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1 2011 10 31 日本人の幸福の源泉を探る ~アンケート調査結果にみる日本人の主観的幸福度~ 国や地方自治体のプロジェクトとして幸福感を捉えようとする取組 みが本格化しつつある。豊かさのわりに幸福感が得られない日本人 が多いが、こうした課題を克服するために政策検討に活用するため だ。そもそも日本人の幸福の源泉とは何か。弊社独自アンケート調 査等をもとに概観する。 幸福度を巡る最近の動き 日本人の幸福感を捉えようとする取組みが本 格化しつつある。 2011 8 月に内閣府が設置す る「幸福度に関する研究会」から、わが国の幸 福度指標の試案が公表された。同研究会は、「新 成長戦略 1 」に盛り込まれた新しい成長及び幸福 度に関する調査研究を推進するために昨年 12 月に設置され、これまでに 4 回にわたる検討を 重ねている。 また、多くの地方自治体においても幸福度に 関する取組みが様々な形で進められているが、 福岡県で新たな動きがみられる 2 。今年 4 月に行 われた福岡県知事選挙で「県民幸福度日本一」 をスローガンとして掲げた小川洋氏が当選した が、その実現に向け同年 6 月には早くも「幸福 度に関する研究会」を立ち上げている。同県で は、幸福か否かや幸福を感じる要素について県 民の意識を聞くアンケート調査を毎年実施し、 分析結果を政策に反映する意向を示している。 わが国は、豊かなわりに国民の幸福感が乏し いとの認識が広がっているが 3 、こうした課題を 克服する上で幸福感を捉えようとする動きは意 1 2010 6 18 日閣議決定 2 幸福度に関する地方自治体の主な取組み事例については、 辻(2010)を参照されたい 3 わが国の幸福のパラドックスの現状や、幸福度指標の意義 等については、辻・眞鍋・大塚(2009)を参照されたい 義深く今後の動向が注目される。 しかしながら、そもそも日本人の幸福感を支 えているものは何か。幸福感の指標化やその源 泉をアンケート等で把握する試みは決して容易 ではない。こうした作業は、「幸福」の概念や定 義を確立することに等しいが、学問的に定義が 定まっていない状況の中で、これをやり遂げる ことは当然ながら困難を伴う。こうした取組み を進めている政府や地方自治体においては、明 快な答えのない迷いと苦悩に満ちた作業を続け ていることだろう。そこで本稿では、政府や地 方自治体の試みの一助とするべく、弊社独自の アンケート調査結果等を用いて日本人の幸福の 源泉を探る。 幸せな働き方とは まず、仕事と幸福感の関係について分析して みよう。職に就いている人は人生の大部分の時 間を仕事に費やさざるを得ないため、仕事は重 要な要素であることは言うまでもない。報酬の 高さや職業に伴う社会的地位も大事であるが、 仕事内容に対する満足感や職場の人間関係など の意識面も幸福度に大きな影響を与えている可 能性が高い。ここでは職業や雇用形態の違いに よる影響はもちろんのこと、仕事に対する意識 面にも着目して幸福度との関係について整理す Working Papers

日本人の幸福の源泉を探る...1 2011 年10 月31 日 日本人の幸福の源泉を探る ~アンケート調査結果にみる日本人の主観的幸福度~ 国や地方自治体のプロジェクトとして幸福感を捉えようとする取組

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2011 年 10 月 31 日

日本人の幸福の源泉を探る ~アンケート調査結果にみる日本人の主観的幸福度~

国や地方自治体のプロジェクトとして幸福感を捉えようとする取組

みが本格化しつつある。豊かさのわりに幸福感が得られない日本人

が多いが、こうした課題を克服するために政策検討に活用するため

だ。そもそも日本人の幸福の源泉とは何か。弊社独自アンケート調

査等をもとに概観する。

幸福度を巡る最近の動き

日本人の幸福感を捉えようとする取組みが本

格化しつつある。2011 年 8 月に内閣府が設置す

る「幸福度に関する研究会」から、わが国の幸

福度指標の試案が公表された。同研究会は、「新

成長戦略1」に盛り込まれた新しい成長及び幸福

度に関する調査研究を推進するために昨年 12月に設置され、これまでに 4 回にわたる検討を

重ねている。 また、多くの地方自治体においても幸福度に

関する取組みが様々な形で進められているが、

福岡県で新たな動きがみられる2。今年 4 月に行

われた福岡県知事選挙で「県民幸福度日本一」

をスローガンとして掲げた小川洋氏が当選した

が、その実現に向け同年 6 月には早くも「幸福

度に関する研究会」を立ち上げている。同県で

は、幸福か否かや幸福を感じる要素について県

民の意識を聞くアンケート調査を毎年実施し、

分析結果を政策に反映する意向を示している。 わが国は、豊かなわりに国民の幸福感が乏し

いとの認識が広がっているが3、こうした課題を

克服する上で幸福感を捉えようとする動きは意

1 2010 年 6 月 18 日閣議決定 2 幸福度に関する地方自治体の主な取組み事例については、

辻(2010)を参照されたい 3 わが国の幸福のパラドックスの現状や、幸福度指標の意義

等については、辻・眞鍋・大塚(2009)を参照されたい

義深く今後の動向が注目される。 しかしながら、そもそも日本人の幸福感を支

えているものは何か。幸福感の指標化やその源

泉をアンケート等で把握する試みは決して容易

ではない。こうした作業は、「幸福」の概念や定

義を確立することに等しいが、学問的に定義が

定まっていない状況の中で、これをやり遂げる

ことは当然ながら困難を伴う。こうした取組み

を進めている政府や地方自治体においては、明

快な答えのない迷いと苦悩に満ちた作業を続け

ていることだろう。そこで本稿では、政府や地

方自治体の試みの一助とするべく、弊社独自の

アンケート調査結果等を用いて日本人の幸福の

源泉を探る。

幸せな働き方とは

まず、仕事と幸福感の関係について分析して

みよう。職に就いている人は人生の大部分の時

間を仕事に費やさざるを得ないため、仕事は重

要な要素であることは言うまでもない。報酬の

高さや職業に伴う社会的地位も大事であるが、

仕事内容に対する満足感や職場の人間関係など

の意識面も幸福度に大きな影響を与えている可

能性が高い。ここでは職業や雇用形態の違いに

よる影響はもちろんのこと、仕事に対する意識

面にも着目して幸福度との関係について整理す

Working Papers

2

る。 職業別には、どのような職業の幸福度が高い

だろうか。参議院が 2008 年に全国の 15 歳以上

男女を対象に実施したアンケート調査4では、主

観的幸福度について「全体として、あなたは普

段どの程度幸せだと感じていますか」と質問し、

「とても幸せ」を 10 点、「とても不幸」を 0 点として回答を得ている。これをもとに職業別の

幸福度を集計してみると、最も高いのは専業主

婦であった(図表 1 参照)。断定はできないも

のの、自分のペースで家事を進めることができ

るなどストレスが比較的少ない職業であること

が寄与していると考えられる。次いで、会社役

員、教師・講師・大学教授、医師・弁護士等の

専門職が高い。高い収入を得やすい上に、専業

主婦と同様、会社員等に比べると裁量権が大き

く自分のペースで仕事を進めやすいからかもし

れない。これに対して、公務員、会社員、自営

業、無職は低く 6 点以下となっていた。とりわ

け、会社員の幸福度が低い。日本経済が低迷し

始めてから久しいが、経済情勢の厳しさから所

4参議院委託調査(調査実施機関:みずほ総合研究所株式会社)

「社会・くらしに関する意識調査 2008」より。調査結果は、

参議院事務局「幸福度に関する意識調査」(平成 21 年 3 月)

に所収。

得が減少し雇用不安が拡大している。こうした

環境の影響を最も強く受けているのかもしれな

い。会社員の幸福度は無職よりも低くなってい

たが、無職の結果は失業による無職だけでなく

60 歳以上の定年を迎えた人も含まれるため、全

体として幸福度が高くなっているものと考えら

れる。失業と幸福度の関係を分析した大竹

(2004)や佐野・大竹(2007)によると、失業

経験や失業不安は幸福度を低くすることが明ら

かにされている。

正社員は幸せとは限らない

次に、雇用形態別の幸福度の違いについて確

認してみよう。正規雇用者と非正規雇用者の就

業条件の格差は社会問題化しているが、幸福度

の観点からみると顕著な違いがみられるのだろ

うか(図表 2 参照)。雇用形態別の集計結果をみ

ると、最も幸福度の低い雇用形態は、派遣社員・

職員であり、5.22 であった。これに対して、正

社員・職員は 5.71 と、派遣社員・職員に比べる

図表 1 職業別の幸福度

(出所)参議院事務局「幸福度に関する意識調査」(平成

21 年 3 月)をもとにみずほ総合研究所作成 (備考)サンプル数;n=3,780

図表 2 雇用形態別の幸福度

(出所)参議院事務局「幸福度に関する意識調査」(平成

21 年 3 月)をもとにみずほ総合研究所作成 (備考)サンプル数;n=1,627

6.16

5.22

5.71

5.79

5.89

5.74

4.50 5.00 5.50 6.00 6.50

その他

派遣社員・職員

正社員・職員

契約社員・職員

パート・アルバイト

合計

(平均値)

5.62

6.52

5.78

6.28

5.95

6.37

6.02

6.61

5.89

5.99

6.04

4.60 5.10 5.60 6.10 6.60 7.10

会社員

役員

自営業

専門職(医師・弁護士等)

公務員(教師・講師・大学教授を除く)

教師・講師・大学教授

学生

専業主婦

その他の職業

無職

合計

(平均値)

3

と高いが、契約社員・職員(5.79)、パート・ア

ルバイト(5.89)と比べると低い。最も幸福度

の高かった雇用形態は、詳細が不明なその他雇

用形態を除くとパート・アルバイトであった。

これらは単純集計結果に基づくため、性・年齢

別などの基本的な属性差による影響をコントロ

ールしていない。このため、一概には解釈でき

ないが、正規社員として雇用が安定している正

社員・職員は、非正規社員である派遣社員・職

員よりも幸福度が高いものの、同じく雇用が安

定していない契約社員・職員、パート・アルバ

イトに比べると、必ずしも幸福度が高いとは限

らないことを示している。

仕事の満足度と幸福感

さらに、仕事に関する意識面と幸福度の関係

について分析してみよう。仕事に対する意識面

など、より詳細の実態を把握するために、みず

ほ総合研究所では 2010 年 8 月に東京都在住の

20 歳以上の男女約 3 千人を対象にインターネ

ットアンケート調査を実施した。同調査では、

個人の主観的幸福度(Subjective Well-being)に加え、価値観、家族状況、健康状態、経済状

況、居住地域環境などの詳細な個人属性情報を

把握した。幸福度については、「全体として、あ

なたは普段どの程度幸せだと感じていますか」

と質問し、「とても幸せ」を 10 点、「とても不

幸」を 0 点として回答を得た。 まず、アンケート結果を用いて仕事内容の満

足度と幸福度の関係について分析してみた。そ

の結果、幸福度が高い人たちほど、現在の仕事

内容に満足している人の割合が高いという傾向

がみられた(図表 3 参照)。幸福度が7点以上

の高い人たちは、「よく当てはまる」、「当てはま

る」を合わせると、現在の仕事内容に満足して

いる人の割合が 60%を超えているのに対して、

幸福度が 3 点以下の低い人たちは 15%にも満

たなかった5。顕著な違いがみられることを勘案

すると、仕事内容に対する満足度は幸福度と強

い関係を持つと考えられる。また、現在の仕事

の働きがいと幸福度の関係を集計した結果を確

認してみたところ、幸福度の高い人たちは仕事

に対して働きがいを感じている人の割合が高く、

5ここでは集計結果をよりわかりやすくするために、11 段階の

幸福度を3区分の幸福度階級に集約して分析を行った。すな

わち、幸福度が高位の人のグループが 7 点以上、幸福度が中

位の人のグループが 4 点~6 点、幸福度が低位の人のグルー

プは3点以下としている。また、予備的な集計分析の結果、

宗教やスピリッチュアルなものを深く信じている人は、極め

て幸福度が高くなる傾向がみられた。このため、バイアスを

避けるためにサンプルから除いてクロス集計を行っている。

図表 3 仕事内容の満足度と幸福度

(出所)みずほ総合研究所委託調査(調査実施機関:マイボイスコム株式会社)

「地域住民の幸福度調査」(2010 年 8 月実施)

【現在の仕事内容に満足している】

13.4%

2.4%

1.8%

50.2%

26.5%

10.9%

20.3%

37.6%

27.7%

12.0%

23.7%

33.6%

4.1%

9.9%

25.9%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

幸福度が高い人(7点以上)(n=1,001)

幸福度が中位の人(4~6点)(n=680)

幸福度が低い人(3点以下)(n=220)

よく当てはまる やや当てはまる どちらともいえない あまり当てはまらない 全く当てはまらない

4

「よく当てはまる」、「当てはまる」を合わせる

と過半数を超えていた。他方で、幸福度の低い

人たちは働きがいを感じている人の割合が低か

った。仕事に対する働きがいも幸福度に強い影

響を与える可能性が高いようだ。

幸福な職種とは

それでは、どのような職種に従事している人

の幸福度が高いのだろうか。次に、職種別の幸

福度を集計してみた(図表 4 参照)。その結果、

最も幸福度の高かった職種は、調査・広告・宣

伝(6.81)と、経営・事務企画(6.81)であっ

た。次いで、基礎研究・技術研究が 6.79、商品

企画・開発が 6.72 と比較的高く、主にクリエイ

ティブ系職種の幸福度が高い傾向がみられた。

他方で、物流配送業務は 5.27 と最も低く、製

造・生産・品質管理(6.16)や、営業・販売事

務(6.12)、情報処理(システム)業務(6.11)、

広報・編集業務(5.75)の従事者は相対的に低

くなっていた。ただし、これらの結果は職種別

の所得水準等を調整していないことに注意する

必要がある。また、調査・広告・宣伝や広報・

編集業務などはサンプル数が少なくなっている

ため、結果を見る上ではこうした点を留意され

たい。

職場環境は幸福感に影響するのか

仕事と幸福感の関係を検討する上では、働く

環境も大事であろう。いくら仕事内容に満足し、

働きがいを感じる仕事に運よく従事できたとし

ても、職場が劣悪な環境であったり、職場の人

間関係が極めて悪く、その場に居るだけで息が

詰まりそうになる環境であれば幸福度は高まり

にくいと考えられる。職場環境は日々多くの時

間を費やす場所であるため、その影響は小さく

ないはずだ。実際はどうなのか。アンケート調

査結果をもとに分析してみた。

まず、職場環境と幸福度の関係について集計

したものを確認すると、幸福度の高い人たちほ

ど働きやすい職場環境であると感じている人の

割合が高い(図表 5 参照)。わりと顕著な傾向

がみられるため、職場環境は重要であることが

わかる。 職場の人間関係と幸福度の関係についてはど

うだろうか。今回のアンケート調査結果をみる

と、職場の人間関係の良さと幸福度の間には強

い関係性がみられた(図表 6 参照)。すなわち、

幸福度の低い人たちよりも高い人たちの方が職

場での人間関係は良好であると感じている人の

割合が高かった。

図表 4 職種と幸福度

(出所)みずほ総合研究所委託調査(調査実施機関:マ

イボイスコム株式会社) 「地域住民の幸福度調査」(2010 年 8 月実施)

6.81

6.81

6.79

6.72

6.49

6.49

6.29

6.23

6.17

6.16

6.12

6.11

5.75

5.27

4.50 5.00 5.50 6.00 6.50 7.00 7.50

調査・広告・宣伝(n=16)

経営・事務企画(n=122)

基礎研究・技術研究(n=28)

商品企画・開発(n=36)

人事・総務・経理(n=226)

企業等の経営者・役員(n=100)

技術開発・設計業務(n=154)

個人事業主・店主(n=147)

購買・仕入業務(n=12)

製造・生産・品質管理(n=69)

営業・販売事務(n=377)

情報処理(システム)業務(n=170)

広報・編集業務(n=16)

物流・配送業務(n=33)

(幸福度)

5

家庭生活は仕事よりも大事

他方で、家庭生活の状況も幸福度の決定要因

として重要であることは言うまでもない。

Layard(2005)によると、幸福に影響をもた

らす7大要素(ビッグ・セブン(Big Seven))の中でも、「家族関係」の状況が最も強い影響を

与えることを明らかにしている。日本人を対象

にしたアンケート調査結果をみても、仕事より

も家族や家庭生活に関することの方が幸福感を

感じると考えている人が多いようだ。参議院が

実施したアンケート調査6で「現在の生活でどの

ような時に最も幸福感を感じますか」について

6参議院事務局「幸福度に関する意識調査」平成 21 年 3 月

自由回答で意見を把握した。この回答結果をテ

キストマイニングによりキーワードを抽出し、

その頻度を定量化したところ、「家族・家庭」に

関する回答を記述した人が最も多く、30.5%を

占めていた。次いで「食事」が 15.8%、「人間

関係」が 10.2%、「子供」に関する内容が 9.6%となっていた。これに対して、「仕事」に関する

自由回答は 3.9%にとどまっていた。

図表 5 職場環境と幸福度

(出所)みずほ総合研究所委託調査(調査実施機関:マイボイスコム株式会社)「地域住民の幸福度調査」(2010 年 8 月実施)

図表 6 職場の人間関係と幸福度

(出所)みずほ総合研究所委託調査(調査実施機関:マイボイスコム株式会社)「地域住民の幸福度調査」(2010 年 8 月実施)

【職場での人間関係は良好だと感じている】

16.5%

4.3%

1.4%

50.0%

34.3%

21.4%

18.4%

38.1%

31.8%

8.0%

14.1%

25.5%

1.7%

5.4%

13.2%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

幸福度が高い人(7点以上)(n=1,001)

幸福度が中位の人(4~6点)(n=680)

幸福度が低い人(3点以下)(n=220)

よく当てはまる やや当てはまる どちらともいえない あまり当てはまらない 全く当てはまらない

【働きやすい職場環境(オフィス・工場・店舗など)だと感じている】

15.6%

3.7%

3.2%

49.3%

32.8%

17.3%

22.1%

36.2%

28.2%

10.0%

19.9%

30.9%

3.1%

7.5%

20.5%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

幸福度が高い人(7点以上)(n=1,001)

幸福度が中位の人(4~6点)(n=680)

幸福度が低い人(3点以下)(n=220)

よく当てはまる やや当てはまる どちらともいえない あまり当てはまらない 全く当てはまらない

6

また「将来幸せになるためにはどのようなこ

とが必要だと思いますか」の自由意見の内容を

定量化しても、やはり、「家族・家庭」に関する

内容が最も多く 13.3%であった。次いで「お金」

が 12.5%、「生活」に関する内容が 11.6%であっ

た。「仕事」に関する回答は 7.0%であった。先

に示したようにお金や仕事は現在の幸福感を感

じる要素としてはそれほど重要ではなかったが、

将来幸福になるための要素としては回答が多か

った。しかし、いずれの質問に関しても、多く

の人が家族・家庭に関する回答を行っており、

その重要性がうかがわれる結果となった。ただ

し、これらの自由回答の集計結果は、あくまで

も回答者個人が重要だと感じている項目を単に

集計したものにすぎない。このため家庭生活に

満足している人ほど幸福度が高いことを証明し

たものではない。 そこで、家庭生活の満足度と幸福度に強い関

係性がみられるか否か、アンケート調査結果に

基づき検証してみた(図表 7 参照)。家庭生活

全般の満足度と幸福度階級別のクロス集計結果

を確認したところ、家庭生活に満足しているこ

とに関して、「よく当てはまる」、「当てはまる」

と回答している人たちを合わせると、幸福度の

高い人たちのうち約 75%が家庭生活全般に満

足していた。これに対して、幸福度の低い人た

ちは 10%に満たない。家庭生活の満足度は主観

的幸福度と大いに関係がありそうである。

家庭団らんや家族との食事は幸福度を高める

しかしながら、ひとくちに家庭生活といって

も様々な側面があることは言うまでもない。よ

り詳細な分析を行う必要があろう。例えば、家

族との団らんと幸福度の関係には、どのような

傾向がみられるだろうか。集計結果をみると、

幸福度の高い人たちほど家族との団らんを楽し

んでいる人たちの割合が高いことが明らかにな

った(図表 8 参照)。やはり、家族とのふれあ

いの時間は大切なのだろう。 それでは、家族団らんの中でも重要な位置づ

けにあると考えられる家族との食事の頻度と幸

福度との間に強い関係はみられるのだろうか。

集計結果を確認すると幸福度の高い人たちは家

族との食事の頻度が多く、低い人たちは家族と

の食事の頻度が少ない傾向がみられた(図表 9参照)。既述の通り、食事の時間は家族とふれあ

う時間の中でも極めて大切な時間である。会話

を通じてお互いの状況を確認しあい、家族のき

ずなを深める場である。家庭生活における食卓

の場の大切さを裏付ける結果であろう。わが国

ではライフスタイルの変化から家族のすれ違い

が増え、家族そろって食事を取る頻度が減少し

ているようである。家族そろって食事を取る頻

度が減少していることは、幸福度の観点からみ

ると見過ごせない重要な問題なのかもしれない。

【家庭生活全般に満足している】

14.9%

0.8%

0.0%

60.1%

27.3%

8.2%

19.8%

50.4%

29.8%

3.8%

17.9%

38.0%

1.3%

3.6%

24.0%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

幸福度が高い人(7点以上)(n=1,540)

幸福度が中位の人(4~6点)(n=984)

幸福度が低い人(3点以下)(n=292)

よく当てはまる やや当てはまる どちらともいえない あまり当てはまらない 全く当てはまらない

図表 7 家庭生活全般の満足度と幸福度

(出所)みずほ総合研究所委託調査(調査実施機関:マイボイスコム株式会社)「地域住民の幸福度調査」(2010 年 8 月実施)

7

趣味・娯楽や自己啓発も大事

家庭生活は、家族とのふれあいだけではない。

自分のプライベートな時間を豊かに過ごしてい

るか否かも、家庭生活を充実させる上で重要な

要素であろう。例えば、趣味や娯楽と幸福度の

関係はどのような傾向がみられるだろうか。普

段、趣味や娯楽を楽しんでいるか否かを問うた

質問と幸福度階級のクロス集計結果を確認して

みたところ、幸福度の高い人たちほど趣味や娯

楽を楽しんでいる傾向がみられた(図表 10 参

照)。「よく当てはまる」、「当てはまる」と回答

している人たちを合わせると、幸福度の高い人

たちの 70%以上が趣味や娯楽を楽しんでいる。

幸福度の低い人たちの場合、趣味や娯楽を楽し

んでいる人の割合が 30%程度にとどまってい

ることを勘案すると、顕著な傾向であるといえ

るだろう。また、アンケート調査結果から幸福

度の高い人たちは自己啓発活動を行っている人

の割合が高く、幸福度の低い人たちは自己啓発

を行っている人の割合が低いという傾向がみら

れた(図表 11 参照)。自己啓発活動も重要な要

素であるようだ。

図表 8 家族との団らんと幸福度

(出所)みずほ総合研究所委託調査(調査実施機関:マイボイスコム株式会社)「地域住民の幸福度調査」(2010 年 8 月実施)

【普段、家族との団らんを楽しんでいる】

22.5%

5.1%

0.7%

46.2%

32.8%

15.8%

15.5%

33.0%

25.7%

8.2%

13.0%

20.9%

7.5%

16.1%

37.0%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

幸福度が高い人(7点以上)(n=1,540)

幸福度が中位の人(4~6点)(n=984)

幸福度が低い人(3点以下)(n=292)

よく当てはまる やや当てはまる どちらともいえない あまり当てはまらない 全く当てはまらない

図表 9 家族との食事の頻度と幸福度

(出所)みずほ総合研究所委託調査(調査実施機関:マイボイスコム株式会社)「地域住民の幸福度調査」(2010 年 8 月実施)

【食事を家族と一緒にとることが多い(目安:1週間の夕食のうち5日以上)】

35.7%

21.4%

13.4%

24.5%

25.1%

18.5%

9.9%

15.1%

12.3%

12.5%

15.5%

16.8%

17.5%

22.8%

39.0%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

幸福度が高い人(7点以上)(n=1,540)

幸福度が中位の人(4~6点)(n=984)

幸福度が低い人(3点以下)(n=292)

よく当てはまる やや当てはまる どちらともいえない あまり当てはまらない 全く当てはまらない

8

住環境と幸福度の関係は強い

他方で、アンケート結果を用いて現在の住居

の住みやすさと幸福度の関係について分析して

みると、幸福度の高い人たちほど現在の住居は

住みやすいと感じていることが明らかになった

(図表 12 参照)。幸福度が7点以上の高い人た

ちに限っては、「よく当てはまる」、「当てはまる」

を合わせると、8 割近くの人たちが現在の住居

は住みやすいと感じているようだ。 また、自宅の日当たりや風通しの悪さは、思

いのほか幸福度との関係性が強くみられた。ア

ンケートの集計結果を確認すると、幸福度の低

い人たちは、周辺の建物等が邪魔をして家の日

当たりが良くないと回答している人の割合が高

く、自宅の風通しについても同様の傾向がみら

れた。日当たりや風通しの問題は、都会では多

くの家庭が避けがたいポピュラーな問題といえ

るが、住宅環境の重要性が窺われる結果である。 住居だけでなく住んでいる街の生活環境も重

要である。集計結果を確認したところ、幸福度

の高い人たちほど、現在住んでいる街の生活環

境は住みやすいと感じている人の割合が高かっ

た(図表 13 参照)。さらに、住んでいる地域の

近所づきあいの活発さとの関係も分析した。そ

の結果、幸福度の高い人たちほど、住んでいる

地域の近所づきあいが活発であると回答してい

る人の割合が高かった(図表 14 参照)。

図表 10 趣味・娯楽と幸福度

(出所)みずほ総合研究所委託調査(調査実施機関:マイボイスコム株式会社)「地域住民の幸福度調査」(2010 年 8 月実施)

【普段、趣味・娯楽を楽しんでいる】

22.3%

8.1%

5.1%

49.7%

39.6%

25.3%

18.4%

33.6%

29.8%

7.8%

15.3%

22.9%

1.8%

3.3%

16.8%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

幸福度が高い人(7点以上)(n=1,540)

幸福度が中位の人(4~6点)(n=984)

幸福度が低い人(3点以下)(n=292)

よく当てはまる やや当てはまる どちらともいえない あまり当てはまらない 全く当てはまらない

図表 11 自己啓発活動と幸福度

(出所)みずほ総合研究所委託調査(調査実施機関:マイボイスコム株式会社)「地域住民の幸福度調査」(2010 年 8 月実施)

17.9%

12.6%

10.6%

0.0% 2.0% 4.0% 6.0% 8.0% 10.0% 12.0% 14.0% 16.0% 18.0% 20.0%

幸福度が高い人(7点以上)(n=1,540)

幸福度が中位の人(4~6点)(n=984)

幸福度が低い人(3点以下)(n=292)

自己啓発をしている

9

幸福度が7点以上の高い人たちに限っては、

20%近くの人が活発であると回答している。近

所づきあいの希薄化は進み、地域コミュニティ

の崩壊が懸念されている昨今においては、20%程度といえども高い数値であると解釈できるか

もしれない。以上のように住環境と幸福度には

様々な点で強い関係みられる。居住地選択の重

要性や街づくりの大切さを裏付ける結果であろ

う。今後の街づくりを進めるにあたっては、街

を構成するどの様な要素が幸福度の向上にとっ

図表 12 住居の住みやすさと幸福度

(出所)みずほ総合研究所委託調査(調査実施機関:マイボイスコム株式会社)「地域住民の幸福度調査」(2010 年 8 月実施)

【現在の住居は住みやすいと感じている】

22.4%

7.6%

5.5%

55.5%

46.4%

31.8%

12.7%

25.1%

22.6%

7.7%

15.3%

21.9%

1.8%

5.5%

18.2%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

幸福度が高い人(7点以上)(n=1,540)

幸福度が中位の人(4~6点)(n=984)

幸福度が低い人(3点以下)(n=292)

よく当てはまる やや当てはまる どちらともいえない あまり当てはまらない 全く当てはまらない

図表 13 街の生活環境と幸福度

(出所)みずほ総合研究所委託調査(調査実施機関:マイボイスコム株式会社)「地域住民の幸福度調査」(2010 年 8 月実施)

【現在住んでいる街の生活環境は住みやすいと感じている】

23.8%

10.1%

9.2%

56.4%

51.2%

39.4%

13.2%

26.3%

26.7%

5.5%

9.1%

14.7%

1.1%

3.3%

9.9%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

幸福度が高い人(7点以上)(n=1,540)

幸福度が中位の人(4~6点)(n=984)

幸福度が低い人(3点以下)(n=292)

よく当てはまる やや当てはまる どちらともいえない あまり当てはまらない 全く当てはまらない

図表 14 住んでいる地域の近所づきあいの活発さと幸福度

(出所)みずほ総合研究所委託調査(調査実施機関:マイボイスコム株式会社)「地域住民の幸福度調査」(2010 年 8 月実施)

19.4%

12.9%

5.8%

0.0% 5.0% 10.0% 15.0% 20.0% 25.0%

幸福度が高い人(7点以上)(n=1,540)

幸福度が中位の人(4~6点)(n=984)

幸福度が低い人(3点以下)(n=292)

住んでいる地域の近所づきあいや自治活動は活発である

10

て大事なのか、研究を深める必要があろう。

コミュニケーションの活発な人は幸福度が高い

次に、コミュニケーションと幸福度との関係

に着目してみよう。まず、近しい人との助け合

いの状況と幸福度の関係について分析してみた。

まず、近所同士の助け合いの状況と幸福度の関

係を分析したところ現代の世相を反映してか、

そもそも近所同士で助け合っている人の割合が

低いようではあるが、傾向としては幸福度の高

い人たちほど近所同士で助け合っている。逆に、

低い人たちほど助け合っている人の割合が低い

という結果が得られた(図表 15 参照)。また、

親戚同士の助け合いの状況と幸福度の関係を分

析した結果をみると、同様の傾向がみられた(図

表 16 参照)。とりわけ、幸福度が7点以上の高

い人たちのうち、約 14%の人が親戚同士助け合

っているようである。幸福度が3点以下の低い

人たちの場合、助け合っている人の割合が約

3%に過ぎなかったため、約 14%といえど高い

数値であることがわかる。さらに、友人同士の

助け合いの状況と幸福度の関係をみてみると全

体的には同様の傾向であった(図表 17 参照)。

ここで注目すべきは先述の近所同士の結果や親

戚同士の結果よりも、その水準が押しなべて高

い結果となっていたことである。例えば、幸福

度が7点以上の高い人たちの数値を見ると、友

人同士で助け合うとする割合は、20%を超えて

いた。これは困ったときには、近所や親戚より

もまずは友人同士で助け合う人が多いことを示

している。現代的な風潮なのか地縁や血縁より

もまずは友人関係なのかもしれない。

図表 15 近所同士の助け合いと幸福度

(出所)みずほ総合研究所委託調査(調査実施機関:マイボイスコム株式会社)「地域住民の幸福度調査」(2010 年 8 月実施)

7.6%

5.4%

3.8%

0.0% 1.0% 2.0% 3.0% 4.0% 5.0% 6.0% 7.0% 8.0%

幸福度が高い人(7点以上)(n=1,540)

幸福度が中位の人(4~6点)(n=984)

幸福度が低い人(3点以下)(n=292)

困ったときは、ご近所同士で助け合うことが多い

図表 16 親戚同士の助け合いと幸福度

(出所)みずほ総合研究所委託調査(調査実施機関:マイボイスコム株式会社)「地域住民の幸福度調査」(2010 年 8 月実施)

14.5%

9.8%

3.1%

0.0% 2.0% 4.0% 6.0% 8.0% 10.0% 12.0% 14.0% 16.0%

幸福度が高い人(7点以上)(n=1,540)

幸福度が中位の人(4~6点)(n=984)

幸福度が低い人(3点以下)(n=292)

困ったときは、親戚同士で助け合うことが多い

11

それでは、友人・知人の多寡が幸福度に影響

するのだろうか。まず、友人の少なさと幸福度

の関係の分析結果を確認したところ、幸福度の

低い人たちほど友人は少ないほうであるとの回

答の割合が高くなっていた(図表 18 参照)。「よ

く当てはまる」、「当てはまる」を合わせると、

幸福度が3点以下の低い人たちは、過半数の人

が友人が少ないと回答している。知人の少なさ

に関しても同様の分析を行ったが、概ね類似し

た傾向を示した。友人・知人の多寡と幸福度の

図表 17 友人同士の助け合いと幸福度

(出所)みずほ総合研究所委託調査(調査実施機関:マイボイスコム株式会社)「地域住民の幸福度調査」(2010 年 8 月実施)

22.2%

16.2%

9.9%

0.0% 5.0% 10.0% 15.0% 20.0% 25.0%

幸福度が高い人(7点以上)(n=1,540)

幸福度が中位の人(4~6点)(n=984)

幸福度が低い人(3点以下)(n=292)

困ったときは、友人同士で助け合うことが多い

図表 18 友人の少なさと幸福度

(出所)みずほ総合研究所委託調査(調査実施機関:マイボイスコム株式会社)「地域住民の幸福度調査」(2010 年 8 月実施)

31.9%

40.5%

63.7%

0.0% 10.0% 20.0% 30.0% 40.0% 50.0% 60.0% 70.0%

幸福度が高い人(7点以上)(n=1,540)

幸福度が中位の人(4~6点)(n=984)

幸福度が低い人(3点以下)(n=292)

友人は少ないほうだ

図表 19 信頼できる人の有無と幸福度

(出所)みずほ総合研究所委託調査(調査実施機関:マイボイスコム株式会社)「地域住民の幸福度調査」(2010 年 8 月実施)

30.1%

17.5%

9.2%

0.0% 5.0% 10.0% 15.0% 20.0% 25.0% 30.0% 35.0%

幸福度が高い人(7点以上)(n=1,540)

幸福度が中位の人(4~6点)(n=984)

幸福度が低い人(3点以下)(n=292)

困ったときは、どの様なことでも親身になって相談にのってくれる人がいる

12

間には一定の関係性がありそうである。 より踏み込んだ質問として、このアンケート

では、「困ったときには、どの様なことでも親身

になって相談にのってくれる人(信頼できる人)

が少なくとも一人はいるか」との質問も回答者

に聞いている(図表 19 参照)。この質問と幸福

度階級とでクロス集計したところ、幸福度が7

点以上の高い人たちでは、約 30%も信頼できる

人がいるのに対して、幸福度が 3 点以下の低い

人たちの場合は 10%にも満たない結果となっ

た。信頼できる人がいるか否かについては、幸

福度と強い関係性がみられるようだ。

多岐にわたる日本人の幸福の源泉

以上のように、日本人の幸福感を決定する要

因は多岐にわたる可能性が高い。主な分析結果

を改めてまとめると、日本人の幸福感は、仕事

内容に満足し職場環境や人間関係の良好な人ほ

ど高い傾向がみられた。他方で、家庭生活では、

家族とともに暮らしながら家族との食事や団ら

んを日々楽しみ、自分のプライベートな時間は

趣味や娯楽に興じる人ほど幸福度が高い傾向が

みられた。さらに、近所づきあいや親戚づきあ

い、友人・知人とのコミュニケーションが活発

で、いざというときに助け合える関係を築いて

いる人は幸福度が高い。とりわけ、どのような

ことでも親身になって相談に乗ってくれるよう

な信頼できる人がいる人ほど、幸福度が高くな

る傾向がみられた。政府や地方自治体によって

日本人の幸福感を捉えようとする試みは緒につ

いたところであるが、こうした結果を勘案する

と、国民や地域住民の幸福感を分析するために

は柔軟な思考を持ちながら幅広い視点で検討を

進める必要があると考えられる。 ただし、今回の分析はアンケート調査結果の

単純集計や基本クロス集計に基づいている。多

くの先行研究が指摘しているように、幸福の決

定要因には個人属性に伴う様々な要因が複雑に

影響している可能性がある。このため、本来は

性別・年齢、価値観や所得水準などのあらゆる

個人属性を統計的にコントロールする必要があ

ることに留意されたい。今後の課題としては、

こうした技術的課題を克服するために先行研究

等7を参考にしながらより精緻な分析を進める

必要があろう。 ≪参考文献≫ Layard, R. (2005) Happiness The Penguin

Press 大竹文雄・白石小百合・筒井義郎編著(2010)

『日本の幸福度』日本評論社 大竹文雄 (2004) 「失業と幸福度」『日本労

働協会雑誌』第 528 号、59-68 頁 佐野晋平・大竹文雄(2007) 「労働と幸福度」

『日本労働研究雑誌』第 558 号、4-18 頁 辻隆司・眞鍋尚行・大塚亮一(2009)「重要度

が増す「幸福度」研究~生活者の視点に立っ

た新たな行政評価指標の構築に向けて~」み

ずほ総合研究所株式会社 Working Papers 2009 年 9 月 17 日

辻隆司(2010)「「幸福度」は地域政策の検討に

役立つのか~Subjective Well-being に基づ

く地域分析の試み~」みずほ総合研究所株式

会社Working Papers 2010 年 12 月13 日 参議院事務局(2009)「幸福度に関する意識調

査」、平成 21 年 3 月 内閣府(2011)「幸福度に関する研究会報告(案)

-幸福度指標試案-」幸福度に関する研究会会

議資料、平成 23 年 8 月 29 日 福岡県(2011)「県民幸福度日本一を目指して」

幸福度に関する研究会報告書、平成 23 年 9 月

みずほ総合研究所 研究開発部

主任研究員 辻 隆司

03-3591-8746

7学術レベルにおいては幸福の経済学の分野で、個人属性を調

整した精緻な分析結果が数多く発表されている。大竹文雄・

白石小百合・筒井義郎編著(2010)などは、わが国の幸福の

経済学に関する近年の主要な研究が網羅されている。

13

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