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MRアンケートによる製薬企業の営業力診断 武藤 MarkeTech Consulting 代表 Diagnosis of Sales Capability using MR Survey Takeshi Muto President, MarkeTech Consulting 1

MRアンケートによる製薬企業の営業力診断 - Sas Institute · 2018-07-05 · 2.mrアンケートによる営業力診断の方法 [4]インパクト力(mr活動の質)の算出方法

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MRアンケートによる製薬企業の営業力診断

武藤 猛MarkeTech Consulting 代表

Diagnosis of Sales Capability using MR Survey

Takeshi MutoPresident, MarkeTech Consulting

1

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要旨:

製薬企業の営業力強化で重要な役割を果たすMR活動の質を、アンケートで測定・分析し、活用する方法を提案する。MR活動の質を、営業力およびインパクト力として指標化し、診断に活用する方法を説明する。

キーワード:

医薬品営業、MR生産性、アンケート、営業力診断、MR活動の質、

インパクト力

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MRアンケートによる製薬企業の営業力診断 内容

1.営業力診断の考え方

2.MRアンケートによる営業力診断の方法

3.営業力診断の事例

4.営業力診断を活用した営業力強化について

5.まとめと今後の課題

3

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1.営業力診断の考え方[1]製薬企業を取り巻く環境変化と求められている経営改革

【製薬企業に求められている経営改革】●「選択と集中」の一層の徹底●研究開発強化と新薬開発の効率化●営業・マーケティング手法の改革

【製薬業界を取り巻く環境変化】①医療概念・ニーズの変化による医薬品市場の構造変化⇒生活習慣病領域の成熟・衰退、スペシャリティ領域の成長

②MRに対する質向上への要求増大③訪問規制・接待自主規制など、MR活動への制約増大④医療費抑制・薬価引下げ圧力増大⇒ジェネリックの急成長⑤医療機関を取り巻く環境変化⇒地域医療連携、DPC、チーム医療

●MR生産性アップ●ディテーリング回数依存

からの脱却●専門MR(がん領域など)●エリアMRと専門MRの

体制見直し●エリアMRの支援体制●eディテーリングの併用

4

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1.営業力診断の考え方[2]営業力の定義と営業力診断の目的

営業力とは、営業部門が成果を達成する(高い顧客満足度、MR生産性、売上高など)

ための組織内の要因であり、営業幹部や営業マネジャー、MRが統制可能なものである。別名SFE(Sales Force Effectiveness)ドライバー

とも呼ばれ、営業部門の目標達成を駆動する。

【営業力診断アンケートの目的】MR活動の質を中心とした営業力診断により、

強化すべき営業力を明らかにする;製薬企業は、そこに努力を集中すれば、効果的

かつ効率的に営業部門の強化を達成できる

5

社内の営業支援(SFA)システムで容易に抽出可能な、各MRのディテーリング(訪問)回数は営業力には含めない

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1.営業力診断の考え方[3]「MR活動の質」をどう定義するか

MR活動の質の測定

顧客の視点から

社内の視点から

医師満足度調査によるMR評価

上司同行訪問時の観察

MRアンケート調査(営業力診断)

実践項目チェックシート活用

営業日報分析(テキストマイニング)

MR活動の質を高める第一歩は「測定すること」である;なぜなら、「測定できないものは管理できない」(P.F.ドラッカー)からである

最も望ましい測定方法

営業日報の「医師の声」

を分析

同行訪問の他、MRの

自己管理用として活用

営業力とインパクト力

を算出

同行訪問直後上司がアドバイス

6

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1.営業力診断の考え方[4]営業力診断とモラルサーベイ(社員意識調査)の違い

No. 項目 営業力診断 モラルサーベイ(社員意識調査)

1 目的 営業力強化のための具体的改革指針を得る 組織活性化のための具体的改革指針を得る

2 対象 営業部門 全社

3 記名/匿名の区別 記名方式 一般には匿名方式

4 調査内容①活動計画、②営業プロセス、③実績管理、④組織管理、⑤業績評価、⑥会社満足度

①組織方針の浸透度合い、②組織運営状況、③コミュニケーション(上司・部下、組織内)、④処遇への満足度、⑤意欲・満足度

5 業績データとの紐付け 行う 行わない

6 分析内容①MR別(営業力、インパクト力)、②組織別(営業力、インパクト力)

組織別分析が一般的

7 フィードバック ①MR別、②組織別 組織別(マネジャー宛)

8 活用例①MRの個人指導、②マネジャーの指導、③営業教育内容の改善、④業績管理方法の改善

①組織別活性度に基づくマネジャーの指導、②社員教育の改善、③マネジャー教育の改善

7

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■MRアンケートによる営業力診断の内容:-MR別に、営業力・インパクト力(MR活動の質)を診断する-営業組織別に、営業力・インパクト力を診断する

■営業部門メンバー(個人目標を持つMR)へのアンケートを行う

■期間:実施決定から報告書提出まで約2ヶ月

■事前ヒアリング:-営業幹部:営業戦略、営業組織、業績管理、営業教育など-優秀MR:行動内容をヒアリング

2.MRアンケートによる営業力診断の方法[1]営業力診断の概要

8

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①準備 ②実施

③分析

2.MRアンケートによる営業力診断の方法[2]営業力診断の全体フロー

基本集計問題構造の把握

営業力の分析

まとめ

●欠損値チェック●回答分布チェック●社歴区分値●目標達成率区分値●回答一次集計

(選択肢別回答数)●コメント分類

●業績データ統合●営業構造把握

・相関係数・重回帰分析

●コメント分析●問題構造の把握

●営業力抽出・グルーピング

(因子分析)・偏差値化

●インパクト力計算●個人別比較●組織別比較

●営業力診断●MR生産性アップの

ために何が必要か?

ヒアリングアンケート

原案アンケート

最終案

●ヒアリングに基づくアンケート原案

●原案精査●修正内容検討●アンケート最終案

●営業戦略●優秀MRの行動内容

アンケート実施

●社内Webにより実施●社内Webにより集計

9

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2.MRアンケートによる営業力診断の方法[3]MRアンケートによる営業力診断の分析方法

MR行動要因(アンケート)

営業力1

営業力2

営業力n

・・・

営業力

営業力1(偏差値)

営業力2(偏差値)

営業力n(偏差値)

・・・

偏差値化

営業力とは、MRの主要行動パターンである;回答の

分布を調べ類似したものをグルーピングして求める

(因子分析による)

[注]質問事項は、製薬企業での診断実績を踏まえ、「優秀なMRであれば実践している可能性の高い行動パターン」 の候補をほぼ網羅している。このため、「営業力」には、各社の組織文化特性を反映した「優秀MR像」が抽出される。

平均値50 標準偏差10の正規分布と仮定

インパクト力

インパクト力とは、MR別達成売上高を

最も良く説明するMRの総合力である(重回帰分析による)

営業力を総合

ドクター

処方獲得のためのMRの総合力

達成売上高に貢献している営業力は?

全くその通

その通り

どち

らとも言え

ない

そうではな

全くそ

うではな

Q01私が訪問するのは、原則として会社から指定されたターゲット施設・ドクターのみである。

5 4 3 2 1

Q02私が担当する重要施設に対して、活動計画を作成し、実行している。

5 4 3 2 1

・・・ ・・・

・・・ ・・・

Q40 私は当社に満足している。 5 4 3 2 1

Q41MR活動の生産性を高めるため、建設的なご意見があれば、以下に、自由に記入してください。

10

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2.MRアンケートによる営業力診断の方法[4]インパクト力(MR活動の質)の算出方法

を偏差値化する。⑤インパクト力

・・・である:力

インパクト値を求めると、これがはMR生産性)の予測各MRの売上高(また

用いて、)と各MRの営業力を・・・ラメータ(④得られた回帰式のパ

・・・

帰式を作成する:を目的変数にして、回(またはMR生産性)③売上高

換する)、つまり営業力に変・・・(②因子負荷量を偏差値

)を算出する・・・MRの因子負荷量(①因子分析により、各

i

nniii

n

nni

i

n

n

I

XbXbXbbISI

bbb

XbXbXbbSS

XXX

xxx

22110

10

22110

21

21

ˆ

,,,

,,,

,,,

インパクト力(MR活動の質)の算出方法

[注]目的変数として、売上高の他、MR生産性や顧客内シェアなどが考えられる;つまり、製薬企業がMRに何の達成を求めているかで、「MR活動の質」の内容が異なってくる 11

通常は売上高の予測式であるが、逆転の発想でインパクト力と考える

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2.MRアンケートによる営業力診断の方法[5]アンケート項目の例

ドクターとの面談に関する質問項目例

全くその通

その通り

どち

らとも言え

ない

そうではな

全くそ

うではな

Q08 5 4 3 2 1

Q09 5 4 3 2 1

Q10 5 4 3 2 1

Q11 5 4 3 2 1

Q12 5 4 3 2 1

Q13 5 4 3 2 1

Q14 5 4 3 2 1

Q15 5 4 3 2 1

Q16 5 4 3 2 1

Q17 5 4 3 2 1

私はドクターに、製品のメリットだけではなく、その製品で留意すべき事項も説明している。

ドクターとの面談中、私が話す時間よりも、私がドクターの話に耳を傾ける時間の方が長い。

営業所内(または営業部門内)で、成功する話法が共有化され、私も活用している。

私の担当先への訪問回数は、重要度に応じてメリハリをつけている。

ドクターとのアポイントを取ることは、特に苦にならない。

私は、重要施設の攻略が成功するまで、様々な工夫をして、決してあきらめない。

私は常日頃、ドクターに関する公的・私的な情報を出来るだけ多く集めるよう、心掛けている。

私は患者さんにどうすれば役立つか、具体的イメージを持って、毎回担当先を訪問している。

私は当社の製品を、自信を持ってドクターに紹介できる。

私は、製品パンフレットや販促資材の効果的プレゼンのために、自分独自の工夫をしている。

12

「考え方」ではなく、特定の行動を「実行しているかどうか」を聞く

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3.営業力診断の事例[1]組織全体の診断例①:営業力とインパクト力の抽出例

F01_ドクターの信頼獲得

F02_営業所マネジメント

F03_積極的な知識・スキル獲得

F04_会社の仕組みへの満足

F05_アクションプランの作成実行

F06_効果的なターゲット先訪問

F07_活動実績報告

MRの営業力 MRの本来の潜在的な営業力が

一部、活かされていない

インパクト力

処方獲得のためのMRの総合力

ドクター

インパクト力を高めるのに貢献

インパクト力には影響していない

13[注]以下で説明する事例は、実際の実施例を基に作成した、仮想的なものである

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3.営業力診断の事例[1]組織全体の診断例②:売上高とインパクト力の関係

【売上高対インパクト力の近似式】y = 1.9807x + 91.406

R² = 0.145

0

50

100

150

200

250

300

350

400

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90

売上高

MR活動の質(インパクト力の偏差値)

MRのインパクト力(MR活動の質)と売上高との関係の例

相関係数=0.381

14

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454647484950515253

F01_ドクターの信頼

獲得

F02_営業所マネジメ

ント

F03_積極的な知識・

スキル獲得

F04_会社の仕組み

への満足

F05_アクションプラ

ンの作成・実行

F06_効果的なター

ゲット先訪問

F07_活動実績報告

MR業績グループ別の営業力の特徴

LPグループ

HPグループ

3.営業力診断の事例[2]MRの営業力診断例①:業績グループ別営業力

ドクターの信頼獲得が業績達成に重要

営業所長のマネジメント力が業績達成に重要

営業教育がHPの役に立っていない

HPは会社の仕組みに必ずしも

十分満足していない

アクションプランは業績達成に役立っている

ターゲティングが業績達成に役立っている

活動報告はHPにとって好きではない

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(低業績)

(高業績)

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3.営業力診断の事例[2]MRの営業力診断例②:ハイパフォーマーの特徴的行動

HP(High Performer)に特徴的な行動要因(例)

HPは毎回の面談の事前準備を十分行う

HPは事前にドクター情報を収集する

HPは患者数を把握する

HPは製品や症例説明のプレゼンに工夫する

HPは一度断られてもあきらめない

HPはドクターの話を傾聴する

HPは訪問回数にメリハリをつける

16

これは、当社の優秀MRを特徴づける、一種の「コンピテンシーモデル」といえる

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3.営業力診断の事例[3]組織別別営業力診断例

40

45

50

55

60F01_ドクターの信頼獲得

F02_営業所マネジメント

F03_積極的な知識・スキル獲得

F04_会社の仕組みへの満足F05_アクションプランの作成・実行

F06_効果的なターゲット先訪問

F07_活動実績報告

支店別営業力の比較

A支店(目標達成)

B支店(目標未達)

[注]支店別営業力は、所属MRの偏差値の平均として算出した

17

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3.営業力診断の事例[4]組織文化の診断例:会社満足度と業績達成率の関係

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

会社満足度_低 会社満足度_中 会社満足度_高

人数比率(%)

会社満足度と業績達成率の関係(X社)

達成率_低 達成率_中 達成率_高

[注]人数比率は、達成度レベルを各々100%とした比率

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

会社満足度_低 会社満足度_中 会社満足度_高

人数比率(%)

会社満足度と業績達成率の関係(Y社)

達成率_低 達成率_中 達成率_高

[注]人数比率は、達成度レベルを各々100%とした比率

会社満足度と業績達成率にあまり関係がない例

業績達成率高グループの会社満足度が相対的に低い場合

MRのモチベーションを高める制度が機能しているか、検討する必要がある

高業績者(HP)の満足度が高くない理由を調査し、対策を打つ必要がある

18自由記入欄のキーワード分析も組織文化の診断に有用である

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3.営業力診断の事例[5]営業力診断のまとめの例

[注]HP/MP/LPは、各々High/Middle/Low Performer (高/中/低業績)のMRを意味する。

No. 分野 改善策 改善策に関する留意事項

1業績評価制度

の見直し

●業績評価制度の一部手直し(個人評価と組織評価との関係)●HPに有効な非金銭的刺激の強化 (表彰、優秀MRへの特典、キャリアパス優遇など)

●個人の他メンバーへの貢献を指標化●組織評価はマネジャーのみとすべきか

2 MR教育の強化

●医薬品市場の変化に合わせた、教育訓練メニューの見直し●コミュニケーション能力のスキルアップ教育を行う●特に実践的な営業スキル教育の強化●営業所長または先輩MRによる若手指導

●一方的な教育コースを見直す●小グループのワークショップ形式も一案

3マネジャー教育

の強化●営業所長教育(マネジメント全般)●効果的な同行訪問の全社的教育

●同行訪問の実態調査が必要●その上で、全社教育の内容を設定

4ターゲティングの

精度アップ

●現状ターゲティング先の検証●患者数データベースの精度向上●本社主導による精度の高いターゲティング実施

●過去データでターゲット先の妥当性を検証

5 MR活動の質向上●MR活動の質評価を指標化し、測定する (営業支援システム活用)●ドクターの信頼獲得のノウハウを社内で共有する

●HPの活動内容を参考にする●独自の医師アンケートを行なうことも一案

6 訪問計画見直し●アクションプランが形式的になっていないかの点検●ターゲティングやターゲット先への訪問回数の検証●最適訪問回数の設定

●売上レスポンス分析で最適訪問回数算出●ターゲット先別に、訪問回数の推奨値を設定

7営業支援

システムの見直し

●現在の活動報告の仕組みの検証●MRの負担を減らす活動報告の仕組みの再構築●本社からの情報提供の見直し(内容と使い易さ)●MRの事務作業を減らし、営業活動時間を増やす

●データの多重入力は避け、システム間連携で解決●MRが入力しなくても済むデータはないか検証

19

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4.営業力診断を活用した営業力強化について[1]売上アップの公式

売上=ターゲ

ティング

MR活動の質 ×

ディテーリング回数×

最適な顧客に

最適な頻度で届ける

質の高いメッセージを

「売上アップの公式」売上アップに対して即効性が大きい3要因にフォーカス

[注]これは、「数式」ではなく、「売上を決定する要因は3つに集約される」という意味である;なお、この公式は様々な疾患領域で実証済みである

営業力診断で数量化

SFAデータで数量化

施設・医師データで数量化

20

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4.営業力診断を活用した営業力強化について

[2]成熟期の製品向けの実用的ターゲティング方法

成熟期の製品の実用的ターゲティング方法(質的軸⇒自社シェア)

重要顧客セグメントに対する営業戦略例

【留意事項】①すべての顧客を割り振る②潜在顧客を含める③量的基準、質的基準ともに

顧客数がほぼ同数になるように区分値を調整する

【効用】①HPに患者数の60%~

70%が集中する②質的基準により、競合

を退け、自社独自の戦略で顧客の信頼を獲得可能となる

60%~70%の患者が集中するHPが、最も重要な顧客セグメントである

SEG31競合製品では対応困難な症例を中心に、徐々に信頼関係を構築していく

SEG32顧客の使用薬剤パターンを分析し、自社製品が効果的に使える症例からアプローチを強めていく

SEG33 自社ファン顧客とのパートナーシップを維持・強化する

患者数が多いということは、重症患者や合併症など高度な治療ニーズが集中していることをも

意味している

量的基準 

 質的基準LP(少)

MP(中)

HP(多)

自社シェア 小 SEG11 SEG21 SEG31

自社シェア 中 SEG12 SEG22 SEG32

自社シェア 大 SEG13 SEG23 SEG33

販売ポテンシャル(対象疾患領域の患者数)

方意

21

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4.営業力診断を活用した営業力強化について[3]MR活動の質を高めるための方策の例

MR活動の質を高めるために

MR基礎(導入)教育基礎教育

継続教育

自己啓発

社会人マナー教育

配属先でのOJT

MR継続教育

スキル教育

上司の同行訪問

幅広い人間力涵養

マネジメント能力向上

経験からの学び

22

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4.営業力診断を活用した営業力強化について[4]ディテーリング回数の最適化

0

100

200

300

400

500

600

700

800

0 1 2 3 4 5 6 7

売上

高S

ディテーリング回数 D

[注]売上高はMR別の施設平均月売上高、ディテール回数は月平均値である

相関係数=0.479

N=48

売上レスポンス分析①線形回帰モデル

(主に生産性を算出)

売上高-ディテーリング回数散布図(例)

売上レスポンス分析の流れ

元の施設別データは、非常にバラツキが大きいので、MR別平均値などを用いて、バラツキを抑制する

売上レスポンス分析②2次曲線回帰モデル

(主に限界DTL回数を算出)

23

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重要セグメントの徹底カバー

売上 =ターゲ

ティング ××

マーケティング戦略(セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング)

重要セグメントカバーのための訪問計画の実施

ディテーリング回数

本社マーケティング

部門

重要セグメント重要セグメントカバー率

業績指標(KPI)→

営業部門

医師のニーズに応じた情報提供

MR活動の質

営業力インパクト力

訪問計画実施率

コントロール変数にしてはならない

2番目に重要なコントロール変数

最も重要なコントロール変数

4.営業力診断を活用した営業力強化について[5]「売上アップの公式」に基づくMR生産性アップ

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5.まとめと今後の課題[1]まとめ

①「MR活動の質」を、MRアンケートにより数量化することが可能である

②求められる「MR活動の質」は、製薬企業の製品分野や医療関係者に提供する情報の内容により、製薬企業毎に異なる

③数量化することで、MR自身の自己研さんや、マネジャーによるコーチングに活用できる

④ターゲティング精度の向上、ディテーリング回数の最適化と併せて、MR活動の質の向上は、MR生産性アップにつながる

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5.まとめと今後の課題[2]今後の課題

①医薬品市場のダイナミックな変化に合わせて、求められる「MR活動の質」も変わっていく;MRアンケートでこのことを反映するには、現場のMR活動を注意深く観察し、変化をアンケートに取り入れることが不可欠である

②eディテーリングなど、インターネットを利用した医師へのアプローチが増大している;このような環境で、MR活動とeディテーリングの量(回数)および質(提供する情報など)に関して、「チャネル最適化」を検討するニーズが高まっている

26