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NAFA Spring Seminar 2004 NAFA Spring Seminar 2004 今今今今今今 「」 今今今今今今 「」 Debater Debater 今今今今今今 今今今今今今

NAFA Spring Seminar 2004

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NAFA Spring Seminar 2004. 「今期の展望」 〜Debater の視点から 〜. 担当. 関 真一郎 ( UT 新3年) 佐々木 翼 ( UT 新3年). この講座の位置づけ. 「今期の展望」 経済的アプローチ(仲村) 論題の背景を理解するうえで必要な、経済についての基礎知識を解説。 ディベート的アプローチ(この講義) 実際に試合を進めていくうえで、どういった戦略が考えられるのか、議論の種を提供する。. この講座の構成. 前半(関) スタンダードなプランについて Net の議論が中心 後半(佐々木) 様々なプランを扱う - PowerPoint PPT Presentation

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Page 1: NAFA Spring Seminar 2004

NAFA Spring Seminar 2004NAFA Spring Seminar 2004

「今期の展望」「今期の展望」〜〜 DebaterDebater の視点から〜の視点から〜

Page 2: NAFA Spring Seminar 2004

担当担当

関 真一郎関 真一郎(( UTUT 新3年)新3年)

佐々木 翼佐々木 翼(( UTUT 新3年)新3年)

Page 3: NAFA Spring Seminar 2004

この講座の位置づけ

「今期の展望」

経済的アプローチ(仲村) 論題の背景を理解するうえで必要な、経済についての基

礎知識を解説。

ディベート的アプローチ(この講義) 実際に試合を進めていくうえで、どういった戦略が考え

られるのか、議論の種を提供する。

Page 4: NAFA Spring Seminar 2004

この講座の構成

前半(関) スタンダードな

プランについて Net の議論が中心

後半(佐々木) 様々なプランを扱う CP 、 Fiat など、

Theory が中心

Page 5: NAFA Spring Seminar 2004

講座概要(前半・関担当分)

論題についてPlan ActionAD と DA の検証具体的事例と Plan の検証どのようなスタンスから論じるべきか

Page 6: NAFA Spring Seminar 2004

第1章第1章

「論題について」「論題について」

Page 7: NAFA Spring Seminar 2004

1-1. 今期の論題

Resolved: That Japan, the People‘s Republic of China, the Republic of Korea, and all the ASEAN members should each abolish its domestic currency and jointly adopt a common currency.

日本・中国・韓国および全 ASEAN 加盟国は,自国通貨を廃止し,共通通貨を採用すべきである。

Page 8: NAFA Spring Seminar 2004

1-2. どの国がプランの対象となるのか

日本中華人民共和国 (香港を含む)

大韓民国全 ASEAN 加盟国

Page 9: NAFA Spring Seminar 2004

1-3. ASEAN とは?

Association of Southeast Asian Nations東南アジア諸国連合

Page 10: NAFA Spring Seminar 2004

設立 1967 年 8 月 8 日、於:バンコク

目的 域内における経済成長、社会・文化的発展の促進。 地域における政治・経済的安定の確保。 域内諸問題の解決。

Page 11: NAFA Spring Seminar 2004

原加盟国 インドネシア マレーシア フィリピン シンガポール タイ

新規加盟国 ブルネイ (84) ベトナム (95) ラオス (97) ミャンマー (97) カンボジア( 99 )

• 以上 10ヶ国

Page 12: NAFA Spring Seminar 2004

日本の約 12倍の面積人口は 5億人以上経済規模は 日本の約 8 分の 1 中国の約半分

Page 13: NAFA Spring Seminar 2004

第2章第2章

「「 Plan ActionPlan Action 」」

Page 14: NAFA Spring Seminar 2004

2-1. 様々な通貨制度

スタンダードなアクション 新しい統一通貨を作り、旧通貨は廃止

その他のバリエーション 新しい統一通貨を作るが、旧通貨は存続 固定相場制へ移行 円や元などを統一通貨にする ドルやユーロを統一通貨として採用する 枠組みを変えて通貨統合

Page 15: NAFA Spring Seminar 2004

アジア各国の通貨制度 変動相場制

日本・韓国・タイ・フィリピン・インドネシア ドル・ユーロなどの主要通貨はすべて変動相場制

固定相場制(ドル・ペッグ) シンガポール・中国(香港を含む)・ブルネイ・マレーシア・ミャンマー・カンボジア・ベトナム・ラオス

※固定相場制とした国の中には、自分たちで変動相場制であると 主張している国もあるが、事実上対ドルレートが固定されてい るとして差し支えないため、固定相場制の中に含んだ。

Page 16: NAFA Spring Seminar 2004

アジア各国の通貨

日本 円

韓国 ウォン

中国 人民元

タイ バーツ

シンガポール ドル

マレーシア リンギ

ラオス キップ

ブルネイ ドル

カンボジア リエル

フィリピン ペソ

ミャンマー チャット

ベトナム ドン

インドネシア ルピア

香港 ドル

※シンガポール・ブルネイ・香港のドルは、名前は一緒だが 米ドルとは別物。それぞれ独立した一つの通貨。

Page 17: NAFA Spring Seminar 2004

2-2. 通貨統合

EURO EU加盟国の一部が採用。

ベラルーシ 2005 年から、ロシアのルーブル

を唯一の流通通貨として採用。

エクアドル 2000年に通貨を米ドルに統合。

Page 18: NAFA Spring Seminar 2004

GCC (湾岸協力会議) バーレーン、クウェート、カタール、オマーン、サウジア

ラビア、アラブ首長国連邦の6カ国が、 2010年の共通通貨導入に合意。

アンザックドル オーストラリアとニュージーランドが検討。

メルコスール(南米南部共同市場) ブラジル、アルゼンチン、ウルグアイ、パラグアイの4カ

国が共通通貨を検討

Page 19: NAFA Spring Seminar 2004

第3章第3章

「「 ADAD とと DADA の検証」の検証」

Page 20: NAFA Spring Seminar 2004

3-1. 共通通貨で何が変わるのか

経済交流はどう変わるのか?

通貨政策はどう変わるのか?

コストの観点から

Page 21: NAFA Spring Seminar 2004

3-2 「経済交流はどう変わるのか」

Page 22: NAFA Spring Seminar 2004

3-2-1. 経済交流

日本とアジアの経済関係

Page 23: NAFA Spring Seminar 2004

同じ単位で表示されることで、価格差が透明化され、わかりやすくなる。

Page 24: NAFA Spring Seminar 2004

通貨を交換するときに銀行が取っていた、為替手数料が必要なくなる。

ユーロの場合、1ユーロあたり1.5円の手数料。

ありぞな銀行

Page 25: NAFA Spring Seminar 2004

統一通貨圏内で、為替変動のリスクがなくなる。

Japan Thailand

部品工場1個100バーツ自動車会社

1個 300 円(3円=バーツ)

1個 250 円( 2.5円=バーツ)

1個 200 円(2円=バーツ)

Page 26: NAFA Spring Seminar 2004

アジア通貨危機の影響

Page 27: NAFA Spring Seminar 2004

通貨圏の内部での関係 国を超えた経済交流がさらに進む。

通貨圏の外部との関係 経済のブロック化・地域主義が進み、外部の締出しが起こりうる。

Page 28: NAFA Spring Seminar 2004

3-2-2. 通貨圏内部での変化

通貨圏内での貿易・投資が活発化する(一般に、貿易・投資の拡大と GDP の間には、相関関係がある)。市場が1つに統合され、企業戦略を一本化できる。競争により、品質の良い製品が域内に行き渡る。

AD

Page 29: NAFA Spring Seminar 2004

競争の激化により、途上国の産業がダメージを受ける。

分野によっては、品質の割に安い中国・韓国製品への需要が拡大し、日本などの先進国もダメージを受けうる。

自由貿易を認めれば、先進国の農業は太刀打ちできない。

DA

Page 30: NAFA Spring Seminar 2004

参加国全体でみれば、おそらく経済交流の進展はプラスになる。

一方で、国家間での分業が進むため、格差の拡大や、国としての自立性が問題になる可能性もある。(一種のモノカルチャー化)

Japan Philippines

Page 31: NAFA Spring Seminar 2004

「最適通貨圏」理論 マンデル( 99 年ノーベル経済学賞)が提唱。 ある地域で、通貨統合によるメリットとデメリッ

トのどちらが大きいのかを判断するための理論。

「最適通貨圏」の条件 経済が相互に開放的 産業構造が分散・類似している 域内での資本・労働力の移動が自由である 経済動向(インフレ率等)が収斂している 賃金・物価の伸縮性が大きい

Page 32: NAFA Spring Seminar 2004

果たしてアジアは最適通貨圏の条件を満たしているのか?

ただし、ユーロの場合にもすべての条件を満たしていたとは言い難い。学説も、当初批判的だったものの、実際に導入してからは肯定的な方向に傾きつつあるため、やってみなければわからない、という部分も大きい。

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3-2-3. 通貨圏外部との関係

市場を外部の国々(特にアメリカ・ヨーロッパ)に奪われず、自分たちで利益を守ることができる。

ADU.S. / E.U. ASIA

為替手数料為替リスク価格の不透明性    etc…

通貨の壁

Page 34: NAFA Spring Seminar 2004

欧米で良い製品が作られていても、それと競争することがないため、結果的にアジア市場全体での品質が下がり、消費者は損をする(今よりまし?)

締め出された欧米諸国の反発。

DAU.S. / E.U. ASIA

為替手数料為替リスク価格の不透明性    etc…

通貨の壁

Page 35: NAFA Spring Seminar 2004

3-3 「通貨政策はどう変わるのか」

Page 36: NAFA Spring Seminar 2004

3-3-1. 通貨の安定の必要性

なぜ通貨の安定が必要なのか?為替変動により、企業収益は大きく変化。

Japan Thailand

部品工場1個100バーツ自動車会社

1個 300 円(3円=バーツ)

1個 250 円( 2.5円=バーツ)

1個 200 円(2円=バーツ)

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円高が進めば、輸出は減少する。

Japan Thailand

消費者1台100万円自動車会社

(円=0.4 バーツ) 40 万バーツ

(円=0.35 バーツ) 35万バーツ

(円=0.3 バーツ) 30 万バーツ

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実際、通貨価値は大きく変動している。

アジア通貨危機の影響

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対ドル相場が1円上がった場合の影響 トヨタ :年間250億円の減益 日産  :年間100億円の減益 松下  :年間50億円の売り上げ減 キャノン:年間61億円の売り上げ減

福井日銀総裁 「最近の円高は景気の下振れリスクになりかねない」毎日新聞 「輸出だけを頼りにする回復だから、1ドル=110円になり輸出の伸びが止まったら、景気

は腰折れする」

※対アジア通貨相場ではなく、またアジア以外の地域の影響も含んでいることに注意。

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為替変動によって変わるのは、物の値段だけではない。お金そのもの価値も変わる。つまり、他の国からの借金(債権・債務)の額も上下する。

1ドル

1ドル

1ドル = 40バーツ

1ドル = 20バーツ?      40バーツ?      80バーツ?

債権国(貸す側)

債務国(借りる側)

「ドル建ての債券」(債券とは、借金の証明書のようなもの)

Page 41: NAFA Spring Seminar 2004

通貨危機の仕組み アジア諸国の通貨はすぐに変動して不安定なので、自前の通貨建ての債券では、誰も買ってくれない。

このため、ドル建ての債券を使って借金していた。 1997年、ジョージ・ソロスをはじめとするヘッジファンドが攻撃を仕掛け、(タイの変動相場制への移行などの経緯を経て)各国の通貨を暴落させたため、ドル建ての借金が膨れ上がり、タイをはじめとする東南アジア諸国では、国そのものが破産状態となった。

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通貨危機の影響 ドル建ての債券を使って資金運営をしていた銀行・企業も、借金が膨張して大赤字に。貸し渋りも進行。

通貨暴落を受け、国内ではインフレが進行。

Page 43: NAFA Spring Seminar 2004

消費は激減信用を失い、海外からの投資も激減企業の倒産・リストラを受け、失業率が激増

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通貨危機前後の GDPの変化

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3-3-2. 通貨の安定のために

何が問題だったのか?

外部からの売買で変動しやすい、弱い通貨 通貨の変動率の大きさ そこに起因する、国際的な信用のなさ(このため

に、ドル建てでしか借金ができない)

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一定の比率で各通貨を統合すれば、為替の変動を相殺し、より安定した通貨が得られる

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通貨の背景となる資金量が大きければ、価値を変動させるのにより多くの資金が必要となり、攻撃しにくくなる。

A国 B国 C国

ヘッジファンド

統一通貨攻撃

Page 48: NAFA Spring Seminar 2004

為替変動のリスクを小さくできる。通貨の信頼性が向上し、自前の通貨建ての投資が増える(自前の通貨でも債券が売買できる)通貨危機のリスクを回避できる。対等の立場から、ドル・ユーロをにらんだ大局的な通貨運営ができる?

AD

Page 49: NAFA Spring Seminar 2004

3-3-3. ドル支配からの脱却

通貨統一によって、自前の通貨建ての債券は確実に増加する。

実際、欧州の場合はユーロ建債が激増した。

1981 年時点では、欧州通貨建取引はわずか 13%だった。

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なぜドル建ての市場がいけないのか。 通貨の暴落により、借金が膨れ上がる(通貨危機) ドル支配の下では、米国の独善的な通貨政策を黙認

することになる。

U.S.Philippines

ドル建て借金ドル建て債券(財産)

財産価値が縮小 借金が縮小

アメリカがドルを増刷

Page 51: NAFA Spring Seminar 2004

3-3-4. 通貨政策

中央銀行とは? 各国に1つずつあり、その国の通貨を発行・回収で

きる唯一の存在(日本の場合は日本銀行) 個人や企業に対してではなく、銀行にお金を貸す。 通貨量の調整・市場介入・公定歩合の調整などを通

して、経済の動向をコントロールできる

正式名称は

「日本銀行券」

Page 52: NAFA Spring Seminar 2004

中央銀行による通貨政策の例

インフレの場合:通貨供給量を減らす デフレの場合 :通貨供給量を増やす

輸出を増やしたい場合:ドルを買う 安く輸入したい場合 :ドルを売る

Page 53: NAFA Spring Seminar 2004

「1つの国に、1つの通貨政策」が当然だった

          通貨統合

「複数の国に、1つの通貨政策」となる

果たしてこれで大丈夫なのか?

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全体で1つの通貨政策しかとれず、経済へのきめ細やかな対応ができなくなる。

「マレーシアではインフレだが、日本ではデフレ」 「韓国は輸出を増やしたいが、逆にマレーシアは部品を安

く輸入したい」 といった場合に、どちらかに偏った対応しかできなくな

調整機能が失われ、一度経済がつまずくと、そこから立ち直るのが難しくなる。 DA

Page 55: NAFA Spring Seminar 2004

トレードオフ関係 2つを優先すると、

かならず残りの1つが犠牲になる。

Open Economy

為替の安定 政策の自主性

Page 56: NAFA Spring Seminar 2004

為替安定

開放経済

自主性

為替安定

開放経済

自主性 為替安定

開放経済

自主性

今の日本

共通通貨

今の中国

Page 57: NAFA Spring Seminar 2004

3-4 「コストの観点から」

Page 58: NAFA Spring Seminar 2004

3-4. コスト

通貨を交換するときに銀行が取っていた、為替手数料が必要なくなる。

ユーロの場合、1ユーロあたり 1.5円の手数料

ありぞな銀行 AD

Page 59: NAFA Spring Seminar 2004

銀行は手数料収入を得られなくなる。新通貨の発行にコストが必要。価格表示の切り替えなどにコストがかかる。特に金融機関は、商品の練り直しが必要。

※ユーロの場合、初期投資は金融機関だけで約 130 億ドル

DA

Page 60: NAFA Spring Seminar 2004

為替手数料が問題なら、 CP 「為替手数料を廃止」でキャプチャーできる。いずれにせよ、大した額ではない初期投資も、長い目で見れば大したことはない

いずれも、通貨統合の本来の意義・争点とはかけ離れた AD と DA 。こんなつまらない小さなことが、今期の議論の中心になってはならない。

Page 61: NAFA Spring Seminar 2004

3-5.まとめ

交流・競争の推進はいいことなのか 貿易が活発化し、全体としては恐らく経済は成長 競争の激化により、格差が拡大する恐れも

通貨の安定と、自立した通貨政策のどちらが大切か 為替リスク・通貨危機の回避は大きなメリット 個別の通貨政策をとれないと、経済運営に支障も

一応、コストの問題も(非常に小さい)

Page 62: NAFA Spring Seminar 2004

第4章第4章

「具体的事例と「具体的事例と PlanPlan の検証」の検証」

Page 63: NAFA Spring Seminar 2004

4-1. EUROの場合

設立 99 年に設立、 2002 年から流通開始 フランクフルトの欧州中央銀行が管

参加国 15 ある EU加盟国のうち、 11 カ国で

スタート 2001 年にギリシャが参加 イギリス・デンマーク・スウェーデ

ンは不参加。

Page 64: NAFA Spring Seminar 2004

通貨統合までの歩み 1958 年 欧州共通通貨の構想 1967 年  EC (欧州共同体)発足 1979 年  EMS ・ ECU(欧州通貨単位)設立 1993 年  EU(欧州連合)発足      市場統合が完成(関税撤廃) 1994 年  EMI(欧州通貨機構・欧州中央銀行の   前身)設立 1999 年  ECU廃止、ユーロに移行 2002 年 ユーロ通貨流通開始、各国通貨廃止

Page 65: NAFA Spring Seminar 2004

EUの取った、 DA を抑えるための政策

自国通貨を廃止してユーロ一本にしぼる前に、 ECUという架空の統一通貨を作り、各国の為替変動を、なるべく ECUに対して一定の範囲内に納めるように求めた(経済動向の収斂)

経済状況の悪い国の影響が他の国に波及することのないよう、ユーロ参加に一定の条件を課した

労働市場の開放・関税の撤廃などを通じて、貿易拡大によるメリットを最大限に生かせるようにした

Page 66: NAFA Spring Seminar 2004

EUとアジアの比較

EU アジア

関税 撤廃済み 保護貿易

労働市場 開放済み 未開放

産業構造 類似 バラバラ

経済水準 一定 バラバラ

Page 67: NAFA Spring Seminar 2004

EUと今のアジアでは、状況があまりにも異なる

Plan Action の検証

ユーロを参考にするのであれば、自由貿易協定( FTA )による関税の撤廃・労働市場の開放を Plan Spikeとして検討すべきかもしれない。

ユーロの場合、構想から実現まで約 40年かかった。なにも今すぐに Plan を導入する必要はなく、もっと長期的な視点で導入のプロセスを考えても良い。

Page 68: NAFA Spring Seminar 2004

4-2. アジア共通通貨構想

アジア通貨単位( ACU)構想 現在の通貨は廃止せず、架空の通貨バスケット ACUを創設する(債券市場などにメリット)

アジア自由貿易地域( AFTA )構想 アジア諸国間で関税等を撤廃し、市場統合を進め

る 日本も、すでにシンガポール・メキシコと FTA を締結している。

※労働市場の開放については、 2003 年の ASEAN 会合で「時期尚早」と 先送りされた。

Page 69: NAFA Spring Seminar 2004

アジア・モデル 第 1段階  APEC 共通通貨単位の発足 第 2段階  APEC 共通通貨単位市場の成立と発展 第 3段階 アジア各国通貨の APEC 共通通貨単位へ     の一定の変動幅を持つ連動

第 4段階  APEC 域内金融財政政策のサーべライス     強化と一定方向への政策と経済実体の     収斂 ( しゅうれん )

第 5段階  APEC 共通金融政策の策定 第 6段階  APEC 共通通貨同盟の発足

Page 70: NAFA Spring Seminar 2004

4-3.その他の共通通貨構想

GCC (湾岸アラブ6カ国) 2010年に共通通貨を導入することで合意。 すでに関税の完全撤廃を決定、金融統合も合意。 EUと自由貿易協定の締結を交渉中。 労働市場は開放され、6〜8割は出稼ぎ労働者。

メルコスール(南米南部共同市場) 95 年より、原則として域内の関税を撤廃。 労働市場も開放済み。

Page 71: NAFA Spring Seminar 2004

FTA (自由貿易協定)の拡大 すでに、世界で 200 近くの FTA が結ばれている。

各地域の FTA をめぐる動き 北米自由貿易協定 (NAFTA) 南米南部共同市場(メルスコール)

2005 年までに双方を統合し、米大陸三十四カ国が加盟する「米州自由貿易地域 (FTAA) 」を構築する構想も。

EU(欧州連合):東欧を加え 25 カ国体制に 大アラブ自由貿易地域( GAFTA ): GCC 中心で 98 年より構想。

西アフリカ諸国経済共同体( ECOWAS ) 04 年までに自由貿易圏設立。共通通貨も検討。

Page 72: NAFA Spring Seminar 2004

第5章第5章

「どのようなスタンスから論じるべきか」「どのようなスタンスから論じるべきか」

Page 73: NAFA Spring Seminar 2004

5-1.誰にとっての利益を優先するのか

デメリットが出ない政策を作るのは困難。

今回の論題の主語は「日本政府」ではない。

「欧米は損をするが、アジア全体ではもうかり、その中でも日本は損をし、途上国は得をする」といった場合に、判断基準はどうするのか?

Page 74: NAFA Spring Seminar 2004

Affも Negも、「誰にとっての利益を優先するのか」というスタンスを最初に示しておくことが必要。

価値観は多様であり、どのスタンスが正しい、ということは一概には言えない。

価値基準( Standard of Value )どうしの比較が必要になる。

Page 75: NAFA Spring Seminar 2004

「アジア全体」の利益を最優先すべき 欧米がその力をますます強める中では、もはや国単

位の政策では対抗できない。地域全体が一体となりどう成長を維持していくのか、という視点から論じる必要がある。主語も「 ASEAN+3 」となっている。

「日本」の利益を最優先すべき 我々は日本人としての立場から、日本の将来に向け

ての政策を論じている。そもそも、アジアとの関係を深めることが戦略上日本に有益なのか、という部分から論じる必要がある。

Page 76: NAFA Spring Seminar 2004

「世界全体」にとっての利益を最優先すべき ある特定の地域だけが利益を上げ、他の地域が大

きな打撃をうけるような政策では、本当に人類にとって有益とはいえない。

そもそも、全ての加盟国にとって有益な政策でなければ、採用すべきではない。 「トータルでプラスになるなら、1つ2つの国が損害が被っても構わない」という発想そのものが、共同発展を目指す国際協調の考えに反する。

Page 77: NAFA Spring Seminar 2004

最も貧しい国にとって有益な政策をとるべき 最貧国での状況はひどく、その経済の改善は最も緊急性を要する。日本など、豊かな国が多少被害を被ってでも、こうした国を救うべき。

Page 78: NAFA Spring Seminar 2004

5-2.将来の議論をどこまで評価するか

ユーロの導入には、構想から実現まで約40年かかった。

「ユーロの教訓を生かせば、アジアでも10年以内に導入可能」とする学説も存在する。

実際、 GCC (アラブ湾岸地域)での共通通貨構想は、 2000年に発表、 2010年に実現という早いスケジュールを採用。

Page 79: NAFA Spring Seminar 2004

ただし、アジア地域における経済のバラツキを考慮すると、長期的な視点に立って考えるのが現実的。

究極的には、「 100年後、 200年後に各国の経済が安定し、十分均質化が進んだ時点で通貨統合します」というプランもありうる。

ただし、安定・均質化が進むという証明が必要。果たして、そこまで曖昧で不確実な AD を評価していいのか。

Page 80: NAFA Spring Seminar 2004

5-3. 通貨統合の位置づけ

通貨統合は多くの場合、経済全体、あるいは政治をも含めた将来の「地域統合」の一環として位置づけられている。

共通通貨構想の多くは、そのメリットを生かすのに必要な、関税の撤廃・労働市場の開放などを前提としていることが多い。

Page 81: NAFA Spring Seminar 2004

極めて抽象的だが、そもそも「国」とは、他者と自分たちを区別するために作られたもの。

通貨統合の根本にある理念は「アジアは将来1つの国になるべき」という発想。

統合できるものなら、何でも統合してしまった方がいいのか。それとも、文化の多様性や個性を尊重していく方向を取るべきなのか。

Page 82: NAFA Spring Seminar 2004

5-4.最後に

Framer の責任でもあるものの、「手数料・初期投資が云々」「 currency= 電気の交流」などといった、そういう本当にくだらない議論で埋め尽くされるシーズンでいいのか。

結局、どんなシーズンになるのか決めるのはディベーター1人1人にかかっている。価値観同士の比較が勝負の決め手になるような、そんなシーズンに。

Page 83: NAFA Spring Seminar 2004

- Fin -- Fin -

UTYO Falcons Sophomore (OB)UTYO Falcons Sophomore (OB)

Shinichiro SekiShinichiro Seki

2004/03/13,14 @ NAFA Spring Seminar2004/03/13,14 @ NAFA Spring Seminar