Upload
others
View
0
Download
0
Embed Size (px)
Citation preview
アルデヒド・ケトンへの水の付加
水和物の生成
酸触媒・塩基触媒
逆反応
水和物の安定性
1
水の付加
CO H2O
CO O
H
HH+
– H+C
HO OH
水和物(不安定)
中性条件では H+ の結合と脱離はどちらが先か特定できないので同時に書いている
2
水の付加:酸触媒
CO H+
CO
H
CO
HH2O
CHO O
H
H – H+
CHO OH
酸触媒
強酸が必要 (pKa ~ ‒3)
求電子性が増す
求核剤(水)が弱いから強酸が使える(強い求核剤は塩基性が強いので、強酸を加えても求核剤が全部食ってしまう)
3
水の付加:塩基触媒
CO HO–
CO OH H–OH
– HO–C
HO OH
水が共役塩基になって求核性を増す
「H+」と書かないほうがいい(塩基性条件で「H+」があるのは不自然)
塩基触媒
4
水和物の生成は可逆反応
CO H+
CO
H
CO
HH2O
CHO O
H
H – H+
CHO OH
CHO OH H+
CHO O
H
H – H2OCO
H
CO
H
CO– H+
水和物の生成(酸触媒)
水和物の分解(酸触媒)
※ 可逆反応の逆反応も巻き矢印で書けるように!(前回のイミン・エナミンの合成の逆反応もやっておくこと)
5
【練習問題】アルデヒド・ケトンの塩基触媒水和反応の逆反応を巻き矢印で書きなさい。
6
カルボニル化合物と水和物の平衡
HCO
H+ H2O
HC
H
HO OH
超共役による電子供与(左辺の安定化)
CH3CO
CH3
+ H2OCH3
CCH3
HO OH
立体ひずみ(右辺の不安定化)
K = 2300
K = 0.001
7
アルデヒド・ケトンの水和物は通常単離できない
CHO OH
CO
+ H2O
水を除くと平衡が左に移動する(カルボニル化合物に戻ってしまう)
CCl3 COHOH
H
O
O
OH
OH
【例外的に安定な水和物】
トリクロロアセトアルデヒド水和物
ニンヒドリン
8
アルデヒド・ケトンへのアルコールの付加
ヘミアセタールの生成
アセタールの生成
9
ヘミアセタールの生成
CO ROH
CO O
R
HH+
– H+C
HO OR
中性条件では H+ の結合と脱離はどちらが先か特定できないので同時に書いている
ヘミアセタール(不安定)
10
ヘミアセタールの生成:酸触媒・塩基触媒
CO H+
CO
H
CO
HROH
CHO O
R
H – H+
CHO OR
CO RO–
CO OR H–OR
– RO–C
HO OR
酸触媒
塩基触媒
水和物の生成と同じ
11
ヘミアセタールの生成は可逆反応
CHO OR H+
CHO O
R
H – ROHCO
H
CO
H
CO– H+
RO–C
O OR
– ROH
HC
O OR – RO–CO
酸触媒
塩基触媒
水和物の分解と同じ
12
アセタールの生成(酸触媒)
CHO OR H+
CHO ORH
– H2OCOR ROH
CRO O
R
H – H+
CRO OR
アセタール(安定)
この段階がポイント(水が脱離する)
ローンペアで安定化されたカルボカチオン
酸触媒が必須
13
アセタールの生成は可逆反応
H+CRO OR
CRO O
R
H – ROHCOR
H2OC
HO ORH
– H+
CHO OR
この段階がポイント(アルコールが脱離する)
ローンペアで安定化されたカルボカチオン
ヘミアセタール(この後、ヘミアセタールの 酸触媒分解反応に続く)
最終生成物はカルボニル化合物とアルコール2分子
14
アセタールは単離可能な化合物である
O
H+
OH OHH+
– H2ONaHCO3
����� O
O
水を除いて平衡をアセタール側に偏らせる
酸を中和すると逆反応が遅くなりアセタールが単離できる
15
平衡を偏らせる工夫
Dean-Stark trap
ディーン・スターク管
反応中に生成した水を除去する装置
反応溶液を沸騰させて、共沸により水を蒸発させる
水と溶媒を分離して、溶媒だけを反応容器に戻す
16
【練習問題】下の反応の機構を巻き矢印で示しなさい。O
H+
OH OHH+
– H2O O
O
17
保護基としてのアセタールの利用
保護基・脱保護
カルボニル基の保護
ヒドロキシ基の保護
18
保護基とは何か
O 2 ROHH+ RO OR
H2OH+
– H2O – 2 ROH
O
カルボニル化合物とアセタールは相互変換が可能
求核剤の攻撃を受けにくい
反応性の高い官能基を一時的に別の官能基に変えて反応を抑制する → 保護基
19
保護基の利用例
二つの官能基 Grignard 試薬を作りたい
O
H
Br
MgO
H
MgBr
O
H
Br
O
HH
O–
Br •••
ホルミル基と反応してしまう!
さらに Br が Grignard 試薬に変換され、CHO と反応し…(複雑化)
20
保護基の利用例O
H
Br
HO OH
Br
O
O, H+
MgBr
O
OMg
O
H O
O
OH
(1)
(2) H+
H+, H2O
OH
O
H +HO OH
保護基 Grignard 試薬が生成できる
脱保護
21
ヒドロキシ基の保護OH
OHHO
O, H+ O
OHO
ジオール 環状アセタールとして保護
アルコール
OHO , H+
O O
OH CH3OCH2Cl, NaOH OCH2OCH3
アセタールとして保護
フェノール アセタールとして保護
THP エーテル
MOM エーテル
22
THP エーテルの生成と脱保護反応
O
H+
O
H OHO OH
– H+
O O
O O
H+
O OH
OH–
O
H2O
OHOH
– H+
OHOH+
OH
HO HOOH
– H+
HOO
(ヘミアセタール)
23
【練習問題】MOM エーテルの生成と脱保護反応の機構を巻き矢印で書きなさい。
24
ウィッティヒ反応
25
アルデヒド・ケトンとホスホニウムイリドの反応
C O + CR
R'P C C
R
R'+ PO
C
P
イリド (ylide : -yl + -ide)正の形式電荷を持つ原子 (N, P, Sなど) と負の形式電荷を持つ原子 (通常はC) が直接結合した化合物
ホスホニウムイリド アルケン
ウィッティヒ (Wittig) 反応
26
ホスホニウムイリドの生成反応
CR
R'P
H
Br+
– Br–
CR
R' PH
B–
– BHC
R
R'P
トリフェニルホスフィン
ハロゲン化アルキル ホスホニウム塩 ホスホニウム
イリド
塩基 (NaOH, NaH など)
27
ウィッティヒ反応の機構
C O + CR
R'P
CC
R'R
OP
CC
RR'+ P
O
リン原子:酸素と強い結合を作る性質がある
オキサホスフェタン
トリフェニルホスフィンオキシド
アルケン
28
【練習問題】下の化合物 A (Ph = フェニル基)とベンズアルデヒドを用いて、化合物 B を合成する経路を示しなさい。
O
O
PPh3
CHO
A B
29