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1 環境研究総合推進費 2-1501 「気候変動対策の進捗評価を目的とした指標開発に関する研究」 Climate change mitigation Policy Progression Indicator (C-PPI) ver.4C-PPI 指標を用いた G20 諸国の政策評価 2018 5 研究実施機関 国立研究開発法人国立環境研究所 亀山康子・花岡達也・芦名秀一・久保田泉 国立大学法人名古屋大学 高村ゆかり 公益財団法人地球環境戦略研究機関 田村堅太郎・栗山昭久 学校法人早稲田大学 有村俊秀・阿部達也 研究協力機関 監査法人トーマツ 川元亮徳・山口匡・島津源紀 研究パートナー テキサス大学オースチン校 ジョシュア=バスビー イェール―シンガポール国立大学 エンジェル=ス ニュークライメイト研究所 倉持壮

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環境研究総合推進費 2-1501

「気候変動対策の進捗評価を目的とした指標開発に関する研究」

Climate change mitigation Policy Progression Indicator (C-PPI)

ver.4:C-PPI 指標を用いた G20 諸国の政策評価

2018 年 5 月

研究実施機関

国立研究開発法人国立環境研究所 亀山康子・花岡達也・芦名秀一・久保田泉

国立大学法人名古屋大学 高村ゆかり

公益財団法人地球環境戦略研究機関 田村堅太郎・栗山昭久

学校法人早稲田大学 有村俊秀・阿部達也

研究協力機関

監査法人トーマツ 川元亮徳・山口匡・島津源紀

研究パートナー

テキサス大学オースチン校 ジョシュア=バスビー

イェール―シンガポール国立大学 エンジェル=ス

ニュークライメイト研究所 倉持壮

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1. 本ペーパーの目的

「気候変動対策の進捗評価を目的とした指標開発に関する研究」は、2015 年末に採択され翌年発効し

たパリ協定の下で各国が提出した 2030年近辺の排出抑制目標の水準の妥当性や、目標達成に必要な政策

を評価するための指標を開発し、それを用いて主要国の進捗を評価することを目的としている。今まで

3回に分けてディスカッションペーパーを公表してきた。本報告の一つ前のバージョン(2017 年 3 月付)

では、本指標を C-PPI と名づけ、6 つのアウトカム指標と 37 のアクション指標を確定し、米国、ドイツ、

英国、中国、日本という5つの国の気候変動緩和策を計測した。最終的な評価によって、それぞれの国

において比較的進んでいる分野と遅れている分野を示すことができた。C-PPI がすべての排出部門を適

切に網羅できており、国の政策評価に役立つことを示すことができた。

本書では、前回確定した指標を G20 国に適用した結果を報告する。C-PPI は最終的には途上国を含め、

すべての国に適用できることが理想である。G20 の中には、先進国と同レベルでデータが入手できない

おそれがある国もあったため、これらの国でも適用可能であるかを検証することが目的の一つである。

また、G20 国全体で世界の温室効果ガス総排出量の8割ほどを占めることから、世界全体の趨勢を確認

するという目的で、G20 を分析対象とした。

2.C-PPI 指標の基礎概要

2.1 全体構造

構造の詳細については、過去のディスカッションペーパー(vol2 2016 年 8 月、vol.3 2017 年 3 月)に

あるので、ここでは概要のみ説明する。本研究で目指す指標体系は 2 種類の指標で構成される。1 つ目は、

定期的な状況判断を客観的に行うアウトカム指標、2 つ目は、実際の排出量の増減にかかわらず、政策実

施の観点から見た努力量としてのアクション指標である。これら 2 種類の指標を、過去(例えば 10 年前

等)、現在、将来(例えば 10 年後等)の 3 時点で計測する。これを 5 年ごとに繰り返すことで、過去、

現在、将来の3時点が5年ずつシフトしていくことになる(図 1)。

図 1 指標の構造

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2.2 4つのゴール

パリ協定では、長期目標としての2℃目標を達成するためには、今世紀末までに温室効果ガス排出量

を実質ゼロまで減らすことが必要としている。国の排出量は、国によってさまざまであるものの、最終

的に「実質ゼロ」を目指すためには、どの国も、以下の4つのゴールを目指さなくてはならない。

[ゴール 1] エネルギーの脱炭素化:化石燃料から、再生可能エネルギー、原子力、炭素回収・貯蔵(CCS)

技術の利用へのシフト。

[ゴール 2] エネルギー効率の改善(省エネ):個別の製品ごとの効率は良くても、社会全体で効率的でな

い場合もあることから、多様なレベルで効率を念頭に置くべき。

[ゴール 3] エネルギーサービスへの需要の逓減(節エネ):省エネ製品だからと安心して無駄遣いし、結

果としてエネルギー消費量が減らなければ意味がない。需要側の削減が必要。

[ゴール 4] エネルギー関連以外の温室効果ガス排出量の削減:HFC、メタンなど、エネルギー消費に伴

わない温室効果ガス排出量の削減、及び、森林減少等土地利用による二酸化炭素排出量の削

減。

2.3 アウトカム指標

アウトカム指標の目的は、温室効果ガスの実際の排出量のデータを用いて国の相対的な状況を計測す

ることである。このデータは、国の気候変動対策努力のみならずさまざまな要因で増減することになる

が、後述の努力を測るアクション指標で計測した結果を比べることで、努力以外の要因を特定すること

も可能となる。本指標は最終的にはすべての国で用いられることを想定しているため、どの国でも得ら

れる基礎的なデータで構成する必要がある。4つのゴールに合わせて表 1 の指標を選定した。

表1. 6つのアウトカム指標、及び公平性の観点からの考察

ゴール アウトカム指標 公平性への配慮

1. エネルギーの脱炭素

(1) CO2 /一次エネルギー供給量 先進国ほど小さい数字が望ましい

(2) 再生可能エネルギー供給/一次エネ

ルギー供給量

先進国ほど大きい数字が望ましい

2. エネルギーの効率的

利用(省エネ)

(3) 最終エネルギー消費量/GDP 先進国ほど小さな数字が望ましい

3. エネルギー利用の逓

減(節エネ)

(4) 最終エネルギー消費量/人口 発展途上段階ではいったん数字が増加せざ

るを得ないが、ゆたかな水準達成後は小さ

い数字が望ましい

4. エネルギー関連以外 (5) メタン及びフロン類の排出量/人口 先進国ほど小さな数字が望ましい

(6)森林被覆率(森林面積/国土面積)の

変化率

ずべての国で高いほど望ましい

2.4 アクション指標

アクション指標の目的は、排出量の増減はともかく、どれほど多くの、あるいはどれほど厳しい気候

変動政策を導入しているかという点を評価することである。主要国で実施されている政策リストを作成

し、多数の国で共通して導入されている政策を、4つのゴールにバランスよく選定した結果、37 の指標

が選定された(表2)。37 すべての指標に関して、長期的に2℃目標に達成が可能な速度で排出量を減ら

していくために最低限現時点で採用していなくてはならない水準を決定した。

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表2 37のアクション指標

ゴール カテゴリー アクション指標

再生可能エネ

ルギー普及

1. 排出量の長期目標達成に十分な水準の具体的な目標を再生可能エネルギーに関して設定している。

2. 再生可能エネルギーの迅速な普及のために十分な水準の規制あるいは財政的支援を講じている。

3. 電力系統におけるスマートグリッド化等、再生可能エネルギー普及にとって障害となりうるインフラ

や制度の改善を実施している。

化石燃料の脱

炭素化

4. 火力発電所に対して、以下のいずれかの排出基準を設定している: (i)石炭火力発電所 0.612 kCO2/kWh

以下, (ii) ガス火力発電所 0.303 kgCO2/kWh 以下, (iii) 発電部門全体 0.256 kgCO2/kWh 以下。あ

るいは、上記に相当する水準を達成しうる排出量取引制度を導入している。

5. 試験的あるいは商用の CCSの事業数が前期を上回っている。

6. 電力部門を対象として US$5/tCO2.以上の水準の炭素税あるいはその他の税を課している。

(任意)

原子力発電の

安全確保

7. 原子力発電の使用に関して、IAEAの安全基準 SSR-2/1&2 を満たしている。

8. 原発事故が生じた際、被害者への補償手続きが確立している。(責任主体の明確化)

交通部門の脱

炭素化

9. 非化石燃料車の購入に対する消費者へのインセンティブとして、補助金や免税等の経済的措置がある。

10. 2050年までに使用中の車の 9割が非化石燃料車となることを目指して、燃料電池車や蓄電池の軽量化

/小型化等に関する研究開発に対して国が補助金を出している。

11. 非化石燃料車に関するインフラ整備、並びに、優先レーンや優先駐車スペース等、交通ルール上の優

遇を実施している。

産業部門 12. 排出量の長期目標達成に十分な水準の GHG排出削減目標あるいはエネルギー効率改善目標を産業部門

に対して設定している。

13. 産業部門に対して、GHG排出量あるいはエネルギー消費に関して定期的な報告義務を設定し、監査を

実施している。

14. 産業部門が消費するエネルギーに対して、$5/tCO2以上の水準の税を課している。

建物部門 15. 排出量の長期目標達成に十分な水準のエネルギー効率基準を建物に対して設定している。

16. ゼロエネルギービル/ハウス(ZEB, ZEH)に相当する建物が、将来見込まれる省エネで利するコスト

分を考慮すれば従来型の建物と同価格となるだけの水準の補助金等経済的支援を有する。

17. 排出量の長期目標達成に十分な水準のエネルギー効率基準を住居や事業所用の家電製品に対して設定

し、ラベル等を用いて他の製品との差別化を可能としている。

交通部門 18. 2020年までに使用中の全ガソリン車(大型車を除く)の燃費効率が 30 km/L 以上となるよう低燃費車

の購入に対して免税等の経済的な支援を実施している。

19. 燃費の悪い車に対して規制を行っている。

20. 今後新規に導入される航空機/船舶の燃費が、今後 2050年まで毎年 2%ずつ向上するような対策を講

じている。

産業部門 21. 排出量の長期目標達成に十分な水準のエネルギー消費量に関する国レベルでの削減目標を有する。

22. 地域レベルで廃熱を効率的に利用できるようなシステム(CHPや工業団地での廃熱利用等)の普及促

進索がある。

23. 製品の製造・輸送過程で生じる排出量を最小化するために LCA等の措置を実施している。

建物部門 24. 国民の 8割以上が気候変動のリスクを認識できているという結果が世論調査等で得られる水準に達す

るに十分な啓発、教育活動を実施している。

25. 建物の使用者がエネルギー消費量を把握できるよう、見える化を促進する技術導入が支援されている。

26. 建物部門で使用するエネルギーに対して$5/tCO2.以上のエネルギー税等の課税がある。

交通部門、都市

計画

27. モビリティ量を包括的に減らすことを目的とした施策を国が実施している。

28. 車の燃料に対して$50 /tCO2.以上の課税を行っている。

29. 低炭素都市を目指した都市計画、国土計画の促進索を有する。

(任意) メタン 30. 埋立地からのメタン発生を規制する施策がある。

31. 農業分野から発生するメタンを抑制するための効果的な施策がある。

32. 油田、ガス田等から発生するメタンを抑制するための効果的な施策がある。

(任意) HFCs等

フロンガス

33. 排出量の長期目標達成に十分な水準の HFC生産・消費の規制がある。

34. 製品中に存在する温室効果を有するフロンガスに対して、製品の廃棄時にフロンガスを回収破壊する

ための施策がある。

(任意)森林保

全、吸収源拡大

35. 森林面積拡大を目指した絶対量での目標を国レベルで有する。

36. 管理された森林の面積が毎年 1%ずつ増加するような森林管理促進索がある。

37. 国として、違法伐採を禁止し、持続的な管理の下での木材利用を推進するための施策がある。

C-PPI Project : http://www-iam.nies.go.jp/climatepolicy/cppi/index.html

ゴール1:エネルギーの脱炭素化

ゴール2:エネルギーの効率的利用 ゴール3:エネルギー需要

の逓減

ゴール4:エネルギー起源

CO2

以外のガス、森林保全

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アクション指標でのレーティングは、カテゴリーごとにとりまとめられる。例えば、一つのカテゴリ

ーの中に 3 つの指標が設定されている場合、3つのすべての指標で「はい」と回答される場合、カテゴ

リーに A がつく。2 つの指標で「はい」一つの指標が「いいえ」の場合は B、1 つの指標だけで「はい」

の場合は C が付く。詳細な基準は表 2a, 2b,に示した。

表 2a. 政策努力計測のためのクライテリア(3 つの指標が 1 つのカテゴリーを構成している場合)

ランク クライテリア

A+ 3つのすべての指標で「はい」と回答し、加えて、PS(過去)と比べて SF(今後)さらに努力が増す場合。

A 3つのすべての指標で「はい」と回答した場合。

AB 国レベルで B評価となるが、一部の主だった自治体でより多くの努力が見られている場合。

B 3つの指標のうち2つの指標で「はい」と回答した場合。

BC 国レベルで C評価となるが、一部の主だった自治体でより多くの努力が見られている場合。

C 3つの指標のうち1つの指標で「はい」と回答した場合。

C- 3つのすべての指標で「いいえ」と回答した場合。

表 2b. 政策努力計測のためのクライテリア(2 つの指標が 1 つのカテゴリーを構成している場合)

ランク クライテリア

A+ 両方の指標で「はい」と回答し、加えて、PS(過去)と比べて SF(今後)さらに努力が増す場合。

A 両方の指標で「はい」と回答した場合。

AB 国レベルで BC評価となるが、多数の自治体でより多くの努力が見られている場合。

B 国レベルで BC評価となるが、一部の自治体でより多くの努力が見られている場合。

BC 1つの指標で「はい」と回答した場合。

C 国レベルで C-評価となるが、一部の主だった自治体でより多くの努力が見られている場合。

C- 両方の指標で「いいえ」と回答した場合。

3.アクション指標を用いた G20 国の政策評価

3.1 G20 国の分類

G20 加盟国/地域のうち EU を除いた 19 か国を本評価の対象とした。経済発展水準の違いによる

政策導入水準の公平性も把握するために、一人当たり GDP で以下の 3 グループに分類した。

・グループ 1(先進国)8 か国:豪州、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、英国、米国

・グループ 2(準先進国)6 カ国:アルゼンチン、ブラジル、韓国、ロシア、サウジアラビア、トルコ

・グループ 3(新興国)5 カ国:中国、インド、インドネシア、メキシコ、南アフリカ

3.2 G20 国のアクション指標ごとのレーティング

G20 各国内で 2005 年から 2014 年までに実施されている政策と、2015 年から 2024 年までに実施済み

あるいは実施予定の政策を網羅的に調査し一覧表にまとめた(本報告書 39 ページ以降の付録を参照)。

このリストを踏まえて、レーティングを行った結果を表 3a~d に示す。

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表 3a. ゴール1のアクション指標の評価まとめ

グループ1:先進国 カ テ ゴ リ

アクション指標 豪州 カナダ フランス ドイツ イタリア 日本 英国 米国

PS SF PS SF PS SF PS SF PS SF PS SF PS SF PS SF

再生可能

エネルギ

(1) 目標設定 Y

Y

N N Y Y Y Y Y Y N N(Y) Y Y N N(Y)

(2) RPS, FIT等インセンティブ Y Y N N Y Y Y Y Y Y N(Y) N(Y) Y N(Y) N(Y) N(Y)

(3) 電力系統整備等 N(Y) Y N(Y) Y N N N N N(Y) N(Y) N N N N(Y) N(Y) N(Y)

ランク AB A C C B B B B AB AB C BC B B BC B

化石燃料 (4) 排出基準 N N Y Y N N N Y N N N N N Y N N(Y)

(5) CCS N Y Y Y N(Y) N Y N Y N Y Y Y N Y Y

(6) 炭素税、排出量取引等 Y N N(Y) Y Y Y N(Y) N(Y) Y Y N N N(Y) N(Y) N N

ランク C C AB A BC C BC BC B C C C BC BC C BC

原子力発

電(任意)

(7) 安全基準 - - Y Y Y Y - - - - Y Y Y Y Y Y

(8) 補償責任者特定化 - - Y Y Y Y - - - - N Y N Y Y Y

ランク - - A A A A - - - - BC A BC A A A

交通部門 (9) 低炭素車販売補助等 N N N(Y) Y Y Y N(Y) Y Y Y Y N(Y) N(Y) Y N(Y) N(Y)

(10) 技術開発支援 Y Y N(Y) N(Y) Y Y Y Y Y Y N(Y) Y N Y Y Y

(11) 交通ルール整備等 N N N N N(Y) N(Y) N(Y) N(Y) N(Y) N(Y) N(Y) N(Y) N N(Y) N(Y) N(Y)

ランク C C BC BC AB AB B AB AB AB B B BC B B B

グループ2:準先進国 カ テ ゴ リ

アクション指標 アルゼンチン ブラジル 韓国 ロシア サウジアラビア トルコ

PS SF PS SF PS SF PS SF PS SF PS SF

再生可能

エネルギ

(1) 目標設定 N(Y) N(Y) Y Y N(Y) N(Y) N N N(Y) Y N(Y) Y

(2) RPS, FIT等インセンティブ N(Y) Y Y Y Y Y N(Y) N(Y) N N N(Y) N(Y)

(3) 電力系統整備等 N N N N N(Y) Y N N N N N N

ランク BC BC B B B AB C C C C BC BC

化石燃料 (4) 排出基準 N N N N N N N N N N N N

(5) CCS N N Y N Y Y N N N Y N N

(6) 炭素税、排出量取引等 N N N N N Y N N N N N N

ランク C- C- C C- C B C- C- C- C C- C-

原子力発

電(任意)

(7) 安全基準 - - - - N Y N N(Y) - Y - N

(8) 補償責任者特定化 - - - - N N N N - N - N

ランク - - - - C- BC C- C - BC - C-

交通部門 (9) 低炭素車販売補助等 N N N Y Y N(Y) N Y N N Y Y

(10) 技術開発支援 N N N(Y) Y Y Y N N N N N N

(11) 交通ルール整備等 N N N(Y) N(Y) N(Y) N N N(Y) N N N N

ランク C- C- BC AB AB BC C- BC C- C- C C

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グループ3:新興国 カ テ ゴ リ

アクション指標 中国 インド インドネシア メキシコ 南アフリカ

PS SF PS SF PS SF PS SF PS SF

再生可能

エネルギ

(1) 目標設定 N(Y) N(Y) N(Y) Y N(Y) Y N N(Y) N(Y) N(Y)

(2) RPS, FIT等インセンティブ N N(Y) Y Y N(Y) Y Y Y N(Y) N(Y)

(3) 電力系統整備等 N N N(Y) N(Y) N N N N(Y) N N

ランク C BC B AB BC B C B BC BC

化石燃料 (4) 排出基準 N N N N N N N N N N

(5) CCS Y Y N N Y N N N N N

(6) 炭素税、排出量取引等 N(Y) Y N(Y) Y Y Y N N N N

ランク BC B C C B C C- C- C- C-

原子力発

電(任意)

(7) 安全基準 N Y N N - N N(Y) Y N N(Y)

(8) 補償責任者特定化 N N N N - N N(Y) N(Y) N N(Y)

ランク C- BC C- C- - C- BC B C- BC

交通部門 (9) 低炭素車販売補助等 N(Y) N(Y) Y Y N N N Y N N

(10) 技術開発支援 N(Y) N(Y) N Y N N(Y) N N N N

(11) 交通ルール整備等 N N(Y) N N N N N(Y) N(Y) N N

ランク BC B C B C- C C BC C- C-

表 3b. ゴール2のアクション指標の評価まとめ

グループ1:先進国

カ テ ゴ リ

アクション指標 豪州 カナダ フランス ドイツ イタリア 日本 英国 米国

PS SF PS SF PS SF PS SF PS SF PS SF PS SF PS SF

産業部門 (12) 効率目標設定 N Y N(Y) N(Y) N N(Y) Y Y N N(Y) Y Y Y Y N N(Y)

(13) 計測&報告制度 Y Y N(Y) N(Y) Y Y Y Y Y Y Y Y Y Y Y Y

(14) エネルギー税等 Y N N(Y) Y Y Y Y Y Y Y N(Y) N(Y) Y Y N(Y) N(Y)

ランク B B B B B AB A A B AB AB AB A A BC BC

建物部門 (15) 建物のエネルギー基準等 N(Y) Y N(Y) N(Y) Y Y Y Y Y Y N Y Y Y N N

(16) 建物の財政的支援 N N(Y) Y N N(Y) N(Y) Y Y Y Y N(Y) N(Y) N Y N N

(17) 家電製品の効率基準等 Y Y N(Y) N(Y) N(Y) Y N(Y) Y N(Y) Y Y Y N(Y) Y N N

ランク BC AB B BC B AB AB A AB A BC AB BC A C- C-

交通部門 (18) 高燃費車の財政的優遇。 N Y N N Y Y Y Y N(Y) N(Y) Y Y N N N N

(19) 低燃費車の規制 N N N(Y) Y Y Y Y Y Y Y Y Y Y Y N N

(20) 航空機&船舶の燃費 Y Y N(Y) N(Y) Y Y Y Y Y Y Y Y Y Y N N(Y)

ランク C B BC BC A A A A AB AB A A B B C- C

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グループ2:準先進国 カ テ ゴ リ

アクション指標 アルゼンチン ブラジル 韓国 ロシア サウジアラビア トルコ

PS SF PS SF PS SF PS SF PS SF PS SF

産業部門 (12) 効率目標設定 Y N(Y) N(Y) N(Y) Y Y Y N(Y) N(Y) N(Y) N(Y) N(Y)

(13) 計測&報告制度 N N N N(Y) Y Y Y Y N(Y) Y Y Y

(14) エネルギー税等 N N N N N Y N N N N N N

ランク C C C BC B A B BC BC BC BC BC

建物部門 (15) 建物のエネルギー基準等 Y Y N(Y) N(Y) N N N(Y) N(Y) Y Y Y Y

(16) 建物の財政的支援 N N N N Y Y N N N N N N

(17) 家電製品の効率基準等 Y Y Y Y Y Y Y Y Y Y Y Y

ランク B B BC BC B B BC BC B B B B

交通部門 (18) 高燃費車の財政的優遇。 N N N N Y Y N N N N N N

(19) 低燃費車の規制 N N N N N N N N N N N N

(20) 航空機&船舶の燃費 N N Y Y N N N N N N N N

ランク C- C- C C C C C- C- C- C- C- C-

グループ3:新興国 カ テ ゴ リ

アクション指標 中国 インド インドネシア メキシコ 南アフリカ

PS SF PS SF PS SF PS SF PS SF

産業部門 (12) 効率目標設定 N(Y) N(Y) Y Y N(Y) N(Y) N N Y Y

(13) 計測&報告制度 N N(Y) N(Y) N(Y) N(Y) Y N Y N(Y) N(Y)

(14) エネルギー税等 N(Y) Y N(Y) N(Y) Y Y N N(Y) N N

ランク BC B B B B AB C- BC BC BC

建物部門 (15) 建物のエネルギー基準等 Y Y N(Y) N(Y) N(Y) N(Y) N Y N N(Y)

(16) 建物の財政的支援 N N N N N N N(Y) N(Y) N N

(17) 家電製品の効率基準等 N N N(Y) N(Y) N(Y) N(Y) N(Y) N(Y) N(Y) N(Y)

ランク C C BC BC BC BC BC B C BC

交通部門 (18) 高燃費車の財政的優遇。 N(Y) N(Y) N(Y) N(Y) N(Y) N(Y) N N N N

(19) 低燃費車の規制 N(Y) N(Y) N(Y) N(Y) N N N(Y) Y Y Y

(20) 航空機&船舶の燃費 N N N N N N N N N N

ランク BC BC BC BC C C C C C C

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表 3c. ゴール3のアクション指標の評価まとめ

グループ1:先進国 カ テ ゴ リ

アクション指標 豪州 カナダ フランス ドイツ イタリア 日本 英国 米国

PS SF PS SF PS SF PS SF PS SF PS SF PS SF PS SF

1.エネル

ギー部門、

産業部門

(21) エネルギー消費量目標設定 N N N(Y) N(Y) Y Y Y Y Y Y N N(Y) Y Y N N

(22) CHP, 廃熱利用等 N N N N N(Y) N(Y) N(Y) N(Y) N(Y) N(Y) N N N N N(Y) N(Y)

(23) カーボンフットプリント N N N N N(Y) N(Y) N N N N N(Y) N(Y) Y Y N N

ランク C- C- C C B B BC BC BC BC C BC B B C C

2. 建物部

(24) 啓発、教育、意識向上 Y Y N(Y) N(Y) Y Y Y Y Y Y N Y N(Y) Y N N

(25) エネルギー消費の可視化 N N N(Y) N(Y) N(Y) N(Y) N N(Y) Y Y N Y Y Y N(Y) N(Y)

(26) エネルギー税等 Y N N(Y) Y N(Y) Y N(Y) Y N(Y) Y N(Y) Y N(Y) Y N N

ランク B C B B B AB BC AB AB A C A B A C C

3.

交通部門

(27) モビリティ需要削減 N N N N N(Y) N(Y) N(Y) N(Y) N Y N(Y) N(Y) N N(Y) N N

(28) 燃料課税等 Y Y N N Y Y Y Y Y Y Y Y Y Y N N

(29) 低炭素都市 N N N(Y) N(Y) Y Y N(Y) N(Y) N(Y) Y N(Y) N(Y) N(Y) N(Y) N(Y) N(Y)

ランク C C C C AB AB B B BC A B B BC B C C

グループ2:準先進国 カ テ ゴ リ

アクション指標 アルゼンチン ブラジル 韓国 ロシア サウジアラビア トルコ

PS SF PS SF PS SF PS SF PS SF PS SF

1.エネル

ギー部門、

産業部門

(21) エネルギー消費量目標設定 N N N(Y) N(Y) N(Y) N(Y) N N N N N N

(22) CHP, 廃熱利用等 N N N N N(Y) N(Y) N N N N N N

(23) カーボンフットプリント N N N(Y) N(Y) N(Y) N(Y) N N N N N N

ランク C- C- BC BC B B C- C- C- C- C- C-

2. 建物部

(24) 啓発、教育、意識向上 N N N(Y) N(Y) N(Y) N(Y) N N N(Y) N(Y) N N

(25) エネルギー消費の可視化 N N N N Y Y N N N N N N

(26) エネルギー税等 N N N N N Y N N N N N N

ランク C- C- C C BC AB C- C- C C C- C-

3.

交通部門

(27) モビリティ需要削減 N N N N N(Y) N(Y) N(Y) N(Y) N(Y) N(Y) Y Y

(28) 燃料課税等 Y Y N N Y Y N N N N Y Y

(29) 低炭素都市 N N N N N(Y) N(Y) N(Y) N(Y) N(Y) Y N(Y) N(Y)

ランク C C C- C- B B BC BC BC BC AB AB

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10

グループ3:新興国 カ テ ゴ リ

アクション指標 中国 インド インドネシア メキシコ 南アフリカ

PS SF PS SF PS SF PS SF PS SF

1.エネル

ギー部門、

産業部門

(21) エネルギー消費量目標設定 N N Y Y N N N N N N

(22) CHP, 廃熱利用等 N(Y) N(Y) N N N N N Y N N

(23) カーボンフットプリント N N N N N N N Y N N

ランク C C C C C- C- C- B C- C-

2. 建物部

(24) 啓発、教育、意識向上 N Y N N(Y) N N N(Y) N(Y) N(Y) N(Y)

(25) エネルギー消費の可視化 N N N N N N N N N N

(26) エネルギー税等 N(Y) Y Y Y Y Y N N N N

ランク C B C BC C C C C C C

3.

交通部門

(27) モビリティ需要削減 N N N(Y) N(Y) N(Y) N(Y) N(Y) N(Y) N(Y) N(Y)

(28) 燃料課税等 N N N Y N N N N Y Y

(29) 低炭素都市 N(Y) N(Y) N(Y) N(Y) N N N N N N

ランク C C BC BC C C C C BC BC

表 3d. ゴール4のアクション指標の評価まとめ

グループ1:先進国 カ テ ゴ リ

アクション指標 豪州 カナダ フランス ドイツ イタリア 日本 英国 米国

PS SF PS SF PS SF PS SF PS SF PS SF PS SF PS SF

1. メタン

(任意)

(30) 廃棄物埋立地対策 N(Y) N(Y) N(Y) N(Y) Y Y Y Y Y Y - - N N N N

(31) 農業部門由来 N(Y) N(Y) N(Y) N(Y) Y Y N N N N - - Y Y N N

(32) 化石燃料採取場由来 Y Y N Y - - - - - - - - N N N Y

ランク B B BC B A A BC BC BC BC - - C C C- C

2. Fガス

(任意)

(33) 生産・消費の規制 N N N Y Y Y Y Y Y Y N N Y Y N N(Y)

(34) 回収・破壊 N N N N N N(Y) N N(Y) N N(Y) N(Y) N(Y) Y N(Y) N N

ランク C- C- C- BC BC B BC B BC B C C A BC C- C

3.森林保

全等(任

意)

(35) 森林面積の目標等 N(Y) Y N N(Y) N N N N N N N N Y Y N N

(36) 森林保全 N(Y) N(Y) N(Y) N(Y) Y Y Y Y N(Y) N(Y) Y Y Y Y N N

(37) 持続可能な木材利用 N Y N N Y Y N N Y Y N N N Y N N

ランク BC B C BC B B C C BC BC C C B A C- C-

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11

グループ2:準先進国 カ テ ゴ リ

アクション指標 アルゼンチン ブラジル 韓国 ロシア サウジアラビア トルコ

PS SF PS SF PS SF PS SF PS SF PS SF

1. メタン

(任意)

(30) 廃棄物埋立地対策 N N N N Y Y N N N N N N

(31) 農業部門由来 N N N N N(Y) Y N N N N N N

(32) 化石燃料採取場由来 N N N N - - N(Y) Y N N N N

ランク C- C- C- C- B A C C C- C- C- C-

2. Fガス

(任意)

(33) 生産・消費の規制 - - - - N N - - - - - -

(34) 回収・破壊 - - - - N N - - - - - -

ランク - - - - C- C- - - - - - -

3.森林保

全等(任

意)

(35) 森林面積の目標等 N N N Y N N N N N N Y Y

(36) 森林保全 N N(Y) N(Y) N(Y) N N N N N N Y Y

(37) 持続可能な木材利用 N N N(Y) N(Y) N N(Y) N N N N N N

ランク C- C BC B C- C C- C- C- C- B B

グループ3:新興国

カ テ ゴ リ

アクション指標 中国 インド インドネシア メキシコ 南アフリカ

PS SF PS SF PS SF PS SF PS SF

1. メタン

(任意)

(30) 廃棄物埋立地対策 N N N N N N N N N N(Y)

(31) 農業部門由来 N N(Y) N N N N N N N N

(32) 化石燃料採取場由来 N N N N N N N N N Y

ランク C- C C- C- C- C- C- C- C- BC

2. Fガス

(任意)

(33) 生産・消費の規制 N N N N N N N N - -

(34) 回収・破壊 N N N N N N N N - -

ランク C- C- C- C- C- C- C- C- - -

3.森林保

全等(任

意)

(35) 森林面積の目標等 Y Y Y Y N N N N Y Y

(36) 森林保全 N(Y) N(Y) Y Y N N N N N(Y) N(Y)

(37) 持続可能な木材利用 N N N N N N(Y) N N N N

ランク BC BC B B C- C C- C- BC BC

表3a~d 共通の注: * PS=2005 年–2014 年; SF= 2015 年–2025 年の時期を示す。

* Y= はい N= いいえ (Y)のようにカッコに入っている場合は、国レベルとしては No だが一部の自治体あるいは一部の部門で取り組みが見られ、評価のアップグレード

に寄与する場合を示す。

* 評価がなされていない欄は、任意の指標においてその国での評価がそぐわないと判断されたもの。

アクション指標でのレーティングは、カテゴリーごとにとりまとめられる。例えば、一つのカテゴリーの中に3つの指標が設定されている場合、3つのすべての指標で「はい」

と回答される場合、カテゴリーに A がつく。2つの指標で「はい」一つの指標が「いいえ」の場合は B、1つの指標だけで「はい」の場合は C が付く(表 2a, 2b 参照)。

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12

3.3 G20 国のアクション指標によるカントリープロファイル

この後の節では、評価の結果を図示し、全般的な評価が視覚的にわかるようにしている。それらの図

では、垂直方向では当該国の排出量の割合を示している。例えば、下の図 2 を例とすると、左端の 75 と

いう数値が化石燃料起源の二酸化炭素がすべての温室効果ガスに占める割合である。25%がその他ガス

の割合。-1 は森林吸収量の全排出量と比べた割合である。この数値がプラスになっている場合は土地利

用分野が吸収源ではなく排出源に回っていることを意味する。次に、上記の中でも化石燃料起源の二酸

化炭素の部分を3等分し、3 つのゴールに割り当てる。さらにゴールごとにカテゴリーに相当するシェア

で高さが決まる。例えばゴール 1 に相当する部分であれば、本指標の対象となった部門、すなわち電力

部門と交通部門でのエネルギー供給量の合計を 100 とした場合にそれぞれが占める割合に応じて高さが

決まる。本指標で選択したカテゴリーは国のすべての排出量をカバーするものではないので、数字の合

計値は必ずしも 100 にはならない場合がある。国の状況をふまえて指標として選ばなかった場合も、合

計値は当然 100 とはならなくなる。なお、分析対象年が 2005~2014 年であるため、また、データ入手可

能性の理由から、2010 年時点でのデータを用いて上記のシェアを計算した。

棒グラフの横の長さは、カテゴリーのレーティング(計測結果)を示す。灰色の部分は PS 期(過去 2005

年~現在 2012 年)を指し、縞模様の部分は SF 期(現在 2013 年~将来 2025 年)を示している。

アクション指標の総合点は、すべての項目で A+を取得した場合の長方形の面積を 100 とした場合に、

現在示されている棒グラフが占める面積の割合を計算したものである。すべての国において PS 期よりも

SF 期の方がより多くの面積を占めているため、割合は高くなっている。この割合が高いほうがより効果

的なアクションをとっていると評価できる。

次ページから、国ごとの分析結果を示す。文中、アウトカム指標との整合性に関する記述があるが、

アウトカム指標は次節の分析にまとめて示してある。

図2 アクション指標の図示化

再生可能エネルギー普及

化石燃料による火力発電所からの二酸化炭素排出量削減

交通部門での低炭素化

ゴール2

エネルギー

の効率的利

産業部門での省エネ

建物部門での省エネ

交通部門での省エネ

産業部門での節エネ

建物部門での節エネ

交通部門での節エネ

森林拡大

フロン類

ゴール3

エネルギー

需要の逓減

ゴール4CO2以外のGHGs

ゴール1

エネルギー

の脱炭素化

75

25

-1

10

63

27

33

37

30

19

2

メタン

33

37

30

C- C BC B AB A A+全GHGの

中での割合(% )

全GHGの中での割合(% )

一次エネルギー需給量の中での割合(% )

注:すべてのGHG排出量が指標の対象となってはいないため、上記の割合の数値の合計は必ずしも100になるとは限らない。

PS 期(2005-2013年)

SF 期(2014-2025年)

カテゴリー

総排出量に占

めるエネルギ

ー起源 CO2

の割合

上記以外ガス

の割合

森林等によ

る吸収・排出

電力部門および交

通部門におけるシ

ェアで割合を決定

一次エネルギー消

費量に占める割合 表 3 で決定した評点

過去 10 年の実績

と、今後 10 年に

予定されている

政策を評価

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13

(1)グループ1:オーストラリア

オーストラリアの総排出量は、森林等土地利用を含めなければ、1990 年以降、少しずつではあるが着

実に増加しており、2000 年以降だけでも 1 割ほど増加している。ただし、森林等による吸収量も増加傾

向にあり、足し合わせると吸収量が排出量をほぼ打ち消す形となる。

図 3 にあるとおり、導入された政策の量は、他のグループ 1 国と比較すると、高水準ではない。4つ

のゴールとも、他の先進国が導入済みの政策を加えていけば、排出量を下げられる潜在的なポテンシャ

ルがあると推測できる。

ゴール 1 に関して、オーストラリアでは原子力発電を持たないこともあり、電力の大半を石炭火力で

賄ってきたため、高水準(高炭素含有率)を維持していた。過去 10 年の間に、急速に再生可能エネルギ

ー推進を目的とした政策を導入した結果、電力価格が上昇し、これが電力消費量を減らす結果につなが

った。つまり、政策はゴール 1 を目指したものが導入されたが、再生可能エネルギーの普及に寄与した

のみならず、ゴール 2 や 3 の改善にまで波及効果を及ぼしたといえる。

他方で、ゴール 2 については、他の多くの国ですでに実施されている産業部門を対象とした省エネ関

連基準以外は、全般的に高い水準ではない。ゴール 3 についても同様で、廃熱利用といった需要側を管

理する取り組みや、気候変動対策に対する国民の認知度を高める普及啓発は他の先進国と比べると高く

ない。

オーストラリアの特徴は、ゴール 4 に相当する部門の重要性が高いことである。メタンは、化石燃料

関連の産業分野と、畜産関連の農業分野が主な排出源となっている。2012 年に石炭採掘現場からのメタ

ン排出抑制パッケージを策定し、メタン抑制活動に補助金を支給した。その政策効果はまだアウトカム

指標には十分見えていないが、今後の改善が期待できる。畜産分野からの排出削減には飼料等を含めて

今後の技術開発が待たれる。森林分野についても同様であり、かつては森林減少が続いていたが、2012

年以降増加傾向に転じている。2013 年に植林する木の本数に関する目標を設定し、補助金をつけて植林

活動を進めており、今後のアウトカムさらなる改善が期待できる。

再生可能エネルギー普及

化石燃料による火力発電所からの二酸化炭素排出量削減

交通部門での低炭素化

ゴール2

エネルギー

の効率的利

産業部門での省エネ

建物部門での省エネ

交通部門での省エネ

産業部門での節エネ

建物部門での節エネ

交通部門での節エネ

森林拡大

フロン類

ゴール3

エネルギー

需要の逓減

ゴール4CO2以外のGHGs

ゴール1

エネルギー

の脱炭素化

75

25

-1

10

63

27

33

37

30

19

2

メタン

33

37

30

C- C BC B AB A A+

図3 アクション指標によるレーティング:豪州

全GHGの

中での割合(% )

全GHGの中での割合(% )

一次エネルギー需給量の中での割合(% )

注:すべてのGHG排出量が指標の対象となってはいないため、上記の割合の数値の合計は必ずしも100になるとは限らない。

カテゴリー

PS 期(2005-2014年)

SF 期(2015-2024年)

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14

(2)グループ1:カナダ

カナダの総排出量は、森林等土地利用を含めなければ、1990 年から 2000 年にかけて大幅に増えた。

その後現在までは安定的に推移しているものの、減少傾向には向かっていない。森林等による吸収量を

加えても、トレンドに大きな変更はない。

図 4 にあるとおり、導入された政策の量は、オーストラリアと同程度であり、他のグループ 1 国と比

較して高水準ではない。4つのゴールとも、他の先進国が導入済みの政策を導入していけば、排出量を

下げられる潜在的なポテンシャルがあると推測できる。

ゴール1では、カナダはもともと水力が電源の多くを占めていたこともあり、太陽光や風力といった

その他の再生可能エネルギーの導入に取り組んでいなかった。そのため過去 10 年の推移は、他国と比べ

て良好の水準であるにもかかわらずほとんど改善が見られない。今後、新しい再生可能エネルギーの導

入に着手し、また交通部門の電化を進めることで、さらなる脱炭素化が可能である。

ゴール2に関して、アウトカム指標で示されるとおり、カナダは先進国グループの中で最も悪い水準

にある。少しずつ改善方向には進んでいるものの、他の先進国に追いつく速度ではない。アクション指

標でも見られるように、省エネ関係の規制は、他の先進国と比べて少ない。ここで評価されたものの多

くも連邦政府レベルではなく、州レベルの取り組みであることが多い。寒冷地域にあり、建物部門の断

熱等による省エネが優先的に必要である。

ゴール3においてもカナダは先進国の中で最悪であり、取り組みも最低限度しかなかった。その中で

注目されるのが、ブリティッシュコロンビア州から導入された炭素税や、オンタリオ州で導入された排

出量取引制度である。2018 年までに全ての州または州が炭素税または排出量取引のどちらかを導入する

ことを義務付けることが連邦レベルで決まった。今まで対策に消極的だった産油州であるアルバータ州

も 2017 年に炭素税導入となった。

ゴール4では、オーストラリアと同様にメタン対策が最近石炭採掘時の発生抑制を掲げ、また、フロ

ン対策についてもキガリ改正の下対策強化を予定している。

再生可能エネルギー普及

火力発電所からの排出量削減

交通部門での低炭素化

ゴール2

エネルギー

の効率的利

産業部門

建物部門

交通部門

産業部門

建物部門

交通部門

森林拡大

フロン類

ゴール3

エネルギー

需要の逓減

ゴール4CO2以外のGHGs

ゴール1

エネルギー

の脱炭素化

79

21

-5

37

139

41

33

28

39

14

2

メタン

33

28

39

C- C BC B AB A A+

図4 アクション指標によるレーティング:カナダ

全GHGの

中での割合(% )

全GHGの中での割合(% )

一次エネルギー需給量の中での割合(% )

注:すべてのGHG排出量が指標の対象となってはいないため、上記の割合の数値の合計は必ずしも100になるとは限らない。

カテゴリー

原子力発電所の安全確保

PS 期(2005-2014年)

SF 期(2015-2024年)

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15

(3)グループ1:フランス

フランスの総排出量は、1990 年から 2005 年まではほぼ横ばいだったが、以降急速に削減が進み、2015

年までに 2 割近くの削減を達成した。森林による吸収量も同様に近年増えており、二酸化炭素以外のガ

スについても少しずつではあるが減少方向にある。

図 5 にあるように、フランスでは、すべてのゴールでバランスよく政策が高水準で導入されている。

また今後もさらに導入する計画が立てられている。

ゴール1に関しては、フランスは以前から原子力発電に電力の多くを依存していたため、かつては、

対策しようにもこれ以上減らすポテンシャルがないと考えられてきた。しかし、2005 年、「エネルギー

政策指針法」が制定され、2050 年までに GHG を 75%削減する長期目標達成のため、エネルギー、発電

での再エネ比率を 2010 年までにそれぞれ 10%、21%にまで引き上げ、2020 年に向けた原子力オプショ

ンを維持する、などが規定された。また、二酸化炭素排出量の少ない車の優遇や電気自動車の普及に向

けた対策も取り始めた。

ゴール2に関して、排出量の多い事業所は欧州レベルで 2005 年に EU-ETS が導入されており、キャッ

プがかかった状態となっている。また、「エネルギー政策指針法」では、最終エネルギー消費の原単位を

2015 年まで毎年 2%削減、2030 年まで毎年 2.5%削減していくことが目標として示された。建物に関し

ても EU レベルで規制が導入されているが、それに加えて、フランスとして、例えば 2006 年に省エネ証

書制度(ホワイトサーティフィケイト)を導入し、エネルギー供給事業者に対して、需要サイドにおけ

る省エネルギー目標を定める対策を実施した。欧州域内の航空機燃料に対しても EU レベルで規制が進

んでおり、域外と比較して高水準で対策が導入されている。

ゴール3に関して、2012 年以降、車の燃料や、その他エネルギー全般に対して炭素税が導入されてい

る他、人々への啓発やエネルギー消費量の見える化も進んでいる。

ゴール4に関して、農業部門や廃棄物部門でのメタン対策が導入されている他、国の森林保全対策を

進めている。

再生可能エネルギー普及

火力発電所からの排出量削減

交通部門での低炭素化

ゴール2

エネルギー

の効率的利

産業部門

建物部門

交通部門

産業部門

建物部門

交通部門

森林拡大

フロン類

ゴール3

エネルギー

需要の逓減

ゴール4CO2以外のGHGs

ゴール1

エネルギー

の脱炭素化

74

26

-8

135

52

30

27

47

30

13

4

メタン

27

47

30

C- C BC B AB A A+

図5 アクション指標によるレーティング:フランス

全GHGの

中での割合(% )

全GHGの中での割合(% )

一次エネルギー需給量の中での割合(% )

注:すべてのGHG排出量が指標の対象となってはいないため、上記の割合の数値の合計は必ずしも100になるとは限らない。

カテゴリー

原子力発電所の安全確保

PS 期(2005-2014年)

SF 期(2015-2024年)

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16

(4)グループ1:ドイツ

ドイツの総排出量は、1990 年以降、一貫して減り続けている。二酸化炭素以外のガスの排出量も少し

ずつ減っている。森林等土地利用による吸収量は少なく、大半が排出量による減少である。1990 年から

2000 年にかけて順調に減った国の特殊な事情として、東西ドイツの統一が指摘されることが多かった。

旧東独の効率の悪い石炭火力発電所を閉鎖するだけで減らせたという指摘である。しかし、それが一巡

した後も引き続き減らし続けられた背景には、それなりの政策導入による努力があることが図 6 で示さ

れた。その結果、アウトカム指標では、ほぼすべての指標で、ドイツは他国と比べて相対的に高水準を

維持し続いている。なお、ドイツは原子力発電の 2022 年全廃を目指しているため、同図においてゴール

1の中で原子力関係の指標は除外した。

ゴール1においては、再生可能エネルギーの普及に向けて FIT を早期に導入するなど積極的に取り組

んだことが他国と比べても高く評価される。他方で、石炭火力の割合が依然として高く、同分野での取

り組みが進んでいないことがゴール1全体の評価を下げている。

ゴール2においては、早くは 1999 年の第 1 次環境税制改革において、エネルギー税である石油税につ

いて税率を上乗せし、加えて電力税も新設し、炭素含有量に応じて税率を段階的に引き上げるなど、省

エネ普及に向けてエネルギー価格を上げる政策を導入している。その他、他の欧州諸国と同様、EU-ETS

をはじめとする EU レベルでの規制を導入している。建物や交通部門においても同様で、EU レベルの規

制を中心に実施が進んでいる。

ゴール3に関して、寒冷地域で熱供給システム(CHP)の普及に力を入れると同時に、公共交通システ

ム利用等に関する国民への啓発も進んでいる。

ゴール4:廃棄物部門での 3R(削減、再利用、リサイクル)が他国に先んじて進んだ結果、メタン対策

は高評価となった。フロンに関しては 2006 年の EU 指令以降、段階的に規制が厳しくなっている。他方

で、森林については森林保全や再生の対策には重点が置かれていない。

再生可能エネルギー普及

化石燃料による火力発電所からの二酸化炭素排出量削減

交通部門での低炭素化

ゴール2

エネルギー

の効率的利

産業部門

建物部門

交通部門

産業部門

建物部門

交通部門

森林拡大

フロン類

ゴール3

エネルギー

需要の逓減

ゴール4CO2以外のGHGs

ゴール1

エネルギー

の脱炭素化

89

11

-2

13

46

32

36

40

24

92

メタン

36

40

24

C- C BC B AB A A+

図6 アクション指標によるレーティング:ドイツ

全GHGの

中での割合(% )

全GHGの中での割合(% )

一次エネルギー需給量の中での割合(% )

注:すべてのGHG排出量が指標の対象となってはいないため、上記の割合の数値の合計は必ずしも100になるとは限らない。

カテゴリー

PS 期(2005-2014年)

SF 期(2015-2024年)

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17

(5)グループ1:イタリア

イタリアの総排出量の動向は、フランスと類似しており、1990 年から 2005 年まではほぼ横ばいだっ

たが、以降急速に削減が進み、2015 年までに 2 割近くの削減を達成している。森林による吸収量も同様

に近年増えて、全体の温室効果ガス削減に貢献している。二酸化炭素以外のガスについてはほぼ横ばい

である。図 7 に見られるように、イタリアで導入されている対策は、高水準となった。今後もさらなる

対策が予定されている。

ゴール1に関して、イタリアでは 2005 年以降、再生可能エネルギー普及に力を入れている。2005 年、

固定価格買取制度(太陽光)とグリーン証書制度をセットで導入し、2010 年には、国家再生可能エネル

ギー計画にて、2010 年時点で約 19%の再生可能エネルギー電力の割合を 2020 年までに約 26%とする計

画を提示した。2013 年の国家エネルギー戦略では、2020 年までにエネルギー消費に占める再エネ比率を

19~20%、電力に占める比率を 35~38%と見込んでいる。このような明確な方針の結果、再生可能エネ

ルギーの伸びは、他国を抜きんでている。なおイタリアは原子力発電を持たない。

ゴールに2に関して、イタリアは先進国の中でも GDP あたり排出量が低く、さらに下げる方向で推移し

ている。EU レベルでの規制以外にもイタリア独自の取り組みが多く見つかった。例えば、2012 年、エネ

ルギー効率指令にて、非 EU-ETS 部門の大企業に対して、エネルギー監査を義務付けた。また、鉱油税に

石炭を対象に追加するとともに炭素含有量に応じて製造または輸入時に課税。税率は 2017 年時点でガソ

リン約 313EUR/tCO2、石炭約 2EUR/tCO2、重油約 21EUR/tCO2である。建物部門に関しては 2005 年の法

律 192 号(2006 年改正)にて、建物のエネルギー効率を改善させる基準、条件および方法を定めている。

ゴール3に関しても、先進国の中でも一人当たり排出量が最も低い国で、さらなる削減を続けている。

2014 年 第 3 次国家エネルギー効率行動計画では、2020 年時点で同国の 2013 年の最終エネルギー消費実

績の約 13%分に相当する消費量削減を目標として掲げる。建物部門では、2005 年にホワイト証書制度を

導入し、電気、天然ガス供給事業者に対して、消費者のエネルギー消費量を削減する義務が課せられた。

ゴール4に関して、イタリアでは森林面積の増加傾向が続いているが、それを推進する政策は見つけ

られなかった。

再生可能エネルギー普及

化石燃料による火力発電所からの二酸化炭素排出量削減

交通部門での低炭素化

ゴール2

エネルギー

の効率的利

産業部門

建物部門

交通部門

産業部門

建物部門

交通部門

森林拡大

フロン類

ゴール3

エネルギー

需要の逓減

ゴール4CO2以外のGHGs

ゴール1

エネルギー

の脱炭素化

82

18

-8

28

42

30

10

3

メタン

28

47

29

C- C BC B AB A A+

図7 アクション指標によるレーティング:イタリア

全GHGの

中での割合(% )

全GHGの中での割合(% )

一次エネルギー需給量の中での割合(% )

注:すべてのGHG排出量が指標の対象となってはいないため、上記の割合の数値の合計は必ずしも100になるとは限らない。

カテゴリー

28

47

29

PS 期(2005-2014年)

SF 期(2015-2024年)

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18

(6)グループ1:日本

日本の総排出量は、1990 年から現在にかけて多少の増減はあるがほぼ横ばいに近い状態で推移してき

ている。総排出量に占めるエネルギー燃焼起源 CO2に割合が高く、森林等土地利用変化による吸収量も

横ばいとなっている。図 8 を見ると、日本は先進国の中で中程度の対策水準である。今後、導入される

予定の政策が多くみられるのは、気候変動枠組条約事務局に提出した NDC の中で、達成に向けて想定

される政策がリスト化されていたためである。なお、本研究では 2010 年時点のデータで電力構成を決め

ているため原子力発電が含まれる。

ゴール1では、アウトカム指標では原子力発電所が停止した 2011 年で脱炭素化トレンドが悪化し、再

度徐々に改善しつつある。これは、2011 年まで温暖化対策として原子力発電に依存し、再生可能エネル

ギーの普及政策が 2012 年以降ようやく本格化したことと一致する。火力発電をはじめとする化石燃料燃

焼に関しては、その水準を維持するのであれば CCS の導入を含めた抜本的な検討が必要である。交通部

門の脱炭素化も今後のさらなる取り組みが求められる。

ゴール2に関しては、日本はトップレベルに近い水準にあるが、2012 年以降、アウトカム指標は悪化

している。日本は以前より燃費効率基準や企業を対象とした報告制度等では世界最高水準の対策を導入

してきているものの、企業に自発的なインセンティブを付与する炭素税や排出量取引等の導入は低水準

である。また、建物部門でも対策が遅れており、断熱基準達成の義務化など今後の対策が待たれる。

ゴール3に関しても日本は先進国の中で高水準にあるものの、改善速度は遅い。建物部門(=民生)

では、2020 年までにすべての建物にスマートメーター設置を目指すという目標を 2014 年に示すなど、

2015 年以降に期待される効果が評価された。運輸部門では、ガソリンに対する税制、モーダルシフト等

の取り組み、環境に配慮した都市構想などが評価された。

ゴール4に関しては、日本では畜産業の割合が低い、廃棄物を埋立てない等の理由でメタン排出量の

割合が他国と比べて少ないため指標から削除している。フロン対策は、フロン回収率を高める取り組み

や HFC の代替物質の使用が今後必要である。

再生可能エネルギー普及

化石燃料による火力発電所からの二酸化炭素排出量削減

交通部門での低炭素化

ゴール2

エネルギー

の効率的利

産業部門

建物部門

交通部門

産業部門

建物部門

交通部門での節エネ

森林拡大

フロン類

ゴール3

エネルギー

需要の逓減

ゴール4CO2以外のGHGs

ゴール1

エネルギー

の脱炭素化

93

7

-5

3

66

16

15

31

39

29

31

39

29

3

原子力発電所の安全確保(2010年時割合)

C- C BC B AB A A+

図8 アクション指標によるレーティング:日本

全GHGの中での割合(% )

全GHGの

中での割合(% )

一次エネルギー需給量の中での割合(% )

注:すべてのGHG排出量が指標の対象となってはいないため、上記の割合の数値の合計は必ずしも100になるとは限らない。

カテゴリー

PS 期(2005-2014年)

SF 期(2015-2024年)

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19

(7)グループ1:英国

英国は、ドイツと同様、1990 年から一貫して総排出量を減らし続けている国である。1990 年から 2000

年までの減少は、発電のための燃料を石炭から天然ガスに転換したためと言われていたが、転換が止ま

った後も引き続き排出量は減り続けている。二酸化炭素、メタン、ともに減少し続けている。森林吸収

量の割合は小さく、横ばいとなっている。図 9 では、イギリスは先進国の中で対策が比較的進んでおり、

ゴール間のバランスもとれており、また、今後もさらなる対策導入が予定されている。

ゴール1では、EU レベルでの再生可能エネルギー導入目標を踏まえ、買取義務化及び FIT を導入し

た。石炭火力発電所に対しては 2009 年、300MW 以上のすべての火力発電所が CCS を設置する準備(CCS

レディ)を義務付けた。(その後、石炭火力の廃止の方向に転換)。近年では交通部門での電気自動車普

及も重視されている。

ゴール2では、イギリスは先進国の中でも GDP あたりエネルギー消費量が少ない。産業構造の要因も

あるが、GDP とエネルギー消費のデカプリングに成功できている理由として、EU レベルの規制に加え、

2008 年の気候変動法による、2050 年8割減を目指した段階的削減目標の設定と企業に対する排出量報告

義務、交通部門でも車両登録税が炭素排出量ごとに差異化するなどの政策を実施している。

ゴール3も、イギリスはイタリアとともに一人当たり排出量が先進国の中で最小である。2006 年 EC

コミュニケーション COM(2006)545 final により、2020 年までに、2007-2012 年より 20%エネルギー消費

量削減を目指した。2011 年、炭素排出量削減目標(CERT)では、ガス、電力、交通部門の業界を対象とし

てエネルギー消費量目標をたてている。3年ごとに更新される約束期間でより厳しい削減が設定される。

ゴール4の政策導入に関して、メタンに関して見つかった政策は 2008 年の廃棄物枠組み指令

(2008/98/EC) での生ごみ削減だけだったが、これが効果的だったのかは不明である。森林に関して、2011

年森林炭素コードにより森林再生促進、暖房用薪利用促進。同様に、英国成長行動計画により、森林面

積増加、木材製品の利用を促進した結果、アウトカムでも森林面積は増加傾向を維持できている。

再生可能エネルギー普及

化石燃料による火力発電所からの二酸化炭素排出量削減

交通部門での低炭素化

ゴール2

エネルギー

の効率的利

産業部門

建物部門

交通部門での省エネ

産業部門

建物部門

交通部門での節エネ

森林拡大

フロン類

メタン

ゴール3

エネルギー

需要の逓減

ゴール4

CO2以外の

GHGs

ゴール1

エネルギー

の脱炭素化

82

18

-2

3

68

8

20

32

28

40

10

3

原子力発電所の安全確保

32

28

40

C- C BC B AB A A+

図9 アクション指標によるレーティング:英国

全GHGの

中での割合(% )

全GHGの中での割合(% )

一次エネルギー需給量の中での割合(% )

注:すべてのGHG排出量が指標の対象となってはいないため、上記の割合の数値の合計は必ずしも100になるとは限らない。

カテゴリー

PS 期(2005-2014年)

SF 期(2015-2024年)

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20

(8)グループ1:米国

米国の総排出量は、1990 年以降増加傾向を続け、2005 年前後をピークに安定化し、2008 年のリーマ

ンショックを契機に下がった後、減った状態のまま維持されている。森林による吸収量は全体の比の中

では他の先進国と比べると多い。図 10 を見ると、導入された政策水準は、他の先進国と比べると低水準

である。特にゴール2、省エネに関する政策が遅れている。米国では、全般的な特徴として、連邦政府

レベルでの政策が少ないことがある。一部の州や自治体で先駆的な取り組みが見られる。

ゴール1は、米国の中では政策導入が進んでいるゴールである。再生可能エネルギーの導入に積極的

な州が多い。原子力発電も活用し続ける方向である。クリーンパワープランが(CPP)の今後が不透明

になっている点が課題である。

ゴール2は、エネルギースターラベル等を用いたエネルギー効率基準等の政策はあるものの、その基

準自体が EU や日本と比べて低い分野がある。炭素税やエネルギー税の導入があったとしても低率で、

エネルギー価格が低い。国際バンカー燃料に関しては、2020 年までに世界の航空機燃料起源の排出量を

安定化させるという 国際民間航空機関(ICAO)の目標を支持している点が評価された。

ゴール3についても、アウトカム指標をみると、米国は先進国の中でカナダに次いでワースト2とな

っている。過去 10 年間で改善傾向ではあるものの、他の先進国に追いつけない。2008 年 CHP テクニカ

ル支援パートナーシップ(CHP TAPs)にて、地域的な廃熱利用を支援している。あるいは、一部の州や

都市に限定して、排出量取引制度や炭素税等の導入が進んでいる。

ゴール4に関して、アウトカム指標では、傾向は横ばいであるが、政策は 2015 年以降に採用され始め

た。2012 年から石油、ガス生産設備からのメタン排出量規制があったが、2016 年、大気浄化法の下、上

記セクターからの排出量を 2025 年までに 2012 年比で 40-45%削減という数値目標を設定し、企業を支援

し始めた。フロンに関しても同様で、2015 年、大気浄化法の下 HFC 削減プログラムを導入した。森林

に関して、アウトカム指標では増加傾向が続いているが、目立った森林保全政策は見つからなかった。

再生可能エネルギー普及

化石燃料による火力発電所からの二酸化炭素排出量削減

交通部門での低炭素化

ゴール2

エネルギー

の効率的利

産業部門

建物部門

交通部門

産業部門

建物部門

交通部門

森林拡大

フロン類

メタン

ゴール3

エネルギー

需要の逓減

ゴール4CO2以外の

GHGs

ゴール1

エネルギー

の脱炭素化

C- C BC B AB A A+

83

17

-12

カテゴリー

5

60

9

26

一次エネルギー需給量の中での割合(% )全GHGの

中での割合(% )

19

39

42

19

39

42

10

3

注:すべてのGHG排出量が指標の対象となってはいないため、上記の割合の数値の合計は必ずしも100になるとは限らない。

原子力発電所の安全確保

図10 アクション指標によるレーティング:米国

全GHGの中での割合(% )

PS 期(2005-2014年)

SF 期(2015-2024年)

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21

(9)グループ2:アルゼンチン

アルゼンチンの排出総量は、1990 年以降増加傾向にある。1990 年代は、二酸化炭素よりもそれ以外の

ガスの排出量の方が多かった。2000 年以降工業化が進み、現在ではエネルギー起源二酸化炭素の方が大

きな割合を占めているが、図 11 にもあるように、今でも農業部門からのメタンと亜酸化窒素の割合は他

国と比べて飛びぬけて高く、エネルギー燃焼起源の排出量のみを対象とした対策には限界があることを

理解する必要がある。

ゴール1に関するアウトカム指標では、再生可能エネルギーのシェアは高まっているが、それでもエ

ネルギーの脱炭素化に関しては横ばいである。2007 年の再生可能エネルギーによる発電促進法において、

2016 年末までに発電量に占める再生可能エネルギーの割合を 8%にする目標を設定していたことで、再

生可能エネルギーは増加したが、それと同等の速さで石炭火力発電も増加しているためと推察する。

ゴール2に関して、アウトカム指標ではアルゼンチンは準先進国グループの中では中程に位置する。

政策は最低限の政策しか導入されていない。家電製品を中心に、2010 年、合理的かつ効率的なエネルギ

ー使用に関する国家プログラム (PRONUREE)が導入された。このプログラムは、教育、ラベリング、エ

ネルギー効率規制、CDM 活用等を支援している。同年、住宅用白熱電球の輸入と商業化も禁止された。

ゴール3に関して、アウトカム指標では、準先進国の中では一人当たりエネルギー消費量は少なく、

その状態が維持されている(先進国のイタリアと同程度の水準)。唯一交通部門で、燃料に対し約 130

EUR/tCO2の課税がされている点が評価された。

ゴール4に関して、アウトカム指標でメタンと亜酸化窒素の排出量が 2008 年に大きく減少しているが、

アクション指標では対策はまったく取られていない。そのため、排出削減は政策によるものではなく、

米国のリーマンショックに端を発する世界的な経済活動の停滞によるものを考えられる。森林面積に関

しては、アルゼンチンでは 2005 年以降、ブラジル以上の速度で森林減少が続いている。森林減少を減ら

し国土の持続可能な利用を促進する政策をとっているという政府公文の記載はあるが、財政的支援を含

めた森林保全活動までには至っていない。

再生可能エネルギー普及

火力発電所からの排出量削減

交通部門での低炭素化

ゴール2エネルギー

の効率的利

産業部門

建物部門

交通部門での省エネ

産業部門

建物部門

交通部門での節エネ

森林減少による二酸化炭素排出量

亜酸化窒素

メタン

ゴール3

エネルギー

需要の逓減

ゴール4

CO2以外の

GHGs

ゴール1エネルギー

の脱炭素化

45

37

17

1437

49

38

24

38

19

18

38

24

38

C- C BC B AB A A+

図11 アクション指標によるレーティング:アルゼンチン

全GHGの

中での割合(% )

全GHGの中での割合(% )

一次エネルギー需給量の中での割合(% )

注:すべてのGHG排出量が指標の対象となってはいないため、上記の割合の数値の合計は必ずしも100になるとは限らない。

カテゴリー

PS 期(2005-2014年)

SF 期(2015-2024年)

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(10)グループ2:ブラジル

ブラジルの総排出量は、森林を含めない場合、1990 年以降、増加し続いている。アルゼンチンと同様、

図 12 に示されるように、エネルギー起源二酸化炭素よりも、メタンや亜酸化窒素などのその他 GHG の

方がやや多く、両方とも少しずつ増加し続けている。他方で、森林関連の排出を含めると、1990 年代か

ら 2000 年にかけて、森林減少による二酸化炭素排出量の増加が顕著であったが、その後、森林減少を食

い止める動きが強まり、結果として 2000 年代後半以降、国全体の排出量は減少傾向となっている。

政策実施水準は全体的に低いが、ゴール1に関しては努力が見られている。もともと水力で電力を賄っ

ていたが、近年エネルギー需要の増加に見合う電力を石炭火力で補っているため、アウトカム指標は悪

化している。但し、水力以外の再生可能エネルギーを対象とした支援策は充実しており、2002 年より再

生可能エネルギー促進プログラムによる風力、小水力、バイオマス電力の固定価格買取、2011 年には同

エネルギーの税制優遇、2013 年以降はスマートグリッドを含めた送電線増強について、2023 年までに約

70,000km の送電線の増強が必要だと結論づけた。

ゴール2に関して、アウトカム指標では、ブラジルは良好な水準である。2013 年、産業部門で 2020 年

に BAU 比で 5%削減、という目標を設定し、製造業における低炭素経済統合のための気候変動緩和部門

計画(産業プラン)を今後徐々に導入している。産業部門のエネルギー計画に重要な 3 つの項目として

MRV が含まれている。家電製品に対しては、1985 年には機器に対する任意ラベリング制度を導入し、2001

年にはエネルギー効率法を制定し、電化製品のエネルギー効率の最低基準を設定している。

ゴール3もアウトカム指標ではブラジルは同グループの中で少ない。国のエネルギー需要が増加し始

めた 2007 年、国家エネルギー計画 2030 という計画を立て、2030 年までに、エネルギー需要の 9%、電力

需要の 10%、運輸部門の需要の 12%に相当する需要削減を決めた。

ゴール4に関して、ブラジルはアルゼンチンと類似の特徴を有するが、森林減少に関してより積極的

に政策を導入し、2015 年、2030 年までに森林面積を 12 百万 ha 増加することを目標として設定した。違

法伐採が問題となっており、政策の有無よりも、政策の実効性を高める工夫が必要である。リモートセ

ンシング技術を利用したモニタリングを強めている。

再生可能エネルギー普及

火力発電所からの排出量削減

交通部門での低炭素化

ゴール2エネルギー

の効率的利

産業部門

建物部門

交通部門での省エネ

産業部門

建物部門

交通部門での節エネ

森林減少による二酸化炭素排出量

亜酸化窒素

メタン

ゴール3

エネルギー

需要の逓減

ゴール4

CO2以外の

GHGs

ゴール1エネルギー

の脱炭素化

41

42

17

35

9

56

28

14

42

18

40

C- C BC B AB A A+

図12 アクション指標によるレーティング:ブラジル

全GHGの

中での割合(% )

全GHGの中での割合(% )

一次エネルギー需給量の中での割合(% )

注:すべてのGHG排出量が指標の対象となってはいないため、上記の割合の数値の合計は必ずしも100になるとは限らない。

カテゴリー

SF期

42

18

40

PS 期(2005-2014年)

SF 期(2015-2024年)

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23

(11)グループ2:韓国

韓国の総排出量は、1990 年以降、増加し続けている。大半がエネルギー燃焼由来の二酸化炭素であり、

その他 GHG の割合は少ない。森林による吸収量も相対的に少なく横ばいである。

図 13 を見ると、韓国は、グループ2(準先進国)の中では比較的多くの対策をとっている。特にゴー

ル3で高い評価を得ているが、ゴール1は低い。これから導入予定の政策も多いことがわかる。

ゴール1に関しては、再生可能エネルギーの導入が他国と比べて遅れている。FIT は 2002 年から導入

されているが再生エネルギーは伸びず、ようやく 2012 年、電力会社大手の 13 社に対して総発電量に占

める再生可能エネルギーの割合を 2012 年から 2024 年までに 2%から 10%に段階的に増やすよう指導し

て増加し始めた。2014 年、国家エネルギー基本計画やグリーン成長のための5か年計画にて、2035 年ま

でにエネルギー消費を BAU レベルより 13%削減、全エネルギー消費量に占める再生可能エネルギーを

11%、といった目標を設定した。

ゴール2に関しては、アウトカム指標では過去 10 年ほぼ変わらない水準で推移しており、改善に向か

っていない。しかし、政策は一通り導入されており、政策が期待された効果を上げていないのか、ある

いは、政策の効果以上の速度でエネルギー需要が増えようとしているのか見極める必要がある。2009 年

には、エネルギー効率ラベリング・基準プログラムによる最低限エネルギーパフォーマンス基準が選定

された。2015 年に排出量取引制度が導入されたことから、今後はその効果に注目する必要がある。

ゴール3で、アウトカム指標では、韓国の一人当たりエネルギー消費量はすでに多数の先進国よりも

多く、NDC に向けて今後さらに増やしていく予定である。これに対して、対策の方はすでに多く採用さ

れており、ここでもアクションがアウトカムに現れていないという問題が生じている。1991 年の統合エ

ネルギー供給法や 1990 年の都市渋滞解消策など、いくつかの政策は古く、アップデートが必要である。

2007 年エネルギー利用効率化法の下での大規模排出源となっている企業への定期的監査や、2009 年の低

炭素グリーン都市戦略はより最近のものであるが、水準を厳しくしていく必要がある。

ゴール4では、2007 年畜産業における飼料を、メタン発生の少ないものに変更、2008 -2012 年には一

般廃棄物排出抑制等の対策が実施されているが、排出量は増加傾向であり、追加対策が必要である。

再生可能エネルギー普及

化石燃料による火力発電所からの二酸化炭素排出量削減

交通部門での低炭素化

ゴール2

エネルギー

の効率的利

産業部門

建物部門

交通部門

産業部門

建物部門

交通部門

森林拡大

フロン類

ゴール3

エネルギー

需要の逓減

ゴール4CO2以外のGHGs

ゴール1

エネルギー

の脱炭素化

91

9

-6

253

20

25

38

31

31

4

3

メタン

38

31

31

C- C BC B AB A A+

図13 アクション指標によるレーティング:韓国

全GHGの

中での割合(% )

全GHGの中での割合(% )

一次エネルギー需給量の中での割合(% )

注:すべてのGHG排出量が指標の対象となってはいないため、上記の割合の数値の合計は必ずしも100になるとは限らない。

カテゴリー

原子力発電所の安全確保

PS 期(2005-2014年)

SF 期(2015-2024年)

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24

(12)グループ2:ロシア

ロシアの総排出量は、1990 年以降、旧ソビエト連邦崩壊による経済的混乱で大幅に排出量を下げた後、

1995 年以降はほぼ横ばいで推移している。二酸化炭素以外の GHG も同様の傾向を示している。森林吸

収量にも大幅な変化は見られない。図 14 を見ると、同グループの中で比較しても、対策の水準が低い国

であることが明らかである。今後予定されている対策も少なく、より本格的な対策導入が必要と言える。

また、アルゼンチンやブラジルと同様、ゴール4に関連する割合が高いのも特徴的である。

ゴール1に関し、アウトカム指標では過去 10 年ほぼ一定であり、改善傾向は見られない。政策もほと

んど導入されておらず、唯一見つかった政策は、2007 年グリッド接続費用への補助金制度である。ここ

では再生可能エネルギー発電事業者がグリッドに接続する為に行う投資への補助金を法制化した。2013

年には、電力卸売り市場において、再生可能エネルギーを経済的に支援する策が定められた。

ゴール2では、アウトカム指標ではグループ2内で最も悪い水準にあり、過去 10 年で改善しつつある

ものの、GDP による変動が大きい。政策導入水準も低い。その中で主な政策は 2010 年の「2020 年に向

けた省エネ・効率改善」 (Decree #2446-r)であり、電力、製造業等の業界に対し、強制力のある削減目標

を設定し、2007 年から 2020 年の間にエネルギー原単位を 40%削減することを目標としている。建物の

省エネに関する政策は見つからなかったが、家電製品等に関しては 2009 年の指令 N1222 にて、特定の

商品群に対して、エネルギー効率に関し EU の階級制度を参考に、ラベルによる表示を義務づけている。

ゴール3では、アウトカム指標では過去 10 年ほぼ横ばいであるが、NDC で向かう先は、増加傾向で

ある。エネルギー需要を減らそうとする政策もほぼ皆無だえり、唯一本調査で見つかったのは、2012 年

に低炭素社会実現の為、ロシアの 2 つの中規模都市で、モーダルシフトの実現、プラグインハイブリッ

ド/電気自動車の導入、低排出ガス車の法規制枠組みの準備のパイロットプログラムにより、持続可能な

都市交通システムの開発を目指す取組だった。

ゴール4において、アルゼンチンやブラジルでは農業部門からのメタンや亜酸化窒素排出が多かった

が、ロシアのメタンは、化石燃料採掘現場から漏えいするメタンが多い。2014 年同分野のメタン排出量

を 2020 年までに 50-100 億 m3 、2030 年までに 300-350 億削減するという目標がたてられた。

再生可能エネルギー普及

火力発電所からの排出量削減

交通部門での低炭素化

ゴール2

エネルギー

の効率的利

産業部門

建物部門

交通部門

産業部門

建物部門

交通部門

森林による吸収

メタン

ゴール3

エネルギー

需要の逓減

ゴール4CO2以外の

GHGs

ゴール1

エネルギー

の脱炭素化

C- C BC B AB A A+

63

37

-20

カテゴリー

14

52

1420

一次エネルギー需給量の中での割合(% )全GHGの

中での割合(% )

39

38

23

33

注:すべてのGHG排出量が指標の対象となってはいないため、上記の割合の数値の合計は必ずしも100になるとは限らない。

図14 アクション指標によるレーティング:ロシア

全GHGの中での割合(% )

原子力発電所の安全確保

39

38

23

PS 期(2005-2014年)

SF 期(2015-2024年)

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25

(13)グループ2:サウジアラビア

サウジアラビアの総排出量は、1990 年以降急速に増加している。主に二酸化炭素の増加によるもので

あり、それ以外の GHG はほぼ横ばいである。森林等による吸収も少ない。このように、排出量削減の

ためには二酸化炭素をターゲットとした対策に絞るべきだが、それでも図 13 で示されるとおり、気候変

動政策の水準は低い。

ゴール1に関し、アウトカム指標では再生可能エネルギーがゼロに近く、原子力発電も持たないため、

エネルギーの炭素含有量が高いまま横ばいが続いている。対策では、2012 年にアブドラ市にて 2032 年

までに発電量に占める「非化石燃料の割合」を最大 50%に引き上げるプログラムを立ち上げた。再生可

能エネルギーの導入量目標は 54GW だが 2016 年時点で導入量は 12MW に留まっている。その他、油田

を活用した CCS の取り組みに着手する予定である。

ゴール2に関して、アウトカム指標では過去 10 年横ばいであり、NDC でも横ばいの目標となってい

る。2012 年のエネルギー効率プログラムでは、既存のプラントに対し国際的なエネルギー効率のベンチ

マークの平均的レベルを 2019 年までに満たすことが求められている。達成できなかった場合、操業に必

要な認可やライセンスの更新を行わないとしている。また、主だった施設で電気モーターやボイラー等

に関して監査が行われている。建物に関しては、2009 年以降の政府の建物建設に対し基準が法令化され、

2010 年には断熱基準がすべての新築の建物に対して施行された。

ゴール3に関して、アウトカム指標においてサウジアラビアの水準は米国に近づきつつあり、NDC は

さらにエネルギー消費量を増やす方向に向いている。政策もほとんど講じられておらず今後の取り組み

が急務である。交通部門では、リヤドにおいて公共交通網整備が着手されており、自家用車の使用抑制

が期待されている。建物(民生)部門では、人々の気候変動に対する認識が高いという文献があったた

めに若干評価されたが、これが国の教育政策等によるものであるかどうかはわからない。

ゴール4に関して、化石燃料関連のメタン排出量が多いが、対策は講じられていない。

火力発電所からの排出量削減

交通部門での低炭素化

ゴール2

エネルギー

の効率的利

産業部門

建物部門

交通部門

産業部門

建物部門

交通部門での節エネ

森林拡大

メタン、亜酸化窒素

ゴール3

エネルギー

需要の逓減

ゴール4CO2以外のGHGs

ゴール1

エネルギー

の脱炭素化

90

10

-2

0

64

36

39

29

32

39

29

32

3

C- C BC B AB A A+

図15 アクション指標によるレーティング:サウジアラビア

全GHGの中での割合(% )

全GHGの

中での割合(% )

一次エネルギー需給量の中での割合(% )

注:すべてのGHG排出量が指標の対象となってはいないため、上記の割合の数値の合計は必ずしも100になるとは限らない。

カテゴリー

再生可能エネルギー普及

PS 期(2005-2014年)

SF 期(2015-2024年)

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26

(14)グループ2:トルコ

トルコの総排出量は、1990 年以降増加の一途をたどっている。鉄鋼やセメント等の素材産業に加え自

動車産業等の重工業の伸びがエネルギー需要の増加の要因である。二酸化炭素以外の排出量は横ばいで

推移している。森林による吸収量は増加しているが、排出量の増加に追い付いていない。図 14 にあるよ

うに、政策導入も多くなく、全般的に今後の政策実施が必須である。

ゴール1に関して、アウトカム指標でトルコは最も悪い国の一つとなっている。これは、電力の多く

を低効率の石炭火力に依存していること、また石炭を暖房用に用いている地域があることによる。以前

から水力が再生可能エネルギーとして賦存しているが、その他の新たな導入は少ない。ようやく 2014

年、国家再生可能エネルギー計画にて、2023 年までに最終エネルギー需要の 20.5%を再エネで賄う、2023

年までに、発電量に占める再エネの割合を 30%以上とする、といった目標を掲げた。運輸部門に関して

は 2009 年に EU 規制に準拠し、EV 購入時の課税をガソリン車よりも低く設定している

ゴール2に関して、トルコの水準はグループ2の中では良い方だが、過去 10 年で改善はなく、NDC

も改善を期待できない水準でとどまっている。政策としては、2007 年 エネルギー効率法で企業に対す

るエネルギー管理について規定した後、2012 年のエネルギー効率制度 2012-2023 にて、エネルギーマネ

ジメントシステムの国際規格である ISO 50001 をトルコの基準として採用し、定期的なエネルギー監査

に基づき、省エネ目標、省エネポテンシャル、必要コストに関する行動計画の策定を義務付けている。

建物にも同戦略が適用され、エネルギー監査が実施されている。

ゴール 3 に関して、アウトカム指標でみるとトルコの一人当たり排出量は少なく、微増である。その

低い水準のためか、ゴール 3 に分類される政策はほとんど見られなかった。唯一、交通部門では、2012

年のエネルギー効率戦略 2012-2023 がモーダルシフトの促進を提示しており、公共交通機関付近での自

転車・自動車駐車場の整備や、海運や鉄道のインフラ整備により、人・物資の自動車輸送の削減を目指

している。これを促すために、ガソリンには 200EUR/tCO2を超える税金がかかっている。

ゴール4に関して、アウトカムでは森林面積が順調に増えているが、これは政策でも裏打ちできてい

る。2008 年国家植林土壌劣化管理キャンペーンを行い、2008~2012 年の5年間の植林活動を支援した。

再生可能エネルギー普及

化石燃料による火力発電所からの二酸化炭素排出量削減

交通部門での低炭素化

ゴール2

エネルギー

の効率的利

産業部門

建物部門

交通部門

産業部門

建物部門

交通部門

森林拡大

ゴール3

エネルギー

需要の逓減

ゴール4CO2以外のGHGs

ゴール1

エネルギー

の脱炭素化

81

19

-13

21

51

028

18メタン、亜酸化窒素

28

47

29

C- C BC B AB A A+

図16 アクション指標によるレーティング:トルコ

全GHGの

中での割合(% )

全GHGの中での割合(% )

一次エネルギー需給量の中での割合(% )

注:すべてのGHG排出量が指標の対象となってはいないため、上記の割合の数値の合計は必ずしも100になるとは限らない。

カテゴリー

28

47

29

原子力発電所の安全確保

PS 期(2005-2014年)

SF 期(2015-2024年)

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27

(15)グループ3:中国

中国の総排出量は、1990 年から伸び続け、特に 2000 年以降は速度を増して増え続けている。二酸化

炭素以外のガスも伸びているがその速度は二酸化炭素ほどではない。森林等による吸収量も増えている

が、排出量の伸びを相殺するに至らない。中国はグループ 3(新興国)に分類されるが、図 17 のとおり、

多くのグループ 2 国(準先進国)よりも高水準の気候変動政策を導入している。これは、世界一排出国

として対策を取らざるを得ない立場に立ったこと、国内での貧富格差が大きく平均的な一人当たり GDP

は小さくても、準先進国レベルの経済水準の国民が相当人数いること、また、大気汚染対策等、気候変

動対策以外の理由での政策導入が必要であることなどが政策水準の高さの背景にあると考えられる。

ゴール1に関して、中国は発電の多くを石炭火力に依存しており、電力の炭素含有量が多い。2012 年

に 電力の 20%を再生可能エネで発電すると目標を設定し、導入に補助金をもうけている。石炭火力発

電所に関しては今後の新設を保留しているとともに、第 10 次5ヵ年計画 (2001-2005 年)にて、CCS パイ

ロットスタディを 9 件承認した。かつて化石燃料に対する補助金があったが、金額は低下傾向にある。

2013 年以降、2 省 5 市で排出量取引制度が試験的に導入され、2017 年から本格導入された。

ゴール2に関して、アウトカム指標では値を急激に改善できている。今後も改善方向で NDC が設定

されている。政策として 11 次 5 ヵ年計画 (2006 – 2010 年)にエネルギー効率基準を設定し、続く 12 次 5

ヵ年計画 (2011 – 2015 年)では、2015 年までに一次エネルギー消費量の 11.4% が非化石燃料であること

を目指し、GDP 当たりエネルギー消費量 16%改善、1GDP あたり CO2排出量 17%改善を目標とした。

建物部門では、11 次5ヵ年計画の一部としてエネルギー効率基準を設定し、すべての建物平均を対象と

して 1980 年の水準よりも 50%改善を 2020 年までに達成することを目的とした。

ゴール3に関して、アウトカムでは増加傾向にあり、NDC は今後も増える方向で設定されている。対

策としては、11 次 5 ヵ年計画の一部として、寒冷地域での都市部 CHP 割合を 2002 年時点の 27%から 40%

とする目標がある。

ゴール4に関して、植林促進策が導入されており、実際森林面積も増加傾向にある。

再生可能エネルギー普及

化石燃料による火力発電所からの二酸化炭素排出量削減

交通部門での低炭素化

ゴール2

エネルギー

の効率的利

産業部門

建物部門

交通部門での低炭素化

産業部門

建物部門

交通部門での低炭素化

森林拡大

フロン類

メタン

ゴール3

エネルギー

需要の逓減

ゴール4

CO2以外の

GHGs

ゴール1

エネルギー

の脱炭素化

80

20

-6

12

80

07

47

12

30

47

12

30

13

2

原子力発電所の安全確保

C- C BC B AB A A+

図17 アクション指標によるレーティング:中国

全GHGの

中での割合(% )

全GHGの中での割合(% )

一次エネルギー需給量の中での割合(% )

注:すべてのGHG排出量が指標の対象となってはいないため、上記の割合の数値の合計は必ずしも100になるとは限らない。

カテゴリー

PS 期(2005-2014年)

SF 期(2015-2024年)

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28

(16)グループ3:インド

インドの総排出量は、1990 年以降増加傾向にある。増加は主に二酸化炭素で生じているが、他の GHG

も増えている。図 18 は 2010 年時点のデータであるので示されないが、2010 年以降はフロン類の排出量

が急増している。政策導入水準は中程度で、主にゴール2で導入が比較的進んでいる。ただし、国レベ

ルでなく州レベルで対策を実施している場合があり、本分析で網羅的に調査できていない可能性がある。

ゴール1に関して、アウトカム指標ではインドの再生可能エネルギー使用率は高い方であったが、悪

化の方向に進んでいる。これは、薪や家畜の糞など伝統的バイオマスから石炭火力に移行しているため

であり、太陽光、風力等の新たな再生可能エネルギーの導入は精力的に進めている。2005 年、国家電力

政策にて、州電力規制委員会に対して非在来型エネルギー優遇価格を設定するよう求めた。2006 年、地

方電化政策および国家電気料金政策で太陽光発電の購入義務割合を、2012 年の 0.25%から 2022 年までに

8%と定めた。2008 年、気候変動に関する国家行動計画の中で「太陽エネルギー国家計画」を設定した。

2009 年、FIT 電気法を踏まえ、FIT を開始。2010 年国家クリーンエネルギー基金の下、国内炭および輸

入炭に対し 1 トン当たり 50 ルピーを課税、税収を再エネの研究およびプロジェクトに充当する。

ゴール2に関して、アウトカムでは改善が見られていたが近年速度は落ちてきている。基本的な政策

は導入済みである。2012 年の「実施・達成・取引(Perform, Achieve and Trade (PAT)))制度では、大規模

エネルギー消費者を対象に、削減目標を設定し、達成を義務付けている。また、カーボンプライシング

に関しては、州レベルで電力消費に対する課税がある。2010 年には$1.07/tCO2の炭素税が導入された。

ゴール3に関して、インドの一人当たりエネルギー消費量はグループ3の中でも低く、今後もしばら

くの間は公平性の観点から増加が許容されるべき水準にあるが、大気汚染改善を目的として、いくつか

の対策が講じられている。2011 年には、PM が基準値を特に上回る 3 つの州で排出量取引制度が試験的に

導入された。また、2016-2017 年度の政府予算で、石炭、亜炭、泥炭を対象とした環境税(Clean Environement

Cess)を石炭 1 トン当たり 200 ルピー(3.1US$)から 400 ルピー(6.2US$)に引き上げた。

ゴール4では、森林面積の増大がアウトカム指標で見出されているが、2001 年、国家植林プログラム

にて、森林近傍に住む住民の生活のために、植林を実施しておりその効果が出ている。

再生可能エネルギー普及

火力発電所からの排出量削減

交通部門での低炭素化

ゴール2

エネルギー

の効率的利

産業部門

建物部門

交通部門での低炭素化

産業部門

建物部門

交通部門での低炭素化

森林拡大

メタン、亜酸化窒素

ゴール3

エネルギー

需要の逓減

ゴール4

CO2以外の

GHGs

ゴール1

エネルギー

の脱炭素化

75

25

-12

14

65

219

38

46

16

25

原子力発電所の安全確保

C- C BC B AB A A+

図18 アクション指標によるレーティング:インド

全GHGの

中での割合(% )

全GHGの中での割合(% )

一次エネルギー需給量の中での割合(% )

注:すべてのGHG排出量が指標の対象となってはいないため、上記の割合の数値の合計は必ずしも100になるとは限らない。

カテゴリー

38

46

16

PS 期(2005-2014年)

SF 期(2015-2024年)

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29

(17)グループ3:インドネシア

インドネシアの総排出量は、1990 年以降増加を続けているが、国の排出量の半分はメタンや亜酸化窒

素、そして森林減少によるものであり、エネルギー燃焼起源のものは、割合として少ないのが特徴であ

る。図 17 のとおり、エネルギー燃焼起源関連の二酸化炭素に対して最低限の対策はすでに講じられてい

るが、国の排出量を劇的に減らすためには、ゴール4関連の排出量に取り組むことが不可欠である。

ゴール1に関して、アウトカム指標自体はよい状態のまま横ばいが続いているように見えるが、これ

は一次エネルギーの多くが薪等のバイオマスで供給されていたためである。過去 10 年の間に、電力需要

が急激に高まり、石炭火力が増えていることから、指標は悪化している。急増する需要を満たすため、

太陽光や地熱等の再生可能エネルギーに関する政策が導入されている。2010 年、再生可能エネルギー発

電事業に対する税制優遇を開始。2012 年、固定価格買取制度を導入。2014 年、国家エネルギー政策にて、

一次エネルギー供給における新・再生可能エネルギーの割合を 2025 年で 23%(92Mtoe)以上、2050 年で

31%(310Mtoe)以上と目標を定めた。

ゴール2に関して、アウトカム指標では過去 10 年は順調に改善しているが、NDC の水準は、今後改善

が進まなくても達成できる水準である。政策としては最低限度のものは導入済である。2011 年、国家省

エネルギーマスタープラン(通称 RIKEN)にて、産業部門のエネルギー消費量を 2025 年までに 2011 年

の 17%削減を目標として設定した。また、従来から導入していた電力や化石燃料への補助金が、国家支

出を圧迫し始め、2013 年では国家支出の 21.7%を占めるまでに至ったため、2014 年以降は補助金改革が

進められており、その金額は減少傾向にある。

ゴール3に関して、一人当たりエネルギー消費量はまだ少なく、NDC でも下げる目標ではない。上記

補助金の削減が本ゴールにも効果がありうる他、交通部門では都市部の混雑緩和のためにジャカルタ都

市高速鉄道(地下鉄)などの公共交通網の整備が進んでいる。

同国にとって最も重要なゴール4に関して、二酸化炭素以外の GHG も森林減少による排出も、過去 10

年横ばいである。森林減少は国外からの支援を含め多大な努力が払われているが、改善に至っていない。

再生可能エネルギー普及

火力発電所からの排出量削減

交通部門での低炭素化

ゴール2エネルギー効率的利用

産業部門

建物部門

交通部門での省エネ

産業部門

建物部門

交通部門での節エネ

森林減少による二酸化炭素排出量

メタン、亜酸化窒素

ゴール3エネルギー需要の逓減

ゴール4

CO2以外の

GHGs

ゴール1エネルギーの脱炭素化

33

30

37

1288

49

382438

30

C- C BC B AB A A+

図19 アクション指標によるレーティング:インドネシア

全GHGの

中での割合(% )

全GHGの中での割合(% )

一次エネルギー需給量の中での割合(% )

注:すべてのGHG排出量が指標の対象となってはいないため、上記の割合の数値の合計は必ずしも100になるとは限らない。

カテゴリー

382438

PS 期(2005-2014年)

SF 期(2015-2024年)

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30

(18)グループ3:メキシコ

メキシコの総排出量は増加し続けている。エネルギー起源二酸化炭素が増加の主要因となっており、

二酸化炭素以外 GHG は微増である。図 18 の結果を見ると、気候変動対策はほとんどとられていない。

2015 年以降に導入されたものや今後導入予定のものを合わせてようやく他のグループ3国と並ぶ程度

である。

ゴール1に関して、メキシコはエネルギーの多くを化石燃料から得ているが、天然ガスの割合が高い

ため、炭素強度が相対的に低い。しかし、再生可能エネルギーは元からある水力以外はほとんど導入さ

れておらず、今後の普及が待たれる。2009 年のエネルギー転換及び持続可能なエネルギー利用に対する

基金を設立し、プロジェクト融資。2010 年に余剰電力買取制度を導入。2013 年、所得税法により、クリ

ーンエネルギーの発電のための機械・設備について 100%の加速度減価償却を適用可能としている。

ゴール2に関して、アウトカムでは過去 10 年の水準はほぼ横ばいである。政策に関してもエネルギー

効率改善を目指した政策はほとんど見つからず、1993 年の 家電製品等を対象とした任意のラベリング

プログラムや、1995 年のエネルギー効率基準以降、ほとんど政策は導入されていない。

ゴール3に関して、一人当たりエネルギー消費量はグループ3内で唯一減少傾向にある。メキシコシ

ティー等の大気汚染緩和のために、2000 年の「ゼローゼロ」プログラムなど、燃費の悪い車の使用でき

る日を制限するといった対策が見つかった。メキシコでは、2013 年にエネルギー改革と呼ばれる事態が

生じ、今まで国営独占体制だった化石燃料資源採掘が、以後、海外資本参入が認められることになった。

この結果がメキシコのエネルギー消費量や GHG 排出量に及ぼす影響は、現時点では不確実性が高い。

2016 年の電力産業法 では、2016 年から 2030 年までにクリーンエネルギーに対して総額 73.1Billion$の

投資を決めており、その 25%を CHP にあてる方針となっている。

2017 年 メキシコエネルギー改革 CHP の導入を促進させる。

ゴール 4 に関し、化石燃料採掘場からの漏えいによるメタン発生があるが、対策は見つからなかった。

アウトカム指標では森林面積が少しずつ減少しており、ここでも対策が必要である。

再生可能エネルギー普及

化石燃料による火力発電所からの二酸化炭素排出量削減

交通部門での低炭素化

ゴール2

エネルギー

の効率的利

産業部門

建物部門

交通部門

産業部門

建物部門

交通部門

ゴール3

エネルギー

需要の逓減

ゴール4CO2以外のGHGs

ゴール1

エネルギー

の脱炭素化

78

22

0

8

65

225

21

メタン、亜酸化窒素

C- C BC B AB A A+

図20 アクション指標によるレーティング:メキシコ

全GHGの

中での割合(% )

全GHGの中での割合(% )

一次エネルギー需給量の中での割合(% )

注:すべてのGHG排出量が指標の対象となってはいないため、上記の割合の数値の合計は必ずしも100になるとは限らない。

カテゴリー

47

22

31

原子力発電所の安全確保

PS 期(2005-2014年)

SF 期(2015-2024年)

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31

(19)グループ3:南アフリカ

南アフリカの総排出量は、少しずつ増加し続けている。その大半は、エネルギー燃焼起源の二酸化炭

素である。図 19 にあるように、対策は全般的に遅れており、今後予定されている対策も少ない。

ゴール1に関して、アウトカム指標では中国と類似の状況にある。つまり、電力の大半を石炭に依存

しているため、エネルギーの炭素強度が高い。これを改善するために、2011 年の電力統合資源計画 に

て、今後 20 年間で構成を見直す計画を立てた。計画での 2030 年の発電量は 454TWh で、電源構成は、

石炭 65% 、原子力 20% 、水力 5% 、CCGT1%、OCGT1%未満、太陽光、太陽熱(CSP)、風力合わせ

て 9%である。これが実現すれば、NDC に達成する予定である。

ゴール2では、GDP あたりのエネルギー消費量は変動が激しく過去 10 年で改善できていない。2005

年に、国家エネルギー効率戦略が策定され、2015 年までに国全体でエネルギー効率 12%改善を目指し

た。内訳として産業界で 15%、業務と公的建物で 15%、民生で 10%、交通で 9%改善を目標としたが、

目標達成には至らなかった。同時期にラベリング制度なども導入されている。交通部門では、2010 年、

CO2排出税として、新車販売される自動車の CO2排出量が 120g/km を超える場合、超過分について 1g/km

当り 75 ランド課税されることとなった。

ゴール3において、アウトカムではグループ3の中で最も高く、すでにイタリア等と同程度の水準に

なっているが、NDC では今後も増加傾向を目指していることになっている。政策の数も少なく、交通部

門での公共交通機関の利用促進や、自動車の燃料に対し約 120 EUR/tCO2の課税がされている等が調査で

見つかった。

ゴール4では、二酸化炭素以外の GHG についても、森林面積についても横ばいが続いている。政策

もほとんど見つからなかったが、森林面積に関しては、2008 年の長期削減シナリオ植林プロジェクトが

あり、2008 年から 2030 年にかけて商業的植林を実施し、2030 年までに新たに 760,000ha を森林にする

という目標がある。今のところデータからはこの政策の効果は表れていない。

再生可能エネルギー普及

化石燃料による火力発電所からの二酸化炭素排出量削減

交通部門での低炭素化

ゴール2

エネルギー

の効率的利

産業部門

建物部門

交通部門

産業部門

建物部門

交通部門

ゴール3

エネルギー

需要の逓減

ゴール4CO2以外のGHGs

ゴール1

エネルギー

の脱炭素化

83

17

-5

1

80

316

17

メタン、亜酸化窒素

C- C BC B AB A A+

図21 アクション指標によるレーティング:南アフリカ

全GHGの

中での割合(% )

全GHGの中での割合(% )

一次エネルギー需給量の中での割合(% )

注:すべてのGHG排出量が指標の対象となってはいないため、上記の割合の数値の合計は必ずしも100になるとは限らない。

カテゴリー

56

29

15

原子力発電所の安全確保

森林拡大

56

29

15

PS 期(2005-2014年)

SF 期(2015-2024年)

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32

4.アウトカム-アクション指標の統合による比較分析

上記 3.3 で示した指標の提示方法は、国のプロファイルを作成する上では有用だが、アウトカム指標と

の比較が困難であるし、他国との比較も難しい。そこで、アクション指標の国ごとの図を作った後で、

今後はゴールごとに切り分けて、グループごとに並べることで、その問題を解決した。図 22~25 で、上

の線グラフがアウトカム指標、下の棒グラフがアクション指標である。

4.1 ゴール1 エネルギーの脱炭素化

ゴール 1 において、アウトカム指標を 2 つ選定している(図 22)。指標 1 は一次エネルギー総供給量に

占める CO2 排出量であり、下降トレンドが望ましい。指標 2 は、再生可能エネルギーが総エネルギー供

給量に占めるシェアで、上昇トレンドが望ましい。アクション指標としては、4 分野(再生可能エネルギ

ー普及策、石炭火力発電所の排出基準、原子力発電政策、交通部門の脱炭素化)で合計 11 政策を選定し

た。もともと原発のない国や脱原発を目指している国では原発政策がなくても批判されるべきではない

ため、任意とした。

まず、グループ 1、2、3 の間で比較すると、アウトカム指標の水準は、経済水準と比例しているわけ

ではなく、水力発電等の地理的ポテンシャルによる影響をより多く受けていることが分かる。アクショ

ンは、グループ 1 でより多く導入されているが、グループ 1 内でも政策導入のレベルには差があること

が分かる。

アウトカム指標に注目すると、大半の国は、脱炭素化に向かっていることが分かるが、いくつかの国

は、反対方向に向かうような NDC を設定している。これらの国は、今後急速な経済発展に伴うエネルギ

ー需要増大に石炭火力発電所の新設で対応しようとしている国か、薪や家畜の糞など伝統的なバイオマ

ス燃料からより近代的なエネルギーにシフトしつつある国である。これらの国に対して適切に資金支援

できれば、再生可能エネルギーを普及させ、これらの国の NDCをより積極的なものに変えられるだろう。

また、例えばグループ1内で先駆的な水準にある C(フランス)は原子力発電により、B(カナダ)は

水力発電により、電力の脱炭素化が顕著ではあるものの、両者の間にも大きな差がある。この差は、カ

ナダが寒冷地にあり、暖房に化石燃料が用いられていることにある。つまり、電力の脱炭素化が第一ス

テップではあるものの、すでに電力の脱炭素化が完成した国では、建物や交通部門での電化あるいはバ

イオマス利用が必要ということである。

次に、アクション指標に注目すると、再生可能エネルギー普及政策として、FIT をはじめとする経済的

な支援策に加え、具体的な導入目標数値の設定と、系統の効率的な利用のための制度がセットで効果的

な政策パッケージとなることが分かった。石炭火力発電所の高効率化のための規制はほぼすべてのグル

ープで導入できているが、火力発電所を使い続けるなら最終的に必要とされる炭素回収・貯留(CCS)ま

でにはどの国も至っていないことも分かった。交通分野での脱炭素化(バイオ燃料活用や、電気自動車

普及等)は、特にグループ 1 内では多くの国で政策が導入されつつある。

さらに、アウトカムとアクションを比較して、アクションが高評価であるほど、アウトカムも好成績

であることが示された。つまり、政策の効果が排出量に効いているということである。

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33

図 22 ゴール 1 の指標(上段:アウトカム指標 1、中段:アウトカム指標 2:下段:アクション指標)

グループ1(先進国) グループ2(準先進国) グループ3(新興国)

注:図 22~25 において、国名は以下のとおり。

A:オーストラリア、B:カナダ、C:フランス、D:ドイツ、E:イタリア、F:日本、G:イギリス、H:米国

I:アルゼンチン、J:ブラジル、K:韓国、L:ロシア、M:サウジアラビア、N:トルコ

O:中国、P:インド、Q:インドネシア、R:メキシコ、S:南アフリカ

4.2 ゴール2 エネルギーの効率的利用(省エネ)

ゴール 2 において、アウトカム指標は、GDP あたりのエネルギー最終消費量であり、下降トレンドが

望ましい(図 23)。ここでもまずグループ 1、2、3 の間で比較すると、アウトカム指標の水準は、経済水

準とある程度連動していることが分かる。グループ 1 の水準は、グループ 2 や 3 と比べて改善が大きく

進んでいる。逆に、グループ 2 と 3 の間では、経済的な豊かさに大きな違いがあるにもかかわらず、水

準はほぼ同じである。アクション指標による政策導入量についてもほぼ同様のことが言える。つまり、

グループ 2 の国は、経済水準はグループ 1 に近づいているにもかかわらず、エネルギー効率を改善する

政策導入は遅れており、その結果、エネルギー効率も低水準のままの状態にあるということになる。こ

れらの国は、早急にエネルギー効率改善に向けた政策を導入すべきだろう。

アウトカム指標に注目すると、すべての国で、エネルギー効率を改善する方向に向かっていることが

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34

分かる。いくつかの国で増減が激しいのは GDP(実質ベース)をドル換算する際の為替レートの影響に

よる。特にグループ 1 にある国では、今後 10 年後も改善方向に向かってはいるものの、改善ペースは遅

く、過去 10 年間に見られたようなスピードでの改善は今後は難しいと言えそうである。少なくともその

ような目標を設定している。

次に、アクション指標に注目すると、特にグループ1の国で多くの政策が高水準ですでに導入されて

おり、今後もさらに水準を上げていくことを予定している。効果的な政策としては、産業部門における

企業への目標設定と排出量に関する定期報告義務、建物部門での断熱効率基準の見直し、交通部門での

燃費効率の悪い車の排除、などが挙げられる。主要な産業部門での規制や家電製品などのラベリングは、

すでに新興国を含めた大半の国で導入済みである。相対的に言えば交通部門での対策が遅れがちである。

炭素税や排出量取引制度の結果としてのエネルギー価格上昇は、本ゴール改善に効果的であるが、多く

の国ではまだ十分に高い価格がついていない。新興国ではエネルギーに補助金がついていることが多い

が、その撤廃は効果が高い対策である。

さらに、アウトカムとアクションを比較して、グループ 1 において、アクションが高評価であるにも

かかわらず、NDC に向けた改善度は低いことから、今後、省エネにさらに尽力するよりも、他の 3 つの

ゴールを目指す政策を中心に検討した方が効果的と提言できる。グループ 2 では早急にグループ 1 レベ

ルの政策導入を目指すべきである。

図 23 ゴール 2 の指標(上段がアウトカム指標 3、下段がアクション指標)

グループ1(先進国) グループ2(準先進国) グループ3(新興国)

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35

4.3 ゴール3 エネルギー需要の逓減(節エネ)

ゴール 3 において、アウトカム指標は、一人あたりのエネルギー最終消費量であり、下降トレンドが

望ましい(図 24)。ここでもまずグループ 1、2、3 の間で比較すると、ゴール 2 の時と同様、アウトカム

指標の水準は、経済水準とある程度連動していることが分かる。グループ 1 とグループ 2 では、グルー

プ 3 と比べて一人当たりで多くのエネルギーを消費している。言い方を変えると、グループ 1 と 2 の間

では、経済的な豊かさに大きな違いがあるにもかかわらず、エネルギー消費量の水準はほぼ同じである。

アクション指標による政策導入量についてもほぼ同様のことが言える。つまり、グループ 2 の国は、経

済水準はグループ 1 より低いものの、一人当たりエネルギー消費量は同等の水準まで到達してしまって

おり、かつ、政策導入はグループ 3 と同レベルのままの状態ということである。これらの国は、早急に

エネルギー需要逓減に向けた政策を導入すべきだろう。

アウトカム指標のトレンドに注目すると、全体的に指標が改善方向に向かっているのはグループ 1 だ

けである。グループ 2 や 3 では不変か増加傾向にあり、NDC も増加方向に向かって設定している国もあ

る。グループ 3 はまだ経済水準を高めるために増加傾向を目指すのもやむを得ないかも知れないが、グ

ループ 2 の一部の国はすでにグループ 1 を超えてさらなる増加を目指している国もあり、目標の見直し

が必要である。グループ 1 はわずかに減少方向で目標が設定されているが、長期目標を目指すのであれ

ばより速度を上げて減らしていく必要がある。

図 24 ゴール 3 の指標(上段がアウトカム指標、下段がアクション指標)

グループ1(先進国) グループ2(準先進国) グループ3(新興国)

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次にアクション指標に注目すると、今まで見てきたゴール 1、2 と比べると、全体的に政策の導入水準

が低い。グループ 1 では、過去 10 年では、主にゴール 2 で見られた省エネ努力によって、消費量も改善

してきたといえる。ただし、今後は省エネがわずかしか進まないことがゴール 2 で示されていることか

ら、短期的に排出量を削減するには需要側に着手せざるを得ず、今後ゴール 3 関連の政策が予定されて

いる国がいくつかある。グループ 2 と 3 では、政策の数自体が少なかった。唯一先進国並みに政策実施

している K(韓国)は、アウトカムにつながらず、一人当たりエネルギー消費量は増大方向である。この

ような国は、気候変動政策以外の政策分野でエネルギー消費を増やす方向に働く政策が取られている可

能性が示唆される。

アウトカムとアクションを比較して、特にグループ 1、2 において、本ゴールに寄与する政策を増やし

ていく必要性が高いことが指摘できる。環境教育などは多くの国で実施済みだが、工業地帯での熱のカ

スケード利用、個人のエネルギー消費量を意識させるための「見える化」、自動車を使わなくても不自由

を感じない街づくりなどに、どの国も本腰を入れる必要がある。

4.4 ゴール4 エネルギー起源 CO2以外のガス対策、森林等による吸収

ゴール 4 において、アウトカム指標は、一人あたり CO2 以外の GHG(下降トレンドが望ましい)と、

森林被覆面積の前年度変化率(上昇トレンド、あるいは正の値での維持が望ましい)である。アクショ

ン指標としては、メタン、フロン、森林の分野から合計 8 政策を選定した(図 25)。

ここでもまずグループ間で比較する。アウトカム指標の水準は、経済水準とは無関係に決定している

ように見える。指標 5(CO2 以外の GHG)が多い国ではメタン排出量が化石燃料採掘や農業部門から排

出されており、その国の経済水準というよりは産業構造で水準が決定している。指標 6(森林面積変化率)

に関して、単純に森林面積を指標にしてしまうと、その国の気候等が大きく影響するが、変化率をとる

ことで、国の政策がより反映しやすい指標となっている。

アクション指標に注目すると、他のゴールと比べて全体的に政策が不足していることが分かる。グル

ープ 1 国ではある程度の政策が入っているが、グループ 2 や 3 ではほとんど皆無である。特に農業部門

から排出されるメタンや亜酸化窒素は、農業生産量を減らさずに排出量だけを減らす効果的な手段がな

いこともあり、放置されている状態であることがわかる。グループ 2 や 3 では、ゴール 4 関連の排出量

のシェアが相対的に大きい国が多く、この分野での対策の重要性を示唆している。

アウトカムとアクションを比較すると、まず、CO2以外の GHG に関しては、全体的に本ゴールに寄与

する政策を増やしていく必要性が高いことが指摘できる。日本国内ではこれらのガスのシェアが低いた

めに注目されないが、他の国では、先進国であっても農業部門や化石燃料採掘過程においてメタン排出

量が無視できない水準で存在し、対策が必要である。グループ 2 や 3 の中では、I 国(アルゼンチン)や

J 国(ブラジル)、L 国(ロシア)、Q 国(インドネシア)では、国の GHG に占めるメタン・亜酸化窒素の割

合が高く、対策が急務である。

多くの国で対策がないため、排出量も一定量を保っている。将来に向けて一部の国では増加目標を設

定しているように図で示されているが、これは暫定値であり、今後のこれらの国の政府からの目標に関

する公式な情報提供が待たれる。

他方、森林面積変化率に関しては、政策が導入されている国で成果がアウトカムに現れていた。A 国(オ

ーストラリア)、G 国(英国)、N 国(トルコ)、O 国(中国)、P 国(インド)といった国で、森林面積に

関する目標を掲げ、植林活動を支援し、その結果、森林面積が減少傾向から増加傾向に転向、あるいは

経年的に増加傾向を維持し続けられている。I 国(アルゼンチン)や Q 国(インドネシア)のように現在

森林面積減少が激しい国では、今後、同様の取り組みが求められる。

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図 25 ゴール 4 の指標(上段:アウトカム指標 5、中段:アウトカム指標 6:下段:アクション指標)

グループ1(先進国) グループ2(準先進国) グループ3(新興国)

4.5 C-PPI から得られた示唆と今後の課題

4 つのゴールごとに国の経済発展水準と排出量推移、そして政策との関連を検証していった結果、ゴー

ルごとに異なる特徴が見出された。公平性の観点から経済発展水準ごとに配慮が必要なゴールは 2(省エ

ネ)と 3(節エネ)である。また、排出量推移に関して、より多くの政策を導入することで、より厳しい

NDC を設定できそうな国が多く見つかった。先進国においては特にゴール 1(エネルギー脱炭素化)と

ゴール 3(節エネ)で排出量を減らす余地がある。メタンや亜酸化窒素、森林に関してはそもそも未着手

な部分が多く、2℃目標などを目指すのであれば、これらの分野での排出削減技術を確立することが急務

であることが指摘できた。

G20 の国で C-PPI が活用できたことで、今後、G20 以外の国への適用可能性についても考えていく基盤

ができた。途上国の中にはデータ整備が遅れている国が多いが、人口や GDP など国の基礎的なデータを

整備し公表していくことは、自国の現状を把握する上で重要である。他国から批判されることを嫌うこ

とから情報をためらう途上国が多い中で、情報公開のメリットを周知していくことが必要である。

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5. 結論

この報告書では、C-PPI を用いて、G20 国に適用してみた。その結果、少なくとも G20 国に関しては、

アウトカム指標を計測するに足るデータがほぼ全部入手できること、アクション指標に関しては、国別

報告書に頼るため、情報が不足していることが分かった。また、C-PPI は、気候変動緩和策に関する国の

状況をより分かりやすくする上で、また、それを踏まえた検証プロセスを活性化させる上で、有効なツ

ールであることが示された。

今後、パリ協定の下で、国ごとの緩和策の進捗を評価していく手続きを構築するにあたり、以下のよ

うな示唆が得られた。

まず、各国が定期的に報告すべき情報について、途上国を含めすべての国は、可能な限り、NDC を提

出する際、自国の温室効果ガス排出量のみならず、NDC を決定する際に用いた目標年時点での人口や GDP,

エネルギーミックスの想定についても提出すべきである。とりわけ途上国は、このようなデータ開示に

消極的であるが、これらのデータは、他国が途上国の NDC を批判するために利用するわけではない。そ

れぞれの国が自分の国の状況をより正確に把握し、優れている点と今後努力しがいがある点を見極め、

後者について他国からの支援も受けつつ改善していくことは、より効果的な排出削減につながる。

政策に関する情報提供も同様である。気候変動枠組条約の下、すでに国別報告書や隔年報告書の提出

が求められているが、多くの途上国は定期的に提出できていない。定期的な情報提出が求められる。

次に、情報が提出された後の検証プロセスについて。現行では、カンクン合意の下、国の報告書やプ

レゼンに対して、Q&A の機会をもうけているが、ひととおり回答すれば終わりである。強い拘束力を伴

う検証プロセスには各国とも抵抗があるが、今の手続きのままでは、改善に向かうインセンティブもな

い。C-PPI で示した4つのゴールに分けて、アクション指標をチェックリストのような形で活用すること

で、その国の長所や課題がより明確になり、検証対象国と質問者との間の対話も活性化する。いうなれ

ば、国が健康診断を受けているような状態といえる。より正確な診断を得るためには、正確なデータが

必要である。健康管理のためにデータをそろえることがインセンティブとして働くようになれば、上記

の報告データの件も、途上国にとって、より受け入れられやすくなるだろう。

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付録:アクション指標の詳細 「政策の有無」欄の記載に関して、「Y」は国レベルで実施、「N」は国レベルで実施していない、「N(Y)」

は国レベルでは実施できていないが、一部の主だった自治体あるいは一部の主な部門を対象として実施、

を意味する。

指標1.再生可能エネルギーの目標設定

国 期間 政策の

有無 判断の根拠となる情報

グループ I

オース

トラリ

2005

-2014 Y 2010 年 再生可能エネルギー目標制度 (Renewable Energy Target : RET) 2020 年までに追加的に毎

年 450 億 kWh を再生可能エネルギーから調達することを目的とする。調達義務の対象者は 10 万kW 以上の電力取引に携わる卸売発電事業者と小売事業者。目標達成できなかった場合には罰則

金が設定されている。2020 年までに国内電力の 23.5%を再生可能エネルギーから調達することを目標に掲げている。

2012 年 クリーンエネルギー未来計画(Clean Energy Future Plan: The Australian Government’s

Climate Change Plan)環境問題対策に関する4つの政策方針(①炭素価格制度導入、2 再生可能エネルギーへの投資とイノベーション促進、③エネルギー効率の向上、④土地部門への機会創設)

を掲げ、そのうちの一つが再生可能エネルギーへの技術革新投資方針。2020 年までに国内電力の20%を再生可能エネルギーにすることを目標としている。

2015

-2024 Y 上記継続。

カナダ 2005

-2014 N 国家的な目標はない。各州が自主的に RPS や FIT 等を制定し、再エネ割合の向上に努めている。

2015

-2024 N 上記継続。

フラン

2005

-2014 Y 2005年 エネルギー政策指針法 排出量の削減目標は、2050年までに GHGを 75%削減を掲げた。

上記目標達成のため、エネルギー消費に占める再生可能エネルギーの割合を 2010 年までに 10%

(国内消費電力量の 21%)に引き上げる目標を掲げた。

2009 年 環境グルネル実施計画法 排出量の削減目標は、2020 年に GHG を 1990 年比で 20%、2050 年までに 75%削減を掲げた。その達成に向けて、2020 年に最終エネルギー消費量の 23%以

上を再生可能エネルギー由来とする目標を定めた。

2015

-2024 Y 2015 年 エネルギー移行法 排出量の削減目標は、1990 年比で 2030 年までに 40%、2050 年ま

でに 75%削減を掲げている。上記目標達成のため、最終エネルギー消費量に占める再生可能エネルギー比率を、2020 年に 23%、2030 年に 32%に引き上げる目標を掲げている。

ドイツ 2005

-2014 Y 2008 年 EU 指令を受け 2020 年までに最終エネルギー消費の 18%を再生可能エネとする。

2014 年 2030 年までに EU 全体の最終エネルギー消費量に占める再生可能エネルギーの割合を27%にする。2020 年目標については、各加盟国に拘束力のある再エネ導入目標を課すことで、欧州全体の目標達成につなげる。2030 年目標については、各加盟国に義務は課さず、EU 全体での

目標達成を目指す。

2015

-2024 Y 最終エネルギー消費に占める再エネの割合:15%(2013 年)

イタリ

2005

-2014 Y 2010 年 国家再生可能エネルギー計画(National Renewable Energy Action Plan)2010 年時点で約

19%の再生可能エネルギー電力の割合を、2020 年までに約 26%とする計画。

2013 年 国家エネルギー戦略(SEN:Strategia Energetica Nazionale) ただし、現時点で正式なものとなっていない(根拠となる法に 2008 年法に原子力開発が含まれており、原子力開発の撤廃

を含んだ SEN が法的強制力をもつためには議会の承認がいるため)2020 年までにエネルギー消費に占める再エネ比率を 19~20%、電力に占める比率を 35~38%と見込む。

2015

-2024 Y 上記継続。

日本 2005

-2014 N 目標なし。

2015

-2024 N(Y) 2015 年 長期エネルギー需給見通し 電力:2030 年度までに全発電量の割合:22~24%。発電

量:2366~2515 億 kWh へ。法的拘束力なし。固定価格買取制度における買取費用を 3.6〜4.0 兆円を上限とする、から水準を推計。

英国 2005

-2014 Y 2008 年 EU 指令を受け、2020 年の最終エネルギー消費の 15%再生可能エネとする。

2015

-2024 Y 2013 年 最終エネルギー消費に占める再エネの割合:15%

2014 年 2030 年までに EU 全体の最終エネルギー消費量に占める再生可能エネルギーの割合を27%にする。2020 年目標については、各加盟国に拘束力のある再エネ導入目標を課すことで、欧州全体の目標達成につなげる。2030 年目標については、各加盟国に義務は課さず、EU 全体での

目標達成を目指す。

米国 2005

-2014 N テキサス州:(2005 年) 目標:2015 年までに州内で 5000MW、2025 年までに 10000MWの再生

可能エネルギーを導入。カリフォルニア州(2008 年) 目標:すべての電力小売会社は、2020 年

までに販売する電力のうち 33%を再生可能エネルギーとする。

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2015

-2024 N(Y) 連邦レベル(2013 年)目標:2020 年までに現行と比べて電力部門における再生可能エネルギー

比率を倍に。法的拘束力なし。

グループ II

アルゼ

ンチン

2005

-2014 N(Y) 2007 年 再生可能エネルギーによる発電促進法(Promotion of Renewable Sources of Energy for

Electricity Production (26.190)) 2016 年末までに発電量に占める再生可能エネルギーの割合を 8%

にする目標を設定している。対象となる再生可能エネルギーは、風力、太陽光、地熱、潮力、水

力、バイオマス、埋立地で発生するガス、プラントのガスやバイオガスの精製。

2007 年 バイオ燃料法(Biofuels Promotion Laws)2010 年 4 月から国内で販売される全てのガソリン及び軽油に 5%のバイオ燃料を混合することを義務づけた。軽油へのバイオディーゼル混合

比率は 2010 年 9 月に 7%に引き上げられた。ガソリンへのエタノール混合比率は 8.5%(2014/9)

→10%(2014/12)→12%(2016/2)に上昇。

2012 年 バイオマスエネルギー促進プロジェクト(The Project for the promotion of energy derived

from biomass、PROBIOMASA)地方、州、国レベルでバイオマスからの熱と電気エネルギーの生産を増やし、クリーンで強固で競争力のあるエネルギーの供給を確保し、新しいアグロフォレス

トリー機会を創出し、地域開発を促進し、気候変動緩和に貢献する。プロジェクトによる CO2削減量は 2016 年には 120 万 tCO2/年、2030 年には 830 万 tCO2/年に達する見込み。

2015

-2024 N(Y) 上記継続。

ブラジ

2005

-2014 Y 2007 年 国家エネルギー計画 2030 (National Energy Plan 2030 (PNE))エネルギー供給量の拡大

に向けたロードマップを提示。2030 年までに、再エネの設備容量を 191.35GW に拡大。(2010 年比 92GW 増)

2014 年 エネルギー拡張 10 年計画 2024 (Ten-Year Energy Expansion Plan 2024) 2024 年までに、一次エネルギー供給量に占める再エネの割合を 45.2%に拡大(2014 年時点で 39.4%)風力・太陽光・バイオ燃料の増加により、再エネによる一次エネルギー供給量を年平均 4.1%拡大。

2015

-2024 Y 上記継続。

韓国 2005

-2014 N(Y) 2009 年 グリーン成長のための国家戦略(2009-2050)2050 年に向けて地球温暖化からの影響の

低減し、再生可能エネルギーとエネルギーの効率化による持続可能な経済発展実現に関する計画。目標として、温室効果ガス排出の効果的な緩和、排出量の定量化への取組、エネルギーの海

外依存からの脱却の促進、再生可能エネルギー源の利用拡大、再生可能エネルギー源関連の税制整備、排出量取引制度の段階的導入等を掲げている。

2014 年 国家エネルギー基本計画(第 1 次が 2008 年、第 2 次が 2014 年に制定)グリーン成長のための 5 か年計画 (2009-2013, 2014-2019) 第 1 次基本計画は 2008 年に制定され、現行の計画は第 2 次となる。5 年ごとに目標の見直しが行われ、再生可能エネルギー、原子力などの非化石エ

ネルギーの開発と展開、エネルギー需要サイドの管理を積極的に支援する。2035 年までにエネルギー消費を BAU レベルより 13%削減し、またエネルギー消費量では再生可能エネルギーが 11%を占めるよう、さまざまなエネルギー目標を設定している。

2015

-2024 N(Y) 上記継続。

ロシア 2005

-2014 N 2009 年 2030 年までのロシアのエネルギー戦略 (原文名: ENERGY STRATEGY of RUSSIA FOR

THE PERIOD UP TO 2030) 3 つの段階に分け達成目標を設定(2 段階目における目標は未設定)。第1段階終了(2013年から2015年頃)までに非化石燃料のエネルギー消費に占める割合を 11 -12%

とする。第 3 段階が終了する 2030 年までにはその割合を 13-14%とする。小規模水力、風力、潮力、地熱、バイオマス発電所を建設し発電容量を最大で 25GW とすることで、大規模水力を除く再エネによる発電量を 2030 年までに現状の 0.5%から 4.5%とする。第 3 段階終了までに再エネ

による発電量を少なくとも 800 億から 1000 億 kWh とする。

2015

-2024 N 上記継続。

サウジ

アラビ

2005

-2014 N(Y) 2012 年 King Abdullah City for Atomic and Renewable Energy (KACARE)によるプログラム。2032

年までに発電量に占める「非化石燃料の割合」を最大 50%に引き上げる。再エネの導入量は 54GW

で、ソーラーが 41GW を占める。2015 年に目標達成年を 2040 年に延期(2016 年時点で導入量は12MW)

2015

-2024 Y 2016 年 Saudi Arabia's Vision 2030 2030 年までに再生可能エネルギーの設備容量を 9.5GW に増

トルコ 2005

-2014 N(Y) 2014 年 国家再生可能エネルギー計画 (National Renewable Energy Action Plan for Turkey) 2023

年までに、最終エネルギー需要の 20.5%を再エネで賄う。2023 年までに、発電量に占める再エネの割合を 30%以上とする。運輸部門における再エネ(バイオ燃料)の割合を 10%以上とする。再エネの普及促進のため、財政的支援、行政手続の改善、法制度の整備等を実施

2015

-2024 Y 上記継続。

グループ III

中国 2005

-2014 N(Y) 2012 年 電力の 20%を再生可能エネで発電。対象範囲:電力目標の位置づけ:国家発展改革委

員会 法的拘束力無。

2015

-2024 N(Y) 2015 年 約束草案:2030 年までに一次エネルギー消費量の 20%を化石燃料以外。

インド 2005

-2014 N(Y) 2008 年 気候変動に関する国家行動計画(National Action Plan on Climate Change: NAPCC)行動

計画の中で 8 つのミッションを提唱。そのうちの一つに「太陽エネルギー国家計画」がある。そ

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の他7つのミッションと合わせて排出量の長期目標を達成しようとしている。

2010 年 太陽エネルギー国家計画(National Solar Mission)2022 年までに太陽光発電設備 20GW

を整備する目標があった。(2015 年 6 月に目標は引き上げられ 100GW(ルーフトップ型 40GW、地上設置型 60GW)に拡大)。進捗確認のため、年次の目標を設定している。

2012 年 第 12 次 5 カ年計画(2012-2016)では、2016 年度までに、再エネ発電設備容量を 30GW に拡大 (内訳: 風力 15GW、小水力 2.1GW、バイオマス 2.9GW、太陽光 10GW)

2015

-2024 Y 2016 年 国家電力計画(案) (Draft National Electricity Plan)・再エネ全体の設備容量は、

2022 年までに 2015 年の 4.1 倍(43GW→175GW)に拡大。風力は、2015 年の 27GW から、2022

年までに 60GW に拡大する計画、再エネ全体の 34%を占める。再エネ全体の発電量は、2027 年

までに 2022 年の 1.6 倍(327Twh→516Twh)に拡大、太陽光が再エネ全体の 47%を占める。

インド

ネシア

2005

-2014 N(Y) 2014 年 国家エネルギー政策 (政令 2014 年第 79 号、原文名;Kebijakan Energi Nasional、通称

KEN)一次エネルギー供給における新・再生可能エネルギーの割合を 2025 年で 23%(92Mtoe)以上、2050 年で 31%(310Mtoe)以上。

2015

-2024 Y 上記継続。

メキシ

2005

-2014 N 再生エネルギー関連の目標は確認されなかった。

2015

-2024 N(Y) 2015年 エネルギー転換法 クリーンエネルギー※の割合の拡大(発電量ベースで、2018年25%、

2021 年 30%、2024 年 35%)を目標に設定 ※再エネに原子力、コジェネを加えたもの。

南アフ

リカ

2005

-2014 N(Y) 2011 年 電力統合資源計画 (Integrated Resource Plan for Electricity 2010-2030)

2010 年 南アフリカの発電量は 260TWh で、電源構成は石炭が 90%を占めている。これを、今後の 20 年間で構成を見直す計画。計画での 2030 年の発電量は 454TWh で、電源構成は以下の通り。

・石炭:65% ・原子力:20% ・水力:5% ・CCGT:1%

・OCGT:1%未満 ・太陽光、太陽熱(CSP)、風力:9%

2015

-2024 N(Y) 上記継続。

指標2.再生可能エネルギー普及に向けた経済的支援

国 期間 政策の

有無 判断の根拠となる情報

グループ I

オース

トラリ

2005

-2014 Y 2008 年 固定価格買取制度 2008 年頃から、各州・地域政府の取り組みとして(連邦政府では

ない)、再生可能エネルギーの固定価格買取制度が実施されている。具体的な価格等は各州・地域ごとに異なる。

2008 年 National Solar Schools Program 再生可能エネルギーを導入する学校に資金援助を実施。5,310 校に計 2 億 1,700 万豪ドル以上を支給した。

2010 年 再生可能エネルギー目標制度 (RET) 2020 年までに追加的に毎年 450 億 kWh を再生可能エネルギーから調達することを目的とする。調達義務の対象者は 10 万 kW 以上の電力取引

に携わる卸売発電事業者と小売事業者。 ※目標達成できなかった場合には罰則金が設定されている。2020 年までに国内電力の 23.5%を再生可能エネルギーから調達することを目標に掲げている。

2010 年 Renewable Energy Bonus Scheme (REBS) 適格世帯を対象に、再生可能エネルギーシステムに置換した際にはリベート(払い戻し)を請求することができる仕組みを取り入れた。

2012 年 The Local Government Energy Efficiency Program (LGEEP) 特定の地域(低社会経済圏等)の地方自治体に対して、太陽熱温水システムをコミュニティビルや施設に設置するための資金援助を実施。240 の地方議会に計 670 万豪ドルを支給した。

2012 年 豪州再生可能エネルギー局 Australian Renewable Energy Agency (ARENA)の設立 連邦政府の政策(ARENA Act 2011)に基づき、再生可能エネルギー活用に関する投資機関を設立してい

る。設立資金は 20 億豪ドルで、2022 年までの投資計画を立てている。

2014 年 Solar Towns Programme 再生可能エネルギーシステムを導入する際の補助金を交付す

る。2014-2016 年間で 3 段階に分けて実施。最新の 2015-2016 年間で 731,997.82 豪ドルの補助金支給を実施した。

2015

-2024 Y 2015 年 クリーンエネルギー金融公社 Clean Energy Finance Corporation (CEFC)(クリーンエネ

ルギー金融公社法 2012 年)に基づき、再生可能エネルギー事業への投資を行っている機関(会社)を設立している。クリーンエネルギー策や環境構築、新資本源として、2015-16 年間で約

84 億豪ドルの投資を行った。

2016 年 Solar Communities Programme 特定の地域内で太陽光発電システムを新規に導入する一

般の建物が対象。全体で 500 万豪ドルの補助金を交付する。2017 年上半期にも開始する見通し。

カナダ 2005

-2014 N 2007 年 ecoENERGY for Renewable Power 再エネ(風力、バイオマス、低インパクト水力、地

熱、太陽光、海洋)によるエネルギー導入促進のため、CAD 1.5B を導入し、1 セント/kWh のイ

ンセンティブを発電事業者に実施。

20007 年 Accelerated Capital Cost Allowance 再エネ発電に対し 30~50%の加速減価償却を許可。

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42

2008 年 ecoENERGY for Biofuels Initiative ガソリンとディーゼルの代替となる再エネ資源であ

るエタノールの製造に、9 年以上で CAD 1.5B までの財政支援を実施。

2010 年 Federal Renewable Fuels Regulations ガソリンに 5%、ディーゼルに 2%の再エネ燃料割

合含有を規制。

2015

-2024 N 上記継続。

フラン

2005

-2014 Y 2000 年 固定価格買取制度 水力、海洋、地熱、風力、太陽光、コジェネ、家庭ゴミ、バイオマ

ス、バイオガス、メタンガス、36kVA 未満の小規模電源に対し、固定価格買取料金を設定。それ

ぞれ 12~20 年の買取期間および料金が設定されている。

2000 年 再生可能エネルギー発電 電力購入義務。 EDF 及び地方配電事業者に対し、電力消

費のうち再生可能エネルギー(風力、太陽光、地熱、水力、バイオガス等)由来の発電量を義務付ける施策。

2005 年 入札制度 エネルギー担当大臣は、発電容量が多年度発電設備投資計画の目標値に達しない場合、入札の実施が可能である。EDF 及び地方配電事業者は、入札で落札された発電事業者と電力買取契約を締結する。追加費用分については、電力公共サービス拠出制度(CSPE)を介し

て回収する。

2010 年 再エネ発電設備に対する税額控除。住宅に再生可能エネルギー設備等を設置する場合、

税額控除が受けられる。対象は、太陽光、太陽熱、風力、水力を利用する発電設備、バイオマスを利用する暖房設備、大気熱や水熱を利用するヒートポンプであり、控除率はそれぞれ異なる。

税額控除の上限は、在住者の人数に依存する。(1 人の場合、8,000€、2 人の場合、16,000€等)

2015

-2024 Y 上記継続。

ドイツ 2005

-2014 Y 1990 年 FIT を導入。

2015

-2024 Y 継続。

イタリ

2005

-2014 Y 2005 年 固定価格買取制度(太陽光)+グリーン証書制度 2005 年からは太陽光電力だけを対

象に発生電力を 20 年間固定価格で買取る制度(FIT)が導入。一方でグリーン証書制度(日本でいう RPS 制度)も併用されていた。

2011 年 固定価格買取の上限設定。

2011 年 政府は、電気代の上乗せ要因となる再エネ電力支援費用の無制限の拡大を阻止するた

め、太陽光電力で年間 67 億ユーロ、その他の再エネ電力で同 58 億ユーロの上限枠を設定し、この限度に到達後、支援を打ち切ることを決定した。

2013 年 固定価格買取制度に関して、2013 年以降はグリーン証書制度は廃止され、支援方式をFIT に一本化(5,000kW 以下の再エネ電源はすべて固定価格買取の対象、ただし水力 1 万 kW 以下、地熱 2 万 kW 以下は対象に含む)することを決定(2012 年 7 月 6 日付経済発展省/環境省共

同省令)。グリーン証書制度の再エネ電力比率は 2015 年に 0%に引き下げられることになった。なお、2005 年に開始した太陽光発電の固定価格買取も 2013 年 7 月に廃止。

2015

-2024 Y 上記の状態を維持。

日本 2005

-2014 N(Y) 2002 年 RPS を導入したが再生可能エネルギーシェア低く抑えられていた。

2012 年 FIT による全量固定価格買取。FIT による導入目標はなし。買取価格は個別の資源、技術及びその規模等の発電コストに応じ、適切な利潤を加えて設定。認定設備容量:8768 万 kW

RPS に関しては、電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法(RPS 法)(2002

年)にて再生可能エネ導入が示唆されたが、2012 年に廃止。

2015

-2024 N(Y) 2030 年目標達成に向けて今後拡大が想定されている。

英国 2005

-2014 Y 2002 年 再生可能エネルギー規制 Renewable Obligation (RO)導入。RO は、小売電気事業者に対

して、一定の再エネの利用を義務付ける制度。2002 年から導入。2015 年度義務量は、0.29ROCs/MWh。2020 年までに 30%を目指す。

2015

-2024 N(Y) 再生可能エネルギー価格の低下により、FIT の買取価格は下がった。

米国 2005

-2014 N (Y) FIT:カリフォルニア州(2008 年) 目標:設備容量上限 3MW、導入上限1GW 契約期間は 10・

15・20 年 買取価格:市場価格に連動

バーモント州(2009 年)目標:設備容量上限 2.2MW、導入上限 127.5MW 契約期間は 10・

15・20 年 範囲:風力、太陽光、バイオマス 買取価格:風力 100kW 以下 214.8 ドル/MWh、100kW 以上 118.2 ドル/MWh 太陽光 240 ドル/MWh、バイオマス 125 ドル/MWh

全国平均 12.22 セント/kWh=122.2 ドル/MWh(US 平均、家庭用 2013 年)

RPS: カリフォルニア州:2020 年までに 33%を再生可能エネに。この目標に向け、余剰買取(Net-Metering)制度を実施。

テキサス州:2025年までに 10000MW目標達成に向けて実施。

2015 N (Y) 2013 年 カリフォルニア平均的な FIT 買取価格: $122.2/MWh

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43

-2024 今後より多くの州で FIT導入の予定

グループ II

アルゼ

ンチン

2005

-2014 N(Y) 2010 年 再生可能エネルギー促進プログラム(Renewable Energy Generation Program (GENREN)

再生可能エネルギーによる発電促進法に基づき、国営電力会社 ENARSA は、再生可能エネルギー源から生産された合計 1000MW の電力の入札を実施し、15 年間有効な電力購入協定に従って電力を購入する。これら 1000MW の予想内訳は以下の通り。

・風力エネルギーから 500MW - 熱バイオ燃焼から 150MW、

- 都市廃棄物から 120MW、 - バイオマスから 100MW、

- 小規模水力発電プロジェクトから 60MW、 - 地熱から 30MW、

- 太陽光から 20MW - バイオガスから 20MW

・再生可能エネルギー信託から、15 年間の補助金。太陽光:0.9 ペソ/kWh、その他(バイオマス発電は 30MW 未満):0.015 ペソ/kWh。

・また、認可後 3 年間は資産に対して課税されず、加速償却も認められている。

2015

-2024 Y 2017 年 再生可能エネルギーによる発電促進のためのプログラム(Program to Promotion of

Renewable Sources of Energy for Electricity Production (26.191)) 「再生可能エネルギーによる発電促進法」の後継 ・再生可能エネルギーのため支払保証とプロジェクトファイナンスを提供する再生可能エネルギー開発基金(Fordo para el Desarrollo de las Energias Renovables - FODER)を設立。

2016 年に FODER に 12,000,000 ペソ(US $ 8 億 9,900 万米ドル)が追加される予定である。

・再生可能エネルギーによる電力生産者のためのインセンティブを定義し、再生可能エネルギーオークションの枠組みを決定する。

ブラジ

2005

-2014 Y 2002 年 再生可能エネルギー促進プログラム(Programa de Incentivo às Fontes Alternativas de

Energia Elétrica; PROINFA)風力、小水力、バイオマスが対象の固定買取価格制度。再エネの積極的な導入を図るため、対象となる再エネ発電所を選定し、選定された発電所は、連邦電力持株会

社(Eletrobras)との間で 20 年間の固定価格で電力買取契約を締結。既に目標買取容量(3,300MW)に達しているため、今後新たに再エネ設備を導入する事業者は、オークション制度を活用。

2002 年 太陽光及び風力に対する融資 ブラジル国立経済社会開発銀行(BNDES)による、太陽光・風力発電機器・設備に対する融資。国産設備の導入度合に応じて、BNDES が定める判定基準に従い、投資額に対する融資可能額の割合が決定される

2004 年 オークション制度 国家電力庁(ANEEL)により、20 年間固定価格で電力買取契約を結ぶ権利が入札にかけられ、発電事業者が応札。2009-2013 年の期間で、11.7GW の風力発電契約

を締結(PROINFA における契約容量:1.4GW) 平均落札価格は 0.061 USD/kWh で、PROINFA

の 40%程度(PROINFA における平均契約価格:0.154 USD/kWh)

2005 年 Luz Para Todos (Light for All)ブラジルの地方電化計画の一つ。当初は、電力系統の拡大を目的とした計画であったが、再エネやディーゼル発電を活用した分散型システムも対象としている。電気事業者から徴収した、電気事業用資産の 2.5%相当額(最終的には電力需要家に転

嫁)を原資とする、Global Reversion Reserve (RGR) により、開発のための資金を提供

2011 年 税制優遇 再エネ発電設備に対する関税の減免

- 風力発電設備: 免税 - 太陽光発電設備: 2-10%に軽減

― 商品流通サービス税(ICMS)の免除 - 風力及び太陽光発電が対象。2021 年まで継続

2012 年 余剰電力買取制度(Net-Metering) 決議 482(Resolution 482)に基づき開始

・1MW 未満の太陽光、風力、水力、及びバイオマスが対象(最大 36 カ月分の繰り越し相殺可能)

2013 年 INNOVA ENERGIA ブラジル国立経済社会開発銀行(BNDES)、ブラジル科学技術金融公社(FINEP)、及び国家電力庁(ANEEL)によるプログラム。スマートグリッド、再エネ、ハイ

ブリッド車、運輸部門の省エネに関する研究開発プロジェクトに対して、最大 90%の補助金を支給(上限は 924 mil USD)

2013 年 Finem 20 mil BRL(約 7 億円)以上のプロジェクトを対象とした、ブラジル国立経済社会開発銀行(BNDES)による融資制度。対象事業は、インフラ事業、製造業の生産能力拡大、環境事業等で、再エネ発電事業も対象となる。

- 融資限度額は、中小企業が投資額の 80%、大企業が投資額の 60%

- 融資金利は、長期貸出金利(年利 7%)+年利 2.1~6.56%

2015

-2024 Y 上記継続。

韓国 2005

-2014 Y 2002 年 Feed-in Tariff for renewable energy 固定価格買取制度による買い取り価格は、導入以降

数回改定されている。特に太陽光発電容量がこの制度により大きな伸びを見せた。(2004 年の200kW から 2011 年では 497MW。)

2004 年 Home subsidy program (2004 年から 2013 年までのプログラム名)、2013 年以降は 1 Million

Green Homes Program。 2020 年までに 10 万戸の世帯に太陽光パネルを設置することを目標に、導入費用の最大 50%まで補助金を支給。

2009 年 Import tax reduction for renewable energy products 再生可能エネルギー(太陽光、風力、地熱、水素燃料電池)の発電に使用される 31 の製品について、50%の輸入関税削減の実施を行

った。

2009 年 Green New Deal 世界的な金融危機による国内景気減速に対処する為の雇用創出と経済

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活性化を目的とした景気刺激策。財政および税制政策からなり、再生可能エネルギー関連には 18

億ドルが割り当てられた。

2012 年 RPS 再生可能エネルギー導入を加速させる為、電力市場での競争の原理が働く環境を

作る為、電力会社大手の 13 社に対し、総発電量に占める再生可能エネルギーの割合を 2012 年から 2024 年までの間に、2%から 10%に段階的に増やす。一定量の再生可能エネルギー証書(REC)の発行を受ける必要があり、その為には 1)自社による再生可能エネルギー設備への投資、もし

くは 2)市場で REC を購入する方法がある。

2015

-2024 Y 上記継続。

ロシア 2005

-2014 N(Y) 2007 年 グリッド接続費用への補助金制度。再生可能エネルギー発電事業者がグリッドに接続す

る為に行う投資への補助金を法制化した。

2013 年 Resolution of the Government No.861-r Decree of the Government No.449。電力卸売り市場において、再生可能エネルギーによる発電電力の供給契約における元本回収のメカニズムを定め

た。卸市場均衡価格に加えて、付加金として政府が決定した額を上乗せする。

2015

-2024 N(Y) 上記継続。

サウジ

アラビ

2005

-2014 N 再生可能エネルギーを推進するための経済的支援は確認されなかった。

2015

-2024 N 再生可能エネルギーを推進するための経済的支援は確認されなかった。

トルコ 2005

-2014 N(Y) 2005 年 固定価格買取制度 風力、太陽光(PV)、太陽熱(CSP)、水力、バイオマス、地熱を対

象とした固定買取価格制度。国産設備を使用する場合、買取価格が加算される(運転開始後 5 年間適用、加算額は使用する設備により異なる)

2005 年 その他インセンティブ

【税制優遇】 再エネ設備の購入に対する付加価値税の免除。再エネ設備の輸入に対する関税の

免除

【土地】再エネに利用する土地の使用料を 85%減額(10 年間)

【託送料金】 託送料を 50%減額(5 年間)

【ライセンス】再エネ発電設備容量が 1MW 以下の場合、発電ライセンスの取得が不要。最初の8 年間はライセンス料を免除。9 年目以降のライセンス料を 99%減額

2015

-2024 N(Y) 上記継続。

グループ III

中国 2005

-2014 N 太陽光 買取価格:大規模:0.9-1RMB/kWh(地域によって異なる) 分散型:0.42RMB/kWh バ

イオマス 買取価格:農林業関連:0.75RMB/kWh、一般廃棄物:0.65RMB/kWh、バイオガス:

0.25RMB/kWh 風力:買取価格:陸上:0.49-0.61RMB/kWh、洋上:0.75, 0.85RMB/kWh

家庭用 2012 年(地域によって異なる)

上海:0.617 元/kWh=0.51 ドル/kWh(月 240KWhまで) 0.977 元/kWh=0.807 ドル/kWh(月 400KW

h以上)

2015

-2024 N (Y) 北京:0.488元/kWh=0.40 ドルセント/kWh(月 240KWhまで)0.788元/kWh=0.651 ドル/kWh(月 400KWh

以上)、RPS制度検討中、水力に対する補助金

インド 2005

-2014 Y 2005 年 国家電力政策 2005 National Electricity Policy (NEP) 州の電力規制委員会は非在来型エ

ネルギーの利用促進のための優遇価格を設定。

2006 年 国家電気料金政策 National Tariff Policy (NTP) 太陽光発電の購入義務(Renewable

Purchase Obligation: RPO)を、2012 年の 0.25%から 2022 年に 8%に拡大(2016 年改訂版)。太陽

光・風力に関する州間送電料金の廃止及び送電ロスの低減再生可能エネルギー発電義務(Renewable Generation Obligation: RGO)の導入。

2006 年 地方電化政策 Rural Electrification Policy 地方電化のため分散型電源として再生可能エネルギーの利用促進

2009 年 FIT 電気法 2003(Electricity Act, 2003)に基づき、2009 年より開始。 風力、小水力、太陽熱、太陽光、バイオマス、バガスコジェネ(中央政府の場合)(一部の州では、都市固形廃棄物についても FIT 価格を設定)。 借入金の返済期間内に一定の株主資本利益率(ROE)(運転

開始から 10 年間は税引前 20%、それ以降は税引前 24%)を確保できるよう買取価格を設定。買取価格は毎年改定。改定価格の適用の 6 ケ月前に中央政府の電力規制委員会が価格を決定、公表

2010 年 国家クリーンエネルギー基金。 国内炭および輸入炭に対し 1 トン当たり 50 ルピー

を課税、税収を再エネの研究およびプロジェクトに充当。

2010-2014 年 再エネ導入・普及のための補助金(新・再生可能エネルギー省(MNRE)による

補助金)

2014 年 Accelerateddepreciation tax benefit 再エネ事業者向けに税務上の加速減価償却(80%)

を認める。 DeenDayal Upadhyaya Gram Jyoti Yojana (DDUGJY) - rural electrification programme 地方電化プログラム。事業費の 90%は事業実施者に補助される。試運転後 5 年間の予備費用は、プロジェクト費用に含まれている。

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45

2014 年 国家バイオガスおよび肥料管理プログラム National Biogas and Manure Management

Programme (NBMMP) 国内のバイオガスおよび肥料管理プログラムのもとでバイオガスプラン

トを建設する場合には補助金が出る。

2015

-2024 Y 2015 年 National Renewable Energy act 2015 – DRAFT 法律の目的は、インドにおける再生

可能エネルギーのさらなる展開のための法的枠組みを作成することである。草案では、再生可能

エネルギー基金、グリッドアクセス、分散型エネルギーなどを扱っている。

インド

ネシア

2005

-2014 N(Y) 2010 年 再生可能エネルギー発電事業に対する税制優遇。地熱、風力、バイオ燃料、太陽光、水

力、海流・海洋温度差などの再生可能エネルギーを利用した発電事業を対象に以下の税制優遇措

置を導入。

(1) 投資合計額の 30%相当額の課税対象額からの控除(6 年間にわたり各年 5%)、固定資産償却期間の短縮、国外への支払配当源泉税率を 10%に低減、欠損金繰越期間の最大 10 年までの延長

(2) 特定戦略的な関連機械・機器の輸入時の付加価値税の免除

(3) 関連機械・機器の関税免除

2012 年 固定価格買取制度 小水力、バイオマス、バイオガス、太陽光、都市固形廃棄物について FIT が導入されている。地熱に関しては、2012 年に FIT が導入されたが、2014 年に入札時の買取価格の上限値を定めたシーリングプライス方式の買取制度が導入された。

2015

-2024 Y 上記継続。

メキシ

2005

-2014 Y 2001 年 優先接続・優先供給。RES/140/2001 により、再エネの優先接続を規定。対象は、太陽光、

風力、小型水力。500kW 以上の再エネは託送料金を 50~70%減免

2009 年 エネルギー転換及び持続可能なエネルギー利用に対する基金 (The Fund for Energy

Transition and Sustainable Energy Use: FOTEASE) 全 26 プロジェクトに MXN7500M を融資(うち 13%が再エネに対する融資)

2010 年 余剰電力買取制度(Net-Metering)・RES/054/2010 により、再エネ発電及びコジェネ発電の余剰電力買取を規定。小規模(10kW 以下の家庭用及び 30kW 以下の業務用、かつ 1kV 未満)

または中規模(500kW 以下で 1kV 以上 69kV 未満)の 発電設備が対象(最大 12 カ月分の繰り越し相殺が可能)

2013 年 税制優遇(対発電事業者) 所得税法(Income Tax Law)により、クリーンエネルギーの発電のための機械・設備について 100%の加速度減価償却を適用可能。

2013 年 地熱発電プロジェクトの探索段階におけるリスク軽減メカニズム 試掘調査から発電所の建設までの高リスクなフェーズにおいて、地熱発電事業者に対して、融資(地熱投資ファンド Fondo de Seguro de Riesgo de Exploración Geotérmica)及び第三者債務保証を実施。 エネルギ

ー省(SENER)、米州開発銀行(IDB)、クリーンテクノロジーファンド(CTF)が、それぞれ 11.4

mil USD、54.3 mil USD、54.3 mil USD を融資。SENER、ミュンヘン再保険会社(Munich RE)、CTF が債務保証を実施。

2014 年 クリーンエネルギーの調達義務・電力小売事業者に、販売電力量の一定割合以上のクリーンエネルギー証書(CEL)※の調達を義務付け。CENACE の管理の下、2018 年から義務化開始

予定。SENER が毎年の義務量を決定、義務量は毎年増量。2018 年の義務割合は、販売電力量の5.0%(12M CEL(12TWh 相当))、2019 年は 5.9%(14M CEL(14TWh 相当))、2020 年は 7.4%、2021 年は 10.9%、2022 年は 13.9%の予定。他社から CEL を購入し義務量に充当することも可能

※クリーンエネルギー証書(Clean Energy Certificate: CEL)について。エネルギー改革法(Electricity

Industry Law, 2014)に基づき導入されており、2014 年 8 月以降、クリーンエネルギー1MWh につき 1CEL が発行される CEL には電気自体の価値は含まれないため、発電事業者は、発電量及び

CEL 双方の販売による収入を得ることが可能。

2015

-2024 Y 2015 年 グリーンボンド・メキシコ産業金融公社(Nacional Financiera: NAFIN)が、ラテンア

メリカ初のグリーンボンドを 2015 年に発行。

2016 年 9 月時点で、計 8 件(1,198MW)の風力発電プロジェクトに 332.1 mil USD の資金を供給。大和証券グループが引受主幹事。

2016 年 クリーンエネルギーオークション【概要】エネルギー改革法に基づき、国家エネルギー管理センター(CENACE)が卸売市場を運営。買い手はメキシコ電力公社(CFE)、売り手は発電

事業者(発電設備は建設中でも可)とするオークションを、年間 1 回以上開催

【対象】 発電量(MWh)、発電容量(MW)、クリーンエネルギー証書(CEL)。発電量及び発電容量は 15 年間、CEL は 20 年間の契約を締結。

2017 年 クリーンエネルギーの調達義務改正。

南アフ

リカ

2005

-2014 N(Y) 2009 年 再生可能エネルギー固定価格買い取り制度 (Renewable Energy Feed-in Tariff (REFIT))

国営電力会社 Eskom 社が再生可能エネルギーによる電力を固定価格で買取り。

2011 年 再生可能エネルギー独立電力事業者入札制度 (REIPPP)に置き換え。

Renewable Energy Independent Power Producer Programme (REIPPP) 国営電力会社 Eskom 社が独立事業者からリバースオークション方式で再生可能エネルギーによる電力を購入する。

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2011 年から 2015 年の間に、102 の再生可能エネルギープロジェクトから 6327MW の電力が購入された。うち、風力発電が半数を占める。

2015

-2024 N(Y) 上記継続。

指標3.電力系統整備等、再生可能エネルギー普及へのインフラ整備

国 期間 政策の有無

判断の根拠となる情報

グループ I

オース

トラリ

2005

-2014 N(Y) 2010 年 Smart Grid, Smart City (SGSC) Project 1 億豪ドルの連邦予算を組み(下記連携企業・事

業体が 4 億豪ドルの現金出資と現物出資で補填)、スマートグリッド化を促進。Ausgrid(配電事

業体)、 EnergyAustralia(発電会社)及びその共同事業体である IBM Australia, GE Energy Australia,

Sydney Water, Newcastle 市議会と提携して進行する。

2015

-2024 Y 2016 年 National Transmission Network Development Plan 増強計画はあるが、具体的な数値はな

く、再生可能エネルギー普及拡大が目的かどうかは明記無し。

2017 年 Demand Response 政策としての導入はないが、ARENA(政府が設立した再生可能エネル

ギー分野投資機関)と Australian Energy Market Operator (AEMO)が試用を始めた。

カナダ 2005

-2014 N(Y) 再エネ普及拡大のため、Manitoba 州は 2020 年までに 500kV 送電線の増強を計画している。

2015

-2024 Y 2016 年 9 月時点で、スマートメーターが 84%、EV が 22,700 以上、充電ステーションが 3,694

存在する等、スマートグリッドが普及している。デマンドレスポンスも導入が進んでいる。

フラン

2005

-2014 N 2013 年 「新しい産業フランス」政策。産業機器の近代化とデジタル技術の利用による経済モデ

ルの変化によってフランス産業を再活性化することを目的とした新産業政策「新しい産業フラン

ス」の一つの政策として「持続可能な都市」を 2015 年に発表し、スマートグリッドの大規模な展開を後押しする投資を決定した。

2015

-2024 N 2015 年 インテリジェント・持続可能なパリパリ市が発表したスマートシティ政策であり、開か

れた街(方法)、接続された街(手段)、持続可能な街(目的)、の 3 つの支柱からなる。2020 年までに合計 5 億ユーロを拠出する予定である。

2016 年 3 月に、3 プロジェクトを採用し、地方公共団体が主導し推進している

ドイツ 2005

-2014 N 検討のみ。

2015

-2024 N 検討のみ。

イタリ

2005

-2014 N(Y) 2001 年 Telegestore プロジェクト イタリア最大の電力会社エネルによる 2001 年開始のスマー

トメーター設置プロジェクト。

2006 年 12 月、電力供給企業にスマートメーター設置を義務付け、2011 年末までに設置率 95%

を目指していた。

2015

-2024 N(Y) 上記継続。

日本 2005

-2014 N 省エネ法ではエネルギー利用に関して担当者を置くよう義務付けている。

2015

-2024 N 系統電力整備を含めた需給調整が検討されている。

英国 2005

-2014 N 2007 年 英国グリッドシステムによる短期オペレーション準備 (STOR)が電力需給均衡を検討。

2015

-2024 N(Y) 今後さらなる拡大が想定されている。

米国 2005

-2014 N(Y) 2009 年 米国復興再投資法(ARRA)では、エネルギー省によるスマートグリッド整備を規定し

ている。

2015

-2024 N(Y) 上記継続。

グループ II

アルゼ

ンチン

2005

-2014 N スマートグリッド関連の政策は確認されなかった。

2015

-2024 N スマートグリッド関連の政策は確認されなかった。

ブラジ

2005

-2014 N 2009 年 Power Conservation Programme デマンドレスポンスは一部導入済み

2013 年 INNOVA ENERGIA ブラジル国立経済社会開発銀行(BNDES)、ブラジル科学技術金融公社(FINEP)、及び国家電力庁(ANEEL)によるプログラム。スマートグリッド(及び再エネ、ハイブリッド車、運輸部門の省エネ)に関する研究開発プロジェクトに対して、最大 90%の補助金を

支給(上限は 924 mil USD)。Plano Decenal de Expansão de Energia –PDE 2024

2023 年までに約 70,000km の送電線の増強が必要だと発表(2013 年の 116,800km⇒2023 年の186,600km に)(再生可能エネルギー普及拡大が目的かどうかは明記無し)

2015

-2024 N 上記継続。

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47

韓国 2005

-2014 N(Y) 2010年 National Smart Grid Road Map of Korea (Smart Grid 2030) 既存の送電網のスマートグリ

ッド化を 2030 年までに実現する為に総額 27.5 兆ウォンの投資を行う計画。

2011 年 The Smart Grid Promotion Act スマートグリッド化を国土全体で実現する為に必要な既

存の法律に関する改定を行った。

2012 年 The First Five Year Master Plan for Smart Grid スマートグリッド化実現の為の具体的な

目標、政策の方向性、詳細なアクションプランが記されている。主なものとして、政策の改善による参入障壁の排除、政府の支援による電力市場の立ち上げ、技術開発、新しい産業発展の為の基盤の確立などがある。最終的には、2016 年までに 7 つのスマートハブ都市を開発し、2020 年

までに広域スマートグリッドに拡張。2030 年までに韓国全土での実施を目標としている。

2015

-2024 Y 上記継続。

ロシア 2005

-2014 N 2014 年 スマートグリッド建設計画 JSC Russian Grid は高い送電ロス率(12%とされ年間 1 兆

円を損失)への打開策としてスマートグリッド建設を計画。政府系金融機関であるNational Welfare

Fund (NWF)から融資を得た。

2015

-2024 N 上記継続。

サウジ

アラビ

2005

-2014 N 2013 年 Saudi Arabia Smart Grid 2017 Vision 2030 の下で、左記プログラム等を実施し、スマート

グリッドを推進している。デマンドレスポンスは未導入。

2015

-2024 N 2017 年 具体的な増強計画はないが、送電線を増強する意思はあり。(再生可能エネルギー普及

拡大が目的かどうかは明記無し)

トルコ 2005

-2014 N 2011 年 ビジョン 2023 (Turkey’s Vision 2023) トルコ建国 100 周年にあたる 2023 年までに、以

下を達成。送電線を、2010 年の 49,104km から 60,717km に延長(再生可能エネルギー普及拡大が目的かどうかは明記無し)。スマートグリッドの普及。配電設備を、158,460MVA に増強(2010

年 98,996MVA)。デマンドレスポンスは未導入。

2015

-2024 N 上記継続。

グループ III

中国 2005

-2014 N スマートグリッド関連の政策は確認されなかった。

2015

-2024 N 2015 年 気候変動に関する米中共同声明の中で習近平国家主席は、再生可能エネルギーからの電

力のグリッドへの優先接続を促す「green power dispatch」を発表した。

インド 2005

-2014 N(Y) 2010 年 再生可能エネルギー購入義務制度(RPO)特にソーラーRPO

【概要】2003 年の電気法(Electricity Act, 2003)により、導入を規定。運用ルールは州の電力規制委員会(Electricity Regulatory Commission)と電力省、再エネ省との協議により決定

【概要】配電事業者、発電事業者と直接契約する大口需要家、自家発電設備を有する需要家に対

し、一定割合の再エネの調達を義務付ける制度

【概要】2016 年 1 月に改定した、電気料金政策(National Tariff Policy)において、2022 年までにすべての州で RPO 制度を導入する方針を規定

【履行義務者】配電事業者、発電事業者と直接契約する大口需要家、自家発電設備を有する需要家

【義務の内容】義務履行者は、売電量または電力消費量の一定割合以上を再エネ由来とすること

が必要

【義務の内容】国家計画では、上記義務割合について 2022 年までに再エネ全体で 17%(そのうち少なくとも 8%は太陽光)を目標

【義務の内容】具体的な RPO のルールは、州ごとに異なる

2010 年 再エネ証書制度(Renewable Energy Certificate Mechanism: REC)。 再エネ 1 MWh に対し、1 REC の再エネ証書(REC)を発行。再エネ発電事業者は、配電事業者等(RPO 目標を持つ

事業体)に対し、CERC に認定された取引プラットフォーム上でのみ REC を販売可能。

・本制度は、全ての州における RPO 規制の効果的な実施、再エネ取引の柔軟性の向上及び系統接続コストの削減、再エネ利用の地理的制約の解消、異なる再エネ技術間の競争の促進、地方の

配電事業者の電力調達リスクの軽減等の目的で設計

2012 年 グリーンエネルギーコリドー計画 インドは、国中で開発が進む 34 の太陽光発電パークの 20GW の電力を、電力の消費地に安定的に供給するための送電網の強化に、1270 億ルピー(18

億㌦)を投資する。モディ政権がドイツと連携して推進する「グリーン・エネルギー・コリドー」計画に基づく。コリドー計画では州間送電網の建設に 800 億ルピー、州内送電網の建設に、さらに 474 億 5000 万ルピーの投資を見込んでいる。コリドー計画によると、州内送電網の整備費用

のうち、20%は州政府がエクイティとして出資、40%は国家クリーンエネルギーファンドからの贈与、残りの 40%をソフトローンでカバーする予定。一方の州間送電網の建設には、30%をインドの国営電力会社の Power Grid Corp が出資、残りの 70%はソフトローンで調達。

2015

-2024 N(Y) 2016 年 Ujwal Bharat モディ首相の下に提起された計画。電力部門の改革と非電化地域への配電

が含まれる。

インド

ネシア

2005

-2014 N スマートグリッド関連の政策は確認されなかった。

2015

-2024 N 2025 年までにインドネシア全体で 67,900km の送電線を増強することを計画(再生可能エネルギ

ー普及拡大が目的かどうかは明記無し)

メキシ

2005

-2014 N スマートグリッド関連の政策は確認されなかった。

2015 N(Y) 2015 年 Energy Transition Law スマートグリッドを推進している。デマンドレスポンスは未導入。

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48

-2024 2016 年 再エネ普及拡大のため、政府は 2030 年までに送電線を 28071.2km-c 増強することを計

南アフ

リカ

2005

-2014 N スマートグリッド関連の政策は確認されなかった。

2015

-2024 N スマートグリッドの整備等について課題認識はなされているが、特に具体的な整備実績は検出さ

れず。

指標4.化石燃料火力発電所を対象とした排出規制

国 期間 政策の

有無 判断の根拠となる情報

グループ I

オース

トラリ

2005

-2014 N 化石燃料発電施設への CO2排出基準は特定されなかった。

2015

-2024 N 化石燃料発電施設への CO2排出基準は特定されなかった。

カナダ 2005

-2014 Y 新設石炭火力発電所施設と、経済的耐用年数に達した古い発電所施設を対象に 0.420kgCO2/kWh

の排出基準を設定(2012 年)。

2015

-2024 Y 上記の排出基準を継続。

フラン

2005

-2014 N 化石燃料発電施設への CO2排出基準は特定されなかった。

2015

-2024 N 化石燃料発電施設への CO2排出基準は特定されなかった。

ドイツ 2005

-2014 N EU レベル、そして加盟国レベルでの排出基準なし。実質的には EU-ETS で規制と同一効果。

フェーズ I、2000-2002 年の排出枠の 97.55% が火力発電所に割り当てられた。

フェーズ II: 2008-2012 年では 90%に割当が削減された。2005 年比で 6%の削減。厳しくはなって

いるが、本報告書の水準には満たないと判断。

2015

-2024 Y EU レベルでは今後も ETS で実質的な排出規制を実施。

フェーズ III: 2013-2020 年では、EUETS では 2020 年までに 1990 年比で 21% 削減。

フェーズ IV: 2021-2030 年には、2021 年以降、毎年 2.2%ずつ削減。

イタリ

2005

-2014 N 化石燃料発電施設への CO2排出基準は特定されなかった。

2015

-2024 N 化石燃料発電施設への CO2排出基準は特定されなかった。

日本 2005

-2014 N この期間の化石燃料発電施設の施設レベルでの CO2排出基準はないものの、エネルギーの使用の

合理化に関する法律(省エネ法)によって「発電専用設備にあっては、高効率の運転を維持でき

るよう管理標準を設定して運転の管理をする。また、複数の発電専用設備の並列運転に際しては、負荷の増減に応じてその適切な配分がなされるように管理標準を設定し、総合的な効率の向上を図る」としている。加えて、「火力発電所の運用に当たって蒸気タービンの部分負荷における減

圧運転が可能な場合には、最適化について管理標準を設定」している。また、新設設備については、「発電専用設備を新設する場合には、国内の火力発電専用設備の平均的な受電端発電効率と比較し、年間で著しくこれを下回らないものとする。」と定めている。ただしこれらの目標は努

力義務である。

2015

-2024 N CO2排出基準はないが、2013 年 4 月に環境省は石炭・ガス火力発電所に対して、発電容量ごとに

使用可能な最適技術のリストを発表した。これに基づき、2015 年に、省エネ法において発電燃料種ごとに火力発電の熱効率が定められた。具体的には、石炭火力発電に対しては、超々臨界圧プラント技術を想定した熱効率 42%、ガス火力発電については、1400℃級ガスタービンコンバイン

ドサイクル技術を想定した熱効率 50.5%、石油火力は新設・リプレースを想定していないため、従来の技術を想定した熱効率 39%と定められた。ただし、省エネ法は努力義務。

英国 2005

-2014 N EU-ETS の導入に関して、

フェーズ I では、1998-2003 年の実績値に基づくグランドファザリングで排出枠割当。

2015

-2024 Y EU-ETS での価格低迷を受け、2013 年のエネルギー法では、新規火力発電所を対象として基準値

0.45kg CO2/kWh を設定。この値は 2044 年まで固定されており、その後基準値はさらに上昇が想定されている。2015 年に基準値が施行された (SI 2015/933) 。

米国 2005

-2014 N

SO2、NO2、水銀に対する規制は大気浄化法(Clean Air Act)によって履行されていたが、2012 年

まで石炭火力発電所に対する連邦レベルの CO2排出基準は存在していない。しかし、複数の州は排出基準(EPS: emissions performance standard)を履行していた。カリフォニア州では 2006 年に、石炭火力発電所を対象にして、1,100lbsCO2/MWh (500g/kWh)というレベルの EPS が導入され

(SB1368)、増加する石炭火力発電の建設に歯止めをかけた。2007 年には、ワシントン州(SB6001)、オレゴン州(HB3283, SB101)、そしてニューメキシコ州(SB0994)でも同レベルの EPS が導入された。2008 年には、モンタナ州 (HB25)とイリノイ州(SB1987)が、CCS(石炭火力発電所に排出量の

50%を回収するよう要請)を浮体するという異なる目標を定めた、アプローチの異なる EPS を採用。

2015

-2024 N(Y) クリーンパワープラン(CPP)によって、2025 年までに 2005 年に比べ、電力分野における CO2排出

量 32%削減を想定。州計画が各発電所に排出係数基準値を設定しており、蒸気タービンによって発電する汽力発電に対しては 0.59 kgCO2/kWh、ガスタービン発電に対しては 0.35 kgCO2/kWh の

排出係数基準以下で運転することが定められる。ただし、これらの排出係数基準の達成方法については、州が単独または複数で策定することが可能であり、排出量取引といった制度の活用も可能としている。CCP に加え、新規及びリプレースされる発電所を対象にした炭素汚染基準(Carbon

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49

Pollution Standard)も打ち出された。この排ガス基準は、新石炭火力発電所に対し 0.64 kgCO2/kWh、

586MW 以下の既存石炭火力発電所に対し 0.816 kgCO2/kWh、596MW 以上の既存石炭火力発電所に対し 0.907 kgCO2/kWh、全てのガス火力発電所に対して 0.454 kgCO2/kWh としている。後述する電力部門の排出原単位目標または総量目標はこれらの火力発電所の排出係数基準が基礎とな

っている。トランプ政権の下、CPP は停止が予想されるが、少なくとも一部の州で CPP 基準を目指すことが想定される。

グループ II

アルゼ

ンチン

2005

-2014 N 化石燃料発電施設への CO2排出基準は特定されなかった。

2015

-2024 N 化石燃料発電施設への CO2排出基準は特定されなかった。

ブラジ

2005

-2014 N 化石燃料発電施設への CO2排出基準は特定されなかった。

2015

-2024 N 化石燃料発電施設への CO2排出基準は特定されなかった。

韓国 2005

-2014 N 化石燃料発電施設への CO2排出基準は特定されなかった。

2015

-2024 N 化石燃料発電施設への CO2排出基準は特定されなかった。

ロシア 2005

-2014 N 化石燃料発電施設への CO2排出基準は特定されなかった。

2015

-2024 N 化石燃料発電施設への CO2排出基準は特定されなかった。

サウジ

アラビ

2005

-2014 N 化石燃料発電施設への CO2排出基準は特定されなかった。

2015

-2024 N 化石燃料発電施設への CO2排出基準は特定されなかった。

トルコ 2005

-2014 N 化石燃料発電施設への CO2排出基準は特定されなかった。

2015

-2024 N 化石燃料発電施設への CO2排出基準は特定されなかった。

グループ III

中国 2005

-2014 N 施設レベルでの排出基準は特定されなかった。

.

2015

-2024 N 2020 年までの年間石炭消費量を 42 億 tCO2に制限するエネルギー成長戦略活動計画(2014-2020)

の中で、個別発電設備に対する規制として、新規石炭火力発電機の石炭消費原単位を 300g/kWh

(約 0.7kgCO2/kWh)未満にし、排出基準を天然ガス発電の排出水準に近づける政策が公表された。

インド 2005

-2014 N 化石燃料発電施設への CO2排出基準は特定されなかった。

2015

-2024 N 化石燃料発電施設への CO2排出基準は特定されなかった。

インド

ネシア

2005

-2014 N 化石燃料発電施設への CO2排出基準は特定されなかった。

2015

-2024 N 化石燃料発電施設への CO2排出基準は特定されなかった。

メキシ

2005

-2014 N 化石燃料発電施設への CO2排出基準は特定されなかった。

2015

-2024 N 化石燃料発電施設への CO2排出基準は特定されなかった。

南アフ

リカ

2005

-2014 N 化石燃料発電施設への CO2排出基準は特定されなかった。

2015

-2024 N 化石燃料発電施設への CO2排出基準は特定されなかった。

指標5.炭素回収・貯留(CCS)の利用

国 期間 政策の

有無 判断の根拠となる情報

グループ I

オース

トラリ

2005

-2014 N 試験的あるいは商用の CCS の事業数が特定されなかった。

2015

-2024 Y 2017 年 Gorgon Carbon Dioxide Injection Project が稼働予定

カナダ 2005

-2014 Y カナダ、サスカチュワン州のバウンダリーダム火力発電所における CCS 施設稼働など

(世界中で 14 の CCS プロジェクトが始動しているが、そのうち発電所に設置されているのはバウンダリーダムのみ)

2015

-2024 Y 以下の大規模 CCS プロジェクトを含め今後稼働予定のプロジェクトが複数ある。

Alberta Carbon Trunk Line ("ACTL") with Agrium CO2 Stream

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50

フラン

2005

-2014 N(Y) 2015 年に ArcelorMittal が ULCOS CCS Project consortium を形成し、実証プロジェクトを予定して

いる。

2015

-2024 N 新規の試験的あるいは商用の CCS の事業数が特定されなかった。

ドイツ 2005

-2014 Y 2009 年 EU 指令 2009/31/EC では、2011 年までに加盟国ごとに規制を作るよう指示。

2012年 CCS実施・使用法(KSpG) が発効。CO2の永久保存を確認。

2015

-2024 N 現状以上の拡大は想定していない。

イタリ

2005

-2014 Y Brindisi pilot project (2011-2016)の期間。

Porto Toll project 2015 稼働予定であったが、キャンセルとなった。

2015

-2024 N 新規の試験的あるいは商用の CCS の事業数が特定されなかった。

日本 2005

-2014 Y 経済産業省が苫小牧に実施試験を行っている。2010 年の予算は 59 億円、2011 年は 49 億円、2012

年は 102 億円であった。2010 年 6 月のエネルギー基本計画では、2020 年頃の CCS 商用化を目指し取り組みを加速するとともに、石炭火力の新増設には CCS-ready の導入を検討し、2030 年までに石炭火力に CCS を導入することを検討する等、CCS に関する積極的な記述が見られた。

2015

-2024 Y 環境省と経済産業省は、2020 年までに CCS 技術を商業化、2030 年までに石炭火力発電所に CCS

を導入という目標を立て、技術開発を加速させる内容の声明を共同で発表した。CCS 技術と実現

可能性調査を支援してきており、次の予算を割り当てた。2011 年には 63 億円(5,100 万 USD)、2012

年には 117 億円(9,500 万 USD)、2013 年には 126 億円(1 億 200 万 USD)、2014 年には 113 億円(9,200

万 USD)、2015 年には 117 億円(9,500 万 USD、2016 年には 112 億円(9,100 万 USD)。環境省(MOEJ)

は、CCS 技術へ 2014 年に 12 億円、2015 年に 25 億円、2016 年に 91 億円の支援を計上。

その一方、2015年4月のエネルギー基本計画では導入を目指す具体的時期の明記がなくなった他、CCS の記述自体が激減した。パリ協定の採択や 2050 年 80%削減を掲げた地球温暖化対策計画案

の了承を踏まえ、2016 年 3 月末にとりまとめられるエネルギー・環境イノベーション戦略の中での CCS の位置づけが注目される。

英国 2005

-2014 Y 2009 年 エネルギー気候変動省 (DECC)が 300MW 以上のすべての火力発電所が CCS を設置す

る準備(CCS レディ)を義務付け。2005 年、CCS 拡大に向けて 25 百万ポンドの予算。

2015

-2024 N 2015 年、財政的困難を理由に CCS に対する補助金打ち切り。

米国 2005

-2014 Y 2008 年 連邦政府は CO2回収・貯留の税額控除を施行した。エネルギー省(DOE)は、大規模 CO2

貯留(炭素隔離とも呼ばれる)を異なる地域で行うための技術やインフラ、規則を成長させるため

に CSS 実証実験の実施と大規模地層貯留に関する協力協定を打ち出した。2012 年度の予算額は 3

億 6840 万 USD だった。

石油増進回収法(EOR)での利用を目的とした CO2の運搬費用の補助として、最初の 7,500 万トン

の CO2に対し 10USD/tCO2の補助を行っている。二酸化炭素回収地から永久地層貯留地の運搬費用の補助として、20USD/tCO2の補助を行っている。加えて 2008 年から 2010 年の間に、15 の CCS

事業を支援する Innovations for Existing Plants (IEP)プログラムを発表し、予算を 3,600 USD 計上。

2015

-2024 Y 2015 年 12 月時点で、7 件の大規模プロジェクトが実施されている。2016 年には新たに 3 件のプ

ロジェクト、2019 年及び 2020 年には 2 件のプロジェクトが実施予定。

グループ II

アルゼ

ンチン

2005

-2014 N 試験的あるいは商用の CCS の事業数が特定されなかった。

2015

-2024 N 試験的あるいは商用の CCS の事業数が特定されなかった。

ブラジ

2005

-2014 Y 2011年 Miranga CO2 Injection Project、2013年に Petrobras Santos Basin Pre-Salt Oil Field CCS Project

が開始された。

2015

-2024 N 新規の試験的あるいは商用の CCS の事業数が特定されなかった。

韓国 2005

-2014 Y Dry-sorbent CO2 Capture System – Hadong、KoSol Process for CO2 Capture (KPCC) - Boryeong が 2010

年に構想が作成され、2013 年より稼働

2015

-2024 Y 上記以外にも複数の CCS プラントを 2020 年までに稼働予定

ロシア 2005

-2014 N 試験的あるいは商用の CCS の事業数が特定されなかった。

2015

-2024 N 試験的あるいは商用の CCS の事業数が特定されなかった。

サウジ

アラビ

2005

-2014 N 試験的あるいは商用の CCS の事業数が特定されなかった。

2015

-2024 Y Uthmaniyah CO2-EOR Demonstration Project

トルコ 2005

-2014 N 試験的あるいは商用の CCS の事業数が特定されなかった。

2015

-2024 N 試験的あるいは商用の CCS の事業数が特定されなかった。

グループ III

中国 2005

-2014 Y 第 10 次5ヵ年計画 (2001-2005 年)にて、CCS パイロットスタディを 9 件承認。

2015 Y 2016 年 米中協力を踏まえ、陝西省に 3 つの実用化運転。

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51

-2024

インド 2005

-2014 N ただし、2007 年から 2012 年に関して、29 の CCS に関わる R&D 事業が行われた。

2015

-2024 N 新規の試験的あるいは商用の CCS の事業数が特定されなかった。

インド

ネシア

2005

-2014 Y CCS Gundih Project は実証実験。

2015

-2024 N 新規の試験的あるいは商用の CCS の事業数が特定されなかった。

メキシ

2005

-2014 N 試験的あるいは商用の CCS の事業数が特定されなかった。

2015

-2024 N 試験的あるいは商用の CCS の事業数が特定されなかった。

南アフ

リカ

2005

-2014 N 試験的あるいは商用の CCS の事業数が特定されなかった。

2015

-2024 N 試験的あるいは商用の CCS の事業数が特定されなかった。

指標6.炭素税・排出量取引制度の導入、エネルギー補助金の撤廃

国 期間 政策の有無

判断の根拠となる情報

グループ I

オース

トラリ

2005

-2014 Y 2011 年 成立したクリーンエネルギー法を根拠とする。温室効果ガスを年間で 2.5 万トン以上排

出する企業が対象。対象部門は発電用エネルギー、産業プロセス、運輸、漏出ガス、排出ガス(林

業・農業・家庭は対象外)。1トンあたり豪$23~25 の炭素価格を設定し、企業が支払わない又は支払額が不足する場合には、不足費用を支払う義務を負う。

※法律上税金にはあたらないが、固定価格のことを炭素税と呼ぶ場合が多い。

※14 年の政権交代によって廃止された。

2015

-2024 N 2014 年 炭素税は廃止された。その代わりに Emission Reduction Fund (ERF)と safeguard mechanism

を軸とする政策を進めている。

化石燃料の消費と生産に対する補助金が存在。補助金の金額は低下傾向にある。

カナダ 2005

-2014 N(Y) BC 州のみ炭素税として、化石燃料の購入・州内の最終消費に対して課税。2008 年 10CAD/tCO2

から 2012 年 30CAD/tCO2まで税率引上を行った。導入開始から 5 年間価格を 5 CAD/tCO2ずつ上げることを決定した。

ケベック州で 2013 年から排出量取引制度が開始。

2015

-2024 Y 2018 年までに全ての州または州が炭素税または排出量取引のどちらかを導入することを義務付

ける。炭素税の対象は BC 州の炭素税をベースラインと規定。税率は最低 10CAD/tCO2で開始。

2022 年 50CAD/tCO2まで引上げ予定。(2017 年アルバータ州導入の炭素税は電力は対象外)。

フラン

2005

-2014 Y 炭素税として化石燃料消費に対し課税。2014 年 7EUR/tCO2。

2015

-2024 Y 2015 年 14.5EUR/tCO2、2016 年 22EUR/tCO2、2017 年 30.5EUR/tCO2と税率増加。2030 年までに

100EUR/tCO2にする。ただし石炭(発電用)は対象外。

ドイツ 2005

-2014 N(Y) 2006 年 鉱油税をエネルギー税(Energy tax)に改組(石炭を追加)石炭に対する税と同時にバ

イオ燃料に対する免税で、実質的な炭素税。

2015

-2024 N(Y) 上記継続。

イタリ

2005

-2014 Y 天然ガス税として税率 5.6EUR/tCO2が課せられている。鉱油税に石炭を対象に追加するとともに

炭素含有量に応じて製造時または輸入時に課税。税率は 2017 年時点で石炭(発電用)約1EUR/tCO2。導入当初 2005 年に向けて段階的に拡充予定だったが、経済状況を理由に拡充されず。

2015

-2024 Y 継続。

日本 2005

-2014 N 石炭火力発電所に対して 8 円/tCO2 が課税されていた。

2015

-2024 N 2012 年の炭素税施行により 289 円/ CO2.となったが、まだ水準としては低い。ただし、石油石

炭税を加味すると$5 を越える。

英国 2005

-2014 N(Y) 電力部門全体に対して、10Euro/tCO2 が課税されている。

2015

-2024 N(Y) 上記継続。

米国 2005

-2014 N(Y) 国レベルでは電力消費に課税されていないが、いくつかの州では課税されている。

2006 年、ボルダー市は、アメリカでは最初に、化石燃料から出る電力使用に対して、炭素税を課

した。税率は部門ごとに異なる。住宅、$0.0049(per kWh) 商業用、$0.0009(per kWh) 産業、$0.0003(per kWh)。税収は、ボルダーの Climate Action Plan.に使われている。

2009 年に北東部 9 州で、2013 年にカリフォルニア州で排出量取引制度が導入された。

2015

-2024 N(Y) ボルダー市は同税を 2018 年まで延長を決定。

排出量取引制度は継続。

グループ II

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52

アルゼ

ンチン

2005

-2014 N 2003 年にキルチネル政権が発足して以後、電力と天然ガスに対する補助金が上昇した。2014 年

に電力に対する補助金額がピークとなり、GDP の 2.9%を占めるまでになった。

2015

-2024 N エネルギー補助金に関する問題に取り組みはじめ、補助金額は 2014 年にピークを迎えて以降減

少傾向にある。

ブラジ

2005

-2014 N 炭素税、排出量取引制度、補助金撤廃いずれも確認されなかった。

2015

-2024 N 炭素税、排出量取引制度、補助金撤廃いずれも確認されなかった。

韓国 2005

-2014 N 炭素税、排出量取引制度、補助金撤廃いずれも確認されなかった。

2015

-2024 Y 2015 年に排出量取引制度を導入。5 部門 23 業種が対象。総排出量の約 68%をカバーしている。

第一計画期間(2015 年から 2017 年)中に、毎年 2%ずつ排出量を削減することを目標。2025 年まで予定されている。

ロシア 2005

-2014 N 炭素税、排出量取引制度、補助金撤廃いずれも確認されなかった。

2015

-2024 N 炭素税、排出量取引制度、補助金撤廃いずれも確認されなかった。

サウジ

アラビ

2005

-2014 N 炭素税、排出量取引制度、補助金撤廃いずれも確認されなかった。

2015

-2024 N 炭素税、排出量取引制度、補助金撤廃いずれも確認されなかった。

トルコ 2005

-2014 N 炭素税、排出量取引制度、補助金撤廃いずれも確認されなかった。

2015

-2024 N 炭素税、排出量取引制度、補助金撤廃いずれも確認されなかった。

グループ III

中国 2005

-2014 N(Y) 化石燃料に対する補助金があった。補助金の金額は低下傾向にある。

2013 年から 2014 年に、2 省 5 市で排出量取引制度が試験的に導入された。

2015

-2024 Y 2017 年に全国的に排出量取引制度が導入される予定。電力部門などの 8 部門が対象。

インド 2005

-2014 N(Y) 2010 年 全国的に炭素税が$1.07/tCO2の価格で導入された。石油、電気やガスの消費に対する補

助金が存在した。2010 年 2 月、インドは、環境への負の影響を減らし、産業化と都市化に伴う汚

染レベルを改善するために、2010-11 年度の予算でクリーンエネルギーの導入を発表した。

2012 年、エネルギー消費の節約を目的として市場メカニズムを基盤とした Perform Achieve and

Trade (PAT)制度が開始された。電力部門やエネルギー集約的な製造業の 478事業所が対象であり、

2007 年のインド全体の GHG 排出量の 60%にあたる。第一計画期間は 2012 年から 2015 年まで。

2011 年には、PM が基準値を特に上回る 3 つの州で排出量取引制度が試験的に導入された。1000

の事業所が対象になった。

2015

-2024 Y 2016-2017 年度の政府予算で、石炭、亜炭、泥炭を対象とした環境税(Clean Environement Cess)

を石炭 1 トン当たり 200 ルピー(3.1US$)から 400 ルピー(6.2US$)に引き上げた。環境税(Clean

Environement Cess)の上昇に伴い、平均石炭価格が 20%程度上昇している。上記 PAT 制度は継続。

インド

ネシア

2005

-2014 Y 電力や化石燃料への補助金が国家支出の 21.7%を占める(2013 年)。電力に対する補助金額は 2013

年に 83 憶ドルにのぼった。2014 年にジョコ・ウィド政権が誕生して以来、補助金改革が進めら

れており、その金額は減少傾向にある。(補助金改革)

2015

-2024 Y 2014 年に誕生したジョコ・ウィド政権下で補助金改革が進行中。その金額は減少傾向にあるもの

の、2015 年において 60 憶ドルの国家予算が電力補助金に充てられている。(補助金改革)

メキシ

2005

-2014 N 化石燃料の消費と生産に対する補助金が存在。補助金の金額は低下傾向にある。2014 年に炭素税

が導入され,化石燃料の(天然ガスは除く)の製造・輸入に対して課される。炭素価格は$3.5/tCO2

である。セクターの制限はない。

2015

-2024 N 電力部門を対象にした排出量取引制度の導入が検討されている。2016 年にケベック州、オンタリ

オ州と炭素市場の共同構築することを発表した。

南アフ

リカ

2005

-2014 N 炭素税、排出量取引制度、補助金撤廃いずれも確認されなかった。

2015

-2024 N 2015 年 11 月、2016 年から炭素税を実施する草案を発表したが、現時点で未実施。

指標7,8.原子力発電所利用における安全基準、事故時の補償責任

国 期間 指標 7

政策 指標 8

政策 判断の根拠となる情報

グループ I

オー

スト

ラリ

2005

-2014 - - 世界最大のウラン産地だが、原子力発電はない。法律で禁止されている。

2015

-2024 - - 上記継続。

カナ

2005

-2014 Y Y 発電量の約 16% を原子力発電で供給。大半がオンタリオ州にある。

2002 年放射性廃棄物管理機関 (NWMO) が設立された。カナダ原子力研究所 (CNL)が

安全管理の責任。

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53

2015

-2024 Y Y 上記継続。

フラ

ンス

2005

-2014 Y Y 発電量の約 75% を原子力発電所で供給。2025 年までに 50%まで下げる目標。

2006 年に原子力安全機構(ASN)が規制の権限を持った。原子力安全、放射性物質等を担当。新たなライセンス発行には環境省の承認が必要。

2015

-2024 Y Y 上記継続。

ドイ

2005

-2014 - - 2007 年発足の欧州原子力安全規制グループ(ENSREG)は、各加盟国からの国家原子力安

全、放射性廃棄物、放射能保護分野の取締機関の専門家で構成される、独立した専門団体。原子力安全と放射性廃棄物管理の分野での継続的な改善支援が目的。ドイツ国内では、連邦環境・自然保護・原子炉安全省が原子力安全に関する責任を有する。2010 年 9

月に新しい合意に至り、1980 年以前に作られた原子炉の認可を 8 年延長(2001 年から合意の日付まで)すること、それ以降のものは 14 年延長することとなった。

2015

-2024 - - 2011 年 5 月 30 日に政府は前政権の段階的廃止計画を再び立ち上げ、すべての原子炉を

2022 年までに閉鎖することを決めた。

イタ

リア

2005

-2014 - - G8 で唯一原子力発電を持たない。

2015

-2024 - - 2030 年までに発電量の 25%を原子力でまかなうという法案は否決された。

日本 2005

-2014 Y N 原子力安全・保安院(NISA)は 2001 年に自然・エネルギー庁の傘下に商業用原子力発電

所の定期検査を行う目的で発足したが、母体機関から独立した組織ではなかった故、規

制は厳しくなかった。原子力安全委員会(NSC)も施設や機器、材料がこれらの安全規則に準じているかを確認している。しかし、組織が原子力推進機関や電力会社から独立していなかったため、この規制体制は十分な役割を果たしていなかったと判断。

2015

-2024 Y Y 原子力規制委員会は、福島原発事故に対処するために 2012 年に設立された。これによ

り、原子力発電に関する意思決定がより透明性を増したと評価できる。2030 年目標では電力供給の 20-22%を原子力発電でまかなう予定。

英国 2005

-2014 Y N 2007 年に発足した欧州原子力安全規制グループ(ENSREG)との協調。

2015

-2024 Y Y 2014 年 7 月、EU は 2009 年の原子力安全指令を改訂し、原子力の導入に関する共通の

安全規則を定めた。EU の放射性廃棄物と使用済み燃料に関する指令では、使用済み放射性物質の安全な処理のための規則を定めている。また、「廃棄物指令」は廃炉の際に放射性廃棄物の安全な処理の資金を調達するために EU 国家計画策定を要求している。

英国内では、原子力規制局(ONR)はエネルギー法 2013 の下で、2014 年 4 月 1 日に公法人として設立され、組織の責任や権限の骨組みを提供している。

米国 2005

-2014 Y Y 米国原子力規制委員会(NRC)は、人と環境を守りつつ、有益な民間用途での放射性物質

の安全な取り扱いを確実にする独立機関として 1974 年に議会によって立ち上げられた。NRC は許認可、検査、条件遵守等により、商業用原子力発電所や、核医学などの

放射性物質の他の使用を規制している。NRC は大統領から任命され、上院に 5 年の任期を承認された5人の理事によって運営されている。理事長は NRC の代表執行役であり、代表のスポークスマンでもある。

2015

-2024 Y Y 連邦政府による支援は継続だが、原子力発電所の経済競争力は弱まっている。他のエネ

ルギーに対して原子力発電所の維持費が高いため、原子力発電所は競争力を失いつつある。最終処分場に関する問題は未解決である。

グループ II

アル

ゼン

チン

2005

-2014 - - 3 つの原子力発電所を持ち全電力供給量の約 10%を供給。1994 年、原子力規制機構

(ARN)が発足し、安全に関する責任を負う。1997 年の原子力活動法にて ARN の役割を規定している。

2015

-2024 - - 上記継続。

ブラ

ジル

2005

-2014 - - 2 基の原子力発電所を持ち、電力量の約 3%を供給している。今後数基増える予定。1989

年に環境再生可能資源省(IBAMA)の管轄となった。.

2015

-2024 - - 上記継続。

韓国 2005

-2014 N N 24 基で電力供給量の 3 分の 1 ほどを供給。原子力エネルギー委員会(AEC)が最高決

定機関。2011 年までは、総理大臣が座長。別途、原子力安全委員会(NSC)が文部科

学技術大臣を座長に設置されていた。

.2011 年、新たに原子力安全保障委員会(NSSC)が設立された。原子力安全研究所(KINS)が技術的支援を行う。2012 年、カナダ政府 CNSC と協定を結んだ。さらに 2013 年には

日本と中国とで協定を結んだ。通商産業エネルギー省がエネルギー供給の観点から権限を持ち、文部科学省が技術開発、安全の観点から権限を持つ。

日本の福島第一原発事故以降、すべての原発の安全点検を行った。

2012 年、少なくとも 5 つの発電所で、認可されていない部品が調達されていたことが判明。2013 年別の 4 箇所で書類の偽造が発覚。

2015

-2024 Y N 2015 年 韓国原子力エネルギー促進庁(KONEPA) は韓国原子力エネルギー庁 (KNEA)

に名称変更。

2017 年 新大統領は 45 年かけて原子力発電所を撤廃させる意向。

ロシ 2005

-2014 N N 2028 年に向けて、旧式のものを新型に置き換える形で年に1基ずつ建てていく予定。

原子力エネルギー省 (Minatom)が開発規制から廃棄まで担当。

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54

ア 2015

-2024 N(Y) N 上記継続。

サウ

ジア

ラビ

2005

-2014 - - 現在はない。今後 16 基を 20~25 年かけて建てていく予定。

2015

-2024 Y N 2014 原子力規制機構 (SAARA) が設立された。その後、フィンランドや韓国の組織と

安全技術等に関する協定を結んでいる。

トル

2005

-2014 - - 現在はない。

2015

-2024 N N ロシア、フランス、日本、中国、米国などが融資して今後建設予定。IAEA との安全協

定は 2001 年に締結している。

グループ III

中国 2005

-2014 N N 中国国家原子能機構(CAEA)の傘下にある国家核安全局(NNSA)は認可、規制機関であ

る。原子力発電会社は国営会社である。NNSA は、全原子炉や他の施設の認可、保安検査や再検査、運転規定、放射性物質の運搬の認可、廃棄物管理、放射能保護、に関する権限を持つ。2003 年の放射能汚染防止と管理に関する法律は、国家評議会の認可を受

け、1986 年から 2003 年に施行された数々の法規によって補足されている。中国は 2011

年に IAEA チームの運転安全調査団(OSART)の派遣を 12 回要請または招待し、各施設は通常毎年一回、SART、WANO ペアレビュー、または CNEA ペアレビュー(核動力運

行研究所、RINPO と共同)などの外部からの安全検査を行っている。2013 年 12 月にはNNSA と日韓両国の対応する機関は、原子力の安全と原子力災害が起こった時の素早い情報共有のためのネットワークを築くことに合意した。

2015

-2024 Y N 福島原発事故に対応して、原子力に関する新しい安全策が 2012 年に可決された。国家

評議会は、原子力発電所の新設に対する認可を中断し、建設中のものを含む全原子力プロジェクトで包括的な保安検査を実施した。2012 年 5 月には原子力に関する新しい安

全策が可決された。国家評議会は、中国の原子力安全と放射能汚染防止における基本原則は安全性と質を第一にすることと言明した。

イン

2005

-2014 N N 核不拡散条約未締結のため、2009 年までは他国との協力なしに独自に開発。

1983 年原子力エネルギー規制局(AERB)は、ライセンス供与、安全等の権限。ただし、原子力エネルギー省(DAE)の下に位置づけられた。

2011 年 AERB を DAE から独立させると公表。しかし 2012 年監査の結果、AERB 内部に組織として多数の不適切な点を指摘。

その結果を受け 2012 年以降、法案が審議されている。原子力安全規制機構(NSRA)が

AERB を引き継ぎ安全面から確認を想定。

2015

-2024 N N 今後も原子力を増やし、2050 年には電力供給量の 25%を原子力発電所でまかなう予定。

イン

ドネ

シア

2005

-2014 - - 現在はない。

2015

-2024 N N 予定はあるが計画は遅延。ロシアの協力を得ている。

2014 年原子力エネルギー規制庁(BAPETEN)の下、ライセンス許可等の権限を議論。.

メキ

シコ

2005

-2014 N(Y) N(Y) 2 基の原子力発電所が電力の 4%を供給。エネルギー省の下に国家原子力安全委員会

(CNSNS)が規制権限を持つ。IAEA 原子力安全協定も締結。

2015

-2024 Y N(Y) 上記継続。

南ア

フリ

2005

-2014 N N 2 基の原子力発電所が電力の 5%を供給。

鉱物エネルギー省(DME)が原子力発電建設の権限、国家原子力規制局(NNR)と原子力エネルギー協力(Necsa)が安全面を担当。

2013 年 IAEA ミッションによる検査。問題なし。

2015

-2024 N(Y) N(Y) 2015 年 NNR を強化し、今後の原子力発電増強に努める。中国と協力し、制度的観点

を強化。

指標9. ガソリン車以外の車の普及に向けた経済的支援

国 期間 政策の有無

判断の根拠となる情報

グループ I

オース

トラリ

2005

-2014 N インセンティブ制度は現在なし

2015

-2024 N 2017 年 9 月 EV 専用の低利リース制度を政府が発表したが、未だに未実施

EV の車両登録に対して、二つの州が減額を行っている。

カナダ 2005

-2014 N(Y) 2010年 Electric Vehicle Incentive Program (EVIP) オンタリオ州はプラグインハイブリッド車や電

気自動車の普及を目的に助成金を支出.

2010 年 ガソリン中の再生可能燃料の割合を平均で 5%とする規則

2015

-2024 Y 2017 年 ケベック州、ブリティッシュコロンビア州も同様の助成金。2018 年には連邦政府レベ

ルで導入を検討。

フラン

2005

-2014 Y 2008 年 「ボニュス・マリュス(Bonus-malus)」制度 CO2排出量が少ない車両にはボーナス

(補助金)が支給され、逆に高い車両には課税される。

2015 Y 上記継続。

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55

-2024

ドイツ 2005

-2014 N(Y) 車両登録税の免除あり(EV・PHV は 50~100%、バイオ燃料車は€150)。また、バイオ燃料に対

して税制優遇を行っている。

2015

-2024 Y 2016 年 上記に加えて、EV・PHV 購入時の補助金を開始(€3000~4000)。バイオ燃料に対する

税制優遇は終了(クオータ制に移行)。

イタリ

2005

-2014 Y 2006 年 エコカー普及促進策 排ガス規制「ユーロ 0」~「ユーロ 2」の自動車を廃車して、特定

のエコカーを購入するものに対して補助金を与える

2015

-2024 Y 上記継続。

日本 2005

-2014 Y 車両本体購入時に上限金額の範囲内でベース車との差額の 1/2 を補助し、購入時の税金を免除。

また、充電インフラ整備に係る補助金も実施。バイオ燃料普及促進のため、石油精製業者のインフラ整備を支援。

2015

-2024 N(Y) 車両本体購入時の補助金について、価格低減インセンティブを付与するスキームとするため、補

助金額を減額。一方で、燃料電池車の市場投入を受けて水素インフラ整備の補助金を開始。バイオ燃料普及促進のためのインフラ支援は 2015 年度で終了。

英国 2005

-2014 N(Y) EV・PHV に対して 25%(上限£5000)の補助金を支給。その他低炭素バスに対する補助もある。

また、バイオ燃料に対して税制優遇(0.2£/L)を行っている。2011 年 PHV 補助金、2012 年 PHV

貨物車両補助金

2015

-2024 Y 上記に加えて、充電設備のインフラ整備にも補助金(£500/1軒)や、EV・PHV・FCV に対して

の税制優遇を実施。一方でバイオ燃料に対する税制優遇はほぼ終了した。2014 年超低排出車

(ULEVs)の定義は 75g CO2/km.これに対して補助金。1.燃料課税免除、車両税免除、電気自動車

のために用いられる電力に対しては消費税(VAT)を5%に抑えている(通常 20%)。2016 年車両販売に対する補助金 2 百万ポンド、初期投資の 75%分を充当。

米国 2005

-2014 N(Y) EV・PHV に対して$2500~7500 の Tax credit(税額控除)を実施。また、充電インフラに対する

税額控除も実施。バイオ燃料に対して税額控除あり、バイオ燃料のインフラに対しての補助金もある。

2015

-2024 N(Y) 上記継続。

グループ II

アルゼ

ンチン

2005

-2014 N 経済的支援は特に確認されなかった。

2015

-2024 N 経済的支援は特に確認されなかった。

ブラジ

2005

-2014 N 経済的支援は特に確認されなかった。

2015

-2024 Y 2016 年 サンパウロ市内の電気自動車は IPVA(car ownership tax) が 50%減税される ブラジル

の環境配慮型車両に対するインセンティブプログラムは電気自動車とプラグインハイブリッド車を含まない。その理由として、ブラジルの電気グリッドの容量が電気自動車の需要に対応でき

ないことが挙げられている。

韓国 2005

-2014 Y 2011 年 電気自動車への補助金給付による経済的支援 電気自動車購入の促進策として、新車購

入時の 1 回に限り、最大 1 千 5 百万ウォン(約 150 万円)の補助金による経済的支援を行った。

免税に関しては、国税と地方税は合わせて 4.2 百万ウォン(約 40 万円)免税される。

2015

-2024 N(Y) 2014 年から 2020 年にかけては補助金額の減額が予定されている。

ロシア 2005

-2014 N 経済的支援は特に確認されなかった。

2015

-2024 Y 2014 年 ユーラシア経済連合(Eurasian Economic Commission)がロシアにおける電気自動車の輸

入税を撤廃。およそ、車体価格の 15%程を免除。

サウジ

アラビ

2005

-2014 N 中東諸国の政治・経済的同盟である湾岸協力会議(GCC)に参加するサウジアラビア、クウェー

ト、アラブ首長国連邦、カタール、バーレーン、オマーンの 6 か国では、ハイブリット車に対する税制での優遇や補助金といった促進政策は行っていない。

2015

-2024 N 上記継続。

トルコ 2005

-2014 Y 2009 年 EU の legislation 70/220/AT 及び 88/77/AT-2005/55/AT に準拠 EV 購入時の課税(Special

consumpetion tax)は従来の化石燃料車よりも低く設定されている

2015

-2024 Y 上記継続。

グループ III

中国 2005

-2014 N(Y) EV・PHV に対して国・地方から補助金を支給している(国:3.5 万元~6 万元、地方:国と同程

度)。バイオエタノールに対して税制優遇・補助金の支給がある。

2015

-2024 N(Y) 2013 年 subsidy is given for the purchase of EV and PHV, 35 -60 thousand RMB (about $5000-$10000).

EV・PHV に対して、補助金の支給に加え、自動車税の免除や、充電インフラへの補助金を支給している。一方で、バイオエタノールへの税制優遇や補助金は段階的に廃止している。

インド 2005

-2014 Y 2013 年 National Electric Mobility Mission Plan 2020(NEMMP) 電気自動車(ハイブリッド車を

含む)の利用と製造を促進するための「国家電気自動車計画(NMEM)2020」を立ち上げた。都市

部の短距離通勤(片道平均 50km-100km)に適した、インドの夏とモンスーンにも耐え得る頑丈で低価格のハイブリッド車・電気自動車(xEV)の需要が大幅に拡大すると予測されている。また、2020 年までにこれらの車両の売上は 600-700 万台に達すると予測されている。

2015 Y 物品税での優遇措置 取得段階 ・物品税【国】6~30%(排気量、車種、全長等別)→■物品税

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56

-2024 の優遇措置。ハイブリッド車は 12.5%、電気自動車は 6%に優遇

2017 年 Goods and Services Tax:物品サービス税・自動車(トラクターなど一部を除く、二輪車を含む)の税率は 28%となった一方、電気自動車(EV)は 12%と、EV 導入を進めたい政府の意向が反映された。

しかし、ハイブリッド車については 28%の税に加え、セグメントに応じて課せられる一種の奢侈(しゃし)税として 15%が適用され、環境対策車により扱いが異なる。

インド

ネシア

2005

-2014 N 経済的支援は特に確認されなかった。

2015

-2024 N 経済的支援は特に確認されなかった。

メキシ

2005

-2014 N 経済的支援は特に確認されなかった。

2015

-2024 Y 2017 EVに対して免税対象となる。EV以外の輸入車に対しては 20%課税される。

南アフ

リカ

2005

-2014 N 経済的支援は特に確認されなかった。

2015

-2024 N 経済的支援は特に確認されなかった。

指標10. ガソリン車以外の次世代車開発のための研究支援

国 期間 政策の有無

判断の根拠となる情報

グループ I

オース

トラリ

2005

-2014 Y 2008 年 Alternative Fuel Policies・グリーンカーイノベーション基金の設立(Green Car Innovation

Fund) 低燃費車の製造によって気候変動に対応する為に 5 億豪ドルの投資を行う。

新エネルギーイノベーション基金による投資(new Energy Innovation Fund)

重要なクリーンエネルギー技術の研究に対し 1 億 5000 万豪ドルの投資を行う。(エネルギー貯蓄技術、エネルギー効率、水素輸送燃料を含む一般的なクリーンエネルギーの研究開発の為の 5000

万豪ドル投資を含む)

2015

-2024 Y 上記継続。

カナダ 2005

-2014 N(Y) 2010 年 Electric Vehicle Incentive Program (EVIP) オンタリオ州では EVに関する研究開発費用の税

金が控除される。

2015

-2024 N(Y) 上記継続。

フラン

2005

-2014 Y 2008 年 New Energy Technologies Demonstration Fund デモンストレーション基金、4 年間で 4 億

ユーロを支出。再生可能エネルギーと低排出自動車が対象。

2009 年 EV、 PHV の普及を図るため、自動車メーカーに対する開発支援のみならず、充電用の

インフラ整備までも含めた具体的な促進策が発表。10 年間に総額 25 億ユーロの投資を掲げる

2015

-2024 Y 上記継続。

ドイツ 2005

-2014 Y 電気自動車関連の国家計画で 5 億€を拠出。燃料電池の開発にも資金を拠出している。2002 年ク

リーンエネルギーパートナーシップ (CEP) の下、水素燃料関連の技術開発。

2008 年上記継続。2016 年までに 14 億ユーロ。

2015

-2024 Y 上記継続。

イタリ

2005

-2014 Y 2007 年 INDUSTRIA 2015 イタリアの将来的な生産システムを開発し競争力を強化するための産

業戦略であり、5 つある主要テーマの 1 つに「維持可能モビリティ」が含まれている

2015

-2024 Y 上記継続。

日本 2005

-2014 N(Y) リチウムイオン電池の性能向上及び低コスト化に向けた研究開発に対して補助金が支出されて

いる。

2015

-2024 Y リチウムイオン電池に関する研究開発に加えて、水素関連の研究開発に対する支援を強化。

英国 2005

-2014 N 次世代車開発研究支援は確認されなかった。

2015

-2024 Y 2015 年 バイオ燃料の開発を行った企業に総額 2500 万£を支給している。

米国 2005

-2014 Y 2008 年 The Automotive X Prize (AXP)という競争的資金を準備。次世代者開発が目的。エネルギ

ー省がパートナーシップを組んでいる。

2009 年 電気自動車用蓄電池開発用資金。電気自動車等の様々な分野の研究開発に対する補助金や表彰、バイオ燃料の研究センターの設立等、様々な角度から取組がなされている。

2015

-2024 Y 上記継続。

グループ II

アルゼ 2005

-2014 N 次世代車開発研究支援は確認されなかった。

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57

ンチン 2015

-2024 N 次世代車開発研究支援は確認されなかった。

ブラジ

2005

-2014 N(Y) 2012 年 新技術と生産チェーンの強化に向けたインセンティブプログラム

Inovar-Auto IPI(工業製品税)を 30 ポイント引き下げる条件として以下を課した:

・国内での一定の生産工程履行や実質的な国内部品調達義務

・燃費の向上義務付けによる最新技術の導入

・一定割合の R&D への投資を義務付け

2013 年 INNOVA ENERGIA ブラジル国立経済社会開発銀行(BNDES)、ブラジル科学技術金融公社(FINEP)、及び国家電力庁(ANEEL)によるプログラム。スマートグリッド(及び再エネ、ハ

イブリッド車、運輸部門の省エネ)に関する研究開発プロジェクトに対して、最大 90%の補助金を支給(上限は 924 mil USD)

2015

-2024 Y 上記継続。

韓国 2005

-2014 Y 2011 年 Green RE-EV (Range Extended Electric Vehicle) Car Part Development and Research

Infrastructure Project 長距離走行可能な電気自動車用の部品開発・技術開発を強化し、部品メーカーを育成する為に総額 123.5 百万ユーロ(約 160 億円)の投資を 2011 年 9 月から 2016 年 8 月にかけて行った。

2015

-2024 Y 上記継続。

ロシア 2005

-2014 N 2011 年 ロシア連邦教育・科学省は水素・及び燃料電池の研究開発に 10.7 億ルーブル(約 20 億

円)を 2011 年から 2013 年の 3 年間に投資しているが、燃料精製段階における水素生産を目指すものが主であり、自動車搭載用の燃料電池の開発とは言えない。

2015

-2024 N 上記継続。

サウジ

アラビ

2005

-2014 N IEA 等の報告書にも掲載なく、電気自動車の根幹技術開発への補助金政策はないもと推測される。

2015

-2024 N 上記継続。

トルコ 2005

-2014 N 燃料電池車や蓄電池の軽量化/小型化に限定してはいないが、自動車の R&D に対して政府により

金銭的支援(渡航費、設備費、コンサル費用等に対するもの)を行っているとの記載あり。

2015

-2024 N 上記継続

グループ III

中国 2005

-2014 N (Y) 2008 年 広西自治区にて、バイオ燃料生産のためにジャトロファ植林。500 百万元の投資。

他のいくつかの省でも同様の動き。

2015

-2024 N(Y) 上記の継続。

インド 2005

-2014 N 次世代車開発研究支援は確認されなかった。

2015

-2024 Y 2015年 FAME INDIA(Faster Adoption and Manufacturing of Hybrid & Electric Vehicles in India) 政府

補助⾦によりハイブリッド⾞・電気⾃動⾞の普及・製造を促進。需要創出のため、2015 年 4 月初

めから 2017 年 6 月末までの期間に 14 万 8,275 台の EV/HEV 購入者に約 19 億ルピー(約 33 億円)

が支出された。 その効果として、1,355 万 3,917 L の燃料が節約され、CO2 排出量は約 3 万 3,971

トン減少させたとしている。

・フェーズ 1 の対象期間は 2 年間で 2017 年 3 月末までだったが、これを 9 月まで延長する。また、スキームの変更として、2017 年 4 月からマイルドハイブリッド車に対するインセンティブを廃止している。

インド

ネシア

2005

-2014 N 次世代車開発研究支援は確認されなかった。

2015

-2024 N(Y) Low Carbon Emission Vehicle (LCEV) Program 2030 年の対 BAU で GHG 排出量 29%削減に向けて

EV や HEV の普及を全面的に促進するための政策枠組みを策定。工業省大臣によれば、LCEV プログラム(Low Carbon Emission Vehicle Program)と呼ばれる政策を検討中であり、2017 年末の公

布を予定している。LCEV プログラムでは、エコカー生産において、免税や補助金、部品の国外調達率に関する規制などが含まれる見込み。

メキシ

2005

-2014 N 次世代車開発研究支援は確認されなかった。

2015

-2024 N 次世代車開発研究支援は確認されなかった。

南アフ

リカ

2005

-2014 N 次世代車開発研究支援は確認されなかった。

2015

-2024 N 次世代車開発研究支援は確認されなかった。

指標11. ガソリン車以外の車を優遇する交通ルール

国 期間 政策の有無

判断の根拠となる情報

グループ I

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58

オース

トラリ

2005

-2014 N 優遇する交通ルールは確認されなかった。

2015

-2024 N 優遇する交通ルールは確認されなかった。

カナダ 2005

-2014 N 優遇する交通ルールは確認されなかった。

2015

-2024 N 優遇する交通ルールは確認されなかった。

フラン

2005

-2014 N(Y) パリ市内では、EV オーナーは"low emission vehicle card"を取得可能。このカードの所有者は、無

料駐車や駐車禁止スペースへの一定期間の駐車等が可能となる。

2015

-2024 N(Y) 上記継続。

ドイツ 2005

-2014 N(Y) 優遇する交通ルールは確認されなかった。

2015

-2024 N(Y) 優遇する交通ルールは確認されなかった。

イタリ

2005

-2014 N(Y) 電気自動車には市内中心部制限区域へのアクセスが認められる

2015

-2024 N(Y) 上記継続。

日本 2005

-2014 N(Y) 優遇する交通ルールは確認されなかった。

2015

-2024 N(Y) 優遇する交通ルールは確認されなかった。

英国 2005

-2014 N 優遇する交通ルールは確認されなかった。

2015

-2024 N (Y) 2016 年 自宅用 EV 充電設備のために補助金1家庭あたり 500 ポンドを設定。EV や PHV は、ロ

ンドン混雑税を免除される。

米国 2005

-2014 N(Y) 2008 年 カリフォルニア州にて、EV 用充電インフラ整備への補助金商用施設 5 万ドル、自宅用

2000 ドル。電気自動車等のための HOV レーン。.

2015

-2024 N(Y) 上記継続。

グループ II

アルゼ

ンチン

2005

-2014 N 優遇する交通ルールは確認されなかった。

2015

-2024 N 優遇する交通ルールは確認されなかった。

ブラジ

2005

-2014 N(Y) サンパウロ市内において、通常の車は運転制限がある中(車を運転してはいけない日が、ナンバ

ープレートによって決められている)、電気自動車にはそれがない。

2015

-2024 N(Y) 上記継続。

韓国 2005

-2014 N(Y) 2008~2013 年 Framework Act on Low Carbon, Green Growth EV 普及の為の政策の第 1 段階では購

入補助金、充電器設置支援等を行った。2013 年から 2015 年にかけての第 2 段階では、様々な免

税措置に加え高速道路通行料の減額、EV 車専用の駐車スペース導入等の優遇を行っている。

2015

-2024 N 未定。

ロシア 2005

-2014 N 優遇する交通ルールは確認されなかった。

2015

-2024 N(Y) 2017 年 Presidential decree no.832「電気自動車」、「ハイブリッド車」を道路交通法において定義

を行い、専用の充電ステーションや専用駐車場に関する道路標識の導入を行った。

サウジ

アラビ

2005

-2014 N 中東諸国の政治・経済的同盟である湾岸協力会議(GCC)に参加するサウジアラビア、クウェー

ト、アラブ首長国連邦、カタール、バーレーン、オマーンの 6 か国ではハイブリット車に対しての高速道路での優先レーン設置といった購買を促す政策はない。

2015

-2024 N 上記継続。

トルコ 2005

-2014 N 優遇する交通ルールは確認されなかった。

2015

-2024 N 優遇する交通ルールは確認されなかった。

グループ III

中国 2005

-2014 N 優遇する交通ルールは確認されなかった。

2015

-2024 N (Y) 2014 年北京市内に入る際に EV や PHV は優遇されている。

インド 2005

-2014 N 優遇する交通ルールは確認されなかった。

2015

-2024 N 優遇する交通ルールは確認されなかった。

インド 2005 N 優遇する交通ルールは確認されなかった。

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ネシア -2014

2015

-2024 N 優遇する交通ルールは確認されなかった。

メキシ

2005

-2014 N(Y) 2000 年 "zero-zero” program 排気の少ない車はいつでも運転可能だが、排気の多い車はナンバー

プレートにより運転ができる日が決まっている。

2015

-2024 N(Y) 上記継続。

南アフ

リカ

2005

-2014 N 優遇する交通ルールは確認されなかった。

2015

-2024 N 優遇する交通ルールは確認されなかった。

指標12. 産業部門を中心とした排出量目標、エネルギー効率目標あるいは効率基準の設定

国 期間 政策の有無

判断の根拠となる情報

グループ I

オース

トラリ

2005

-2014 N 効率基準は確認されなかった。

2015

-2024 Y 2015 年 National Energy Productivity Plan (NEPP) 国家エネルギー生産性計画

エネルギー生産性(エネルギーGDP 原単位)を 2015 年から 2030 年までに 40%改善する目標を

設定。

2030 年までに自動車、運送、製造、商業、不動産、鉱業、農業その他の部門において CO2を 54mt

(内、産業部門は約 16Mt)まで削減する。

カナダ 2005

-2014 N(Y) サスカチュワン州 GHG 管理削減規制。50,000tCO2以上の大規模排出事業所に対して、2020 年ま

でに 2006 年比 20%削減を求める。低排出技術支援ファンドへの支払いで遵守可能。

オンタリオ州 エネルギー多消費型産業に対して、石炭以外のエネルギー源への移行を促す。

2015

-2024 N(Y) 上記継続。

フラン

2005

-2014 N 2006 年 省エネ証書制度 2006 年~2009 年の期間で 54TWh の削減目標。

2011 年~2017 年の期間で 700TWh の削減目標(効率目標ではない)

2015

-2024 N(Y) 2015 年 緑の成長のためのエネルギー移行法 2030 年までに 1990 年比 GHG 排出量 40%減を目指

す。(産業・民生合わせて)(効率目標ではない)

ドイツ 2005

-2014 Y EU-ETS の一部として、産業部門に排出量を設定している。最初の国ごとの省エネ行動計画は、

2006 年 EU 指令を踏まえ 2007 年に設定され、2次は 2011 年に設定された。この計画により、ドイツでは 2016 年までに9%改善目標を達成予定である。さらに 2010 年のエネルギーコンセプト

では、年率 2.1%で省エネ改善を求めている。

2015

-2024 Y EU-ETS の一部であり続ける。第3次省エネ計画では、2020 年まで毎年 2.1%改善に加え、エネ

ルギー消費量を 2008 年比で 2020 年までに 20%、2050 年までに 50%を目指している。

イタリ

2005

-2014 N 2014 年 第 3 次国家エネルギー効率行動計画(NEEAP:National Energy Efficiency Action Plan)

他の部門と合わせて 2020 年時点で 15.5 Mtoe(石油換算百万トン)の最終エネルギー消費の削減

目標を設定。削減量はイタリアの 2013 年の最終エネルギー消費実績(121.2Mtoe)の約 13%の水準。(効率目標ではない)

2015

-2024 N 上記継続。

日本 2005

-2014 Y 2008 年 経団連による自主行動計画。省エネルギー法による報告、計画策定義務付け 2005 年、

2009 年、2013 年に法改正。

2015

-2024 Y さらなる基準強化

英国 2005

-2014 Y

EU-ETS の一部として、産業部門に排出量を設定している。省エネ計画は 2007 年に設定された。

その他、独自にエネルギー最終消費効率、省エネ規制を踏まえ、2016 年までに 9%改善を目指している。

2015

-2024 Y EU-ETS の一部であり続ける。第 2 次省エネ計画を実施中である。

米国 2005

-2014 N エネルギー効率資源基準 (EERS) は、州ごとに省エネ目標設定を促している。

2015

-2024 N(Y) 2015 年時点で、25 の州が EERS を設定している。いくつかの州では、排出量取引制度の一部と

して排出目標を設定している。

グループ II

アルゼ

ンチン

2005

-2014 Y 2007 年 National Programme for the Rational and Efficient Use of Energy (PRONUREE) 本プログラ

ムは、産業、交通、民生部門のエネルギー効率を 2016 年までに 10%、業務部門で 12%、公的建物で 10%改善目標を設定。2016 年までに電力消費量を BAU 比 6%減らせることになる。

2015

-2024 N(Y) 2017 年以降未定。

ブラジ 2005

-2014 N(Y) 2013 年 Plano Setorial de Mitigação da Mudança Climática para a Consolidação de uma Economia de

Baixa Emissão de Carbono na Indústria de Transformação - Plano Indústria 産業部門において、2020 年

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60

ル に BAU 比で 5%削減する(324.38MtCO2→308.16MtCO2)

2015

-2024 N(Y) 上記継続。

韓国 2005

-2014 Y 2008 年 The Second Energy Master Plan 5 年ごとに見直されるエネルギーマスタープラン(現在は

第 2 期目)によると、エネルギーセクター、産業部門に高効率機器の導入を目標として掲げている。エネルギー効率の標準規格設定とその表示・ラベリング、高効率機器認証制度の設立などが

含まれる。

2015

-2024 Y 上記継続。

ロシア 2005

-2014 Y 2010 年 Energy saving and energy efficiency improvement for the period till 2020 (Decree #2446-r) エ

ネルギーの効率化を掲げた主要な政策の一つ。電力、製造業等の業界に対し、強制力のある削減

目標を設定することで、2007 年から 2020 年の間にエネルギー原単位を 40%削減することが目標。

2015

-2024 N(Y) 2018 年 エネルギー戦略の中では、2035 年までに産業部門からの GHG 排出量を 1990 年比で

10.5%減らすという目標を含む。

サウジ

アラビ

2005

-2014 N(Y) 2012 年 Saudi Energy Efficiency Program (SEEP) 既存のプラントに対し国際的なエネルギー効率

のベンチマークの平均的レベルを 2019 年までに満たすことが求められている。達成できなかっ

た場合、操業に必要な認可やライセンスの更新を行わないとしている。新規プラントの建設では同様のベンチマークでトップクラスの効率を満たす必要があり、プラント完成後に検査も行われるとしている。

2015

-2024 N(Y) 上記継続。

トルコ 2005

-2014 N(Y) 2012 年 Energy Efficiency Strategy 2012-2023 省エネの効果を適切に測定し、省エネポテンシャ

ルを診断するためのエネルギー監査を実施。エネルギーマネジメントシステムの国際規格であるISO 50001 をトルコの基準として採用・定期的なエネルギー監査に基づき、省エネ目標、省エネ

ポテンシャル、必要コストに関する行動計画の策定を義務付け(年間エネルギー消費量 5,000 toe

以上の企業及び敷地面積 20,000 ㎡以上の業務部門・産業部門の建物が対象)

2015

-2024 N(Y) 上記継続。

グループ III

中国 2005

-2014 N(Y) 11 次 5 ヵ年計画 (2006 – 2010 年)では、アルミ産業に対してボーキサイト採掘時からアルミ精製

に至るまでのエネルギー効率基準を設定などを行った。12 次 5 ヵ年計画 (2011 – 2015 年)では、

2015 年までに一次エネルギー消費量の 11.4% が非化石燃料であることを目指し、GDP 当たりエネルギー消費量 16%改善、1GDP あたり CO2排出量 17%改善を目標とした。

2015

-2024 N (Y) 12 次 5 ヵ年計以降、さらなる省エネが計画されている。

インド 2005

-2014 Y 2012 年 Perform, Achieve and Trade (PAT)) ・エネルギー多消費セクターに属する事業者のうち、

年間エネルギー消費量が一定以上である事業者を指定エネルギー消費者(Designated Consumers:DCs)が対象。生産量あたりのエネルギー消費量(Specific Energy Consumption:SEC)を指標として削減目標を設定し、削減を義務付け。

第 1 期は、省エネ法に定められた指定エネルギー消費者のうち、産業部門の 8 業種(火力発電、鉄鋼、セメント、アルミニウム、肥料、紙パルプ、繊維、塩素アルカリ(ソーダ))にわたる 478

事業者が対象。対象事業者の排出量 164.97 Mtoe に対して、6.686Mtoe の削減目標が課されたが、

8.67Mtoe の削減(31Mt-CO2の削減)を実現。

2015

-2024 Y 上記継続。第 2 期は、製油所、州配電公社(Discom)、鉄道の 3 業種を加えた 11 業種に拡大し、

事業者数も 621 に増加第 2 期末時点(2019 年 3 月時点)で、2014-15 年比 8.869 Mtoe の削減目標

を設定

インド

ネシア

2005

-2014 N(Y) 2011 年 National Master Plan for Energy Conservation (Rencana Induk Konservasi Energi Nasional:

通称 RIKEN) 国家省エネルギーマスタープラン(通称 RIKEN)にて、2011 年の産業部門のエネルギー消費量 316 百万 BOE に対し、2025 年に 17%削減を目標としている。

国家温室効果ガス排出削減行動計画(RAN-GRK) 2020 年における産業分野の排出量削減目標

を以下のように設定している。

(1) 無条件削減目標(自国努力のみの場合): 対 BAU で 100 万 ton-CO2削減

(2) 条件付き削減目標(国際協力を得られた場合): 対 BAU で 500 万 ton-CO2削減

2015

-2024 N(Y) 2016年 Nationally Determined Contribution(NDC) 2030年における IPPU分野(Industrial Processes

and Product Use:工業プロセス及び製品の利用分野)の排出量削減目標を以下のように設定している。

(1) 無条件削減目標(自国努力のみの場合): 対 BAU で 275 万 ton-CO2(4.0%)削減

(2) 条件付き削減目標(国際協力を得られた場合): 対 BAU で 325 万 ton-CO2(4.7%)削減

メキシ

2005

-2014 N 効率基準は確認されなかった。

2015

-2024 N 2015 年 INDC GHG 排出量(2013 年時点)が 115MtCO2e であり、BAU だと 2030 年に 165MtCO2e

となる計算だが、157MtCO2e に低減する目標を立てている。

南アフ

リカ

2005

-2014 Y 2005 年 National Energy Efficiency Strategy (NEES) 2015 年までに国全体でエネルギー効率を 12%

改善しようとしている。内訳として産業界で 15%、業務と公的建物で 15%、民生で 10%、交通で 9%改善。

2015

-2024 Y 上記継続

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61

指標13. 産業部門の排出量/エネルギー利用に関する報告義務

国 期間 政策の有無

判断の根拠となる情報

グループ I

オース

トラリ

2005

-2014 Y 2008 年 National Greenhouse and Energy Reporting (NGER) 温室効果ガス及びエネルギー報告法

25kt 以上(会社グループでは 50kt 以上)の温室効果ガスを排出する登録企業に対し、毎年以下の6 つの義務を課す。1.温室効果ガス排出量及びエネルギーの使用量報告義務、2.報告企業の登録と解除、3.報告書作成、4.記録保管、コンプライアンスの監視、5.情報公開、6.監査

2015

-2024 Y 上記継続

カナダ 2005

-2014 N(Y) ケベック州特定物質排出報告義務 2020 年までに 1990 年比 20%削減に向けた情報収集を目的とす

る。

2015

-2024 N(Y) 一部の州レベルのみ。

フラン

2005

-2014 Y 2006 年 省エネ証書制度 電力、ガス、LPG、地域熱の各供給事業者などに対して、需要サイド

における省エネルギー目標を定め、目標の遵守を義務付ける省エネ証書制度(White Certificate

Trading)を導入。事業者は、自ら省エネ設備投資を行うほか、需要家への省エネ奨励により、達成した省エネ量を省エネ証書として取得する。

2012 年 エネルギー効率指令非 EU-ETS 部門の大企業に対して、エネルギー監査を義務付け(中小企業は努力義務)

2015

-2024 Y 上記継続。

ドイツ 2005

-2014 Y EU-ETS が中心となり、報告義務あり。その他にはない。

2015

-2024 Y 上記継続。

イタリ

2005

-2014 Y 2012 年 エネルギー効率指令 非 EU-ETS 部門の大企業に対して、エネルギー監査を義務付け(中

小企業は努力義務)

2015

-2024 Y 上記継続。

日本 2005

-2014 Y 省エネ法に基づき、エネルギー消費量の報告あり。加えて、2006 年地球温暖化対策の推進に関す

る法律(温対法)により GHG 排出量算定、報告、公表制度。

2015

-2024 Y 上記継続。

英国 2005

-2014 Y 2008 年 気候変動法により、GHG 排出量報告義務。

2015

-2024 Y 上記継続。

米国 2005

-2014 Y 2009 年 エネルギー省による報告義務あり。

2010年 EPAにより GHG排出量報告義務。

2015

-2024 Y 上記継続。

グループ II

アルゼ

ンチン

2005

-2014 N 報告制度は確認されなかった。

2015

-2024 N 報告制度は確認されなかった。

ブラジ

2005

-2014 N 2013 年 製造業における低炭素経済統合のための気候変動緩和部門計画(産業プラン)を今後徐々

に導入予定。産業部門のエネルギー計画に重要な 3 つの項目として MRV が含まれている

2015

-2024 N(Y) 上記継続。

韓国 2005

-2014 Y 2007 年 エネルギー利用効率化法 Energy Use Rationalization Act エネルギー消費量が石油換算で、

年間 2000 トン以上の企業を定期的に検査するエネルギー監査システム。産業部門および建築部門におけるエネルギーの節約と GHG 排出量の削減を目指す。 2007 年から 2010 年までの 3 年間で、1,497 の産業部門と 410 の建築部門がエネルギー監査を受けている。

2015

-2024 Y 上記継続。

ロシア 2005

-2014 Y 2011 年 Resolution No 19, 25-01-2011: 「エネルギーパスポート」制度。「自主規制機関」とよば

れる専門家集団が企業の省エネに関して調査し、結果をエネルギーパスポートを発行。その証書(certificate)が地方行政府に提出される一連の仕組みついて規定した法令。

エネルギー監査は基本任意ではあるが、以下の業界等に対しては必須としている。

1. 発電事業者、石油資源開発企業(石油、石炭、天然ガス)、原油精製企業、石油製品製造企業等

2. 毎年の化石燃料や電力への支払い総額が 1000 万ルーブル(約 1900 万円)を超える企業。

2015

-2024 Y 上記継続

サウジ 2005

-2014 N(Y) 2003 年 国家エネルギー効率プログラム

2012 年 エネルギー効率計画:工業施設、ホテル、病院、ショッピングセンター、学校、大型モ

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62

アラビ

スク、オフィスビルなどの商業施設に対し、圧縮空気システム、電気モーター、ポンプ、蒸気シ

ステム、ボイラーに関して監査が行われている。エネルギー消費量はほとんどの場合、現在のレベルと比較し 20%削減が可能であり、同レベルの CO2排出量の削減が見込まれるとしている。

2015

-2024 Y 上記継続

トルコ 2005

-2014 Y 2007 年 The Energy Efficiency Law (No. 5627) 企業に対するエネルギー管理について規定

【年間エネルギー消費量 1,000 toe 以上】 エネルギー管理士又はエネルギー管理部署の設置を義務付け、年間のエネルギー消費量の報告

【年間エネルギー消費量 50,000 toe 超、または工業地帯に立地する全ての企業】 エネルギー管理

士の下、エネルギー管理部署の設置を義務付け

2012 年 エネルギー効率戦略 2012-2023

・省エネの効果を適切に測定し、省エネポテンシャルを診断するためのエネルギー監査を実施

・エネルギーマネジメントシステムの国際規格である ISO 50001 をトルコの基準として採用

・定期的なエネルギー監査に基づき、省エネ目標、省エネポテンシャル、必要コストに関する行

動計画の策定を義務付け(年間エネルギー消費量 5,000 toe 以上の企業及び敷地面積 20,000 ㎡以上の業務部門・産業部門の建物が対象)

2015

-2024 Y 上記継続。

グループ III

中国 2005

-2014 N 報告義務は確認されなかった。

2015

-2024 N(Y) 報告義務はないが、一部の都市で ETS のしたでの排出量報告がある。

インド 2005

-2014 N(Y) 2010 年 エネルギー効率改善に関する国家ミッション ミッション実行により、のべ 19000MW

に相当する電力消費を減らすことができる。

2015

-2024 N(Y) 上記継続。

インド

ネシア

2005

-2014 N(Y) 2011 年 省エネルギーに関する政令 2009 年第 70 号 年間 6,000toe 以上のエネルギーを使用する

エネルギー多消費事業者は以下のエネルギー管理を通じた省エネルギー実施が義務づけられる。

・エネルギー管理者の任命

・省エネルギー計画の策定

・定期的な省エネルギー診断(エネルギー監査)の実施

・省エネルギー診断の結果に基づく提案の実施

・省エネルギーの実施状況の定期報告

2015

-2024 Y 上記継続。

メキシ

2005

-2014 N 報告義務は確認されなかった。

2015

-2024 Y 2015 年 GHG 排出量報告義務 産業部門やエネルギー、商業、廃棄物、農業、交通部門に対し、

3 年毎に GHG(CO2、CH4、ブラックカーボン等)の報告を義務付け。報告漏れや報告違反があった場合、罰金を払う必要がある。

アフリ

2005

-2014 N(Y) 2005 年 製造業・鉱業セクタープログラム 国家エネルギー効率戦略 (NEES)

エネルギー監査、監査法人の能力増強と、産業界のエネルギー効率改善。当初は自主的で能力増強が主な目的だったが、徐々に義務化を目指す、。監査法人には証書を発行する。エネルギー大

規模利用者は監査が義務。モニタリングと情報公開。

2015

-2024 N’(Y) 上記継続

指標14. 産業部門を対象としたエネルギー税、炭素税、排出量取引制度

国 期間 政策の有無

判断の根拠となる情報

グループ I

オース

トラリ

2005

-2014 Y 2011 年に成立したクリーンエネルギー法を根拠とする。

温室効果ガスを年間で 2.5 万トン以上排出する企業が対象。

対象部門は発電用エネルギー、産業プロセス、運輸、漏出ガス、排出ガス(林業・農業・家庭は対象外)。1t あたり豪$23~25 の炭素価格を設定し、企業が支払わない又は支払額が不足する場合には、不足費用を支払う義務を負う。

※法律上税金にはあたらないが、固定価格のことを炭素税と呼ぶ場合が多い。

※14 年の政権交代によって廃止された。

2015

-2024 N 炭素税は2014年に廃止された。その代わりにEmission Reduction Fund (ERF)と safeguard mechanism

を軸とする政策を進めている。

カナダ 2005

-2014 N(Y) BC 州のみ炭素税として化石燃料の購入・州内の最終消費に対して課税。2008 年 10CAD/tCO2か

ら 2012 年 30CAD/tCO2まで税率引上を行った。

ケベック州で 2013 年から排出量取引制度が開始。

2015 Y 2018 年までに全ての州または州が炭素税または排出量取引のどちらかを導入することを義務付

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63

-2024 ける。炭素税の対象は BC 州の炭素税をベースラインと規定。税率は最低 10CAD/tCO2で開始。

2022 年 50CAD/tCO2まで引上げ予定。これを受けてアルバータ州は 2017 年に炭素税を導入(2017

年 20CAD/tCO2→2018 年 30CAD/tCO2)。

フラン

2005

-2014 N(Y) 石油産品内国消費税として、ガソリン・軽油・重油等に課税。税率は 2011 年時点でガソリン約

260EUR/tCO2、軽油約 165EUR/tCO2、重油約 6EUR/tCO2である。

2014 年に重油は炭素税に変更。ガソリン・軽油は炭素税と併用で課税される。

炭素税として化石燃料消費に対し課税。2014 年 7EUR/tCO2。

2015

-2024 N(Y) 2015 年 14.5EUR/tCO2、2016 年 22EUR/tCO2、2017 年 30.5EUR/tCO2と税率増加。2030 年までに

100EUR/tCO2にする。

ドイツ 2005

-2014 Y 1999 年の第 1 次環境税制改革において、エネルギー税である石油税について税率を上乗せし、加

えて電力税も新設。2000 年の第 2 次環境税制改革において税率引き上げ。 発電用燃料については、環境税制改革に伴う石油税の増税分について非課税。税収は社会保障に回されている。

EU-ETS もエネルギーを対象とした税と同様の役割を果たしている。

2015

-2024 Y エネルギー税の継続。

イタリ

2005

-2014 Y 鉱油税に石炭を対象に追加するとともに炭素含有量に応じて製造または輸入時に課税。税率は

2017 年時点でガソリン約 313EUR/tCO2、石炭約 2EUR/tCO2、重油約 21EUR/tCO2である。

導入当初 2005 年に向けて段階的に拡充予定だったが、経済状況を理由に拡充されなかった。(EU/ETS)

2015

-2024 Y 上記継続。

日本 2005

-2014 N(Y) 2003 年 から原油と石炭に対して課税があり、税収は道路の建設や整備に用いられた。

2010 年 東京都で 2011 年に埼玉県で排出量取引制度が導入された。

2012 年 地球温暖化税が導入された。税率は当初 $ 2.5/t CO2 と低額であり、定期的に増額されてはいるが、指標の水準には未達である。税収は温暖化対策に用いられる。

2015

-2024 N(Y) 現在、東京都と埼玉県の排出量取引制度は 2019 年まで継続が予定されている。

英国 2005

-2014 Y 2001 年 気候変動税が導入済み。税収は社会保障に回されている。EU-ETS もエネルギーを対象

とした税と同様の役割を果たしている。

2015

-2024 Y 上記継続。2014 年時点での税率は $15.75/ tCO2.

米国 2005

-2014 N(Y) 電力に対して低率の課税を実施している州がある。

2009 年に北東部 9 州で、2013 年にカリフォルニア州で排出量取引制度が導入された。

2015

-2024 N(Y) 連邦政府レベルではない。

排出量取引制度は継続。

グループ II

アルゼ

ンチン

2005

-2014 N 2003 年 キルチネル政権が発足して以後、電力と天然ガスに対する補助金が上昇した。2014 年

に電力に対する補助金額がピークとなり、GDP の 2.9%を占めるまでになった。

2015

-2024 N エネルギー補助金に関する問題に取り組みはじめ、補助金額は 2014 年にピークを迎えて以降減

少傾向にある。

ブラジ

2005

-2014 N エネルギー税等は確認されなかった。

2015

-2024 N CDM が炭素市場で主な役割を果たしている。

韓国 2005

-2014 N エネルギー税等は確認されなかった。

2015

-2024 Y 2015 年 排出量取引制度を導入。5 部門 23 業種が対象。総排出量の約 68%をカバーしている。

第一計画期間(2015 年から 2017 年)中に、毎年 2%ずつ排出量を削減することを目標。2025 年まで予定されている。

ロシア 2005

-2014 N エネルギー税等は確認されなかった。

2015

-2024 N エネルギー税等は確認されなかった。

サウジ

アラビ

2005

-2014 N エネルギー税等は確認されなかった。

2015

-2024 N エネルギー税等は確認されなかった。

トルコ 2005

-2014 N エネルギー税等は確認されなかった。

2015

-2024 N エネルギー税等は確認されなかった。

グループ III

中国 2005

-2014 N(Y) 2009 年に原油を対象とした税金を導入したが、税率は低い。地域によって位は 5 ドルを越えた。

2013 年から 2014 年に、2 省 5 市で排出量取引制度が試験的に導入された。

2015 Y 将来計画どおりの排出量取引が導入されれば、効果として$5/t CO2程度と想定されている。

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-2024 2017 年に全国的に排出量取引制度が導入される予定。電力部門などの 8 部門が対象。

インド 2005

-2014 N(Y) 州レベルで電力消費に対する課税がある。2010 年に$1.07/tCO2の炭素税が導入された。

2012 年、エネルギー消費の節約を目的として市場メカニズムを基盤とした Perform Achieve and

Trade (PAT)制度が開始された。電力部門やエネルギー集約的な製造業の 478事業所が対象であり、2007 年のインド全体の GHG 排出量の 60%にあたる。第一計画期間は 2012 年から 2015 年まで。

2011 年には、PM が基準値を特に上回る 3 つの州で排出量取引制度が試験的に導入された。1000

の事業所が対象になった。

2015

-2024 N(Y) 上記の PAT 制度は継続。

インド

ネシア

2005

-2014 Y 電力や化石燃料への補助金が国家支出の 21.7%を占める(2013 年)。補助金の総額は 2005 年から

2013 年の 8 年間で 163%増加し、248 憶ドル(2013 年)にまでなった。2014 年にジョコ・ウィド政権が誕生して以来、補助金改革が進められており、その金額は減少傾向にある。

2015

-2024 Y 2014 年に誕生したジョコ・ウィド政権下で補助金改革が進行中。その金額は減少傾向にあるもの

の、2015 年において 53 憶ドルの国家予算が燃料補助金に充てられている。

メキシ

2005

-2014 N 2014 年に炭素税が導入され,化石燃料の使用に対して課される。炭素価格は$3.5/tCO2である。税

収は低炭素燃料の使用促進にために使われる。セクターの制限はない。

2015

-2024 N(Y) 上記継続。

南アフ

リカ

2005

-2014 N エネルギー税等は確認されなかった。

2015

-2024 N 2015 年 11 月、2016 年から炭素税を実施する草案を発表したが、現時点で未実施。

指標15. 建物部門でのエネルギー効率性に関する基準

国 期間 政策の有無

判断の根拠となる情報

グループ I

オース

トラリ

2005

-2014 N(Y) 2013 年 国家オーストリア建築物環境評価システム National Australian Built Environment Rating

System (NABERS) 非居住建物(オフィスビル、商業施設等)のエネルギー効率を評価する制度。

12 ヵ月分のエネルギーデータを使用して、実際のパフォーマンスに応じたエネルギー効率を 6 段階の星で評価する。評価するのはエネルギー・水・廃棄物・屋内環境の4項目についてである。

2015

-2024 Y 2019 年 エネルギー効率国家建設コード Natiional Construction Code (NCC) Energy Efficiency

商業ビル及び居住建物についてのエネルギー効率基準の設定。

National Energy Productivity Plan に基づく環境対策を目的としてエネルギー効率基準を設定する。

エネルギー効果基準の主な内容として以下の6つの軸がある。

①必須パフォーマンス要件の定量化

②NABERS(エネルギーコミットメント合意)検証方法の導入

③グリーンスター検証方法の導入

④ビルディングコミッショニング要件の導入

⑤現場における再生可能エネルギーの検討

⑥熱ブリッジ要件、DTC 条件の提供 ※具体的な評価基準等は検討段階

カナダ 2005

-2014 N(Y) 建設コード(州レベル)大半の州は大規模な集合住宅、産業、業務用建設物に規制がある。

連邦レベル:エコエネルギー効率は、エネルギーコードの開発と実施をサポートしている。

2015

-2024 N(Y) 上記継続。

フラン

2005

-2014

Y 2006 年 省エネ証書制度電力、ガス、LPG、地域熱の各供給事業者などに対して、需要サイドにおける省エネルギー目標を定め、目標の遵守を義務付ける省エネ証書制度(White Certificate

Trading)を導入。事業者は、自ら省エネ設備投資を行うほか、需要家への省エネ奨励により、達成した省エネ量を省エネ証書として取得する。

2009 年 グルネル第 1 法既存建築物については、エネルギー消費量を 20 年までに 38%以上削減することを目標に、13 年から毎年 40 万戸の省エネ改築を目指す。

2011 年 グルネル第2法新築建築物については、床面積 1 平方メートル当たりの一次エネルギー消費量を年平均 50kWh 未満に抑える「低消費建築(BBC)」の普及を目指す。11 年 1 月からすべての新築オフィスビルと公共建築物に、また 13 年 1 月からすべての新築住宅に同基準を適用。

2015

-2024 Y 2015年 緑の成長のためのエネルギー移行法 2030年までに 1990年比GHG排出量 40%減を目

指す。(産業・民生合わせて)

ドイツ 2005

-2014 Y 2010 年 EU 建物エネルギーパフォーマンス指令 (EPBD) (Directive 2010/31/EU) では、すべての

新築建物が 2020 年までにほぼゼロエネルギービル (nZEB)となることを目指す。

2012 年 EU の省エネ指令により、行政府の建物の少なくとも 3%はエネルギー効率改善に向けて修繕を行う。

2015

-2024 Y 上記継続。

イタリ 2005 Y 2005 年の法律 192 号(2006 年改正)建物のエネルギー効率を改善させる基準、条件および方法

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ア -2014 を定めている。細かな内容は地方において異なる。

2012 年 EU の省エネ指令により、行政府の建物の少なくとも 3%はエネルギー効率改善に向けて修繕を行う。

2015

-2024 Y 上記継続。

日本 2005

-2014 N 2003 年から建物部門のエネルギー効率基準が設定されている。

2009 年 トップランナーアプローチに家屋が対象として含まれ、効率化が目指された。

2015

-2024 Y 2014 年 エネルギー基本計画では、建物部門のさらなる効率改善、ZEH の普及などが盛り込ま

れている。しかし現状では基準は義務ではない。

英国 2005

-2014 Y 2008 年の 炭素削減約束(CRC)及びエネルギー効率計画(CRC Scheme) により、建物部門のエ

ネルギー効率改善による排出抑制を目指している。

2012 年 EU の省エネ指令により、行政府の建物の少なくとも 3%はエネルギー効率改善に向けて修繕を行う。

2015

-2024 Y 上記継続。

米国 2005

-2014 N 2007 年 エネルギー独立安全保障法(EISA) Section 413 では、エネルギー省がビルディングエネ

ルギーコード を設定することになっている。ただし建築物のエネルギー効率基準は州ごとに異なる。

2015

-2024 N 上記継続。

グループ II

アルゼ

ンチン

2005

-2014 Y 2007 年 National Programme for the Rational and Efficient Use of Energy (PRONUREE)

・住宅部門、及び公共施設への 10%の省エネ目標を設定している

2015

-2024 Y 上記継続。

ブラジ

2005

-2014 N(Y) 1985 年 Procel EPP 公共施設・建物にはエネルギー基準有り

2015

-2024 N(Y) 上記継続。

韓国 2005

-2014 N エネルギー効率性基準は確認されなかった。

2015

-2024 N エネルギー効率性基準は確認されなかった。

ロシア 2005

-2014 N(Y) エネルギー効率性基準は確認されなかった。

2015

-2024 N(Y) Best Available technology 2035 年までに, BAT は、15000 企業を対象として、ロシアの全排出量

の9割をカバーすることになる。

サウジ

アラビ

2005

-2014 Y

2007 年 サウジ建物コードエネルギー保全規制 (SBC 601) エネルギー効率に関する本法令は、

IEC(International Energy Conservation Code)に基づいており、2009 年以降の政府の建物建設に対し法令化された。2010 年には断熱基準がすべての新築の建物に対して施行されている。

2015

-2024 Y 上記継続。

トルコ 2005

-2014 Y 2012 年 エネルギー効率戦略 2012-2023

・省エネの効果を適切に測定し、省エネポテンシャルを診断するためのエネルギー監査を実施

・エネルギーマネジメントシステムの国際規格である ISO 50001 をトルコの基準として採用

・定期的なエネルギー監査に基づき、省エネ目標、省エネポテンシャル、必要コストに関する行

動計画の策定を義務付け(年間エネルギー消費量 5,000 toe 以上の企業及び敷地面積 20,000 ㎡以上の業務部門・産業部門の建物が対象)

2015

-2024 Y 上記継続。

グループ III

中国 2005

-2014 Y 2007 年 11 次5ヵ年計画の一部として、建物を対象としたエネルギー効率基準を設定した。こ

の基準では、すべての建物平均を対象として 1980 年の水準よりも 50%改善を 2020 年までに達成する。

2015

-2024 Y 2014 年 上記目標を達成するために基準を強化中。

インド 2005

-2014 N(Y) 持続可能な居住に関する国家ミッション

2015

-2024 N(Y) 上記継続。

インド

ネシア

2005

-2014 N(Y) 建物の省エネに関する SNI 規格

・建築物のエネルギー効率基準に関して SNI 規格、インドネシア国家規格が設定されている。

・建築物の外壁性能、エアコン利用における省エネルギー、照明システムにおける省エネルギー、

エネルギー監査手法に関して SNI 規格が設けられている。

2012 年 グリーンビルディング認証 (Green Building Council Indonesia:GBCI)が提供する評価システムである Greenship にて建物の省エネ、節水などの項目を評価する。Greenship には新規物件、

既存物件、屋内物件の 3 種類の評価システムがあり、Greenship において評価され、基準を満たした建物についてグリーンビルディング認証が賦与される。

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66

2015

-2024 N(Y) 上記継続。

メキシ

2005

-2014 N エネルギー効率性基準は確認されなかった。

2015

-2024 Y 2015 年 INDC GHG 排出量(2013 年時点)が 26MtCO2e であり、BAU だと 2030 年に 28MtCO2e

となる計算だが、23MtCO2e に低減する目標を立てている。(民生、業務部門)

南アフ

リカ

2005

-2014 N 2011 年 南アフリカ国家基準(SANS)204 建物およびサービスにおけるエネルギー効率の設計要

件を定めている。

2015

-2024 N(Y) 上記継続。

指標16. 建物部門でのエネルギー効率性改善を進めるための経済的支援

国 期間 政策の有無

判断の根拠となる情報

グループ I

オース

トラリ

2005

-2014 N ZEB、ZEH 購入時の経済的支援策は見当たらなかった。

2015

-2024 N(Y) 2014 年 排出削減ファンド(ERF)は排出削減に資するプロジェクトで生じる排出削減を購入す

る。ファンドは逆オークションで行われ、排出削減実施者による入札で決定する。

カナダ 2005

-2014 Y 2007-2011 年 建物を対象とした EcoENERGY 既存/新規のビルや家屋に対し、エネルギー効率化

のためのガイドラインを作成し、効率性の程度によって助成金を交付するもの。

2015

-2024 N 上記政策終了。

フラン

2005

-2014 N(Y) 2006 年, 2009 年 エネルギー効率のよい機器や建物の購入者への免税措置。

2015

-2024 N(Y) 上記継続。

ドイツ 2005

-2014 Y 2006 年 ブルーエンジェルエコラベルにより建物の断熱改善を支援。

2009 年 エコデザインに関する EU 指令(2009/125/EC)

KfW プログラムにて省エネ型建物に低金利融資(ドイツ、2009 年~)

2010 年 省エネ製品へのラベリングに関する EU 指令(2010/30/EU)

2012 年 エコデザインに関する EU 指令およびエコラベリングに関する EU 指令改正

(2012/27/EU)

2015

-2024 Y エネルギーパフォーマンスのコンサルティング料補助(ドイツ、2015 年~

イタリ

2005

-2014 Y 2008 年 ホワイト証書 2008-2012 年までの間、住宅の断熱改善に対して。

2015

-2024 Y 国の建物ストックの 25%まで拡大。最終的な政策は 2020 年以降に実施される。

日本 2005

-2014 N(Y) HEMS, BEMS の普及促進(1998 年~)エコハウス(SZEB, ZEH)への補助金(2003 年~)

2008 年 断熱性窓ガラスのラベリング

2009 年 住宅用 CHP や燃料電池の普及に向けた補助金

2010 年 エコハウスのエコポイント化事業。

2015

-2024 N(Y) 既築建築物の省エネ回収促進を目的とした税制優遇措置。省エネ性能に関する表示制度、住宅性

能表示制度や CASBEE 等利用。

英国 2005

-2014 N 2009 年 エコデザインに関する EU 指令(2009/125/EC)

2010 年 省エネ製品へのラベリングに関する EU 指令(2010/30/EU)

2012 年 エコデザインに関する EU 指令およびエコラベリングに関する EU 指令改正(2012/27/EU)

2015

-2024 Y 2013 年グリーンディール政策により既築建物の改築に対するローン支援、さらに Energy Company

Obligation (ECO)により貧困家庭での省エネを支援。上記の支援策により 2020 年までに、毎年 4.5

MtCO2削減を予定。

米国 2005

-2014 N エネルギースター既築住宅用(2002 年~)地方の農村部における建物への再生可能エネルギー設

備設置補助(2003 年~)

2006 年 新築住宅用税優遇、2006 年平均より 50%断熱性能が高い場合。

2006 年 業務用建物用税優遇(2006-2014 年)

2006 年 省エネ型住宅用建物への更新に対する補助金

2008 年 クリーンエネルギーの住宅評価(PACE)

2009 年 学校などの建物の修繕などにおいて省エネ型にすると補助金。(2009 年)

2012 年 中小企業を対象とした Industrial Assessment Centers (IACs) による評価支援。

2015

-2024 N 上記の継続

グループ II

アルゼ

ンチン

2005

-2014 N ZEB、ZEH 購入時の経済的支援策は見当たらなかった。

2015

-2024 N ZEB、ZEH 購入時の経済的支援策は見当たらなかった。

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67

ブラジ

2005

-2014 N ZEB、ZEH 購入時の経済的支援策は見当たらなかった。

2015

-2024 N 上記継続。

韓国 2005

-2014 Y 2001 年 建物エネルギー効率グレード証書システム。エネルギーパフォーマンスの段階に応じて

1から7までの証書がある。証書対象者は、グリーンホームの報告書提出が義務付けられる。

2015

-2024 Y 上記継続。

ロシア 2005

-2014 N ZEB、ZEH 購入時の経済的支援策は見当たらなかった。

2015

-2024 N ZEB、ZEH 購入時の経済的支援策は見当たらなかった。

サウジ

アラビ

2005

-2014 N 右記資料は、サウジアラビアにおける ZEH の可能性について考察を行っている。政府による支

援が無いことを障壁として挙げている為、経済的支援は無いものと推測される。

2015

-2024 N 上記継続。

トルコ 2005

-2014 N ZEB、ZEH 購入時の経済的支援策は見当たらなかった。

2015

-2024 N ZEB、ZEH 購入時の経済的支援策は見当たらなかった。

グループ III

中国 2005

-2014 N 11 次 5 ヵ年計画の中で、建物部門でのエネルギー消費量を 50%減らすことが目標。

新しい建物省エネ基準(省エネ法)(2007 年~)極寒、あるいは極暑の地域において 95%の建物が対象となる新しい基準の設定。北京と天津はさらに高水準。この基準を遵守しなかった業者には罰金が課せられる。

第 12 次 5 ヵ年計画の中で、建物の省エネ基準を設定(2011-2015 年)

2015

-2024 N 建物の省エネ基準上げ。1980 年と比べて 75%改善を要求。2020 年までには、最低限新築の 50%

はこの基準に合致した建物となる予定。 (2014 年~)

第 12次 5 ヵ年計画の中で建物エネルギー保全政策が導入(2010-2015年)グリーンビルの導入、老朽化した建物の更新

インド 2005

-2014 N ZEB、ZEH 購入時の経済的支援策は見当たらなかった。

2015

-2024 N ZEB、ZEH 購入時の経済的支援策は見当たらなかった。

インド

ネシア

2005

-2014 N ZEB、ZEH 購入時の経済的支援策は見当たらなかった。

2015

-2024 N ZEB、ZEH 購入時の経済的支援策は見当たらなかった。

メキシ

2005

-2014 N(Y) 2007 年 グリーン担保プログラム エネルギー効率の良い建物の建設・購入を促す施策であり、

全国労働者用住宅基金庁(Infonavit)が運営する。

住宅購入者に約 720USD の融資増額と、建設事業者には手続きの簡略化等の優遇措置がある。

2007 年 「Esta Es Tu Casa」プログラム低所得者が持続可能な住宅を購入、または高効率化のために改修する場合、資金援助を行う。

2015

-2024 N(Y) 上記継続。

南アフ

リカ

2005

-2014 N ZEB、ZEH 購入時の経済的支援策は見当たらなかった。

2015

-2024 N ZEB、ZEH 購入時の経済的支援策は見当たらなかった。

指標17. 家電製品を対象としたエネルギー効率基準の設定と、それを周知するためのラベル

国 期間 政策の有無

判断の根拠となる情報

グループ I

オース

トラリ

2005

-2014 Y 1986 年 エネルギーレートラベル 冷蔵庫や洗濯機などの主要家電製品について、消費者が家電

のエネルギー消費量に基づいて比較判断出来るようにする制度。

1-10 段階の星で評価を明記する。

2015

-2024 Y 上記継続。

カナダ 2005

-2014 N(Y) 1995 年 EnerGuide 機器(義務)、住宅(任意)に対して、①エネルギー需要の減少による環境

保護と地球温暖化への貢献②エネルギーに消費する金額を減らすことの 2 つを目的としてエネ

ルギー効率を表示。

2015

-2024 N(Y) 上記継続。

フラン

2005

-2014 N(Y) 2005 年, 2009 年 エネルギー効率のよい機器の購入に免税。

2009 年 グルネル第 1 法高効率ボイラー、ヒートポンプ、断熱材、クリーンエネルギー生産設備

など省エネ関連器具の購入支援として、12 年 12 月末までの期限付きで所得税控除を認めている。

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68

2010 年 エネルギーラベル指令 2010/30/EU

家電製品: 食洗機、冷蔵庫、掃除機、洗濯機、洗濯乾燥機、タンブラー乾燥機、テレビ、蛍光灯、電気オーブン等に、製品のエネルギー効率を示すラベルの貼付を義務付け

建物: 断熱性能、暖房/冷房システムの効率、建物エネルギー等級を示すラベルの貼付を義務

付け

自動車: 燃費及び CO2 排出についての情報を示すラベルの貼付を義務付け

2015

-2024 Y 上記継続。EU 指令の改訂。

ドイツ 2005

-2014 N(Y) 2009 年 EU エコデザイン指令(2009/125/EC)により、家電製品のスタンドバイモードに関する

規制、エネルギー関連製品のエコデザイン、省エネ型ランプへの付け替え、冷蔵庫、テレビ、皿洗い機、洗濯機、などへの基準値が設定された。

2009 年 ドイツの中で「スマートに買おう」キャンペーン。

2010 年省エネ製品へのラベリングに関する EU 指令(2010/30/EU)

2012 年 EU エコデザイン指令、エコラベル指令(2012/27/EU)改正、省エネ政策が統一された。

2015

-2024 Y EU 指令の改訂

イタリ

2005

-2014 N(Y) 2008 年エネルギーを利用する製品に対するエネルギー効率基準に関する指令 201/07/

2010 年 エネルギーラベル指令 2010/30/EU

・家電製品: 食洗機、冷蔵庫、掃除機、洗濯機、洗濯乾燥機、タンブラー乾燥機、テレビ、蛍光灯、電気オーブン等に、製品のエネルギー効率を示すラベルの貼付を義務付け

・建物: 断熱性能、暖房/冷房システムの効率、建物エネルギー等級を示すラベルの貼付を義務付け

・自動車: 燃費及び CO2 排出についての情報を示すラベルの貼付を義務付け

2015

-2024 Y 上記継続。EU 指令の改訂。

日本 2005

-2014 Y 2009 年 家電製品へのエコポイント付与。

トップランナーアプローチの目標として 2030 年までに 2006 年比で家電の省エネ度を30%改善。エコポイントはこの目標に合致する製品を対象とした。

2015

-2024 Y 2013-2015 年 家電製品に関するトップランナーアプローチ対象範囲拡大。LED 等の高効率照明

が 2020 年までにフローで 100%、2030 年までにストックで 100%を目指す。

英国 2005

-2014 N(Y) 2009 年 EU エコデザイン指令(2009/125/EC)のほか、英国として、電力業界と政府との自主的

取り決めにより、2012 年までに毎年組み 5 百万 t CO2 を省エネにより削減することを目指して

LED 等への交換を促進。

2010 年省エネ製品へのラベリングに関する EU 指令(2010/30/EU)

2012 年 EU エコデザイン指令、エコラベル指令(2012/27/EU)が改正され、省エネ政策が統一

された。

2015

-2024 Y EU 指令の実施

米国 2005

-2014 N エネルギー効率基準設定(1987 年~)、エネルギースターラベリング(1992 年~)

2007年 照明を対象としたエネルギー効率基準設定

2015

-2024 N 上記継続。

グループ II

アルゼ

ンチン

2005

-2014 Y 2010 年 合理的かつ効率的なエネルギー使用に関する国家プログラム (PRONUREE) このプロ

グラムは、教育、ラベリング、エネルギー効率規制、CDM 活用、なども支援している。

2010 年 法律 26.473。住宅用白熱電球の輸入と商業化の禁止

2015

-2024 Y 上記継続

ブラジ

2005

-2014 Y 1985 年 ブラジルラベルプログラム (PBE) 機器に対する任意ラベリング制度を促進

2001 年 エネルギー効率法 (Law 10,295)

・電化製品のエネルギー効率の最低基準を設定

・対象品目(義務的基準):天井型扇風機、冷凍庫、冷蔵庫、冷凍冷蔵庫、セントラルエアコン

(分離型)、ルームエアコン(窓型)、ガス調理器、三相モーター、ガス温水器、CFL(電球型蛍光灯)

・対象品目(任意基準):白熱灯、衣類洗濯機、太陽熱温水器、ガス炉、テレビ、シャワーヘッ

ド、電動式蛇口

2015

-2024 Y 上記継続。

韓国 2005

-2014 Y 2009 年 エネルギー効率ラベリング・基準プログラムによる最低限エネルギーパフォーマンス基

準:すべての電化製品(冷蔵庫、エアコン、洗濯機、照明器具を含む)は、5 段階評価のエネル

ギー効率指標及び、CO2排出量を表示することが義務化された。2010 年からは、年間エネルギー消費価格もラベルに表示することにが義務付けられている。

2015

-2024 Y 上記継続。

ロシア 2005

-2014 Y 2009 年 指令 N1222 特定の商品群に対して、エネルギー効率に関し EU で行われている階級制

度を参考にして設け、ラベルによる表示を義務図けている。

2015

-2024 Y 上記継続。

サウジ 2005 Y 2007 年 サウジ基準 SASO 2663/2007、Saudi standard SASO 2663/2012

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69

アラビ

-2014 2007 年に、サウジアラビアの標準規格 SASO 2663/2007 により、エアコンの最小エネルギー性能

基準(MEPS)を、タイプまたは容量に関係なく 7.5 と定めた。2012 年には、基準を 8.5 への上方修正を行い、新基準の適応は 2013 年 7 月以降に段階的に行われ、基準に満たない商品の輸入、販売、現地での製造が禁止となった。

2015

-2024 Y 上記継続。

トルコ 2005

-2014 Y 2010 年 エネルギーラベリング指令 2010/30/EU

・家電製品: 食洗機、冷蔵庫、掃除機、洗濯機、洗濯乾燥機、タンブラー乾燥機、テレビ、蛍光灯、電気オーブン等に、製品のエネルギー効率を示すラベルの貼付を義務付け

・建物: 断熱性能、暖房/冷房システムの効率、建物エネルギー等級を示すラベルの貼付を義務付け

・自動車: 燃費及び CO2 排出についての情報を示すラベルの貼付を義務付け

2015

-2024 Y 上記継続。

グループ III

中国 2005

-2014 N 2005 年 省エネ製品へのラベリング

2008 年 省エネ法

2009 年 省エネ型家電製品への補助金。企業による高効率電球利用に関しては、定価の 30%の値段で買える。

2015

-2024 N 2012年 国家政府は、省エネ家電に対して補助金を付与し始めた。

インド 2005

-2014 N(Y) 2006 年 基準・ラベリングプログラム エネルギー効率のよい製品を製造するための基礎づくり

2007 年 業務用ビルの省エネルギー基準 (ECBC) 電力需要 100kW 以上または契約電力 120kVA

以上の新築業務用ビルに対して、最低エネルギー基準を設定。州政府は、地方・地域の実情に合

わせて基準を修正することが可能

2009 年 業務用のスターレーティング (BEE )

・業務用ビルの省エネルギー基準 Energy Conservation Building Code (ECBC)の普及を促進するた

め、BEE はオフィスビル星等級評価スキームの実施を開始。

・評価制度は、電力負荷 100kW 以上のオフィスビルが対象で、建物の Energy Performance

Index(EPI)、単位面積あたり年間電力消費量に基づいて、1~5 つ星で等級付けられ、星の数が多

いほど、省エネ性能がよいという仕組みとなっている。評価結果に応じて、ラベルの表示が許可され、ラベルの有効期間は 5 年である。

2015

-2024 N(Y) 上記継続。

インド

ネシア

2005

-2014 N(Y) 2011 年 省エネラベリング制度・最低エネルギー性能基準(MEPS)

2011 年 10 月より蛍光灯電球に対する省エネラベリングが開始された。ワット当たりの照度を 4

段階で表示するもの。2014 年にエアコンに関してもラベリング制度が導入された。今後、冷蔵庫、テレビ等にも順次拡大されていく見込み。

・機器のエネルギー効率基準においては、蛍光灯電球及びエアコンの最低エネルギー性能基準(MEPS)が導入されている。今後、冷蔵庫、扇風機、電子安定器、電気モーター、LED 電球、洗濯機、井戸水のくみ上げポンプ、アイロン、テレビ等に拡大されていく予定。

2015

-2024 N(Y) 上記継続。

メキシ

2005

-2014 N(Y) 1993 年 FIDE Label 比較水準や推奨製品の情報提供のため、家電、商業用冷蔵庫、再生可能エ

ネルギー設備等を対象としてつくられた任意のラベリングプログラム

1995 年メキシコ公式規格におけるエネルギー効率基準

・製品・システムのエネルギー消費を抑制するため、メキシコ公式規格(NOM)の一部として、エネルギー効率基準(NOM-ENER)を策定

・基準をクリアした製品には、ラベルを貼付

・国内で製造された製品だけでなく、輸入品も対象

・ポンプ、エアコン等、30 種以上の製品に対する NOM-ENER が存在

2015

-2024 N(Y) 上記継続。

南アフ

リカ

2005

-2014 N(Y) 2005 年 家電ラベリング規制、基準。住宅用家電製品が対象。

2015

-2024 N(Y) 上記継続。

指標18. 燃費のよい車への経済的支援(免税措置等)

国 期間 政策の

有無 判断の根拠となる情報

グループ I

オース

トラリ

2005

-2014 N 経済的支援は確認されなかった。

2015

-2024 Y 2015 年 CEFC を通した資金提供。低燃費車を購入する国内消費者へのインセンティブとして、

オーストラリア政府は CEFC(Clean Energy Finance Corporation:クリーンエネルギー金融公社)を通して 5000 万豪ドルの資金提供プログラムを実施する

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70

カナダ 2005

-2014 N 経済的支援は確認されなかった。

2015

-2024 N

経済的支援は確認されなかった。

フラン

2005

-2014 Y 2008 年「ボニュス・マリュス(Bonus-malus)」制度

2008 年 1 月より導入された制度で、CO2排出量が少ない車両にはボーナス(補助金)が支給され、逆に高い車両には課税される。以降制度は更新されている。

2015

-2024 Y 上記継続。

ドイツ 2005

-2014 Y 2007~2009 年 EURO5,6 を満たす車に対して総額 220 百万ユーロを補助金として用意。

車両登録税は、CO2排出量に応じて課税。

2009年~ EURO5,6を満たすトラックに対して1台ごとに 2,500~6,050ユーロの補助金。燃費のよい車

にはラベルが用いられている。12 トン以上の大型車両に対して課税

2015

-2024 Y 上記継続。

イタリ

2005

-2014 N(Y) 新規の自動車に燃費規制

2015

-2024 N(Y) 2015 年以降 120gCO2/km 、2020 年までに 95gCO2/km

日本 2005

-2014 Y 2009 年以降の低燃費車に対するエコカー減税や、2012 年のエコカー補助金 (スクラップインセン

ティブ)によって優遇している。

2015

-2024 Y 減税対象となる車両の燃費基準を向上させることにより、更なる燃費改善を促している。エコカ

ー補助金は終了。

英国 2005

-2014 N CO2排出量に応じた税率の設定を行っている。

2001 年以降、車両税(VED)の税率に燃料タイプや二酸化炭素排出量が考慮されている。

車の燃費効率に応じたラベル制度

2015

-2024 N 上記の継続

米国 2005

-2014 N 経済的支援は確認されなかった。

2015

-2024 N 経済的支援は確認されなかった。

グループ II

アルゼ

ンチン

2005

-2014 N 経済的支援は確認されなかった。

2015

-2024 N 経済的支援は確認されなかった。

ブラジ

2005

-2014 N 経済的支援は確認されなかった。

2015

-2024 N 経済的支援は確認されなかった。

韓国 2005

-2014 Y 2009 年 低炭素緑の成長基本法 消費税、車両登録費用、付加価値税等の免税により、ハイブリ

ッドカーの購入で合計 300 万ウォン(約 30 万円)以上の免税がなされた。

2015

-2024 Y 上記継続。

ロシア 2005

-2014 N 経済的支援は確認されなかった。

2015

-2024 N 経済的支援は確認されなかった。

サウジ

アラビ

2005

-2014 N 中東諸国の政治・経済的同盟である湾岸協力会議(GCC)に参加するサウジアラビア、クウェー

ト、アラブ首長国連邦、カタール、バーレーン、オマーンの 6 か国では、ハイブリット車に対する税制での優遇や補助金といった促進政策は行っていない。

2015

-2024 N 上記継続。

トルコ 2005

-2014 N 経済的支援は確認されなかった。

2015

-2024 N 経済的支援は確認されなかった。

グループ III

中国 2005

-2014 N (Y) エンジンサイズごとの税率。2005 年以降燃費基準が導入された。燃費を 2005 年比で 2012 年まで

に 20%改善を目指した。

2015

-2024 N(Y) 上記の継続

インド 2005

-2014 N(Y) インドでは、課税は、車両価格とエンジンサイズの両方に比例するため、自動車の CO2排出量と

正確には関係しない。属性ベースの政策から CO2へ移行し、購入価格のパーセンテージベースの課税から絶対値の課税に移行することは、低 CO2排出のインセンティブとして働く。

CENTRAL EXCISE DUTY

ハイブリッド車(12.5%)と電気自動車(6%)は、従来技術の自動車(30%)と比較して中央消費税率が低い。(2015-2016 年)

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71

2015

-2024 N(Y) 上記継続。

インド

ネシア

2005

-2014 N(Y) 2013 年 低コストグリーンカー (LCGC) プログラムにおいて、部品の国内調達率が 80%以上の

自動車(排気量 1,200cc 以下のガソリン車及び排気量 1,500cc 以下のディーゼル車が対象)で燃費が 20km/L 以上のものは、購入時の奢侈販売税が 10%減税される。

2015

-2024 N(Y) 上記継続。

メキシ

2005

-2014 N 2013年NOM-163-SEMARNAT-ENER-SCFI-2013として自動車燃費基準を導入。3,857kg以上の2014

~2016 年に販売された旅客車両に対し、平均 14.6 km/L の燃費基準を義務付けた

2015

-2024 N

南アフ

リカ

2005

-2014 N 2008 年 燃費基準、CO2排出量検査、ラベリング、により、新規購入者の意識を高める。

2015

-2024 N 上記継続。

指標19. 燃費効率の悪い車の規制

国 期間 政策の

有無 判断の根拠となる情報

グループ I

オース

トラリ

2005

-2014 N 規制は確認されなかった。

2015

-2024 N 規制は確認されなかった。

カナダ 2005

-2014 N(Y) 2011 年 小・中型車 GHG 規制により新規購入の自家用車の燃費は定期的に厳しくなっている。

2011-2016 年に販売される自動車が対象。

2015

-2024 Y 2014 年に上記規制が強化され 2017-2025 モデルを対象とする。

フラン

2005

-2014 Y 2008 年 「ボニュス・マリュス(Bonus-malus)」制度 2008 年 1 月より導入された制度で、

CO2排出量が少ない車両にはボーナス(補助金)が支給され、逆に高い車両には課税される。

2015

-2024 Y 政府は、2040 年以降のガソリン車及びディーゼル車の販売を禁止する方針であることを発表し

た。今後の実施時期は未定。

ドイツ 2005

-2014 Y 2004 年ラベルによる燃費の違いを明示化(Pkw-EnVKV)。

2005 年業務用貨物車両に関しては燃費ごとに有料道路料金を差異化。旧車両を廃棄し車両購入する時のスクラップインセンティブを実施(2500€)。車両登録税は炭素排出量ごとに差異化。

2011 年ラベル制度改正、エネルギー効率をより厳しく。

2015

-2024 Y スクラップインセンティブは終了。

イタリ

2005

-2014 Y 2009 年 自動車税 排ガス基準による課税を行っている。

2015

-2024 Y 上記継続。

日本 2005

-2014 Y 2012 年スクラップインセンティブ。トップランナーアプローチにて、一定基準亜量の販売は禁止

されている。ラベル制度もある。車検制度により、古い燃費の悪い車に対して廃車のインセンティブ効果がある。

2015

-2024 Y 燃費効率のよい車に対してより多くの減税が進み、燃費の悪い車はより不利になっている。スク

ラップインセンティブは終了したが、代わりに 2014 年以降、11 年以上使用した車に対してより多くの車両税が課税されるようになった。

2012 年 炭素税がガソリンに対してもかかり、2016 年以降は 760 円/L となっている。

英国 2005

-2014 Y 2001 年 燃費や CO2排出量ごとにラベルが違い、税率が違ってくる。車ディーラーの9割は、自

主的にラベルを活用して車を売っている。

2009 年 上記ラベルを踏まえ、低炭素車パートナーシップを企業と政府で設立。中古車市場でもラベルが任意で用いられている。

車両登録税は炭素排出量ごとに差異化。

2015

-2024 Y 上記継続

米国 2005

-2014 N ガス排出車税(Gas Guzzler Tax)は 1978 年以降導入されているが、よほど燃費の悪い車のみ対象。

2006 年以降、燃費ごとに異なるラベルを貼り、燃費効率の悪い車の排除を目的としている。

2015

-2024 N 2013 年以降、新しいラベルに切り替え。

グループ II

アルゼ

ンチン

2005

-2014 N 規制は確認されなかった。

2015

-2024 N 規制は確認されなかった。

ブラジ

2005

-2014 N 1984 年 ブラジルラベルプログラム (PBE)

2015 N 上記継続。

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72

-2024

韓国 2005

-2014 N 規制は確認されなかった。

2015

-2024 N 規制は確認されなかった。

ロシア 2005

-2014 N 規制は確認されなかった。

2015

-2024 N 規制は確認されなかった。

サウジ

アラビ

2005

-2014 N 規制は確認されなかった。

2015

-2024 N 規制は確認されなかった。

トルコ 2005

-2014 N 2011年 国家気候変動アクションプラン 2011-2023車のCO2排出量に対しての規制は行っている

が、燃費の悪い車に対しての規制は行っていない

2015

-2024 N 上記継続。

グループ III

中国 2005

-2014 N (Y) エンジンサイズごとの税率

2015

-2024 N(Y) 上記の継続

インド 2005

-2014 N(Y) 2000 年排ガス規制(BS3(Bharat Stage 3 等)インドでは、段階的に排出ガス規制導入が実施され

ている。

2015

-2024 N(Y) 2016 年インフラ税

都市部の大気汚染と渋滞の緩和のため、自動車販売に対し以下のインフラ税が課税される。

・車種:ガソリン車、LPG 車、 CNG 車(全長 4m 未満、排気量 1,200cc 未満)→インフラ税:1%

・車種:ディーゼル車(全長 4m 未満、排気量 1,500cc 未満)→インフラ税:2.5%

・車種:大型の車 (上記以の排気量)と SUV→インフラ税:4%

インド

ネシア

2005

-2014 N 規制は確認されなかった。

2015

-2024 N 現状は化石燃料社に対する燃費規制はないが、2017 年 8 月にエネルギー鉱物資源大臣とステーク

ホルダーの間で 2040 年までに化石燃料車の新規販売を禁止することが合意されている。

メキシ

2005

-2014 N(Y) 2013 年 車両燃費基準 NOM-163-SEMARNAT-ENER-SCFI-2013 として自動車燃費基準を導入。

3,857kg 以上の 2014~2016 年に販売された旅客車両に対し、 平均 14.6 km/L の燃費基準を義務付けた

2015

-2024 Y 上記継続。

南アフ

リカ

2005

-2014 Y 2010 年 CO2排出税新車販売される自動車の CO2排出量が 120g/km を超える場合、超過分につい

て 1g/km 当り 75 ランド課税される。

2015

-2024 Y 上記継続。

指標20. 航空機および船舶(国際バンカー油対策)

国 期間 政策の

有無 判断の根拠となる情報

グループ I

オース

トラリ

2005

-2014 Y 2000 年 Marine Notice 5/2017 マルポール条約付属書Ⅵに従い、船舶の排気ガス(硫黄酸化物・窒

素酸化物)を減少させる。硫黄酸化物については 2020 年 1 月 1 日より規制が始まる。(船舶の燃料における最大硫黄含有量を 0.5% / m3まで減少させる等。)窒素酸化物についての規制は 3 段階

に分けて、それぞれ 2000 年、2011 年、2016 年から有効となる。

2015

-2024 Y 上記継続。

カナダ 2005

-2014 N(Y) 2012 年 航空機燃料起源の GHG 削減のための行動計画。自主的取り組みとして、2005 年以降、

2020 年まで、毎年 2%ずつ燃費効率を改善していく。.

2015

-2024 N(Y) TBD 航空機対象とした CO2排出基準設定。ICAO での議論に参加し、その結果は同国に受け入

れる方針。.

フラン

2005

-2014 Y EU ETS のフェーズ II: 2012 年に航空機に対してもキャップが掛けられた。2004-2006 年の排出量

の 3%削減という水準になった。

2015

-2024 Y EU-ETS にて取り組み継続中。

ドイツ 2005

-2014 Y EU ETS のフェーズ II: 2012 年に航空機に対してもキャップが掛けられた。2004-2006 年の排出量

の 3%削減という水準になった。

2015

-2024 Y EU-ETS にて取り組み継続中。

イタリ 2005 Y EU ETS のフェーズ II: 2012 年に航空機に対してもキャップが掛けられた。2004-2006 年の排出量

Page 73: limate change mitigation Policy Progression …...2018/05/30  · 1 環境研究総合推進費2-1501 「気候変動対策の進捗評価を目的とした指標開発に関する研究」

73

ア -2014 の 3%削減という水準になった。

2015

-2024 Y EU-ETS にて取り組み継続中。

日本 2005

-2014 Y 2005 年京都議定書の下、実行計画として航空機&船舶の燃料からの排出量を 2010 年までに 1995

年の 15%改善を目指し、実際に 16%改善を達成。

2015

-2024 Y IMO の決定を支持。

英国 2005

-2014 Y EU ETS のフェーズ II: 2012 年に航空機に対してもキャップが掛けられた。2004-2006 年の排出量

の 3%削減という水準になった。

2015

-2024 Y EU-ETS にて取り組み継続中。

米国 2005

-2014 N 国際バンカー油に対する対策は特に確認されなかった。

2015

-2024 N(Y) 2020 年までに世界の航空機燃料起源の排出量を安定化させるという ICAO の目標を支持してい

る。

グループ II

アルゼ

ンチン

2005

-2014 N 国際バンカー油に対する対策は特に確認されなかった。

2015

-2024 N 国際バンカー油に対する対策は特に確認されなかった。

ブラジ

2005

-2014 Y 2013 年 ブラジルにおける航空機用バイオ燃料活用行動計画。民間企業からも、航空部門でのバ

イオ燃料使用に関する行動計画等が発表されている ・海運については見つからず

2015

-2024 Y 2015 年ブラジル民間航空機からの GHG 排出量削減のための行動計画

・ブラジルに航空部門の削減目標や燃費効率の目標はないが、「航空部門における 2050 年まで毎

年 2%ずつ向上するような目標」についての記載はある

・計画としてオペレーション効率の向上、航空交通の改善、テクノロジー開発、航空部門でのバイオ燃料の使用、及び空港の改善が挙げられている

韓国 2005

-2014 N ICAO が 2017 年 3 月に新規に製造される航空機に関し、CO2排出基準を策定、船舶では IMO が

同様の CO2排出基準を設けているが、国単位での規制はない。

2015

-2024 N 上記継続。

ロシア 2005

-2014 N ICAO が 2017 年 3 月に新規に製造される航空機に関し、C02排出基準を策定、船舶では IMO が同

様の CO2 排出基準を設けているが、国単位での規制はない。。

2015

-2024 N

サウジ

アラビ

2005

-2014 N ICAO が 2017 年 3 月に新規に製造される航空機に関し、C02排出基準を策定、船舶では IMO が同

様の CO2排出基準を設けているが、国単位での規制はない。

2015

-2024 N 上記継続。

トルコ 2005

-2014 N 船の利用促進は行っているが、燃費に対する規制は行っていない

2015

-2024 N 上記継続。

グループ III

中国 2005

-2014 N 国際バンカー油に対する対策は特に確認されなかった。

2015

-2024 N 国際バンカー油に対する対策は特に確認されなかった。

インド 2005

-2014 N 国際バンカー油に対する対策は特に確認されなかった。

2015

-2024 N

国際バンカー油に対する対策は特に確認されなかった。

インド

ネシア

2005

-2014 N 国際バンカー油に対する対策は特に確認されなかった。

2015

-2024 N

国際バンカー油に対する対策は特に確認されなかった。

メキシ

2005

-2014 N 国際バンカー油に対する対策は特に確認されなかった。

2015

-2024 N 国際バンカー油に対する対策は特に確認されなかった。

南アフ

リカ

2005

-2014 N 国際バンカー油に対する対策は特に確認されなかった。

2015

-2024 N 国際バンカー油に対する対策は特に確認されなかった。

Page 74: limate change mitigation Policy Progression …...2018/05/30  · 1 環境研究総合推進費2-1501 「気候変動対策の進捗評価を目的とした指標開発に関する研究」

74

指標21. エネルギー消費量に関する削減目標の設定

国 期間 政策の有無

判断の根拠となる情報

グループ I

オース

トラリ

2005

-2014 N エネルギー生産量の目標(エネルギー生産性(エネルギーGDP 原単位:エネルギー生産量に対す

るエネルギー消費量の割合)を 2015 年から 2030 年までに 40%改善)はあるが、エネルギー消

費量の削減目標はない。

2015

-2024 N 上記継続。

カナダ 2005

-2014 N(Y) オンタリオ州保全第一枠組み GHG 排出量目標達成のため、電力・天然ガス需要を減らしていく。

2015

-2024 N(Y) 上記継続。

フラン

2005

-2014 Y 2005 年 エネルギー政策指針法 2050 年までに温室効果ガスを 75%削減する目標のために、最終

エネルギー消費の原単位を 2015 年には毎年 2%削減、2030 年には毎年 2.5%削減のペースでエネルギー需要抑制を行う。

2012 年 エネルギー効率指令(EU) 2020 年時点で、13,140 万 toe を目標としている。

2015

-2024 Y 2015 年 緑の成長のためのエネルギー移行法 2030 年までに 1990 年比 GHG 排出量 40%減を目指

す。(産業・民生合わせて)

ドイツ 2005

-2014 Y 2006 年 EC コミュニケーション COM(2006)545 final により、2020 年までに、2007-2012 年より

20%エネルギー消費量削減を目指した。

2015

-2024 Y 上記継続。

イタリ

2005

-2014 Y 2005 年ホワイト証書 電気、天然ガスの供給事業者に対して、消費者の年間エネルギー消費量を

削減する義務が課せられ目標の達成度合いに応じて、エネルギー市場管理公社(GME)から供給事業者に「ホワイト証書」が発行される。

2014 年 第 3 次国家エネルギー効率行動計画(NEEAP:National Energy Efficiency Action Plan)

他の部門と合わせて 2020 年時点で 15.5 Mtoe(石油換算百万トン)の最終エネルギー消費の削減目標を設定。削減量はイタリアの 2013 年の最終エネルギー消費実績(121.2Mtoe)の約 13%の水

準。

2015

-2024 上記継続。

日本 2005

-2014 N エネルギー消費量に関する目標はない。

2015

-2024 N(Y) 2015 年長期エネルギー需給見通しでは、2030 年までに 2013 年比で 10%ほどのエネルギー需要低

下を想定している。この想定自体は厳しい水準と認識されてはいるが、その大半は省エネ(ゴー

ル2)での達成が想定されており、2050 年長期目標達成のためにはより多くの削減が求められる。

英国 2005

-2014 Y 2006年ECコミュニケーションCOM(2006)545 final により、2020年までに 2007-2012年より 20%

エネルギー消費量削減を目指した。

2011 年 炭素排出量削減目標(CERT)は、ガス、電力、交通部門の業界を対象として目標をたてている。電力とガスは 2005 年までにその供給量を 62TWh 削減が求められた。

第2約束期間 (2005–2008 年)に、目標は 130TWh まで上げられた。第3約束期間(2008-2011 年)

では 154 MtC(エネルギー消費削減から炭素排出削減に変更). 2010年、2012年目標として 293 MtC

削減が求められた。

2015

-2024 Y 2013 年、2020 年時点でのエネルギー消費量の目標として、2007 年時点で想定された 2020 年の

BAU ケースと比べて 18%低い値を目標としている。

米国 2005

-2014 N エネルギー消費量に関する目標はない。

2015

-2024 N エネルギー消費量に関する目標はない。

グループ II

アルゼ

ンチン

2005

-2014 N エネルギー消費量に関する目標はない。

2015

-2024 N エネルギー消費量に関する目標はない。

ブラジ

2005

-2014 N(Y) 2007年 国家エネルギー計画 2030 (PNE) 2030年までに、エネルギー需要の 9%、電力需要の 10%、

運輸部門の需要の 12%に相当する省エネが必要。優先度の高い省エネプロジェクトを、MME 主導で遂行。

2008 年 気候変動国家計画 (PNMC) 2030 年までに、電力消費量を 10% (106TWh)削減

・年間 10 万台の冷凍・冷蔵庫を、エネルギー効率の高い製品に更新

・配電において、年間 1TWh 分の非技術的ロスを削減

2011 年 国家エネルギー効率計画 (PNEf))2030 年までに、電力消費量を BAU(1,028TWh)から

107TWh 削減・産業部門・運輸部門・業務部門(建築物)における省エネプログラム、削減ポテンシャル、行動計画を提示

2015

-2024 N(Y) 上記継続。

韓国 2005

-2014 N(Y) 2008 年 第2次エネルギーマスタープラン 5 年ごとに見直されるエネルギーマスタープランに

よると、2035 年までに国全体で BAU 比 13.3%削減を目標とし、その内、6.3%を産業から削減す

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75

るとしている。これは全体の削減目標である 13.3%のほぼ半分(47%)にあたる。

2015

-2024 N(Y) 上記継続。

ロシア 2005

-2014 N 2013 年ロシア大統領による 2013 年 9 月 30 日の大統領令、及び 2014 年 4 月 2 日の法令 No. 504-p

ロシア連邦は 2020 年までに GHG 排出量を最大で 1990 年値の 75%に制限する法令を制定。経済全体および特定産業別での GHG 排出予測等を行っている。エネルギー消費量目標ではない。

2015

-2024 N 上記継続。

サウジ

アラビ

2005

-2014 N 2008 年 国家エネルギー効率プログラムでは、 エネルギー監査サービス、業界の支援、石油と

ガスの効率的な使用、家電製品のエネルギー効率ラベル及び規格、建築基準と技術管理及び訓練の 8 つの目標を掲げ、2005 年~2030 年に電力消費を(BAU 比?)30%削減するとしている。

2015

-2024 N 上記継続。

トルコ 2005

-2014 N エネルギー原単位の目標はある(2023 年時点で、 GDP 当たりのエネルギー原単位を 2011 年比

20%削減)が、エネルギー消費量の削減目標はない。

2015

-2024 N 上記継続。

グループ III

中国 2005

-2014 N 2010 年 電力最終消費者は電力需要とピーク時の瞬間需要をそれぞれ 0.3%削減するよう要請さ

れた。

2015

-2024 N 上記継続。

インド 2005

-2014 Y 2012 年 パフォーム、達成&取引 (PAT) エネルギー多消費セクターに属する事業者のうち、年

間エネルギー消費量が一定以上である事業者を指定エネルギー消費者が対象。

・生産量あたりのエネルギー消費量を指標として削減目標を設定し、削減を義務付け

・第 1 期は、省エネ法に定められた指定エネルギー消費者のうち、産業部門の 8 業種(火力発電、鉄鋼、セメント、アルミニウム、肥料、紙パルプ、繊維、塩素アルカリ(ソーダ)) にわたる478 事業者が対象。対象事業者の排出量 164.97 Mtoe に対して、6.686Mtoe の削減目標が課された

が、8.67Mtoe の削減(31Mt-CO2の削減)を実現。

2015

-2024 Y ・第 2 期は、製油所、州配電公社(Discom)、鉄道の 3 業種を加えた 11 業種に拡大し、事業者数

も 621 に増加

・第 2 期末時点(2019 年 3 月時点)で、2014-15 年比 8.869 Mtoe の削減目標を設定 インド

ネシア

2005

-2014 N 国家エネルギー計画(通称 RUEN)国家エネルギー計画において、2025 年におけるエネルギー需

要を BAU に比べて 33.6%削減を掲げている。(BAU 602 Mtoe、目標 400 Mtoe)

2011 年 国家省エネルギーマスタープラン(通称 RIKEN)草案※にて、2011 年のエネルギー消費量 737 百万 BOE に対し、2025 年に 127 百万 BOE(17%)削減を目標としている。

2015

-2024 N ※2005 年に発表された RIKEN の改訂版。改訂版の草案は 2011 年に作成されているが、2015 年

時点で承認を待っている状態である。

メキシ

2005

-2014 N エネルギー原単位の目標はある(2018 年目標で 2012 年と同程度)が、エネルギー消費量の削減

目標はない。

2015

-2024 N 上記継続。

南アフ

リカ

2005

-2014 N エネルギー消費量に関する目標はない。

2015

-2024 N エネルギー消費量に関する目標はない。

指標22. CHP や工業団地等による廃熱利用

国 期間 政策の

有無 判断の根拠となる情報

グループ I

オース

トラリ

2005

-2014 N 民間レベルでの取り組みや、廃熱利用を支援する機関は存在するが、政策は存在しない。

ニューサウスウェールズ州において、大学と提携した廃熱に関するケーススタディやプロジェクトを実施している。

2015

-2024 N 上記継続。

カナダ 2005

-2014 N 廃熱利用促進に関する政策は確認されなかった。

2015

-2024 N 廃熱利用促進に関する政策は確認されなかった。

フラン

2005

-2014 N(Y) 熱ファンド: 再生可能エネルギーからの熱供給を支援している。

2015

-2024 N(Y) 上記継続。

ドイツ 2005

-2014 N(Y) 2008 年 環境省により、50kW 以下の小規模 CHP 促進に向けた支援を実施。投資の促進。

2009 年 暖房費用指令(省エネ法の下)にて、廃熱利用を利用料に反映させた。

2012 年 産業界と政府との間で CHP 協定締結。

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76

2015

-2024 N(Y) 上記の継続

イタリ

2005

-2014 N(Y) 2011 政令(Decree 28/11)各地方自治体は、熱供給システムを含む省エネ計画を導入し、熱供給

システムのための保証基金を創設

2015

-2024 N(Y) 上記継続。

日本 2005

-2014 N 一部の地域で事業化されているが、広く普及してはいない。

2015

-2024 N 上記継続。

英国 2005

-2014 N 2010 年の目標として、CHP 利用量を 10000MW 相当量まで増やす。1990 年比で 2 倍に増加し、

電力供給量比 7%まで上昇。

2015

-2024 N 2014 年予算でオンサイト CHP 由来のエネルギーを免税。エネルギー買取優先順位を占める。

米国 2005

-2014 N (Y) 2008 年 CHP テクニカル支援パートナーシップ(CHP TAPs)にて、地域的な廃熱利用を支援して

いる。

2015

-2024 N(Y) 上記継続。

グループ II

アルゼ

ンチン

2005

-2014 N 廃熱利用促進に関する政策は確認されなかった。

2015

-2024 N 廃熱利用促進に関する政策は確認されなかった。

ブラジ

2005

-2014 N ・ブラジルは電源の多様化を指向しているが、CHP 等の排熱利用についての目標は低い

・CHP:2010 年に電源種の 3.5%→2020 年に電源種の 3.8%

2015

-2024 N 上記継続。

韓国 2005

-2014 N(Y) 1991 年 統合エネルギー供給法 知識経済省(MKE)及び地方自治体から「統合エネルギー供給

地域」に指定された地域は、都市計画を設計するにあたり、熱供給ネットワーク 計画を盛り込

まなければならない。地域内のすべての建物とアパートは、DHC ネットワークまたは地域のエネルギーシステムのどちらかに接続されることになる。財政的インセンティブは伴わないが、熱・エネルギーのキャプティブ市場をもたらす。

2015

-2024 N(Y) 上記継続。

ロシア 2005

-2014 N 廃熱利用促進に関する政策は確認されなかった。

2015

-2024 N 廃熱利用促進に関する政策は確認されなかった。

サウジ

アラビ

2005

-2014 N 廃熱利用促進に関する政策は確認されなかった。

2015

-2024 N 廃熱利用促進に関する政策は確認されなかった。

トルコ 2005

-2014 N 廃熱利用促進に関する政策は確認されなかった。

2015

-2024 N 廃熱利用促進に関する政策は確認されなかった。

グループ III

中国 2005

-2014 N (Y) 2006 年 11 次 5 ヵ年計画では、寒冷地域で夏のエアコンが必要しない地域を中心に地域暖房を

導入。熱源を電力とガスにし、石炭ボイラーを停止。目標値は、すでに導入が進んでいる都市部の CHP 割合を 2002 年時点の 27%から 2010 年の 40%とすること。40GW 導入により、35 百万トンの石炭を燃やさずに済む。

2015

-2024 N(Y) 2014 年 気候変動行動計画に記載。12 次 5 ヵ年計画では工業地帯での対策に言及。

インド 2005

-2014 N エネルギーピーク時需要の逓減を目指す。エネルギーの効率的利用のためにサプライチエーンを

考慮する。

2015

-2024 N 上記継続。

インド

ネシア

2005

-2014 N JCM 等のスキームを活用したプロジェクト単位での廃熱利用の取り組みはあるが、地域レベル

の廃熱利用の普及促進策は見当たらない。

2015

-2024 N 上記継続。

メキシ

2005

-2014 N 廃熱利用促進に関する政策は確認されなかった。

2015

-2024 Y 2016 年 電力産業法 2016 年から 2030 年までにクリーンエネルギーに対して総額 73.1Billion$の

投資を決めており、その 25%を CHP にあてる方針である

2017 年 メキシコエネルギー改革 CHP の導入を促進させる。

南アフ

リカ

2005

-2014 N 2013 年 民間部門エネルギー効率プロジェクト企業間の協力によりエネルギーの効率的な利用を

進める。

2015 N 上記継続。

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77

-2024

指標23. 製造過程から廃棄までのライフサイクルにおけるエネルギー利用の最小化

国 期間 政策の有無

判断の根拠となる情報

グループ I

オース

トラリ

2005

-2014 N 豪州再生可能エネルギー局(ARENA)による LCA の支援及び評価 連邦政府によって 2012 年に

設立された豪州再生可能エネルギー局(ARENA)によって、LCA 実施に対し資金援助や情報提

供による支援、及び影響評価を行う。環境対策諸政策(RET など)が背景となっている。

2016 年 10 月にガイドラインが発表された。(但し実行された例は見当たらない。)

2015

-2024 N ライフサイクルの観点からの政策は確認されなかった。

カナダ 2005

-2014 N ライフサイクルの観点からの政策は確認されなかった。

2015

-2024 N ライフサイクルの観点からの政策は確認されなかった。

フラン

2005

-2014 N(Y) 1991 F-Environment マーク エコラベルは LCA に基づいて環境負荷が評価される

2015

-2024 N(Y) 上記継続。

ドイツ 2005

-2014 N ライフサイクルの観点からの政策は確認されなかった。

2015

-2024 N ライフサイクルの観点からの政策は確認されなかった。

イタリ

2005

-2014 N ライフサイクルの観点からの政策は確認されなかった。

2015

-2024 N ライフサイクルの観点からの政策は確認されなかった。

日本 2005

-2014 N (Y) 2008 年カーボンフットプリントラベル

2015

-2024 N(Y) 上記継続。

英国 2005

-2014 Y 2006 年カーボントラスト

2015

-2024 Y 上記継続。

米国 2005

-2014 N ライフサイクルの観点からの政策は確認されなかった。

2015

-2024 N ライフサイクルの観点からの政策は確認されなかった。

グループ II

アルゼ

ンチン

2005

-2014 N ライフサイクルの観点からの政策は確認されなかった。

2015

-2024 N ライフサイクルの観点からの政策は確認されなかった。

ブラジ

2005

-2014 N(Y) LCA のためのブラジルプログラム (PBACV) 産業部門の LCA プログラムを実施している。

サトウキビの燃料用エタノールとしての使用において、栽培~収穫~輸送~加工の各段階における資源・エネルギー消費を含めた Well-to-Wheel のライフサイクルアセスメントを実施している

2015

-2024 N(Y) 上記継続。

韓国 2005

-2014 N(Y) 1998 年 韓国国家 LCI データベース LCI データベースは、「TOTAL」と呼ばれる LCA 支援ソフ

トとして公開されている(韓国語のみ)。韓国カーボンフットプリントプログラムでの GHG 排出係数リストは当該データベースからの引用である。

韓国環境省計の研究機関である KEITI によって運営・管理されている。

2015

-2024 N(Y) 上記継続。

ロシア 2005

-2014 N NGO 団体(Environmental Union)が LCA を加味したエコラベリング運動において中心的な働き

をしている。政府主導ではなく、あくまで意識の高い企業による自主的な取り組み。

2015

-2024 N

サウジ

アラビ

2005

-2014 N ライフサイクルアセスメントを行うコンサルティング会社はあるが、国が主導した LCA 導入、

実施は行われていない。

2015

-2024 N 上記継続。

トルコ 2005

-2014 N LCA に関する政策は複数存在するが、製品の製造・輸送過程で生じる排出量を最小化するためか

どうかは不明

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78

2015

-2024 N 上記継続。

グループ III

中国 2005

-2014 N ライフサイクルの観点からの政策は確認されなかった。

2015

-2024 N ライフサイクルの観点からの政策は確認されなかった。

インド 2005

-2014 N ライフサイクルの観点からの政策は確認されなかった。

2015

-2024 N ライフサイクルの観点からの政策は確認されなかった。

インド

ネシア

2005

-2014 N 2011 年 国家 GHG インベントリに係る大統領令 2011 年第 71 号 政府が中心となった LCA へ

の取り組みは見当たらなかったが、GHG の MRV(測定、報告、検証)制度がある。インドネシ

ア国内の緩和行動に関して、緩和行動の実施主体が GHG の測定、報告し、第三者検証機関が報告内容について検証を行う。更に検証結果を国家 MRV 委員会が評価し、承認された緩和行動が公式な情報として国家レジストリシステムに登録され、国内外の報告等に活用される。

2015

-2024 N 上記継続。

メキシ

2005

-2014 N ライフサイクルの観点からの政策は確認されなかった。

2015

-2024 Y 2015 年 エコラベル等 1999 年以降、メキシコでは政府・民間・大学通じて LCA が進んでいる。

南アフ

リカ

2005

-2014 N ライフサイクルの観点からの政策は確認されなかった。

2015

-2024 N ライフサイクルの観点からの政策は確認されなかった。

指標24. 啓発、教育等による人々の意識向上

国 期間 政策の有無

判断の根拠となる情報

グループ I

オース

トラリ

2005

-2014 Y 2000 年 持続的な将来に関する環境教育国家行動計画 環境に対する教育の方針を定義し、環

境教育に関する議会・財団を設立するなどの行動計画を掲げている。

炭素管理農業イニシアチブ教育プログラム:オーストラリア原住民に対し、炭素農業イニシアチブ手法を教育する取り組みが行われている。

・原住民再植林ケーススタディー:炭素農業イニシアチブへの先住民参加を促進するため、先住民族の森林再生の事例研究を実施。

・CFI アウトリーチ:農業省による取り組み。土地所有者が CFI カーボンオフセット市場に参加

する機会を促進するため、炭素管理を農業計画に統合するための技術情報と支援を提供する)。

・我々の国を直す:Greening Australia(オーストラリア緑化運動を実施している環境団体)による取り組み。オーストラリア政府の炭素農業イニシアチブに先住民の土地所有者が参加するのを

支援するため、南オーストラリア州で炭素市場トレーニングプログラムを実施。

2015

-2024 Y 上記継続。

カナダ 2005

-2014 N(Y) オンタリオ州での啓発活動

2015

-2024 N(Y) 上記継続。

フラン

2005

-2014 Y 2012 年 温室効果ガス排出削減の強い行動を支持が 87%

2015

-2024 Y 上記継続。

ドイツ 2005

-2014 Y 2008 年 気候保全プロジェクトでは、自治体の役所ごとに啓発のための予算が組まれている。

2009 年 までに 688 のプロジェクトが実施された。

2015

-2024 Y 2012 年 "Stromsparchecks"プログラムが実施され、消費者を対象として啓発が進んでいる。

2015 年ユーロバロメータによれば、大半の国民(91%)が気候変動抑制のために再生可能エネル

ギー利用拡大を指示しているという回答があった。

イタリ

2005

-2014 Y 2012 年 温室効果ガス排出削減の強い行動を支持が 89%

2015

-2024 Y 上記継続。

日本 2005

-2014 N 2005 年 クールビズ、ウォームビズキャンペーンにより、衣服で寒暖を調整することでエネルギ

ー需要を減らした。

2007 年 エコドライブキャンペン、カーボンフットプリントラベル、スマートメータの導入など。

2015

-2024 Y 2015 年 クールチョイスキャンペーン。 2030 年約束草案の施策の1つとして普及啓発。

2016 年 内閣府の世論調査では気候変動などの地球環境問題への関心層が 90%。

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79

英国 2005

-2014 N(Y) 2005年 気候変動対話イニシアチブ(CCCI)が設立され、3年間で 12百万ポンドが予算計上された。

2015

-2024 Y 2015 年 世論調査では、気候変動が人為的ではないと回答した割合は 13%に限定された。

米国 2005

-2014 N 2005 年 エネルギースター国家キャンペーンにて普及啓発が進んでいる。しかし、2010 年の Pew

Center による世論調査では、回答者の 59%だけが温暖化の科学的知見を支持していた。

2015

-2024 N キャンペーンは継続中。2016 年のギャラップ社調査では、回答者の 64% が気候変動を脅威と感

じていた。

グループ II

アルゼ

ンチン

2005

-2014 N 人々の意識に関する情報は確認されなかった。

2015

-2024 N 人々の意識に関する情報は確認されなかった。

ブラジ

2005

-2014 N(Y) 1985 年 PROCEL Educacao 建築業者、教職員、技術者及び学生に対して、エネルギー教育を実

施する、省エネ啓発プログラム

2015

-2024 N(Y) 上記継続。

韓国 2005

-2014 N(Y) 2013 年 政策による効果かは不明だが、資料によれば、2013 年に韓国政府が行った調査では、「回

答者の 94%は気候変動は重大な問題を引き起すと回答した」との記載がある。

2015

-2024 N(Y) 上記継続。

ロシア 2005

-2014 N ロシア国営テレビがマスメディアとしてもっとも影響力があるが、地球温暖化問題を意図的に避

けた報道を行っている。

2015

-2024 N 上記継続。

サウジ

アラビ

2005

-2014 N(Y) 2009 年 政策による効果かは不明だが、2009 年時点での調査で「回答者の 81%は気候変動を重

大な問題としてとらえている」との記載がある。

2015

-2024 N(Y) 上記継続。

トルコ 2005

-2014 N 人々の意識に関する情報は確認されなかった。

2015

-2024 N 人々の意識に関する情報は確認されなかった。

グループ III

中国 2005

-2014 N 特になし。

2015

-2024 Y 2013 年 省エネリーダーの育成。ラベルの周知。

2014 年 グローバルサーベイによれば、 「我々の生活様式を変えなければ深刻な環境問題に至る」と解答した割合が 91% と高かった。

インド 2005

-2014 N 2012 年 •地球温暖化に関する「たくさんのこと」を知っていると回答したのは 7%にとどまり、

41%はこれまで聞いたことがない、あるいは「わからない」と答えた。しかし、地球温暖化の定義を聞いた後、72%が地球温暖化が起こっていると答え、56%が人為的な活動によって引き起こ

されたと主張し、50%がすでに個人的に変化を経験していると答えており、61%がそれを懸念している。

2015

-2024 N(Y) 2017 年 インドの人口の 40%未満が気候変動を認識しており、その 80%近くが気候変動を深刻な

脅威と認識している。

インド

ネシア

2005

-2014 N 気候変動に対する認知:56%が認知、24%が聞いたことはあるが理解はしていない、17%が知ら

ない。都市部では 53%、小さい都市では 43%、郊外では 31%が気候変動は将来的に大きな影響を及ぼすと認識している 85%の国民が気候変動により健康への悪影響を実感している

2015

-2024 N 上記継続。

メキシ

2005

-2014 N(Y) 2011 年 国民の 93%が気候変動に関心を持っている。

2015

-2024 N(Y) 2015 年 90%以上が重大な脅威と感じている。

南アフ

リカ

2005

-2014 N(Y) 2013 年 統合需要マネジメントプログラム 啓発プログラムで省エネ等を進める。

2015

-2024 N(Y) 上記継続。

指標25. スマートメーター等によるエネルギー消費の見える化

国 期間 政策の有無

判断の根拠となる情報

グループ I

オース

トラリ

2005

-2014 N 見える化を促進する政策は確認されなかった。

2015 N 見える化を促進する政策は確認されなかった。

Page 80: limate change mitigation Policy Progression …...2018/05/30  · 1 環境研究総合推進費2-1501 「気候変動対策の進捗評価を目的とした指標開発に関する研究」

80

-2024

カナダ 2005

-2014 N(Y) 2011 年 州レベル。BCHydro によるスマートメーター設置 ブリティッシュコロンビア州が株主の

BCHydro(電力会社)が、BC 州人口の約 95%である 180 万人に電力供給しているところ、2011

年~2012 年にかけてスマートメーターを設置

2015

-2024 N(Y) 上記継続。

フラン

2005

-2014 N(Y) 2010 年 スマートメーター設置の義務化 政府および事業者(ERDF)の協調のもと、2010 年条件

付き義務化の政令のち、2011 年 9 月に全需要家への設置を義務化。

2015

-2024 N(Y) 上記継続。

ドイツ 2005

-2014 N 特になし。

2015

-2024 N(Y) 2015 年 エネルギーパフォーマンス契約(EPC)利用拡大のための予算計上あり。

イタリ

2005

-2014 Y 1999 年 Telegestore プロジェクト ENEL によるスマートメーター導入の開始

2005 年 建物のエネルギー証明 25 ㎡以下の建物、ガレージなど一部を除き、住宅および商業用の全ての建築物はエネルギー証明書の発行が義務付け

2008 年 電力スマートメーター導入義務化 ENEL 以外の事業者にも 2008 年より導入義務化

2015

-2024 Y 上記継続。

日本 2005

-2014 N 2005 年 BEMS、HEMS に対して補助金。建物のエネルギー消費量の見える化を図った。

2015

-2024 Y 2014 年 2020 年までにすべての建物にスマートメーター設置を目指している。

英国 2005

-2014 Y 2007 年 スマートメータープログラムでは、2020 年までにすべての建物にスマートメーターを

設置が目標。電力会社に対して、消費者側へのスマートメーター設置を義務付け。

2015

-2024 Y 上記継続。

米国 2005

-2014 N(Y) 2008 年 財務省の中でスマートメーターや小規模電力グリッド設備への支援が予算計上されて

いる。

2015

-2024 N(Y) 上記継続。

グループ II

アルゼ

ンチン

2005

-2014 N 見える化を促進する政策は確認されなかった。

2015

-2024 N 見える化を促進する政策は確認されなかった。

ブラジ

2005

-2014 N 見える化を促進する政策は確認されなかった。

2015

-2024 N 見える化を促進する政策は確認されなかった。

韓国 2005

-2014 Y 2008年 ユビキタスエコシティー計画 (U Eco-City) は、韓国政府による研究開発プロジェクトで、

都内に設置したセンサーから集めたエネルギー使用量に関する情報を集計することで、リアルタイムでの見える化による監視体制構築を目指している。

2015

-2024 Y 上記継続。

ロシア 2005

-2014 N 見える化を促進する政策は確認されなかった。

2015

-2024 N 見える化を促進する政策は確認されなかった。

サウジ

アラビ

2005

-2014 N 見える化を促進する政策は確認されなかった。

2015

-2024 N 見える化を促進する政策は確認されなかった。

トルコ 2005

-2014 N 見える化を促進する政策は確認されなかった。

2015

-2024 N 見える化を促進する政策は確認されなかった。

グループ III

中国 2005

-2014 N 見える化を促進する政策は確認されなかった。

2015

-2024 N 見える化を促進する政策は確認されなかった。

インド 2005

-2014 N 見える化を促進する政策は確認されなかった。

2015

-2024 N 見える化を促進する政策は確認されなかった。

インド 2005

-2014 N 国営電力会社 PT.PLNが 2019年中にすべての電気メーターをスマートメーターに置き換える方針

を発表しているが、政府の支援の有無は不明

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81

ネシア 2015

-2024 N 上記継続。

メキシ

2005

-2014 N 見える化を促進する政策は確認されなかった。

2015

-2024 N 見える化を促進する政策は確認されなかった。

南アフ

リカ

2005

-2014 N 見える化を促進する政策は確認されなかった。

2015

-2024 N 見える化を促進する政策は確認されなかった。

指標26. 家庭部門、事業所部門でのエネルギー消費量削減を目指したエネルギー税、排出量取引制度

国 期間 政策の

有無 判断の根拠となる情報

グループ I

オース

トラリ

2005

-2014 Y ・2011 年に成立したクリーンエネルギー法を根拠とする。

・温室効果ガスを年間で 2.5 万トン以上排出する企業が対象。

・対象部門は発電用エネルギー、産業プロセス、運輸、漏出ガス、排出ガス(林業・農業・家庭

は対象外)。

・1トンあたり豪$23~25 の炭素価格を設定し、企業が支払わない又は支払額が不足する場合には、不足費用を支払う義務を負う。

※法律上税金にはあたらないが、固定価格のことを炭素税と呼ぶ場合が多い。

※14 年の政権交代によって廃止された。

2015

-2024 N 炭素税は2014年に廃止された。その代わりにEmission Reduction Fund (ERF)と safeguard mechanism

を軸とする政策を進めている。

カナダ 2005

-2014 N(Y) BC 州のみ炭素税として化石燃料の購入・州内の最終消費に対して課税。2008 年 10CAD/tCO2か

ら 2012 年 30CAD/tCO2まで税率引上を行った。

2015

-2024 Y 2018 年までに全ての州または州が炭素税または排出量取引のどちらかを導入することを義務付

ける。炭素税の対象は BC 州の炭素税をベースラインと規定。税率は最低 10CAD/tCO2で開始。2022 年 50CAD/tCO2まで引上げ予定。これを受けてアルバータ州は 2017 年に炭素税を導入(2017

年 20CAD/tCO2→2018 年 30CAD/tCO2)。

フラン

2005

-2014 N(Y) 炭素税として化石燃料消費に対し課税。2014 年 7EUR/tCO2。

ガソリン・軽油・重油等に課税。税率は 2011 年時点でガソリン約 260EUR/tCO2、軽油約165EUR/tCO2、重油約 6EUR/tCO2である。2014 年に重油は炭素税に変更。ガソリン・軽油は炭素

税と併用で課税される。

2015

-2024 Y 2015 年 14.5EUR/t CO2、2016 年 22EUR/t CO2、2017 年 30.5EUR/t CO2と税率増加。2030 年までに

100EUR/t CO2にする。

ドイツ 2005

-2014 N(Y) 1999 年以降エネルギー税が導入されている。税収は社会保障に回っている。

2015

-2024 Y 上記継続。

イタリ

2005

-2014 N(Y) 鉱油税に石炭を対象に追加するとともに炭素含有量に応じて製造または輸入時に課税。税率は

2017 年時点でガソリン約 313EUR/t CO2、石炭約 2EUR/t CO2、重油約 21EUR/t CO2である。

導入当初 2005 年に向けて段階的に拡充予定だったが、経済状況を理由に拡充されなかった。

2015

-2024 Y 上記継続。

日本 2005

-2014 N(Y) 2012 年までは炭素税はなかった。石油石炭税が 2003 年以降導入されていたが、税収は主に道路

の新設や整備に宛てられた。

2012 年地球温暖化対策税の導入、ただし $2.6/t CO2 と税率は低い。

2010 年に東京都で 2011 年に埼玉県で排出量取引制度が導入された。

2015

-2024 Y 地球温暖化対策税の税収は温暖化対策に宛てられている。

現在、東京都と埼玉県の排出量取引制度は 2019 年まで継続が予定されている。

英国 2005

-2014 N(Y) 2001 年 気候変動税導入。税収は社会保障に回っている。

2015

-2024 Y 上記継続。税率は 2014 年時点で $15.75/ tCO2e.

米国 2005

-2014 N ボールダー市では、火力発電所による電力に対して炭素税を導入。民生部門の電力消費量の抑制

に貢献している。税収は市の気候変動活動計画実施に用いられる。

2015

-2024 N 連邦政府では導入なし。

グループ II

アルゼ

ンチン

2005

-2014 N 2003 年にキルチネル政権が発足して以後、電力と天然ガスに対する補助金が上昇した。2014 年

に電力に対する補助金額がピークとなり、GDP の 2.9%を占めるまでになった。

2015

-2024 N エネルギー補助金に関する問題に取り組みはじめ、補助金額は 2014 年にピークを迎えて以降減

少傾向にある。

Page 82: limate change mitigation Policy Progression …...2018/05/30  · 1 環境研究総合推進費2-1501 「気候変動対策の進捗評価を目的とした指標開発に関する研究」

82

ブラジ

2005

-2014 N エネルギー税等は確認されなかった。

2015

-2024 N エネルギー税等は確認されなかった。

韓国 2005

-2014 N エネルギー税等は確認されなかった。

2015

-2024 Y 2015 年に排出量取引制度を導入。5 部門 23 業種が対象。総排出量の約 68%をカバーしている。

第一計画期間(2015 年から 2017 年)中に、毎年 2%ずつ排出量を削減することを目標。2025 年

まで予定されている。

ロシア 2005

-2014 N エネルギー税等は確認されなかった。

2015

-2024 N エネルギー税等は確認されなかった。

サウジ

アラビ

2005

-2014 N エネルギー税等は確認されなかった。

2015

-2024 N エネルギー税等は確認されなかった。

トルコ 2005

-2014 N エネルギー税等は確認されなかった。

2015

-2024 N エネルギー税等は確認されなかった。

グループ III

中国 2005

-2014 N(Y) 2009 年の税は石油利用を対象とした。

2013 年から 2014 年に、2 省 5 市で排出量取引制度が試験的に導入された。

2015

-2024 Y 2017 年に全国的に排出量取引制度が導入される予定。電力部門などの 8 部門が対象。

インド 2005

-2014 Y インド政府は、2016-2017 年度の政府予算で、石炭、亜炭、泥炭を対象とした環境税(Clean

Environement Cess)を石炭 1 トン当たり 200 ルピー(3.1US$)から 400 ルピー(6.2US$)に引き上げた。対象部門は不明。

2012 年、エネルギー消費の節約を目的として市場メカニズムを基盤とした Perform Achieve and

Trade (PAT)制度が開始された。電力部門やエネルギー集約的な製造業の 478事業所が対象であり、2007 年のインド全体の GHG 排出量の 60%にあたる。第一計画期間は 2012 年から 2015 年まで。

2011 年には、PM が基準値を特に上回る 3 つの州で排出量取引制度が試験的に導入された。1000

の事業所が対象になった。

2015

-2024 Y 上記の PAT 制度は継続。

インド

ネシア

2005

-2014 Y 電力や化石燃料への補助金が国家支出の 21.7%を占める(2013 年)。補助金の総額は 2005 年から

2013 年の 8 年間で 163%増加し、248 憶ドル(2013 年)にまでなった。2014 年にジョコ・ウィド政権が誕生して以来、補助金改革が進められており、その金額は減少傾向にある。

2015

-2024 Y 2014 年に誕生したジョコ・ウィド政権下で補助金改革が進行中。その金額は減少傾向にあるもの

の、2015 年において 53 憶ドルの国家予算が燃料補助金に充てられている。

メキシ

2005

-2014 N 2014 年より炭素税を導入し、化石燃料(天然ガスは除く)の製造・輸入に対してのみ$US 3.5/ t CO2e

を課している。セクターの制限はない。

2015

-2024 N 上記継続。

南アフ

リカ

2005

-2014 N エネルギー税等は確認されなかった。

2015

-2024 N 2015 年 11 月、2016 年から炭素税を実施する草案を発表したが、現時点で未実施。

指標27. モビリティ需要の削減

国 期間 政策の有無

判断の根拠となる情報

グループ I

オース

トラリ

2005

-2014 N モビリティー需要削減を目指した政策は確認されなかった。

2015

-2024 N モビリティー需要削減を目指した政策は確認されなかった。

カナダ 2005

-2014 N モビリティー需要削減を目指した政策は確認されなかった。

2015

-2024 N モビリティー需要削減を目指した政策は確認されなかった。

フラン

2005

-2014 N(Y) 2008 年 公共交通利用促進。地下鉄、トラム、バスの 3 つのプロジェクト実施。

2015

-2024 N(Y) 上記継続。

ドイツ 2005 N (Y) モーダルシフトが支援を受けている。

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83

-2014 2002-2012 年、自転車の利用促進策が導入されている。国家サイクリングプラン。自転車専用道

路の整備など。

2015

-2024 N (Y) 継続。

イタリ

2005

-2014 N モビリティー需要削減を目指した政策は確認されなかった。

2015

-2024 Y 2016 年 モーダルシフトにより、移動の需要の 3.5%を公共交通にシフトする目標

日本 2005

-2014 N (Y) 2006 年モーダルシフト事業に補助金。省エネ法では貨物輸送業者が最もエネルギー効率的な輸送

方法を選ぶことが義務付けられている。

2015

-2024 N(Y) 2013 年 上記に加え、低炭素都市の中で交通付加を削減する事業に補助金が支給される。

英国 2005

-2014 N モビリティー需要削減を目指した政策は確認されなかった。

2015

-2024 N (Y) 2015 年 電気自転車普及のために 0.7 百万ポンドが計上された。

2016,2017 年にかけて持続的旅行移動年とし提案を公募。23 事業を採択し、20.6 百万ポンドを計上。

米国 2005

-2014 N 2006 年 スマートウエーという任意のパートナーシップにより、貨物輸送の相互協力。

2015

-2024 N 上記継続。2013 年予算 2.7 百万ドル。

グループ II

アルゼ

ンチン

2005

-2014 N モビリティー需要削減を目指した政策は確認されなかった。

2015

-2024 N モビリティー需要削減を目指した政策は確認されなかった。

ブラジ

2005

-2014 N 1995 年 License Plate Rationing Program – Rodizio・サンパウロ市内において、通常の車は運転制限

がある中(車を運転してはいけない日が、ナンバープレートによって決められている)

2015

-2024 N 上記継続。

韓国 2005

-2014 N(Y) 1990 Urban Traffic Readjustment Promotion Act 法律化された代表的なものとして、1990 年に導入

された Congestion Impact Fee がある。人口の多い都市の中心部で工場やオフィス、商業施設の所有に対して課され、場所、用途により占有面積を加味し計算される。集められた資金は都市の道路設備の改善に使われる。

2015

-2024 N(Y) 上記継続。

ロシア 2005

-2014 N(Y) 2012 年 低炭素社会実現の為、ロシアの 2 つの中規模都市で、モーダルシフトの実現、プラグイ

ンハイブリッド/電気自動車の導入、低排出ガス車の法規制枠組みの準備のパイロットプログラムにより、持続可能な都市交通システムの開発を目指す取組。

2015

-2024 N(Y) 上記継続。

サウジ

アラビ

2005

-2014 N(Y) 2014 年 King Abdulaziz Project for Riyadh Public Transport すでに着工されている首都リヤド市にお

ける交通システム建設計画。6 つの地下鉄線で構成され、全長 176 キロ、85 の駅からなる。総工費は 225 億ドルで 2019 年開通を予定。

2015

-2024 N(Y) 上記継続。

トルコ 2005

-2014 Y

2012 年 エネルギー効率戦略 2012-2023 モーダルシフトの促進

・公共交通機関の付近に自転車・自動車駐車場の建設

・海運や鉄道のインフラ整備により、人・物資の自動車輸送の削減

2015

-2024 Y 上記継続。

グループ III

中国 2005

-2014 N 車以外の移動手段がない地域が多い。世銀と中国政府は持続可能な都市プロジェクトして 414 百

万ドルを計上し、低炭素な交通手段普及を目指している。

2015

-2024 N 上記の継続。モーダルシフトを目指す。

インド 2005

-2014 N(Y) 国家道路交通政策の中で、公共交通機関および、自動ではない乗り物を優先する取り組みを実施。

デリメトロ鉄道法の延長により、メトロ中心の交通網整備を検討。.

2015

-2024 N(Y) 上記継続。

インド

ネシア

2005

-2014 N(Y) MRT(Mass Rapid Transit)・LRT(Light Rail Transit)の建設 国家温室効果ガス排出削減行動計画

(RAN-GRK)の交通部門の行動計画の一つに、ジャカルタ都市高速鉄道(地下鉄):Mass Rapid

Transit(MRT)及びモノレールの建設が挙げられている。

MRT は現在建設中であり 2019 年 3 月に営業を開始する予定である。

モノレール建設に関しては資金不足により計画が中断された。モノレール計画に代わるものとして高架式の次世代型交通システム:Light Rail Transit(LRT)の建設が進められており、2018 年に

一部区間の開業を目指して建設が進められている。

2015

-2024 N(Y) 上記継続。

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84

メキシ

2005

-2014 N(Y) 2000 年 「ゼローゼロ」プログラム排気の少ない車はいつでも運転可能だが、排気の多い車はナ

ンバープレートにより運転が出来る日が決まっている。

2015

-2024 N(Y) 上記継続。

南アフ

リカ

2005

-2014 N(Y) 2008 年 統合公共交通ネットワークにより、バス、メトロ、タクシーの相互ネットワーク化

2015

-2024 N(Y) 上記継続。

指標28. 交通部門での燃料に対するエネルギー税

国 期間 政策の有無

判断の根拠となる情報

グループ I

オース

トラリ

2005

-2014 Y 80EUR/tCO2を超えている。

2015

-2024 Y 上記継続。

カナダ 2005

-2014 N 2012 年に 30EUR/t CO2程度存在。

2015

-2024 N 上記継続。

フラン

2005

-2014 Y 2012 年に 180EUR/t CO2程度存在。

2015

-2024 Y 上記継続。

ドイツ 2005

-2014 Y 石油税は 1999 年以降上昇を続けている。

2015

-2024 Y 上記継続。

イタリ

2005

-2014 Y 2012 年に 220EUR/t CO2程度存在。

2015

-2024 Y 上記継続。

日本 2005

-2014 Y 1970 年代よりガソリンに対して課税がなされている。2003 年からは石油石炭税が導入された。

2015

-2024 Y 2012 年以降炭素税の導入によりさらに税率が高くなった。2016 年時点では、リットルあたり 0.76

円となっている。

英国 2005

-2014 Y 交通部門の化石燃料税は、300 ユーロ/t CO2であり、先進国の中でも高い。

2015

-2024 Y 上記継続。

米国 2005

-2014 N 自動車や船舶の燃料に対しては連邦政府レベルで課税されている。他のエネルギー製品に関して

は州レベルで課税されている。バイオ燃料は、化石燃料と同率で課税されている。

カリフォルニア州、テキサス州、ペンシルバニア州は、上記の税に加えて州の税を有している。

2015

-2024 N 上記継続。

グループ II

アルゼ

ンチン

2005

-2014 Y 燃料に対し約 130 EUR/tCO2の課税がされている。

2015

-2024 Y 上記継続。

ブラジ

2005

-2014 N 燃料に対し約 11 EUR/tCO2の課税がされているが、本調査の基準値である$50/t CO2には満たない。

2015

-2024 N 上記継続。

韓国 2005

-2014 Y 燃料に対し約 150 EUR/tCO2の課税がされている。

2015

-2024 Y 上記継続。

ロシア 2005

-2014 N 燃料に対し約 0.05 EUR/tCO2 と非常に少ないが、課税がなされている。しかし、本調査の基準値

である$50/t CO2には満たない。

2015

-2024 N 上記継続。

サウジ

アラビ

2005

-2014 N エネルギー税は確認されなかった。

2015

-2024 N エネルギー税は確認されなかった。

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85

トルコ 2005

-2014 Y 200EUR/t CO2を超えている。

2015

-2024 Y 上記継続。

グループ III

中国 2005

-2014 N 特になし。

2015

-2024 N ガソリンに対する課税があるが低率である。

インド 2005

-2014 N 燃料に対し約 30EUR(34US$)/t CO2の課税がされているが、本調査の基準値である$50/t CO2

には満たない。

2015

-2024 Y 2014 年時点で,ガソリンと軽油に対する炭素価格はそれぞれ$60/tCO2と$42/tCO2まで上昇してい

インド

ネシア

2005

-2014 N 燃料に対し約 14 EUR/t CO2の課税がされているが本調査の基準値である$50/t CO2には満たない。

電力や化石燃料への補助金が国家支出の 21.7%を占める(2013 年)。補助金の総額は 2005 年から

2013 年の 8 年間で 163%増加し、248 憶ドル(2013 年)にまでなった。2014 年にジョコ・ウィド政権が誕生して以来、補助金改革が進められており、その金額は減少傾向にある。

2015

-2024 N 2014 年に誕生したジョコ・ウィド政権下で補助金改革が進行中。その金額は減少傾向にあるもの

の、2015 年において 53 憶ドルの国家予算が燃料補助金に充てられている。

メキシ

2005

-2014 N 燃料に対し約 8 EUR/t CO2の課税がされているが、本調査の基準値である$50/t CO2には満たない。

2015

-2024 N 上記継続。

南アフ

リカ

2005

-2014 Y 燃料に対し約 120 EUR/t CO2の課税がされている。

2015

-2024 Y 上記継続。

指標29. 低炭素都市づくりに向けた都市計画

国 期間 政策の有無

判断の根拠となる情報

グループ I

オース

トラリ

2005

-2014 N 低炭素を意識した都市計画は確認されなかった。

2015

-2024 N 低炭素を意識した都市計画は確認されなかった。

カナダ 2005

-2014 N (Y) 2005 年 オンタリオ州グリーンベルト法 では、おおよそ 2 百万エーカーの土地を対象として、

開発を行わない地区として認定した。その他、緩和策や適応策を考慮した開発意思決定となっている。

2015

-2024 N(Y) 上記継続。

フラン

2005

-2014 Y 2010 年 環境グルネル第 2 法 持続可能な都市づくりの一環として、各地方都市に対して環境負

荷低減のための持続可能な都市交通プロジェクトを提案するよう要請

2015

-2024 Y 上記継続。

ドイツ 2005

-2014 N (Y) インテリジェント交通システムのための行動計画が策定されている。

2015

-2024 N(Y) 2020 年に向けてインテリジェント交通システム促進のための新たな枠組み。

イタリ

2005

-2014 N(Y) 2014 年 第 3 次国家エネルギー効率行動計画(NEEAP:National Energy Efficiency Action Plan)2016

年までに約 57km の地下鉄、20km の路面電車、20km の地域鉄道の施設を計画しており、2020 年

までに地下鉄 130km、路面電車 30km、地域鉄道 45km の拡張を計画。

2015

-2024 Y 上記がフルに実行されることを想定。

日本 2005

-2014 N(Y) 交通需要マネジメント (TDM)、マルチモーダル政策の導入により混雑の緩和が目指されている。

2015

-2024 N(Y) 上記に加え、低炭素街づくりのために補助金が支給されている。

英国 2005

-2014 N(Y) 2003 年ロンドン市内で混雑税を導入。平日 7-18 時まで市内に入るために 11.5 ポンド/日。

2003 年 スマートモーターウェーにて混雑を管理。信号機等を混雑の状況に応じて変更できる。

2015

-2024 N(Y) 上記継続。

米国 2005

-2014 N (Y) スマート成長戦略が都市の低炭素化を目指している。

2015

-2024 N (Y) 上記継続。

グループ II

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86

アルゼ

ンチン

2005

-2014 N 低炭素を意識した都市計画は確認されなかった。

2015

-2024 N 低炭素を意識した都市計画は確認されなかった。

ブラジ

2005

-2014 N 2012 年 いくつかの都市ではエコシティ政策を実施しているが、国としては不十分

世界有数のエコシティである Curitiba を有しているものの、今後他の都市も同じように開発して

いくかは不明

Água Espraiada Operação Urbana urban planning program・サンパウロの都市開発計画の一つ

・ Rochaverá Corporate Towers と呼ばれる複合施設を中心に開発を行う

2015

-2024 N 上記継続。

韓国 2005

-2014 N(Y) 2009 年 National Strategy for Green Growth 低炭素グリーン都市計画として、Gangneung 市が選

定され、持続可能で GHG 排出の少ない環境技術をもって雇用創出や賃金の上昇による経済的発展を図る。

2015

-2024 N(Y) 上記継続。

ロシア 2005

-2014 N(Y) 2013 年 2 つのパイロット都市(Kazan 市と Kaliningrad 市)における包括的な公共交通機関の開

発 車の所有率が高騰している 2 つのパイロット都市において、ハイブリッド車や電気自動車の導入およびチャージステーションの整備、バイパスの建設等を行うなどして、包括的な公共の交

通機関拡充に向け取り組んでいる。また Kaliningrad 市では、2018 年 FIFA ワールドカップ開催に向けた交通インフラの整備にも着手している。

2015

-2024 N(Y) 上記継続。

サウジ

アラビ

2005

-2014 N(Y) 2014 年 King Abdulaziz Project for Riyadh Public Transport すでに着工されている首都リヤド市に

おける公共交通システム建設計画。6 つの地下鉄線で構成され、全長 176 キロ、85 の駅からなる。総工費は 225 億ドルで 2019 年開通を予定。

2015

-2024 Y 上記継続。

トルコ 2005

-2014 N(Y) 2014 年 Turkey Habitat-III National Report 空気汚染についての項目があり、具体的な制度としてメ

トロバスの導入が挙げられているが、あまり詳しい記載はなく、具体的な対策は他の省庁に任せている

2015

-2024 N(Y) 上記継続。

グループ III

中国 2005

-2014 N(Y) 都市に流入する車はナンバープレートで制御されている。

2012 年北京市では自転車シェア事業が始まった。2000 台の自転車が共有されている。

2015

-2024 N(Y) 上記継続。

インド 2005

-2014 N(Y) 2015 年 スマートシティミッション

2015 年からの 5 年間で、スマートシティをインド国内に 100 ケ所建設する、都市開発省主導の計画。プロジェクトは中央支援スキーム(Centrally Sponsored Schemes :CSS)に位置づけられ、中

央政府の最大予算総額は 4,800 億 INR。スマートシティの要件として、省エネが含まれる(省エネ型街路灯、省エネ・グリーンビルの割合が 80%以上等)

2015

-2024 N(Y) 上記継続。

インド

ネシア

2005

-2014 N 2013 年の日本とインドネシア政府間における二国間クレジット制度(JCM)の合意を受け、ス

ラバヤ市における低炭素都市計画策定のための技術協力事業として、エネルギー、交通、廃棄物、水資源の 4 分野における GHG 排出削減可能性調査が行われているが、具体的な促進策は見当たらなかった。

2015

-2024 N 上記継続。

メキシ

2005

-2014 N 2014 年 都市部でよりクリーンなエネルギーを使う戦略が公表されているが、詳細は不明。

2015

-2024 N 上記継続。

南アフ

リカ

2005

-2014 N 低炭素を意識した都市計画は確認されなかった。

2015

-2024 N 低炭素を意識した都市計画は確認されなかった。

指標30(埋立地)、31(農業)、32(資源採掘) メタン排出量の削減.

国 期間 指標 30

の政策 指標 31

の政策 指標 32

の政策 判断の根拠となる情報

グループ I

オース

トラリ

2005

-2014 N(Y) N(Y) Y 2012 年 石炭採掘現場からのメタン排出抑制パッケージ。メタン抑制

活動に補助金を支給。

2014 年 排出削減ファンド(ERF)認証された技術を用いた排出削減プ

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87

ア ロジェクトから、排出削減クレジット分を購入する。ファンドはリバー

スオークション方式で行われ、最もよい排出削減策を提案した業者が政府と契約を結び基金を利用する。

2015

-2024 N(Y) N(Y) Y 上記継続。

カナダ 2005

-2014 N(Y) N(Y) N 2005-2009 年 州レベル(ブリティッシュコロンビア、ケベック等)で、

廃棄物埋立地からのメタン排出削減策が実施されている。

2008 年 オンタリオ州で、農業部門からのメタン排出抑制活動実施。

2015

-2024 N(Y) N(Y) Y 2016 年 石油・天然ガス採掘地からの排出削減のための規制導入。3 月

10 日、米国と共同でステートメント公表。2025 年までに 2012 年水準より 40-45% 削減を目指す。アルバータ州では独自の目標を設定し、2025

年までに 45%削減を目指す。

フラン

2005

-2014 Y Y - 2008 年 廃棄物枠組み指令 (2008/98/EC) 生ごみの削減、リサイクル。

2014 年 農業部門からのメタン排出抑制策

2015

-2024 Y Y - 上記継続。

ドイツ 2005

-2014 Y N - 2008 年 廃棄物枠組み指令 (2008/98/EC) 生ごみの削減、リサイクル。

2015

-2024 Y N - 2013 年 廃棄物埋立地での空気注入によるメタン発酵減少。

イタリ

2005

-2014 Y N - 2008 年 廃棄物枠組み指令 (2008/98/EC) 生ごみの削減、リサイクル。

2008 年 ごみの分別(目標値設定)。

2015

-2024 Y N - 上記継続。

日本 2005

-2014 - - - 2007 年 有機物管理や水管理によるメタン抑制

2015

-2024 - - - 2013 年 埋立地への直接有機物投入を規制。

英国 2005

-2014 N Y N 2007-2013 年 都市開発政策 農業や森林との持続可能な開発。

2008 年 廃棄物枠組み指令 (2008/98/EC) 生ごみの削減、リサイクル。

2015

-2024 N Y N 2014-2020 年 都市開発政策第2期

米国 2005

-2014 N N N 2012 年石油、ガス生産設備からの排出量規制

2015

-2024 N N Y 2016 年 大気浄化法の下、上記セクターからの排出量を 2025 年までに

2012 年比で 40-45%削減。

グループ II

アルゼ

ンチン

2005

-2014 N N N メタン対策に関する情報は見つからなかった。

2015

-2024 N N N メタン対策に関する情報は見つからなかった。

ブラジ

2005

-2014 N N N メタン対策に関する情報は見つからなかった。

2015

-2024 N N N メタン対策に関する情報は見つからなかった。

韓国 2005

-2014 Y N(Y) - 2007 年畜産業における飼料を、メタン発生の少ないものに変更。

2008 -2012 年 一般廃棄物排出抑制、有機廃棄物の利用、廃棄物由来のエネルギー利用率を現在(2012 年)の 5.8% から、2020 年までに 44% まで拡大する。焼却炉のエネルギー再利用率を 1.8% から 90% に拡大。

2015

-2024 Y Y - 上記継続。

ロシア 2005

-2014 - N N(Y) 2014 年 石炭や天然ガス採掘場からのメタン排出量を 2020 年までに

50-100 億 m3 、2030 年までに 300-350 億削減。.

2015

-2024 - N Y 上記継続。

サウジ

アラビ

2005

-2014 - N N メタン対策に関する情報は見つからなかった。

2015

-2024 - メタン対策に関する情報は見つからなかった。

トルコ 2005

-2014 N N N メタン対策に関する情報は見つからなかった。

2015

-2024 N N N メタン対策に関する情報は見つからなかった。

グループ III

中国 2005

-2014 N N N 特になし。

2015

-2024 N N(Y) N 水田や農作地からのメタン抑制。

農業部門での廃棄物リサイクル推進。

インド 2005 N N N 2000-2011 年 紙パルプ産業、革製品製造等廃棄物からのメタン発酵

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88

-2014

2015

-2024 N N N 上記継続。

インド

ネシア

2005

-2014 N N N メタン対策に関する情報は見つからなかった。

2015

-2024 N N N メタン対策に関する情報は見つからなかった。

メキシ

2005

-2014 N N N メタン対策に関する情報は見つからなかった。

2015

-2024 N N N メタン対策に関する情報は見つからなかった。

南アフ

リカ

2005

-2014 N N N メタン対策に関する情報は見つからなかった。

2015

-2024 N(Y) N Y 国家有機廃棄物コンポスト戦略。

石炭採掘場からのメタン抑制。2030 年までに石炭採掘場から排出され

るメタンの 25%を除去する。

指標33(生産抑制)、34(回収破壊) フロン類ガスの排出削減

国 期間 指標 33

の政策

指標 34

の政策 判断の根拠となる情報

グループ I

オース

トラリ

2005

-2014 N N フロン類に関する政策は確認されなかった。

2015

-2024 N N フロン類に関する政策は確認されなかった。

カナダ 2005

-2014 N N フロン類に関する政策は確認されなかった。

2015

-2024 Y N 2015 年、HFC 規制。

フラン

2005

-2014 Y N 2006 年自動車内 F-ガスの規制(Directive 2006/40/EC)(MAC)では、自動車内エアコ

ンの冷媒として 150GWP 以上のもの禁止。

2006 年 家庭内および業務用冷蔵庫等で使用される F ガス(Regulation no.842/2006)

2014 年 F ガス規制の改正 2014/517/EC

2015

-2024 Y N(Y) 上記継続。

ドイツ 2005

-2014 Y N 2006 年 F ガス規制 2006/842/EC

2006 年 自動車内エアコンでの F ガス削減のための EU 指令 (MAC)

2012 年 交通ライセンス規制による F ガス規制

2014 年 F ガス規制の改正 2014/517/EC

2015

-2024 Y N(Y) 上記継続。

イタリ

2005

-2014 Y N 2006 年 F ガス規制 2006/842/EC

2006 年 自動車内エアコンでの F ガス削減のための EU 指令 (MAC)

2014 年 F ガス規制の改正 2014/517/EC

2015

-2024 Y N(Y) 上記継続。

日本 2005

-2014 N N(Y) 2001 年フロン回収破壊法により HFC の回収破壊が目指された。

2015

-2024 Y N(Y) 2015 年 フロン排出抑制法に改正

英国 2005

-2014 Y N 2006 年 F ガス規制 2006/842/EC

2006 年 自動車内エアコンでの F ガス削減のための EU 指令 (MAC)

2014 年 F ガス規制の改正 2014/517/EC

2015

-2024 Y N(Y) 上記継続。

米国 2005

-2014 N N 2006 年 責任ある製品廃棄プログラム

2007 年 グリーンチル冷蔵庫パートナーシップ

2015

-2024 N(Y) N 大気浄化法の下、HFC 削減プログラムを導入。

グループ II

アルゼ

ンチン

2005

-2014 N N フロン類に関する政策は確認されなかった。

2015

-2024 N N フロン類に関する政策は確認されなかった。

ブラジ 2005

-2014 N N フロン類に関する政策は確認されなかった。

Page 89: limate change mitigation Policy Progression …...2018/05/30  · 1 環境研究総合推進費2-1501 「気候変動対策の進捗評価を目的とした指標開発に関する研究」

89

ル 2015

-2024 N N フロン類に関する政策は確認されなかった。

韓国 2005

-2014 N N フロン類に関する政策は確認されなかった。

2015

-2024 N N フロン類に関する政策は確認されなかった。

ロシア 2005

-2014 N N フロン類に関する政策は確認されなかった。

2015

-2024 N N フロン類に関する政策は確認されなかった。

サウジ

アラビ

2005

-2014 N N フロン類に関する政策は確認されなかった。

2015

-2024 N N フロン類に関する政策は確認されなかった。

トルコ 2005

-2014 N N フロン類に関する政策は確認されなかった。

2015

-2024 N N フロン類に関する政策は確認されなかった。

グループ III

中国 2005

-2014 N N 特になし。HFC に関しては CDM のホスト国として削減した。

2015

-2024 N N HCFC-22 排出削減を目指す予定。 生産量を 2020 年までに 2010 年比で 35%削減、

2025 年までに 67.5%削減。HFC-23 も規制が始まる。

インド 2005

-2014 N N フロン類に関する政策は確認されなかった。

2015

-2024 N N フロン類に関する政策は確認されなかった。

インド

ネシア

2005

-2014 N N フロン類に関する政策は確認されなかった。

2015

-2024 N N フロン類に関する政策は確認されなかった。

メキシ

2005

-2014 N N フロン類に関する政策は確認されなかった。

2015

-2024 N N フロン類に関する政策は確認されなかった。

南アフ

リカ

2005

-2014 N N(Y) 2011 年 アルミニウム精製過程から生じる PFC 削減。2020 年までに 100%回収を目

標とする。 その他フロン類に関する記述はなし。

2015

-2024 N N(Y) 上記継続。

指標35(目標値)、36(森林管理)、37(木材製品) 森林保全、植林等吸収源拡大

国 期間 指標 35

の政策 指標 36

の政策 指標 37

の政策 判断の根拠となる情報

グループ I

オース

トラリ

2005

-2014 N(Y) N(Y) N 2013 年 2 千万本の木プログラム (植林プログラム)

2014 年 排出削減ファンド(Emission Reduction Fund, ERF)は認定され

た手法を用いた排出削減を実施するプロジェクトから排出枠を購入する。豪州では、森林は国土の 15% を占めており、そのうち 4%が原生林である。

2012 年 豪州は、木材輸入国である。そのうち1割ほどが不法伐採木材が含まれていると言われる。そのような不法伐採木材の流入を防ぐた

め、豪州不法伐採木材禁止法を施行。

2014 年 同法律の罰則規定が運用されるようになり、輸入業者は自国に輸入する木材の合法性に気をつかうようになった。

2015

-2024 Y N(Y) Y 上記継続。

カナダ 2005

-2014 N N(Y) N ブリティッシュコロンビア州森林カーボンオフセットプロトコル。BC

グレードベア熱帯雨林マネジメント法により、BC 内の森林の保全が規定されている。

オンタリオ州 5 千万本の木プログラムは、2025 年までに 5000 万本植林することで、2050 年までに二酸化炭素を 6.6Mt 吸収するのが目的。

2015

-2024 N(Y) N(Y)

N 上記継続。

フラン

2005

-2014 N Y Y 1990 年以降少しずつ面積は増加しており、2015 年時点で国土の 3 割以

上が森林となった。森林の 9 割は自然に再生されており残りは植林であ

る。大半は民間が所有しており、全体の4分の1ほどが国有地。

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かつてより、不法伐採木材の流入には厳しく対応してきた。EU 森林法の実施、ガバナンス、貿易行動計画の実行に最も積極的であり、複数の国と自主協定も締結している。持続可能な木材の生産と消費に積極的

に取り組む。

2013 年 EU 木材規制を実施。.

2015

-2024 N Y Y 上記継続。

ドイツ 2005

-2014 N Y N 京都議定書の一部として LULUCF アカウンティング導入。

2015

-2024 N Y N 上記継続。

イタリ

2005

-2014 N N(Y) Y 国土の3割が森林で覆われている。3 分の 2 が民有地、残りが国有地。

1990-2015 年の期間、森林は年率 0.8%の割合で増加している。その大半

は植林活動による。現在森林面積の 5%は植林。

輸入木材の 8 割は EU 域内特にオーストリアとドイツからのものであ

り、紙と家具に関しても、不法なものは輸入しない政策を実施している。2013 年、EU 木材規制に準じている。.

2015

-2024 N N(Y) Y 上記継続。

日本 2005

-2014 N Y N 2007 年 森林吸収戦略、木材有効利用、都市部での植林。

2015

-2024 N Y N 上記継続。

英国 2005

-2014 Y Y N 京都議定書の一部として LULUCF アカウンティング導入。

2011 年森林炭素コードにより森林再生を促進。暖房用薪利用の促進。

2015

-2024 Y Y Y 英国成長行動計画により、森林面積の増加、木材製品の利用を促進。

米国 2005

-2014 N N N 2005 年 ウッディバイオマスの利用促進

2008 年 個人所有の森林の保全

2015

-2024 N N N 2015 年 生態系炭素吸収評価

グループ II

アルゼ

ンチン

2005

-2014 N N N 国土の1割が森林で覆われており、その 5%が原生林。2010-2015 年は年

率 1.1%の割合で減少。

2015

-2024 N N(Y) N 政府は、森林減少を減らし国土の持続可能な利用を促進する政策をとっ

ている。違法伐採は問題とはなっていない。

ブラジ

2005

-2014 N N(Y) N(Y) ブラジルの 6 割が森林で覆われおり、その大半が原生林であり、植林は

全体の 2%程度である。森林の 7 割がアマゾン地帯にあり、残りの 3 割

がサバンナ地域にある。以前まで急速な森林減少に見舞われたが 2004

年から 2012 年まではしばらく減少率は減った。その後、再度伐採の割合は増えている。2000-2010 年までの減少率は年率 0.4%, 2010-15 年は

0.2%まで減った。

2015

-2024 Y N(Y) N(Y) 2015 年 2030 年までに森林面積を 12 百万 ha 増加を目標として設定。

違法伐採は長い間問題となってきた。法の実効性を高める努力をしてお

り、それが、上記のとおり森林減少率低下の大きな要因となった。しかし、法のさらなる遵守、リモートセンシング技術を利用したモニタリング等、努力はしているが、賄賂等不正はなくなっていない。

韓国 2005

-2014 N N N 2007 年 空いている土地に植林を促進。

国土の6割ほどが森林で覆われており、その半分ほどが原生林。大半が

民有地であり、3 分の 1 ほどが国有林。わずかに減少傾向にあり 2010-15

年で年率 0.1%。

2012 年 持続可能な木材利用に関する法律 韓国は、世界でも有数の

木材輸入国である。輸入量のうち 15%ほどは違法伐採木材と推定されている。これに対する政府の対応は遅れている。2012 年に法律は施行されたが、効果は未定。

2015

-2024 N N N(Y) 2015 年カーボンオフセット 植林や森林保全をクレジットとして発行。

ロシア 2005

-2014 N N N ロシアは世界最大の森林保有国で、国土の 5 割、8 億 ha 以上が森林であ

る。森林面積は過去 20 年でほぼ一定である。すべて国有林で 3 分の 1

ほどが原生林である。

ロシアでは特に極東において違法伐採が深刻な問題となっている。違法伐採された森林は中国に輸出されていると推定される。

2015

-2024 N N N

サウジ

アラビ

2005

-2014 N N N 森林増加に関する政策は確認されなかった。

2015 N N N 森林増加に関する政策は確認されなかった。

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-2024

トルコ 2005

-2014 Y Y N 2008 年 国家植林土壌劣化管理キャンペーン(5 年間継続)。

森林マスタープラン(第 2 期、1983 年~2004 年)トルコの国土の 15% は

森林で覆われている。そのうち 3 割は植林である。1990 年から 2015 年までの間、年率 0.8%の割合で増加した。

2015

-2024 Y Y N 上記継続。

グループ III

中国 2005

-2014 Y N(Y) N 2009 年 森林面積を 2005 年から 2020 年までに 40 百万 ha 増加目標。

2015

-2024 Y N(Y) N 2014 年目標として、2015 年から 2030 年までの間に森林バイオマススト

ック量を 45 億 m3 増やす。国民による植林活動への参加。

インド 2005

-2014 Y Y N 2001 年 国家植林プログラム 森林近傍に住む住民の生活のために、

植林を実施。インドの国土の2割が森林で覆われており、そのうち2割が保護林である。森林面積は増加しており、1990-2015 年の間の増加率は年率 0.4%だった。

2014 年 グリーンインド国家ミッション 森林面積を 5 百万 ha 増やす、また、さらなる 5 百万 ha の森林の質を改善する。

2015

-2024 Y Y N インドは、違法伐採木材の消費国でもある。違法伐採木材の輸入量は増

えており、2012 年時点で輸入量の約 2 割が違法伐採木材であったと推

定されている。国内で問題意識が低く、政府も対策をとっていない。

インド

ネシア

2005

-2014 N N N インドネシアの国土の半分ほどが森林に覆われている。2010-15 年の間

の森林減少率は 0.7%だった。.

2013年 アジアで初の自主的パートナーシップ協定 (VPA) 締結国となる。これは、EU との二国間協定で、インドネシアから EU に輸出される木材が合法であるものとするもの。

2015

-2024 N N N(Y) 2016年 インドネシアが EUに輸出する木材には FLEGTライセンスを

発行し、合法な方法で伐採されたものであることを証明。

ライセンス発行団体(SVLK)がインドネシア内で生産されたすべての木材を対象とする。

メキシ

2005

-2014 N N N メキシコの約 3 分の1が森林に覆われており、その半分が原生林。

2010-2015 年の間、年率 0.1%ほどの速度で森林減少が進んだ。

2015

-2024 N N N 違法伐採木材取引が存在している。犯罪組織の収入源となっていると推

測されている。

南アフ

リカ

2005

-2014 Y N(Y) N 2008 年 長期削減シナリオ植林プロジェクト 2008 年から 2030 年にか

けて商業的植林を実施し 2030年までに新たに 760,000ha を森林にする。

2011 年 土地への働きかけ。土地改良など草地を改変。第一段階では、

1526ha の草地の劣化を防ぐ。南アフリカの国土の 5%が森林。この割合

は 1990-2015 年の間ほぼ一定。そのうち1割が原生林、2 割がプランテーション、7割が自然再生林

2015

-2024 Y N(Y) N 上記継続。