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MDAFramework 開発のためのゲーム分析:⼿ 法と実例の紹介 DiGRAJ ゲームデザイン研究会 Kenneth Chan - @chankenneth

Mda framework for gcs2013

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開発のためのゲーム分析:⼿法と実例の紹介

DiGRAJゲームデザイン研究会Kenneth Chan - @chankenneth

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Who is Kenneth Chan?

• ⾹港⼈– オーストラリア(3年)・アメリカ(4年)在住経験– 2009年から⽇本にいる

• 学歴– ノートルダム⼤学⼯業デザイン学部卒業– 東京⼯科⼤学修正課程修了

• 学術成果– 脳波分析を基にしたゲームデザインの構造研究(2009-2011)– Siggraph Asia、Nicograph、CEDECなどで発表– 査読付き学会論⽂・学会誌投稿あり

• キューエンタテインメントでゲームデザイナー・プロデューサーをやってる

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DiGRAJゲームデザイン研究会

• DiGRAJ所属

• 学問としてのゲームデザインの構造化、⼿法、発展を研究する会

• 学術及び現場両⽅の視点からのアプローチ

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MDAフレームワークの紹介

• Marc LeBlancが提唱するゲームの構造のコンテクストを共有するための思想プロセス、総論

• 2004年に論⽂化されている

• GDCで毎回ワークショップを開催している

• ゲームの設計、分析、研究をつなげるフレームワーク

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ゲームの基本構造

ルール

システム

楽しさ・⾯⽩さ

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MDAにおけるゲームに基本構造

[M]echanics

[D]ynamics

[A]esthetics

メカニックス

ダイナミックス

アスセティックス

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MとDとAの定義

• Mechanics (メカニックス) • データ、アルゴリズムレベルのゲームの根本的な仕組み

• Dynamics (ダイナミックス)• 様々なMechanicsの相互作⽤。プレイヤーの操作によって⽣まれてくる展開

• Aesthetics (アスセティックス・表現)• ゲームとインタラクションを通してプレイヤーが感じる望まれる感情

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作り⼿と消費者:2つの異なる観点

[M]echanics

[D]ynamics

メカニックス

ダイナミックス

アスセティックス

[A]esthetics

製作者視点

消費者視点

消費者視点は必然的に分析者視点と同じ

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Aesthetics:それは楽しさ

• FFは楽しいよね

• Haloは楽しいよね

• Simsは楽しいよね

• 楽しいゲームがいっぱいだね!

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Aestheticsを具体化しよう

• Sensation (知覚):知覚的な喜びを与えるゲーム• Fantasy(ファンタジー):仮想世界として楽しめるゲーム• Narrative(物語):物語として楽しめるゲーム• Challenge(挑戦):障害を乗り越える楽しみを味わえるゲーム• Fellowship(仲間意識):ソーシャルフレームワークとしてのゲーム

• Discovery(探検):⾒知らぬ領域を探検する楽しみを味わえるゲーム

• Expression(表現):⾃⼰発⾒としてのゲーム• Submission(服従):暇つぶしとしてのゲーム

• まだまだた⾊んな「⾯⽩さ」と「楽しさ」がある!

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Aestheticsをモデル化しよう

• FFの楽しさは:ファンタジー、物語、表現、探検、挑戦

• Haloの楽しさは:挑戦、知覚、競争、ファンタジー

• Simsの楽しさは:探検、ファンタジー、表現、物語

• まずこれでコンテクストを共有しよう!

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Dynamics:それは「ゲーム性」

• Mechanicsによって⽣み出される展開

• プレイヤーの⾏動理由とその結果を探る際に検討される項⽬

• プレイヤーの⾏動予測、ゲームバランスの想定などには必要不可⽋!

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Dynamicsをモデル化しよう

• 2d6のモデル

• とても簡単な分布図

• 何万回もサイコロを投げた場合の値の的中確率 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12

確率

合計

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Dynamicsのモデルを分析しよう

• モノポリーのモデル

• 多⼈数の相互作⽤が働く

• 負ければ負けるほど、負ける

• 勝てば勝つほど、勝つ

• 考え⽅によればバランス崩壊とも取れる?!

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Mechanics:それはゲーム世界のルール

• 必要なDynamicsを実現するためのカラクリ– 不要なDynamicsを実現させないためのカラクリ

• トランプのMechanics:カードシャッフル、賭け、カードを⾒せないなど

• FPSゲームのMechanics:弾薬、復活ポイント、⾃動充電型シールドなど

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Mechanicsには必ず意味がある(はず)!

• Dynamicsを⽣み出すためのカラクリだから!ゲームの循環には必要不可⽋!

• Mechanicsによって直接⽣み出されるDynamicsは⽐較的に予測しやすい

• Mechanicsによって間接的に⽣み出されるDynamicsは予測しにくい

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MechanicsとDynamicsの関係

• 直接的に⽣み出されるDynamics– モノポリーでは⾦を稼いで⼟地を買って、更に⾦を稼ぐゲームプレイが展開される

– FPSゲームに弾切れと弾薬回復アイテムを⼊れることで、戦闘が⻑引けば弾薬をめぐる戦いが始まる

• 間接的に⽣み出されるDynamics– モノポリーの貧富の差の問題– FPSゲームの弾薬回復アイテム出現ポイントに芋るやつらが現れる…

芋:FPSなどで展開を無視してずっと同じところに篭るプレイヤーのこと。⼈権が認められない。滅ぶべし。

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MDAによるゲーム分析

• ゲームの構造を解明する– ゲームのサイクル– ゲームのカラクリ– ゲームの各要素の相互関連性– ゲームの「筋」の通し⽅

• ゲームの「良し悪し」を構造ベースで評価することが可能になる– 「良し悪し」とはMDAサイクルの整合性の精度

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MDAの開発実践サイクル

[M]echanics

[D]ynamics

[A]esthetics結果

処理

⼿段

③意図した処理が実現可能なのか?

意図していない処理が働かないか?

②どんな⼿段をとれば意図した処理が実現できるか?

①どんな処理があれば望まれる結果が得られるか?

④望まれる結果はちゃんと得られたか?

Aestheticsをベースにゲームシステムを合理的に構築する

固定

可変

可変

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MDAの分析実践サイクル

[M]echanics

[D]ynamics

[A]esthetics結果(仮説)

処理

⼿段

④使った⼿段は想定していた処理に役⽴ったか?

想定していない処理に役⽴ったか?

③どんな⼿段が働いたか?

②どんな処理があったからそう感じた?

⑤望まれる結果はちゃんと得られたか?

プレイヤー感覚

固定

①感じたことをクラスター化するとどうなる?

⑥感情の仮説と実際感じたことに相違はないか?

固定

解釈

解釈

プレイヤー感覚とMechanicsをベース、AestheticsとDynamicsを合理的に説明する

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分析者側のMDA

• このゲームのAestheticsはこうだ!

• このゲームの展開を⾒れば、Dynamicsこういう⾵にAestheticsを実現していることがわかるんだ!

• このゲームのMechanicsはこういう⾵にDynamicsを⽣み出しているんだ!

• このようにゲーム全体の構造を解明することができる

• ただ、ここまでうまくいかない場合もある

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分析サイクルがうまくいく保証はない

• 分析サイクルを回せば回すほど、プレイヤー感覚とAesthetics(仮説)が乖離していく– 仮説が間違っているか?– ゲームが間違っているか?

• 分析サイクルを回せば回すほど、DynamicsがAestheticsかMechanicsと噛み合わなくなる– 解釈が間違っているか?– ゲームが間違っているか?

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MDA分析を通して得られること

• ゲームの構造の分かりやすさを検証できる

• ゲームの整合性を検証できる

• ゲームの整合性の取り⽅を解明できる– 整合性がとれてない場合、反⾯教師にもなれる

• ただし、全ては分析側の仮説と解釈を元に⾏われるので、開発者の本来の意図を確認できるわけではない– 分析者が納得できる結論にさえたどり着けば、為になる

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MDA Frameworkリソース• 当⽅のMDA Frameworkの説明資料:

– http://www.slideshare.net/igda_jp/mda-framework-for-sig-bg-20130202-16329478

• MDA Framework提唱者Marc Leblanc⽒のホームページ:– http://8kindsoffun.com/– GDCのスライド、ワークショップのマテリアル、セミナー資料なだが載っています

• MDA Framework論⽂:– http://goo.gl/jtYM5 (英語)– http://goo.gl/Wojlq (論⽂の⼀部の⽇本語訳)

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開発のためのゲーム分析:⼿法と実例の紹介

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