9
信頼性⼯学 第2回:信頼性解析の基礎数理1(確率論の基礎) 千葉⼤学 ⼤学院⼯学研究院 都市環境システムコース 岡野 http://okano-lab.tu.chiba-u.ac.jp/lecture/index.html 講義予定 1 1. 2020106⽇(⽕) 信頼性と信頼性⼯学(イントロダクション) 2. 20201013⽇(⽕) 信頼性解析の基礎数理1(確率論の基礎3. 20201020⽇(⽕) 信頼性解析の基礎数理2(信頼性の基本量) 4. 20201027⽇(⽕) 信頼性解析の基礎数理3(故障率と確率分布) 5. 20201110⽇(⽕) データの統計解析1(統計データ処理) 6. 20201117⽇(⽕) データの統計解析2(最尤法と確率紙) 7. 20201124⽇(⽕)データの統計解析3(検定) 8. 2020121⽇(⽕) 中間試験 9. 2020128⽇(⽕) システムの信頼性1(直列,並列,ブリッジシステム) 10. 20201215⽇(⽕)システムの信頼性2(パス・カットセット) 11. 20201222⽇(⽕)システムの信頼性3(FMEA, FTA, ETA12. 202115⽇(⽕) 破壊確率と信頼性指標 13. 2021119⽇(⽕) ベイズ推定 14. 2021126⽇(⽕) モンテカルロ法 15. 202122⽇(⽕) 期末試験 不確定性のもとでの設計と意思決定 ⼯学と不確定性 2 ⼯学では現状で得られる知識を⽤いて設計する必要があるが,設計 に必要な情報は完全なものではない。 完璧な理論が完成するまで物を作らずに待っているわけには⾏かな いし,完璧な予測能⼒を持つ理論はおそらくいつまでたっても完成し ないであろう。 したがって,⼯学では,多かれ少なかれ現実の世界の不完全なモデ ルに基づいて,設計⾏為を⾏わなければならない。 以上の状況で設計を⾏う際に, 想定し得る最⼤の荷重を定め,これまでに実験で得られた最⼩の強 度で設計したとすると,過度に安全側の設計となり⾼価になりやす い。 逆に荷重や強度の安全率を適当に定めて設計を⾏うと,荷重や強度 にふくまれるばらつきを過⼩評価して安全でない設計となる可能性 もある。 交通施設の計画・設計 不確定性のもとでの設計と意思決定 ⾼速道路 複数の構造形式の設計・施⼯にかかる費⽤の不確定性 舗装厚を薄くすれば初期費⽤は安くなるが,維持費・管理費が⾼く なるので,使⽤期間を考慮して総費⽤が最⼩となる均衡点を⾒いだ す必要がある。 舗装厚と耐⽤年数の関係が必要になるが,耐⽤年数は排⽔条件 ・温度差・路盤の締め固め度などの変数の関数となり,これら の変数はばらつきを持つ。 耐⽤年数には,交通量も影響するが,交通量の予測にはばらつ きが含まれる。 採算性 交通量予測

Lecture2 2020配布 - Chiba Universityokano-lab.tu.chiba-u.ac.jp/.../Lecture2_2020.pdf代表値(その2):中央値 16 0 0.5 1 x FxX xm FxXm 中央値は,累積分布が0.5になるときの確率変数の値xmである。つま

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信頼性⼯学第2回:信頼性解析の基礎数理1(確率論の基礎)

千葉⼤学 ⼤学院⼯学研究院 都市環境システムコース岡野 創http://okano-lab.tu.chiba-u.ac.jp/lecture/index.html

講義予定

1

1. 2020年10⽉ 6⽇(⽕) 信頼性と信頼性⼯学(イントロダクション)2. 2020年10⽉13⽇(⽕) 信頼性解析の基礎数理1(確率論の基礎)3. 2020年10⽉20⽇(⽕) 信頼性解析の基礎数理2(信頼性の基本量)4. 2020年10⽉27⽇(⽕) 信頼性解析の基礎数理3(故障率と確率分布)5. 2020年11⽉10⽇(⽕) データの統計解析1(統計データ処理)6. 2020年11⽉17⽇(⽕) データの統計解析2(最尤法と確率紙)7. 2020年11⽉24⽇(⽕)データの統計解析3(検定)8. 2020年12⽉1⽇(⽕) 中間試験9. 2020年12⽉8⽇(⽕) システムの信頼性1(直列,並列,ブリッジシステム)10. 2020年12⽉15⽇(⽕)システムの信頼性2(パス・カットセット)11. 2020年12⽉22⽇(⽕)システムの信頼性3(FMEA, FTA, ETA)12. 2021年 1⽉5⽇(⽕) 破壊確率と信頼性指標13. 2021年 1⽉19⽇(⽕) ベイズ推定14. 2021年 1⽉26⽇(⽕) モンテカルロ法15. 2021年 2⽉2⽇(⽕) 期末試験

不確定性のもとでの設計と意思決定

⼯学と不確定性

2

⼯学では現状で得られる知識を⽤いて設計する必要があるが,設計に必要な情報は完全なものではない。

完璧な理論が完成するまで物を作らずに待っているわけには⾏かないし,完璧な予測能⼒を持つ理論はおそらくいつまでたっても完成しないであろう。

したがって,⼯学では,多かれ少なかれ現実の世界の不完全なモデルに基づいて,設計⾏為を⾏わなければならない。

以上の状況で設計を⾏う際に, 想定し得る最⼤の荷重を定め,これまでに実験で得られた最⼩の強

度で設計したとすると,過度に安全側の設計となり⾼価になりやすい。

逆に荷重や強度の安全率を適当に定めて設計を⾏うと,荷重や強度にふくまれるばらつきを過⼩評価して安全でない設計となる可能性もある。

交通施設の計画・設計

3不確定性のもとでの設計と意思決定

⾼速道路

複数の構造形式の設計・施⼯にかかる費⽤の不確定性 舗装厚を薄くすれば初期費⽤は安くなるが,維持費・管理費が⾼く

なるので,使⽤期間を考慮して総費⽤が最⼩となる均衡点を⾒いだす必要がある。 舗装厚と耐⽤年数の関係が必要になるが,耐⽤年数は排⽔条件

・温度差・路盤の締め固め度などの変数の関数となり,これらの変数はばらつきを持つ。

耐⽤年数には,交通量も影響するが,交通量の予測にはばらつきが含まれる。

採算性 交通量予測

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不確定性のもとでの設計と意思決定

構造物の設計

4

強度の側のばらつき

材料強度 部材の強度 構造物の強度 部材の変形性能 構造物の変形性能

⼩(含コンクリート)

中⼩〜中

⼤さらに⼤

地震動の強さ

地震の発⽣確率 想定した震源による地震動強さの予測

⼤⼤

How safe is safe enough?

不確定性のもとでの設計と意思決定

不確定要因の分類

5

物理的不確定性 (physical uncertainty) 確率統計的な数学モデルで表現可能な不確定性

=randomness e.g. 使⽤(荷重)条件,材料特性,製造条件

統計的不確定性 (statistical uncertainty) 確率分布やパラメータを決定するためのデータ不⾜に起因

する不確定性; e.g. 地震/⾵などの荷重条件

モデルの不確定性 (model uncertainty) ⼊⼒に対する応答(出⼒)を求める解析的/数値モデルに

起因する不確定性: e. g. ⾮線形挙動の線形仮定,境界条件

事象と確率変数

確率変数

6

ある不確な量のとりうる範囲全体が実数軸Rに写像できる場合,その不確定量を確率変数Xを⽤いて表す。 確率的な事象で,事象を実数で表せるもの(写像できるもの)が

確率変数だという意味

確定的な変数と異なり,確率変数にはある領域の値をとる可能性を表す確率が付随する。

E1 E2

標本空間Sample Space Ω

E1 = ( a < X ≦ c) E2 = ( b < X ≦ d)

a b c d

確率変数X

R

事象event Ei

確率変数の種類

離散確率・連続確率

7

離散確率変数 (discrete random variable) 連続確率変数 (continuous random variable)

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離散確率変数

8

確率変数Xが離散値x1, x2, x3, ・・・ , xnをとる場合,その確率は,確率質量関数(probability mass function; PMF) pXで定義する。

( )Xp x 1 2( , , , )nx x x x (2.1)

0 ( ) 1Xp x

1( ) 1

n

X ii

p x

x1 x2 xnx3x

(2.2)

(2.3)

X:確率変数x:確率変数の実現値P[*]: *が起こる確率

確率分布関数(probability distribution function) 確率変数Xの累積[確率]分布関数(Cumulative Distribution Function, 以下CDF)

9

( )XF x

( ) ( )i

X X ix x

F x p x

( )XF x

(2.4)離散確率変数に関しては,確率質量関数 pXとの間に以下の関係が成り⽴つ。

(2.5)

x

1

01x 2x nx

階段関数

確率質量関数と累積分布関数の例コインを3回トスした場合の表が出る回数

10

0

0.1

0.2

0.3

0.4

0 1 2 3

0

0.2

0.4

0.6

0.8

1

0 1 2 3x

x

x1 = 0x2 = 1x3 = 2x4 = 3

p(x1) = 1/8p(x2) = 3/8p(x3) = 3/8p(x4) = 1/8

x1 = 0x2 = 1x3 = 2x4 = 3

FX(x1) =FX(x2) =FX(x3) =FX(x4) =

連続確率変数と確率分布関数連続確率変数Xは,連続区間内の値の数が無限であるため個々の値のとる確率は0になり,確率質量関数から定義することができなくなる。そこで,連続確率変数の場合は累積[確率]分布関数(CDF)から定義する。

11

連続確率変数Xの累積[確率]分布関数(CDF)

( ) [ ]XF x P X x

( )XF

( )XF

(2.4)

FX(x)の性質

単調増加(⾮減少)関数

)(xFX

x

1.0

0x

)(xFX

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累積分布関数と確率密度関数累積分布関数の微分として,確率密度関数(Probability Density Function,以下PDF)を定義する。

12

X X XX

F x x F x dF xf x

x dx

x

Xf x

x x x

Xf x x XF x

連続確率分布の⼀例:均⼀分布( )Xf x

a bx

1b a

( )XF x

a bx

1.0

メモ:確率の表記

13

離散確率変数 累積確率分布関数FX(x)

(⼤⽂字を使う)

確率質量関数pX(x)

(⼩⽂字を使う)

連続確率変数確率密度関数

fX(x)(⼩⽂字を使う)

Xf x

P(条件式):条件を満たす確率

何に関する確率を表しているかを⽰す。例えば,同じN/mm2で表される量でも強度なのか,作⽤している応⼒なのかの区別を⽰す。

⼤⽂字は累積確率分布を,⼩⽂字は質量や密度関数を表す。

微分(差分)

積分(総和)

確率変数の特性値確率分布は,累積分布関数(CDF)や確率密度関数(PDF,連続確率変数の場合)または確率質量関数(PMF,離散確率変数の場合)の形で記述され,その分布の⺟数(パラメータ)の値が決まれば,確率変数の確率特性は完全に記述することができる。

14

しかし,確率分布の関数形は不明のことがある。その場合には,特性値(main descriptor)を⽤いて確率変数の特性を近似的に表すのが便利であり,実際上もしばしばそれが必要になる。

確率分布の⺟数(パラメータ)は,特性値(main descriptor)の関数として求められる。

⺟数(パラメータ)特性値(main descriptor)

特性値(main descriptor)としては代表値とばらつきの指標が特に重要である。

代表値(その1):平均値

確率変数は値が異なれば発⽣する確率も異なることから,確率で重み付けして平均を取ることが重要である。その結果は平均値(mean)または期待値と呼ばれる。

15

E X Xf x

X

ここでEは期待値(Expectaion)を表す。

離散確率変数の平均値は,

1[ ] ( )

n

i X i Xi

E X x p x

Xx dx

確率変数がとりうる値は⼀定の幅があるから,その中で平均的な代表値を求めようと考えることは⾃然である。

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代表値(その2):中央値

16

0

0.5

1

x

XF x

mx

X mF x

中央値は,累積分布が0.5になるときの確率変数の値xmである。つまり, それ以下である確率とそれ以上である確率が等しい値のことである。

代表値として平均値以外に良く⽤いられるのは,中央値(メディアン;median)である。

この他に,最頻値が代表値として⽤いられることもある。最頻値は確率密度が最も⼤きい確率変数の値である。つまり表れる確率が最も⾼い値が最頻値である。

ばらつきの指標確率変数の値がどの程度広く(あるいは狭く)分布するかを表す何らかのばらつき指標(measure of dispersion)が必要になる。ばらつき指標としては,代表値のまわりにどの程度密集しているか,あるいは広くばらついているかが分かる指標が良い。このとき,代表値より正の側に隔たるか負の側に隔たるかは問わないので,関数の形は隔たり量の偶関数である必要がある。

17

このような要請を満たす量が分散(variance)σx2である。

2 2( )X XVar X E X

(2.9)

2 2( ) ( ) ( )X X XVar x E X x f x dx

確率密度関数を⽤いると分散は以下のように与えられる。

確率変数のモーメント

連続確率変数Xのn次モーメントは次式で与えられる。

18

( )XE X x f x dx

2 2( ) ( ) ( )X X XE X x f x dx

連続確率変数Xのn次中央モーメントは次式で与えられる。

確率変数の特性値は,確率変数のモーメントとして表すことができる。

分散,標準偏差,変動係数ばらつき指標の分散は,元の確率変数の2乗であることから,⼤⼩を直感的に捉えにくい。そのため,分散の平⽅根をとった標準偏差がばらつき指標として良く⽤いられる。

19

X

X X X X

X Var X

ばらつきは割合で表した⽅が捉えやすいので,標準偏差を平均値で基準化した変動係数vXもしばしば⽤いられる。

Xv (2.10)

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平均値,分散,変動係数の例均⼀分布

20

)( xf X

a bx

0

ab 1

X

2X

X

3

12BHI

平均値

分散

変動係数

幅B⾼さHの中⽴軸まわりの断⾯2次モーメント

1 ,B H b ab a

多次元確率変数(multiple random variable)多次元確率変数=確率ベクトル

21

1 2, , , TnX X XX

結合確率分布関数(joint probability distribution function)

1 2, , , 1 2

1( ) , , , ( )

n

n

X X X n i ii

F F x x x P X x

X x (2.11)

確率ベクトルが連続分布の場合,偏微分により結合確率密度関数 fX(x)が定義できる.

1 2, , , 1 2

1 2

( )( ) , , ,n

n

X X X nn

Ff f x x xx x x

X

Xxx

逆に,FX(x)はfX(x)のn重積分で求まる

1 2

1 2 1 2( ) ( ) ' , ' , , ' ' ' 'nxx x

n n

n fold

F f d f x x x dx dx dx

x

X X Xx x x

(2.12)

(2.13)

多次元確率分布の例:2次元正規分布

22

1 1 2 2

1 2

1 1 2 21 2

2 2

1 1 2 2, 1 2 22

1 1( , ) exp 22(1 )2 1

X X X XX X

X X X XX X

x x x xf x x

1 2, 1 2( , )X Xf x x1 2, 1 2( , )X XF x x

確率密度 確率分布多次元確率密度と1次元確率密度

周辺確率分布周辺確率密度関数(marginal probability density function)

23

1 2 1 1 1

( 1)

( ) , , ,iX i n i i n

n fold

f x f x x x dx dx dx dx

X

(2.14)

iだけ抜けている

周辺確率分布関数(marginal probability distribution function)

( ) , , , , , ,iX i iF x F x X

( ) i

i

XX i

i

Ff x

x

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条件付き確率分布条件付き確率密度関数(conditional probability density function)とは確率ベクトルの中の⼀部分の確率変数が特定の値をとるという条件下で、残るほかの確率変数の確率密度関数を表す。

24

1 2 1 2( )X Xf x x (2.15)

2次元の場合,

条件付き確率分布関数(conditional probability distribution function)

1 2 1 2( )X XF x x

1 2

1 2

1 21 2

1

( )( ) X X

X X

F x xf x x

x

1 2, 1 2,X Xf x x

2 2Xf x

1 1Xf x

結合密度,周辺密度,条件付き密度関数

25

x=aに固定したとき結合条件付き確率密度関数

結合確率密度関数

周辺確率密度関数

周辺確率密度関数

統計的に独⽴(statistically independent)もし2つの確率変数が独⽴なら条件付き確率密度関数は,

26

22 1 2 1 2( ) ( )XX Xf x x f x

1 2, 1 2( , )X Xf x x

11 2 1 2 1( ) ( )XX XF x x F x

22 1 2 1 2( ) ( )XX XF x x F x

1 2, 1 2( , )X XF x x

11 2 1 2 1( ) ( )XX Xf x x f x(2.16)

同様に,条件付き確率分布関数は,

共分散と相関係数2つの確率変数の共分散(covariance)は,平均値回りの結合中央モーメントで表される。

27

1 21 2 1 2, [( )( )]X XCov X X E X X

1 2,X X

1 2,1 1X X

1 2, 0X X

1 21 2[ ] X XE X X

相関係数(coefficient of correlation):標準偏差で規準化した共分散

(2.17)

(2.18)

相関係数の値は の範囲ならばX1とX2は無相関

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相関係数と散布図

X1とX2が独⽴なら無相関X1とX2が無相関でも独⽴とは限らない

28

相関係数が0で独⽴で無い例

29

0

1

2

3

4

0 1 2 3 4

x y xy1.00 2.00 2.001.29 2.71 3.502.00 3.00 6.002.71 2.71 7.333.00 2.00 6.001.00 2.00 2.001.29 1.29 1.672.00 1.00 2.002.71 1.29 3.503.00 2.00 6.00

E[X]=2.0 E[Y]=2.0 E[XY]=4.0 ρXY=0.0

2 22 2 1x y

y

x

信頼性⼯学の⽤語:信頼度,故障確率,リスク

30

信頼度をRとする

不信頼度すなわち故障(破損)確率PfはPf = 1 − R

リスク 故障によって⽣じる損害がDで与えられるとリスクは,

fRisk D P

リスク=損傷が起きたときの損害額×損傷が起こる確率

リスク≠故障確率

※ 通常は,故障確率をリスクと呼んでいる

世界の⼤都市域の災害リスク指数(ミュンヘン再保険会社)

31

710 東京・横浜

92 大阪・神戸・京都42 ニューヨーク

167 サンフランシスコ湾岸

100 ロスアンジェルス

No. 1

No. 4

No. 6

No. 3

No. 2

ハザード:地震、台風等、水害、その他の発生危険性

脆弱性:住宅の構造特性、住宅密度、都市の安全対策水準の3指標から構成

経済上の影響規模に関連する指標:各都市の家計、経済水準等に基づく

リスク=ハザードx脆弱性xストック

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信頼性⼯学の⽤語:保全度,アベイラビリティ

32

保全性(maintainability):システムが故障した場合の”直しやすさ”

保全度(maintainability):保全性の定量的な尺度.故障したシステムの修理が規定期間内に完了する確率.

アベイラビリティ(availability):信頼度と保全度を組み合わせた評価尺度ある使⽤条件のもとで特定の期間内にシステムが所定の機能を発揮している確率

アベイラビリティ

33

A(アベイラビリティ)U(動作可能時間)D(動作不能時間)

0

D D D

U U

DUUA

またはMTBF:平均故障間隔(mean time between failures)MTTR:平均修復時間(mean time to repair)

MTTRMTBFMTBFA

アベイラビリティを⼤きくするにはMTBFを⼤きくする(信頼性(耐久性)の向上)MTTRを⼩さくする(保全性の向上)