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連載  消費パラダイムシフトの現場 第36回  竹之内 祥子 2020年の前半は新型コロナに始まり、 新型コロナに終わった。1月の中国・武漢 での感染拡大から、2月のクルーズ船での 集団感染、3月の学校臨時休校、4月の緊 急事態宣言。その後、6月に入り少しずつ 経済活動も再開され、一時期のような完 全「ステイホーム」状態からは徐々に解放 されつつある。 消費行動変化に 関するさまざまなデータ 3月から5月前半の外出自粛期間中の 生活者の消費行動の変化については、ネ ット上でさまざまなデータが発表されて いる。調査会社の(株)インテージはこの 間、デイリー調査により日々データを更 新 し て い る(https://www.intage. co.jp/gallery/mind-daily/)ほか、何回 かの消費者調査の結果を「生活者を知る」 (https://www.intage.co.jp/gallery/ blog/consumers/)で発信。SRI (全国小 売店パネル調査)による「コロナで『売れ た』 『売れなくなった』商品 TOP30」 (東洋 経 済 ONLINE 2020 年 5 月 8 日 https://toyokeizai.net/ articles/-/349029)も発表している。三 井住友カード(株)は自社の保有するカー ド等のキャッシュレス情報から消費行動 の変化についての分析レポートを発表 (https://prtimes.jp/main/html/rd/ p/000000022.000032321.html)。 ビ ッグデータ分析の(株)ヴァリューズも自 社のモニターパネルの消費者ネット行動 ログ解析を行いレポートにしている (https://manamina.valuesccg.com/ articles/823)。 巣ごもり消費 5つの動向 こうしたデータを見ると、学校休業や 在宅勤務、外食店の休業、感染防止のた めの外出自粛による生活者の消費行動 としてよくいわれる「巣ごもり消費」が顕 著なことが見て取れる。それは以下の5 つの動向としてまとめることができる。 自宅内食の浸透→内食(特に平日昼・ 夕食とおやつ)機会の増大とそれに伴 うスーパーでの買い物の増加、保存性 のある内食型食材の購買(よくいわれ るスパゲッティ、ホットケーキミック など。 仕事や学びがリモートにシフト→在宅 勤務や在宅教育に伴う自宅の環境整 備(Wi-Fi整備、マイク付きイヤホン購 入)や快適な仕事環境整備(オフィスチ ェア等)のための消費の増大、Zoom等 のオンラインミーティングサイトへの アクセスの増加など。 見栄え消費の縮小→外出や社交に必 要な衣服、化粧品(特にメイクアップ化 粧品)等の消費の減少。 さらに、 「巣ごもり消費」以外にも、 “衛 生・消毒意識の高まり”に伴う関連消費 の増加、 “政治・社会への関心の高まり” に伴うネットでの署名活動サイトへのア クセス増加、PCR検査や給付金等“公共 に関する情報ニーズの高まり ” による自 治体やハローワークサイトへのアクセス の増加もデータとして表れている。 ス、小麦粉、冷凍食材、イ ンスタント麺等や酒類) や外食店のテイクアウ ト、UberEats等宅配の 利用など。 買うから作るへのチャレ ンジ→DIYやマスク等 の手作り、園芸、あるいは パン作りやケーキ作りに 関する店舗や、ネットで の 材料・ツー ル・書籍 の 購入やオンラインレッス ンが盛んになるなど。 生活全体のオンライン化 の進行→オンラインでの 娯楽(ゲーム機やオンラ インゲーム、Netflix 等の 映像配信の利用、オンラ インレッスン等)の拡大、 および EC での買い物が シニア世代でも増加する インテージ知るギャラリー「外出自粛で生活者の行動はどう変わった?  データに見る巣ごもり実態」より https://www.intage.co.jp/gallery/sugomori/ データから見る 消費行動の変化 #01 52 | アド・スタディーズ | Vol.72 2020 新型コロナ禍による生活者の変化 Paradigm Sift

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  • 連載  消費パラダイムシフトの現場  第36回  竹之内 祥子

     2020年の前半は新型コロナに始まり、新型コロナに終わった。1月の中国・武漢での感染拡大から、2月のクルーズ船での集団感染、3月の学校臨時休校、4月の緊急事態宣言。その後、6月に入り少しずつ経済活動も再開され、一時期のような完全「ステイホーム」状態からは徐々に解放されつつある。

  •  前頁で挙げた新型コロナ関連の生活者の行動変化について、定性的に見てみたい(これについては筆者がSNSや自分の周りの友人知人の発言や観察から得た見解なので、偏りがあることはご容赦いただければ幸いである)。

  •  この原稿を書いているのは6月初旬、新型コロナへの感染をゼロにすることが難しい中、今後半年前と全く同じ生活に戻るということはなさそうだ。感染防止のための「新しい生活様式」を取り入れ、「ウィズコロナ」の新たな日常生活が始まるのだろう。これからの生活者の意識や行動はどのように変化していくのか、4つの仮説を挙げてみる。

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