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(57) LED LED D- LED HepG2 LED HepG2 LED JP 2005-65977 A 2005.3.17

LED D- HepG2 LEDkantan.nexp.jp/pat_pdf/A/2005/77/2005065977.pdf緑色の発光ダイオード(LED)を照射することにより、 その増殖を抑制する癌細胞抑制法。希少糖は好ましくは

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(57)【要約】

【課題】 医学と工学分野両方にまたがるLEDと希少糖

を用いた癌細胞の抑制方法の提供。

【解決手段】 癌細胞に、希少糖の存在下で青色または

緑色の発光ダイオード(LED)を照射することにより、

その増殖を抑制する癌細胞抑制法。希少糖は好ましくは

D-アロースである。癌細胞に希少糖を作用した後LEDを

照射する。癌細胞は、肝臓癌細胞(HepG2細胞)である

。青色または緑色の発光ダイオード(LED)を照射する

。癌細胞は、肝臓癌細胞(HepG2細胞)であり、緑色の

発光ダイオード(LED)を照射することで、該細胞をほ

ぼ全部死滅に至らせる。

【選択図】    図1

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【 特 許 請 求 の 範 囲 】【 請 求 項 1 】  癌 細 胞 に 、 希 少 糖 の 存 在 下 で 青 色 ま た は 緑 色 の 発 光 ダ イ オ ー ド ( LED) を 照 射 す る こ とに よ り 、 そ の 増 殖 を 抑 制 す る 癌 細 胞 抑 制 法 。【 請 求 項 2 】  希 少 糖 が D-ア ロ ー ス で あ る 請 求 項 1 の 癌 細 胞 抑 制 法 。【 請 求 項 3 】  癌 細 胞 に 希 少 糖 を 作 用 し た 後 LEDを 照 射 す る 請 求 項 1 ま た は 2 の 癌 細 胞 抑 制 法 。【 請 求 項 4 】  癌 細 胞 が 、 肝 臓 癌 細 胞 ( HepG2細 胞 ) で あ る 請 求 項 1 、 2 ま た は 3 の 癌 細 胞 抑 制 法 。【 請 求 項 5 】  青 色 ま た は 緑 色 の 発 光 ダ イ オ ー ド ( LED) を 照 射 す る 請 求 項 1 な い し 4 の い ず れ か の 癌細 胞 抑 制 法 。【 請 求 項 6 】  癌 細 胞 が 、 肝 臓 癌 細 胞 ( HepG2細 胞 ) で あ り 、 緑 色 の 発 光 ダ イ オ ー ド ( LED) を 照 射 す るこ と で 、 該 細 胞 を ほ ぼ 全 部 死 滅 に 至 ら せ る 請 求 項 4 の 癌 細 胞 抑 制 法 。

【 発 明 の 詳 細 な 説 明 】【 技 術 分 野 】【 0 0 0 1 】  本 発 明 は 、 LEDと 希 少 糖 に よ る 癌 細 胞 の 抑 制 方 法 に 関 す る 。【 背 景 技 術 】【 0 0 0 2 】  放 射 線 治 療 は 、 手 術 、 抗 が ん 剤 治 療 (化 学 療 法 )と 並 ぶ ガ ン 治 療 の 3本 柱 の 一 つ で あ る 。他 の 2つ に 比 べ て 副 作 用 が 少 な く 、 放 射 線 量 や 照 射 時 間 に よ っ て 、 ご く 初 期 か ら 末 期 ガ ンの 治 療 ま で 幅 広 く 使 わ れ て い る 。 放 射 線 と は 光 と 同 じ 空 間 を 伝 わ る エ ネ ル ギ ー の 一 種 で 発生 方 法 に よ っ て 様 々 な 種 類 が あ る が 、 光 よ り も 物 質 を 突 き 抜 け る 力 が 強 い 。 放 射 線 は 1895年 に レ ン ト ゲ ン 博 士 に よ っ て 発 見 さ れ た が 、 も う 翌 年 に は 放 射 線 を 使 っ た 治 療 が 行 わ れ はじ め た 。 現 在 で は 、 治 療 部 位 の 深 さ に 応 じ て 十 分 な 量 の 放 射 線 を 照 射 す る 装 置 の 開 発 が され た こ と や コ ン ピ ュ ー タ の 発 達 に よ る 照 射 方 法 の 技 術 の 進 歩 に よ っ て 、 局 所 に 集 中 し て 、必 要 な 量 を 必 要 な 部 位 の み に 照 射 で き る よ う に な っ て き た 。 治 療 に 使 わ れ る 放 射 線 は 、 昔は コ バ ル ト 60(60Co)や セ シ ウ ム 137(137Cs)か ら 発 生 す る ガ ン マ 線 (γ 線 )を 利 用 し て い た 。現 在 で は 、 電 子 銃 に よ っ て 電 子 を 発 生 さ せ 、 加 速 器 に か け 電 子 に 高 エ ネ ル ギ ー を 与 え た 電子 線 や 、 そ の 電 子 線 を 銅 や 金 、 白 金 な ど に ぶ つ け て 発 生 さ せ る X線 が 主 流 と な っ て い る 。放 射 線 治 療 は 根 治 治 療 か ら 予 防 的 治 療 ま で こ な せ る 応 用 範 囲 の 広 さ や 患 者 の 負 担 が 比 較 的少 な い 点 が メ リ ッ ト と し て 挙 げ ら れ る 。 し か し 、 ガ ン 細 胞 を 殺 す た め に は 正 常 な 細 胞 に も放 射 線 を 照 射 せ ざ る を 得 な い 。 そ の た め 、 副 作 用 は 避 け ら れ な い 両 刃 の 剣 と 言 え る 。 い かに 正 常 な 細 胞 を 避 け 、 ガ ン 細 胞 だ け に 放 射 線 を 当 て る か が 、 放 射 線 治 療 に 求 め ら れ て い る。【 0 0 0 3 】  現 在 、 医 学 分 野 に お い て 放 射 線 治 療 に 代 わ る 、 新 し い 治 療 法 と し て 注 目 さ れ て い る の が、 光 を 用 い た 光 線 力 学 的 療 法 (Photo Dynamic Therapy:PDT)で あ る 。 実 際 に PDTを 用 い た ガン 治 療 で は 、 レ ー ザ 光 照 射 の 48時 間 前 に 患 者 の 体 内 に ポ ル フ ィ リ ン と い う 物 質 を 投 与 す る。 ポ ル フ ィ リ ン と は 、 光 感 受 性 物 質 で 成 長 の 早 い 細 胞 や 腫 瘍 に 対 し て 親 和 性 を 持 っ て お り、 紫 外 線 を 受 け る と 赤 色 蛍 光 を 発 す る と い う 性 質 を 有 す る 。 ま た 、 強 い 光 を 受 け る と 活 性酸 素 を 発 生 さ せ る 。 こ の よ う な ポ ル フ ィ リ ン を 投 与 し た の ち 、 400nm付 近 の 紫 外 線 を 照 射す る と 腫 瘍 部 分 が 赤 色 蛍 光 色 (630nm~ 690nm)を 発 す る 。 そ こ で こ の 腫 瘍 部 だ け を め が け て630nm(赤 色 )の レ ー ザ 光 を 照 射 す る と 、 腫 瘍 組 織 と 結 び つ い た ポ ル フ ィ リ ン は 活 性 酸 素 を発 生 し ガ ン 細 胞 を 壊 死 さ せ る 。 こ の 光 線 力 学 的 療 法 の 効 果 的 応 用 に つ い て の さ ら な る 研 究が 求 め ら れ て い る 。

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【 0 0 0 4 】  白 血 病 は 血 液 の ガ ン と も 呼 ば れ る 病 気 で あ る 。 人 間 の 血 液 に は 3種 類 の 血 球 (赤 血 球 、 白血 球 、 血 小 板 )が あ り 、 白 血 病 は こ れ ら の 元 と な る 造 血 幹 細 胞 が 骨 髄 の 中 で 腫 瘍 化 (ガ ン 化)し た も の で あ る 。 こ の た め 、 正 常 な 血 球 が 作 ら れ な く な る こ と に よ り 様 々 な 症 状 を 引 き起 こ す 。  一 例 と し て は 、  1 ) 赤 血 球 の 減 少 に よ り 、 体 内 組 織 や 細 胞 へ の 酵 素 供 給 能 力 が 落 ち 、 貧 血 が お こ り や すく な る  2 ) 白 血 球 の 減 少 に よ り 、 抵 抗 力 が 落 ち て 風 邪 な ど の 感 染 症 に か か り や す く な る  3 ) 血 小 板 の 減 少 に よ り 、 傷 口 か ら の 出 血 が 止 ま り に く く な るな ど が 挙 げ ら れ る 。  白 血 病 に は 、 急 性 骨 髄 性 白 血 病 、 慢 性 骨 髄 性 白 血 病 、 急 性 リ ン パ 性 白 血 病 、 慢 性 リ ン パ性 白 血 病 、 成 人 T細 胞 白 血 病 な ど が あ る 。 こ れ ら の 白 血 病 は 細 胞 の 形 、 性 質 の 違 い に よ り区 別 さ れ る 。  白 血 病 の 原 因 に は 遺 伝 子 の 先 天 性 異 常 、 放 射 線 被 ば く 、 化 学 物 質 汚 染 、 な ど さ ま ざ ま な原 因 が あ る 。 治 療 法 と し て は 化 学 療 法 、 放 射 線 治 療 、 骨 髄 移 植 を 組 み 合 わ せ た 複 合 治 療 が一 般 的 で あ る 。 化 学 療 法 と 放 射 線 治 療 で 一 時 的 に 白 血 病 細 胞 が 減 少 し 、 ほ ぼ 完 治 し た と 思わ れ る 期 間 (寛 解 期 )が あ る 。 こ の 期 間 が ず っ と 続 け ば 完 治 と 言 え る が 、 た い て い の 場 合 、再 発 し て し ま う 。 こ う な る と 病 気 を 完 治 さ せ る た め に は 骨 髄 移 植 が 必 要 と な る 。  骨 髄 移 植 は 、 造 血 幹 細 胞 移 植 と も 言 わ れ 、 健 康 な 人 か ら 正 常 な 造 血 幹 細 胞 を 提 供 し て もら い 、 そ れ を 白 血 病 患 者 に 移 植 す る 治 療 法 で あ る 。 骨 髄 移 植 と 呼 ば れ る の は 、 そ の 造 血 幹細 胞 が 骨 髄 液 の 中 に 含 ま れ る た め で あ る 。 し か し 、 こ の 治 療 法 は 、 患 者 と ド ナ ー の ヒ ト 白血 球 抗 原 (HLA)と 呼 ば れ る も の が 一 致 し な け れ ば な ら な い 。 移 植 に 関 係 す る HLAは 6種 類 あり 、 こ れ ら が 5ま た は 6種 類 一 致 し な け れ ば 移 植 が で き な い 。 そ の 一 致 す る 確 率 は 、 兄 弟 、姉 妹 の 場 合 で 25%、 両 親 、 叔 父 、 叔 母 、 従 兄 弟 で は 1%以 下 と 大 変 低 い 。 非 血 縁 関 係 の 人 で一 致 す る 確 率 は 1万 人 か ら lOO万 人 に 1人 と 言 わ れ て い る 。 現 在 で は 、 骨 髄 バ ン ク の 登 録 者が 増 え 、 非 血 縁 関 係 で も 合 致 す る 人 が 増 え て き て い る 。  ま た 、 最 近 で は 赤 ち ゃ ん の へ そ の 緒 に あ る 血 液 (臍 帯 血 )に も 造 血 幹 細 胞 (臍 帯 血 幹 細 胞と 呼 ば れ る )が 多 く 含 ま れ て い る こ と が わ か り 、 そ の 臍 帯 血 を 利 用 し た 臍 帯 血 移 植 も 行 われ て い る 。 し か し 、 臍 帯 血 は 採 取 で き る 量 が 少 な い と い う 欠 点 が あ る 。  こ の 他 に も 様 々 な 治 療 法 が 行 わ れ つ つ あ る が 、 骨 髄 移 植 に 代 わ る よ う な 方 法 は ま だ 確 立さ れ て い な い 。【 0 0 0 5 】  植 物 の 生 育 に と っ て 光 は 欠 か せ な い 要 素 で あ る 。 し か し 、 光 が 人 間 や 動 物 に ど の よ う な作 用 を 及 ぼ す か は 、 今 日 で も ま だ よ く わ か っ て い な い 。 特 に 強 力 な 単 色 光 が 人 間 や 動 物 の生 体 細 胞 に 対 し て ど の よ う な 影 響 を 及 ぼ す か は ま っ た く 未 知 の 状 況 で あ る 。 1990年 代 は じめ 、 日 亜 化 学 工 業 が 1 cdと い う 非 常 に 明 る い 青 色 LED( Light-Emitting Diode: 発 光 ダ イオ ー ド ) を 発 表 し 、 赤 色 お よ び 緑 色 の LEDと 併 せ て 、 色 の 三 原 色 が 揃 い す べ て の 色 が 表 示可 能 に な っ た 。 本 発 明 者 ら は 、 LEDを 従 来 に な い 新 し い 光 源 と 位 置 づ け 、 応 用 研 究 を 行 って い る 。 LEDは 、 低 電 力 か つ 非 常 に 長 時 間 安 定 し た 光 を 放 つ 。 LEDを 従 来 の 蛍 光 灯 に 代 わ る新 し い 光 源 と し て 植 物 栽 培 や イ カ つ り 漁 船 の ラ イ ト な ど 、 世 界 に 類 を 見 な い ユ ニ ー ク な 研究 を 行 っ て き た 。 本 発 明 者 ら は 、 1997年 、 青 カ ビ の 増 殖 が 青 色 LED光 に よ り 抑 制 さ れ る こと を 見 い だ し 、 1999年 に は ポ ル フ ィ リ ン を 微 量 添 加 し た 培 地 で 白 血 病 細 胞 を 培 養 し 、 こ れに 様 々 な 発 光 色 の LEDを 照 射 し た と こ ろ 、 青 色 な い し 緑 色 の LED光 に よ り 細 胞 が 死 滅 す る こと を 発 見 し た ( 非 特 許 文 献 1 、 2 ) 。【 0 0 0 6 】  一 方 、 希 少 糖 と は 、 糖 の 基 本 単 位 で あ る 単 糖 の う ち 、 自 然 界 に 大 量 に 存 在 す る D-グ ル コー ス ( ブ ド ウ 糖 ) に 代 表 さ れ る 「 天 然 型 単 糖 」 に 対 し て 、 自 然 界 に 微 量 に し か 存 在 し な い単 糖 を 「 希 少 糖 」 と 定 義 付 け て い る 。 単 糖 は 全 部 で 59種 類 あ り 、 そ の う ち 天 然 型 単 糖 は 7種 類 、 希 少 糖 は 52種 類 確 認 さ れ て い る 。

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  希 少 糖 の 存 在 量 は 非 常 に 少 な く 、 例 え ば D-ア ロ ー ス は 、 D-グ ル コ ー ス ( ブ ド ウ 糖 ) に 比べ て 非 常 に 存 在 量 が 少 な く 、 入 手 が 困 難 で あ っ た 。 そ の た め こ れ ま で 希 少 糖 を 用 い た 研 究が 進 ん で い な か っ た 。  近 年 、 香 川 大 学 農 学 部 が 一 部 の 希 少 糖 の 生 産 に 成 功 し 、 大 量 の 希 少 糖 を 使 っ た 応 用 研 究が 可 能 と な っ た 。 香 川 医 科 大 学 に お い て 行 わ れ た 医 学 分 野 に お け る 希 少 糖 の 応 用 研 究 の 成果 の う ち 、 本 出 願 の 発 明 に 関 係 の 深 い 、 別 途 出 願 中 の 明 細 書 の 中 か ら い く つ か の 例 を 挙 げて み る と 次 の よ う に な る ( 特 許 文 献 1 ) 。  1 ) 肝 臓 の 手 術 は 、 時 間 的 な 問 題 か ら 肝 機 能 障 害 等 の 問 題 が 起 き る 。 長 時 間 肝 臓 へ の血 流 を 止 め た 状 態 ( 虚 血 ) が 続 く と 、 再 び 血 液 が 流 れ 始 め た 時 に 肝 臓 内 の 白 血 球 か ら 活 性酸 素 が 大 量 に 発 生 し 、 肝 機 能 に 障 害 が 起 き る お そ れ が あ る 。 こ の よ う な 問 題 に 対 し て 、 手術 前 に D-ア ロ ー ス を 注 射 し 、 活 性 酸 素 の 産 生 抑 制 を 試 み た 結 果 、 肝 機 能 障 害 が 抑 制 さ れ た( 虚 血 保 護 作 用 ) 。  2 ) 脳 の 海 馬 は 、 短 期 記 憶 を 司 る 器 官 で あ る 。 海 馬 は 、 虚 血 に も っ と も 弱 い 部 分 で あり 虚 血 が 長 く 続 く と 、 活 性 酸 素 に よ り 神 経 細 胞 が 死 滅 し 記 憶 障 害 が 発 生 す る 。 海 馬 に D-アロ ー ス を 作 用 し 、 虚 血 を 人 為 的 に 起 こ し 、 神 経 細 胞 の 生 存 に 関 す る 比 較 実 験 を 行 っ た と ころ 、 D-ア ロ ー ス を 作 用 し た 海 馬 の 神 経 細 胞 は 8割 程 度 残 っ て い た の に 対 し 、 D-ア ロ ー ス を作 用 し て い な い 海 馬 の 神 経 細 胞 は 5分 間 で ほ ぼ 全 滅 だ っ た 。  3 ) 癌 細 胞 は 培 養 液 に よ り 十 分 な 栄 養 と 酸 素 を 供 給 す れ ば 急 速 に 増 殖 す る 。 こ の 培 養 液に D-ア ロ ー ス を 作 用 す る と 、 癌 細 胞 の 増 殖 が 抑 制 さ れ る 。【 特 許 文 献 1 】 国 際 特 許 出 願 P C T / J P 0 3 / 0 6 4 0 5【 非 特 許 文 献 1 】 Kensho Okamoto 他 2 名 、 Technical Digest of the Pacific Rim conference on Lasers and Electro-Optics 1999, Vol.3, 1012-1013 (1999)【 非 特 許 文 献 2 】 Hiroshi Kamano, Kensho Okamoto 他 3 名 、 Technical Digest of the Pacific Rim conference on Lasers and Electro-Optics 1999, Vol.3, 1006-1007(1999)【 発 明 の 開 示 】【 発 明 が 解 決 し よ う と す る 課 題 】【 0 0 0 7 】  青 色 LED光 と ポ ル フ ィ リ ン を 用 い た 白 血 病 細 胞 の 死 滅 ( 非 特 許 文 献 1 、 2 ) 、 香 川 医 科大 学 で の 希 少 糖 を 用 い た 癌 細 胞 の 抑 制 効 果 の 研 究 ( 特 許 文 献 1 ) を ふ ま え 、 本 発 明 は 、 医学 と 工 学 分 野 両 方 に ま た が る LEDと 希 少 糖 を 用 い た 癌 細 胞 の 抑 制 方 法 の 提 供 を 目 的 と す る。  非 特 許 文 献 1 、 2 に よ る と 、 LED光 の 照 射 に よ り 、 腫 瘍 組 織 と 結 び つ い た ポ ル フ ィ リ ンは 活 性 酸 素 を 発 生 し ガ ン 細 胞 を 壊 死 さ せ る 研 究 報 告 を ふ ま え る と 、 こ の 光 線 力 学 的 療 法 のメ リ ッ ト は 、 非 切 開 で あ り 、 放 射 線 治 療 、 化 学 療 法 に 比 べ て 健 康 な 部 分 へ の 影 響 が 少 な く、 副 作 用 も ほ と ん ど な い 。 た だ し 、 光 を 照 射 す る 必 要 が あ る の で 、 皮 膚 ガ ン な ど の 表 在 性の ガ ン 、 白 血 病 細 胞 の よ う に 体 外 循 環 さ せ る こ と に よ り 照 射 が 可 能 な ガ ン 、 開 腹 手 術 な どで 腫 瘍 部 を 露 出 さ せ る こ と に よ り 照 射 が 可 能 な ガ ン 、 も し く は 肺 、 食 道 、 胃 、 大 腸 、 子 宮な ど に 生 じ た ガ ン で 光 フ ァ イ バ ー を 介 し て 照 射 が 可 能 な 場 合 の み に 限 定 さ れ る も の で あ る。 本 発 明 は 、 こ の よ う な LED照 射 と 希 少 糖 の 作 用 と の 併 用 に よ り 、 癌 細 胞 を 効 果 的 に 抑 制す る こ と を 目 的 と す る 。【 課 題 を 解 決 す る た め の 手 段 】【 0 0 0 8 】  本 発 明 は 、 以 下 の (1 )な い し (5 )の 癌 細 胞 抑 制 法 を 要 旨 と し て い る 。  (1 ) 癌 細 胞 に 、 希 少 糖 の 存 在 下 で 赤 色 ま た は 緑 色 の 発 光 ダ イ オ ー ド ( LED) を 照 射 す るこ と に よ り 、 そ の 増 殖 を 抑 制 す る 癌 細 胞 抑 制 法 。  (2 ) 希 少 糖 が D-ア ロ ー ス で あ る 上 記 の (1 )の 癌 細 胞 抑 制 法 。  (3 ) 癌 細 胞 に 希 少 糖 を 作 用 し た 後 LEDを 照 射 す る 上 記 の (1 )ま た は (2 )の 癌 細 胞 抑 制 法。  (4 ) 癌 細 胞 が 、 肝 臓 癌 細 胞 ( HepG2細 胞 ) で あ る 上 記 の (1 )、 (2 )ま た は (3 )の 癌 細 胞抑 制 法 。

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  (5 ) 青 色 ま た は 緑 色 の 発 光 ダ イ オ ー ド ( LED) を 照 射 す る 上 記 の (1 )な い し (4 )の い ずれ か の 癌 細 胞 抑 制 法 。  (6 ) 癌 細 胞 が 、 肝 臓 癌 細 胞 ( HepG2細 胞 ) で あ り 、 緑 色 の 発 光 ダ イ オ ー ド ( LED) を 照射 す る こ と で 、 該 細 胞 を ほ ぼ 全 部 死 滅 に 至 ら せ る 上 記 の (4 )の 癌 細 胞 抑 制 法 。で あ る 。【 発 明 の 効 果 】【 0 0 0 9 】  本 発 明 は 、 医 学 と 工 学 分 野 両 方 に ま た が る LEDと 希 少 糖 を 用 い た 癌 細 胞 の 抑 制 方 法 を 提供 す る こ と が で き る 。【 発 明 を 実 施 す る た め の 最 良 の 形 態 】【 0 0 1 0 】  細 胞 へ の 光 照 射 の 準 備 段 階 と し て 実 験 に 必 要 な 赤 色 ( R) 、 緑 色 ( G) 、 青 色 ( B) LEDパネ ル 光 源 ( 以 後 LEDパ ネ ル 光 源 ) の 製 作 と 細 胞 培 養 法 、 測 定 法 に つ い て 説 明 す る 。 各 LEDパネ ル 光 源 は 、 イ ン キ ュ ベ ー タ 内 に 収 納 し 、 か つ 、 高 い 光 強 度 を 出 せ る よ う に 1000個 の LEDが マ ト リ ッ ク ス 状 に 配 列 さ れ た も の で あ る 。  ( 1 ) LEDパ ネ ル 光 源 の 制 作  イ ン キ ュ ベ ー タ 内 に 使 用 す る LEDパ ネ ル 光 源 を 製 作 し た 。 LEDパ ネ ル 光 源 は 、 イ ン キ ュ ベー タ の 内 容 積 ( 幅 460× 高 さ 480× 奥 行 445mm) に 合 わ せ て 設 計 し た 。 LEDパ ネ ル 光 源 の 回 路図 を 図 1 に 示 す 。 LEDパ ネ ル は 、 262mm× 210mmの プ リ ン ト 基 板 上 に LEDを 10直 列 接 続 し た もの を 50列 ( 25列 × 2) 並 列 に 並 べ た マ ト リ ッ ク ス か ら 成 っ て お り 、 LEDの 総 個 数 は 500個 /基板 で あ る 。 LED光 照 射 実 験 で は こ の パ ネ ル を 2枚 1組 と し 、 基 板 側 面 を プ ラ ス チ ッ ク 棒 に 固定 し 設 置 し た 。 し か し 、 イ ン キ ュ ベ ー タ 内 の 温 度 で 、 プ ラ ス チ ッ ク の 棒 が 変 形 し 、 曲 が った の で 、 ア ル ミ の 棒 に 変 更 し 再 度 設 置 し た 。 イ ン キ ュ ベ ー タ 内 に 設 置 し た 6枚 の LEDパ ネ ル光 源 を 光 ら せ る た め に 8チ ャ ン ネ ル の 直 流 デ ジ タ ル 定 電 流 電 源 を 使 用 し た 。 こ の 構 成 で は各 チ ャ ン ネ ル ご と 独 立 し て 操 作 で き る た め 、 2枚 1組 か ら 成 る LEDパ ネ ル の 半 面 の み を 光 らせ る こ と も 可 能 で あ る 。  ( 2 ) 各 色 LEDの 特 性 (温 度 ・ 光 強 度 )  細 胞 照 射 用 LEDパ ネ ル 光 源 を 、 37℃ CO 2 5% イ ン キ ュ ベ ー タ 内 に 設 置 し た 。 し か し 、 イン キ ュ ベ ー タ 内 は 滅 菌 さ れ て お り LED光 源 に 関 す る 基 本 的 特 性 を イ ン キ ュ ベ ー タ 内 で 行 うの は 衛 生 上 望 ま し く な い と 思 わ れ た 。 そ こ で ま ず は 、 4個 × 4個 の LEDマ ト リ ッ ク ス 回 路 を用 い 、 恒 温 恒 湿 器 内 部 で 、 1) 赤 色 (R)緑 色 (G)青 色 (B)LEDパ ネ ル 光 源 の 温 度 -波 長 特 性 、 2) 各 色 LEDパ ネ ル 光 源 の 明 る さ と 高 さ の 関 係 、 3) 各 色 LEDパ ネ ル 光 源 下 で の 光 強 度 分 布 、 4) 各 色 LEDパ ネ ル 光 源 と 他 の 光 源 の 紫 外 線 量 の 4つ の LED光 源 に 関 す る 基 本 的 特 性 の 測 定 を 行う こ と に し た 。  1) 各 色 LEDの 温 度 -波 長 特 性  目 的 : LEDパ ネ ル 光 源 を CO 2 5% の イ ン キ ュ ベ ー タ 内 に 設 置 す る た め 、 温 度 に よ る 波 長 変化 を 調 べ る 。  実 験 器 具 : 直 流 定 電 流 電 源 ( 自 作 ) 、 分 光 器 ( Ocean Optics USB2E1372) 、 恒 温 恒 湿 器( タ バ イ LHU-112M) 、 PC( FUJITSU FMV DESKPOWER C3/55L) 、 4× 4マ ト リ ッ ク ス 回 路 (自 作 、 4個 直 列 × 4列 並 列 、 定 格 80mA)、 赤 色 LED: 660nm、 赤 色 LED: 644nm、 緑 色 LED: 525nm、 青 色 LED: 470nm( 数 値 は 各 LEDの 公 称 ピ ー ク 波 長 )  実 験 方 法 : 恒 温 恒 湿 器 の 温 度 を -10℃ か ら 50℃ ま で 10℃ 間 隔 で 変 化 さ せ 、 恒 温 恒 湿 器 内に 置 い た 縦 4個 × 横 4列 の LEDマ ト リ ッ ク ス 回 路 に 各 色 の LEDを 取 り つ け 、 定 格 電 流 を 流 し 、ス ペ ク ト ル を 測 定 。 一 番 光 力 の 大 き い 波 長 を Microsoft Excelを 使 っ て 解 析 し 、 そ の 変 化を 比 較 す る 。  実 験 結 果 : 10℃ 間 隔 で 測 定 し た が 、 常 温 ( 25℃ ) と イ ン キ ュ ベ ー タ 内 の 温 度 ( 37℃ ) も測 定 に 加 え た 。 そ の 結 果 を 表 1 ( 各 色 LEDの 温 度 特 性 表 ) に 示 す 。 【 0 0 1 1 】

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【 表 1 】             【 0 0 1 2 】  考 察 : 表 1 か ら 25℃ で の 波 長 ( 常 温 ) と 37℃ で の 波 長 の 変 化 は 、 赤 色 で 3nm、 緑 色 で 1nm、 青 色 で は 変 化 な し と な っ た 。 こ の 結 果 か ら 、 37℃ の イ ン キ ュ ベ ー タ 内 で の LED光 照 射 実験 に お い て 、 温 度 に よ る LEDの ピ ー ク 発 光 波 長 の 変 化 は 無 視 し う る と 判 断 さ れ た 。  2) 各 色 LEDパ ネ ル 光 源 の 明 る さ と 高 さ の 関 係  目 的 : イ ン キ ュ ベ ー タ 内 に LEDパ ネ ル 光 源 を 設 置 す る 際 、 試 料 ( 細 胞 を 入 れ た シ ャ ー レ等 ) か ら の 光 源 の 高 さ に よ っ て ど の 程 度 照 射 光 強 度 が 変 化 す る の か を 測 定 し た 。  明 る さ の 単 位 と し て は 、 一 般 的 に 使 わ れ て い る 照 度 [ lux] 、 光 の エ ネ ル ギ ー を 表 す 光強 度 [ W/m 2 ] 、 そ し て 光 を 波 で は な く エ ネ ル ギ ー 粒 子 と し て と ら え た 光 量 子 束 密 度 [ μ mol/m 2 × s] =[ μ E ] ( マ イ ク ロ ア イ ン シ ュ タ イ ン )の 3種 類 を 測 定 し た 。   光 量 子 束 密 度 は 栽 培 学 や 植 物 生 理 学 の 分 野 で よ く 使 わ れ て い る が 、 他 の 分 野 で は ほ と んど 馴 染 み の な い も の で あ る 。 し か し 、 本 研 究 の よ う な 光 生 理 学 に 関 す る 領 域 で も 将 来 的 には 光 量 子 束 密 度 が 使 わ れ る よ う に な る 可 能 性 が あ る と 考 え 、 今 回 の 実 験 に お い て 取 り 扱 った 。  実 験 器 具 : 直 流 定 電 流 電 源 ( 自 作 ) 、 分 光 器 ( Ocean Optics USB2E1372) 、 恒 温 恒 湿 器( タ バ イ LHU-112M) 、 PC( FUJITSU FMV DESKPOWER C3/55L) 、 4× 4マ ト リ ッ ク ス 回 路 (自 作 、 4個 直 列 × 4列 並 列 、 定 格 80mA)、 ル ク ス 計 ( 照 度 ロ ガ ー ) 、 光 量 子 束 密 度 計 ( 自 作) 、 デ ジ タ ル フ ォ ト メ ー タ ( ソ ニ ー テ ク ト ロ ニ ク ス J17) 、 赤 色 LED: 660nm、 赤 色 LED: 644nm、 緑 色 LED: 525nm、 青 色 LED: 470nm、 白 色 LED  実 験 方 法 : 恒 温 恒 湿 器 内 に 4× 4LEDマ ト リ ッ ク ス 回 路 を 置 き 、 高 さ を 調 節 し な が ら 分 光器 で 測 定 す る 。 定 電 流 源 か ら 4× 4LEDマ ト リ ッ ク ス 回 路 へ 定 格 の 80mA流 す 。 す な わ ち 、 常温 ( 25℃ ) お よ び イ ン キ ュ ベ ー タ 内 温 度 ( 37℃ ) を 恒 温 恒 湿 器 で 設 定 し 、 そ の 環 境 下 で 定電 流 装 置 の 電 流 を 0~ 80mAま で 変 化 さ せ る 。 そ の 時 の ス ペ ク ト ル を 分 光 器 で 測 定 し 、 グ ラフ 化 す る 。 な お 、 色 に よ っ て 、 80mA流 し た と き の 光 力 が 違 う の で 、 測 定 す る 際 は 80mA流 した と き に 光 力 が 約 3000~ 4000( 使 用 し た ス ペ ク ト ル メ ー タ に 関 す る 任 意 値 ) に な る よ う に、 分 光 器 の セ ン サ と LEDの 距 離 を 調 節 し た 。 ( 青 で 光 力 が 4000に な る 距 離 の ま ま 白 を 測 定す る と 1000く ら い に な っ て し ま い 、 小 さ す ぎ て 電 流 の 変 化 に よ る ス ペ ク ト ル の 変 化 が わ かり に く い た め ) 。   実 験 結 果 : 結 果 は 次 の 図 2 、 図 3 、 図 4 に な っ た 。   考 察 : 光 源 パ ネ ル の 高 さ を 高 く す る と 照 度 、 光 強 度 、 光 量 子 束 密 度 と も に 値 が 下 が っ てい る 。 し た が っ て 細 胞 へ の 光 照 射 を 行 う 場 合 、 あ る 程 度 光 源 を 近 づ け る 必 要 が あ る と 考 えら れ る 。 人 間 の 視 感 度 曲 線 ( 図 4 ) に よ れ ば 緑 色 付 近 の 光 が も っ と も よ く 明 る く 見 え る 。つ ま り 同 じ 光 エ ネ ル ギ ー で 赤 、 緑 、 青 色 LEDを 光 ら せ た 場 合 、 人 の 目 に は 緑 色 が も っ と も明 る く 感 じ る 。 lux( ル ク ス 、 照 度 ) は 光 の 明 る さ を 人 間 の 目 の 視 感 度 に 合 わ せ て 表 示 する も の で あ り 、 可 視 域 の 下 端 ( 短 波 長 側 ) の 青 色 光 や 上 端 ( 長 波 長 側 ) の 赤 色 光 は 、 た と

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え そ れ ら が エ ネ ル ギ ー 的 に 高 く て も lux値 そ の も の は 低 く 表 示 さ れ る 。 こ れ に 対 し て 視 感度 の ピ ー ク ( 555nm) に 近 い 緑 ~ 黄 緑 の 光 は エ ネ ル ギ ー が 小 さ く て も lux値 は 高 く 表 示 さ れる 。 従 っ て 、 各 色 LEDパ ネ ル 光 源 の 強 度 を 比 較 し た り 一 定 値 と す る 場 合 、 光 強 度 の 単 位 とし て は W/m 2 を 用 い る 方 が よ い 。【 0 0 1 3 】  ( 3 ) 各 色 LEDパ ネ ル 光 源 の 光 強 度 特 性  目 的 : イ ン キ ュ ベ ー タ 内 に LEDパ ネ ル 光 源 を 設 置 し た 後 、 照 射 可 能 な 最 大 光 強 度 を 調 べる 。   実 験 器 具 : 直 流 定 電 流 電 源 ( 自 作 ) 、 分 光 器 ( Ocean Optics USB2E1372) 、 恒 温 恒 湿 器( タ バ イ LHU-112M) 、 PC( FUJITSU FMV DESKPOWER C3/55L) 、 4× 4マ ト リ ッ ク ス 回 路 ( 4個 直 列 × 4列 並 列 、 定 格 80mA) 、 デ ジ タ ル フ ォ ト メ ー タ ( ソ ニ ー テ ク ト ロ ニ ク ス J17) 、 赤色 LED: 660nm、 緑 色 LED: 525nm、 青 色 LED: 470nm   実 験 方 法 : LEDパ ネ ル 光 源 下 に グ ラ フ 用 紙 を 置 き 、 基 準 と な る 測 定 点 を 決 め ( 表 2 : LEDパ ネ ル 光 源 下 の 測 定 点 ) 、 LEDパ ネ ル 光 源 か ら イ ン キ ュ ベ ー タ 内 の シ ャ ー レ と の 高 さ ( 7.5cmと 10.5cm) を 測 定 す る 。  実 験 結 果 : 実 験 結 果 は 表 3 ( 各 色 LEDパ ネ ル 光 源 の 光 強 度 ) の よ う に な っ た .【 0 0 1 4 】【 表 2 】         【 0 0 1 5 】

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【 表 3 】                              【 0 0 1 6 】  考 察 : 測 定 点 下 を 計 測 し た 結 果 を み る と LEDパ ネ ル 光 源 端 ( 表 3 の 1、 7、 13、 19-24) では 光 強 度 が 低 い 。 し か し な が ら こ の 測 定 に お い て は 、 青 色 LEDの 光 強 度 が 光 パ ワ ー メ ー タの 測 定 範 囲 を 超 え て し ま い 実 際 の 値 を 測 定 す る こ と が 出 来 な か っ た 。 そ こ で 、 青 色 LEDパネ ル 光 源 下 で は 光 強 度 メ ー タ に 1/10減 衰 フ ィ ル タ を 付 け 計 測 し た 。 こ れ ら の 測 定 結 果 か ら、 LED照 射 実 験 は な る べ く LEDパ ネ ル 中 央 部 分 を 用 い て 照 射 実 験 を 進 め る こ と に し た .  4) 各 色 LEDパ ネ ル 光 源 と 他 の 光 源 の 紫 外 線 測 定  LEDの 紫 外 線 成 分 が 細 胞 に 及 ぼ す 影 響 の 可 能 性 が あ る た め 、 LEDの 紫 外 線 量 を 測 定 し た 。  紫 外 線 ( Ultraviolet light) と は 、 可 視 光 の 紫 色 よ り 波 長 の 短 い 波 で 、 波 長 に よ り 、 UVA( 波 長 320~ 400nm) UVB( 波 長 280~ 320nm) 、 UVC( 波 長 280nm以 下 ) の 3つ の 種 類 が あ る。 紫 外 線 は 以 下 の 表 4 の 異 な る 性 質 を 持 っ て い る 。 実 験 で は 殺 菌 作 用 が 最 も 強 い UVCを 紫外 線 強 度 計 に よ り 測 定 し た 。 紫 外 線 測 定 結 果 を 表 5 に 示 す 。【 0 0 1 7 】

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【 表 4 】      【 0 0 1 8 】  目 的 : 各 色 LEDと 紫 外 線 ラ ン プ の 紫 外 線 量 を 測 定 。   紫 外 線 は 細 胞 を 死 滅 さ せ る こ と が 知 ら れ て お り 、 今 回 の 紫 外 線 測 定 で LEDの 発 す る 光 中の 紫 外 線 量 を 調 べ る 。   実 験 器 具 : 直 流 定 電 流 電 源 ( 自 作 ) 、 4× 4マ ト リ ッ ク ス 回 路 ( 自 作 、 4個 直 列 × 4列 並 列、 定 格 80mA) 、 紫 外 線 強 度 計 ( ミ ノ ル タ UM-10) 、 紫 外 線 強 度 計 受 光 部 UM-250( UVC測 定用 ) 、 赤 色 LED: 660nm、 緑 色 LED: 525nm、 青 色 LED: 470nm、  実 験 方 法 : 紫 外 線 強 度 計 を 用 い て 4× 4マ ト リ ッ ク ス 回 路 を 測 る 。   実 験 結 果 : 実 験 結 果 を 以 下 の 表 5 ( 紫 外 線 測 定 結 果 ) に 示 す 。【 0 0 1 9 】【 表 5 】         【 0 0 2 0 】  考 察 : 表 5 を 見 る と 、 LEDは ほ と ん ど 紫 外 線 が 出 て い な い こ と が 分 か っ た 。【 実 施 例 1 】【 0 0 2 1 】  細 胞 継 代 法  本 実 験 で 基 本 と な る 肝 臓 癌 の 細 胞 ( HepG2細 胞 ) を 継 代 し 増 や す 方 法 で あ る 。以 下 が 細 胞 継 代 法 の 手 順 で あ る 。  1 培 養 液 を 吸 引 除 去 す る 。  2 PBSを 5mlピ ペ ッ ト で 10cmシ ャ ー レ に 行 き 渡 ら せ 、 PBSを 吸 引 除 去 。  3 ト リ プ シ ン を 1ml入 れ シ ャ ー レ 全 体 に 行 き 渡 ら せ 、 ト リ プ シ ン を 吸 引 除 去 す る 。  4 37℃ で 3-5分 培 養 し 、 顕 微 鏡 で 細 胞 が は が れ て い る か 確 認 す る 。  5 5mlの 培 養 液 を 加 え 反 応 を ス ト ッ プ さ せ 、 50mlチ ュ ー ブ に 回 収 す る 。  こ の 時 、 培 養 液 を 直 接 細 胞 に か け ピ ペ テ ィ ン グ し て 細 胞 を よ く は が し バ ラ バ ラ に す る 。  6 5分 間 1200回 転 で 遠 心 す る 。  7 50mlチ ュ ー ブ の 上 澄 み を 吸 引 除 去 す る 。  8 チ ュ ー ブ の 中 に 培 養 液 を 10mL入 れ よ く 攪 拌 し た 後 、 細 胞 数 を 計 測 す る 。  9 1つ の シ ャ ー レ に 対 し て 、 50~ 200万 個 の 細 胞 数 と な る よ う に 細 胞 入 れ る 。  10 シ ャ ー レ の 細 胞 を 均 一 に 分 散 さ せ る 。  11 37℃ で CO 2 を 5% 含 有 す る イ ン キ ュ ベ ー タ に 入 れ 培 養 す る 。  こ の 手 順 を 滅 菌 さ れ た 装 置 ( ク リ ー ン ベ ン チ ) 内 で 操 作 し た 。  図 5 は 、 細 胞 の 様 子 で あ る 。 細 胞 を 継 代 し 増 や し 、 各 実 施 例 の 実 験 を 進 め る の で あ る 。【 0 0 2 2 】 

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計 測 法

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  本 実 験 で は HepG2細 胞 を 扱 い 、 HepG2細 胞 の 増 殖 に 及 ぼ す 影 響 を 調 べ る の が 最 重 要 目 標 であ る 。細 胞 の 数 計 測 法 と し て は 、 MTT法 と 細 胞 実 測 法 ( コ ー ル タ カ ウ ン タ 法 ) の 2つ を 用 い た 。以 下 に 簡 便 な 方 法 で あ る MTT法 に つ い て 詳 し く 述 べ る 。  MTT法 は 、 細 胞 数 や 細 胞 核 数 を 実 測 す る の で は な く 、 色 素 で 生 き た 細 胞 を 染 色 し 、 相 対的 な 細 胞 量 を 光 学 的 に 測 定 す る 方 法 で あ る 。  こ の 方 法 は 、 次 の よ う な 原 理 と 特 徴 を 持 っ て い る 。  ( a ) 細 胞 内 に 取 り 込 ま れ た 、 ほ ぼ 無 色 の テ ト ラ ゾ リ ウ ム 塩 ( MTT) が ミ ト コ ン ド リ アの 酸 化 還 元 酵 素 に よ っ て 還 元 さ れ て 不 溶 性 の 着 色 物 質 ( formazan) を 形 成 す る 。 こ の 色 素を 有 機 溶 媒 で 抽 出 し て 吸 光 度 を 測 定 す る 。  ( b ) 生 細 胞 の み を 測 定 で き 、 定 量 性 も 高 い 。  ( c ) 96ウ ェ ル の プ レ ー ト で 行 う こ と が 出 来 る の で 、 多 数 の 試 料 を 同 時 に 分 析 で き る 。  HepG2細 胞 に MTT試 薬 を 入 れ 培 養 す る と 、 HepG2細 胞 は 酵 素 の 働 き に よ り 不 溶 性 の 着 色 物質 ( 紫 色 ) を 作 る 。 こ の た め HepG2細 胞 自 身 が 紫 色 に 変 色 す る ( 図 6 参 照 ) 。 そ こ で 細 胞全 体 を 酸 性 溶 液 で 溶 か し 、 吸 光 度 を 測 定 す る 。 吸 光 度 が 高 い = 細 胞 が 多 い = 濃 い 紫 色 を 呈す る 。 吸 光 度 が 低 い = 細 胞 が 少 な い = 薄 い 紫 色 を 呈 す る 。  MTT法 と 細 胞 実 測 法 の 相 関 を 調 べ た と こ ろ 以 下 の よ う に な っ た ( 図 7 ) 。 実 際 の 細 胞 数と MTTの 吸 光 度 と の 間 に は 高 い 相 関 が 認 め ら れ た の で 、 HepG2の 細 胞 増 殖 を MTT法 で 解 析 する こ と の 妥 当 性 が 証 明 さ れ た 。【 0 0 2 3 】   発 明 者 が 主 に 計 測 す る MTT法 の 手 順 を 以 下 に ま と め る 。  ( 手 順 )  1 培 養 液 を 吸 引 除 去 す る 。  2 PBSを 5mlピ ペ ッ ト で 10cmシ ャ ー レ に 行 き 渡 ら せ 、 PBSを 吸 引 除 去 す る 。  3 ト リ プ シ ン を 1ml入 れ シ ャ ー レ 全 体 に 行 き 渡 ら せ 、 ト リ プ シ ン を 吸 引 除 去 す る 。  4 37℃ で 3-5分 培 養 し 、 顕 微 鏡 で は が れ て い る か 確 認 す る 。  5 5mlの 培 養 液 を 加 え 反 応 を ス ト ッ プ さ せ 、 50mlチ ュ ー ブ に 回 収 す る 。  こ の 時 、 培 養 液 を 直 接 細 胞 に か け ピ ペ テ ィ ン グ し て 細 胞 を よ く は が し バ ラ バ ラ に す る 。  6 5分 間 1200回 転 で 遠 心 す る 。  7 50mlチ ュ ー ブ の 上 澄 み を 吸 引 除 去 す る 。  8 遠 心 を か け た チ ュ ー ブ の 中 に 培 養 液 を 2ml入 れ る 。  こ の 時 、 泡 立 て な い よ う に 静 か に 撹 拌 す る 。  9 15mlチ ュ ー ブ に 100μ l入 れ る 。  10 15mlチ ュ ー ブ に 細 胞 希 釈 液 を 9.9ml入 れ 、 濃 度 を 1% に す る 。  11 コ ー ル タ カ ウ ン タ で 実 測 し 、 MTT用 96ウ ェ ル プ レ ー ト 必 要 枚 数 に 撒 く 。  12 37℃ CO 2 5% の イ ン キ ュ ベ ー タ に 入 れ 一 定 期 間 ( 1 日 ~ 数 日 間 ) 培 養 す る 。  13 0.5mg/mlの MTT液 を 添 加 し 、 CO 2 イ ン キ ュ ベ ー タ 内 で 2-4時 間 培 養 す る 。  14 培 養 液 を 吸 引 除 去 す る 。  15 37℃ 室 で 酸 性 溶 液 を 加 え る 。  16 マ イ ク ロ プ レ ー ト ミ キ サ ー に 乗 せ 、 37℃ 室 で 20分 振 動 さ せ な が ら 溶 解 す る 。  17 分 光 光 度 計 を 用 い て 、 595nmの 波 長 で 吸 光 度 を 測 定 す る 。  こ の 手 順 後 、 吸 光 度 特 性 に つ い て 表 計 算 ソ フ ト を 用 い て 解 析 し 、 グ ラ フ 化 す る 。【 0 0 2 4 】   LED光 が 培 養 液 に 与 え る 影 響  細 胞 へ の LED光 照 射 に お い て 、 も し LED光 が 培 養 液 に 悪 い 影 響 を 与 え る よ う な こ と が あ れば 、 光 が 細 胞 に 及 ぼ す 真 の 効 果 を 調 べ る こ と は 出 来 な い 。 そ こ で LED光 を 細 胞 に 当 て る に先 立 ち 、 ま ず LED光 が 培 養 液 に 与 え る 影 響 の 有 無 を 調 べ る 実 験 を 行 っ た 。   目 的 : LED光 が 培 養 液 に 与 え る 影 響 の 調 査 。

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MTT法 ( 細 胞 染 色 法 )

LED照 射 実 験

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  実 験 方 法 : 図 8 は LED光 が 培 養 液 に 与 え る 影 響 を 調 べ る た め の 実 験 で あ る 。 本 実 験 で は赤 色 培 養 液 ( p H指 示 薬 と し て の フ ェ ノ ー ル レ ッ ド 含 ) と 透 明 培 養 液 ( フ ェ ノ ー ル レ ッ ド不 含 ) の 2種 類 を 用 い た 。 一 般 的 に 医 学 的 な 細 胞 培 養 に お い て は 、 赤 色 培 養 液 を 使 う の が普 通 で あ る が 、 培 養 液 自 体 に 赤 色 が 付 い て い る と 、 LED光 照 射 が 何 ら か の 影 響 を も た ら すの で は な い か と 考 え 、 透 明 培 養 液 を 特 別 に 用 意 し た 。 そ し て 、 赤 色 培 養 液 と 透 明 培 養 液 との 間 で 培 地 光 照 射 の 影 響 に 差 違 が あ る か ど う か を し ら べ る た め 、 2種 類 の 培 養 液 へ RGBの LED光 を 、 光 強 度 8[ W/m 2 ] で 1週 間 当 て 、 そ の 後 細 胞 の 増 殖 の 程 度 を 調 べ た 。  実 験 結 果 : LED光 が 2種 類 の 培 養 液 に 与 え る 影 響 を 調 べ た 結 果 が 図 9 と 図 1 0 で あ る 。  考 察 : 図 9 、 図 1 0 か ら わ か る よ う に 、 透 明 培 養 液 で の 細 胞 の 増 え 方 は 、 赤 色 、 緑 色 、青 色 の い ず れ の 色 で も 特 に 目 立 っ た 違 い は 見 ら れ な か っ た 。 赤 色 の 培 養 液 で 細 胞 を 増 や した 場 合 、 緑 と 青 色 LEDを 照 射 し た 培 養 液 で の 細 胞 の 増 え 方 が 、 赤 色 、 光 な し の 増 え 方 よ りも 若 干 抑 え ら れ る 傾 向 が あ る こ と が あ っ た 。 こ う し た 予 備 実 験 ( 参 考 例 ) の 結 果 を ふ ま え、 本 実 験 で は 透 明 の 培 養 液 ( フ ェ ノ ー ル レ ッ ド 不 含 ) を 用 い て 実 験 を 進 め る こ と に し た 。【 0 0 2 5 】   LED光 が 培 養 液 に 与 え る 影 響 は ほ と ん ど な い と 参 考 例 1 の LED光 が 培 養 液 に 与 え る 影 響 実験 結 果 よ り 分 か っ た 。 そ こ で 次 の ス テ ッ プ と し て 、 LED光 が 細 胞 に 与 え る 影 響 を 調 べ る こと に し た 。   目 的 : LED光 を 細 胞 に 照 射 し 、 細 胞 の 増 殖 に 対 す る 影 響 を 調 べ る 。   実 験 方 法 : 図 1 1 は LED光 が 細 胞 に 与 え る 影 響 を 調 べ る た め の 実 験 系 で あ る 。 本 実 験 では 、 透 明 培 養 液 を 使 用 し た 。 実 験 期 間 は 4日 間 で あ り 、 MTT測 定 用 に 初 期 細 胞 数 を 10000個 /ウ ェ ル に 設 定 し た 。 ( 1ウ ェ ル と は 、 1つ の 小 さ な シ ャ ー レ の こ と で あ り 、 MTT用 測 定 プ レー ト に は 96個 の ウ ェ ル が 設 け ら れ て い る 。 )  LEDパ ネ ル 光 源 の 光 強 度 は 、 イ ン キ ュ ベ ー タ の 恒 温 機 能 の 限 界 を 考 慮 し 各 色 4[ W/m 2 ] に設 定 し た 。   実 験 結 果 : LED光 が 2種 類 の 培 養 液 に 与 え る 影 響 を 調 べ た 結 果 が 図 1 2 で あ る 。  赤 色 LEDの 実 験 デ ー タ が 存 在 し な い の は 、 赤 色 LEDの 発 熱 に よ り 10cmシ ャ ー レ の 培 養 液 が蒸 発 し た た め 実 験 を 中 止 し た か ら で あ る 。   考 察 : 図 1 2 に お い て 明 ら か な よ う に 、 光 無 照 射 で は 細 胞 は 順 調 に 増 殖 し て い る 。 こ れに 対 し て 緑 と 青 色 LED光 を 照 射 し た 場 合 は 、 細 胞 の 増 殖 が 著 し く 抑 制 さ れ て い る 。 特 に 緑色 LED光 を 当 て た 場 合 、 4日 目 で は 全 滅 に 近 い 値 が 出 た 。 ま た 今 回 、 実 験 中 に 赤 色 LEDが 熱を 持 ち 、 10cmシ ャ ー レ の 培 養 液 が 蒸 発 し 、 細 胞 が 死 滅 し て し ま っ た 。 細 胞 は 通 常 37℃ で 培養 さ れ る が 、 赤 色 LEDの 発 熱 に よ り イ ン キ ュ ベ ー タ 内 の 温 度 が 45℃ ま で 上 昇 し て し ま っ たか ら で あ る 。 赤 色 LEDを 用 い た 実 験 は 、 今 後 LEDパ ネ ル 光 源 用 の 冷 却 装 置 を 取 り 付 け て か ら行 う 必 要 が あ る 。【 0 0 2 6 】   癌 細 胞 抑 制 効 果 を 試 す べ く 、 希 少 糖 ( D-ア ロ ー ス ) を 添 加 し 、 HepG2細 胞 の 抑 制 効 果 を調 べ た 。  希 少 糖 添 加 実 験  目 的 : 希 少 糖 の 癌 抑 制 効 果 を 調 べ る 実 験 。   実 験 手 順 : 図 1 3 が 希 少 糖 添 加 の 影 響 を 調 べ る た め の 実 験 で あ る 。 D-ア ロ ー ス を MTT用プ レ ー ト 1ウ ェ ル あ た り 50mmol/l添 加 し 4日 間 培 養 し た 。  実 験 結 果 : 希 少 糖 添 加 実 験 の 結 果 を 図 1 4 に 示 す 。   考 察 : 希 少 糖 ( D-ア ロ ー ス ) は 肝 臓 癌 細 胞 HepG2の 増 殖 を 抑 制 す る こ と を 示 し て い る 。 D-ア ル ト ロ ー ス は D-ア ロ ー ス に 次 ぐ 抑 制 効 果 を 示 し て い る 。【 実 施 例 2 】【 0 0 2 7 】  LEDと 希 少 糖 併 用 実 験  本 実 験 の 目 標 で あ る 、 LED光 と 希 少 糖 ( D-ア ロ ー ス ) の 相 乗 効 果 を 期 待 す る 実 験 を 述 べ

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LED光 が 細 胞 に 与 え る 影 響

希 少 糖 実 験

Page 12: LED D- HepG2 LEDkantan.nexp.jp/pat_pdf/A/2005/77/2005065977.pdf緑色の発光ダイオード(LED)を照射することにより、 その増殖を抑制する癌細胞抑制法。希少糖は好ましくは

る 。 参 考 例 4 お よ び 参 考 例 5 の 結 果 か ら 実 験 期 間 を 5日 間 と し 、 細 胞 の 増 減 を 測 定 し た 。  目 的 : 参 考 例 4 ( LED照 射 実 験 ) と 参 考 例 5 ( 希 少 糖 実 験 ) を ふ ま え 、 LED光 と 希 少 糖 の相 乗 効 果 を 期 待 す る 実 験 。   実 験 手 順 : 以 下 に 示 す 図 1 5 が LEDと 希 少 糖 併 用 の 影 響 を 調 べ る た め の 実 験 で あ る 。 MTT測 定 用 に 初 期 細 胞 数 を 10000個 /1ウ ェ ル と 設 定 し た 。   実 験 結 果 : LEDと 希 少 糖 併 用 実 験 の 結 果 を 図 1 6 に 示 す 。   光 な し か つ 希 少 糖 ( D-ア ロ ー ス ) を 培 地 に 添 加 し た グ ラ フ か ら 、 D-ア ロ ー ス に は HepG2細 胞 に 対 す る 増 殖 抑 制 効 果 が あ る 。 青 色 と 緑 色 LED光 照 射 し た グ ラ フ か ら は 、 光 照 射 だ けで も HepG2細 胞 増 殖 は 抑 制 さ れ る こ と が 分 か っ た 。 特 に 緑 色 LED光 の み 当 て た HepG2細 胞 数は 光 な し の そ れ の 半 分 の 値 と な り 、 緑 色 光 に よ る HepG2細 胞 増 殖 の 抑 制 効 果 が 大 き い こ とが 分 か っ た 。 さ ら に 希 少 糖 を 添 加 し た HepG2細 胞 に 緑 色 光 を 照 射 し た 場 合 は 細 胞 が ほ ぼ 全部 死 滅 し た 。【 産 業 上 の 利 用 可 能 性 】【 0 0 2 8 】  今 回 の 実 験 研 究 に よ り 、 LED照 射 に よ る 癌 細 胞 増 殖 抑 制 効 果 、 お よ び LED光 と 希 少 糖 の 相乗 効 果 に よ る さ ら な る 細 胞 増 殖 抑 制 効 果 が あ る こ と が 判 明 し た 。 癌 細 胞 に 対 し て 希 少 糖 を培 養 液 中 に 添 加 し た 上 に LED光 を 照 射 し 、 細 胞 増 殖 の 相 乗 抑 制 効 果 を 調 べ る と い う 研 究 は、 世 界 で 全 く 初 め て の も の で あ る 。 こ の 新 手 法 は 、 将 来 癌 治 療 の 新 し い 治 療 法 と な る 可 能性 が 高 い 。 LEDも D-ア ロ ー ス も 癌 細 胞 増 殖 抑 制 効 果 が あ る 。 さ ら に 相 乗 効 果 が 認 め ら れ たこ と は 、 両 者 の 作 用 メ カ ニ ズ ム が 異 な る こ と を 意 味 し て い る 。 と も に 副 作 用 も 少 な い 方 法で あ り 、 患 者 さ ん へ の 負 荷 が 少 な く て 効 果 が 得 ら れ る こ と が 期 待 で き る 。  D-ア ロ ー ス を 注 射 も し く は 経 口 、 あ る い は 他 の 方 法 で 癌 細 胞 に 対 し て 処 理 し て お き 、 D-ア ロ ー ス 処 理 と 同 時 も し く は 一 定 時 間 の 後 に LED光 照 射 を 併 用 す る こ と で 、 高 い 効 果 を 得る こ と が で き る で あ ろ う 。  対 象 と な る ガ ン は 、 皮 膚 ガ ン の よ う な 表 在 性 の も の に 対 し て は 、 LEDを 直 接 照 射 す る こと が 可 能 で あ り 最 も 実 施 し や す い 。 ま た 白 血 病 の よ う な 血 液 系 の ガ ン に 対 し て は 、 人 工 透析 の よ う に 血 液 を 一 旦 体 外 に 取 り 出 し て 照 射 す る こ と が で き る 。 食 道 ガ ン 、 胃 ガ ン 、 大 腸ガ ン な ど の 消 化 管 の ガ ン や 、 肺 ガ ン や 喉 頭 ガ ン な ど 呼 吸 器 系 の ガ ン 、 陰 茎 ガ ン 、 膣 ガ ン や子 宮 ガ ン な ど 生 殖 器 系 の ガ ン な ど に 対 し て は 、 各 種 の フ ァ イ バ ー ス コ ー プ に 装 置 し た LED照 射 装 置 を 作 製 す る こ と に よ り 照 射 す る こ と が で き る 。 ま た 、 肝 臓 ガ ン 、 膵 臓 ガ ン 、 卵 巣ガ ン な ど 腹 腔 内 の ガ ン に 対 し て は 腹 腔 鏡 に 装 置 し た LED照 射 装 置 を 作 製 す る こ と に よ り 照射 可 能 と な る 。 こ の よ う に 多 く の ガ ン が 対 象 と な り う る 。  ま た D-ア ロ ー ス な ど 希 少 糖 の 投 与 方 法 と し て は 、 注 射 液 と し て 局 所 へ の 注 射 、 静 脈 注 射も し く は 点 滴 注 射 に よ る 方 法 、 希 少 糖 液 の 局 所 へ の 噴 霧 、 希 少 糖 を 含 有 す る 外 用 剤 の 塗 布な ど の 方 法 が 考 え ら れ 、 ガ ン に よ り 最 も 適 切 な 方 法 を 選 択 す る こ と が 可 能 で あ る 。  本 治 療 方 法 は 、 ガ ン 以 外 の 細 胞 の 増 殖 異 常 に 起 因 す る 疾 患 に 対 し て も 有 効 で あ る 可 能 性が あ る 。 例 え ば 皮 膚 科 領 域 で は 尋 常 性 乾 癬 や イ ボ な ど が 考 え ら れ る 。【 図 面 の 簡 単 な 説 明 】【 0 0 2 9 】【 図 1 】 LEDパ ネ ル 光 源 の 説 明 図 で あ る 。【 図 2 】 照 度 と 高 さ の 関 係 を 示 す 図 面 で あ る 。【 図 3 】 光 強 度 と 高 さ の 関 係 を 示 す 図 面 で あ る 。【 図 4 】 視 感 度 曲 線 を 示 す 図 面 で あ る 。【 図 5 】 細 胞 の 増 殖 の 様 子 ( 左 : 培 養 1 日 目 、 右 : 培 養 5 日 目 ) を 示 す 図 面 に 代 わ る 写 真で あ る 。【 図 6 】 MTT用 96ウ ェ ル プ レ ー ト と 吸 光 濃 度 を 示 す 図 面 に 代 わ る 写 真 で あ る 。【 図 7 】 細 胞 数 と 吸 光 度 の 相 関 図 を 示 す 図 面 で あ る 。【 図 8 】 LED光 が 培 養 液 に 与 え る 影 響 を 調 べ る た め の 実 験 を 説 明 す る 図 面 で あ る 。【 図 9 】 LED光 の 透 明 培 養 液 に 及 ぼ す 影 響 結 果 を 示 す 図 面 で あ る 。【 図 1 0 】 LED光 の 赤 色 培 養 液 に 及 ぼ す 影 響 結 果 を 示 す 図 面 で あ る 。

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【 図 1 1 】 LED光 が 細 胞 に 与 え る 影 響 を 調 べ る た め の 実 験 を 説 明 す る 図 面 で あ る 。【 図 1 2 】 LED光 が 細 胞 に 与 え る 実 験 結 果 を 示 す 図 面 で あ る 。【 図 1 3 】 希 少 糖 添 加 の 影 響 を 調 べ る た め の 実 験 を 示 す 図 面 で あ る 。【 図 1 4 】 希 少 糖 添 加 実 験 結 果 を 示 す 図 面 で あ る 。【 図 1 5 】 LEDと 希 少 糖 併 用 の 影 響 を 調 べ る た め の 実 験 を 説 明 す る 図 面 で あ る 。【 図 1 6 】 LEDと 希 少 糖 併 用 実 験 結 果 を 示 す 図 面 で あ る 。

【 図 1 】 【 図 4 】

【 図 7 】

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【 図 9 】 【 図 1 0 】

【 図 1 1 】 【 図 1 2 】

【 図 1 4 】

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【 図 1 6 】

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【 図 2 】

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【 図 3 】

【 図 5 】

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【 図 6 】

【 図 8 】

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【 図 1 3 】

【 図 1 5 】

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