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54 沖テクニカルレビュー 2001年4月/第186号Vol.68 No.2 株式会社沖電気カスタマアドテック(OCA)は,1992 年8月に沖電気工業株式会社のサービス本部が分社独立し, 沖電気工業が製造販売した機器およびシステムを中心に, 保守および保守関連業務を通じてお客様にトータルなサ ポートサービスを提供する会社として設立された。 IT産業の進化に伴いサポートサービスは非常に高い注 目を集めてきている。このような環境下,サービスベン ダは,サポートサービスに関して1993年頃からサービス ウエアの開発を行い市場展開を図ってきたが,近年,お 客様のニーズおよびシステム環境の変化(オープン化・ マルチベンダ化)により,個々のサービスメニューを提 供するのみでなく,ソリューションの一つとしてサポー トサービスを提供する形態へと変化している。OCAは, 1996年からサービスウェアの開発と商品化に取組み, 1998年にOCAサポートサービスとして,「コンサル」・ 「構築導入」・「運用支援」・「メンテナンス」・「教育」 とシステムのライフサイクルに応じたトータルサポート サービスの体系化を行った。また,提供商品の充実(カ スタマサポートセンタ及びハウジングルームの設立,サ ポート技術者への教育,ITシステムの拡充)にも取組ん でいる。以下にOCAの提供するサポートサービスとサポー トサービスを提供するための機能を紹介する。 OCAが提供するサポートサービスは,図1のカテゴリー から構成されており各々,個々のサービスメニューに分 割することができる,ここでは主に新規ビジネスの取組 みに着眼して述べることとする。 ■コンサルサービス OCAの提供するコンサルサービスは,小規模なお客様 (LAN構成)に関するサービスを主に提供している。 お客様の業務やデータ量の調査分析を行い,ネットワー クの設計構築を行うネットワーク設計構築コンサルサー ビスを提供しているが,今後はネットワークおよびITシ OCAの提供サポートサービス OCAのサポートサービス 森本 誠二   三浦 雄一   山口 幸生   早川 慎吾 高橋 政男   沖野 潔    森山 求 <OCAの沿革>� 1957年 3月 : 沖ビジネスマシン販売㈱設立� (略称OBM)� 1967年 4月 : OBMを沖電気工業㈱に吸収合併しデ ータ処理サービス本部を設立� 1968年 2月 : 夜間コールセンタを開設し、24時間受 付機能充実� 1992年 7月 : 鴻巣リペアセンタ開設し、返品修理� 体制充実� 1992年 2月 : 電子メールシステム導入� 1992年 8月 : 沖電気工業サービス本部から分社独立 し、㈱沖電気カスタマアドテック設立� 1996年 11月 : 品質保証国際規格ISO9002取得� 1997年 4月 : コール受付作業管理システム全国ネッ ト完成� 1997年 6月 : 品質保証国際規格ISO9001取得� 1998年 4月 : OCA東海研修センタ設立� ネットワーク本部設立しOCAサポート サービス販売開始� 1999年 3月 : カスタマサポートセンタ設立� 2000年 3月 : 客先対応技術者に携帯端末配備完了� 2000年 8月 : ハウジングルーム設立� コンサル� 教 育� 構築・導入� 運用保守� ・ベーシック� ・拡張� ・マルチベンダ� 運用支援� ・アウトソーシング� ・システム監視� OCAサポートサービス� 図1 OCAサポートサービス

OCAのサポートサービス...OCAが提供するサポートサービスは,図1のカテゴリー から構成されており各々,個々のサービスメニューに分

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54 沖テクニカルレビュー2001年4月/第186号Vol.68 No.2

株式会社沖電気カスタマアドテック(OCA)は,1992

年8月に沖電気工業株式会社のサービス本部が分社独立し,

沖電気工業が製造販売した機器およびシステムを中心に,

保守および保守関連業務を通じてお客様にトータルなサ

ポートサービスを提供する会社として設立された。

IT産業の進化に伴いサポートサービスは非常に高い注

目を集めてきている。このような環境下,サービスベン

ダは,サポートサービスに関して1993年頃からサービス

ウエアの開発を行い市場展開を図ってきたが,近年,お

客様のニーズおよびシステム環境の変化(オープン化・

マルチベンダ化)により,個々のサービスメニューを提

供するのみでなく,ソリューションの一つとしてサポー

トサービスを提供する形態へと変化している。OCAは,

1996年からサービスウェアの開発と商品化に取組み,

1998年にOCAサポートサービスとして,「コンサル」・

「構築導入」・「運用支援」・「メンテナンス」・「教育」

とシステムのライフサイクルに応じたトータルサポート

サービスの体系化を行った。また,提供商品の充実(カ

スタマサポートセンタ及びハウジングルームの設立,サ

ポート技術者への教育,ITシステムの拡充)にも取組ん

でいる。以下にOCAの提供するサポートサービスとサポー

トサービスを提供するための機能を紹介する。

OCAが提供するサポートサービスは,図1のカテゴリー

から構成されており各々,個々のサービスメニューに分

割することができる,ここでは主に新規ビジネスの取組

みに着眼して述べることとする。

■コンサルサービス

OCAの提供するコンサルサービスは,小規模なお客様

(LAN構成)に関するサービスを主に提供している。

お客様の業務やデータ量の調査分析を行い,ネットワー

クの設計構築を行うネットワーク設計構築コンサルサー

ビスを提供しているが,今後はネットワークおよびITシ

OCAの提供サポートサービス

OCAのサポートサービス

森本 誠二   三浦 雄一   山口 幸生   早川 慎吾高橋 政男   沖野 潔    森山 求

<OCAの沿革>�

1957年 3月 : 沖ビジネスマシン販売㈱設立� (略称OBM)�1967年 4月 : OBMを沖電気工業㈱に吸収合併しデ

ータ処理サービス本部を設立�1968年 2月 : 夜間コールセンタを開設し、24時間受 付機能充実�1992年 7月 : 鴻巣リペアセンタ開設し、返品修理� 体制充実�1992年 2月 : 電子メールシステム導入�1992年 8月 : 沖電気工業サービス本部から分社独立 し、㈱沖電気カスタマアドテック設立�1996年 11月 : 品質保証国際規格ISO9002取得�1997年 4月 : コール受付作業管理システム全国ネッ ト完成�1997年 6月 : 品質保証国際規格ISO9001取得�1998年 4月 : OCA東海研修センタ設立� ネットワーク本部設立しOCAサポート サービス販売開始�1999年 3月 : カスタマサポートセンタ設立�

2000年 3月 : 客先対応技術者に携帯端末配備完了�

2000年 8月 : ハウジングルーム設立�

コンサル�

教 育�

構築・導入�

 運用保守�・ベーシック�・拡張�・マルチベンダ�

 運用支援�・アウトソーシング�・システム監視�

OCAサポートサービス�

図1 OCAサポートサービス

Page 2: OCAのサポートサービス...OCAが提供するサポートサービスは,図1のカテゴリー から構成されており各々,個々のサービスメニューに分

55沖テクニカルレビュー

2001年4月/第186号Vol.68 No.2

サービスビジネス特集●

ステムを含めた構築コンサルの充実に取組む。

■構築導入サービス

IT関連システムの導入に関する全ての業務で,計画立

案及び工程管理,付帯設備の構築(通信線布設,LAN/

WAN工事施工,電源工事,他)から機器設置・撤去・移

設等の直接作業までを提供するサービスで,お客様の導

入に関する負担を軽減することができる。

■運用保守サービス

メンテナンスに関る全てのサービスメニューが含まれ

ており,大別するとベーシックサービスと拡張サービス,

そしてマルチベンダサービスに分類される。

①ベーシックサービス

メンテナンス契約を締結されたお客様に対して提供す

るサービスで,契約サービス条件(SLA)に準じて料金

等が設定される。沖電気販売製品でメンテナンス契約を

行う場合は,全てこのサービスに該当する。

②拡張サービス

ベーシックサービスを拡張して行うサービスで,時間

外延長サービスや休祭日サービス,特定日の立会いサー

ビス,およびハイアベイラビリティを要求されるお客様

向けの付加価値サービスが該当する。

③マルチベンダサービス

沖製品以外のハードウエアメンテナンスを行うサービ

スで,各製品メーカやサービスベンダとアライアンスを

組んでサービスを提供する。

■運用支援サービス

運用支援サービスは,お客様側のシステム管理者,さ

らには,エンドユーザの立場となるお客様に対してTCO

の削減を提供するサービスである。電話,もしくは電子

メールを使用した技術相談,障害発生時の問題解決・復

旧支援,運用システムの改善レビュー等のサービスが含

まれる。現在,カスタマサポートセンタでは,PCヘルプ

デスク,CTstage*1)アンサリング,サーバ運用支援,

サーバ監視,ネットワーク監視等のサポートサービスを

提供している。それぞれのサービスに対し,高度なスキ

ルを保有するサポート技術者を配置し,24時間365日待

機体制でサービス業務を遂行している。お客様には,各

種サポートサービスを組み合わせることにより,そのシ

ステムに最適なサポートを提供している。図2に運用支援

サービス全体の受付・対応フローを示す。

以下,各々のサポートサービスの概要を紹介する。

①PCヘルプデスク

PCのOS,汎用アプリケーションの操作方法,設定方

法等について電話によるサポートを提供するサービスで

ある。お客様は契約を締結した企業が対象となり,サポー

ト対象は次のとおりである。

機種:DOS-V PC

OS:Windows95*2)/98/Me/NT-Workstation/

2000/Professional

汎用アプリケーション;MS Office製品等

②CTstageアンサリング

CTstageの運用を行うシステム管理者やCTstage上で

ソフトウエア開発を行うシステム開発技術者に対して,

CTstageの操作方法,設定方法,およびソフトウエアパッ

ケージについて,電話,FAX,および電子メールによる

技術サポートを提供するサービスである。

③サーバ運用支援

UNIX*3)サーバ,PCサーバ,CTstageサーバを中核と

するお客様のシステムについて継続的安定運用を図るた

めに,構成情報や運用状況を把握したサポート技術者を

配置し,お客様のシステム管理者に対して問題解決支援

を行なうサービスである。障害発生時には,サポート技

術者を中心として,早期の問題解決・復旧支援を行なう。

また,定期的な運用レビューやパッチ情報提供等のサー

ビスにより障害発生の未然防止を図り,システムの稼働

率を向上させる。

今後,下記のサーバに対するサポートサービスをリリー

スする計画である。

・OKITAC-S(SUN)サーバ

・Linuxサーバ*1)CTstageは沖電気工業 (株) の登録商標。 *2)Windows95/98/Me/NT/NT-Workstation/2000Professional、およびMS-Officeは米国Microsoft Corporationの米国および他の国における登録商標。 *3)UNIXはX/Openカンパニーリミテッドが独占的にライセンスしている米国および他の国における登録商標。

24x365

出動要請�

CE拠点�

24x365�フルサポート�

お客様�

お客様システム�

カスタマ�サポートセンタ�

監視装置�

CTstage

沖電気・OCA�技術・設計部門�

サーバ運用支援�

PCヘルプデスク�

CE出動(オンサイト保守)�

CTstage� アンサリング�

システム管理者�システム開発者�

エンドユーザ�

サーバ監視・ネットワーク監視�ネットワーク�サポート�

UNIX�サポート�

PC/CTstage�サポート�

エスカレーション�

図2 提供する支援サービスの運用受付・対応フロー

Page 3: OCAのサポートサービス...OCAが提供するサポートサービスは,図1のカテゴリー から構成されており各々,個々のサービスメニューに分

56 沖テクニカルレビュー2001年4月/第186号Vol.68 No.2

④サーバ監視

カスタマサポートセンタ内の監視ルームに設置された監

視装置により,お客様のシステム上で稼動しているUNIX

サーバ,PCサーバ,CTstageサーバ,およびその関連製

品の稼働状態を常にリモートで監視するサービスである。

前述のサーバ運用支援サービス契約を締結しているお客

様に対しては,トラブルが発生した時に,サポート技術

者が監視システムの発報内容を分析し,障害原因を追求

するとともに,障害機器の特定を行ない,問題の早期解

決を図る。また,必要に応じてカスタマエンジニア(CE)

部門に連絡し,現場への出動を指示する。

監視対象は以下のとおりである。

・ハードウェア

・OKITAC9000サーバ

・ifServer

・他社PCサーバ

・CTstageサーバ

・以上に接続されるストレージ機器等

・ソフトウエア

・各サーバに搭載されているOS

・データベース等のミドルソフト

・アプリケーションソフト(オプション)

また,監視状況をレポートにしてお客様に定期的な報

告を行なう。さらに,サーバ運用支援サービスと同様,今

後OKITAC-S(SUN)サーバ,Linuxサーバのサポート

を計画している。

⑤ネットワーク監視

カスタマサポートセンタ内の監視ルームに設置された監

視装置により,お客様のシステムのネットワーク機器・

回線の稼働状態をリモートで常時監視するサービスであ

る。トラブルが発生した時にはサポート技術者が監視シ

ステムの発報内容を分析し,障害原因を追求し,障害機

器の特定を行ない,問題の早期解決を図る。ハードウェ

ア保守契約を締結されているお客様に対しては,必要に

応じてCE部門に連絡し,現場への出動を要請する。

対象機器は以下のとおりである。

・SNMP(Simple Network Management Protocol)

対応機器

・Ciscoルータ

・モトローラマルチサービスルータ等

・ATM(Asynchronous Transfer Mode)交換機

・FR(Frame Relay)交換機

また,監視状況をレポートにしてお客様に定期的な報

告を行う。

今後,既存の運用支援サービス商品についてはサポー

ト対象機器・製品の拡大を図り,サポート商品の品揃え

を充実する。また,性能管理,セキュリティ管理,構成

管理,および資産管理などを含む統合運用管理サービス

の新規商品開発に対する取組みが急務であり,運用支援

サービスから運用管理サービスへのサポート商品領域の

拡充を図り,ユーザニーズにマッチした質の高いサポー

トサービスを提供していく計画である。

■アウトソーシング

アウトソーシングサービスというとかなり広範囲な領

域を示すが,ここではお客様のシステムをお預かりして

運営するOCAハウジングサービスについて述べる。経営

のスリム化や本業への専念を志向する企業が増加するの

に伴い,アウトソーシングのニーズが大幅に増加してい

る。OCAではアウトソーシングビジネスへの取り組みと

してカスタマサポートセンタ内に,昨年8月にハウジング

ルームを設置してサービスを開始した。ハウジングサー

ビス事業者は通信キャリア系やISPが大勢を占めているが,

OCAでは自社の最大の強みである「サポートサービス」

を差別化要素として「他社とは違うハウジングサービス

(写真1)」を商品化したのである。

また,サーバなどの機器収納ラックも拡張性・メンテ

ナンス性を考慮した構造の専用ラックに耐震構造を施し,

収容スペースとして最大60ラックの収容が可能となって

いる。そして最も効果的な特徴が,トータルサポートサー

ビスの提供である。構築導入においてはラッキング設計・

付帯設備の準備から機器のセットアップ・テスト・教育

など細部に亘って対応する(図3参照)。

運用フェーズではベーシックサポート(ハードウエア

メンテナンス)・運用支援・監視サービスやマルチベン

ダサポートなどお客様のあらゆるニーズに応えるサポー

監視カメラ�

IRIS-Pass

自家発電機� ハウジングルーム�

写真1 ハウジング設備

Page 4: OCAのサポートサービス...OCAが提供するサポートサービスは,図1のカテゴリー から構成されており各々,個々のサービスメニューに分

57沖テクニカルレビュー

2001年4月/第186号Vol.68 No.2

サービスビジネス特集●

ト技術者が,24時間365日待機し,トラブル発生時の対

応に備えている。

また,システムの運営面でもシステム管理やシステム

運行業務代行などのオペレーションサービスも用意し,他

のハウジングサービスと一線を画す最高のサポート環境

のもとにお客様に最適な運営環境を提供している(図4参

照)。

■カスタマサポートセンタ

1999年4月にOCA本社3階に開設したカスタマサポー

トセンタは,それまで各地に分散していたサポートセン

タを1箇所に集約して,OCAのサポートサービスの基幹

であるカスタマサポートの発信拠点としてオープンした

センタである。

従来,各地に分散していたときは,安全面なども考慮

して,お客様に見て頂くことができる体制にはなってお

らず,外部からは見ることはもちろん,入室も厳重に制

限されている状況であった。

しかし,お客様のIT投資が本格化し,監視行為も対価

の要求が当然となるにあたり,お客様が自らサービスの

内容を確認できる体制の構築が急務となった。

そこで OCAでは,サポートサービスという見えない

商品の実像をお客様にご理解頂くことを目的として,

「OCAカスタマサポートセンタ」を開設した。

ここでは従来からの監視サービスのあり方についての

観点を180度転換し,お客様に提供しているサービスがど

のようなものかについて,実際にご自身の目で確認でき

る体制作りをコンセプトに,ショールーム形式と日常の

業務を融合し,厳重なセキュリティを考慮しながらも,

オープンなイメージを強調した場を構築したのである。

カスタマサポートセンタの最大の特徴は,センタ入口

を開けると目前にあるロビーから始まるガラス張りの設

定となっている見学コースを用意したことであり,サポー

トサービスを行なう各チームが,放射状になるよう設計

された中央の見学コーナから,全て見渡せるようになっ

ていることである。

サポートする機能のメニューは次のとおりである。

・ベーシックサポート

・エスカレーションサポート

・システム監視サポート

・デスクトップサポート

・拡張サポート

(24Hサポート/マルチベンダサポート)

・災害対策サポート

・ハウジングサポート

サポートサービスを支える機能

導入打合� 環境調査� 設  計� 付帯設備�内容ご提示/ご契約�

運用マニュアル� 機器構築� 検査/試験� 運用開始�運用教育�

図3 構築導入ステップ

構築導入�

メンテナンス�

システム監視�

運用支援�

システム管理代行�

オペレーション�サービス�

図4 サポート概念図

ハウジングルーム�

ワンストップサービスを実現--OCAカスタマサポートセンタ�

エスカレーションルーム�

プレゼンテーションルーム�ディスパッチチーム�

ベーシックサポートチーム�

デスクトップサポートチーム�ネットワークサポートチーム�

OKI Customer Adtech Co Ltd

図5 OCAカスタマサポートセンタ

Page 5: OCAのサポートサービス...OCAが提供するサポートサービスは,図1のカテゴリー から構成されており各々,個々のサービスメニューに分

58 沖テクニカルレビュー2001年4月/第186号Vol.68 No.2

セキュリテイ対策は下記の機能を装備している。

・アイリスパスシステムの設置

-センタ入口

-ネットワーク監視ルーム

-ハウジングルーム

災害対策としては下記の機能を装備し,各種災害対策

にも万全の備えをしている。

・耐震床構造

・自家発電装置による停電対策

・火災対策として特殊消化装置の完備

以上のように,カスタマサポートセンタでは,最先端

の設備と,万全の防災・セキュリテイ対策等の,フルサ

ポート体制を完備し,お客様のシステム運用・管理を強

力にバックアップできる体制を構築している。

なお,1999年5月末からお客様に公開して2000年12

月末現在で3,400名のお客様に見学して頂いている。

各サポートの機能は次のとおりである。

①ベーシックサポート

お客様からの問合せや故障連絡を集中受付し,故障の

切り分けやCE部門への手配をOCA開発のマインドシステ

ムを使い実施する(図6参照)。

②エスカレーションサポート

保守デイーラ様・自家保守のお客様・CE部門からの技

術問合わせ問題解決などに対し,サポート技術者が早期

復旧支援を行う(図7参照)。

③システム監視サポート

(ネットワークサポート,サーバサポート)

お客様のネットワーク及びサーバを専任の技術サポー

トスタッフが監視,技術支援を行う。

トラブル発生の際には,経験豊富なサポート技術者を

配置した全国300箇所のCE拠点に素早く通報し,迅速な

復旧作業のサポートを行う(図8参照)。

④デスクトップサポート

CTIを導入し各種サーバ(UNIX・WindowsNT),POS

システムのSLAに応じた受付・技術支援を行う。

その他,CTstageのアンサリングサービスやPCヘルプ

デスクを行っておりお客様のシステム機器の技術的支援

を電話,FAX,電子メールによりお受けし問題解決に向

けて対応している(図9参照)。

⑤拡張サポート

・24Hサポート 

お客様の要求により24Hのコールセンタを始めとし

た24H365日待機のサポート体制を提供している。

・マルチベンダサポート

ベンダ各社のPC,プリンタ,ネットワーク機器を対象

にベンダCEの派遣から作業完了までの管理をサポートし

ている(図10参照)。

OKI

ベーシックサポート�

障害連絡�

フォロー�24Hサポート�遠隔保守�

お客様ABC

公衆網�パーツセンタ�

カスタマサポートセンタ�MAINDシステム� 支社/支店�

センタ�

金融・情報系のハード�保守を主体とする�      サービス�

CE

図6 ベーシックサポート

支社/支店�お客様A

センタ�CE

お客様B 保守ディーラー様�

PBXディーラー�キャリアユーザ�

PBX

技術支援サポート�etc

ベーシックサポート�デスクトップサポート�ネットワークサポート�

エスカレーションサポート�カスタマサポートセンタ�

ログ情報解析�原因究明/問題解析�問題管理��

ワンストップサービス�

専門技術者グループ�

テクニカルアシスト依頼�

エスカレーションサポート�

エンジニアリングセンタ�ネットワーク本部�

ソフト�

ハード�ベンダ�

図7 エスカレーションサポート

データベース�周辺機器�

専用線�INS回線�公衆網�

フォロー�

障害時�

通 常�CBお客様A ネットワークサポート� カスタマサポートセンタ�

支社/支店�センタ�CE

70インチ�モニタ�

24Hサポート�

ネットワークサポート�

図8 ネットワークサポート

Page 6: OCAのサポートサービス...OCAが提供するサポートサービスは,図1のカテゴリー から構成されており各々,個々のサービスメニューに分

59沖テクニカルレビュー

2001年4月/第186号Vol.68 No.2

サービスビジネス特集●

⑥災害対策サポート

災害が発生した場合,カスタマサポートセンタ内にあ

るプレゼンテーションルームに災害対策本部を設置し,被

害状況を収集,把握し,的確な対策を実施することによ

り,お客様の保有するシステム,およびネットワークの

早期復旧を図ることをサポートする(図11参照)。

⑦ハウジングサポート

お客様のサーバや機器類を専用ルームでお預かりし,専

任のサポートスタッフが24時間体制で機器の運用管理を

実施している。

OCAのハウジングルームは,設備としてはUPSと自家

発電設備を組み合わせた無停電対策,また,セキュリティ

面も,カスタマサポートセンタ全体の管理と合わせて,監

視カメラやアイリスパスシステム(虹彩認識装置)を採

用し,二重の厳しいセキュリティチェックを行っている。

万一のトラブル発生時にも,迅速な対応が可能である。以

上のような体制で,24時間365日いつでもお客様に安定

稼動を提供している。

■社員教育体制/資格取得

お客様に満足して頂けるサポートサービスを提供する

ために,サポート技術者の育成は最も重要なテーマの1つ

である。OCAは多様化するお客様のニーズと,急激な技

術革新を先取りするため,最新の設備を整えた東海研修

センタ(清水市)を中心として年間600コース(延べ受講

人数6,000人)の教育を実施している。

OCAにおける教育体制は次のような構成から成り立っ

ている。

①サポート技術者の標準教育

・メンテナンスに必要な機種単体教育

・システム教育

・CS教育(CCS教育)

・汎用OS・UNIX・LAN等の基礎/基幹教育

・SE教育

・運用技術教育

(CCS:Communication for Customer Satisfaction)

②新入社員教育

入社翌日より技術教育が開始され,6ヶ月間にわたる下

記教育により,カスタマエンジニアとしての基礎を築く

ものである。

・基礎基幹教育

・CS教育(CCS教育)

・OJT

・配属先に応じた機種訓練

エスカレーションサポート�

��

ハードベンダ�ソフトベンダ�

エンジニアリング�     センタ�ネットワーク本部�

支社/支店�

センタ�

お客様ABC

CE

デスクトップサポート�デスクトップサポート�カスタマサポートセンタ�

データベース� サーバ�

サーバサポート�

POSサポート�

PCサポート�

CTIサーバ�

図9 デスクトップサポート

90インチプロジェクタ�10インチTVモニタ(12台)�

お客様A 支店�

災害対策サポート�

最近の事例��神 戸(震災)�新 潟(豪雨)�鹿児島(豪雨)�高 知(豪雨)�西日本(豪雨)�東 海(豪雨)�

対策期間�95.1.17~3.15�98.8.4~8.7�98.8.27~9.2�98.9.25~10.1�99.6.29~6.30�00.9.11~9.18

延出動員数�800人�90人�60人�90人�70人�200人�

��支店長� 総務チーム�

復旧チーム�管理チーム�工事チーム�修理チーム�ユーザチーム��

現地対策本部�

支社���支社長�地域対策本部�

カスタマサポートセンタ���本社対策本部�

ユーザチーム�

情報処理�

  

チーム�

ク�

資材チーム�

庶務チーム�

情報チーム�

本部長�

総務チーム�情報チーム�技術チーム�情報処理チーム�資材チーム�応援チーム�ユーザチーム�

従業員・家族の安全確認�ユーザ救援物資�

通信手段の選定・確保�要求データ出力�部材直出・配送、�救援物資の配送�

情報収集�

派遣要員の確保、管理�

お客様窓口・情報収集・報告�

現地対策本部支援対応�

エンジニア�   リング�支援本部長�対策本部全�体の指導・�   統括�

CE情報収集�

復旧支援�

図11 災害対策サポート

拡張サポート�24時間サポート� マルチベンダサポート�

24時間、365日で�サポートサービスを提供します。�

20数社のマルチベンダサポートを�行っています。�

ヒューレットパッカード�

モトローラ�

IBM コンパック�

エプソン�

図10 拡張サポート

Page 7: OCAのサポートサービス...OCAが提供するサポートサービスは,図1のカテゴリー から構成されており各々,個々のサービスメニューに分

60 沖テクニカルレビュー2001年4月/第186号Vol.68 No.2

③研修設備

ベーシックサポートサービスを支える機種教育に関し

ては,研修センタの3つの実習室にユーザ環境に合わせた

システム構築を行うことで,実運用に近い教育を実施し

ている。また講義方式の教育のサポートシステムとして,

オーサリングシステム教室があり,各個人が自分のペー

スでわかるまで繰り返し学べる環境を提供している。さ

らに,コンテンツの一部を社内イントラネットにも掲載

し,各職場における閲覧を可能としている。

④教育管理システム

「人材育成支援システム」(稼動中)によって,各カス

タマエンジニアの教育履歴,保有技術の管理ならびに

フィールド情報(機器台数,作業回数)を表示可能であ

り,各拠点での機器台数に対する技術者数の把握を行う

ことで,計画的育成を可能としている。

⑤ベンダー資格    

カスタマエンジニアの技術レベル評価の1つとして各種

資格においては,業務上必要な公的資格から1996年より

ベンダー資格を積極的に取得推進している。

技術のオープン化が進み,ハード保守からシステム保

守を目標として,カスタマエンジニアの技術力向上のた

めに,マイクロソフト(MCP),ノベル(CNE)を中心

とした各ベンダー資格を推進してきたが,現在はネット

ワークソリューション,マルチベンダーサポートといっ

たサポートサービスビジネスを行う上で,CISCO,コン

パック(AFE),ヒューレットパッカード(DCE)等のビ

ジネスに直結した資格へと拡大している。

■ITシステム

OCAではサポートサービスに必要な次のITシステムを

運用している(図12参照)。

①フロントエンドITシステム

・障害受付作業管理システム(MAIND)

お客様からの障害コールをカスタマサポートセンタに

て受付けて,CE拠点に作業を指示するシステムである。

受付ける場合には,お客様の機器や契約条件,作業の履

歴などを参照することで円滑な対応を可能としている。

CE拠点では,障害受付からの修理作業の指示だけで  

なく,契約にもとづく定期点検や工事などの計画作業も

一括して参照できるので技術者の効率よいスケジュール

を編成することが可能である。

また,パソコンやサーバなどのサポートの受付では,さ

らにCTIによるお客様の認識やCE担当者の振り分け,受

付事例やFAQの参照などさらに高機能のサービスを受付

担当者に提供している。

・電子マニュアルシステム

サービス技術者が必要とするマニュアルなどの資料を 

PDF形式で保管し検索を行う。

・ネットワーク監視・サーバ監視システム

お客様のネットワークの状態を監視するシステムを稼

働させ,異常が発生した場合には,お客様との契約にも

とづき,連絡,遠隔診断,遠隔修理,サポート技術者の

派遣などを行う。

・金融自動化機器診断システム

金融自動化機器の作業履歴とお客様のホストなどから

提供される休止情報から機器の稼働状態を診断し,技術

者に作業項目と緊急度を指示する。

・金融自動化機器遠隔診断システム

お客様の自動機にISDNなどの回線で接続して機器の状

態を診断する。

ベンダー資格 保有人数ATM-SW 58Cisco CCNA 19Lotus(CLP) 33NetWare(CNE) 26ORACLE 23MCSE 5MCPWindowsNT4.0 366HP DCE 44HP DSE 68COMPAQ AFE 74COMPAQ ASE 3

表1 ベンダー資格保有人数

NOTES

イントラネット�

電子マニュアル�システム�

CE�携帯端末�

カスタマサポートセンタ�

人事給与�システム�

販売会計�システム�

顧客DB�契約DB

技術者�情報システム�

障害受付�作業管理�システム�

自動機   �診断システム�

自動機   �遠隔診断 �  システム�

部材管理�システム�

e-ビジネス�システム�

NW監視�サーバ監視�システム�

サービス�統計システム�

サービス�情報システム�

機器DB

作業DB

MAIND

契約�

原価�

品質�

図12 ITシステム関連図

Page 8: OCAのサポートサービス...OCAが提供するサポートサービスは,図1のカテゴリー から構成されており各々,個々のサービスメニューに分

61沖テクニカルレビュー

2001年4月/第186号Vol.68 No.2

サービスビジネス特集●

・サービスイントラネット

作業の進捗や履歴の参照,スケジュール,電子化マニュ

アル,在庫部材の検索,お客様の自動機の状態など,サ

ポート技術者がサービスに日常必要とする主な情報はWEB

にて参照することができる。さらに,電子掲示板による

サービス情報の伝達,電子会議室でのサービス情報の交

換,電子メールでのCE技術者間の連絡を行っている。

・CE携帯端末

お客様のところで行うサービス業務に必要なコンソー

ルや,機器の診断に必要なAP,LAN診断ツールなどを搭

載してお客様のところで作業するサポート技術者全員に

配備している。また,携帯電話経由でサービスイントラ

ネットに接続して,社内で参照できるイントラ情報や掲

示板,会議室,メールをお客様のところにおいても参照

が可能である。

なお,顧客先で利用することからセキュリティー維持

のため,サービス技術者が日常必要としない販売会計な

どのシステムや沖グループのイントラネット,インター

ネットなどのアクセスは制限している。

②バックエンドITシステム

・サービス情報システム(SIS)

定期点検や工事などの計画作業を作業管理システムに

引き渡す。定期点検は保守契約の点検周期などから自動

生成する。工事などの作業は販売会計システムの受注情

報から日程編成する。また,作業管理システムから引き

ついだすべての作業結果は以下のように活用する。

・原価情報として販売会計システムへ引き渡す

・品質情報としてデータウェアハウスへ蓄積する

・稼働情報としてレポートを作成する

・販売会計システム

お客様との保守契約や受注作業の契約管理とそれぞれ

の原価計算を行う。

・部材管理システム 

保守用消耗部材交換用予備機材の発注,在庫管理,修

理管理などを行う。

・技術者情報システム

技術者の教育訓練の受講履歴や保有技術レベル,保有

資格などの管理と教育訓練の計画を行う。

■バックアップ体制

OCAではサポートサービスを支援する機能としてロジ

スティックセンタとリペアセンタが支援組織として充実

している(図13)。

①ロジスティックセンタ

ロジスティックセンタはお客様も含めてOCA内部の物

流及び保管業務を行う部門である。CE部門ではお客

様向けの保守部材の取り揃え,保管,および配送手配に

至るまで自部門で行っていた。しかしそれぞれの部門で

行うのは非効率であり,一部門に集約し,全ての部材に

関わる運営責任を持つように変更した。

保有する機能としては次のとおりである。なお,各支

社のCE部門に専任のロジスティックマネージャーをおい

て,支社単位で管理運営を任せている。

・物流管理機能:お客様,本社,全国のCE部門,および

支援部門間で修理品,販売品,そして社内のメール搬送

も含め,運送業者に依頼している物流業務の運用管理を

行う。

・在庫管理機能:OCA内部の各部門では自部門で在庫を

持たずに必要都度ロジスティックセンタに発注する。ロ

ジスティックセンタでは,自部門の倉庫から出庫して物

流業者経由で発注元に送付する。在庫量の適正化,品質

の確保等もあわせて運営管理している。

なお,各支社においても必要な部材を保有している。

・発注管理機能:常時在庫しておくべきものの発注点を

把握してその都度発注する。常に効率的な運用を心がけ

て,売価の低減化に努力をしており,費用対効果の徹底

した追及をめざしている。

・倉庫保管機能:東京平和島にある約700坪の部品倉庫を

はじめ,全国に4箇所の倉庫により,部品供給のスピード

化を図っている。

なお,平和島では常に6万種類・100万点の部材がス

トックされている。

お客様�

・確実な診断・復旧�・確実な予防保守�・高い技術力の提供�・幅広い顧客ニーズ支援�

・高度な技術力確保�・品質管理�・高生産体制で安定供給�・修理納期短縮�

リペアセンタ�

CE部門�

・常時必要保守部材� 及びユニット確保�・365日/24H体制による� 部材配送体制の確保�

ロジスティック�センタ�

図13 支援体制

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62 沖テクニカルレビュー2001年4月/第186号Vol.68 No.2

②リペアセンタ

リペアセンタは全国にあるCEセンタと保守委託会社が,

サポート作業時に交換した装置,ユニットおよび基板等

のリペア作業とオーバーホールを担当している。CE部門

からの要求に応えるために,高品質で,清潔かつ,高生

産性の追求をめざし,供給量や品質の確保を進め,常に

修理品の生産計画,納期管理,在庫管理等を効率的に進

めている。

規模は敷地約1,500坪,建物は3階建,建坪約2,000坪

を擁し,主な設備は次のとおりである。

・自動立体倉庫 収納容量 855パレット

・自動部品倉庫 収納容量 400パレット

・自動搬送車 3台  

・生産管理システム

・クリーニングルーム 9ルーム

・恒温槽

生産管理システム(CARシステム)はリペアを要する

機器が入荷されると自動倉庫に保管後,スケジュールに

従ってリペアを行い,完了検査後の出荷に至る作業を,リ

アルタイムに把握管理できるシステムである。

入力はバーコードを利用して行う。入荷した装置,ユ

ニットは分解後クリーニングルームで清掃を行い,必要

な部品は部品倉庫から取りだしてキット化作業後,交換

修理され,調整,試験,出荷という工程を経てロジス

ティックセンタの手に渡り,CE部門経由でお客様ヘ返却

される。また,修理対象機器は50%以上がATM(金融自

動化機器)で,その他に一般の情報処理機器等も修理し

ている。

さらに,環境汚染防止の対応としてリサイクル事業も

含んでおり,お客様のシステムの安定稼動維持をめざし,

事業の支援をしている。

沖電気製品の点検修理から始まったOCAのサポートサー

ビスは,現在ネットワークやソリューションなど,サー

ビス対象が急激に変化したことに従い,内容にも変化を

来している。

ハードウエアもソフトウエアもともに技術の革新はめ

ざましく,日々新製品や新技術が発表される世の中であ

る。ITサービスビジネスにおいても,同様に技術の進歩

を求められてくる。ITサービスプロバイダのOCAとして,

今後の目指す姿を考察する。

■コスト低減の課題と対応

①ITシステム

ネットワークやソリューションサービスに対応したサー

ビス管理システムの構築が急務である。但し,サービス

管理システムそのものでは利益を生まないので,投資効

果を十分判断して,TCOの低減に注意を払わねばならな

い。

②部材

お客様のシステムがマルチベンダ型となり,沖電気製

品のみの修理では,お客様の要求に応えることが不可能

となっている。

特に,購入品や他社製品,そして一般市販品などは,従

来の部材供給体制では,コストや納期の問題が解決でき

ないため,メーカ,ベンダ,そして同業他社などとのア

ライアンスを進めて,沖電気製品を含めた最適なSCMを

実現しなければならない。

③品質

従来の修理サービスでは,製品に依存した故障率,

MTTR(平均復旧時間),初期品質などが管理項目であっ

た。しかし新しいサービスの領域ではこれらの品質項目

ではなく,ダウンタイム保証,可用性,そしてTCO低減

などが管理項目になる。

サービス品質をSLAとして表現し,さらに,契約金額

に見合ったサービス品質の実現が,もっとも重要な課題

である。

サポートサービスのOCAが目指す姿

写真2 予備機,ユニット整備ライン

Page 10: OCAのサポートサービス...OCAが提供するサポートサービスは,図1のカテゴリー から構成されており各々,個々のサービスメニューに分

63沖テクニカルレビュー

2001年4月/第186号Vol.68 No.2

サービスビジネス特集●

■売上面からの課題と対応

①技術者教育

修理サービスの領域は修理技能の修得が主体であった。

しかし,ネットワークやソリューションサービスの領域

になると,技能よりCE技術者個人のノウハウや知識が重

要になる。さらにその成果をお客様に理解して頂くため

には,公的資格やベンダ資格の取得が必要になるので教

育投資を増加する。

②ITシステム

CE技術者個人の能力を最大化するためにはCE技術者相

互のコミュニケーション,問題解決の共通体験を実現す

る電子メール,掲示板,会議室,イントラ,データベー

スを統合したナレッジマネージメントシステムを構築し

て知識の共有化を促進する環境が必須である。

また,受付システム,ヘルプデスクシステム,CRM

パッケージをはじめとしたフロントシステムはサービス

を受注し提供するためには必須の武器である。

さらに,遠隔監視,遠隔操作,携帯端末などサービス

提供そのもののシステムなどへの投資も重要である。

携帯電話やインターネット技術の活用が容易となり,お

客様が要求される付加価値を短期間に提供することが可

能となってきている。これらのお客様へのサービスを販

売するために構築する戦略投資の対象システムの構築を

急いでいる。

■ITサポートサービスの方向

21世紀に入り,今後ますますITサポートサービスの需

要が高まっている。技術のグローバル化や,ドッグイヤー

と言われるほどの速度で技術革新が進んでいる。ハード

ウエアやソフトウエアに依存したサービスだけではお客

様のビジネスに必要なサービスを提供できているとはい

えない。

お客様のITスキルを補完して,お客様のビジネスに寄

与するためには,保有すべきスキルとして,狭義のIT技

術だけでなく,コンサル能力や業務志向の技術が欠かせ

ず,その能力をお客様に評価して頂けるようになること

が重要である。

評価の対象となるサービスは高度で先進的なプロフェッ

ショナルサポートから,基本的業務を提供するベーシッ

クサポートまで幅広く提供できなければならない。

さらに,マルチベンダ化の流れは,システムインテグ

レーションと言われていたものが,各種ベンダや他のサー

ビスプロバイダなどとのアライアンスや,従来のサポー

トサービスを含めた,いわゆるサービスインテグレーショ

ン能力が求められるように変化している。

サポートサービスは直接目に見えないものであり,お

客様はOCAへの信頼に対して対価を支払うことになるた

め,OCAのブランドを大切にしなければならない。

OCAは,これからもお客様のビジネスに目を向けて幅

広いITサポートサ-ビスをスピーディに提供できる「統

合サービスプロバイダ」を目指して,今後もたゆまない

自己変革を続けていく所存である。 ◆◆

森本誠二:Seiji Morimoto.株式会社沖電気カスタマアドテックサポートサービス本部 事業推進部担当部長三浦雄一:Yuichi Miura.株式会社沖電気カスタマアドテック 企画室担当部長 山口幸生:Sachio Yamaguchi.株式会社沖電気カスタマアドテック エンジニアリングセンタ 技術教育センタ長早川慎吾:Shingo Hayakawa.株式会社沖電気カスタマアドテック ネットワーク本部 ソリューションサービス部 担当部長高橋政男:Masao Takahashi.株式会社沖電気カスタマアドテック カスタマサポートセンタ 業務推進チーム課長沖野潔:Kiyoshi Okino.株式会社沖電気カスタマアドテックカスタマサポートセンタ デスクトップサポートチーム 担当課長森山求:Motomu Moriyama.株式会社沖電気カスタマアドテック サポートサービス本部 事業推進部 担当課長

●筆者紹介�

サービスインテグレーション�

A社ハードウエア�

B社ハードウエア�

C社ソフトウエア�

D社ソフトウエア�

システム�インテグレーション�

コンサル��

運 用��

リペア��

管 理�

融 合�

図14 サービスインテグレーション