41
技術窒報告 No.2 1988 大阪大学産業科学研究所 技術室

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技術窒 報 告

No.2 1988

大阪大学産業科学研究所 技術室

Page 2: No.2 1988...内側内 1:'1 1ーー>,胃 I'I IU 凹10 1_ II It I I 115 1.2 ・恥"" I ilil --A 川u l--n同 ・1A 川口n h 此。-1, 5KHz 5KHz 図-6 金属パットの打撃音と音響スベ

目次

金属パットからの打撃音…….........………….....・ H ・...…計測掛 奥田良行H ・H ・...… 1

熱蛍光線量計による放射線管理…………・…………・…・…計測掛 馬場久美子…......... 5

PV-3035クライストロン

励娠用パルサーの設計と製作…….....・H ・........・H ・-・・計測掛 堀 利彦・・・・・・……11

質量分析装置JMS-DX300 (日本電子製)

の改造について…...........................分析・データ処理掛 山田 等…・・・・・・・・・15

エネルギ一分散型X線検出器 (EDX)

のメンテナンスについて………...・H ・..分析・データ処理掛 石橋 武…....・H ・.19

TASMACシステムにおける RASAと

ANCHORの連携について.........・M ・..分析・データ処理掛 田中高紀.......…・・23

ガラス製真空コック及びジョイントコック...・ H ・-・ガラス工作掛 山口 春夫….....・H ・27

磁気結合型回転導入機の試作H ・H ・............・ H ・..機械回路工作掛 大村 彰.......... ..33

「技術ノートJ

ファジイ・システムの応用に関する

国際ワークショップ見聞記.........……………・・・……計測掛 奥田 良行・・・………37

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金属バ ッ 卜 か ら の 打 撃 音

計測庖計測掛 奥田良行

1 はじめに

一般的に、我々の身の回りにある道具類には音を発するものが多い。その中でもスポー

ツに用いる野球のハァトやゴノレアのクラプなどは代表的なものであろう。

ここでは、野球用金属パットの形状と打撃音の関係を知るために音響分析による周波数

成分及びその精造や耳霊感について実験的に調べた結果を報告する。

2.試験用金属パッ卜の形状と仕様

写真一 lはこの実験に用し、た 2種類の金属パ y 卜と打滋球を示している。表 1はそれ

らの仕様を示す。 KA-5840タイプのパァトは従来からよく用いられている先端が広がっ

ているものであり、 KA-5845タイ プのパットは先端がやや絞られたものである。次に打

刷・招45 0 __一l' ー

¥、ーベJ 銅線

唖球/---写真一1金属パッ トの形状および打撃球

硬球 |鋼琢

160 Pパ叩DIA 1120 P /3 cmDIA

撃球の選択であるが、 打!.¥¥iとは一種の衝突であ

るので運動量の変化や反発係数などを考慮にい

れて決定する必要があるが、この実験ではおも

に野外では普通の硬球、実験室内では鋼球を用

いた。さらにパットの打撃点すなわち芯である

が、これも突打した場合にパットの握り部分に

与えられる力が最小の部分として決定されるが、

今回は突際にポーノレを軽〈打った場合、控室り部

分に感じられる振動の少ない位置として経験的

に割り出し、パット先端から17-21(cm)とした。

I.pact 8011

Support

$,.ゅ1.

表一 1 金属パッ トの形状および打撃球 図-1 測定ブロ ックダイヤグラムの仕様

3 測定:および実験結果

図-1にd!IJ定の概略を示す。パットに対する打舷球の運動量は、パットを 7 1) の状態

でつり下げ、打撃した場合にパットが静止点から大きく移動しない状態を基準量として加

l

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滅している。 図ー 2及び図ー4は実験室内で硬球を用いて実打した場合の打撃音の波形

と音響スペクトノレを示す。打撃はト スされたポーJレを打者が打つという方法を取り、その

横方向約 1mの地点で打撃音を記録した。図-3及び図 5は野外で硬球を用いて実打し

た場合の打撃音の波形と音響スペクト Jレを示す。打舷はピッチャーが投球し、このボーノレ

を打者が打つという方法を取り、打者の後方約3.5mの地点で打撃音を記録した。これら

の場合の打撃音の勝感であるが、実験室内 ・野外どちらの場合も“力一ン"という比較的

長い残響感があるが、主観的に見るとその音色のfM]には大きな相違は感じられない。 一方、

波形からは実験室内と野外では明 らかに音波の立ち上がり に相違が見られる。 これらの相

違はポーJレの球速に起因していると考えられる。

硬1吉川 5840 n..tn 11111 : nrr.nll町

加型室 ,一一一35rns一一「主l寺

. "岡刷 C :'1) -ー ) 21'i11 C 01 円内a・31U I I宵1.2 ' ~ ac I

60 5KHz

図-2 金属パッ トの打撃音と音響スベクトル

硬球K̂.5B45 liIl密室主!寺

,.町 h '1 1 肉 ~ l Rnll. ur. ~35悶斗ー「

• I NUII t :'1) ーー)21111 I 111 ・ 円内z・‘'司 II町1.2 .,崎町 '

(Os)

川岨

ドL 州山|料一一, 111“"1 :J1 -ー, ,馬1L I 81 円"・1‘r)!i I .,>1. Z ・e珂句 』

5KHz

図-3 金属パットの打掌音と音響スベクトル

~二幅L-I 11111"‘ 旬、 ーー) ZII L I I 9) ・"内男 ~ 1:11: I L II I ~2 ・R内円 1

5KHz 5KHz

図-4 金属パッ卜の打電車音と音響スベ 図一 5 金属パットの打撃音と音響スベクトル クトル

一2

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図-6及び図-8は実験室内で鋼球を用いて打撃した場合の打撃音と音響スベクトルを

示す。また図ー7及び図-9は同じく実験室内で硬球を用いて打撃した場合の打撃音と音

響スベクトノレを示す。これらの打撃音の聴感としては、鋼球の場合が “カン"という短い

金属音が感じられるのに対して、硬球の場合は “コン"という鈍い音として感じられる。

これらの相違はそれぞれの音の波形から見られるように鋼球の場合は打撃球の速度が比較

的小さいにもかかわらずパットに対する振動の励振が十分行えるためで、硬球の場合には

これが不十分で、特に高い周波数の励振が小さいので、 「木Jを打撃したような音として

感じられると考えられる。

戸二岡山伽仰向 山示;ニー. "“‘I !'II ーー> ,馬'"旬 伺" . ・%11 I 11; 1. Z •府内, , . ,内側内 1:'11 ーー> ,胃I'I IU 凹101 _ IIItI I 1151.2 ・恥""I

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-1,

5KHz 5KHz

図-6 金属パットの打撃音と音響スベク卜ル

図-7 金属パ ットの打撃音と音響スベクトル

IIql. K^-5ß~ 5 1!l~ ~臣室主l寺

Tllh.fll帽 "唱r.us.¥11'; ,..備'"網Z・lHl!'oS.I'C

,-ー-35111s一一「

. ‘胸骨"1:U 一一・ 2旬‘11 111 • 11111 ・ H :司 l'町1.Z .".・,I . ,網"“ I:)1 --) 2511 ( 11) ・I1U - n胸陪 l'号1.Z ..'司,,

D 。

tE11』h

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6

川一(00)

5KHz 5KHz

図-8 金属パットの打撃音と音響スベクト Jレ

図 9 金属パットの打電車音と音響スベクトル

3

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4.金属パットからの打掌音特性

一般に楽器の音色ωはその音の倍音構造やスペクトル構成によって左右される事が知

られている。このことを今回のパットの打撃音に関しても適用するために求めた特性が図

-10から図-13である。特にこれらの特性で興味のある点は実験室内と野外における実際

の打撃による音と実験室内における硬球等による打撃音との聴感は異なっているものの、

一定の相関関係が見られるために両パット聞の特徴の相違がこれらから客観的に観測でき

る点である。

. s ~ 0 ~ .KIl-5840 〔JB〕ト ー硬球l' -... (無響室}

・20トl ル→ 硬球ト {グラウシド}可、b

. s ?orm・5845 骨

向~ O-O(<::W h … 一←ー' 硬球 ¥ ・

( <グラウシド} ¥ノρ

・40I ー-40 -1-

-60 , 1 2

-60 5 -. f (KHz)

図-10 金属パットの打掌音特性 図-11 金属パットの打撃音特性

トー掠 鋼球{無響室)

s 1 ~ 0 ~胤-5845

b l 硬球(dB) t I .. ~ (無密室}

s fO『 跡5840(dB) ~ A-A 硬球

('無響室}

ト-J(鋼球{無響室)

日 20 -1 -20

-40 -40 ~ .

-60 . - -60 , 5 f (Klfz)

. E ..a......a. 5 f (KHz 2 2

図-12 金属パットの打撃音特性 図-13 金属パットの打掌音特性

5.おわりに

今回の実験で、金属パットの形状と打撃音の特徴を関係づける結果が得られた。今後は

打撃音の残響感に影響を与える減衰に対する形状の物理的パラメータとの関係、「繰り返

しJ打撃による材料の疲労現象に関する発音の変化、さらに一歩進めて音色の良し悪し等

も検討して行きたい。

6.謝辞

この実験の機会を与えて頂きました金属材料部門の岡本平教授を始めとして実験及び

データ処理等に多大の御援助を頂きました技術室及び電子機器部門(角所研究室)の方々

に厚く御礼申し上げます。

1.参考文献

(1)楽器の音色を探る 安藤由典著中公新書

-4-

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熱蛍光線量計による放射線管理

計測班計測掛 馬場久美子

1 .はじめに

放射性同位元素(悶)や放射線発生装置(電子線ライナック)を取扱う場合には、取

扱者の放射線障害の発生防止に万全を期すると共に、公共の安全を確保することが前提と

されている。したがって取扱者のみならず取扱施設責任者も放射線障害防止法によって規

制を受けており、放射線の安全な利用と、それを保証する放射線管理とが表裏一体となっ

ていることが要求される。

一般に放射線管理業務には多くのなすべき事項が含まれているが、今回は放射線実験所

での放射線被曝管理の面についてのみまとめた。実験所で考慮しなければならない放射線

の種類が多様であり、施設に立ち入る人数も多いために、測定と管理方式に種々の配慮が

ほどこされている。

被爆線量管理は、フィルムバッジによる集積線量の測定管理と、熱蛍光線量計による各

放射線作業毎の被曝量測定管理の二本立で実施しており、その測定にそれぞれ特徴と利点

があるが、今回は後者の測定器、システム、メンテナンスおよび運用経過について報告す

る。

2.熱蛍光線量計 (Thermo-LuminescenceDosimeter: TLD)の原理と特性

放射線をある種の固体に照射し、その後加熱すると蛍光が発生する。この発生量が放射

線被曝量に比例することから線量を知ることができるという原理を適用した個人被爆線量

計がTLDである。

図-1にこの原理を模式的に示す。

固体が放射線を受けると固体内に電子

と生孔ができこれらが不純物や格子欠

陥に捕獲される。室温に保たれている

とこの状態は相当期間保存される。つ

ぎにこの固体を200-4000Cに加熱する

と捕らえられた電子が開放され正孔と

再結合し、そのとき蛍光が発生する。

…ヂω;ωJ

図-1 TLDの原理

-5ー

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この発光量の温度依存性(グロー曲線)は用

いる素材によって異なるが、その一例を図-

2に示す。昇温中の発光量を測定することに

より入射した放射線の線量を知ることができ

る。この測定は、高感度の光電子増倍管で行

い、小さな素子でも 4桁以上の線量範囲で測

定可能である照射線量計として種々のタイプ

の製品があるo 素材として代表的なものを表

-1に示す。

{任憲単位》

100 200 800

温鹿〈・C)

図-2 泰子のグロー曲線

生体等価型 高 感 度 担

餐党材料 BeO LiF CaSO.:Tm CaFs:Mn MgzSiO,:lも実効原子番号 7.6 8.1 15 16 11

(生体の実効原子番号:7.4 )

表-1 TLD材料とその実効原子番号

放射線業務従事者の被曝線量、すなわち生体吸収線量を評価するには生体等価型の酸化

ペリリウムが適している。実験所の放射線業務においては、被爆するおそれのある線量が

微少であるため、これを感度よく確実・簡便に測定できることが必要である。また測定可

能な放射線のエネルギー範囲が広いこと等が重要であるため、硫酸カルシウムを用いた素

子を採用した。この素子の感度は図ー 3のようなエネルギー依存性をもっ。個人被爆線量

計として、松下電器製TLDバッジ (UD-802P)を用いているが、これは適当なフィルター

との組合せで、受けた放射線をエネルギーク.ループ分けして測定できるよう工夫されてい

る。

栂対露

,園、

6忠。

て1

とし

た、圃,

10

l

..-・・・、、CaSO. :Tm ¥

¥ ¥ ,,ー『、、

Mgzsi04:TB¥¥ 、、¥¥

L1 F:Mg ¥¥ ー--』、、皇n 、え屯包二三、ち

10 100

実効エネルギー (kev)

1000 10000

図-3 素子のエネルギー依存性

-6-

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コンビュー夕、ノステム立入可能者 .放射線業務取扱

個人の被曝線量

放射線管理

3 放射線管理

放射線管理では放射線作

業に従事したl時間の把握と

線量測定、 ならびにデータ

の整理、安全確認等の業務

を行う。放射線管理区域の境界における放射線量

線量測定とそのシステム

個人被爆管理には今まで一般に線盆単位『レム』が用いられており、実験所でもこの線

量単位に基いて測定、管理を行ってきた。法律改正により 1989年 4月から実効紛li立当量『シ

ーベルト』で管理するよ う変更しなければならないが、今回の報告は今までの単位でまと

3. 1

めている。

放射線実験所に於ける主な放射線は加速器からの高エネノレギー電子線による制動放射線

1ミリレン トゲン精度で測定でである。低エネJレギ から目玉エネJレギーにわたる X線を、

h自由園田ーー1

-伽d

しかも、取扱が簡便であるものき、

として図-4のような TLDバッジ

を採用した。

ライナッ クの利用者は小型ケース

におさめられた線量計素子をフィル

ムバッジと共に胸部位置に携行し、

放射線作業中の被爆量を測定する。

7 イノレムパ γジは放射線を受けた

定崎}t測

写真7 イJレムを現像し 7イノレムの黒

化度に基いて線量を知る ものである

から、即時性は少ない。

10ミリ レントゲン以下の微弱放射

lヶ月の集積線は検出できないが、

線量を担IJ定管理するのに用いる。 TLD 1¥ッジ図-4TLDバッジは内部に 4個の素子がおさめられており(図 4 ) にその外観図を示す。

また 4素子の特長を表ー 2に示す。

繁子番号 通 用 蛍光材料 放射線シルド 測定範囲

第 1エレメン ト 皮膚線量 Li28",07 : Cu マイフー箔 1 Omrem-l OOOrem

第2エレメン ト 10keV-l0MeV LizB..07 : Cu jM 脂 10mR-l000R

第3エレメン ト 1 OkeV -70keV CaSO. : Tm {剖 月旨 1 mR-200R

第4エレメン 卜 30keV -1 OMeV CaSQ. : Tm 金属+樹脂 1 mR-200円

4素子の特長

一7ー

表-2

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ライナック棟において通常β線による被爆は考えなくて良いので第3、第4の紫子のデ

ータを利用している。各人の彼!保線量はあらかじめ一 日の最初に TLDリーダーにセ γ ト

して、タングステンランプ光のスポ y ト集光で400-450.C、10秒の加熱アニーJレにより紫

子の残線量を消去し、その後の受けた放射線量を作業終了時に再び TLDリーダーで読み

取る。この時の操作及びデータは後述する入退室管理IIシステムに組み込まれて総合的に処

理される。TLDは7イノレムバッジ同線、長期間の!照射情報の保持も可能なので施設周辺の

潔境放射線。w定にも利用し、公共の安全の確認ために 1ヶ月ごとのデータを集積して記録

の保存を行っている。

3.2 入退出管理

はじめに述べたように放射線取扱には被爆線北の管理のみならず、放射線作業内容と作

業l時間も把握する必要がある。取扱者自身の管理業務をできるだけ自動化するため写真の

ような入退室管理 γ ステムをライナッタ棟管理区域入口に設置している。この入退室管理

システ ムは TLDリーダーと入

退室者表示盤、クロックを含む

マイクロコンビュータ一、 128

Kバイトの磁気パルプメモ リ一

等から構成されている。

TLDバッジには図 -4にみ

られるような 7桁の穴による番

号コード標識をそなえ、これを

各個人登録番号として割り当て、

被爆線:@:測定時に自動的に番号

コードも読み込んで、該当時刻

と共にメモリーに保存される。

表示盤にはこの番号を利用して

ライナック管理区域内に誰が居

るのかをラ ンプ表示している。 写真

3.3 データ処理

TLDリーダーを含む入退室管理装置の磁気メモリーに蓄積されたデータは"'7)レチ16パ

ーソナノレコンビューターによりデータ処理される。処理仕様には放射線施設利用者氏名の

登録、データ記録の日報、 月報、報告むの作成、個人別データの摘出等が含まれる。

また、このデータ処理によって一日の、或は任:tT.期間の放射線被爆線量をチェックする

ことができる。

データ処理後、記録 ・保管する日報、月報の一部例を示す。日報は特定の目、特定の人

或は一日の入退出者全員について入退l時刻、集積作業時間、被爆線量を、また月報は 1ヶ

。。

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月間の各登録者ごとの詳細データと月間集積線量を整理作表したものである。これらの管

理記録は保管することが義務づけられている。

田幸良

月 幸 良

L n a c 史江人 !cll

同四年 10月 初 日 t木 J

氏 名 立大時刻温出時刻l時 m 累計 線量(1) 保鼠ω(1)津守邦彦 10:05 10:32・ 。:27

17:10 18:44 &:H 2:01 0.0 0 .. ・0

~l} λ^' .R[ニ ロオ可 π可1 'f'!T7

何万『一一寸官.'1 070:;-一一-'720一一一-0:-0 0:-0-

{り奥田 i.- 11 :17 II:S9 。:4213:06 14:35 1 :29

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苔;"f"一一一日π1 ~ 073

-9-

価ーす

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3.4 メンテナンス

ハードウエアーのチェックは主に定期的に各メーカが行っているが『安全』を継続確保

するには日常の注意と保守が必要である。利用者各自の注意も欠かせないが、ルーチンワ

ークの慣れによる『うっかりミス』を予防するためにも、またシステム各部の異常を早期

発見するためにも常時保守点検を行っている。 TLD素子や測定器の経年劣化への対応やデ

ータ処理を含めたソフトウエアーの改善なども随時行っている。

4.まとめ

ライナック設置以来、 10年余り TLDによる放射線管理システムが運用されてきて徴小

線量に対しても正確な動作をしていることが確認された。年間被曝線量も全員が法律に定

められた安全基準の100分の l以下であり、可能なかぎり被曝線量を少なくした放射線利

用という安全管理の要求はみたされている。見学者も含めて年間の入退室者数延べ約 1万

件について良好に作動し、システムとして信頼性が高いと結論できる。

5.謝辞

放射線実験所長をはじめ本システム利用者各人の御理解と御協力に感謝致します。

-10-

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PV-3035クライストロン励援用パルサーの設計と製作

計測証計測掛 堀 利彦

1 .はじめに

現在、放射線実験所で建設が進められている 145MeV.Sバンド電子ライナックは、現

有の単パンチライナックを併用した複合照射による新しい研究、並びに低速陽電子の発生

と利用、自由電子レーザー、放射光装置の開発など広い分野の研究に役立つものとして期

待されている。このSバンド電子ライナックのマイクロ波源として、 PV-3035クライス

トロン(出力 35MW)が使用されている。今回このクライストロンを励振するため、前

段の TH2436クライストロン(出力 10KW)のカソードに、電圧 15KV、5μsのパルス

を供給するラインタイ 7・パルサーの設計と製作を行ったので報告する。

2. sバンド電子ライナックのマイクロ波回路

一般にクライストロンはマ

イクロ波増幅用電子管の一種

である。この球の動作は、カ

ソードから出た電子ビームを

わずかなマイクロ波電力で励

振(速度変調)を行い、空洞

共振器の働きによって、電子

ビームが持つエネルギーを、

極めて大きなマイクロ波電力

に変換するものである。図-

1に示すように、 3本の加速

管には 35MWの主クライス

トロン PV-3035がそれぞれ

接続されており、その前段に

TH2436 (出力 10KW) の

小形のクライストロンがある。

今回設計・製作を行ったパル

サーを用い、小形クライスト

ロンのカソードに 15KV、5

μsのパルス電圧を供給する 図ー 1

ことによって主クライストロンは励振される。このパルサーは図-2に示すようなパルス

成形回路(Pulse Forming Network略して PFN)のコンデンサーに電気エネルギーを蓄え

ておき、サイラトロンと呼ばれる大容量のスイッチを用い、その電荷を瞬時に負荷へ放電

R

Z』V

R

O

E-R

-11-

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3. PFN

PFNは複数個のコイル 図-2とコンデンサーを直並列に接続したものであり、その特性インピーダンスzo=.JL n/C nで

表される。特性の良いパルスを発生するためには、この特性インピーダンスとパルストラ

ンスの 1次側のインピーダンス (RL) との間で、マッチングをとることが非常に重要で

ある。 PFNにおいてコンデンサーの容量を変化するのは困難なため、コイルのインダクタ

ンスを可変することによりインピーダンス・マッチングを行う。 TH2436クライストロン

の最大出力時のインピーダンスは約6.2KOであり、パルストランスの電圧比を 1: 3とし

たためz0 = R L = 687. 560である。コンデンサー全容量Cnは

で求められ

C n = 3656. 25 (pF)

L同=1.87 (mH)と計算された。

PFNの分割数に応じた単位容量、単位インダ

クタンスの値を表-1に示す。 PFNの分割数は、

パルス平坦度を考慮し通常12-16であるが、高

圧コンデンサーの購入可能な容量値等を考慮し、

やや少ないと思われるが8分割とした。コイル

は(J76畑、 Q155mmの硬質極化ビニールのポピ

ンに、1.6mmピッチでスパイラル状の巻溝を切り、それに沿

って (JO. 8mmの銅線を85回巻いて製作した(図-3)。出力パ

ルス波形の平坦度の調整は、コイルのインダクタンス値を変

化することによって行うが、その値を大きく調整する場合は

巻数を変えることによって、文微調整は AQなどの金属パイ

プを巻枠の中に入れ、それを上下に変化することによって行 85'-~

われる。 図-3

することによって、大出力

のパルスを発生する方式

(ラインタイァ・パルサー)

である。

以下に PFN部と充放電回

路に関して述べる。

+E (V)

2V p 1 pT

Cn= V c2

V c : PFNのコンデンサーにかかる電圧

Vp ノ勺レストランス

の1次側電圧1 p ノ勺レストランス

の1次側電流T パルス幅

の4'E-

iて;[:L;一一工了!

T鮒」

分割敵 単位容量(pf) 単位イシダタタシス《・11)

e 887 o. 312.

8 500 o. '234

10 400 O. 187

12 333 O. 158

14 285 O. 134

表-1

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4.充放電回路

充放電回路は、 PFNを必要な電圧まで充

電するものである。図-4に抵抗充電回路

と共猿充電回路を示す。 PFNの充電電圧を

Voとすると、 PFNと負荷のインピーダン

スが等しい場合、負荷に発生するパルス電

圧VoはVo/2である。そこで抵抗充電法

を用いた場合、電源電圧はパルス電圧の 2

倍必要である。しかし共振充電法を用いた

場合、電源電圧はパルス電圧と同じになる。

すなわち電源電圧と PFNの聞にチャージ

ングチョークコイルを入れることによって、

このコイルと PFNの全容量との直列共振

を利用し電源電圧の 2倍に PFNを充電す

るものである。

抵抗充電回路

共振充電回路

図-4

5.パルサーの製作

図-5にパルサーの回路図を示す。本ノミルサーは、限られたスペース内に組み込まれる

ため、可能な限り小型化した。 PFNは、コイルが相互に結合しないよう適当な距離が必要

なため、スペースが大きくなるo そこで、 PFN部を上段にその他の部品を下段に配置し、

又パルス特性を決定する PFN、サイラトロン、パルストランス等はできるだけ近づけて

配置するよう工夫した。

~~æ~a I

z

コゅ1000

二コ1

図-5

qο 唱

E-

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6.測定結果

本パJレサーを TH2436クライストロンのカ

ソ ドに接続して、電圧ノ勺レス波形を測定した

結果、写真 lに示すように立ち上がり約 l同、

平坦部約3.5μs、最大出力電圧約 15KVのパJレ

ス波形が得られた。このl時、 PFNのコイ Jレのイ

ンダクタンス値は、設計値と大きく異なってい

るものがあった。その理由として図-6の等価

回路が示すように、 PFNは可変コイ Jレのス トレ

ーキャノfシタンス (C5) と、コンデンサーの

残留インダクタンス (L5) を含めたものとし

て考えられ、文コンデンサーの容量値のばらつ

きも大きく影響すると考えられる。平坦部のわ

ずかなりップルは、コイノレを調整しでも改善さ

れなかった。

写真一 1

C I

出図-6

7 まとめと今後

今回、TH2436タライストロンのカソードに 15KV、5μsのパノレスを供給するラ インタ

イプパノレサーの設計 製作を行ったが、ほぽ設計値の特性で動作し現在稼動中である。た

だ出力パルスの平坦部に約10%のリップJレがあり、インダクタンスの調整では減少できな

かっ た。その影響で PV-3035クライストロンの RF出力に位相変動が生じ、 加速管に電

力を供給した時、リップノレと同じ周期の反射波が生じた。そこで特性の良い電子ビームを

得るためにはリップノレを少なくする必要があり、今後 PFNの分割数を18に増加すると共

に、パJレストランスを通常方式のパイアァイラ一巻きにし、 2次側のストレーキャパシタ

ンスを減少させることによって平坦度の向上を計る予定である。

B 謝辞

本パノレサーの設計 ・製作に当たり有益な御助言、ご指導を頂きました放射線実験所の皆

様に感謝致します。又コイルの製作に当り、御協力頂きました機械回路工作掛の皆様に御

礼申し上げます。

9.参考文献

・熊谷克夫 他著、「加速器」 実験物理学講座28

r Linacの設計、製作と運転J 日本原子力研究所東海研究所 ]AERI 1238

津守邦彦他、 「阪大 145MeV電子ライナックの建設J 第13回リニアック研究会報

文芸~

14

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質量分析装置 JMS-DX300(日本電子製)の改造について

計測班分析データ処理掛 山田 等

1 .はじめにlZ0

質量分析装置は、試料をイオン化し、生成 実H,N-o-C∞C内

したイオンをその質量によって分離し、検出

する装置であり、試料物質の構造解析を行う

一手段として必要不可欠の装置である。

図-1に質量スペクトルと解析の一例を示

す。この質量スベクトルにおいて、試料の分

子量に相当するピークを分子イオンピーク、

開裂イオンに由来するピークをフラグメント

ピークと称し、これらのピークを解読する事

により、試料物質の同定、元素組成の推定、

未知物質の構造推定等を行う。また、この装

置においては、試料のイオン化法が重要な役

W/Z

Pーア 4ノ安息香酷忌チルの質量スベタトル

ト・0…Jt 同 a .. (ぬ;~oイII/l 1錨

!c-c,H.O') /メご;;:/' 1/7.

ボイトC-O'" HÞ~ ,...

ネH州~…C,H:

1/7.6S C-C,II.I

C,H: 1/7.39

図-1 質量スペクトルと解析例

割を占めており、試料の種類、性質あるいは何を目的とするかによって種々のイオン化法

(イオン源)を選択して使用する。現在、産研材料解析センターで使用しているイオン化

法の種類と特徴を表-1に示す。

イオン化法 試料導入法 測定試料 スペクトルの特徴

EI法(電子衝撃法) 直接導入 熱安定性及ぴ フラグメントピーク IJ¥

フィラメントによる 揮発性試料 解り易い熱電子でイオン化 GC導入 (MAX.3000C)

FD法(電界脱離法) エミッター塗布 熱不安定性及び フラク.メントピークカ5

強電界中でイオン化 難揮発性試料 ほとんど出ない分子イオンピークがは

っきりしている

FAB法 グリセリン等を 熱不安定性及び マトリックス由来のピ

(高速原子衝撃法) マトリックスと 難揮発性試料 ークにより解析が困難

Arなどを用いて してターゲット な場合が多いスノミッタリンク.によ に塗布りイオンイiニ

表-1 イオン化法の種類と特徴

今回、この内の EIイオン化法について、直接導入プロープを改造した事により通常で

は見られなかったフラグメントピークが観測でき、スペクトルによる構造解析が可能にな

った件と、 FABイオン化法のターゲットを改造した事により、スペクトル解析が省力化で

きた件についてまとめてみた。

-15-

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2. EIイオンj原直接導入プロープの改造と結果

熱に不安定な天然物、生体試料等の質量

スベクト Jレ測定はできるだけ低い温度条件

下で測定すべきであるという事が常識的で

あり、そのためにはソアトなイオン化法で

ある FD、FABイオン化法による測定が一

般化されている。しかし、糖、アミノ酸、

高位アルコール、アミノ糖、ペプチ ド類等

においては、分子イオンピークのみならず

二益体等のイオン(クラスターイオン)及

びそれに基ずくプラグメンテーションを観

測できるということでインビーム EIなる

手法が積極的に使用されている。イ ンビー

ムEI( ln-beam EI-lBEI )法は、国体試料

をイオ ン化室内に挿入し、電子流に接触あ

るいは緩近させて急速に加熱してイオン化

する方法で、他社製の装置においてはすで

に改造例も報告されている。そこで JMS-

DX300賞品分析装置についても可能であ

るだろうか、ということで改造を試み測定

データの比較を行った。図ー 2、3に改造

前と後のイオン源模式図を示した。 mく塗

つであるのが追加した部分で、本体挿入

口も一部加工した。材料からの排出ガス、

熱効率などを考応して無酸紫銅を用いた

(写真一 1参J'!?.l。これにより単糖のグノレ

コースを測定した質量スペクト Jレを図-5

に示した。改造前のスペクトJレ(図 4)

と比較すると測定条件は同じにもかかわら

ず、 MI Z 180以上に明らかな特徴が現れ

ている。さらにこのスペクトJレ(区1-6)

は今回参考にした文献のスペク トルデータ

(図ー7)とも非常に良く一致している。

簡単な改造ではあるが、質量スペクト Jレ解

析に大いに利用されることが期待できる。

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図 -2 EIイオン源 (改造前)

ion bea園

r

e

t

a

o

h

o

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P

困a

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lonizalion Ch

図-3 EIイオン源 (改造後)

写真一 1 EI直接導入プロープ

-16-

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ItCT. 18偶

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59

4 :t ~ea... ast-ZSO司2

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図-4 改造前の質量スペクトル

4":'化aa.,alO-n・t

調 UIG t51! 2官2SO 399 35e ‘ee "'1:

図-5 改造後の質量スペクトル

3. FABイオン源ターゲットの改造と結果

00. teeo

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2O11 2se 380 3se ‘ge ",1:

図-6 鉱大スペクトル

sn 1111・I-ZY"

'"

劃聞

h匂・m副 ma田町眠肘園調。1.1uc咽・ぬ肺・m/・1・a

図-7 文献によるスペクトル

先にも述べたように、天然物、生体試料等の熱的に不安定な試料や難揮発性試料の質量

スベクトル測定には FD及び FABイオン化法が用いられるが、測定手段の簡便さから、

近年では FABイオン化法が一般化されている。 FABイオン源の模式図を図ー 8に示した。

イオンガンに導入された Arガスはペニングイオン化によってプラスの電荷をもったイオ

ンとなり、電位勾配をもったイオンガンの中を高速で通過後、 Arガスで充満された衝突

室へ導入され、ここで電荷交換が起こり、高速中性粒子が生成される。この高速アルゴン

中性粒子がさらに運動エネルギーを与えられた後試料に衝突して、スパッタリング機構に

よりイオン化されるo 試料はあらかじめ溶媒に溶かし、マトリックス(グリセリン等)と

混合した後マイクロシリンジでステンレス製

ターゲット上に塗布するか、あるいは、マト

リックスを塗布したターゲット上で直接混合

して測定を行う。

イオンガン

ィ:tン化宣

1~イオン

・・、、

{、-ig笹・"~

フラグメントイオン

FABイオン化法による質量スペクトル測

定においていちばん大きな特徴の一つがこの

マトリックスを使用するという点であるが、

マトリックス由来のピークの混在がスペクト

ル解析に困難をきたす結果ともなる。これを

簡易にするためにはデータ処理による方法が

考えられるが、現有の装置ではまず不可能で

あるため、ハード面の改造を試みた。 図-8 FABイオン源の模式図

-17-

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写真一 2に示したようにステンレス製タ

ゲ y トを 2枚(タプノレタ ーゲット)にして、

片方にマトリックス混合試料、も う一方に7

トリックスのみをサン プリングし、測定の途

中で180度回転させ、データを取り込む方法

である。このデータをパックグラウンド処

理したスペク トノレが図 10の (3)である。

図-9のスペクトノレ(通常測定)と比較す

ると非常に単純明解になっている事が解る。

この方法を使うと混合物試料にも適応でき、

FAB質量スペクト Jレ解析が省力化されるものと考えられる。

写真 2 FABターゲッ卜

'"' 1・"一‘' ,

+

G

2

5 1

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G

咽', c ・"・"・

C I U ,. N .0,・ 1・・1・(M+ 1"

図 9 通常の FABスペク卜ル

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一」 LlW .... LL '"

,、( 2 )

品1.I I!S (M+ I ,. ( a )

(M+C + 1)。'"目、

河川川口・ぃ・門・.".,・I・4・hr川・1・,.川・""円・刊・刊・川・川V円50 開 ISi '110 拘 J~O H! I 句 , N[

図-10 改造後の FABスペク 卜ル

4.おわりに

質量分析装置は新たなイオン化法の開発、各種附属装置の開発等ハード面に関してはも

ちろんのこと、データ処理に関しても年毎に充実した装置が世に出ている。しかしながら、

数千万円あるいは一億円以上もする大型装置であるがゆえに簡単に代替というわけにはい

かない。既存の装置を研究のニースに合わせて改造を加えていくのも我々研究支援者の任

務であると考えている。幸いにも産研には技術室が組織化されており、この様なことには、

即座に対処出来うる体制にあるのは有難い限りである。特に今回は、貴重な時間をさいて

協力下さ った工作班の方々に深謝致します。

5 参照文献

・辻本和維,田原好文,船倉佐一,大橋 守,r質量分析J35, 232, (1987)

-土屋正彦,大橋守,上野民夫編 「質量分析の新展開」現代化学噌刊15,(1988)

東京化学問人

日本電子(株)...スユーザーズミ ティング資料「よりよい FABスペクトノレを得る

ためにJ

-18-

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エネルギー分散型×線検出器(EDX)のメンテナンスについて

計測班分析データ処理劉石橋 武

1 .はじめに

電子顕微鏡室の分析電子顕微鏡(目立製H-600FEを図ー 1に示す)は透過像 走査像 ・

走査透過像などの像観察機能、制限視野電子回折・マイクロビーム電子回折などによる結

晶解析機能、エネルギ一分散型X線検出器 ・電子線エネルギー損失分光器などによる元素

分析機能などをもっている。そのなかでも操作が簡単で短時間に元素分析ができるエネル

ギ一分散型X線検出器 (EDX)は頻繁に利用されている。その半面、検出器に Si(Li)半導

体を使用している為、常に液体窒素温度に冷却する必

要があり、メンテナンス、及びそれに関連する諸問題

が発生してくる。今回、それらの問題解決の試みとし

て EDX専用の真空排気装置を作製し良好な結果を得

たのでこれを報告する。

2. EDXの憎造

EDX装置は試料面上に電子線を照射し、そこから

発生してくる特性X線をベリリウム薄膜の窓を通して、

Si (Li)半道体検出器で測定するものである。検出部

は純度の高い Siの単結晶に Liを拡散したもの(直径

約o5 mm、厚さ約 3mm)で初段プリアンプの FETと

共に常時、液体窒素温度に冷却されるよう工夫され、 図-1 H-600FEの構成と機能

真空中に保持されている。この検出部は液体窒素容器と一体構造になっており、それらを

図ー2に示す。

調路程UB

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図-2 EDXの構造

19

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3. EDXのメンテナンス

EDXのメンテナンスとその過程で発生するトラプルはおおよそ表ー 1に示すようにな

ると予測される。

メンテナンスAは液体窒素の補給で週1回行う。

メンテナンスBは分析データの軽元素側にノイズが発生してくると行い、約半年の周期

でデュワーの液体窒素を空にして、その底に付着した氷を取り除く。

メンテナンスCは液体窒素の補給を怠った場合、及び問題点②と③が起こったときに行

い、デュワーの底の氷を除去した後、 EDXの真空部分を再排気する。

今回、 EDXの真空排気装置を作成した最大の理由は、全てのメンテナンスを当電子顕微

鏡室で独自に処理できるようにしたものである。

/

V ② LN2のfUUI犬

③ Il出舗の分.鑓s下

銚出aに錨が付<)

'----ーーーーーーーーーーーJ

表-1 EDXのメンテナンスの手願

4.真空排気装置と性能

図-3はこの装置の主要部で、

ターボ分子ポンプによって EDX

を排気しながら盲蓋を脱着させ

ることができる仕組みになって

いる。

図中の@部はOリングと締め

付け金具によって排気口に真空

漏れがなく固定できるような構

造にした。⑤部は 2個のOリン

グとテアロン製パイプによって、

軸を傷つけることなく、真空漏

れもなく盲蓋の脱着がスムーズ

にできるよう工夫した。

ハンドル

図-3 EDX真空排気装置(盲蓋脱着部分)

-20-

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写真一 1は図-3の主要部の組立部品であり、写真一 2は主要部をベローと共に組み立

てたものである。

写真一1 写真一2

写真 3は分析電子顕微鏡の鋭体荒引用排気回路である。

写真 4はその排気回路を利mして、 EDX真空担|気装置を取り付けたところである。

写真一 3 写真一 4

この装置の瓦空排気テストはターボ分子ポンプ (300~ /秒)で 2時間連続排気して行

った。盲蓋を閉じた状態での排気系の真空到達度は 7xlO-6 Torrで、盲重量を脱着させる

際の可動部の真空漏れは10-6Torr台であるが、車hを回転させながら、ゆっくりと脱着し

た場合には 7x 10-' Torrのままであった。首主査を1I品、た状態では 1x 10-' Torrであった。

実際に EDXを再排気する時は 11免(約15時間)連続排気した後、デュワーに7.5 ~の液

体窒素を入れるので、これによ る冷却効果も相ま って、 EDXの真空部は少なくとも 1桁は

改善され、 10→Torr以下の真空で使用しているものと推測される。

-21-

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5 結 果

写真 5はEDXの元素分析データである。今回試作した装置を使用すると、再排気前

のデータと再排気後のデータに明らかに違いが生じた。これより次のことがわかる。

① 軽元素側のノイズの減少ーこれは (5a)に示すようにテ・ュワー底の氷を除去した効

果が現れたものである。

② 分解能の回復ーこれは (5b)に示すように CuK線ピークにおいて、半値幅が290eV

から 170eVに回復している。その結果、 (5c)に示すようにエネルギー値の接近した AI

とSiのK線ピークが蒋排気後にはこつにはっきり分縦したので定性分析が可能になった。

(5 a)

聞開田岡

経元軍側のノイズ究生

氷が付精した時

水を除去して

真空拐気設置で再生した結果

(5 b) (5 c)

検出器1こ窃がついた時

7.参考引用文献

永谷 隆 分光研究 28 275 (1979)

Cut. -?の半値幅

-22-

Alピーヲと Siピー?の分縫技控

ーヌ1

写真 5

③ 液体窒素の蒸発量の半減一再排気前は最良の状態で 1週間に 1回の補給が必要であっ

たのが、再排気後には通常10日に 1回の補給で十分になった。

6.謝 辞

本装置の製作にあたり、機械回路工作掛の皆様に種々の助言と工作の労を頂きました。

紙面をお借りして御礼申 し上げます。

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TASMACシステムにおける RASAとANCHORの連携について

計測車分析データ処理掛 田中高紀

1 .はじめに

大阪大学産業科学研究所では、新規材料の開発・研究がなされておりその構造決定、解

析は迅速性が要求されている。それに応じるべく附属材料解析センターにおいて化学構造

精密解析装置を用いて有機化合物の総合解析システム“TASMAC吋主'otal全:nalysisfuostem

of MateriaI企,nalysiscenter)システムが稼動・運用されている。“TASMAC"システムでは、

構造解析を行うためのルートとして大きく四つがある(図ー 1)。一つ目は、各分析装置

で解析を行うルート、ニつ目は、化学構造創生プログラム (NMR.陥 ss.IR. CHNのデー

タを使用)のルート、三つ目には、最近材料解析センターにて開発されたデータペースの

検索によるルート、四つ目に、単結晶X線構造解析によるルートがある。中でも単結晶X

線構造解析は分子の立体情報が得られるため、単結品化の出来る試料に対しては最も有効

な方法である。

牢稼 差量 角寧 帯千

ルート 1 , ルート 4

ルート 2 r-------------!-----一一一・

N M R M S C H N R

J、S M .J.、 C

圏一 1 構造解析のための各ルート

従来、“TASMAC"システム中の単結晶X線構造解析システム“RASA"により得られた分

子構造情報を三次元分子設計システム“ANCHOR"の三次元分子表示機能を使用するため

には、構造解析された分子の三次元座標を手入力するものであったが、今回、その作業を

軽減するための連携機能(図-1の・ H ・H ・..部)を試作したのでその機能のを行う。

2.連携機能の概略

以下に今回試作した“RASA"・“ANCHOR"連携機能についてその概略(図ー 2)の説明

を行う。

“RASA"システムにおいて得られる情報は、分子構造中での各原子の三次元座標、原子

の結合情報、原子種、結晶格子定数の情報等である。

“ANCHOR"システムにおいて三次元表示を行うために必要な情報は、(但し今回は、

-23-

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“ANCHOR"の単分子ファイルと同書式にした)原子数、原子種、原子の結合情報(結合

する原子とその結合種)、実空間中での原子座標、その他にコメントなどである。

戸 =R A S A システム=

r A N C H 0 R I

・ 非等方性温度因子に展開

sれた原子座栂情報

.各原子の原子種情報

・原子の結合情報 等

戸=ANCHORシステム=

単分手ファイル

各研究室 ANCRORγ-t~. -A

連携ソフト 714tへ 畳 録

“RASA"システム中には、構

造解析された分子を各結晶軸か

らみた分子をキャラクターを用

いて表現する rDRAWXXJプ

ログラムがありその中には、各

原子が結合しているであろう原

子を計算するルーチンがある。

当初“TASMAC"システムを設

計する時点で“RASA"・“ANCHOR"

連携を意識し rDRAWXXJと

同じプログラムを用意し rAN・

CHORJと名付け、原子と原子

の結合情報を S-3500 (ホスト

コンビューター)の一般ファイ

ルに出力できるように改良した

プログラムを用意している。

表-1には、“RASA"システム

により構造解析が最終に近づい

た段階(各原子の温度因子を非

等方性にて精密化が行われてい

る時)のファイルの内容を、表

-2には rANCHOR Jを働か

せた時の一般ファイルを示した。

その中の、 N4を見ると結晶

空間中の座標(各格子の軸の長

さを 1として原子の位置を示し

である)が表-1と2とで違っ

図-2 連携概略

DATA sn NAK! I RASA2.ATO".DAT

8U 8R 1.000000 0.927230 0.3211370 0.461170 0.0 0.041700 0.005050 0.014550 0.005250 0.035060 0.0031100

52 S 1.000000 0.533510 0.653250 0.079330 0.0 0.018520 0.003500 0.009670 ・0.000170 0.017490 ・0.000950

阿3 N 1.000000 0.5391190 0.525470 0.152520 0.0 0.021770 0.003610 0.010500 ・0.001080 0.022240 ・0.0010110"‘ " 1.000000 0.1140曹o O.晶90180 ・0.154晶晶o 0.0 0.017340 0.00432o 0.0102曹0 ・0.000300 0.017090 ・0.OOO330

同5 N 1.000000 0.451320 0.763800 ・0.022780 0.0 0.020220 0.003770 0.009500 0.001320 0.0181160 0.000050

闘晶 1.000000 0.1701110 0.5494110 ・0.042510 0.0 0.021900 0.004160 0.012750 ・0.0011140 0.023520 ・。.0009110

(7 ( 1.000000 0.134930 0.1144350 ・0.2211630 0.0 0.0275110 0.0047110 0.011540 0.004350 0.021970 0.002760

(11 C 1.000000 0.719240 0.4711250 0.266590 0.0 0.027130 0.003240 0.011220 0.000700 0.02'550 ・0.000800

(9 ( 1.000000 0.5920ιo 0.833060 0.008460 0.0 0.023870 0.003950 0.0133110 ・0.001270 0.024880 0.000440

ClO C 1.000000 0.331550 0.49晶810 0.070400 0.0 0.023560 0.003530 0.012750 ・0.002560 0.027290 ・0.003110

(11 ( 1.000000 0.244290 0.629130 ・0.052晶60 0.0 0.01晶S晶o 0.003860 0.0011910 ・0.000090 0.017350 ・0.002440

C12 C 1.000000 0.466470 0.360270 0.219410 0.0 0.0321130 0.004200 0.013骨60 ・0.003270 0.034500 ・0.001530

C13 C 1.000000 0.272220 0.914620 ・0.199930 0.0 0.033340 0.005410 0.01晶010 0.0022曹o 0.032830 0.002430

C14 C 1.000000 0.678440 0.393340 0.299晶曹o 0.0 0.029990 0.004430 0.011260 0.002420 0.027790 0.001340

C15 ( 1.000000 0.5011150 0.909520 ・0.078020 0.0 0.032630 0.005450 0.016860 0.001370 0.032550 0.003260

C16 C 1.000000 0.22114110 0.7晶51190 ・0.138420 0.0 0.023210 0.0046110 0.009490 0.001120 0.021400 ・0.000490

C17 C 1.000000 0.290180 0.410740 0.104750 0.0 0.031040 0.004260 0.013530 ・0.004070 0.032810 ・0.002070

表-1 “ARASA聞により得られた原子座標

DATA sn N品"! RASA2. ANCHOR • DAτ

be

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表一 2 r ANCHOR Jを作動させたときの原子座標

-24ー

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ている。これは解析された原子の座標が(一)になったために rANCHOR Jで原子の位

置を並進させられたものと思われる。また、実空間での座標(結晶の原点をx=o,Y=

0, Z = 0とし原子の位置座標をA単位で現している)も、同様の事が起こっている値に

なっている。このままの数値を用いると本来の分子の表示が出来ない。これらのプログラ

ム中のデバッグを行うには、プログラム作成者でない限りかなりの時間と労力を必要とす

るため今回は新に実空間座標を求める計算もプログラム中に組み込んだ。その計算式を式

-1に示した。

格子定数

原子の結晶中での座標各原子の実空間座標

α

czz

byy

axx

s r として

x = a X x + b X cos r X y + c X cos βX z

c x (cos aーcossXcos r) X z Y=bxsinrXyX

Smr

./ 1 -cos2 a -cos2 s -cω2 r + 2 Xcosαcosβcosr Z=CXZX

smr 式-1

3.ソフトウエアの概要

プログラムの内容は、各原子の元素番号の決定、原子座標計算及び、“ANCHOR"の単分

子ファイルの書式に合わせて出力する部分等を行う部分で構成されており、言語は FORT-

RAN77を用いた。 また、 rANCHOR JのCL(Control Language)の一部を改良した。以

下に概要を述べる。

r ANCHOR J (表ー 2)からのタイトル、格子定数、分子式、原子数の読み込み。

各元素の元素番号の判定。

“RASA"(表ー 1)からの各原子の座標の読み込み・計算。

“ANCHOR"の単分子ファイル(表ー 3)書式に則った出力。

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表-3 単分子ファイルの内容

4.三次元分子表示連携について

次に“ANCHOR"システムの三次元表示機能への実際について述べる。

-25-

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(1) “ANCHOR"の rUTILITY Jの rTRANSFERJ(RESULT)を選択し rANCHORJ

により得られた固定ファイル(RASA)を各研究室名のデータ・ペース名に変更すれば良い。

その時DATABASE中に於ける (REG.NO)が表示される(図-3)。

(2) “ANCHOR"の rGRAPHICS Jの rINPUT Jで rDATABASEJを選択し表示対照

の分子の (REG.NO)を入力する(図-4)。

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図一 3 データベースへの登録

5.おわりに

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図-4 登録データ表示

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以上今回試作した“ANCHOR"・“RASA"の連携システムを紹介してきた、これらにより

入力時のミス等が少しでも軽減されれば幸いである。今後の課題としては、結晶格子中で

のパッキング表示(例図-5)、結合種の判定、二分子で構成されているような分子の表

示(例図ー 6)等が考えられる。

例図-5 パッキング図 例図-6 二分子で構成された分子

6 .謝辞

本システムを作成するにあったって、御助言、御鞭撞を下さった、材料解析センターの

津田正賞助教授、高井嘉雄助手、に対し紙面をお借りして深謝致します。

-26-

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ガラス製真空コック及びジョイントコック

工作竃ガラス工作掛 O山口春夫 松川博昭

真空装置及ぴガラス実験器具等には、コックは不可欠なものである。コックにはニ方コ

ックだけではなく、三方、四方…コック及ぴジョイント部分に組み込んだタイプのジョイ

ントコッ夕、 トラップ型コック等がある。また、二方、三方コックと言っても枝の取り付

け方、活栓の穴のあけ方によって便利でコンパクトなコックが考えられる。

今回の技術報告会で紹介したガラス製の数々のコック類と、当ガラス工作室にて試作し

た、 トラップ型コッ夕、ジョイントコックを以下にまとめた。

1 .二方コック

[図A-l]最も多く使われているタイプ。

[図A-2]枝の位置に段差を付けてあるので図A-lよりも真空に持つ。

[図A-3] Uターンをさせたい時に枝を曲げるよりコンパクトでじゃまにならない。

[図A-4]蛇口などに便利。

[図A-5]枝に角度を付けて曲げたいときにコック部分で曲げるとコンパクト。

[図A-6] ビューレットのようにコックを立てて使うときにコックが抜けにくい。

区三E 区三ヨ 区三ヨ

区三ヨロ

-27-

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2.三方コック

[図B-1]A-BとA-Cに分岐。

[図B-2] A-BCとA-Bに分岐。

[図B-3]A-BとB-Cに分岐。

[図B-4]A-CとA-BとB-Cに分岐。

[図B-5]AB-CとA-Bに分岐。

[図B-6]A-BとB-Cに分岐。

[図Bー 7a]一般によく使われるタイプでA-BとA-C-BとA-CとB-Cに分岐。

活栓をB-7bに替えることでC-AとC-Bに分岐することも可。

[図B-8 a]枝の取り付けが1200 間隔のタイプでA-BとB-CとAー Cに分岐。活

栓をB-8bに替えることでA-B-Cに分岐することも可。

A E:=弓 B

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A

区三百c

c

B

c A

18 -51 c

B

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3.四方コック

[図C-1]A-B・C-Dを同時に開閉できる。

[図C-2]A-DとC-Bに分岐。

[図C-3] Aが基でB・C・Dそれぞれに分岐。

[図C-4 a]一般によく使われるタイプでA-B-C-Dに分岐。活栓を図C-4b、

c、d、eのように用途に応じて替えることができる。

行LJ --D B

区三日一喜ー,ー-

A

IB -t-'・ E -c

E B

D

4.真空周二方コック

[図D-1]ノミイプが細いため排気速度は遅くなるが下部の球部分が真空になるので活栓

が緩んで真空漏れする心配がない。

[図D-2]真空ラインによく使われるタイ 7・でパイプも太く高真空が得られる。

[図D-3] [図D-4] [図D-5]図D-2タイプで枝の角度を変えることにより真空

ラインがコンパクトに組むことができる。

区三E

10 -21

-29-

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5.真空周三方コック

[図E-1]図D-1タイプの球部分に枝を付けたタイプ。

[図E-2]テーパ一部分の枚を段違いにして真空に強くしてある。

図E-1と2それぞれ球部分に付ける枝の方向を返ることによりコ ンパク トに真空ライ

ンに組み込むことができる。

E三E 巨三三ヨ

6.恒温相周コ ッヲ

[図F-1]恒温槽用コックで図D-1または 2タイプの摘みの下の首を長くしてあるの

で操作が用意である。

[図Fー2]恒温水槽用コ ックでコック上部に液がグリスに触れないようにカバーしてあ

る。

2高一… 一 …… ……

6初 級揖弱助一揖面 Z

E三E

nu qa

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7.ジョイントコック・トラップ型コック

ジョイント部とコック部が一体化してコンパクトになっている。

[図G-l]塩化カルシウム管等によく使われている。

[図G-2] ジョイント部分で上下の開聞ができる。

[図G-3] トラップのスペースでコックまで組み込まれている。

[図G-4]摘みを90。回すことによりトラップを通さない状態になる。

巨:=:JJ 巨三]]

噌・晶司。

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8.マエホールド(分配管)

不種世

ガス

300.

これは、反応容器をコックの操作のみで、不活性ガス置換を行い、続いて不活性ガス雰

囲気下で反応を行うために使用する装置である。以前は、二本の太い管を三方コックで連

絡した型のものが使われていた。今日では本研究所以外でも数多く使用されているようで

ある。当ガラス工作掛において試作改良し本研究所独自の現在のコンパクトな型ができた。

(上図)

長所

( 1 )コック 4個を備えているが(一度に別々に反応容器4組が使用できる)コンパクト

なため、各実験台の上部に装備でき、場所を取らない。

(2) コックの回転操作のみで反応容器内のガス置換ができる。

(3 )真空ラインの分岐にも、不活性ガスの分岐にも使用できる。

精製ガスが必要な場合でも、ボンベをマニホールド側に精製装置を付けるだけでよ

b 、。

(4)マニホールドから導かれた、ゴム管を反応容器にー箇所つなぐだけでガス置換がで

き、また、厳密な不活性ガス雰囲気下が要求される場合に気になる接続部分のガス

置換もできる。

制 辞

この報告に当たりまして、本研究所の有機金属化合物部門、高橋成年教授に御助言を頂

いたことに感謝致します。

。,uqo

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磁気結合型回転導入機の試作

工作班機械回路工作掛 O大村 彰 角一道明

大西政義

1 .はじめに

超高真空中での実験において、超高真空を保ちつつ試料の円滑な導入、脱着機能を持っ

た装置が望まれる。このような目的にあった装置は種々考案されているが、超高真空の保

持及び装置の小型化において、最も適しているのが磁気結合形回転導入機である。しかし

ながら、駆動部は超高真空中にあり、この雰囲気中では摩擦係数が異常に増大し、駆動機

構中の摺動面で焼き付きが生じ、重大な故障の原因となる。そこで今回軸方向一回転方向

の可動部にルビー球を用いて両方向を同時に受け持つ複合軸受けを作り、超高真空中での

摩擦係数を軽減した試料脱着装置を作った。以下これについて報告する。

この種の機械の成否は摩擦係数の軽減であり種々考案

されている。表-1は団体潤滑剤の空気中と真空中の摩

擦係数を比較したものであるが、この内 MoS2、WS2など

は真空中の方が摩擦係数が小さい。この MoS2を被覆した

ラジアル玉軸受けを利用して磁気結合型回転導入機を作

られた例がある。又他にも自己潤滑剤として BNを用いて

同様の回転導入機が作られている。しかし耐久性が大き

く、かつ強い被覆膜を得るのが難しいという欠点がある。

いずれにしても摩擦軽減には、滑り接触を避け、転がり

接触になる機構の方が有利である。しかしながら一部ど

うしても滑り接触を避け難い場所もあり超高真空中での

焼付けを考慮してこれらが生じない材料を選択すべきで

ある。文今回真空保持材と軸受け材はステンレスを用い

ているので、鋼との摩擦係数が小さいことが必要である。

表ー 2は、空気中のデータであるが、非金属一非金属、

鋼一非金属の摩擦係数を表す。我々の試作する材料は、

外枠がSUS304ステンレス鋼なので、鋼一非金属で表-

2を参考にし、かつ入手が容易なこと、安価で加工が容

易である点を考慮すると鋼ーサファイヤーが最も良いと表-2 ベース材料とスライダー

を変えた場合の摩擦係数 判断される。サアァイヤーの球が入手できなかったので

ルビーとサアァイヤーを同等と考えルビー球を用いるこ

とにしfこo

2.軸受け球の選択

固 体摩擦係散 μ

空気中 真空中

天然黒鉛 O. 1 9 O. 4 4

焼結黒鉛 O. 1 8 O. 5

8 N O. 2 5 O. 7

MOS2 O. 1 8 O. o 7

W S 2 O. 1 7 O. 1 3

L 10 H O. 3 7 O. 2 1

表-1 個体潤滑剤の空気、真空中の摩擦係数

ベース材料 スライダー 係数μ

ダイヤモンド ダイヤモンド O. 05

サファイヤー 鋼 O. 1 2

ガラス ガラス O. 9

W. C W. C O. 2

W. C 飼 O. 6

ダイヤ号ンド 金属 O. 06

MOS2 MOS2 {o 真.空0中7}

qa qu

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3.駆動部の機構

図-1 回転導入機の概略図

(イ)外部マグネット

凶-1は、本体の外形略図である。

試料の導入長さは、実験上680mm以上

が必要であり、研究装f~ との関係上 プ

ランジ径はo70が指定されたので、真

空外壁パイプの外径o38mm、内径o33

1川となった。パイ プ内壁及び導入管パ

イプ内、外壁は、超高真一空を保持する

ために電解研磨処理を行っている。図

中(イ)導入管可動用のマグネッ ト

(ロ)鉄境、(ハ)外壁ノミイプを受け

持つ軸受け、(ニ)導入管を受け持つ

車b受けである。以下にこれについての

ベる。

マグネ yトは o15 x lOmmの NEOMAX-30H (住友特殊金属)希土類鉄磁石を用いた。こ

のマグネットを常に円滑に軸方向に移動させたり 、回転が出来るように二分割した黄銅製

ホノレダーに対面に固定した。またホJレダー内壁、すなわちパイプとの摺動面は0.51J11J1厚さ

のテアロン板で保護し 7 グ耳、 γ トの移動をより円滑になるようにした。

(ロ)鉄塊

SUS410ステンレス鋼で、 外部磁石と一対の動作をさすためのものである。これは外部

マグネットの形状を考慮し、できるだけ外部7 グネ ットの動作に忠実に追従する形状にし

Tこ。

(ハ)外部スライド、内部回転を受けもつ複合軸受 (可動制l受)

図-2 可動部複合軸受概略図 写真一1(可動)複合軸受

図 2に示すように可動部の外部ポールは、 パイプ内壁に沿って軸方向のみの移動を受

けもち、内部ポーノレは導入管の回転のみを受けもつよ うな構造にした。ポーノレは外球 回6

-34-

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mmのJレビ ー球で中心にo2 mmの穴を加工し、ステンレスil4h芯を通しその一端を固定した。

外壁とルビ ー球は転がり摩擦となるが、取h芯部は滑り摩僚となるので制l芯の仕上度は十分

注意した。内部ベアリングは導入管の回転のみ受け持つので匝 3mmのルビー球を 5個をリ

テナーで受けとめ、 回t伝方向に完全な転がり摩擦を行うようにした。リテブーに若干の滑

り摩擦が入るので穴の仕上げには十分注意した。その可動部軸受を写真一 lに示す。

(ニ)外部回転、内部スライドを受け持つ複合軸受 (固定部軸受)

間二図-3 固定部複合軸受概略図 写真一2 固定)復合軸受

図-3は固定部の刺l受である。外粋にリテナーを介して 2述、 371Jに配した o3 mrnのノレ

ビ 球が回転を受け持ち、試料導入管は o6 mmのノレビ ー球 3個でも ってij4h方向の導入を受

け持つように作った。その仕嫌については(ハ)の外壁を受け持つノレビー球と同様であり、

やはり軸芯を中心に回転する機鱗を取った。その全形を写真一 2に示す。以上の複合ベア

リングを組み立てた磁気結合型回転辺入機の全形を写真一 3に示す。

写真一3 磁気結合形回転導入機の全景

35

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4.運転結果

マグネヲトと 軸方向の

鉄片との距離 最大牽引力

5. 3mm 460g

3. 6mm 680 g

導入管の移動

に必要な 50g

牽引力

表-3

回転方向の

最大モーメント

612g-cm

972g-cm

今回使用したマグネットは、前述の通りであるがエ

ネルギー積(BH)max=30 [MGOp]であり、かなり強力

な磁力のものである。磁石とパイプ内の鉄塊(ステン

レス鋼410) との距離を変えて、牽引力、及びモーメ

ントを測定した値を表ー 3に示す。いずれも磁力を脱

する力を測定したものである。表中の下には導入管そ

のものを動かすのに必要な力を示した。表にも示すよ

うに磁石を近づけると牽引力、モーメント、すべて増

大するのは当然であるが、今回はこの牽引力を大きく

した場合に導入方向の移動の円滑さに問題が生じた。

これはマグネットが対面にあり、鉄塊に近いマグネットがより強力に作用し、パイプの真

円度及び曲がり、電解研磨による内口部と外口部との寸法の不揃い等がありパイプの精度

があまり良くなかった結果、三Cn現象が生じ、パイプの歪にさしかかった時にその箇所

でひっかかりが生じるためと考えられた。この現象を避けるために今回は、マグネットと

鉄塊の距離を3.6mmにした。この場合のモーメントは612(g-Cm)であるが導入力及び先端

部の試料のねじ込みによる脱着力は十分であり、導入管の移動に必要な力が50(g)である

のでこれもまた十分である。

5.まとめ

( 1 )ルビー球を用いたポール軸受は、超高真空中での摩擦による焼き付きが生じず、

長期間使用に耐えると考えられる。われわれが試作した複合軸受は、特に回転方向に対し

ては完全な転がり摩擦であり非常に良好であった。また、軸方向に対しては滑り摩擦があ

るがこの摩擦はほとんど無視することが出来た。

(2)次に導入精度であるが、これは真空パイプの内壁の真円度、電解研磨などによる寸

法主主、及び導入パイプの曲がり精度を向上させねばならい。この寸法むらは導入の円滑さ、

試料導入の精度に直接関係するものである。ただ市販のパイプを購入し、電解研磨を行っ

た場合、精度の良い材料が得難いが次回の試作機はこの点を十分考慮したいと考えている。

6.謝辞

本機の試作に当たり全面的に御協力下さいました電子表面物性材料部門の足立敏之助手

に厚く御礼申し上げます。

7.参考文献

・A.J Haltner. Trans. ASLE 9 (1966) 136

. G. J Collet. EL. Garwin. and R. E. Kirby Rev. Sci. Jnstrum. 58 (3) March (1987)

・応用物理第45巻第1号(1976) 技術ノート

-36-

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「技術ノー卜Jファジイ ・システムの応用に関する国際ワークショップ見聞記

計測直計測幽 奥凹良行

, .はじめに

ファジイに関するワーク γ ョップは昨年度変(1988.8)国内外約300名の関係者が参加

し、九州福岡県飯塚市の九州工業大学情報工学部てe開催された。この飯塚市は昔から筑豊炭

田を主とする石炭産業で栄えた豊かな土地で、我国最古の古墳群を有するl歴史の町でもあ

る。現在は、地域基幹産業として情報産業の開発育成を強力に進め、その一貫として九州工

業大学情報工学部が開校された。この大学は我国初のコンビュータ ・サイエンス学部を設

置し高度情報化社会のニーズに答えられる事

を目指している。私が訪れたキャンパスは至

るところ建設音が響き、 非常に活気が感じら

れた。約20年前の吹田キャンパスの様子がふ

と思い出された。写真 lはこの大学の建物

の中心棟で、ここで今回のワークショップが

開催されメーカーや大学での最新の研究成果

であるファジイ ・システム応用のデモストレ

写真一 1 九州工業大学情報工学部 ーションが行われ、大変な盛況を博していた。

2 ファジイ推論について

ファジイという概念は今から約20年前、カリフォルニア大学のザデー教授によって提唱

されたものである。言葉の意味のあいまいさを一種の集合で表したものを 7 アジイ集合と

I序び、この要素の集合に属する度合を 0から lまでの数値化してメンバーシップ関数とし

て定義する。図-1は温度に関する人間の感じ方を表す3種類の言葉に対するメンバーシ

ップ関数を示している。この温度を室温と仮定してエアコンを用いた場合のファジイ制

御のメカニ ズムを簡単に紹介する。 (知識)もし xがAならば、 yはBである。(事実) x

はCである。→(結論) y はDである。ここで x 室温、 A:適温より非常に高い、 y

タイヤJレ調整量、 B:強冷、 C:適温より高い、 D:どちらかといえば弱冷、実際にはこ

圃広田. '

ー度合

、形

はN

ルヰ

pu

A

U

~

¥

W

p

p

ょん

のメン"ーシップ関数

ciu o

2

する

を対

論に

5 10 15 20 25 30 35 40・c温度

はファジイ Jレーノレによるj{主

論部と推論された結果の確

定部の各 ICチップを示す。

。写真一 2 ファジイルールチ ップとデフアジファイチ yプ 図-, ファジイ集合の定量化伊l

可,,q

JV

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3 ファジイ ・システムの応用例

写真一 3は豆腐のように柔らかく、くだけやすい物や缶コーヒーのようにすべりやすく

比較的重い物を人闘がつかんで持ち上げるように操作ができるロポットハンドを示す。こ

のロボットハントーの操作のためのコ ント ローラには予め「重さ ・くだけやすさ 滑りやす

さ」等の知識のルールを人聞の感性に近い形で入力しておく事によ って このような動さを

させる事ができるのである。写真一 4は倒立振子と呼ぶ30cIJI位の長さの金属棒を垂直に立

てるシステムを示す。これは先程のロポットハンドのコ ント ローんと同じように倒立振子

写真一 3 ファジイコントローラを用いたロボッ 卜ハンド

写真一4 ファジイコントローラによる

倒立振子の制御

4 今後の展望

の倒れる角度やこれを支える台車の移動方向 ・

スピード等を入力しておく事によって棒を立て

ることを実現している。写真 5は8ビァトマ

イクロプロセッサの蛍列処理により高速推論の

できるファジイコントローラと目的地への情報

伝送システムを兼ね備えた、一種のエキスパー

トシステムを示す。

写真一 5 ファジイエキスパー卜システム

77ジイ理論を用いたファジイ ff;IJ御ゾステムは人聞の感性に非常に近い操作が可能なの

で今後もますますこの分野では用いられる事であろう。特に制御対象の非線形さなとを含

めてその数学モデJレが複雑化する場合には有効と考えられる。現在すでに園内で応用され

ている 7ァジイ ・システムとして地下鉄の自動運転、ガラス溶融炉の温度制御!などの人聞

のノウハウが生かされてきた分野での成功例が相次いでいる。またハ ドウェアに対する

電子方式あるいは光方式の問題、最近脚光を浴びてきたニューロ・コンビュータとの競合

問題なと興味の種はっきない。さらに多段推論法を用いることにより、この γ ステムが従

来ディジタノレ・コ ンピュ タの分野であったロケット軌道の修正や工作機械の高精度位置

決め、非線形方程式の数値解法の分野へも応用される日がやがて来るであろう。

-参考文献 FUZZYコンビュータの発想山川 烈秘談社

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技術室報

平成元年 3月31日

a:. c

発行者大阪大学産業科学研究所技術室

〒567大阪府茨木市美穂ケ丘8番 1号

(阪大吹田団地内)

Tel 0 6 -8 7 7 -5111 内線3433

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