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これって、 虐待かな? 誰もが安心して、自分らしく暮らすために と思ったら、一人で悩まないで、 通報・連絡・相談してください。 自分の意思が尊重されること、自分の生活を自分で決めること、人生を尊厳をもって過ごす ことは、誰もが当たり前に持っている権利です。 しかし、障害があることによって、その当たり前の権利が脅かされることがあります。 障害者虐待防止法(正式名称:「障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関す る法律」)は障害者の尊厳をおびやかす虐待を防ぐための法律です。 それぞれの地域で、「障害者の尊厳ある暮らしの実現」を目指して、みんなで取り組みましょう。 平成24年10月 障害者虐待防止法が 施行されます。 た。 秦 野 市

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これって、

虐待かな?

誰もが安心して、自分らしく暮らすために

と思ったら、一人で悩まないで、通報・連絡・相談してください。

 自分の意思が尊重されること、自分の生活を自分で決めること、人生を尊厳をもって過ごすことは、誰もが当たり前に持っている権利です。 しかし、障害があることによって、その当たり前の権利が脅かされることがあります。 障害者虐待防止法(正式名称:「障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律」)は障害者の尊厳をおびやかす虐待を防ぐための法律です。 それぞれの地域で、「障害者の尊厳ある暮らしの実現」を目指して、みんなで取り組みましょう。

平成24年10月 障害者虐待防止法が

施行されます。した。

秦 野 市

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 「虐待」というと、生命に関わるようなひどい暴力や悪質な行為ばかりが連想され、身近な問題ではないと感じる方もいるかもしれません。 しかし、「虐待」は日常の生活の中に潜んでいます。 それは、社会における「障害のある人」への差別や偏見、無関心といったことと無関係ではありません。 「虐待」は“人間の尊厳”を脅かす行為であり、社会に暮らす全員が「見逃さない・見過ごさない」意識を持つことが求められています。

福祉施設に通うAさんは、母親の死後、一人暮らしを始めましたが、金銭の管理に不安があった

ため、叔父さんに「預金通帳と印鑑」を預けました。はじめの数カ月は叔父さんがAさんに生活費を手渡ししてくれましたが、しばらくたつと、叔父さんから渡されるお金が少なくなってきました。Aさんは食事や着替え、医療費の支払いにも困るようになりました。Aさんは叔父さんに「通帳と印鑑を返してほしい」と話をしましたが、叔父さんは「Aさんは無駄遣いをするからだめだ。Aさんの保護者の自分がお金を管理するのは当然だ」と取り合いません。

福祉施設で生活しているBさんは、言葉を探しながら話すため、会話に時間がかかります。Bさ

んは施設で、ある特定の職員からいつも「もっとはっきり話せ!」と怒鳴られています。その様子を見ている他の利用者もBさんに対して暴言をはいたり、時には、頭や手を叩くなどの暴力をふるってくることもありますが、職員は知らんぷりしています。Bさんは「自分が悪いから仕方がない」と思って、誰にも相談せず我慢しています。

工場で働くCさんは、工場長のDさんから、いつも障害のことをからかわれています。Dさんの暴

言はだんだんエスカレートしていき、Cさんは精神的な苦痛から、仕事でミスを重ねるようになってしまい、職場で孤立してしまいました。

 これも「虐待」です!

養護者による「虐

待」では、障害者

の親族による行為

も含まれます。

障害者本人に「虐待」をされ

ているという認識があるか

どうかは関係ありません。

施設等で職員はもとより、

他の利用者からの暴力行為・

暴言等を職員が放置するこ

とも虐待にあたります。

職場での障害者に対

する不当な差別的言

動も「虐待」です。

事例①

事例②

事例③

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区 分 内   容

暴力や体罰によって身体に傷やあざ、痛みを与える行為。身体を縛りつけたり、過剰な投薬によって身体の動きを抑制する行為。

【具体例】●平手打ちする ●殴る ●蹴る ●壁に叩きつける ●つねる ●無理やり食べ物や飲み物を口に入れる ●やけど・打撲させる ●身体拘束

性的な行為やその強要。

【具体例】●性交 ●性器への接触 ●性的行為を強要する ●裸にする ●キスする ●本人の前でわいせつな言葉を発する、又は会話する ●わいせつな映像を見せる

脅し、侮辱などの言葉や態度、無視、嫌がらせなどによって精神的に苦痛を与えること。

【具体例】●「バカ」「あほ」など障害者を侮辱する言葉を浴びせる ●怒鳴る ●ののしる・悪口を言う ●仲間に入れない ●子ども扱いする ●人格をおとしめるような扱いをする ●話しかけているのに意図的に無視する

食事や排泄、入浴、洗濯など身辺の世話や介助をしない、必要な福祉サービスや医療や教育を受けさせない、などによって障害者の生活環境や身体・精神的状態を悪化、又は不当に保持しないこと。

【具体例】●食事や水分を十分にとらせない ●食事の著しい偏りによって栄養状態が悪化している ●あまり入浴させない ●汚れた服を着させ続ける ●排泄の介助をしない ●髪や爪が伸び放題 ●室内の掃除をしない ●ごみを放置したままにしてあるなど劣悪な住環境の中で生活させる ●病気やけがをしても受診させない ●学校に行かせない ●必要な福祉サービスを受けさせない・制限する ●同居人による身体的虐待や心理的虐待を放置する

本人の同意なしに(あるいはだますなどして)財産や年金、賃金を使ったり勝手に運用し、本人が希望する金銭の使用を理由なく制限すること。

【具体例】●年金や賃金を渡さない ●本人の同意なしに財産や預貯金を処分・運用する ●日常生活に必要な金銭を渡さない・使わせない ●本人の同意なしに年金等を管理して渡さない

身体的虐待

性 的 虐 待

心理的虐待

放棄・放任

経済的虐待

※「市町村・都道府県における障害者虐待の防止と対応」(厚生労働省 H24.3)より引用(一部変更)

障害者虐待防止法の対象となる「障害者」とは 身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む)、その他の心身の機能の障害がある方で、障害及び社会的な障壁により、継続的に日常生活または社会生活に相当な制限を受ける状態にある方です。障害者手帳を取得していない方も対象になります。

障害者虐待の定義は 障害者虐待防止法では、障害者虐待を次の3つにわけて定義しています。  ◇養護者による障害者虐待(※養護者とは家族、親族、知人など。本人との同居の有無は関係ありません。)  ◇障害者福祉施設従事者等による障害者虐待  ◇使用者による障害者虐待

 障害者虐待防止法では、何人も障害者に虐待をしてはならないとしています。 また、障害者が通学する学校や保育所等、障害者が利用する医療機関でも、関係者に対する研修の実施及び普及啓発、虐待に関する相談に係る体制の整備など、障害者に対する虐待を防止するために必要な取り組みをしなければならないと定めています。

 虐待の区分と内容例

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障害者虐待発見チェックリスト(参考)

「虐待」を受けている人は、本人にその自覚がない場合や、あきらめや我慢の気持ちが強くなってしまい、自らSOSを訴えられないことがあります。さらに障害のある人の中には、自らの気持ちを言葉にして他者に伝えることが苦手な人もいます。障害のある人の周囲の人々が、小さな兆候を見逃さないことが大切です。

<身体的虐待のサイン>□ 身体に小さな傷が頻繁にみられる□ 太ももの内側や上腕部の内側、背中などに傷やみみずばれがみられる□ 回復状態がさまざまに違う傷、あざがある□ 頭、顔、頭皮などに傷がある□ お尻、手のひら、背中などに火傷や火傷の跡がある□ 急におびえたり、こわがったりする□ 「こわい」「嫌だ」と施設や職場へ行きたがらない□ 傷やあざの説明のつじつまが合わない□ 手をあげると、頭をかばうような格好をする□ おびえた表情をよくする、急に不安がる、震える□ 自分で頭をたたく、突然泣き出すことがよくある□ 医師や保健、福祉の担当者に相談するのを躊躇する□ 医師や保健、福祉の担当者に話す内容が変化し、つじつまが合わない

<性的虐待のサイン>□ 不自然な歩き方をする、座位を保つことが困難になる□ 肛門や性器からの出血、傷がみられる□ 性器の痛み、かゆみを訴える□ 急におびえたり、こわがったりする□ 周囲の人の体をさわるようになる□ 卑猥な言葉を発するようになる□ ひと目を避けたがる、一人で部屋にいたがるようになる□ 医師や保健、福祉の担当者に相談するのを躊躇する□ 眠れない、不規則な睡眠、夢にうなされる□ 性器を自分でよくいじるようになる

 障害者虐待の早期発見に向けて

*ここに記載のサインはあくまで例示であり、類似の「サイン」にも注意深く目を向ける必要があります。

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<心理的虐待のサイン>□ かきむしり、かみつきなど、攻撃的な態度がみられる□ 不規則な睡眠、夢にうなされる、眠ることへの恐怖、過度の睡眠などがみられる□ 身体を萎縮させる□ おびえる、わめく、泣く、叫ぶなどパニック症状を起こす□ 食欲の変化が激しい、摂食障害(過食、拒食)がみられる□ 自傷行為がみられる□ 無力感、あきらめ、なげやりな様子になる、顔の表情がなくなる□ 体重が不自然に増えたり、減ったりする

<放棄・放任のサイン>□ 身体から異臭、汚れがひどい髪、爪が伸びて汚い、皮膚の潰瘍□ 部屋から異臭がする、極度に乱雑、ベタベタした感じ、ゴミを放置している□ ずっと同じ服を着ている、汚れたままのシーツ、濡れたままの下着□ 体重が増えない、お菓子しか食べていない、よそではガツガツ食べる□ 過度に空腹を訴える、栄養失調が見て取れる□ 病気やけがをしても家族が受診を拒否、受診を勧めても行った気配がない□ 学校や職場に出てこない□ 支援者に会いたがらない、話したがらない

<経済的虐待のサイン>□ 働いて賃金を得ているのに貧しい身なりでお金を使っている様子がみられない□ 日常生活に必要な金銭を渡されていない□ 年金や賃金がどう管理されているのか本人が知らない□ サービスの利用料や生活費の支払いができない□ 資産の保有状況と生活状況との落差が激しい□ 親が本人の年金を管理し遊興費や生活費に使っているように思える

【参考情報】セルフネグレクト(自己による放任)についてセルフネグレクト(自己による放任)については、障害者虐待防止法に明確な規定がありませんが、このようなサインが認められれば、支援が必要な状態である可能性が高く、対応をする必要があります。

<セルフネグレクトのサイン>□ 昼間でも雨戸が閉まっている□ 電気、ガス、水道が止められていたり、新聞、テレビの受信料、家賃の支払いが滞っている□ ゴミが部屋の周囲に散乱している、部屋から異臭がする□ 郵便物がたまったまま放置されている□ 野良猫のたまり場になっている□ 近所の人や行政が相談に乗ろうとしても「いいよ、いいよ」「放っておいてほしい」と遠 慮し、あきらめの態度がみられる

※「市町村・都道府県における障害者虐待の防止と対応」(厚生労働省 H24.3)より引用

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◇「虐待」の芽は日常の中に潜んでいる「虐待」は密室で起こりがちであるため、見えにくいと言われますが、実は、虐待されている本人の周囲にいる人々は、本人の権利が脅かされている事態を薄々は気づいていた、気になっていた、ということも少なくありません。しかし、「あの人は“特別”だから、少しくらいは仕方がない」という思いが心のどこかに潜んでいて、感覚を鈍らせ、虐待の深刻化を助長してしまっていることが少なくないのです。

◇「障害のある人」は「特別な人」ではなく「特別の困難がある普通の市民」 障害のある人は、その障害によっては、自分の気持ちを言葉で表現したり、他者とのコミュニケーションをと

ることが苦手だったり、社会の一般的な約束事を守ることが困難だったりすることがあり、社会生活において特別な支援や配慮を必要とすることがあります。しかし、障害のある人は障害のない人とは異なる「特別な人」ではありません。障害がある人は、私たちと同じ暮らしの中で、通常の生活のニーズを満たすために「特別な困難」があるだけの、「普通の市民」なのです。

◇「自分のことは自分で決めたい」のはみな同じ「どこに住むか」「誰と結婚するか」など、自分の生き方、暮らし方については、誰もが「自分自身で選び、決める」権利があります。しかし、障害のある人は社会の側で環境が整備されていないために、暮らす場所や暮らし方に制約を受けていることが多くあります。また、日本では障害のある人の「自立年齢」が曖昧なために、障害のある人は成人になっても家族と暮らし続けることを余儀なくされたり、障害のある人の親は高齢になっても、障害のある我が子の介護をすることが“あたり前”となってしまっている場合もあります。障害のある人も、障害のない人と同じように社会生活を営む権利があり、その権利は社会全体で守られなければなりません。

◇権利を守るということは「自分が大切にされたいように、相手を大切にすること」 権利を守るということは、決して難しいことではありません。それはとてもシンプルで「私が大切にされたいように、私も相手を大切にすること」に他なりません。自分自身に関することは自分の意思を尊重してほしいと願うように、相手を尊重するために、相手の“思い”を聴くこと、意向を確認することが、その第一歩となります。障害のために言葉で意思を伝えることが難しい人でも、言葉以外の本人の表情や声の調子、身体の動かし方などのサインで“思い”は表現されています。どんなに障害が重い人であっても、本人の“思い”を本人から聴くことが、まずは大事にされなければなりません。

◇「安心して暮らせる社会」をつくるのは、私たち一人ひとり 障害のある人に限らず、高齢者でも子どもでも、「虐待」が起こったら、専門機関等による適切な対応で速やかな解消・解決が図られなければなりません。しかし、「起きてしまった虐待」に対応することと同じくらい、「虐待を起こさせない」ことに取り組むことも大事になります。「虐待を起こさせない」ためには、専門機関だけでなく、一人ひとりが自分の暮らす地域に目を向け、生活のしづらさを抱えている人に関心を寄せ、声をかける、見守るなど、いま、自分にできる行動を起こすことから始まります。社会でともに暮らす私たちは、誰もが必ず誰かを支え、誰かに支えられている関係にあります。「誰か」のための小さな取り組みが、「自分自身」の暮らしやすさにもつながるのです。

「障害のある人の権利」を守るために

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