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ユーザ事例紹介 l be certain. お客様の課題 世界的な人口増加が、土木技師に特別な難問を課しています。都市が大きくなるにつ れ、より高い建物、より大規模の輸送システム、より長い橋を必要とし、その全てが地震 や他の災害に耐えるように設計されていなければなりません。同済大学 (中国で最も 古く、名門大学の1校) は、エンジニアが設計を改善するのを支援できる新しい試験手 法を用いてこの分野を先導しています。 同済大学の土木工学部は、橋梁工学部と国を代表する土木工学における防災研究所 の本拠地となっています。ここでは橋の耐震設計の研究部門の重要な教授である Chengyu Yang 博士が、壊滅的な地震が橋、建物、トンネル、その他多くの構造物に与 える影響の低減に役立つ試験を行っています。 「我々の最大の課題の1つは、長径間橋のモデル向けに振動台試験を実行することで す。」と、Yang 博士は言います。「振動台が 1 つだけあるとして、それが 6 X 6 m であると しても、橋のモデルを100分の1 または 200分の1スケール まで、比較的小さくする必 要があります。」 問題は、モデルがより小さいほど、結果の有用性が低いことです。より小さなモデルは、 どうしても現実の橋構造と同様に反応しないため、実物大の構造物に試験データを当 てはめることがより難しくなります。そして、対象となっている構造物が江蘇の泰州橋 ( 全長 62 キロメートル) であるならば、問題の解決は手ごわいでしょう。 MTS ソリューション 泰州橋のレプリカを含む大規模なモデルで地震試験を完了するために、Yang 博士の チームは、MTS と協力して、独自の振動台ソリューションを立ち上げました。このソリュ ーションは、複数の構成で配置でき、最大200トンの重量モデルをサポートできます。 同済大学の多機能振動台 (MFST) ラボに収容されたこのソリューションは、世界最大 のマルチ・テーブル地震試験施設内に 4 基の振動台を採用しています。 振動台は、油圧アクチュエータを使用して、地震または他の地震現象の際に構造物が 経験する荷重とモーションを再現します。同済大学の MFST ラボの特徴は、70 トン振 動台2基および30 トン振動台2基で、これらを隣接する 2 つのトレンチ内でさまざまな 構成で配置できます。長さ 70 メートルのトレンチは、全部で 4 基の振動台を収容で き、長さ 30 メートルのトレンチは、2 基の振動台に対応できます。全部で 4 基の振動台 は、2 メートル単位での配置、固定が可能なため、同ラボは、両方のトレンチにかかる 構成も含めて、より長く、より大きな試験片に対応できます。 同済大学 (Tongji University) 構造物の防災に革命をもたらしている大学 MTS は中国の土木工学研究者による史上最大規模の大型モデルの試験を サポートしています。 「現在我々は、長さ3 メートルではなく、 65 メー トルの 1:40 の縮尺モデルを使うことができま す。我々は、試験に合わせてモデルを設計し、  テーブルを設定することが可能なのです。」 同済大学 橋梁工学部門 橋梁地震設計研究学部 Chengyu Yang 博士 地震工学ホールは、同済大学 土木工学部の施設の 一部です。

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ユ ー ザ 事 例 紹 介

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be certain.

お客様の課題

世界的な人口増加が、土木技師に特別な難問を課しています。都市が大きくなるにつれ、より高い建物、より大規模の輸送システム、より長い橋を必要とし、その全てが地震や他の災害に耐えるように設計されていなければなりません。同済大学 (中国で最も古く、名門大学の1校) は、エンジニアが設計を改善するのを支援できる新しい試験手法を用いてこの分野を先導しています。

同済大学の土木工学部は、橋梁工学部と国を代表する土木工学における防災研究所の本拠地となっています。ここでは橋の耐震設計の研究部門の重要な教授であるChengyu Yang 博士が、壊滅的な地震が橋、建物、トンネル、その他多くの構造物に与える影響の低減に役立つ試験を行っています。

「我々の最大の課題の1つは、長径間橋のモデル向けに振動台試験を実行することです。」と、Yang 博士は言います。「振動台が 1 つだけあるとして、それが 6 X 6 m であるとしても、橋のモデルを100分の1 または 200分の1スケール まで、比較的小さくする必要があります。」

問題は、モデルがより小さいほど、結果の有用性が低いことです。より小さなモデルは、どうしても現実の橋構造と同様に反応しないため、実物大の構造物に試験データを当てはめることがより難しくなります。そして、対象となっている構造物が江蘇の泰州橋 (全長 62 キロメートル) であるならば、問題の解決は手ごわいでしょう。

MTS ソリューション

泰州橋のレプリカを含む大規模なモデルで地震試験を完了するために、Yang 博士のチームは、MTS と協力して、独自の振動台ソリューションを立ち上げました。このソリューションは、複数の構成で配置でき、最大200トンの重量モデルをサポートできます。同済大学の多機能振動台 (MFST) ラボに収容されたこのソリューションは、世界最大のマルチ・テーブル地震試験施設内に 4 基の振動台を採用しています。

振動台は、油圧アクチュエータを使用して、地震または他の地震現象の際に構造物が経験する荷重とモーションを再現します。同済大学の MFST ラボの特徴は、70 トン振動台2基および30 トン振動台2基で、これらを隣接する 2 つのトレンチ内でさまざまな構成で配置できます。長さ 70 メートルのトレンチは、全部で 4 基の振動台を収容でき、長さ 30 メートルのトレンチは、2 基の振動台に対応できます。全部で 4 基の振動台は、2 メートル単位での配置、固定が可能なため、同ラボは、両方のトレンチにかかる構成も含めて、より長く、より大きな試験片に対応できます。

同済大学 (Tongji University)

構造物の防災に革命をもたらしている大学MTS は中国の土木工学研究者による史上最大規模の大型モデルの試験をサポートしています。

「現在我々は、長さ3 メートルではなく、 65 メー

トルの 1:40 の縮尺モデルを使うことができま

す。我々は、試験に合わせてモデルを設計し、 

テーブルを設定することが可能なのです。」

同済大学

橋梁工学部門 橋梁地震設計研究学部 Chengyu Yang 博士

地震工学ホールは、同済大学 土木工学部の施設の

一部です。

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ユ ー ザ 事 例 紹 介

lエムティエスジャパン株式会社〒130-0013 東京都墨田区錦糸1-2-1アルカセントラル8階Tel: 03-6658-0903Fax: 03-6658-0906E-mail: [email protected]: www.mts.com/jp ISO 9001 CERTIFIED QMS

©2014 MTS Systems Corporation100-295-215 Tongji Printed in U.S.A. 1/14

MTS は米国内における MTS Systems Corporation の登録商標です。この商標は他の国々でも保護されている場合があります。 RTM No. 211177.

最も重要なポイントは、 4 基全ての振動台のモーションを同期させて、まるで 1 つの巨大なプラットフォームのように地震波を再現、あるいは振動台それぞれが独立して操作できることです。高速、リアルタイム、共有メモリのアプリケーションを使用することで、このソリューションでは全ての振動台が他のすべての振動台からのデータを「見る」ことが可能です。すべてのデータは、すべてを同期するためのコマンドやフィードバックを処理する、マスターコントローラに統合されます。これにより、試験環境全体を広範に制御することができます。

「このスケールでこのように使える振動台技術を持っているラボは世界で他にありません。」と、Yang 博士は言います。「我々はその大きさのため、MFST ラボを同済近くの上海中心部に配備することはできず、新しいキャンパスで構築しなければなりませんでした。ラボの建物は長さ 100 メートル、幅 88 メートルです。」

同済大学 MFST ラボの泰州橋 縮尺モデル 同済大学の MFST ラボの特徴は、2 基の70 トン振動台および 2 基の30 トン振動台であり、これらを隣接する 2 つのトレンチ内でさまざまな構成で配置できます。

このソリューションは、MTS が過去 30 年におよび開発した従来の振動台技術を活用していますが、Yang 博士のチームの仕様を満たすためにカスタマイズされています。MTS と同済大学のエンジニアは互いに協力して、サイズ、容量、柔軟性の類を見ない組み合わせによるソリューションを開発しました。

お客様が得た利点

同済大学の MFST ラボが、泰州橋の縮尺モデルで地震試験を実施したとき、この振動台ソリューションのサイズと構成能力 により、明らかな優位性がもたらされました。

「現在、我々は、長さ3 メートルではなく 65 メートルの 1:40 の縮尺モデルを使うことができます。」と、Yang 博士は言いました。「我々は、試験に合わせてモデルを設計し、テーブルを設定することが可能なのです。我々の研究者にとって、非常に好都合です。彼らは、次善の策を受け入れるのではなく、最も望ましいデータを得ることができます。」

より大きなモデルを試験することで、 Yang 博士のチームは、実際の状態に非常に近い試験環境を作っています。この環境により、研究者は実際のシステム応答をより正確に予測することができます。より現実的な試験は、仮想モデルの検証や、より精度を高めるための支援となり、大型構造物の

設計を改善します。また、MTS のソリューションは、MFST ラボが新しい種類の試験を追及する機会を生み出します。

「我々は、中国本土、香港、マカオをつないでいるトンネルのための試験を、ちょうど終えたところです。」と、Yang 博士は言いました。「以前は、4×4 メートルの土の箱に 1 つのトンネル部分のモデルを配置していましたが、現在は、長さ 40 メートルの箱で、同じ試験をすることができます。これは、不均一性の励起を用いるセグメント接続の評価を可能にします。地震波は大きな構造物の異なる部分を異なる様態で襲うため、これは非常に重要で、ユニークな研究です。」

このソリューションは、同済大学と MTS の 30 年に及ぶ協調関係の一例に過ぎず、各プロジェクトと共により強固になっています。

「セールスからエンジニアや技術者にいたるまで、MTS の人々は、皆勤勉で、専門家です。」と、Yang 博士は言いました。「この夏、私は試験について質問があり、日曜日の午後に電子メールを送りました。それは米国では土曜日の真夜中でしたので、すぐに返信が来るとは思っていませんでした。翌朝、MTSの米国本社そして中国オフィスの複数の人から返信が届いていました。これは、彼らが我々のニーズにどれくらい敏感かというほんの一例です。」

写真提供:同済大学 (Tongji University)