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悪性がんの検出に優れたモノクローナル抗体 Laminin-γ2鎖N末端部位に特異的なモノクローナル抗体(クローン:P2H) Web ページ番号 検索 68102 がん浸潤マーカーとして知られる Laminin-γ2 鎖の N 末端にあるプロテアーゼフラグメント γ2pf に対する抗 体です。γ2pf の生成量はがん組織の悪性度と相関があ ると考えられており,病理組織における浸潤性がん細胞 の検出や Laminin-γ2 鎖の機能解析に有用です。 本製品は横浜市立大学 木原生物学研究所 宮崎香名誉教授の研究成果 を元に製品化されました。 Laminin-γ2 鎖の N 末端フラグメント(pf ドメイン) と進行性がんについて Laminin-γ2 鎖は主に Lm332 のサブユニットの一つですが,浸潤 性がんでは γ2 鎖が単量体または β3-γ2 ヘテロ二量体として過剰に 発現することが,Lm332 の先駆的研究者である横浜市立大学 宮崎 香名誉教授らによって報告されています。これらの γ2 鎖は,BMP1 などのプロテアーゼによって限定分解され,γ2pfと呼ばれる45 kDa の N 末端断片を遊離します(下図参照)。宮崎名誉教授らは,γ2pf が切断された Lm332 本体は,分解前の完全長 Lm332 よりもがん 細胞の運動性を高めること,また,γ2pf 自体も浸潤促進活性を示す ことを報告しました。最近,最も N 末端側の領域(domain V)に 対する新規抗体クローン P2H を作製し,γ2pf がさらに小さい断片 に分解されることや,この小断片が血管の浸透性や細胞移動を促進 することなどを報告しています。また他のグループによって γ2N 末端断片ががん患者の血中や尿中で検出されることが報告されてい ます。このように,Laminin-γ2 鎖はがんの悪性増殖に深く関わる とともに,がんの診断マーカーとしても重要と考えられています。 このため,宮崎名誉教授らが開発した新規マウスモノクローナル抗 体(クローン:P2H)は,がん組織における γ2pf の機能解明のみ ならず,がんの病理解析やがんの診断にとっても優れたツールとし て期待されています。 Laminin-3A32 Static form Active form α3A β3 γ2 γ2 short arm Domain Ⅳ Clone P2H Domain Ⅴ NE3 NE2 NE1 NH2 γ2 N-terminal proteolytic fragment (γ2pf) Proteolytic cleavage site Proteolytic cleavage MEMO [メーカー:FNA] 品 名 (クローン名) Anti-Laminin-γ2 N-terminal Fragment P2H抗体種 マウスモノクローナル抗体 抗 原 ヒト組換え体 Laminin-γ2 N-terminal pf Domain(Domain サブタイプ IgG 2a 交差性 ヒト,マウス 性 状 マウス腹水(未精製) 適 用 IHC(frozen & paraffin sections),WB 特異性 Laminin-γ2 Domain -NE2 商品コード FDV-0025  包装/価格(¥) 100 μl / 40,000 ■原著文献・使用文献 1. Miyazaki, K., et al ., Cancer Sci ., 107 (12) , 1909~1918 (2016) . [PMID: 27685891] 使用例 クローン P2H による正常皮膚組織および皮膚がん組織の免疫組織染色例 上段:正常皮膚組織,下段:皮膚がん組織(いずれもパラフィン切片) 正常皮膚組織ではクローン P2H は上皮基底膜構造を染色しているのに対し,皮膚がんの 浸潤先進部位では,基底膜構造の染色は見られず,細胞質の強い染色が観察された。 肺扁平上皮がん組織における Laminin α3 鎖との比較(凍結切片) 肺扁平上皮がん組織の連続切片に対し,Laminin-332 と発現分布の比較のため,抗 γ 2pf 抗体(クローン:P2H)および抗 α3A 抗体(クローン:BG5, #FDV-0024)により 免疫組織染色を行った。Laminin-332(α3A)はがん細胞周辺の基底膜様構造の染色が 観察されるのに対し,γ2pfは基底膜様構造に加え,がん細胞の細胞質が染色されていた。 細胞質陽性のがん細胞では α3A 鎖がほとんど検出されない。 その他の肺がん組織の抗 γ2pf 抗体(クローン:P2H)による染色例 (凍結切片) 上段:扁平上皮がん,下段:腺がん。 いずれも浸潤先進部位のがん細胞の細胞質が強く染色されている。 Laminin-511(Lm511) の 三 量 体 構 造 を 特異的に認識する抗体(クローン:12D) Web ページ番号 検索 68103 こちらもオススメ Laminin-332 の α3 鎖バリアント特異的な 2 種類の抗体 Web ページ番号 検索 68101 こちらもオススメ フナコシニュース 2019 年 8 月 15 日号(No.686) funakoshi news 試薬  TEL 03 - 5684 - 1620 FAX 03 - 5684 - 1775  [email protected] 13

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悪性がんの検出に優れたモノクローナル抗体

Laminin-γ2鎖N末端部位に特異的なモノクローナル抗体(クローン:P2H)

Web ページ番号検索68102

がん浸潤マーカーとして知られる Laminin-γ2 鎖の N末端にあるプロテアーゼフラグメント γ2pf に対する抗体です。γ2pf の生成量はがん組織の悪性度と相関があると考えられており,病理組織における浸潤性がん細胞の検出や Laminin-γ2 鎖の機能解析に有用です。※本製品は横浜市立大学 木原生物学研究所 宮崎香名誉教授の研究成果

を元に製品化されました。

Laminin-γ2 鎖の N 末端フラグメント(pf ドメイン)と進行性がんについてLaminin-γ2 鎖は主に Lm332 のサブユニットの一つですが,浸潤性がんでは γ2 鎖が単量体または β3-γ2 ヘテロ二量体として過剰に発現することが,Lm332 の先駆的研究者である横浜市立大学 宮崎香名誉教授らによって報告されています。これらの γ2 鎖は,BMP1などのプロテアーゼによって限定分解され,γ2pf と呼ばれる 45 kDaの N 末端断片を遊離します(下図参照)。宮崎名誉教授らは,γ2pfが切断された Lm332 本体は,分解前の完全長 Lm332 よりもがん細胞の運動性を高めること,また,γ2pf 自体も浸潤促進活性を示すことを報告しました。最近,最も N 末端側の領域(domain V)に対する新規抗体クローン P2H を作製し,γ2pf がさらに小さい断片に分解されることや,この小断片が血管の浸透性や細胞移動を促進することなどを報告しています。また他のグループによって γ2N末端断片ががん患者の血中や尿中で検出されることが報告されています。このように,Laminin-γ2 鎖はがんの悪性増殖に深く関わるとともに,がんの診断マーカーとしても重要と考えられています。このため,宮崎名誉教授らが開発した新規マウスモノクローナル抗体(クローン:P2H)は,がん組織における γ2pf の機能解明のみならず,がんの病理解析やがんの診断にとっても優れたツールとして期待されています。

Laminin-3A32

Static form

Active form

α3A

β3 γ2

γ2 short arm

Domain Ⅳ

Clone P2H

Domain Ⅴ

NE3 NE2 NE1NH2

γ2 N-terminal proteolytic fragment(γ2pf)

Proteolytic cleavage site

Proteolytic cleavage

M E M O

[メーカー:FNA]

品 名 (クローン名)

Anti-Laminin-γ2 N-terminal Fragment(P2H)

抗体種 マウスモノクローナル抗体

抗 原 ヒト組換え体 Laminin-γ2 N-terminal pf Domain(Domain Ⅳ+Ⅴ)

サブタイプ IgG2a

交差性 ヒト,マウス

性 状 マウス腹水(未精製)

適 用 IHC(frozen & paraffin sections),WB

特異性 Laminin-γ2 Domain Ⅴ-NE2

商品コード FDV-0025 

FNA000025 包装/価格(¥) 100 μl / 40,000

■原著文献・使用文献

1. Miyazaki, K., et al., Cancer Sci., 107 (12), 1909~1918 (2016). [PMID: 27685891]

使用例

クローン P2H による正常皮膚組織および皮膚がん組織の免疫組織染色例上段:正常皮膚組織,下段:皮膚がん組織(いずれもパラフィン切片)正常皮膚組織ではクローン P2H は上皮基底膜構造を染色しているのに対し,皮膚がんの浸潤先進部位では,基底膜構造の染色は見られず,細胞質の強い染色が観察された。

肺扁平上皮がん組織における Laminin α3 鎖との比較(凍結切片)肺扁平上皮がん組織の連続切片に対し,Laminin-332 と発現分布の比較のため,抗 γ2pf 抗体(クローン:P2H)および抗 α3A 抗体(クローン:BG5, #FDV-0024)により免疫組織染色を行った。Laminin-332(α3A)はがん細胞周辺の基底膜様構造の染色が観察されるのに対し,γ2pfは基底膜様構造に加え,がん細胞の細胞質が染色されていた。細胞質陽性のがん細胞では α3A 鎖がほとんど検出されない。

その他の肺がん組織の抗 γ2pf 抗体(クローン:P2H)による染色例(凍結切片)

上段:扁平上皮がん,下段:腺がん。いずれも浸潤先進部位のがん細胞の細胞質が強く染色されている。

Laminin-511(Lm511)の三量体構造を特異的に認識する抗体(クローン:12D)

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こ ち ら も オ ス ス メ

Laminin-332 の α3 鎖バリアント特異的な2 種類の抗体

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検索68101

こ ち ら も オ ス ス メ

フナコシニュース 2019 年 8 月 15 日号(No.686)funakoshi news

マーカー抗体

試薬

  

TEL 03 -5684 -1620 FA

X 03 -5684 -1775 

 reagent@funako

shi.co.jp

掲載品はすべて研究用です

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