 構成によりシングルまたは 4 ストリーム・

アンテナまでのマルチ・ユーザMIMO(MU-MIMO)に対応

信号発生器、N5172B, N5182A/B, E4438C, E8267D と N5106B

PXB ベースバンド・ジェネレータ+チャネル・エミュレータ(E8267D

は MIMO未対応)に対応

N5182B MXG Vector Signal Generator1

主な特長:

9 kHz ~ 6 GHz

内蔵ベースバンド・ジェネレータで 160 MHzまでの RF変調帯域

1GSa ベースバンド・メモリ搭載

外部 I/Q入力で 200 MHzバンド幅

ビルトイン I/Q スキューとチャネルコレクション機能で EVM 性能の

改善

複数の EXG のベースバンド・ジェネレータをシンプルに同期させ

MIMOに対応

オプション 012により MIMOのための位相同期を実現

N5172B EXG Vector Signal Generator1

主な特長:

9 kHz ~ 6 GHz

内蔵ベースバンド・ジェネレータで 120 MHzまでの RF変調帯域

512 MSa ベースバンド・メモリ搭載

外部 I/Q入力で 200 MHzバンド幅

ビルトイン I/Q スキューとチャネルコレクション機能で EVM 性能の

改善

複数の EXG のベースバンド・ジェネレータをシンプルに同期させ

MIMOに対応

オプション 012により MIMOのための位相同期を実現

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信号解析ソリューション

89600 Vector Signal Analysis Software Option BHJ 802.11ac 変調解析ソフトウェア

主な特長:

全ての帯域と変調方式に対応

自動またはマニュアル検出による 4Spatial streamに対応

EVM, OFDMエラー、IQパラメータ、シングルチャネルとクロスチャ

ネルパワー測定に対応

ストリームごとの EVM、チャネル周波数応答、チャネル・マトリック

ス、Condition Number を含む MIMO測定に対応

OFDMデータ・バースト情報と VHT-SIG情報の表示

様々なハードウェアの構成に対応しているので性能、帯域、チャ

ネル数の要求に柔軟に対応できます。

シグナルアナライザ、80000、90000シリーズオシロスコープ、PXI

モジュールなどに対応しています。

対応ハードウェアについて詳しくは Technical Overview 5990-

6389EN をご確認ください。

N9077A WLAN 802.11ac Measurements Application

主な特長:

全ての 802.11a/b/g/n/ac規格に対応

ワンボタンで IEEE規格、送信項目の Pass/Fail測定が可能

PXAなどの X-seriesシグナルアナライザの内部で駆動

容易に自動測定プログラムの構築が可能

N9030A PXA Signal Analyzer

主な特長:

2Hz – 最大 50GHz

最大 160MHz帯域

89600VSA と同様 25の内蔵測定アプリケーションに対応

表示平均雑音レベル -172dBm/Hz

残留 EVM 0.4%(実測値)

Wideband MIMO PXI Signal Analyzers

主な特長:

10 MHz ~ 26.5 GHz

4チャネルの位相同期可能なダウンコンバータを使用

最大 2GSa/s、12 bit レンジのデジタイザを使用

89600VSA と使用すること

最大 800 MHz帯域

1シャーシで最大 4チャネル搭載可能

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付録 B 関連文献 IEEE P802.11ac/D3.1

Testing New-generation Wireless LAN Application Note, 5990-8856EN

N7617B Signal Studio for WLAN 802.11a/b/g/n/ac

Technical Overview, 5990-9008EN

89601B/BN-B7R, 89601B/BN-B7R, 89601B/BN-B7Z WLAN

Modulation Analysis VSA Software Technical Overview, 5990-6389EN

MXG/EXG Xシリーズ標準信号源, 5990-9957JAJP

N9077A & W9077A WLAN X-series Measurement Application

Technical Overview, 5990-9642EN

Testing Very High Throughput 802.11ac Signals Application Note, 5990-9987EN

次世代 802.11ac無線 LAN トランスミッタのデザイン検証, 5990-9872JAJP

MIMOの基礎とMIMO受信機の性能試験, 5991-0671JAJP

MIMO無線 LAN物理層の測定, 5989-3443JAJP

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©Keysight Technologies. 2015 Published in Japan, August 13,2015 5991-1012JAJP 0000-08A

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