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0 2020年3⽉7⽇ 令和2年調剤報酬改定 のポイント 鈴⽊ 達也

令和2年調剤報酬改定 のポイント · 2020-03-29 · 1 主な変更点 ①内服調剤料の⾒直し ②調剤基本料の⾒直し ③オンライン服薬指導に点数

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2020年3⽉7⽇

令和2年調剤報酬改定のポイント

鈴⽊ 達也

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主な変更点

①内服調剤料の⾒直し②調剤基本料の⾒直し③オンライン服薬指導に点数④対⼈業務に新規の加算(吸⼊薬、簡易懸濁法、糖尿病、抗がん剤)⑤重複投薬の解消にむけての取り組み⑥後発医薬品体制加算の⾒直し⑦地域⽀援体制加算(基本料1)の基準厳格化⑧かかりつけ薬剤師指導料の基準⾒直し⑨薬剤服⽤歴管理指導料の⾒直し

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対物業務から対⼈業務への構造的な転換を進めるため、内服薬の調剤料について評価を⾒直す

①内服調剤料の⾒直し

1~5日 :3~23点増6~7日 :2~7点減8~11日 :4~16点増12日 :不変13~14日:4~8点減15~21日:3点減22~30日:1点減31日以上 :不変

『1剤につき』なので1つ1つは⼩さくても意外に影響出るところも。処⽅元が何⽇分出すかによる(⼩児科や内科の⾨前等は加点︖)

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②調剤基本料の⾒直し

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②調剤基本料の⾒直し2018年版 ●調剤基本料2の対象が拡⼤(点数不変)

・「⽉1,800回超かつ集中率95%超」も→現在同基本料1算定薬局の⼀部が移⾏

●調剤基本料3(点数不変)・①が「⽉3万5千回超40万回以下」へ変更・「⽉3万5千回超40万回以下」で「集中率95%超」も①の対象へ拡⼤

●特別調剤基本料(11点→9点)・敷地内薬局の対象が「病院」⇒「保険医療機関」へ拡⼤(同⼀建物内は除く)

・集中率が「95%超→70%超」へ引き下げ

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患者の同⼀薬局の利⽤を促すため、異なる医療機関の処⽅箋を同時にまとめて複数枚受付けた場合、2回⽬以上の受付分についての調剤基本料は所定点数の100分の80に相当する点数を算定する

②調剤基本料の⾒直し

複数の医療機関の処⽅箋を同時に持ち込むと患者としては負担が少し減る(基本料部分が180/200)→ ⾯で受けている薬局に⼩ダメージ

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情報通信機器を⽤いた服薬指導(⽉1回まで)・薬剤服⽤歴管理指導料の

オンライン服薬指導を⾏った場合 43点・在宅患者訪問薬剤管理指導料の

在宅患者オンライン服薬指導料 57点

③オンライン服薬指導に点数

<条件>①原則3か⽉以内に薬剤服⽤歴管理指導料を算定した患者&オンライン診療で処⽅箋が交付②薬歴管理料に対する加算類は算定不可③全体に占める算定割合が1割以下④対⾯で服薬指導とオンライン服薬指導を組み合わせた服薬指導計画を作成し、その計画に基づいてオンライン服薬指導を実施する必要がある

⑤原則として同じ薬剤師が⾏うが、やむを得ない場合はその患者へ対⾯での服薬指導を実施したことのある、同じ薬局に所属する薬剤師2⼈までが対応可能。⻘の場合もあらかじめ患者の同意を得て服薬指導計画書に記載が必要

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薬学管理料に新たに3つの点数1)吸⼊薬指導加算 30点(3か⽉に1回)2)経管投薬⽀援料 100点(初回のみ)

(簡易懸濁法に関して必要な⽀援)3)調剤後薬剤管理指導加算 30点(⽉1回)

(インスリンかSU剤が新規に処⽅か処⽅変更)

④対⼈業務に関する評価を充実させるための新規点数

<算定要件>・いずれも「患者若しくはその家族等から求めがあった場合」で、「処⽅医に了解を得たとき⼜は保険医療機関の求めがあった」場合に「患者の同意を得たうえで」算定

・2)と3)は⽂書等により保険医療機関へ報告が必要・3)は「地域⽀援体制加算」を届け出ている薬局のみ

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がん患者に対する質の⾼い医療を提供する観点から新設特定薬剤管理指導加算2 100点(⽉1回まで)

④対⼈業務に関する評価を充実させるための新規点数

<条件>①「連携充実加算」を算定している医療機関の処⽅(レジメン等をネット公開)②医療機関にて抗悪性腫瘍薬を注射されている患者③当該患者の治療内容等を⽂書により確認④患者の同意を得たうえで、調剤後の抗悪性腫瘍薬の服⽤に関し、電話等により服薬状況、副作⽤の有無等について患者に確認

⑤当該医療機関に必要な情報を⽂書等により提供

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重複投薬解消に係る提案を⾏った場合の評価を新設(ポリファーマシー対策)

服⽤薬剤調整⽀援料2 100点(3か⽉に1回)

⑤重複投薬の解消にむけての取り組みの評価

<条件>①複数の医療機関から6種類以上の内服薬が処⽅②処⽅医に対して重複投薬などの解消に関する提案を⽂書で⾏う

※現在ある「服⽤薬剤調整⽀援料(125点 ⽉1回まで)」は「服⽤薬剤調整⽀援料1」に名称変更。①複数の医療機関から6種類以上の内服薬が処⽅②処⽅医に対して⽂書を⽤いて提案し、調剤する内服薬が2種類以上減少した場合に算定

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使⽤割合に変更はなし

⑥後発医薬品体制加算の⾒直し

<ポイント>・国の⽬標である「2020年9⽉に80%超」より⾼い⽬標である「85%以上」は2点増・「75%以上」は3点減で、さらなる努⼒を促す・調剤割合が著しく低い薬局に対する減算規定(調剤基本料から2点減算)については

現在の「2割以下」から「4割以下」に対象が広がる(9/30まで経過措置)

15点

22点

28点

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●現⾏の35点から38点に引き上げ●調剤施設基準の厳格化

在宅患者の薬学管理の実績 1件/年→12件/年<新規>1)服薬情報等を⽂書で医療機関へ提供した実績 12件/年2)薬剤師研修認定制度等の研修を修了した薬剤師が地域の多職種と連携する会議に1回以上/年 出席

⑦地域⽀援体制加算の基準厳格化

<調剤基本料1以外を算定する薬局>・上記2)の回数が5回以上・⿇薬指導管理加算10件以上→調剤料の⿇薬加算 10回以上 へ緩和

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<施設基準(基本料1を算定する薬局)>1)⿇薬⼩売業者の免許を取得している2)在宅患者に対する薬学管理および指導の回数が12回以上3)かかりつけ薬剤師指導料またはかかりつけ薬剤師包括管理料の届け

出を⾏っている4)患者の服薬情報等を⽂書で医療機関へ提供した実績が12回以上5)薬剤師研修認定制度等の研修を修了した薬剤師が地域の多職種と連

携する会議に1回以上出席

上記5つの要件のうち4つ以上を満たすこと。1)〜3)は必須

⑦地域⽀援体制加算の基準厳格化

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<施設基準(基本料1以外を算定する薬局)>1)夜間・休⽇等の対応実績が400回以上2)調剤料の⿇薬加算の算定回数が10回以上3)重複投薬・相互作⽤等防⽌加算等の実績が40回以上4)かかりつけ薬剤師指導料等の実績が40回以上5)外来服薬⽀援料の実績が12回以上6)服⽤薬剤調整⽀援料の実績が1回以上7)単⼀建物診療患者が1⼈の場合の在宅薬剤管理の実績が12回以上8)服薬情報提供料の実績が60回以上9)薬剤師研修認定制度等の研修を修了した薬剤師が地域の多職種と連

携する会議に5回以上出席※上記9つの要件のうち8つ以上を満たすこと※1)〜8)は常勤薬剤師1⼈当たりの直近1年間の実績※9)は薬局当たりの直近1年間の実績

⑦地域⽀援体制加算(基本料1)の基準厳格化

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⑧かかりつけ薬剤師指導料の基準⾒直し●現⾏の73点から76点に引き上げ包括管理料は281点から291点に引き上げ

●調剤施設基準の厳格化・患者との会話のやり取りが他の患者に聞こえないようパーティション等で区切られた独⽴したカウンターを有するなど、患者のプライバシーに配慮していること

・努⼒規定として、お薬⼿帳による医療機関への情報提供を推進する規定が追加。<具体例>残薬がある際に、患者の意向を踏まえたうえで、残薬の状況と理由を⼿帳に記載し、処⽅医へ情報提供する

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●①の条件が「3か⽉以内」になる●今まで①は「調剤基本料1」を算定している薬局のみ対象

→ 今回から前薬局に対象が拡⼤

⑨薬剤服⽤歴管理指導料の⾒直し

43点

57点

43点

13点?

※①は「⼿帳を持参すると負担が安くなる」制度

※「特例」は令和元年6⽉時点で約0.5%

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3/5 厚労省発表資料に突然でた内容

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まとめ⼀番影響を受けるのは現在、調剤基本料1で地域⽀援体制加算を算定している薬局で、4⽉以降

調剤基本料1→2調剤基本料1→3

になってしまう薬局。

調剤基本料1から漏れると地域⽀援体制加算の算定はほぼ不可能になる。

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●基本料1→2の場合処⽅箋受付回数が⽉1800〜2000回で集中率95%超(マンツーマンの⾨前タイプで、1⽇100枚程度)

42+35=77点 → 26点 (マイナス51点)2000枚だとすると2,000×510=1,020,000

現在に⽐べて毎⽉100万円の利益が減少

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●基本料1→3の場合同⼀グループで受付回数が⽉3万5千〜4万で集中率95%「基本料1→2」のような薬局を20店舗くらいのチェーン

42+35=77点 → 21点 (マイナス56点)該当する店 1店舗につき2,000×560=1,120,000

現在に⽐べて該当する1店舗につき毎⽉112万円の利益が減少

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⼩規模なチェーンはM&Aか廃業︖⼤⼿や調剤併設型ドラッグストアが⽣き残る流れ

(スケールメリット、調剤以外での収益構造)

基本料1になる薬局は地域⽀援体制加算を取りに⾏くつまり在宅や医療機関との連携強化

新たな加算をとっていくことになる服⽤後のフォロー、在宅への積極的な進出、ポリファーマシー対策など

薬剤師には患者、関係職種とのコミュニケーション能⼒が求められる