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1 平成28年度(第39回) 校内放送指導者講座 報告 平成 28 12 27 日(火)、 28 日(水)の2日間、 東京の千代田放送会館で、全国放送教育研究会連盟・ NHK主催による「第39回校内放送指導者講座」が 開かれました。全国から 111 人の先生方が参加され各 講座で熱心な研修が行われました。 また、今年の形式的な特徴としては、顧問交流を分 野ごとの班で行うのではなく、2日間に分け、1日目 はすべての班でアナウンス・朗読について、2日目はすべての班で番組制作について意見交換を行いま した。また講習や昼休みも含め座席を班ごとにしてみました。 目的 高等学校における校内放送活動の意義と役割を確かめ、その指導についての諸課題を究明するととも に、具体的な指導の充実を図る。 対象 1) 高等学校放送部(委員会・同好会)の指導にあたる者 2) 各都道府県コンテスト担当者および放送コンテストの審査にあたる者 講座一覧 講座1 「顧問交流(アナウンス・朗読指導)」 講座2 「アナウンス・朗読模擬審査講習」 講師 NHK放送研修センター・日本語センター エグゼクティブ・アナウンサー 金野 正人 講座3 「実践発表:放送部の活動と指導法 ~経験のない顧問の指導法~」 講師 静岡県浜松市立高等学校 横山 講座4 「顧問交流(番組指導)」 講座5 「番組技術と模擬審査 ~はじめての作品作りと許諾・権利処理~」 講師 神戸国際大学附属高等学校 耕一 講座5 「番組技術と模擬審査」 講師 NHK 制作局 青少年・教育番組部 チーフ・プロデューサー 中根

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平成28年度(第39回)

校内放送指導者講座 報告 平成 28 年 12 月 27 日(火)、28 日(水)の2日間、

東京の千代田放送会館で、全国放送教育研究会連盟・

NHK主催による「第39回校内放送指導者講座」が

開かれました。全国から 111 人の先生方が参加され各

講座で熱心な研修が行われました。

また、今年の形式的な特徴としては、顧問交流を分

野ごとの班で行うのではなく、2日間に分け、1日目

はすべての班でアナウンス・朗読について、2日目はすべての班で番組制作について意見交換を行いま

した。また講習や昼休みも含め座席を班ごとにしてみました。

目的 高等学校における校内放送活動の意義と役割を確かめ、その指導についての諸課題を究明するととも

に、具体的な指導の充実を図る。

対象 (1) 高等学校放送部(委員会・同好会)の指導にあたる者

(2) 各都道府県コンテスト担当者および放送コンテストの審査にあたる者

講座一覧

講座1 「顧問交流(アナウンス・朗読指導)」

講座2 「アナウンス・朗読模擬審査講習」

講師 NHK放送研修センター・日本語センター

エグゼクティブ・アナウンサー 金野 正人

講座3 「実践発表:放送部の活動と指導法 ~経験のない顧問の指導法~」

講師 静岡県浜松市立高等学校 横山 秀

講座4 「顧問交流(番組指導)」

講座5 「番組技術と模擬審査 ~はじめての作品作りと許諾・権利処理~」

講師 神戸国際大学附属高等学校 島 耕一

講座5 「番組技術と模擬審査」

講師 NHK 制作局 青少年・教育番組部

チーフ・プロデューサー 中根 健

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講座ごとの内容(概要)

講座1 「顧問交流(アナウンス・朗読指導)」

参加の先生方が班に分かれてアナウンス・朗読の指導に

ついて意見交換をしました。

◎参加の目的

・全国の壁は厚い 準決勝の突破法は

・アクセント辞典が変更 来年のNコンではどのような扱

いになるのか

・他の学校の指導法

・審査の仕方 県大会の審査と全国の違いはどうか 審査員としての力量を向上させたい

・関西のためアクセント・イントネーションの指導が知りたい

・高校時代放送部 指導方法の理論を学びたい

・発声練習から指導の立て直しをはかっている

・編集ソフトの活用法について知りたい

・運動部しか経験がないため、生徒へのアドバイス法を知りたい

・4月より顧問 生徒にどのように指導していこうかと考えている

・アナ朗の大会に挑戦できた 指導法が知りたい

・前任者が転勤したため顧問になった 今後の指導のため参加した

・指導歴の長い顧問が2人いるので自分も勉強しようとやってきた

◎アナウンス・朗読の実体

・原稿の添削が中心

・県内のベテラン教員の力を借りる

・部員が途切れて受け継がれてきたものが絶えてしまう

・校内行事の司会など

・番組中心の活動 読みの練習がおろそかになっている 現任校2年目

・地元FMの番組に出演機会を得た 経験は積めるが仕事に追われる状態

・顧問になってアナウンス学院に通った 指導者という気持ちを忘れないよう努めている

・声優希望の生徒が多く、朗読との違いを理解させるにはどうしたらよいか

・コンテストの前は番組に追われ、読みがおろそかになっている

・中学校と併設 番組中心に指導していたので読みは生徒に任せている 部員不足

・日本語が苦手な生徒もいる(国際高校)

・CDのシャドウイング(聞きながら復唱していく練習方法)を宿題にする

・週一の全体発声・読み会

・発声チェックシートというものを作っている

・部員が減ったことで一年生の指導に手が回らない

・塾などで部活動に人が揃わない

・番組を作りたがって、読みが後回しになってしまう

・前任の顧問を呼んで指導してもらう

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・アクセント・イントネーションをしっかり作り上げた生徒が上位に上がれず審査に疑問

・早朝の発声連練習、顧問がきつい 朝できないと昼休み

・顧問自身が朗読

・普段の練習

全員で発声練習(放送室と物理室で 20 分位)

いろいろな学校のやり方(強化合宿のパンフレット)をくっつけてバージョンアップ

大会前は1日1回顧問の前

週1回は読みに来させる

読んだものとICレコーダーに録音したものを提出させ課題を指摘する

読んでいる姿をビデオに撮って見せる(表情、口の動き)

録音→聴くを繰り返す 鏡を見つつ声を出したり

原稿読み・直し・発声

3年生が1年生を指導する形

学年ごとで番組やアナ朗に挑んでいる

毎日誰かが来ていて週1日全員集合 発声練習 生徒同士で指導 兼部多い

大会前はOBが指導に来てくれる

大会前に集まる

アドバイス&褒めて、やる気を出させる そうすると練習日が増えていく

大会前は朝もする

・張り上げるのではなく“伝える”が大切、頭の中のイメージを「伝える」ように指導

・どのような素材で練習させているか

長崎では教則本のようなものがあり練習している 他は個人の原稿の活用

基本的なロングトーン、演劇の基礎練、発声練習などをとり入れている

まずは大きな声を出すところから 日頃からしゃべり方に気をつけている

新人大会前 短い例文練習

「ういろう売り」のCDなどを役立てて、2年生が1年生を指導している

早口言葉

自分が目指している朗読やアナウンスを聴いてシャドーイングなどをするとよい

他校の優れた先生のところへ預ける

◎発声練習

・発声は毎日必ずしている(テスト前でも)

・少なくとも 10 分(30 分が目標)

・発声練習を恥ずかしがる生徒→はじめは2週間付き合って一緒に恥ずかしさを克服

・発声練習の場所→中庭、講堂(教室は反響してしまうので×)

できるだけ遠くの目標物を意識して声を伸ばす、飛ばすイメージ

・息が続かない→背中を壁につけて、息を吐きながら人にお腹を押してもらう

(強制的に腹式呼吸を身につけさせる)

・芸大では狂言師の姿勢にヒントを得て、腰を落として下半身の強化を息のコントロールに繋げている

・とにかくお腹から声を出す

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・ラジオ体操で体を温める

・他校との練習→声の大きい子につられて大きくなる

・みんなでやると“自分の声”の調子がわかりにくい 声を出した“つもり”になりがち

・中には“発声のやり方”をわからずにやっている生徒も(鼻濁音とか)

・県(神奈川県)のHP「集まれ!放送委員会!」に各校の発声練習方法が載っている

放送連盟に入っている放送部が主体?視聴覚研究所と放送部顧問が運営

(県内で情報の共有ができている)

・1日 15 分でも継続が大切→大きい声でお腹から出す 母音・階段(アイウエオ・・・)

・発声して帰る子も

・喉をつぶさないよう自然な地声をだんだん大きくしていく

・高音・低音5秒ずつ 裏声×(音域の練習)

・合唱曲を歌う

・合唱部など声を出す他の部活の練習方法をまねる

・ビデオの子でも発声はやらせる

声を褒めてあげるとちょっとずつ出来るようになる やる気がでてくる

・練習は発声練習→個人練習

・声は自然なことがコンテストでは重要 声を作ることはダメだと言うことを指導

アニメ声では順位が下がる

・マイクを使用した練習は?

吹いてしまったり、位置がズレてしまわないためにもマイクは使った方がよい

時間があるときにはマイクを使って練習(常にマイク+スピーカーをセット)

お互いが聴きあって批評しあう

・響く声の鍛え方

定期的に録音→自分の声を聴かせる

鏡を見ながら、口の動かし方を確認させる

上手い子と向い合せにして、口の動かし方を真似させる

聴き手を意識して話す(読む×)→自分の自然な「いい声」

発声は頑張らせていたが、「近い距離での読み練」では上位にはいけなかった

響く場所での練習は効果があった

・滑舌について

リラックスして話す(普段の会話の時のように)

1時間半かけて滑舌練習→自分の原稿

唇をはっきり動かしながらゆっくり話す

食べると滑舌が甘くなる、重くなる

部活だけでなく就職指導の対策も行っている

録音して実際に聞いてみる

母音が甘かったり、息が漏れたり

・見本があるとよい 誰かのまねから始まる

他の部員に憧れたり 他校や他県の生徒を知るのもよい

NHKの好きなアナウンサーとか

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NHK杯決勝CDと報告号の講評・原稿

・生徒の個別課題解決について

課題の指摘→生徒が意識することで直すことができる

個別の課題について解決レシピを提供する

インターネットなどで情報集め

舌使い「さしみ定食」を繰り返す

滑舌を直す サ行の息漏れを直す 息のコントロール

ナ行などバリエーションもあり

。の後の伸びるを直す

・アクセント・イントネーションについて

常にアクセント辞典をもつ

新しいアクセント辞典使ってますか?やや表記等が分かりにくい部分も

新しいアクセント辞典は見ておいた方がよい(富山のアナウンサー)

◎アナウンスか朗読か

・アナウンス・朗読の割合

迷っている生徒にはアナウンスを勧めている

1年生は朗読から始めさせ、新人大会からアナ・朗を選ばせる

朗読に偏りがち 取材や制作部門に興味をもち、アナウンスになる生徒もいる

アナウンスのハードル(朗読に偏りがち)は原稿を書くのが難しいのか

アナウンスが多い 取材もきちんとやっている 静岡ではそれほど偏っていない

アナウンスと朗読の両方を準備させ、校内選考で競わせている

アナ朗を分けすぎない 1~2月はアナ朗は反対をさせてみる

・アナ朗は全員にやらせるか

全員(7校)1年は全員(2校)番組が忙しくしているときはしない

・アナ朗と番組はかけもちか

かけもちの生徒がほとんど 番組作りに追われている 読みがおろそかになる

番組のレベルをあげるためにもキャストの滑舌等が大切なので両方携わっている

◎アナウンス

・言葉を読むのではなく、内容を理解させて読む 本当に『そう思う』読みを引き出す

・日常の声を読みの声に

・普段から正しいアクセント・イントネーションで話させることを意識づける

そうでないと、課題文でボロがでる↣

・自然な声で読む

今時の生徒にとって「自然な声」が違うかもしれない

『伝わる声』といえば伝わるかもしれない

・決勝課題を抽出して何年分か練習 NHKテレビニュースのコピー

・学校行事等での司会や授業などで生徒に話させる機会を持たせている

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◎アナウンスの原稿作り

・生徒が感動できる人を自分で選ばせる

・話を聞いてこさせ、とにかく書かせる

→その中でアナを聞き手が知りたい情報について掘り下げる

・人に伝えることができる文でなければ意味がない 何を伝えるかをしっかり考える

・すてきな「何」を「誰」に伝えたいか

・聴いてもらう人に「なるほど」と思えるものが必要

・何を最初に出せば人の耳を引くことができるか

・耳で聴いてわかる言葉で

・具体的的な言葉で作ることでわかりやすくなる

・校内放送でも取材に基づく原稿作成をして放送させている

・原稿は 400 字?375 字?

・生徒が最初に書いた文章が一番力がある

・最初の文書は多めにかいて、少しずつ減らす

・アナは事実を伝えなくてはならない

・一番伝えたい情報は何か それが伝わるかで沢山の情報を圧縮して1分半にする

・校内、町を歩かせて、気になるものを見つけさせる→質問をしてそれを掘り下げる

・校内の生徒に取材して原稿をたくさん書く 数をこなす

・日常的に考える いつもメモをとる ネタがおもしろいか考える

・NHK杯は校内ニュースが多い

外のテーマで作る場合、NHK杯に合わせるには「高校生との関わり」

◎取材に行く 何から始める?

・基本的には正面からお願い

・知り合いの知り合いのツテ

・撃てば当たるか

・世間話をする能力も必要 相手から情報を引き出せる

・何回でも取材に行く どれを一番伝えたいかを沢山の情報量から選ぶ

・アナウンスの質問をまとめさせる

・1年生インタビューに緊張

アポを取るのに苦労(電話を上手くかけられない生徒 しゃべることができない)

・1回目の取材はうまくいかないことが多い 最低2~3回

・何回か行く メモ・カメラ・録音(相手によっては×)

・本人が早い段階で取材をすることが大事

1年生に番組制作に同行させ取材内容をアナウンス原稿に

◎アナ審査のアドバイス

・伝わり度に注意している

・文の構成

・声はいいけど、内容をきちんと言えているのか

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・盛り込みすぎてはいけない

・テーマ選び 読みも大事だが中身(伝えたいこと)が大事

・上手な生徒と実績のない生徒が混合 シードを作る?

◎朗読の指導

・課題作品は全部読んだか

・朗読 作品チョイスは声と合わせるとベスト

・選ぶ所のアドバイス

・生徒が選んできたあとの指導 「なぜ、ここを選んだのか」を生徒に聞く

・登場人物の関係をきちんと把握

・時代背景まで調べてその情景をわからせた上でよむ

・セリフから入ると「誰のセリフ?」となる

・会話と地の文のバランスがとれていた方がよい

・どういう人で、どういう意味で、こういう読み方をしているか、生徒に言わせる

アナも同様 どうしてここで切るか どうして間をとるか

・最終的には教員の考えを出す

・演技はどの辺まで大丈夫なのか?

女の子が男の声で、男の子が女の声では× 県によっては演技色の強い県も

・朗読:決勝のCDを使って練習 決勝課題

・Nコンの朗読作品はいつ決めるか

11 月の新人大会で選ぶ生徒もいる 何通りも選んでおくことが必要では

12 月末までにNコンの原稿を作るという伝統があり少々疑問を感じる

・エッセイはどう読むか

ベクトルを用意 好きなぬいぐるみを目の前に置いて語るように

北海道でも実践している 会場に置くことも

聞いている人へのプレゼント(魔法の言葉)と思って読む 生徒に大きな変化が出た

・読み聞かせの活動(週3回)→レベルアップにつながる 生でも上がらないようになる

◎部員の確保

・学校紹介、部活動紹介を作り存在感を示す

・お昼の放送でアピール

・国語科教員からのスカウト(読みがうまい子)、写真部から連れてくる(番組作り)

・生徒を納得させられる勧誘をすることが大切 しっかり勧誘しないと入ってくれない

・作品を見せたり聴かせたりするのも効果的、毎日見に来られるようにしている

・作品を配布したりしている

・活動内容を知らせる、賞をとったらHPにアップするなど、いろいろ工夫している

・中学生の体験入学等で朗読等を披露すると新入生の興味をひける

・個別に参加を促す 他の部活に参加している生徒をくどく

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◎県や地区で生徒の指導

・長崎では県内での合同練習・強化練習会を実施し、全体のレベルアップを図っている

・全県で集まって指導 総文祭、来年度のNコンのためNHKからの指導 模擬審査

・強化研修会2日間 経験の浅い顧問を育てる 講師を招く

・3月に指導者講習会 教員同士で発表し審査

・県で年3回講師を呼ぶ

・OBに指導してもらう 地元の民放アナウンサーからの指導

・近場の学校で集まって教え合う 練習試合をする感覚で他校と合同練習

・九州では長崎が盛ん 九州全体で学んでいる雰囲気 顧問同士の交流も盛ん

・準決勝通らない→教則本のモデルチェンジが必要か

講座2 「アナウンス・朗読模擬審査講習」

講師 NHK放送研修センター・日本語センター

エグゼクティブ・アナウンサー 金野 正人

講座2では、63 大会の決勝でアナウンス・朗読部門の審査をご担当いただいた NHK 放送研修センタ

ー・日本語センター エグゼクティブ・アナウンサー 金野正人先生を講師にお迎えしました。今回は、

「読みの基本」と題して指導者が指導に悩む朗読について実践的な「読み」のお話をいただき、その後、

模擬審査をしながら審査のポイントや原稿の書き方、抽出の仕方等についての具体的なご指導をいただ

きました。

まず金野先生にご挨拶をいただいた後、早速「読みの基本」の朗読講座に入りました。お話の主な内

容は次のとおりです。

・聴き手に向かって読むということが伝えるということ。ことばを届ける意識を持つべき。

・声は息によって作られる。自然な息づかいで息を届け、その声に音を乗せる。

・意味のまとまりを音の高低で組み立てる「イントネーション」も大切。

・「間」を考える。意味・内容に即した間で、意味を伝える。その長さは一定ではない。

次に、審査基準を確認して模擬審査に移り、まずはアナウンスから模擬審査を行いました。63 大会の

準決勝に残った3年生の中から選んだ3人のアナウンスを CD で流し、本番さながらの審査 を行いまし

た。そのあと、審査用紙を回収し、集計を行っている間、各グループごとに討議をしていただきました。

実際の審査では実現できない審査員相互の意見交換が行われました。ベテランの先生方の豊富な経験に

裏打ちされたお話と、審査初体験の先生方からの素朴で新鮮な視点が混ざり合う大変貴重な話し合いが

行われました。その後審査結果の発表をし、会場の審査点と当日のコンテスト点、そして金野先生の審

査点を順に発 表しました。審査の難しさを痛感する結果に会場がどよめきましたが、それを受けて、金

野先生に貴重なアドバイスをいただきました。 朗読もこの流れで行いました。(作品は、すべて異なる

3作品)

金野先生は、実際の原稿を、時にご自身で音声化しながら、ご指導くださいました。以下、金野先生

のお話しくださった 内容をかいつまんで挙げてみます。

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① アナウンス

・自然な声で、もっと話して伝えてほしい。

・しっかり間をとることで、わかりやすくなる。同じような間ばかりでなく、意味による間をとるこ

とを意識するとよい。

・アナウンス原稿を作成するときに、主語の位置を考えることで聴き手にわかりやすい原稿になる。

主語を先に出すように心がけるとよい。

・やや平板気味の読み方をする人がいる。文末が下がりきらない。しっかり下げるべき。

・大切なキーワードは、もっとゆっくり。伝えられるように立てて読んでほしい。

・アナウンス課題文について

◎ことばのアクセントにばかりとらわれず、自然なイントネーションでことばのまとまりを伝えて

ほしい。

◎「優しいフルートの音色」の「優しい」はどこにかかるのかで読み方が変わる。意味をよく考え

てほしい。

② 朗読

・朗読する場面の選定をする際には、表現のバランスを考えて。地の文と会話文(重要な意味を持つ

場面)の双方があると表現の幅が広がる。芝居ではないが、男女・年齢などがわかるようにはすべき。

・心の声や手紙を読むときには、感情を露わにし過ぎない方がよい。

・間を大切に。会話文の後は、時にしっかり開けたい。逆にほとんど間がない場面もあるだろう。急

いでいる場面でも、その場面を理解できるほどの最低限の間を空ける。

・ゆっくり読む地の文も効果的である。間に加えて速さについても考えたい。

・「小さな小さな」ということばなのに大きく読んでいると違和感あり。地の文なのか心の声なのかわ

からなくなってしまう。大げさに表現しようとすることで読み方を誤らないように。

・朗読課題文について

◎どこを立てるか立てないかを考えるべき。「月は無かった。囃子の音も絶えている。」の部分は取

り立てて目立たせる必要なし。その前と後をしっかりと伝えてほしい。

審査の観点を学ぶとともに、その難しさも改めて感じる時間になりました。金野先生の講評の後、質

問がいくつも上がり、ご参加の先生方の熱意と、金野先生の示唆に富んだお話が行き交いました。「機械

が読むのではない。人間が自分で考えて表現するのだ」というお言葉が印象的で、改めて「読む基本」

について考えられる時間となりました。

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講座3 「実践発表:放送部の活動と指導法 ~経験のない顧問の指導法~」

講師 静岡県浜松市立高等学校 横山 秀

今年のラジオドキュメント部門で優勝した静岡県浜松

市立高校放送部顧問の横山秀先生をお招きし、番組の制

作過程や顧問の動きなどについて発表していただきまし

た。

お話の主な内容は次のとおりです。

1 自己紹介

教科は理科(化学、生物)。顧問歴は前任校から。しかし、前任校では、個人部門でのみ大会に参

加。浜松市立高校に赴任してから番組制作を始める。赴任して 7 年目。

2 浜松市立高校の紹介

部活動の盛んな進学校。宝塚階段と呼ばれる名物階段もあり、施設的には恵まれている

3 放送部の紹介

(1)活動時間及び活動場所

平日は 18 時 30 分まで。冬季は 17 時 30 分まで。土曜日は 9 時から 16 時まで。日曜日は

休み。放送室・スタジオ・第二化学室で活動。

(2)組織

R 班(ラジオ番組作成班)と V 班(ビデオ番組作成班)に分かれる。R 班は、講堂音響、

体育館音響等の担当をする。V 班は、行事の際に映像記録を残す仕事をする。委員会的な

活動は、R 班の方が V 班に比べると多い。

(3)機材

①PC

FUJITSU FMVD53LB2 ×2

SONY PCG-1121N

Lenovo(生徒寄贈)

FUJITSU FMVA50XWP

SONY SVT141A11N

② 映像編集ソフト:EDIUS Neo 3.5

③音声編集ソフト:Sound Forge Audio Studio 9.0

④ビデオカメラ

SONY CX630V SONY PJ800 SONY FX1000

⑤IC レコーダー

OLYMPUS Voice Trek DM-4 SONY PCM-M10 ×2

⑥マイク

SONY ECM-MS937×2 SONY ECM-CG50×2 AKG C1000S ×2

(4)部員数

年 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016

人数 10 10 4 4 17 9 13

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文化部の活動も盛んなため、ライバル部活が多数存在する。例えば、合唱、コンサート、マ

ーチング、マンドリンなど。部員数が減少した時に危機感を感じ、部活動の改革を意識した。

校内放送指導者講座に2年連続で参加し、その内容を生徒と共有することで、活動に役立て

ている。

5 顧問として

(1)指導方針

楽しい部活動であることを心がけている。読みも番組制作も「楽しく」「おもし

ろく」。 制作者(読み)が楽しんでなきゃ、誰も見てくれない、聞いてくれな

い。また、親しみのわく顧問でありたい。

(2)指導法

経験は皆無に近いため、以下のような工夫をした。

① 身近で目標とする高校(顧問の先生)を決める。浜松北高校(柳本宗春先生)を参考にさ

せていただいた。

② 良い作品(読み・番組)を参考にする

N コン準決勝作品を視聴する(審査して報告号で確認)

③ 講習会に参加する

講師の方のアドバイスを参考にする

④ 審査員をする

⑤ 番組を制作(顧問1年目に AP 番組制作)

生徒の気持ちがわかるようになる。

(3)アナウンス・朗読の指導

①2年生が1年生を指導する。

②1年生 12 月から、『外郎売り』をやる。

③N コン準決勝進出者の作品練習をする。お手本があると指導しやすい。

④遠州弁(1年生は標準のアクセントと思っている)に注意させる。

⑤練習は、スマホで録画し、PC で取り込み、生徒へ。客観的に生徒本人が確認できる。

⑥指導連:部員全員が講評を書く(審査) → 音読カルテ → 次の指導の参考に。

(4)番組制作の指導

①制作日程

日程 内容

新人コンクール終了後

~12 月上旬

制作チーム編成(各部門2作品以上の制作のた

め、4 部門 8 チーム)

~1月下旬 番組内容の選定(番組構成の素案決定)

2月~ 取材開始、ドラマ撮影開始

3月末 インタ・撮影等終了

3学期終業式まで 制作意図・番組構成決定

4月17日(日) 第1回視聴会(様式 2-1 の確認)

4月30日(土) 第2回視聴会(様式 2-2,3 の確認)

5月7日(土) 第3回視聴会(様式 2-2,3 の確認)

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5月20日(金) 第4回視聴会(様式 2-1,2,3 の確認)

5 月 21 日(土) 西部大会

②動画(ドラマ)の参考

You Tube の動画、MV、PV、映画などを参考にしている。

例)【土屋太鳳・松井愛莉・広瀬すず出演】コブクロ「hana」

映画『ちはやふる』主題歌「FLASH」(Perfume)PV

『幸福な食卓』(映画):北乃きい 主演

『orange』(映画):土屋太鳳 主演

6 ラジオドキュメント部門優勝「エール」

(1)制作過程

• 1月:テーマ決定、中村先生に初取材、生徒インタ

• 2月:中村先生取材、生徒インタ、結婚式取材

• 3月:愛教大ラクロス部取材、球技大会取材、野島さん取材、

猪狩さん電話インタ、カウンセラーさんインタ、社長さん取材、

合宿→あらかたの構成が決まる。

• 4月:猪狩さん電話取材、中村先生取材、生徒インタ、ナレ取り

• 5月:中村先生取材、生徒インタ、タイトル決定、ナレ取り、

西部大会1位、合宿

• 6月:路上取材、生徒インタ、ナレ取り、県大会2位

(2)アドバイス

① 生徒が「時間が長くなって7分に収まらないんです」というので、「5分以内で作って

みたら?」とアドバイスした。番組で必要なのは何なのかが明確になる。

② 制作チームの2年生二人が、最初は「はい、いいと思います」 しか言わなかったので、

敬語禁止令をだした。

③ たくさん質問したかったが、一回の取材では3つだけ考えて臨むように。

(あとは、場の流れで)

最後に、「伝統ある部を自分の時に衰退させたくないという思いがあった」、「生徒と共に顧問も

楽しむ」、「入部希望は様々なので、それぞれの生徒にあった指導をしたい」、という横山先生の言

葉で実践発表が終わりました。先生のまっすぐな誠実さや熱心さが伝わってきた講座になりまし

た。全国からいらした先生方に、自分の内容が役に立つのか と常に気にされていらした横山先

生。相手(視聴者側)の立場になって考えるという番組制作に必要な姿勢も、先生の発表から、

学ぶことができたと思います。

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講座4 「顧問交流(番組指導)」

1日目に引き続き、この日は番組制作の指導について班ごとに意見交換をしました。

◎素材・ネタの探し方 ・タウン誌など→地域の話題を探しているときは有効

・新聞を読ませてネタ探し(地方新聞 地域欄 地方紙等) 地元の新聞をスクラップ

・日常の疑問から

・日常で違和感を覚えたものについて雑談をし(議録は残す)、ひっかかったものがネタ

・今、自分が気になること関心があることを題材にする

・不満から広げていく

・校長先生

・学校行事での取り組みをネタに広げてゆく(新しい学校に生まれ変わるなど)

・ヒューマンドラマ的なものに興味を示さない お手軽なものに手を出してしまう

・生徒が案を持ち寄り、アイデアを出し合う 1人2テーマ以上持ち寄る

ミーティングしてテーマを選び テレビ・ラジオにわける

・部員全体で雑談させてネタを見つける

・作りたいと思うモチベーションがもてることが大切

・ドラマはきっかけがつかみやすい

たとえば「楽しませる」など、おもしろいこと、好きなことは生徒はよく動く

・生徒との雑談の中で「それ行ける!」ということも 動き出したら行ける

・立ち話で成立する話にもっていく→1つの話にまとめられるか文字におこす→オチは感情が動くかが

key この感情がどのようにうまれるかとなっていく

・市内・地域から生徒が見つけてくる

例 林業 漁師の子 日本刀作り 地域産業 売店を閉店させたおじいちゃん

・お散歩、街を歩く→ネタを探しにゆく カメラを回すのもよい

・高校生相手だと嬉しくて話してくださる地域の方々もいる

・役場に行かせる

・町の掲示版をチェックさせる

・部室に紙を貼っておき 普段から考えついたものは全て書き込ませていく

・ドキュメントはアンテナをたくさん張るのがよい

・顧問はコネや繋がりを作っておく

・人を追って時間をかけて取材する(1時間くらい) 取材の繰り返し

・最初に決めたネタから取材していくうちに逸れることもあるが、生徒がおもしろいと思ってのめり込

めることが大切

・ネット検索はするが、構成力がない

・地域のお祭り

・学校内ネタ 新しく来た先生がおもしろがるようなこと

・生徒内のネットワーク

・自分の地元のいいところを知らない

・都内の私立高校では、都民でない生徒も多い

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→まずは「地域」ってものがわからない 手助けが必要

→コミュニティーサイトと協力 地元へ取材

・リサーチものと、1人に焦点をあてたものの2種類ある

・紹介で終わりにならないようにする

・校内放送のネタを常にさがしていて、「これ」というものをドキュメントのネタに

・ネタを温めて、取材に半年以上かけてというのもある

・アナ1分半の原稿をまずVM・AP5分に番組構成してみるのをとっかかりするとよい

・読みと番組を合体させてやるとどちらも伸びる

・7分=1800 字くらい 凝縮しないとダメ

情報は 5000~6000 字文ないと中身の薄いものになってしまう

・入選するには、オンタイム、インタビューと画のバランス

NHKでも作れるものではなく、高校生ならではの作品を作る

・結論が見えているものは潰していく

・他県の先生にこぼした愚痴が「番組のネタ」になり、うまくいったこともある

・全国上位の番組は何がちがう?

おもしろい 画・音がきれい カメラの角度

テーマ性 おもしろい中で自分が気付くものがある 訴えたいものがある

・いい成績をとっている先輩方の作品を見て、テーマを絞る

◎機材

・機材って何が必要?

まずはパソコン ソフトはネット上のフリーソフトでもよい

デスクトップはグラフィックボードなどパーツ交換や容量UPなどができるタイプ

ノートは持ち運びができるが、処理能力に限界がある 内蔵メモリは8GBは欲しい

音声録音ICレコーダー、マイク、対応したスタンド

PCMレコーダー(4万円くらい)ノイズ除去が楽 おススメ

ビデオカメラ 女子高ということもあり、ハンディカメラを用いている

音編集ソフトは使い勝手がよい 機材についているものでよい

ノイズを消そうとして元の音声が歪んでしまう場合も

ノイズが気になる→後ろに音をのせる BGM+テロップである程度ごまかせる

編集ソフトは、オーソドックスに用いた作品の方が審査員ウケはする

一眼レフは背景がぼやけて柔らかい(ドラマ向け) 難しいのは露出

上の大会に上がるにはデジタル一眼レフ

レンズがキレイだとさらに良い 暗い場所で撮る場合はLED(段階調節)を用意

モニター3万円くらい(大きめが good)

・良い機材は良い意味で生徒にプレッシャーを与える

・学校の業務用PCにソフト+5~6年前のビデオカメラで県大会入賞、全国大会出場

現状あるものでも作ることができる

・スマホでも作れる(ライブ感があってよい) 音は良くないので別録りで

写真ならそれでいいかも

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マイクをつなげるようにすれば録音もできる

アプリがあるので動画編集もやろうと思えばできる

ただし、スマホでインタビューすると本気に思ってもらえないことがある

・カメラ内蔵マイクと別付マイク どちらがいい?

マイクによる ケーブルがノイズを拾うこともある

指向性が高いマイクはノイズが入りにくい

・対談形式のときはバウンダリーマイクとか

・ドラマのときマイクは?

テレビドラマは現場音 使いたいならしっかりとしたマイクで録音

ピンマイク(bluetooth で音を飛ばせるものも)とかガンマイク

ワイヤレスのピンマイクは3~4万

・各校お金の工面にも困っています

ケーブルテレビの出演料で 1回2千円もらえている

他のコンテストの賞金とか

うちは体育祭や文化祭のまとめ特集を作って、DVDを校内販売している

原価 200~300 円で、1枚 1000 えんで販売 制作は 1年生の仕事

→老朽化、買い換え時だが、1年生がいないので交渉しづらい

予算が少ない 廃棄するPCを直して使っている

モノを大事にする意識 今あるものを代用して、まずは始めてみることも大切

学校の機材 視聴覚の予算狙い目

パソコン等の機材は情報科とか部以外の予算に援助してもらう

文化祭のときには文化祭予算が出るのでそれも利用

・女子が多い なかなか番組を作らない 機械にうとい 技術の継承が難しい

→まずはメカを触らせる(カメラとか) それが大変

・番組作りが盛んでない→メカが古くなる(メンテナンス不足)→使えなくなる

6~7台あったパソコンのうち、ちゃんと動くのは1台のみ

さあ、もう1度番組を頑張って作るぞと思っても環境が整わない

◎著作権

・手間とお金を考えると音楽は自作 電子ピアノを購入

・ラジオは肖像権がないので手軽

・Facebook を取り上げるとき、海外と英語のやりとりが非常に大変だった

・BGMが絶えない現場 背景音を下げる フリー音源をかぶせる

・取材のバックのBGMは、はっきり聴こえていたら処理する できれば消してもらう

・現場のBGM(背景音)のための著作権処理に 1か月くらい 5,000 円

・著作権フリーの曲は皆使うから「またか」という感じになってしまう

・楽曲の金額は高い

・楽譜も高い スタンドバイミー生徒が歌う 10,000 円で Jasrac が窓口になってくれた

・権利処理関係で減点されたら顧問の責任 面倒なことは多いが生徒のために

・わからなかったら Jasrac に Tel すると、丁寧に教えてくれる

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・テニスラケットのロゴなど、昔は映り込みで済んだが、今は許可をとっている

・気になるところは全て聞く(ex.ブックカバー ネット上にある調査結果 表紙デザイン)

・楽曲以外は、高校生だとほとんどお金はとられない

◎制作のスケジュール

・〆切2週間前には一度は完成したいところ!!

・春休み構想固めて→5月

・春休み中に素材を集める 春休みを最大限に活用する

・冬休みまでネタ出し 冬休みに話を聞きにいく

3学期カメラ・マイクをもって取材をはじめる

中間発表は4月 いろいろな先生方に見てもらう

・事前に視聴会を開く

・目標 冬休み前から動き 4月で荒削り 5月作り込み

・3月に中間発表を企画してはいるが

・Nコンに向けて 11 月 12 月にテーマを決める

・半月前(2week)にはチェックしている

・5月に学校祭があるので4月下旬には計画立案させているが、途中から計画が変わってしまうことも

ある 1・2・3月に計画書を出させ、視聴会も何回か行っているが、その段階では全く進展がなく最

後ギリギリということもある

・1月 20 日すぎにチームを作ってやっている

・春休みにドラマがある程度できるとその後しっかり取り組める

・制作期間 ドラマ 短くて1週間のときもあった ドキュメント 実動3か月

◎インタビュー 良いコメントをもらう方法

・生徒は質問を考えると、それ以上進まないことがある

場数を踏む 大勢で行かず2名程度 教師がつっこみ方を見せる

技術でわからないときは卒業生に聞くことも

・事前に質問を送っておき、生徒に質問させ、足らないときは顧問 気を使って準備する

・回数を重ねる

・関係を作る

・初めからずーっとテープを回し続けて 素の言葉をねらう

・カメラ2台 ICレコーダー すべて付けておいて失敗のないようにする

・画角は、字幕の場所やカメラ目線はよくなかったりなど考えて撮影する

・取材が終わって「ありがとうございました」の後すぐカメラを切らない

後のやりとりの方に素が出る

・インタビューをガンマイクで行い、緊張させないようにする

・インタビューのマイク 画面に映らないように イスとか机の下に隠す 上から吊るす

・取材したときは、2回目のアポを取るようにしている

・同じ人に3回質問 3回もインタビューに行けないときは電話インタビューも

・話してほしいポイントを何度もぶつけておくと、そのポイント(ワード)を押さえながら返してくれる

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・インタビューした素材は全てを使おうとはしないこと

・取材してみて着地点が変わっていくこともある

◎作品制作へ顧問の関わり方

・一緒に作るが、生徒に取捨選択させる

・ドラマは台本に口出しするが、撮るときには立ち会わない 試写会の時に口出しして、撮り直させる

ダメ出しはしっかりする

・他作品を見せて、生徒の見る力を養わせておく、そして生徒に情報の取捨選択をさせる

・書き起こしには目を通しておく 途中経過は知っておく

・外へ取材等、同行すべきところは一緒に行って取材先と関係をつくる

・ネタ、画角も実際作らせながら教えていく

・初見の他人に見てもらって伝わることが大切 全く関係のない人の眼でどう伝わるか

・基本は生徒に任せたいが、内輪ネタに走ったり、著作権無視していたり

・ネタが良ければそのまま走らせてみる ネタが悪ければ筋立てからビシバシ

◎構成

・しっかり起承転結にまとめる とくに「転」を大切に

・取材内容を文章におこして構成する

・アナ原稿を作るのと番組を作るのは基本的に同じ

・取材の中で意外なことを言われて方向性が変わることもある

構成を大きく作り直す必要があるがその方が良い番組になることも多い

予定調和でなく、取材者が「えっ?!」となるものがないと見ている人にも伝わらない

・作り手のメッセージがないと紹介で終わってしまうが、独りよがりにならないように

・番組の映像を見てわかりにくければ、台本・構成の練り直しはどんどんやる

・ドラマは設計が勝負 撮り始める前に8割方決まっている

・テロップ キイワードが視覚で入ってくると情報処理が速い 時間短縮にも

◎ドラマ

・安易にドラマ・恋愛ものを作りたがる

・ドラマは高校生の内面を切り取るテーマ

・登場人物 女子校なので女子にしかできない作品にしている

・大人や老人役の配役は、老け顔の生徒にしたり、横顔を撮影したりする等している

・最近のドラマはアニメ等の影響が強いと感じている

・演劇部や前に出るのが好きな子を借りてきてやってもらうことで部員もひっぱられる

・テレビドラマはコンテがかける生徒がいるとき、音しかいけないときはラジオ

・ラジドラを作っている 恋の話が多い県の傾向の中でひねった作品が多い

・ラジドラのみ 生徒が写りたがらないのでTVは作らない

・外での撮影もたくさん取り入れて作品としては面白かった

・好きな映画は、1回目は楽しむ、2回目以降は要素(芝居、BGM、・・・)ごと見る

・全国大会 Nコンウェブで見る 話し合う カメラ回しやパロディー作り

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・ドラマは脚本ありき 脚本次第でいいものになる 台本はしっかり書かないと

・昼に放送ドラマ 週一で1回5~10 分 連続

・ドラマの一場面の音を消してセリフを入れる練習 よかった

・3泊4日の夏合宿 ドラマ1本作らせる

・ドラマの音の録り方

マイクを向けて録る

同時に2回録って後で映像にかぶせる

ピンマイクを使う

・音は全て後づけなのか

現場音の方が勢いがある

いいマイクならその場の音で十分

アフレコで録ると部屋の中で録った感がある→別の部屋で再チャレンジ

・画像・音声のとり方

画像と音声は別々にとるという学校と、音がずれるので基本一緒に録るという学校も

・声優に憧れる少女 ドラマごり押し アニメの声はラジオドラマには必要ない

・生徒には、審査は我々教員がやっている、高校生の思い込みだけではダメ

・「ドラマの作り方」の本もある 顧問も読み生徒にも読ませる

プロの作った作品をネタに同じ設定・筋で生徒にチームで作らせてみることも

・桜のシーンなど、その季節でなければ撮れないものはどうしている?

季節の風景など取り溜めしておくよう指導している

◎ドキュメント

・取材によって世界も人脈も広がるので、ドキュメントを作らせたい

・ドキュメントは素材勝負

ナレーションを抜いて 映像の力、インタビュー 現場音

・ドキュメントは社会経験積ませる場

・必要なイベントがとれていなければボツ

◎ラジオドキュメントの特性は?

・音楽作りをしている人を追いかける作品

・音声媒体 聴いている人に臨場感 訴えるものが必要

・インタビュー これでどれだけ訴えられるか 取材がいる

・ドアに入るときの音 店の中の癒しの音楽

無理に作った音ではなくて自然な音

ラジオで見せたい情景がある 目で見えなくても想像できる楽しみ

◎番組制作練習

・1分間の番組(CMやドラマ)を1から2か月に1回

・取っかかりに学校紹介ビデオ 保護者向け・生徒向けの2つ作らせてみるのもよい

・地区で批評会するのも楽しい

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・卒業生へのプレゼントを作る

・特殊効果の練習 マニュアルも読むし 興味を持たせる

・文化祭で生徒会が作っていたPRビデオを一緒に作ることに

・たとえ陳腐なものでも番組制作のおもしろさを体験させることが大事

講座5 「番組技術と模擬審査 ~はじめての作品作りと許諾・権利処理~」

講師 神戸国際大学附属高等学校 島 耕一

50 回大会からラジオドキュメント部門の運営に携わり、審査部会で確認作業をしていました。今回お話

しする中心は手続きの仕方でなく、どのような手続きが必要かと言うことです。

〔はじめに〕

極端な話ですが、部員は 1 人でも活動できます。私の場合は部員が1人のときでもNコンに参加させ

ました。部員を増やすきっかけの一つは校内放送です。また、学校行事の運営に関わらせることも重要

です。

①昼放送ですが、何もない状態からいきなり「やります」というのも大変です。やはり根回しをする

必要があります。先生方に「やらせてください」から部員に「やろうよ」、そして「これできる?」とレ

パートリーを増やしていきました。また、遊びも入れました。例えば「○○先生からお話があります」

の後に先生のアナウンス録音を流します。そのBGMにベートーベンの運命を流すなど、インパクトを

与えることを工夫しました。

また、生徒のやる気を引き立てるため、キュー出しのようなプロのような動作を入れました。曜日に

よるチームを作り、その曜日の当番以外は放送室に入れませんでした。これは視聴者としての放送部員

が必要だからです。全ての曜日に昼放送ができない学校もあると思いますが、月曜日は優先させてやり

ましょう。その 1 週間の予定をしゃべらせるなど、重要なネタが必ずあるからです。

②機材の整備と整理は生徒と一緒に顧問もやるように心がけました。特にカレンダーは大切です。学

校行事や番組の制作日程などを書き込んで雰囲気をつくります。機材の保管についてはバッテリーの保

管に注意してください。要項などの書類は見えるところに保管しましょう。コピーして貼り付けるのも

いいです。インタビューなどは「細部構成表」を作って使用しました。インタビューの内容を 1 枚の紙

(付箋紙でも可)にまとめ、後で並べて構成を考えさせました。先生へのインタビューは、事前に私が

根回しをしておきました。目で見えるものにして構成をみんなで考えさせました。

③昼放送のリハーサルを前日にさせました。最初の方は顧問も立ち会います。放送の後にはアドバイ

スの前に必ず褒めました。タイミングは昼放送直後が理想的なのですが、遅くともその日の放課後にや

るべきです。私はこの方法で昼放送の体制を確立させ、3ヶ月ほど続け、番組制作へと進ませました。

1 番組制作へ

①まずは素材探し。最初は身近なところでいいのです。学校生活を見渡して、隣の席の生徒だったり、

担任の先生だったり、その人の趣味・こだわり・学校の授業の他の顔を取材すればいいのです。また学

校行事を取材するとそこから色々なものが見えてきたりします。注意すべき事はインタビュー。基本的

には取り直しはできないと思いましょう。またインタビューまでにとにかく挨拶をしましょう。

②素材探しに必要なものは「メモ書き」です。とにかく気になったことは書き止めておきましょう。

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生徒にはメモ帳と三色ボールペンはいつも持たせています。シャープペンの場合、芯の堅さはBまたは

2Bにさせています。またメモ帳は付箋紙でもリングで止まっているものでもいいです。すぐにちぎっ

て細部構成表にできるものがいいでしょう。

例えば野球の試合の取材で、「相手校のエースに三振を喫した」場面がとれたとします。

そのとき、そのバッターに焦点を当てますか?次のバッターに焦点を当てますか?スコアをつけている

マネージャー、控えの選手など、脇役に焦点を当てることもできます。敢えて脇役に焦点を向けさせる

ことで視野が広がる事も(生徒の視野を広げることも)できるはずです。そして何を伝えるかを考えさ

せました。

素材が集まったとき、次に考えるのは何のメディアを使うかです。テレビ用に取材していてもラジオ

番組として作った方が効果的だったりすることもあります。そうして番組制作に乗り出しますが、下準

備は顧問として私がやっています。取材に必要な機器の準備や取材対象への根回しなどです。生徒は「自

分たちでやる」と言ってくるとしめたものですが、それでも事前に顧問からお願いしておくとスムーズ

に取材ができます。

2 指導のタイミング~

①技術講習をしましょう。もし顧問ができない場合は、知っている生徒にさせましょう。

カメラやマイクの使い方の講習、バッテリーの保管の仕方、取材相手及び部員の予定をカレンダーにま

とめて制作スケジュールを作らせるなどです。特にバッテリーは途中で切れると取材をやり直さなくて

はならなくなるので、バッテリー機材のチェックは入念にしています。

②取材指導で特に注意していることは、取材が終わったときにその場で音声や画像をチェックするこ

とです。いざ取材を終えて帰ってみてみると、番組に使える映像・音声ではなかったと言うことがある

からです。また、職場の同僚や学校長にも理解を得ておくことが大切です。特に保護者の理解は重要で

す。必要に応じて保護者会を開く必要があるかも知れません。

校外の取材には必ず立ち会っています。事故があった場合の対応や、取材の取り残しを防ぐためです。

3の1 NHK全国高校放送コンテスト要項(赤本)の各部門規定について

・アナウンスなら 1 分10秒以上 1 分30秒以内と時間が決められています。1 分20秒を目安に原

稿の長さ、読みのスピードを調整します。必ずストップウォッチを使って計時させています。

・ラジオドキュメント部門であれば、6分30秒以上7分以内となっています。やはり6分35秒か

ら6分55秒で編集をすればいいと思います。

・その他、大切なことが要項の中に書かれています。また前回と変更になっている箇所もあるかも知

れません。必ず毎年チェックをしておいてください。

3の2 番組で提出する書式

(フローチャートが良くできています。参考にしてください)

・資料6を見ていただければ判ると思いますが、整理されていないCUEシートはそれだけでチェック

の漏れが生じる可能性があります。是非権利処理の番号とCUEシートに出てくる順番とは一致させた

方がいいです。

・注意して欲しいのは効果音やBGMの使用です。著作権が消失している場合などでも著作隣接権が所

有者・レコード会社等にあるため、使用許諾をとらないと番組に使用できなくなるものがあるからです。

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街頭の取材などの時、口頭で「取材してもいいよ」と回答を得たとしてもご協力のお願いはとっておい

た方がいいでしょう。

4 実際の作品

「遅刻・欠席が多く、3年に進級できないかもしれない生徒に焦点を当てた作品

その原因がクラシックバレーの練習に明け暮れているから。友人からの感想、

先生方からの印象、親の期待の声を織り交ぜて練習に打ち込む生徒の姿を描いた

青春群像を紹介する作品」

(コンテストに出せなかった理由およびこの番組で特に必要とする許諾)

①発表会の画像を撮りたかったのですが、複数の主催団体がいる発表会は、1団体でも

許可が下りないと取材できません。この発表会がそれにあたりました。

②バレー教室で流れていた音楽がJASRACの許可を必要とするもので、このために

高額の著作料が発生します。

③バレー教室の中での取材なので、バレー教室自体への取材許可と、生徒の近くで練習

をしている仲間たちの許可も必要となります。

5 報告号の活用

やはり優秀な作品が多いのでこれを大いに参考にしましょう。

・アナウンス原稿の作り方は番組作りと同じです。まず新聞の見出しに当たる「リード」を最初に出し

ます。その後本文を作成しますが、そのときに5W1Hに注意させます。

・まず真似させることからはじめましょう。そのあと身近な者から取材をし、メッセージを決定します。

カメラを持って取材をすると番組のネタにも成りますよね。

質疑応答)Q 顧問をしているとき出品された番組で印象に残っている作品はありますか

A その時その時で目一杯指導しているので、どれがいいとはいえません。

講座5 「番組技術と模擬審査」

講師 NHK 制作局 青少年・教育番組部

チーフ・プロデューサー 中根 健

前半は創作テレビドラマ部門の3つの作品を視聴し、模擬審査を実施しました。それぞれ準決勝に進ん

だ作品です。

作品1)「春の訪れと高校生の心のうつろいを描いたドラマ」

作品2)「将来の目標について、様々なデータと生徒の希望の間で揺れる生徒を

コミカルに描いたドラマ」

作品3)「恋愛感情をコミカルに描いたドラマ」

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模擬審査の結果発表の前、各班でディスカッションを行い審査の視点を交流しあいました。

模擬審査結果発表の後、中根プロデューサーより模擬審査の作品について講評をいただきました。

作品1 映像が秀逸。高校生らしい春の訪れと心の揺らぎを上手く扱っている。

言葉にならない心の内面を描こうとしている。判りづらいかも知れないけれど印

象に残りやすい。録音面に改善の余地がある。台詞にももっと気を配るべき。

作品2 アイディアがいい。シナリオがきちんとして、テンポもいい。チャレンジャー精

神は評価ができる。しかし、情報を詰め込みすぎ。

テレビ番組は台詞・映像をトータルで見せるものなので、そのバランスを崩して

は訴求力に欠ける。これは台詞劇になっていた。

作品3 映像が上手で、内容もわかりやすい。作品1・2のいいところを合わせた印象を

受ける。よくある展開かも知れないが、カメラワークも上手で編集も凝ったもの

で、作品として練られていた。総合的に評価が高くなった。

作品1と作品2の比較を通して

コンテストの評価は作品2の方が高くなっていたが、テレビドラマで作らなくて

はいけないという必然性は「映像を通して訴える」と言うことが一番重要。作品

1の評価で、録音技術の問題点や映像技術に頼りすぎているという批判もあった

が、理屈ではないが印象に残るかという部分も大切だと思われる。8分間という

制約の中で、メッセージ性や芸術性のバランスを取ることは難しい。

質疑応答

Q1) 作品1はある作品が元ネタになっていると容易に想像できた。それでも高得点

をあげるのは抵抗があるが。

A1) 高校生の作る作品に「パクリ」があったとしても、「オマージュ」としてあれば、

それは認められるのではないか。全てにおいてオリジナリティを求めるのは難し

い。目標とする作品があり、それを前向きに模倣をして技術を高めるものであれ

ばいい。プロもまず先輩の優れた作品をまねすることから始める。

Q2) 演技力はどのくらい重要か。

A2) ドラマだとウェイトは高くなる。

配役のキャラを理解し、それを自然に演技できる生徒は魅力的ですね。

逆に作品1は、台詞のないシーンの映像がよかった。

Q3) アフレコについて、必ずやるべきなのか。

A3) 作品1と作品2は上手くなかった。音も大事な要素ではある。

ただしどのような機材があるかが問題。本来はアフレコがいいと思うが。

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(会場からの意見)

①その場所での雰囲気を重視しているので、ブームを使って直接録音している。

②ロケでやると音声が取り切れないのでアフレコをやらざるを得ない。

→「アフレコをやらなくては」、というより「整音作業で補う」という感覚を優

先させて欲しい。技術面も評価の対象なので重視して欲しい。

Q4) ストーリーのわかりやすさを追求するあまり、道徳の教科書みたいになっている

作品がある。聞き手に考える余地を残さず、まるで大人が伝えているかのような

情報を修正するのはどうすればよいか。

A4) 見る気の起きない、生理的に受け付けないような作品は嫌ですよね。メッセージ

性があればいいのだが、どうしても頭でっかちになりがち。

ちょっとした仕草であったり、カメラアングルなどを工夫して制作していくこと

が重要になる。

まとめ 高校生らしい主張を育てるには、初めは「パクリ」でもいいから感性を大切にす

べきではないのか。部員どうしが話し合って、みんなが思っていることを確かめ

合い、それを作品に活かすことも大切だと思う。そういう意味では恋愛ものもあ

っていいのではないか。

高校生の感性に沿った番組は、一般的には悲しいドラマになりがち。まさかの発

想で思わぬ展開を生み出すトレーニングは、やはり「いい作品を見ること」。色々

な映画を見まくることが原点なのではないか。

それに次ぐトレーニングはマンガを読むこと。マンガからストーリーの構成技

術・カットワークや映像を読み取り勉強することも重要。NHKの人も映画やマ

ンガを参考にして勉強している。

NHKの人の勉強素材は、他にも「他局の番組」を参考にしている。例えばバラ

エティ番組を見せて、オチの付け方を学ばせたりしている。放送作家の人はスト

ーリーの構成や展開・オチを常に考えている。なので、毎日色々な場面でメモを

取り訓練をしている。番組プロデューサーも同じで、このような勉強をしている。

とにかく様々な事をプラス評価で捉え、高校生の可能性を伸ばして欲しい。

続いて、中根プロデューサーから番組作りの観点から講義がありました。

Rの法則の制作に携わり5年目となる。バラエティに富んだ番組で、10代の声を伝えたいという視点

で制作している。

出演者は13歳から19歳までのタレントをオーディションで選考する。R’sというグループで、現在

8期生。取り上げるジャンルも様々で、テレビを見なくなった10代、またその家庭に見て欲しい。

以前は尖った内容を扱っていたが、母親の世代から「一緒に見られる内容を」という意見が多く、現在

は修正している。もちろん制作者の立場で、10代の人に伝えたい、志って欲しいというメッセージも

入れている。例えばいじめ、環境問題、歴史問題なども10代の人に伝わるように制作している。

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ここでRの法則「戦後70年 戦死した若者の詩×声優・浪川大輔」(2015.10.15 放送)を視聴しまし

た。

とにかく10代に関心をより持ってもらいたい、学校では教えてくれないだろうストーリーを最後に

入れてみた。10代の若者にどうしたら戦争をより身近に考えてもらえるか、実はどう10代の人に響

いたか、感想を聞きたいと思っている。

竹内浩三については3年前にドキュメンタリーを制作している。Rの法則では場面を「入隊前」「入隊

後」「戦争にいって」の3つに分け、①再現ドラマをやめてイラストに、②詩の朗読は声優・浪川大輔を

起用③場面毎に「みんなだったらどう思う?」の質問を入れた。

また、竹内の気持ちに視聴者が寄り添えるよう、①仕送りに頼っていた。②召集令状が出てから実際招

集されるまでの6ヶ月で何をしたいかをR’sに聞いてみた。などの工夫をした。

今見返してみると、スタジオとVTRの展開が単調だった。また詩の引用が多すぎたようで、中だる

みがあった。Nコンの採点では75点に止まるのではと思う。

竹内浩三の以前に制作したドキュメンタリーは若い人に見てもらえていなかった。調べていけばいく

ほど、どういうように戦争を身近に感じてもらえるような作品にして欲しくなった。例えば、竹内の記

録は戦場に征った後の事は何も残っていない。R’sの一人が言った「あっけない」という言葉で、この

世代に届いたという実感が沸いた。

戦争を伝えると言うことは難しいけれど、大きな使命の一つと自負している。狙いを定め、メッセージ

を伝え続けている。

高校生だからできる番組制作は、例えばドキュメンタリーでは昔の高校生を描くこともいいのではな

いか。

質疑応答)

Q1)番組の冒頭の詩「何のために生きるのか」は何歳の時の詩か。また、詩のとらえ方

に変化があったのか。

A1)20歳の時の詩です。概算で70年前といったが正確には74年前。

「何のために生きるのか」は高校生の永遠の課題ではないのか。

Q2)番組の中盤で「死ぬるまで ひたぶる たたかって きます。」は「生き抜く覚悟で

いってきます」という意味ではないのか。また、視聴者からの感想の内容はどうだ

ったか。

A2)番組の視聴率は1%に届かなかった。ただし、思ったより落ち込まなかった。ただ

し感想はがきの中には「浪川さん最高」が多かった。また、親世代が肯定的な意見

を寄せてくれた。

Q3)竹内浩三を軸にした企画は何で通ったのか

A3)シリアの難民の話が企画に上がったが、予算上の都合でボツ。次には沖縄の基地が

上がったが、リアルな問題が溢れて焦点を絞るのが難しくなる。そこで竹内の本が

浮上。詩を扱う企画はほぼ視聴率をとれないが、大学の時の「人間失格」のような

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状態を追いかけて、それも朗読とイラストで構成した。これが結構視聴率が良かっ

た。

Q4)コンテストで75点だが、いい面はどこなのでしょう。

A4)「ぼくは、ぼくの手で、戦争を、ぼくの戦争がかきたい」の場面でアリスが泣く。お

墓のエピソードと詩「三ツ星さん」に続くところが感情的になるシーン。ここを工

夫した。

またこの番組は現代の音楽をかなり使っている。