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持続的な汚水処理システム構築に 向けた都道府県構想策定マニュアル 平成 26 1

持続的な汚水処理システム構築に 向けた都道府県構 …持続的な汚水処理システム構築に 向けた都道府県構想策定マニュアル 平成26 年1

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持続的な汚水処理システム構築に 向けた都道府県構想策定マニュアル

平成 26 年 1 月

国 土 交 通 省 農 林 水 産 省 環 境 省

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まえがき

平成 24 年度末の汚水処理人口普及率が 88%を超え、残された地域に一刻も早く汚水処理施設

を整備する必要がある。一方、既整備地区の増大した汚水処理施設ストックの老朽化対策や改築・

更新が求められている。そこで、より効率的な汚水処理施設の整備・運営管理を適切な役割分担

の下、計画的に実施していくため、都道府県構想の一層の見直しを図る必要があることから、汚

水処理を所管する3省(国土交通省、農林水産省、環境省)が連携し、「都道府県構想策定マニ

ュアル検討委員会(委員長:古米 弘明 東京大学大学院教授)」を設置し、『持続的な汚水処理

システム構築に向けた都道府県構想策定マニュアル』をとりまとめた。

本マニュアルにおける主なポイントは下記のとおりである。 ①時間軸の観点を盛り込み、中期(10 年程度)での早期整備と共に、長期(20~30 年)での持続

的な汚水処理システム構築を目指す。

②中期的なスパンとしては、汚水処理施設の整備区域は、経済比較を基本としつつ、時間軸等の

観点を盛り込んだ。汚水処理施設の未整備区域について、汚水処理施設間の経済比較を基本と

しつつ、10 年程度を目途に汚水処理の「概成」(地域のニーズ及び周辺環境への影響を踏まえ、

各種汚水処理施設の整備が概ね完了すること)を目指した、より弾力的な手法を検討する。

③長期的なスパン(20~30 年程度)では、新規整備のみならず既整備地区の改築・更新や運営管

理の観点を含める。

④なお、整備・運営管理手法については、住民の意向等の地域のニーズを踏まえ、水環境の保全、

施工性や用地確保の難易度、処理水の再利用、汚泥の利活用の可能性、災害に対する脆弱性等、

地域特性も総合的に勘案した上で、各地域における優先順位を十分検討した上で選定する。

本マニュアルは、都道府県が市町村と連携して、着実に実行可能な都道府県構想を策定するた

めの一般的な検討手順や内容を示したものであり、各地域のニーズに応じた独自の検討を行うこ

とで、さらに実効性のある都道府県構想を策定していただければと考えている。

その他、先進的な事例等、策定にあたって参考となる事例については事例集として、本マニュ

アルに提示した資料の根拠や目標値のベンチマーク(指標)に関する資料等については資料編と

して記載したので、地域の実情等を踏まえた都道府県構想を策定する上での参考とされたい。

本マニュアルを持続的な汚水処理システムの構築に向けての一助としていただきたい。 平成 26 年1月

国土交通省水管理・国土保全局下水道部

農 林 水 産 省 農 村 振 興 局 整 備 部

水産庁漁港漁場整備部

環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部

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目 次

Ⅰ 本 編 第1章 総 論 ............................................................................................................................. 1

1-1 都道府県構想の目的 ......................................................................................................... 1

1-2 マニュアルの適用範囲 ..................................................................................................... 3

1-3 都道府県構想の策定手順 ................................................................................................. 4

1-4 都道府県構想の策定体制 ................................................................................................. 5

1-5 都道府県構想策定時における都道府県と市町村との役割分担 .................................. 6

1-6 都道府県構想の進捗管理及び点検・見直し .................................................................. 8

1-7 将来フレーム及び整備・運営管理目標の設定 ............................................................ 10

第2章 策定方針の決定・基礎調査の実施 ................................................................................... 11

2-1 策定方針の決定 ............................................................................................................... 11

2-2 基礎調査 ........................................................................................................................... 12

2-3 都道府県構想に用いるフレーム値等の予測 ................................................................ 15

第3章 検討単位区域の設定 ........................................................................................................... 20

3-1 検討単位区域の設定方法 ............................................................................................... 20

3-2 既整備区域等の把握・設定 ........................................................................................... 22

3-3 既整備区域等以外の検討単位区域の設定 .................................................................... 31

第4章 処理区域の設定 ................................................................................................................... 35

4-1 処理区域の設定手順 ....................................................................................................... 35

4-2 検討単位区域毎の将来人口等の設定 ............................................................................ 36

4-3 既存汚水処理施設の状況の把握 .................................................................................... 37

4-4 経済性を基にした集合処理・個別処理の比較 ............................................................ 38

4-5 集合処理区域(既整備区域等含む)と個別処理区域との接続検討 ........................ 41

4-6 集合処理区域(既整備区域等含む)同士の接続検討 ................................................ 46

4-7 整備時期、水質保全効果、地域特性、住民の意向等を考慮した集合処理、

個別処理区域の設定 ....................................................................................................... 49

第5章 整備・運営管理手法の選定 ............................................................................................... 51

5-1 事業手法の選定 ............................................................................................................... 51

5-2 事業間連携の検討 ........................................................................................................... 55

第6章 整備・運営管理手法を定めた整備計画の策定 ............................................................... 57

6-1 市町村の効率的な運営管理を見据えた整備計画の策定 ............................................ 57

6-2 目標年次における広域的かつ効率的な運営管理のための整備計画の策定 ............ 60

第7章 汚泥処理の基本方針・計画 ............................................................................................... 67

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7-1 汚泥処理の基本方針・計画 ........................................................................................... 67

第8章 都道府県構想策定時の住民関与と進捗状況等の見える化 ........................................... 69

8-1 住民の意向の把握 ........................................................................................................... 69

8-2 都道府県構想の進捗状況等の見える化 ........................................................................ 71

Ⅱ 事例集 Ⅲ 資料編

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Ⅰ 本 編

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1

第1章 総 論

1-1 都道府県構想の目的

持続的な汚水処理システム構築に向けた都道府県構想は、市街地のみならず農山漁村を含

めた市町村全域において、各種汚水処理施設の整備並びに増大する施設ストックの長期的か

つ効率的な運営管理※1について、適切な役割分担の下、計画的に実施していくために策定す

る。

都道府県構想は、市町村※2がそれぞれの汚水処理施設の有する特性、経済性等を総合的に

勘案し、社会情勢の変化等に応じた効率的かつ適正な整備、運営管理手法を選定した上で、

都道府県が市町村と連携して作成し、継続的な進捗管理並びに必要な見直しを行う。

【解 説】

わが国の汚水処理施設整備は、市町村が、下水道、集落排水、浄化槽等それぞれの汚水処理施

設の有する特性、経済性等を総合的に勘案し、地域の実情に応じた効率的かつ適正な整備手法を

選定した上で、都道府県が主体となり、市町村と連携して作成している都道府県構想に基づき、

適切に事業を実施している。

都道府県構想の策定にあたっては、経済比較を基本としつつ、今後 10 年程度を目標に、「地域

のニーズ及び周辺環境への影響を踏まえ、各種汚水処理施設の整備が概ね完了すること」(概成)

を目指し、都市計画や農業振興地域整備計画等との整合を図りつつ、地域特性や地域住民の意向、

人口減少等の社会情勢の変化を考慮し、効率的かつ適正な処理区域の設定(第4章)及び整備・

運営管理手法の選定(第5章)を行うことが必要不可欠である。

その際、未整備地区における検討では、人口密集地域から、人口密度の低い地域での普及促進

が中心となっていく中で、地方公共団体の財政負担と住民負担のバランス並びに整備時期を考慮

し、今後 10 年程度で汚水処理の概成を目指した各種汚水処理施設に関するアクションプランの

策定を行う。特に、整備に長期間要する地域については、アクションプランの中で、早期に汚水

処理が概成可能な手法を導入する等の弾力的な対応を検討する(第6章参照)。

また、都道府県構想の策定にあたっては、持続可能な汚水処理の運営を行うためにも、未整備

地区だけでなく、既整備地区の効率的な改築・更新や運営管理手法についても検討し、整備計画

(第6章)としてとりまとめる。

その際、汚水処理施設の整備・運営管理手法の検討にあたっては、住民の意向等の地域のニー

ズを踏まえ、水環境の保全(高度処理の必要性、早期整備による水環境改善等)、施工性や用地確

保の難易度、処理水の再利用(農業用水としての再利用等)、汚泥の利活用(エネルギー利活用

及び堆肥化による農地への利用等)の可能性、災害に対する脆弱性等、地域特性も勘案して評価

項目を定める(4-7及び第7章参照)。

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さらに、目標年次(中期(10 年程度)、長期(20~30 年程度))及び目標年次におけるベンチマー

ク(指標)による目標値を設定し、一度策定した都道府県構想については、目標に即した進捗管

理や定期的な点検(5年を基本とする)を行うとともに、社会情勢の変化に応じ適時適切に見直

す必要がある(1-6、1-7及び第8章参照)。

都道府県構想の策定体制としては、行政界をまたいだ、より広域的な観点からの調整が重要に

なるため、都道府県が主体となって市町村と十分連携して策定するとともに、汚水処理施設関連

部局が密接に連携して検討することが必要である(1-4参照)。

※1:運営管理(施設の有効活用、施設の統合・広域化、水質管理、経営計画、組織体制等)。

未整備地区:汚水処理施設の整備が完了していない地区

既整備地区:汚水処理施設の整備が完了している地区

※2:「市町村」には、一部事務組合等を含む。以下、同じ。

時間軸を考慮した汚水処理施設整備・運営管理手法の概念(検討例)を図1-1に示す。

集落排水(未整備区域)

下水道(未整備区域)

浄化槽(既整備区域)

10年間の概成を目指したアクションプラン

処理区域・事業手法の設定

下水道(既整備区域)浄化槽(未整備区域)

浄化槽今後10年程度で

整備する区域

汚水処理施設の有する特性、経済性等を総合的に勘案した整備手法の選定

集落排水(既整備区域)

下水道

集落排水

浄化槽

整備区域の凡例

時間軸を考慮した汚水処理施設の早期概成を目標としたアクションプランの検討例えば、下水道整備に長期間を要する地域について、早期の汚水処理概成可能な手法を検討。

TT

集落排水(既整備区域)

TT

T下水道(既整備区域)

T TT

T

下水道

浄化槽長期的(20~30年)な整備・運営管理内容 浄化槽

時間軸を考慮した効率的な長期の整備・運営管理内容の検討

TT

集落排水

T

T下水道

例えば、処理施設の老朽化(改築更新)に合わせて施設の統合を検討。

都道府県構想

集落排水

T

T

集落排水(未整備区域)

集落排水(既整備区域)

集落排水今後10年程度で

整備する区域

集落排水(既整備区域)

下水道(既整備区域)

下水道今後10年程度で

整備する区域

浄化槽(既整備区域)

集落排水(既整備区域)

下水道(既整備区域)

図1-1 時間軸を考慮した汚水処理施設整備・運営管理手法の概念(検討例)

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1-2 マニュアルの適用範囲

本マニュアルは、都道府県及び市町村が都道府県構想を策定(既構想の見直しを含む)す

る際に適用する。

【解 説】

本マニュアルは、都道府県及び市町村が都道府県構想を策定(既構想の見直しを含む)する際

に適用する。(図1-2に本マニュアルの適用範囲(イメージ)を示す)

都道府県構想の策定及び見直しにあたっては、都道府県が主体となり、都道府県と市町村で役

割を適切に分担しつつ、本マニュアルを活用し、作業を進めるものとする(1-5参照)。

本マニュアルは、全国的な平均値より算定した基礎的な数値等を使用し、標準的な状況を想定

して作成しているが、可能な限り、地域の実情に応じた数値や条件設定を行うことが望ましい。

<地域の実情に応じて設定する内容の例>

・汚水量原単位について、過去の実績等を考慮(2-3参照)

・汚水処理施設の建設費や維持管理費等について、既整備区域における実績等を考慮し、適切に

設定(3-2参照)

都市計画マスタープラン

整合・調整

流域別下水道整備総合計画

各種関連計画等

市町村総合計画

本マニュアルの適用範囲

地域防災計画

都道府県及び市町村が都道府県構想を策定(既構想の見直しを含む)する際に適用する。

浄化槽 集落排水下水道

生活排水処理基本計画

※詳細な検討を実施するために参考となる先進事例については、事例集として提示する。

関連計画

法定計画

汚水処理に係る

都道府県構想により定めた整備区域に基づき事業制度等を活用し整備・運営管理を推進

都道府県構想

中期(10年程度)で汚水処理施設を概成するための整備内容

【アクションプラン】

長期的(20~30年)な整備・運営管理内容

整備・運営管理手法を定めた整備計画の策定

汚水処理手法の選定(整備区域の設定)

農業振興地域整備計画

図1-2 本マニュアルの適用範囲(イメージ)

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1-3 都道府県構想の策定手順

都道府県構想は、以下の項目の調査、検討作業を行うことにより策定する。

(1)策定方針の決定・基礎調査の実施

(2)検討単位区域の設定

(3)処理区域の設定

(4)整備・運営管理手法の選定

(5)整備・運営管理手法を定めた整備計画の策定

(6)汚泥処理の基本方針・計画

(7)都道府県構想策定時の住民関与と進捗状況等の見える化

【解 説】

(1)~(7)の調査検討作業を表1-1に示す。

具体的な作業要領については、第2章~第8章に示すとおりである。

表1-1 調査・検討作業の内容

作業内容 章番号 主な検討内容 (1)策定方針の決定・基礎調査

の実施 第2章 2-1 策定方針の決定

2-2 基礎調査 2-3 都道府県構想に用いるフレーム値等の予測

(2)検討単位区域の設定 第3章 3-1 検討単位区域の設定方法 3-2 既整備区域等の把握・設定 3-3 既整備区域等以外の検討単位区域の設定

(3)処理区域の設定 第4章 4-1 処理区域の設定手順 4-2 検討単位区域毎の将来人口等の設定 4-3 既存汚水処理施設の状況の把握 4-4 経済性を基にした集合処理・個別処理の比較

4-5 集合処理区域(既整備区域等含む)と個別処

理区域との接続検討 4-6 集合処理区域(既整備区域等含む)同士の接

続検討 4-7 整備時期、水質保全効果、地域特性、住民の

意向等を考慮した集合処理、個別処理区域の

設定 (4)整備・運営管理手法の選定 第5章 5-1 事業手法の選定

5-2 事業間連携の検討 (5)整備・運営管理手法を定め

た整備計画の策定 第6章 6-1 市町村の効率的な運営管理を見据えた整備

計画の策定 6-2 目標年次における広域的かつ効率的な運営

管理のための整備計画の策定 (6)汚泥処理の基本方針・計画 第7章 7-1 汚泥処理の基本方針・計画 (7)都道府県構想策定時の住民

関与と進捗状況等の見える化 第8章 8-1 住民の意向の把握

8-2 都道府県構想の進捗状況等の見える化

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1-4 都道府県構想の策定体制

都道府県構想の策定、進捗管理及び見直しは、都道府県が主体となり、市町村と連携して

行う。

また、地方公共団体の体制として、汚水処理に関する部局を中心に、関連部局と密接な連

携を保ちつつ、策定作業を進める必要がある。

【解 説】

都道府県構想の策定、進捗管理及び見直しは、行政界をまたいだ、より広域的な観点からの

調整が重要となることから、都道府県(例えば、前回構想のとりまとめ部局)が主体となり、

市町村と連携して行う。

地方公共団体においては、汚水処理施設の整備、汚泥処理、生活排水処理等の関係部局間で連

絡会議を設置する等により、汚水処理施設の整備に関して十分な連絡調整に努めることとしてい

る。都道府県構想の策定及び見直しにおいても連絡会議等を活用し、関係部局が密接な連携を保

ちつつ、作業を実施する必要がある。

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1-5 都道府県構想策定時における都道府県と市町村との役割分担

都道府県構想を定めるにあたっては、関係市町村の協力が必要と考えられる事項について、

都道府県と市町村の間で役割分担を行い、効率的に作業を進めるものとする。

【解 説】

都道府県構想の策定は都道府県が中心となってとりまとめるが、汚水処理事業は、都市機能並

びに地域住民の生活環境の向上、水環境の保全を図るものであり、事業主体の多くが市町村であ

ることを踏まえ、市町村の意向を十分反映した計画策定を行なわなければならない。また、都道

府県構想は、市町村の汚水処理施設の整備構想を踏まえて策定するものとする。

都道府県構想の策定作業の一部は市町村の判断が必要となるところもあり、また、作業の一部

を市町村が行うことで作業の効率化が図られるとともに、汚水処理施設に関する理解が一層深ま

り、新たに汚水処理施設の事業を実施しようとする場合の参考となる。よって、以下に示すよう

な都道府県、市町村のそれぞれの役割を踏まえ、十分協議の上、作業を進めることが望ましい。

なお、都道府県構想策定における都道府県と市町村の役割分担に関する考え方を「Ⅱ 事例集」

に示すので、参考にされたい。

(都道府県の主な役割)

①都道府県構想の策定にあたって、策定方針を市町村と協議の上決定する。

②策定方針に基づき、市町村との原案の検討・調整を繰り返し、都道府県が整備する下水道等

の施設を反映した上で、都道府県構想としてとりまとめを行う。

③都道府県構想の計画内容を公表し、計画(スケジュール等)の進捗管理を行う。なお、計画

内容の公表はとりまとめが完了した時点を原則とするが、市町村間で作業進捗に差が生じて

いる場合は、汚水処理施設の早期整備のため、先行して策定した市町村の計画内容を公表す

ることも検討する。

(市町村の主な役割)

①策定方針に基づき、未整備区域について検討単位区域毎に経済比較や整備時期等を考慮して

集合・個別処理区域を設定し、既整備区域の施設の連携・統合も含めた施設整備・運営管理

手法を選定する。

②目標を達成するための整備計画を示した市町村原案を作成する。

③策定した整備計画の進捗管理を行う。

図1-3に都道府県と市町村の役割分担を踏まえた都道府県構想策定フローの例(案)を示す。

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図1-3 都道府県構想策定フローの例(案)

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1-6 都道府県構想の進捗管理及び点検・見直し

都道府県及び市町村は、都道府県構想の着実な実行のため、ベンチマーク(指標)を設定

し、そのベンチマーク(指標)に応じた目標値を設定することにより、達成に向けた進捗管

理を行う必要がある。

都道府県は、都道府県構想の点検により、常に汚水処理施設整備の進捗状況及び社会情勢

の変化並びに将来人口の想定と実態の差異等を把握しなければならない。また、点検の結果

に差異が生じた場合は、速やかに都道府県構想の見直しを行うものとする。

なお、都道府県は、市町村による汚水処理の構想の見直しを行う判断基準等の考え方を示

すものとする。

(1)進捗管理(都道府県、市町村)

(2)点検・見直し(都道府県)

【解 説】

(1)進捗管理(都道府県、市町村)

都道府県構想の着実な実行のため、ベンチマーク(指標)を設定し、そのベンチマーク(指標)

に応じた目標値等を公表するとともに、達成に向けた進捗管理を行う。ベンチマーク(指標)に

ついては、例えば、国が定める計画(社会資本整備重点計画に定める汚水処理人口普及率等)や、

地方公共団体が独自に定める計画(都道府県・市町村総合計画等)等を勘案し、可能な限り地域

特性を踏まえて設定する。

着実な実行(目標達成)に向けては、例えば、汚水処理施設の普及のための取り組みに加え、

浄化槽(個人設置型)の水質管理のための取り組みを行う等、住民協力のもと、地方公共団体が

目標達成に向けた取り組みを行っていくことが重要である。

なお、「Ⅲ 資料編 資料‐4」にベンチマーク(指標)の一覧を掲載しているので参考とされ

たい。

(2)点検・見直し(都道府県)

定期的な点検を行う期間は、5年に1回を基本とする。点検内容は、都道府県構想の進捗状況、

都道府県構想策定(または見直し)時の将来人口の想定値及び実績等を確認し、差異が生じた場

合には、都道府県構想の見直しを速やかに行うものとする。

また、都道府県は、都道府県構想策定後の時間経過に伴う社会情勢の変化、都市計画等上位計

画の大幅な見直し、関連技術の大幅な進展等があった場合、必要に応じて都道府県構想の見直し

を行うものとするが、都道府県構想の見直し時期に関わらず、市町村は、地域の社会情勢の変化

等に応じ、随時、適切に市町村の汚水処理の構想の見直しを行うことが必要である。そのため、

都道府県は、市町村が汚水処理の構想の見直しを行うための点検方法や点検時期、見直しを行う

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判断基準等の考え方を都道府県構想策定時に示す必要がある。

さらに、都道府県は、各事業がどのように展開していくかについて、その情報を一元的に把握

するとともに、各種事業の進展により、施設の整備状況及び整備計画と都道府県構想に差異が生

じた場合は、都道府県構想の見直しについて検討し、必要に応じて見直しを行う。

見直しの要因として、次の事項があげられる。

① 社会情勢の変化、上位計画(都市計画等)の大幅な見直し

・人口動態、世帯形態の変化

・都市計画等、上位計画の大幅な見直し

・土地利用の変更

・施設の整備状況及び整備計画の都道府県構想からの乖離

・大規模な開発及び再開発計画

・水源水質の確保等、水環境保全の必要性の変更

・市町村合併による行政区域の再編

・耐震基準等の改正に伴う施設要求性能の変更

② 新規技術等

・関連技術開発に伴う施設内容の大幅な変化

・価格変動等に伴う施設設置単価の変化

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10

1-7 将来フレーム及び整備・運営管理目標の設定

都道府県構想における将来フレームについては、概ね 20~30 年の範囲で、市町村の人口動

向を踏まえて設定する。

また、汚水処理施設の整備・運営管理に関する中期及び長期の目標を設定する。

【解 説】

フレームの想定年次については、人口減少等により将来フレームが過大とならないよう、従来

の考え方にとらわれることなく柔軟に設定することが望ましい。なお、フレームの想定年次を設

定する際には、汚水処理施設の運営管理(経営計画等)に多大な影響を及ぼすことから、市町村

の人口動向を踏まえた上で、概ね 20~30 年の範囲で設定することとする。

また、汚水処理施設の整備・運営管理に関する目標については、汚水処理施設の未普及地域の

整備については中期(10 年程度)を目標とし、既存施設の効率的な改築・更新や運営管理に関す

る整備については長期(20~30 年)を見据えた目標を設定する。

なお、将来フレーム想定年次とは、集合処理と個別処理の経済比較をする際に用いる地域別の

人口等をどの時点に設定するか示すものであり、汚水処理施設の完成の目標年次とは異なること

に留意する。

将来フレーム想定年次の設定において考慮すべき要素には下記の項目がある。

①国立社会保障・人口問題研究所(以下、社人研)による人口推計

・都道府県別、市町村別の人口推計は、全国レベルの人口推計(50 年後までを公表)と異なり、

移動率が大きく影響する。社人研では、移動率を過去のトレンドに基づき設定し、30 年後ま

での推計人口を公表している。

②都市計画区域マスタープラン

・一体の都市として整備、開発及び保全すべき区域として定められる都市計画区域を対象とし

て、概ね 20 年後の都市の姿を展望した上で、都道府県が一市町村を超える広域的見地から

区域区分をはじめとした都市計画の基本的な方針を定めたもの。

③汚水処理施設の更新時期

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第2章 策定方針の決定・基礎調査の実施

2-1 策定方針の決定

都道府県構想を策定するにあたり、都道府県は早期の汚水処理施設の概成と効率的な改

築・更新、運営管理のための基本となる方針を決定する。

なお、都道府県は策定方針を決定する上で、市町村への意見聴取を行うものとする。

(1)早期の汚水処理施設の概成

(2)施設の効率的な改築・更新及び運営管理

【解 説】

市町村における早期の汚水処理施設の概成と効率的な改築・更新及び運営管理のため、都道府

県構想の策定にあたっては、これらに関する策定方針を都道府県が市町村との十分な協議・調整

のもと、決定する。なお、定めるべき策定方針の事項の例を表2-1に示す。

(1)早期の汚水処理施設の概成

汚水処理施設整備については、経済比較を基本としつつ、早期に汚水処理施設を概成させるこ

とを念頭に、地域特性や住民の意向、人口動向等を考慮し、将来の整備方針だけでなく、当面の

汚水処理施設整備の概成に向けた取り組みも含めて定める。

(2)施設の効率的な改築・更新及び運営管理

施設の効率的な改築・更新及び運営管理については、地域の実情に応じて、施設の有効活用、

施設の統合・広域化等についての取り組み方針を定める。

表2-1 策定方針事項(例)

項目 策定方針の内容(例) (1)早期の汚水処理施設の概成 目標年次 ○汚水処理施設の早期概成に向けた目標年次

未普及地域の

整備に関する

方針

○経済性評価を行う際の基本的考え方 ○市町村の財政状況や地域特性等を踏まえた経済性評価以外の指標を用いるこ

とによる評価方法の基本的考え方(可能投資額、整備時期、地域住民の意向の

反映、水質(高度処理、早期整備による改善効果)等) ○汚水処理の概成が目標年次を超過する場合の対応方針 ○個別処理における公的関与の考え方(市町村設置型浄化槽整備事業)

(2)施設の効率的な改築・更新及び運営管理 目標年次 ○既存施設の効率的な改築・更新及び運営管理の目標年次 既整備地域の

運営管理に関

する方針

○各市町村での既定の改築・更新に関する計画の取り扱い方、反映方法 ○施設の統合、広域化を検討する際の基本的な考え方 ○統合や広域化による経済性評価等を行う際の基本的な考え方

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2-2 基礎調査

都道府県構想を策定するにあたり、必要に応じて以下の項目を把握するための調査を行う。

(1)汚水処理施設の整備の現況と関連計画の策定状況

(2)人口、家屋数の現況と見通し

(3)水環境の現況等

(4)土地利用の現況と見通し

(5)地理的、地形的特性

【解 説】

都道府県構想を対象地域の実情に適合したものとするため、「汚水処理施設の整備の現況と

関連計画の策定状況」「人口、家屋数の現況と見通し」「水環境の現況等」「土地利用の現況

と見通し」「地理的、地形的特性」について調査する。(ここで、「汚水処理施設」とは、下水

道、集落排水、コミュニティ・プラント、浄化槽等、3省が管轄するすべての汚水処理施設で

ある。また、「関連計画」とは、それらの整備計画のほか、基本構想等の上位計画、事業間の

連携計画等を含む。)

調査にあたっては、新規整備に関する事項のみならず、既整備地区や既整備施設に関する事

項(経過年数、管理状況、更新計画等)も十分に把握し整理する。

なお、行政界をまたいだ汚水処理施設整備を検討する場合は、必要に応じて、近隣の市町村

における汚水処理施設の事業についても調査が必要となる。

(1)汚水処理施設の整備の現況と関連計画の策定状況

汚水処理施設の整備状況に関する調査は、次の資料を収集し、処理区整備の現状と計画を整理

する。

①流域別下水道整備総合計画

②下水道全体計画

③下水道事業計画

④農業集落排水整備計画

⑤漁業集落排水整備計画

⑥林業集落排水整備計画

⑦生活排水処理基本計画

⑧生活排水対策実施計画

⑨汚水処理施設の改築・更新や長寿命化に関する計画

⑩前回の都道府県構想

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整理事項は以下のとおりとする。

①汚水処理施設の計画区域

②既整備区域

③終末処理場の位置並びに処理方式及び現在の処理能力

④処理人口、処理水量(現況及び計画)

⑤既設処理場及び管渠の建設費、維持管理費

⑥下水処理場等の汚泥処理状況(発生汚泥量等)

⑦し尿処理場の位置、処理能力、収集範囲

⑧集落排水施設、浄化槽等の設置や維持管理の状況

(2)人口、家屋数の現況と見通し

国勢調査の結果、あるいはその他の地方公共団体で行う人口統計資料に基づく現況人口、都道

府県・市町村長期総合計画及び流域別下水道整備総合計画、社人研等による将来人口、人口の地

域分布(都市別等)、DID地区人口、人口密度等を調査する。

①国勢調査、住民基本台帳等(学校区、字単位等の人口、世帯数が確認できるもの)

②都道府県・市町村長期総合計画

③流域別下水道整備総合計画

④社人研による「日本の地域別将来推計人口」

(3)水環境の現況等

公共用水域の水質等、水環境の現況及び水利用の現況を把握し、水質保全の面から検討が必要

な地区を抽出するための参考とする。また、必要に応じて、早期水洗化の要望や地域の水環境等

に対する住民の意向についても把握する(8-1参照)。

水質の現況は、環境基準に掲げられている水質項目の水質経年変化について把握する。

水利用の現況については、水道用水、工業用水、農業用水等の水利権、取水量取水地点、漁業

及び水産養殖業の現況と見通し等を把握する。また、各種法律で定められた地域の指定状況、処

理水の再利用に対するニーズや生態系に関する事項(水生生物調査や希少動植物の調査結果の参

照等)についても調査項目に追加し、施設整備手法の選定の基礎資料とする。

(4)土地利用の現況と見通し

調査区域内の土地利用の現況と土地利用計画に関し、次の事項について把握する。

①学校区・字界(人口等の推計単位)等

②都市計画区域

③DID地区

④市街化区域

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⑤市街化調整区域

⑥用途地域

⑦農業振興地域及び関係する事項(営農形態、土地改良区における水管理等)

⑧主要な事業所(事業種別、規模等)

⑨主要な観光地(宿泊・日帰り客数等)

⑩主要な公共施設計画(建築用途、規模等)

⑪主要な開発計画(開発の種別・時期・規模等)

⑫都市計画マスタープラン

⑬土地利用計画(市町村長期総合計画等)

⑭地域防災計画(救急医療機関、避難所等)

(5)地理的、地形的特性

地形の起伏、地質、地下水位、河川・水路整備状況、道路側溝整備状況等を調査し、地理的、

地形的特性の面から経済性等の検討において必要な地区を抽出するための参考とする。

また、寒冷地での積雪や凍結等、気候の面から汚水処理事業の選択に影響を及ぼす可能性のあ

る事象についても把握することが望ましい。

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2-3 都道府県構想に用いるフレーム値等の予測

都道府県構想の策定にあたり、必要となる下記の項目について、近年の動向等を踏まえた

予測等を基に、将来フレーム想定年次(概ね 20 年~30 年)における適切な値を設定する。

(1)将来人口

(2)将来家屋数

(3)計画汚水量原単位

【解 説】

(1)将来人口

将来フレーム想定年次における人口は、集合処理と個別処理の施設規模(能力)や概算費用を

決定する上で重要な要素となる。例えば、人口減少がもたらす影響としては、汚水量の減少等に

伴う施設の稼働効率の低下や使用料の減収に伴う経営の圧迫等様々な問題が考えられる。

そのため、人口減少等の社会変化を適切に反映した将来値を設定する必要がある。

したがって、都道府県構想の策定にあたっては、字界等可能な限り細かな区域を単位とした、

年齢構成や人口動向等の調査に基づいた適切な将来人口推計値を用いることが非常に重要な要素

となる(検討単位区域の将来人口推計については、4-2において検討)。

以上のことを踏まえ、都道府県構想における、将来フレーム想定年次における将来人口は、適

切な方法等を用いて予測し、人口動向に影響を及ぼすと思われる都市計画等についても、極力反

映させたものとする。

なお、現在人口から将来人口を推計する場合は、可能な限り細かな区域を単位とする。

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(参考)

【将来人口の推計方法】

① コーホート要因法を用いた市町村独自の推計値

② 公的団体による将来推計人口 ①について:市町村独自にコーホート要因法により将来人口を推計するものであり、設定パ

ラメータ(生残率、婦人子ども比、社会移動率等)を市町村独自に作成し、適用することが可

能である。

②について:市町村毎の将来人口を推計している主な公的団体としては、社人研がある。推

計方法はコーホート要因法を用いており、社人研が採用している 新の国勢調査結果を基準と

し、主要なパラメータについては市町村毎の将来変動を考慮して設定している。

※コーホート要因法とは コーホート要因法とは、ある基準年の男女別・年齢別の人口を基に、婦人子ども比、男女

別・年齢別生残率、男女別・年齢別社会移動率等を考慮して5年後の男女別・年齢別の人口を推計し、この作業を逐次繰り返すことによって、5年毎の将来人口を推計していく予測手法。

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(参考)コーホート要因法による推計人口予測の流れ

コーホート要因法を用いた計算の手順例は以下の図に示すとおりである。

まず、直近の国勢調査による5歳階級別性別人口から移動率・生残率を用いて、以下の算式に基

づいて①移動人口、②封鎖人口を求め、別途 15 歳~49 歳の女性数から婦人こども比を用いて③出

生数を求め、さらに出生性比により④男児及び女児数に区分し、加算して5年後における5歳階級

別性別推計人口を求める。これの繰り返しにより将来の5年毎の人口を推計する。

①移動人口 = 男女別5歳階級別人口 × 各階級別の移動率

男女別5歳階級別人口を基に、5年後までの移動が原因の増減を考慮し求めた人口

②封鎖人口 = 男女別5歳階級別人口 × 各階級別の生残率

男女別5歳階級別人口を基に、5年後までの生死が原因の増減を考慮し求めた人口

③出生数 = 15歳~49歳の女性の合計人口の × 婦人子ども比

15歳~49歳の女性が5年後までに子どもを生む割合から求めた0~4歳の5歳階級人口

④男児及び女児数 = 出生数 × 出生性比

出生数に、生まれる子どもの男女比を乗じて求めた 0~4歳の男女別5歳階級人口

Ⓐ移動率、Ⓑ生残率、Ⓒ婦人こども比、Ⓓ出生性比は市町村独自に作成することも可能であるが、

社人研が各市町村別に想定した「仮定値」を利用することもできる。

(上記の番号及び記号(①~④、Ⓐ~Ⓓ)は下図の番号及び記号に一致する)

年齢階層

85~

80~8475~79

70~7465~69

60~6455~59

50~5445~4940~44

35~3930~34

25~2920~2415~19

10~145~9

0~4

6 4 2 0 0 2 4 6 (%)男 女

15~49歳 女子合計人口

15~49歳 女子合計人口

基準人口

年齢階層

85~

80~8475~79

70~74

65~69

60~6455~59

50~54

45~49

40~4435~39

30~34

25~29

20~2415~19

10~14

5~9

0~4

6 4 2 0 0 2 4 6 (%)

男 女

5年後 推計人口

年齢階層

85~

80~8475~79

70~74

65~69

60~6455~59

50~54

45~49

40~4435~39

30~34

25~29

20~2415~19

10~14

5~9

0~4

6 4 2 0 0 2 4 6 (%)

男 女

5年後 推計人口

移動率 生残率

婦人こども比

移動人口 封鎖人口

合計

全ての年齢の男女

全ての年齢の男女

女子人口

出生数

男児数 女児数

出生性比

直近の国勢調査人口

(男女別 5 歳階級人口)

移動率 生残率

出生性比

婦人こども比

移動人口 封鎖人口

出生数

Ⓐ Ⓑ

① ②

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(2)将来家屋数

将来フレーム想定年次における将来家屋数は、集合処理と個別処理の費用算出を行うために必

要となる要素であり、基本的には、今後の社会情勢の変化を適切に反映した将来値がある場合に

はそれに基づくものとする(検討単位区域の将来家屋数については、4-2において検討)。

ただし、適切な予測値がない場合には、将来人口と世帯構成人員予測値から推定してもよい。

なお、世帯構成人員の予測については、以下の方法を用いる。

① 過去の趨勢からトレンド予測

1世帯あたり構成人員は、近年における核家族化等を反映して、ほとんどの地域で減少傾向

を示しており、その傾向は地域によって異なる。過去の趨勢を勘案して市町村独自で予測する

必要があり、可能な限り細かい単位で設定する。

② 公的団体による予測値

人口同様に国勢調査の結果を用いて社人研が予測した、平成 42 年(2030 年)の「都道府県

別世帯数予測値」を用いて設定する。(「Ⅲ 資料編 資料-1」に示す)

なお、上記の手法を用いて求まる値は世帯数ではあるが、それを家屋数と読み替えるものとす

る。

個別処理においては、1世帯(家屋)あたりの居住人数が整備効率に影響する。世帯あたりの

居住人数が多いほど個別処理における整備効率は向上することから、適用する地域の実情を適切

に反映させる必要がある。また、集合住宅の数、地域配置等にも留意する必要がある。

(3)計画汚水量原単位

計画汚水量原単位は、下水道処理施設の費用関数に適用する計画汚水量(人口×汚水量原単位)

を算定するために設定する。計画汚水量原単位は、一般的には「生活汚水量」と「営業汚水量」

を1人1日当りの換算値としてまとめていることが多く、処理場等への計画流入水量は、地下水

量(経験的にはフレーム値×計画汚水量原単位を用いて求めた日 大計画汚水量の 10~20%)を

見込んで算定する。

計画汚水量原単位は、市町村別に水道の給水実績の推移に基づいて推定されている場合が一般

的であるが、今まで増加傾向にあった給水量も、生活形態の変化や節水型家電の普及等により、

近年は減少傾向にある。

都道府県構想における計画汚水量設定にあたっては、上記の状況を十分勘案した上で、市町村

の水使用の実態に即した計画汚水量原単位を設定する必要がある。

また、地下水量(不明水量)についても既整備区域の処理場への晴天時流入水量から有収水量

を差し引いて推定する等、可能な限り実態に即した値を用いることとする。

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① 計画汚水量の区分

・ 生活汚水量(一般家庭から排出される汚水量)

・ 営業汚水量(商業施設等から排出される汚水量)

・ その他汚水量(工場・観光排水等)

・ 地下水量

② 計画汚水量の種別

・ 計画1日平均汚水量

・ 計画1日 大汚水量

(本マニュアルでは、下水道における処理場の建設費・維持管理費の費用関数に適用する)

・ 計画時間 大汚水量

(参考)都市規模別1人1日当たり有収水量実績(営業・工場含む)

下図表は、水道統計資料に基づく各都市規模別の有収水量の実績値を整理し、グラフ化した

ものである。これによると、1 人 1 日当り有収水量(水道を水源とする営業及び工場用水を含

む日平均量)は、近年横ばいかあるいは緩やかな減少傾向にあり、概ね 300~330L/人・日とな

っている。下記の数値は、業務用・工場用を含む値である。なお、家庭用の有収水量合計に占

める割合は、 近5ヵ年平均で約 78%(全国平均値)である。

単位:L/人・日

人口規模 昭和59年 昭和60年 昭和61年 昭和62年 昭和63年 平成元年 平成2年 平成3年 平成4年 平成5年 平成6年 平成7年 平成8年 平成9年 平成10年 平成11年 平成12年 平成13年 平成14年 平成15年 平成16年 平成17年 平成18年 平成19年 平成20年 平成21年 平成22年

100万人以上 340 339 340 343 347 357 364 366 369 368 366 362 359 357 353 351 347 342 337 331 332 329 326 324 317 312 313

50~100万人未満 333 331 328 331 337 335 344 346 346 340 341 337 336 335 341 333 337 333 327 324 322 320 317 315 310 305 306

25~50万人未満 318 318 317 321 325 335 345 345 347 343 343 341 342 343 341 338 335 329 325 320 319 322 318 317 311 308 309

10~25万人未満 304 306 308 315 318 326 337 337 339 333 335 339 339 339 338 337 337 333 329 324 324 322 319 318 312 308 309

5~10万人未満 305 306 306 311 317 324 335 335 338 335 339 336 337 338 336 335 337 333 328 323 322 324 321 320 314 310 311

3~5万人未満 290 290 291 295 310 307 320 320 324 322 327 328 330 331 331 330 331 327 328 323 326 325 322 320 314 310 313

2~3万人未満 270 269 270 278 282 288 303 303 306 305 312 311 315 319 321 321 323 319 314 313 311 313 308 307 302 300 303

1~2万人未満 263 268 272 278 283 293 305 305 311 310 319 323 324 324 325 326 329 328 328 322 328 328 324 324 320 319 324

5千人~1万人未満 253 254 255 262 265 274 290 290 292 299 304 306 310 314 316 318 320 318 317 313 317 323 323 324 323 322 325

は、過去27年間の最高値を示す。

図 都市規模別一人一日当たり有収水量実績(営業・工場含む)

表 都市規模別一人一日当たり有収水量実績(営業・工場含む)

240

260

280

300

320

340

360

380

昭和59年 昭和60年 昭和61年 昭和62年 昭和63年 平成元年 平成2年 平成3年 平成4年 平成5年 平成6年 平成7年 平成8年 平成9年 平成10年 平成11年 平成12年 平成13年 平成14年 平成15年 平成16年 平成17年 平成18年 平成19年 平成20年 平成21年 平成22年

1人

1日

当た

り有

収水

量(L

/人

・日

100万人以上 50~100万人未満 25~50万人未満 10~25万人未満 5~10万人未満 3~5万人未満 2~3万人未満 1~2万人未満 5千人~1万人未満

上記数値は、業務用・工場用を含む値である。ただし、家庭用の有収水量合計に占める割合は、 近5ヵ年平均で約 78%(全国合計値)である。

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第3章 検討単位区域の設定

3-1 検討単位区域の設定方法

集合処理か個別処理かの判定の基となる検討単位区域は、現在の汚水処理施設の整備状況

や関連計画の他、地域性、土地利用等を踏まえ、以下の項目を調査検討することにより設定

する。

(1)既整備区域等※の把握・設定(3-2)

(2)既整備区域等以外の検討単位区域の設定(3-3)

【解 説】

検討単位区域とは、集合処理か個別処理かを検討する上での、一定の家屋集合体である。

「既整備区域」とは、既に下水道、集落排水、浄化槽等により整備が完了している区域であり、

「既整備区域に連担する未整備区域」とは、既整備区域と明らかに一体的な集合体として判断可

能な未整備区域である。

集合処理と個別処理の比較を行うための検討単位区域の設定作業は、「既整備区域等」と「既

整備区域等以外の検討単位区域」に分けて行う。(図3-1に示す)

「既整備区域等」は、既整備区域、未整備区域、DID地区、将来の土地利用計画等、集合処

理区域として妥当と考えられる区域を把握した上で、家屋間限界距離等を活用して、それらの区

域に取り込む連坦する未整備の家屋を含めて設定する(詳細の設定方法は、後述3-2を参照)。

「既整備区域等以外の検討単位区域」は、家屋間限界距離等を活用して、現況の家屋分布を基

に設定する。設定にあたっては、社会的・歴史的・地理的条件、土地利用・水利用の状況、住民

の日常生活圏域・住民の意識を必要に応じて考慮するとともに、各汚水処理施設の計画の調整を

図る(詳細の設定方法は、後述3-3を参照)。例えば、農山漁村地域における検討単位区域の

設定にあたっては、これまで集落が果たしてきた役割(意思決定等)を踏まえ、農山漁村地域の

生産と生活の 小単位である集落を単位とすることについても考慮する必要がある。

なお、検討単位区域の設定は、都市計画や農業振興地域整備計画等の土地利用計画との整合を

図り、地域特性を十分に考慮し、行政界にとらわれず行うものとする。

※:「既整備区域等」は、既整備区域及び既整備区域に連坦する区域を表す。

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既整備区域等 取り込み有利

家屋間限界距離等による検討単位区域の設定

周辺家屋の取り込み検討

検討単位区域(既整備区域等)

検討単位区域(既整備区域等以外)

検討単位区域(既整備区域等)

取り込み検討周辺家屋

取り込み不利

既整備区域等

検討単位区域(既整備区域等以外)

検討単位区域(既整備区域等以外)

図 3-1 検討単位区域設定イメージ

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3-2 既整備区域等の把握・設定

(1)既整備区域等の把握

各種汚水処理施設の既整備区域、事業計画区域、DID地区等の地域特性を基に、人

口動向、都市計画等を勘案し、既整備区域等を把握する。

(2)周辺家屋の取り込み等による既整備区域等の設定

既整備区域等の周辺家屋について、家屋間限界距離等を活用し、経済性を基にした家

屋の取り込みの検討を行う。

なお、家屋間限界距離を算定する場合は、可能な限り地域の実情に応じて算出した数値を

用いて行うものとする。

【解 説】

(1)既整備区域等の把握

既整備区域等として検討する区域としては、以下のものが考えられ、こうした地域特性を基に、

将来の人口動向や都市計画等を勘案した上で、区域を把握する。

○ 下水道、集落排水、浄化槽等それぞれの整備区域において、既にその施設で整備されてい

る区域及び周辺区域

○ 近い時期に汚水処理施設の整備が予定されている区域

○ DID地区

○ その他

・ 既に区域外流入として取り込んでいる家屋群 等

(2)周辺家屋の取り込み等による既整備区域等の設定

既整備区域等の周辺にある未整備の家屋については、これに接続することが経済性の観点から

有利となることがある。そこで、既整備区域等を核とした家屋間限界距離を算定し、経済性を基

にしつつ、整備時期や地域の実情を踏まえ、未整備の周辺家屋の取り込みの検討を行う。

このうち、既整備区域等を核とした家屋間限界距離は、以下のような考え方に基づき算定する。

周辺家屋を既整備区域等に接続した場合の処理場の建設費及び維持管理費と周辺家屋までの接

続管渠の建設費及び維持管理費を合計したものを左辺とし、既整備区域等のみの処理場の建設費

及び維持管理費と周辺家屋に浄化槽を設置した場合の設置費と維持管理費を合計したものを右辺

とし、これを比較することで、家屋間限界距離を算定する。(図3-2に示す)

ただし、既整備区域等Aが非常に大きく、周辺家屋Xを接続しても処理場の建設費に影響が出

ないと判断される場合は、両辺の処理場建設費を除いて計算しても良い。

また、既整備区域等が流域関連公共下水道で整備されている場合は、現在の流域下水道建設負

担金及び維持管理負担金と水洗化戸数を基に、1戸あたりの負担金を算定し、上記の処理場建設

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23

費及び維持管理費として計算することが適当である。

比較

(既整備区域等に周辺家屋を取り込む)

既整備区域等の処理場(A+X)建設費+既整備区域等の処理場(A+X)維持管理費+周辺家屋接続管渠建設費+周辺家屋接続管渠維持管理費

接続管渠

(家屋間限界距離等)

周辺家屋X

(周辺家屋を既整備区域等に取り込まず個別処理)

既整備区域等の処理場(A)建設費+既整備区域等の処理場(A)維持管理費+周辺家屋X浄化槽設置費+周辺家屋X浄化槽維持管理費

周辺家屋X

浄化槽

既整備区域等

既整備区域等

図 3-2 既整備区域等への周辺家屋の取り込み検討による家屋間限界距離設定イメージ

家屋を囲む線引きにあたっては、以下の点に留意する。

・原則として居住家屋のみを抽出するものとし、住宅地図等を参考とする。(非居住家屋とみ

なされるものとしては、作業場・納屋・倉庫・ガレージ・畜舎・ビニールハウス等が挙げら

れる。)

・学校、事務所ビル、工場等の事業所については、排水量を家屋戸数に換算するかまたは「建

築物の用途別による屎尿浄化槽の処理対象人員算定基準(JIS A 3302-2000)」を参考にして

処理対象人員を家屋戸数に換算し、囲い込みを行う。なお、人口の増分の扱いはしないもの

とする。

・住宅地と農耕地、山林等の境界は、白地図で植生界として図示されているので、それに沿っ

てできるだけ住宅地だけを囲むように線引きする。

・離れた家屋を一体とする場合は、管渠ルートとなる道路に沿って線引きを行う。

・宅地造成が行われている区域及び計画されている区域は、家屋が建設された時点を想定して

線引きを行う。

・農村地域においては、処理水の有効活用を図るためにも、農村地域の生産と生活の 小単位

である集落を単位とすることも含めて検討単位区域の検討を行う。

家屋間限界距離の適用例を図3-3に、また、家屋を囲む線引きの要領を図3-4に示す。

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O~A間 30m

A~C間 90m

A~B間 100m

・家屋Aは、既整備区域等Oに含めて線引きする。

・家屋B、Cは、既整備区域等Oに含めない。

図 3-3 家屋間限界距離(79m の場合)の適用例

凡 例

家屋を囲む線

植生界

(地目境界)

道路

既整備区域等

図 3-4 家屋を含む線引きの要領

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■既整備区域等への周辺家屋の接続及びそれ以外の検討単位区域設定検討のための条件

1)学校・事務所・工場等の換算家屋数

学校・事務所・工場等については、排水量による換算または下記に示す「建築物の用途別によ

る屎尿浄化槽の処理対象人員算定基準(JIS A 3302-2000)」等を参考にして換算家屋数を求める。

(参考)屎尿浄化槽の処理対象人員算定基準による換算家屋数の算定例

<算定方法の例>

(小学校の場合)

・定員P=400 人として処理対象人員を求める。

・人員:n=0.20P=0.20×400=80(人)

・換算家屋戸数=80 人÷2.4 人/戸=33 戸

(1戸当り構成人員:2.4 人/戸)

(事務所の場合)

・延べ面積A=1,000m2として処理対象人員を求める。

・人員:n=0.06A=0.06×1,000=60(人)

・換算家屋戸数=60 人÷2.4 人/戸=25 戸

(工場の場合)

・定員P=50 人として処理対象人員を求める。

・人員:n=0.30P=0.30×50=15(人)

・換算家屋戸数=15 人÷2.4 人/戸=6戸

2)1戸当たり構成人員及び1人当たり汚水量原単位

家屋間限界距離等の算定に用いる1戸当たり構成人員(家屋数に置き換え)や1人当たり汚水

量原単位は、可能な限り地域の実情に応じて算出したものを用いることとする。

(参考)

ここでは、参考例として、1戸当り構成人員は社人研の平成 42 年予測値で該当県(18 県)

が も多かった値、日平均汚水量原単位は、現状(平成 22 年値)における都市規模別有収水量

の平均値 0.310m3/人・日に地下水量 0.040 m3/人・日(日平均汚水量原単位×1.25(≒0.400

m3/人・日)×0.1:日 大量の 10%)を加算した値を示す。

・ 1戸当たり構成人員 2.4 人/戸

・ 日平均汚水量原単位 0.350m3/人・日(生活・営業・地下水の原単位の合計)

・ 日 大汚水量原単位 0.440m3/人・日(生活・営業・地下水の原単位の合計)

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3)経済比較における参考資料

経済比較の際に参考となる費用関数及び年数は表3-1(1)、表3-1(2)に示すとおり

である。

参考となる費用関数については、全国的な平均値より算定した基礎的な数値であるため、過去

の実績等から汚水処理施設の建設費や維持管理費等を算出する等、各地方公共団体において可能

な限り地域の実情に応じて算出した数値を用いることとする。なお、費用関数を使用する場合に

は、費用関数の算出条件等を踏まえ、適切な経済比較となるよう留意する(費用関数及び耐用年

数の設定方法は「Ⅲ 資料編 資料-3」を参照)。

また、参考となる年数については、各種法令等に基づくものと施設の使用実績を示しているが、

施設の使用実績は、気候条件や維持管理状況等により幅があるため、各地方公共団体においてこ

れらの数値を参考に、地域条件、管理体制等を考慮の上、適切な年数を設定して用いることが望

ましい。

本マニュアルでは、家屋間限界距離の算定例において、施設別の使用実績による設定方法の一

例を以下のとおり示すこととする。

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表3-1(1) 経済比較における参考資料

処理場

建設費

下水道

Qd<300 CT=1,468×Qd

0.49

300≦Qd≦1,300 CT=50,500×(Qd /1,000)0.64

1,400≦Qd≦10,000 CT=138,000×(Qd /1,000)0.42

×(103.3/101.5)

10,000≦Qd≦500,000 CT=155,000×(Qd /1,000)0.58

×(103.3/101.5)

(焼却なし)

ただし、CT:処理場建設費(万円)

Qd:日 大汚水量(m3/日)

集落

排水

Y=227.12×X0.6663

ただし、Y:処理場建設費(万円)

X:計画人口(人)

維 持

管理費

下水道

Qd<300 MT=16.6×Qd

0.66

300≦Qd≦1,300 MT=1,900×(Qd /1,000)0.78

1,400≦Qd≦10,000 MT=2,860×(Qd /1,000)0.58

×(103.3/101.5)

10,000≦Qd≦500,000 MT=1,880×(Qd /1,000)0.69

×(103.3/101.5)

(焼却なし)

ただし、MT:処理場維持管理費(万円/年)

Qd:日 大汚水量(m3/日)

集落

排水

Y=3.7811×X0.6835

ただし、Y:処理場維持管理費(万円/年)

X:計画人口(人)

管 渠

建設費

下水道 面整備管 6.3 万円/m(ただし、圧送管 4.5 万円/m)

集落

排水 自然流下管 5.6 万円/m

維 持

管理費

下水道 60 円/m/年

集落

排水 31 円/m/年

マ ン

ホール

ポンプ

建設費 下水道 920 万円/基(機械電気設備のみ、ポンプ設備は 2台)

維 持

管理費 下水道 22 万円/基/年

浄化槽

建設費 5人槽 CJ=83.7 万円/基

7人槽 CJ=104.3 万円/基

維持管理費 5人槽 MJ=6.5 万円/基/年

7人槽 MJ=7.7 万円/基/年

※ 日 大汚水量が 300m3/日未満、300m3/日以上 1,300m3/日以下の下水道の処理場は、濃縮または直接脱水

までの汚泥処理を行っているオキシデーションディッチ法(プレハブ式)の施設である。

※ 日 大汚水量が 1,400m3/日以上 10,000m3/日以下の下水道の処理場は、直接脱水の汚泥処理を行っている

オキシデーションディッチ法(現場打ち)の施設である。

※ 日 大汚水量が 10,000m3/日以上 50,000m3/日以下の下水道の処理場は、分離濃縮と脱水の汚泥処理を行っ

ている標準活性汚泥法の施設である。

※ 処理場の建設費には、用地費、放流管等の費用も必要に応じて計上する。

※ 浄化槽の建設費には、豪雪地帯での設置工事費や高度処理型の設置による増加費用も必要に応じて計上する。

※ 今回の費用関数の設定方法については、「Ⅲ 資料編 資料-3」に示す。

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表3-1(2) 経済比較における参考資料

経済比較の際に参考となる年数

実 績

処理場 土木建築物:50~70 年 機械電気設備:15~35 年

管 渠 50~120 年

浄化槽 躯体:30~50 年

機器設備類:7~15 年

マンホール

ポンプ 機器設備類:15~35 年

法律等

処理場 23 年

管 渠 50 年

浄化槽 7年

(参考)耐用年数の算定例

【管 渠】

管渠の年数は、下水道供用開始後 30 年以上経過している市町村(組合含む)に対して、管渠の

施工年度(10 年区切り)毎の総延長とそのうちの更新済延長及び使用している 古管渠について

調査し、その平均経過年数である 72 年と設定する。

【処理場】

処理場全体の年数は、土木建築物 50 年、機械電気設備 25 年、土木建築物:機械電気設備の比

率を 1:1として、以下の式に当てはめて 33 年と設定する。

【浄化槽】

浄化槽全体の年数は、躯体 40 年、機器設備類 11 年、躯体:機器設備類の比率を 9:1 として、

以下の式に当てはめて 32 年と設定する。

【マンホールポンプ】

マンホールポンプの年数は、管渠を敷設するときに設置するマンホールにポンプ設備等を導入

するものと考え、機械電気設備のみとし 25 年と設定する。

年=32

111.0

409.0

1

⎟⎠⎞

⎜⎝⎛ +

年=33

255.0

505.0

1

⎟⎠⎞

⎜⎝⎛ +

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(参考)既整備区域等の周辺家屋の接続判定に用いる家屋間限界距離の算定例(下水道と浄化槽の比較)

【既整備区域等(処理場規模 5,000m3/日)に1戸接続する場合】

●家屋Zを個別処理とした場合

①処理場(A)建設費

CT=138,000×(Qd/1,000)0.42

×(103.3/101.5)

=138,000×(5,000/1,000)0.42

×(103.3/101.5)=276,109.1 万円

ただし、CT:処理場建設費(万円)、Qd:日 大汚水量(m3/日)

償却年数を 33 年として 276,109.1÷33=8,366.9 万円/年

②処理場(A)維持管理費

MT=2,860×(Qd/1,000)0.58

×(103.3/101.5)

=2,860×(5,000/1,000)0.58

×(103.3/101.5)=7,402.9 万円/年

ただし、MT:処理場維持管理費(万円/年)、Qd:日 大汚水量(m3/日)

③浄化槽(Z)建設費(5人槽)

償却年数を 32 年として 83.7÷32=2.6 万円/戸/年

④浄化槽(Z)維持管理費(5人槽)

6.5 万円/戸/年

●家屋Zを既整備区域等に接続する場合

⑤処理場(A+Z)建設費(1戸あたり日 大汚水量 0.440m3/日×2.4 人/戸=1.06m3/日を追加)

CT=138,000×(Qd/1,000)0.42

×(103.3/101.5)

=138,000×(5,001.06/1,000)0.42

×(103.3/101.5)=276,133.7 万円

償却年数を 33 年として 276,133.7÷33=8,367.7 万円/年

⑥処理場(A+Z)維持管理費(1戸あたり日 大汚水量を追加)

MT=2,860×(Qd/1,000)0.58

×(103.3/101.5)

=2,860×(5,001.06/1,000)0.58

×(103.3/101.5)=7,403.8 万円/年

⑦管渠建設費

CP=6.3×L ただし、CP:管渠建設費(万円)、L:管渠延長(m)

償却年数を 72 年として、(6.3/72)×L万円/年

⑧管渠維持管理費

MP=(60/10,000)×L万円/年

①+②+③+④ = ⑤+⑥+⑦+⑧ となるような管渠延長Lを求める。

L=(①+②+③+④-⑤-⑥)/(6.3/72+60/10,000)

=(8,366.9+7,402.9+2.6+6.5-8,367.7-7,403.8)/(6.3/72+60/10,000)

= 79 m

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30

(参考)既整備区域等の周辺家屋の接続判定に用いる家屋間限界距離の算定例(集落排水と浄化槽の比較)

【既整備区域等(計画人口 500 人)に1戸接続する場合】

●家屋Zを個別処理とした場合

①処理場(A)建設費

Y=227.12×X0.6663

=227.12×5000.6663

=14,275.1 万円

ただし、Y:処理場建設費(万円)、X:計画人口(人)

償却年数を 33 年として 14,275.1÷33=432.6 万円/年

②処理場(A)維持管理費

Y=3.7811×X0.6835

=3.7811×5000.6835

=264.5 万円/年

ただし、Y:処理場維持管理費(万円/年)、X:計画人口(人)

③浄化槽(Z)建設費(5人槽)

償却年数を 32 年として 83.7÷32=2.6 万円/戸/年

④浄化槽(Z)維持管理費(5人槽)

6.5 万円/戸/年

●家屋Zを既整備区域等に接続する場合

⑤処理場(A+Z)建設費(1戸あたり 2.4 人を追加)

Y=227.12×X0.6663

=227.12×502.40.6663

=14,320.7 万円

償却年数を 33 年として 14,320.7÷33=434.0 万円/年

⑥処理場(A+Z)維持管理費(1戸あたり計画人口を追加)

Y=3.7811×X0.6835

=3.7811×502.40.6835

=265.3 万円/年

⑦管渠建設費

Y=5.6×L ただし、Y:管渠建設費(万円)、L:管渠延長(m)

償却年数を 72 年として、(5.6/72)×L万円/年

⑧管渠維持管理費

Y=(31/10,000)×L万円/年

①+②+③+④ = ⑤+⑥+⑦+⑧ となるような管渠延長Lを求める。

L=(①+②+③+④-⑤-⑥)/(5.6/72+31/10,000)

=(432.6+264.5+2.6+6.5-434.0-265.3)/(5.6/72+31/10,000)

= 85 m

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31

3-3 既整備区域等以外の検討単位区域の設定

既整備区域等以外の区域に対して、集合処理と個別処理の設定を行うための家屋間限界距

離等を定める等、現況の家屋分布や地形等地域特性を基に、検討単位区域を設定する。

なお、家屋間限界距離等を算定する場合は、可能な限り地域の実情に応じて算出した数値

を用いて行うものとする。

【解 説】

既整備区域等以外の区域の集落や家屋について、集合処理が適当か、個別処理が適当かを判断

するために、家屋間限界距離等を算定し、整備時期、地域の実情を踏まえ、検討単位区域を設定

する。

集合処理及び個別処理における、それぞれの特徴を表3-2に示す。

表3-2 集合処理及び個別処理の特徴

項 目 集合処理 個別処理

処理方法 管渠により、区域全体の家庭・学校・工場等の多種多様な汚水を収集し、処理場で一括処理する

各家庭の敷地に浄化槽を設置し、汚水を個別処理する

施設耐用年数 処理場躯体50~70年機械電気15~35年管渠50~120年

躯体30~50年機械7~15年

事業費(建設費・維持管理費)

市街地や家屋がまとまった集落に対して効率的な整備が可能となり、また、規模が大きくなるとスケールメリットにより、1世帯あたり事業費は、個別処理より経済的となる傾向がある。

家屋が散在した集落において、効率的な整備が可能となり、事業規模によって1世帯あたりの事業費は変わらない。

維持管理主体 自治体や公共団体が維持管理を行う(安定した処理水質を確保できる)

自治体または個人が維持管理を行う(個人で維持管理を行う場合、維持管理状況によっては安定した処理水質の確保ができない場合がある)

供用開始時期 事業規模が大きく下流から順次着工するため、末端部においては供用開始まで一定の期間が必要となる。

施工に要する期間は、1週間から10日程度で、すぐに汚水処理の効果が発現する。

したがって、検討単位区域の設定にあたっては、これらの特徴や地形条件からの連坦性、集落

の形態、地縁関係等の社会条件等を考慮(ここでいう地形条件は、集落の連坦性の他、大きな河

川横断等施工性の観点も含む)した上で、一定の家屋間限界距離以内のまとまりで囲み、検討単

位区域を設定する。

また、農村地域においては、処理水の有効活用を図るためにも、農村地域の生産と生活の 小

単位である集落を単位とすることも含めて検討単位区域の検討を行う。

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32

区域設定の要領は、「3-2 既整備区域等の把握・設定」で示したものを参考に行うこととす

る。

参考に、集合処理区域となる場合の現行の汚水処理施設整備事業の採択基準の目安を表3-3

に示す。

表3-3 集合処理区域となる場合の汚水処理施設整備事業の採択基準の目安

区 分 対象地域 対象人口 備 考

公共下水道 主として市街地 ・特になし

特定環境保全公共下水道 市街化区域(市街化区域が設定され

ていない都市計画区域にあっては

既成市街地及びその他の地域)以外

の地域

・1,000 人以上 10,000 人

以下

水質保全上特に

緊急に下水道の

整備を必要とす

る地区において

は、1,000 人未満

も実施可能

農業集落排水施設 農業振興地域の整備に関する法律

に基づく農業振興地域(これと一体

的に整備することを相当とする区

域を含む。)内の農業集落

・概ね 1,000 人以下

・概ね 20 戸以上

(北海道、離島、沖縄、

奄美にあっては 10 戸)

市町村及び都道

府県の関係部局

間で協議調整に

より、1,000 人以

上でも実施可能

漁業集落排水施設 漁業依存度または漁家比率が第1

位の漁業集落

漁業集落排水施設のみを整備する

場合には、漁港漁場整備法の規定に

より指定された漁港の背後に位置

する集落

・100 人以上 5,000 人以

(北海道、離島、沖縄、

奄美にあっては、50 人

以上 5,000 人以下)

林業集落排水施設 森林法により指定された森林整備

市町村若しくは林業振興地域育成

対策事業実施要網により指定され

た林業振興地域または市町村森林

整備計画策定等事業実施要領によ

る森林整備推進市町村の区域

・概ね 1,000 人以下

・概ね 20 戸以上

(北海道、離島、沖縄、

奄美にあっては 10 戸)

簡易排水施設 今後とも農林漁業が地域の主要な

産業であることが見込まれる地域

であって、自然的、社会的、経済的

諸条件に恵まれない振興山村地域

(山村振興法により指定)等

・10 戸以上 20 戸未満

小規模集合排水処理施設 特に制限なし ・原則として2戸以上 20

戸未満

コミュニティ・プラント 特に制限なし ・101 人以上 30,000 人以

注1.事業種別の選定についての詳細については、第5章を参照されたい。 注2.事業種別の対象地域、対象人口の詳細については、当該事業の要綱、要領等を参照されたい。

次に、検討単位区域を設定するための家屋間限界距離の算定方法の例を示す。

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33

(参考)既整備区域等以外の検討単位区域の集合処理・個別処理の判定に用いる家屋間限界距離の

算定例(下水道と浄化槽の比較)

【集落(処理場規模 100m3/日)に1戸接続する場合】

●家屋Zを個別処理とした場合

①処理場(A)建設費

CT=1,468×Qd

0.49=1,468×100

0.49=14,019.3 万円

ただし、CT:処理場建設費(万円)、Qd:日 大汚水量(m3/日)

償却年数を 33 年として 14,019.3÷33=424.8 万円/年

②処理場(A)維持管理費

MT=16.6×Qd

0.66=16.6×100

0.66=346.8 万円/年

ただし、MT:処理場維持管理費(万円/年)、Qd:日 大汚水量(m3/日)

③浄化槽(Z)建設費(5人槽)

償却年数を 32 年として 83.7÷32=2.6 万円/戸/年

④浄化槽(Z)維持管理費(5人槽)

6.5 万円/戸/年

●家屋Zを既整備区域等に接続する場合

⑤処理場(A+Z)建設費(1戸あたり日 大汚水量 0.440m3/日×2.4 人/戸=1.06m3/日を追加)

CT=1,468×Qd

0.49=1,468×101.06

0.49=14,091.9 万円

償却年数を 33 年として 14,091.9÷33=427.0 万円/年

⑥処理場(A+Z)維持管理費(1戸あたり日 大汚水量を追加)

MT=16.6×Qd

0.66=16.6×101.06

0.66=349.2 万円/年

⑦管渠建設費

CP=6.3×L

ただし、CP:管渠建設費(万円)、L:管渠延長(m)

償却年数を 72 年として、(6.3/72)×L万円/年

⑧管渠維持管理費

MP=(60/10,000)×L万円/年

①+②+③+④ = ⑤+⑥+⑦+⑧ となるような管渠延長Lを求める。

L=(①+②+③+④-⑤-⑥)/(6.3/72+60/10,000)

=(424.8+346.8+2.6+6.5-427.0-349.2)/(6.3/72+60/10,000)

= 48 m

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34

(参考)既整備区域等以外の検討単位区域の集合処理・個別処理の判定に用いる家屋間限界距離の

算定例(集落排水と浄化槽の比較)

【集落(計画人口規模 100 人)に1戸接続する場合】

●家屋Zを個別処理とした場合

①処理場(A)建設費

Y=227.12×X0.6663

=227.12×1000.6663

=4,884.9 万円

ただし、Y:処理場建設費(万円)、X:計画人口(人)

償却年数を 33 年として 4,884.9÷33=148.0 万円/年

②処理場(A)維持管理費

Y=3.7811×X0.6835

=3.7811×1000.6835

=88.0 万円/年

ただし、Y:処理場維持管理費(万円/年)、X:計画人口(人)

③浄化槽(Z)建設費(5人槽)

償却年数を 32 年として 83.7÷32=2.6 万円/戸/年

④浄化槽(Z)維持管理費(5人槽)

6.5 万円/戸/年

●家屋Zを既整備区域等に接続する場合

⑤処理場(A+Z)建設費(1戸あたり 2.4 人を追加)

Y=227.12×X0.6663

=227.12×102.40.6663

=4,962.7 万円

償却年数を 33 年として 4,962.7÷33=150.4 万円/年

⑥処理場(A+Z)維持管理費(1戸あたり計画人口を追加)

Y=3.7811×X0.6835

=3.7811×102.40.6835

=89.5 万円/年

⑦管渠建設費

Y=5.6×L

ただし、Y:管渠建設費(万円)、L:管渠延長(m)

償却年数を 72 年として、(5.6/72)×L万円/年

⑧管渠維持管理費

MP=(31/10,000)×L万円/年

①+②+③+④ = ⑤+⑥+⑦+⑧ となるような管渠延長Lを求める。

L=(①+②+③+④-⑤-⑥)/(5.6/72+31/10,000)

=(148.0+88.0+2.6+6.5-150.4-89.5)/(5.6/72+31/10,000)

= 64 m

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35

第4章 処理区域の設定

4-1 処理区域の設定手順

処理区域の設定にあたっては、以下の手順に沿って行うこととする。

(1)検討単位区域毎の将来人口等の設定(4-2)

(2)既存汚水処理施設の状況の把握(4-3)

(3)経済性を基にした集合処理・個別処理の比較(4-4)

(4)集合処理区域(既整備区域等含む)と個別処理区域との接続検討(4-5)

(5)集合処理区域(既整備区域等含む)同士の接続検討(4-6)

(6)整備時期、水質保全効果、地域特性、住民の意向等を考慮した集合処理、

個別処理区域の設定(4-7)

【解 説】

「処理区域」とは、汚水処理事業の種類及び処理施設の系統から設定する集合体であり、大き

く集合処理区域または個別処理区域に区分けされる。

本章では、第3章において設定した検討単位区域を対象に、経済性等を基にして、集合処理が

有利か、個別処理が有利かを検討し、 適な集合処理区域を設定する(4-4参照)。

まず、将来フレーム想定年次における各検討単位区域の将来人口等を第2章の基礎調査を基に

設定するとともに、既存の汚水処理施設の実態等を把握する。次に、集合処理と個別処理の経済

的な比較を行うとともに、以下に示す検討単位区域の接続についても検討する。

・集合処理が有利とされた区域に個別処理が有利とされた区域を接続する場合の検討(4-5)

・集合処理が有利とされた区域同士を接続する場合の検討(4-6)

なお、集合処理が有利とされた検討単位区域であっても、4-5や4-6の接続を検討する際

には、区域内の人口減少等の動向を考慮して、これを細分化する等により個別処理区域へ見直す

等の検討を行うこととする。(検討結果のイメージ(一例)を図4-1に示す)

また、上記の検討は、経済性を基に処理手法の検討を行うことを基本とするが、整備時期、水

質保全効果、地域特性、汚水処理施設の特性、住民の意向等を総合的に考慮し、 終的に集合処

理区域、個別処理区域を設定する(4-7参照)。

なお、処理区域の設定は、地理的、地形的な特性等を十分に考慮し、必要に応じて行政界をま

たいだ検討を行うものとする。

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検討単位区域(既整備区域等)接続有利

個別処理区域 接続後集合処理区域接続不利

費用比較整備時期等

(集合か個別か)

検討単位区域(既整備区域等) 集合処理区域(既整備区域等)接続検討

(集合と個別)(集合と集合)

検討単位区域

検討単位区域

検討単位区域

検討単位区域

個別処理区域

個別処理区域

集合処理区域

集合処理区域

(配分)

推計単位ごとの

将来人口

個別処理区域

集合処理区域

検討単位区域(既整備区域等以外)

集合処理区域

集合処理区域(既整備区域等)

個別処理区域

図4-1 処理区域の設定イメージ

4-2 検討単位区域毎の将来人口等の設定

集合処理と個別処理の比較にあたって、字界等の単位で推計した将来フレーム想定年次に

おける将来人口・家屋数を基に、検討単位区域毎の将来人口・将来家屋数を設定する。

なお、学校・事業所・工場等の排出量について、人口・家屋数に換算し、検討単位区域毎

に適切に加算するものとする。

【解 説】

人口減少下における都道府県構想の策定・見直しにあたっては、施設規模等が過大とならない

よう、将来フレーム想定年次における将来人口・家屋数等を適切に設定することが重要である。

そのため、集合処理と個別処理の比較にあたっては、第2章において、字界等の単位で推計した

将来フレーム想定年次における将来人口・家屋数を基に、第3章で設定した検討単位区域毎の将

来人口・家屋数を設定する。将来人口・家屋数の配分にあたっては、土地利用計画や人口推移・

年齢構成等により区域毎の将来人口や家屋数が想定できる場合には、その想定値を基に人口・家

屋数の設定を行う。なお、想定が困難な場合には、現況の人口・家屋数の割合で配分を行う。(図

4-2に示す)

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37

また、一般世帯以外の学校・事業所・工場・交流施設等からの排出量についても、一般世帯の

人口・家屋数に換算し、検討単位区域毎の将来人口・将来家屋数に加算するものとする。(換算

方法については、「3-2 既整備区域等の把握・設定」の解説に示す)

地区別・大字別等

将来人口・将来家屋数

○,○○○人

△,△△△戸

区域1

区域2

区域3

その他の区域

●土地利用計画や人口推移・年齢構成等により区域毎の将来人口・家屋数が想定できる場合は配分を考慮

(想定が困難な場合は、現状の人口・家屋数の割合で配分)

●学校等の換算人口・家屋数を加算 どの家屋が人口減少や移転等で無くなるかは想定困難

将来フレーム想定年次における家屋の張り付き状況の想定により家屋の囲い込みを行う

土地利用計画や各家屋の居住者年齢構成等をもとに将来の家屋張り付き状況を想定

将来の家屋

張り付き状況

の想定が可能

将来フレーム想定年次における囲い込みは、現状と同じとする

将来の家屋

張り付き状況

の想定が困難

図4-2 検討単位区域毎の将来人口等の設定イメージ

4-3 既存汚水処理施設の状況の把握

処理区域を設定するにあたり、既に整備されている汚水処理施設の状況を把握した上で検

討する。

【解 説】

全国の汚水処理人口普及率は、平成 24 年度末現在で 88%を超え、全国で下水道や集落排水施

設、浄化槽等が一定程度の水準で整備されている状況にある。今後は、未普及地域の早期概成を

進めるとともに、既整備区域における施設の老朽化による改築・更新や人口減少等、汚水処理施

設を取り巻く情勢が変化する中、効率的に汚水処理施設を整備しなければならない。

そのため、既に整備されている汚水処理施設の施設能力等の過不足、現時点での稼動実績と将

来の稼動見込み、現時点での老朽度合いと今後の改築・更新見込み等を把握し、課題の抽出を行

った上で検討の基礎資料とする。

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4-4 経済性を基にした集合処理・個別処理の比較

先に抽出した検討単位区域について、経済性を基に、集合処理が有利か、個別処理が有利

かの比較を行う。

なお、可能な限り地域の実情に応じて算出した数値を用いて比較を行うものとする。

【解 説】

既整備区域等以外の検討単位区域を対象として、集合処理が有利となるか、個別処理が有利と

なるかについて、経済性を基にした比較を行う。比較にあたっては、検討に用いる施設の特性(施

工条件や用いる材料を踏まえた耐用年数等)や既整備施設の状況を踏まえた経済比較を行うもの

とし、すべての検討単位区域について、次に示すような比較表を用いて比較を行うものとする。

なお、次に示した諸数値は、参考数値であり、地域の実情に応じた数値を用いるとともに、必

要に応じてマンホールポンプの建設・維持管理費や浄化槽の放流先までの費用を計上する等、可

能な限り実態に即して比較する。(表4-1(1)、表4-1(2)に示す)

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表4-1(1) 比較表の例(下水道と浄化槽の比較)

a No. A

b 戸数 20 戸 o 判定 個別処理が有利

集合処理の場合 数量 (万円/年) 個別処理の場合 数量 (万円/年)

c 処理場(A)建設費 23m3/日 206.8 l 浄化槽(A)建設費 20 基 52.3

d 処理場(A)維持管理費 23m3/日 131.5 m 浄化槽(A)維持管理費 20 基 130.0

e MP(A)建設費 1 基 36.8 (5人槽)

f MP(A)維持管理費 1 基 22.0

g 管渠(A)開削建設費 1,000m 87.5

h 管渠(A)推進建設費 0m 0

i 管渠(A)圧送建設費 50m 3.1

j 管渠(A)維持管理費 1,050m 6.3

k 計 494.0 n 計 182.3

a:検討単位区域の記号 b:区域Aの中にある将来フレーム想定年次における家屋戸数 <集合処理の場合> c:区域Aの将来フレーム想定年次における日 大汚水量と処理場建設費 d:区域Aの将来フレーム想定年次における日 大汚水量と処理場維持管理費 e:区域Aに必要なマンホールポンプの箇所数と建設費 f:区域Aに必要なマンホールポンプの箇所数と維持管理費 g:区域Aに必要な開削工法と想定される管渠の延長と建設費 h:区域Aに必要な推進工法と想定される管渠の延長と建設費 i:区域Aに必要な圧送管と想定される管渠の延長と建設費 j:区域Aに必要な管渠の総延長と維持管理費 k:区域Aを集合処理とした場合に必要となる費用の合計 <個別処理の場合> l:区域Aに必要な浄化槽の基数と設置費 m:区域Aに必要な浄化槽の基数と維持管理費 n:区域Aを個別処理とした場合に必要となる費用の合計 <判定> o:集合処理が有利か、個別処理が有利かの判定結果(kとnを比較)

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40

表4-1(2) 比較表の例(集落排水と浄化槽の比較)

a No. A

b 戸数 20 戸 k 判定 個別処理が有利

集合処理の場合 数量 (万円/年) 個別処理の場合 数量 (万円/年)

c 処理場(A)建設費 48 人 90.8 h 浄化槽(A)建設費 20 基 52.3

d 処理場(A)維持管理費 48 人 53.3 i 浄化槽(A)維持管理費 20 基 130.0

e 管渠(A)建設費 1,000m 77.8 (5人槽)

f 管渠(A)維持管理費 1,000m 3.1

g 計 225.0 j 計 182.3

a:検討単位区域の記号 b:区域Aの中にある将来フレーム想定年次における家屋戸数 <集合処理の場合> c:区域Aの将来フレーム想定年次における計画人口と処理場建設費 d:区域Aの将来フレーム想定年次における計画人口と処理場維持管理費 e:区域Aに必要な管渠の総延長と建設費 f:区域Aに必要な管渠の総延長と維持管理費 g:区域Aを集合処理とした場合に必要となる費用の合計 <個別処理の場合> h:区域Aに必要な浄化槽の基数と設置費 i:区域Aに必要な浄化槽の基数と維持管理費 j:区域Aを個別処理とした場合に必要となる費用の合計 <判定> k:集合処理が有利か、個別処理が有利かの判定結果(gとjを比較)

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41

4-5 集合処理区域(既整備区域等含む)と個別処理区域との接続検討

集合処理区域(既整備区域等含む)に個別処理区域を接続した場合の検討を、以下のとおり行

う。

(1)集合処理が有利とされた区域に個別処理が有利とされた区域を接続した場合の検討

(2)既整備区域等に個別処理が有利とされた区域を接続する場合の検討

検討にあたっては、接続ルート沿いにある家屋についても取り込みを行い、経済性の検討を

行うこととする。なお、可能な限り地域の実情に応じて算出した数値を用いて行うものとする。

【解 説】

(1)集合処理が有利と判定された区域に個別処理と判定された区域を接続した場合の検討

「4-4 経済性を基にした集合処理・個別処理の比較」において、集合処理が有利と判定され

た区域に、個別処理が有利と判定された区域を接続する場合の検討を行う。この検討では、集合

処理区域Aと個別処理区域Bについて、集合処理区域Aは集合処理、個別処理区域Bは浄化槽に

よる整備とした方が経済的か、集合処理区域Aと個別処理区域Bを管渠で接続し、1つの集合処

理区域として処理を行う方が経済的かを検討する。(図4-3に示す)

仮に、集合処理区域Aに個別処理区域Bを接続することが有利となった場合には、新たに形成

された集合処理区域(集合処理区域A+個別処理区域B)と別の個別処理区域Cについて、順次

同様の手法を用いて接続検討を行う。

比較

(接続して1処理区として整備)

処理場(A+B+接続ルート沿い家屋)建設費

+処理場(A+B+接続ルート沿い家屋)維持管理費

+個別処理区域B内管渠建設費

+個別処理区域B内管渠維持管理費

+接続管渠建設費

+接続管渠維持管理費

家屋

集合処理区域A 個別処理区域B

区域内管渠

接続管渠

家屋

集合処理区域A

個別処理区域B

浄化槽

(Aは集合処理、Bは個別処理)

処理場(A)建設費

+処理場(A)維持管理費

+個別処理区域B浄化槽設置費

+個別処理区域B浄化槽維持管理費

+接続ルート沿いの家屋の浄化槽建設費

+接続ルート沿いの家屋の浄化槽維持管理費

(浄化槽整備)

図4-3 集合処理区域と個別処理区域との接続検討イメージ

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42

判定にあたっては、表4-2(1)、表4-2(2)を参考に、それぞれの費用を積み上げて

比較する。なお、比較にあたってはコスト縮減の手法を検討した上で、可能な限り地域の実情に

応じて算出した数値を用いるとともに、追加的行政コストによる比較も可能とする。

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表4-2(1) 集合処理区域と個別処理区域の接続判定表の例(下水道と浄化槽の比較)

<例>集合処理区域A(100 戸)と個別処理区域B(28 戸)の接続判定。接続ルート沿い家屋は 2戸。

a No. A+B

b 戸数 130 戸 s 判定 接続しないほうが

有利

接続する場合 数量 (万円/年) 接続しない場合 数量 (万円/年)

c 処理場(A+B+接続ルート沿い家屋)

建設費 150m3/日 518.2 l 処理場(A)建設費 110m3/日 445.1

d 処理場(A+B+接続ルート沿い家屋)

維持管理費 150m3/日 453.2 m 処理場(A)維持管理費 110m3/日 369.3

e MP(B+接続ルート)建設費 1 基 36.8 n 浄化槽(B)建設費 28 基 73.2

f MP(B+接続ルート)維持管理費 1 基 22.0 o 浄化槽(B)維持管理費 28 基 182.0

g 管渠(B+接続ルート)開削建設費 2,500m 218.8 p浄化槽(接続ルート沿い)

建設費 2 基 5.2

h 管渠(B+接続ルート)推進建設費 0m 0 q浄化槽(接続ルート沿い)

維持管理費 2 基 13.0

i 管渠(B+接続ルート)圧送建設費 100m 6.3 (5人槽)

j 管渠(B+接続ルート)維持管理費 2,600m 15.6

k 計 1,270.9 r 計 1,087.8

a:接続対象となる集合処理区域と個別処理区域の記号

b:区域A+B+接続ルート沿い家屋の将来フレーム想定年次における家屋戸数

<接続する場合>

c:区域A+B+接続ルート沿い家屋の将来フレーム想定年次における日 大汚水量と処理場建設費

d:区域A+B+接続ルート沿い家屋の将来フレーム想定年次における日 大汚水量と処理場維持管理費

e:区域B+接続ルートに必要なマンホールポンプの箇所数と建設費

f:区域B+接続ルートに必要なマンホールポンプの箇所数と維持管理費

g:区域B+接続ルートに必要な開削工法と想定される管渠の延長と建設費

h:区域B+接続ルートに必要な推進工法と想定される管渠の延長と建設費

i:区域B+接続ルートに必要な圧送管と想定される管渠の延長と建設費

j:区域B+接続ルートに必要な管渠の総延長と維持管理費

k:接続した場合に必要となる費用の合計

<接続しない場合>

l:区域Aの将来フレーム想定年次における日 大汚水量と処理場建設費

m:区域Aの将来フレーム想定年次における日 大汚水量と処理場維持管理費

n:区域Bに必要な浄化槽の基数と設置費

o:区域Bに必要な浄化槽の基数と維持管理費

p:接続ルート沿いの家屋に必要な浄化槽の基数と設置費

q:接続ルート沿いの家屋に必要な浄化槽の基数と維持管理費

r:接続しない場合に必要となる費用の合計

<判定>

s:接続した方が有利か、接続しない方が有利かの判定(kとrを比較)

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表4-2(2) 集合処理区域と個別処理区域の接続判定表の例(集落排水と浄化槽の比較)

<例>集合処理区域A(100 戸)と個別処理区域B(28 戸)の接続判定。接続ルート沿い家屋は 2戸。

a No. A+B

b 戸数 130 戸 o 判定 接続しないほうが

有利

接続する場合 数量 (万円/年) 接続しない場合 数量 (万円/年)

c 処理場(A+B+接続ルート沿い家屋)

建設費 312 人 315.9 h 処理場(A)建設費 240 人 265.3

d 処理場(A+B+接続ルート沿い家屋)

維持管理費 312 人 191.6 i 処理場(A)維持管理費 240 人 160.1

e 管渠(B+接続ルート)建設費 2,500m 194.4 j 浄化槽(B)建設費 28 基 73.2

f 管渠(B+接続ルート)維持管理費 2,500m 7.8 k 浄化槽(B)維持管理費 28 基 182.0

l浄化槽(接続ルート沿い)

建設費 2 基 5.2

m浄化槽(接続ルート沿い)

維持管理費 2 基 13.0

(5人槽)

g 計 709.7 n 計 698.8

a:接続対象となる集合処理区域と個別処理区域の記号

b:区域A+B+接続ルート沿い家屋の将来フレーム想定年次における家屋戸数

<接続する場合>

c:区域A+B+接続ルート沿い家屋の将来フレーム想定年次における計画人口と処理場建設費

d:区域A+B+接続ルート沿い家屋の将来フレーム想定年次における計画人口と処理場維持管理費

e:区域B+接続ルートに必要な管渠の総延長と建設費

f:区域B+接続ルートに必要な管渠の総延長と維持管理費

g:接続した場合に必要となる費用の合計

<接続しない場合>

h:区域Aの将来フレーム想定年次における計画人口と処理場建設費

i:区域Aの将来フレーム想定年次における計画人口と処理場維持管理費

j:区域Bに必要な浄化槽の基数と設置費

k:区域Bに必要な浄化槽の基数と維持管理費

l:接続ルート沿いの家屋に必要な浄化槽の基数と設置費

m:接続ルート沿いの家屋に必要な浄化槽の基数と維持管理費

n:接続しない場合に必要となる費用の合計

<判定>

o:接続した方が有利か、接続しない方が有利かの判定(gとnを比較)

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45

(2)既整備区域等に個別処理が有利とされた区域を接続する場合の検討

「4-4 経済性を基にした集合処理・個別処理の比較」において、個別処理が有利と判定され

た区域を、既整備区域等に接続する場合の検討を行う。この検討では、既整備区域等Aと個別処

理区域Bについて、既整備区域等Aは集合処理、個別処理区域Bは浄化槽による整備とした方が

経済的か、既整備区域等Aと個別処理区域Bを管渠で接続し、1つの集合処理区域として処理を

行う方が経済的かについて検討する。(図4-4に示す)

仮に、既整備区域等Aに個別処理区域Bを接続することが有利となった場合には、新たに形成

された集合処理区域(既整備区域等A+個別処理区域B)と別の個別処理区域Cについて、順次

同様の手法を用いて接続検討を行う。

比較

(接続して1処理区として整備)

既整備区域等の処理場(A+B+接続ルート沿い家屋)建設費

+既整備区域等の処理場(A+B+接続ルート沿い家屋)維持管理費

+個別処理区域B内管渠建設費

+個別処理区域B内管渠維持管理費

+接続管渠建設費

+接続管渠維持管理費

家屋

既整備区域等

個別処理区域B

区域内管渠

接続管渠

家屋

(Aは集合処理、Bは個別処理)

既整備区域等の処理場(A)建設費

+既整備区域等の処理場(A)維持管理費

+個別処理区域B浄化槽設置費

+個別処理区域B浄化槽維持管理費

+接続ルート沿いの家屋の浄化槽建設費

+接続ルート沿いの家屋の浄化槽維持管理費

(浄化槽整備)

浄化槽

既整備区域等

個別処理区域B

図4-4 既整備区域等と個別処理区域との接続検討イメージ

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46

4-6 集合処理区域(既整備区域等含む)同士の接続検討

集合処理が有利とされた区域の接続検討を行う。検討にあたっては、接続ルート沿いにあ

る家屋についても取り込みを行い、経済性の検討を行うこととする。

(1)集合処理区域同士の接続検討

(2)既整備区域等と他の集合処理区域の接続検討

なお、可能な限り地域の実情に応じて算出した数値を用いて行うものとする。

【解 説】

(1)集合処理区域同士の接続検討

集合処理が有利と判定された区域同士の接続の検討を行う。この検討では、集合処理区域Aと

集合処理区域Bについて、それぞれ単独の処理区として処理を行う方が経済的か、集合処理区域

Aと集合処理区域Bを管渠で接続し、1つの処理区として処理を行う方が経済的かについて検討

する。(図4-5、表4-3(1)、表4-3(2)に示す)

仮に、集合処理区域Aに他の集合処理区域Bを接続することが有利となった場合には、新たに

形成された集合処理区域(集合処理区域A+他の集合処理区域B)と別の集合処理区域Cについ

て、順次同様の手法を用いて接続検討を行う。

比較

(接続して1処理区として整備)

処理場(A+B+接続ルート沿い家屋)建設費

+処理場(A+B+接続ルート沿い家屋)維持管理費

+接続管渠建設費

+接続管渠維持管理費

家屋

集合処理区域A 集合処理区域B接続管渠

家屋

集合処理区域A 集合処理区域B

浄化槽

(A、Bそれぞれで集合処理)

処理場(A)建設費

+処理場(A)維持管理費

+処理場(B)建設費

+処理場(B)維持管理費

+接続ルート沿いの家屋の浄化槽建設費

+接続ルート沿いの家屋の浄化槽維持管理費

図4-5 集合処理区域同士の接続検討イメージ

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47

表4-3(1) 集合処理区域同士の接続判定表の例(下水道同士の比較)

<例>集合処理区域A(130 戸)と集合処理区域B(110 戸)の接続判定。接続ルート沿い家屋 5 戸。

a No. A+B

b 戸数 245 戸 s 判定 接続するほうが

有利

接続する場合 数量 (万円/年) 各々で処理する場合 数量 (万円/年)

c 処理場(A+B+接続ルート沿い家屋)

建設費 280m3/日 703.6 l 処理場(A)建設費 150m3/日 518.2

d 処理場(A+B+接続ルート沿い家屋)

維持管理費 280m3/日 684.3 m 処理場(A)維持管理費 150m3/日 453.2

e MP(接続ルート)建設費 1 基 36.8 n 処理場(B)建設費 120m3/日 464.5

f MP(接続ルート)維持管理費 1 基 22.0 o 処理場(B)維持管理費 120m3/日 391.2

g 管渠(接続ルート)開削建設費 2,500m 218.8 (ルート沿い家屋)

h 管渠(接続ルート)推進建設費 0m 0 p浄化槽(接続ルート沿い)

建設費 5 基 13.1

i 管渠(接続ルート)圧送建設費 100m 6.3 q浄化槽(接続ルート沿い)

維持管理費 5 基 32.5

j 管渠(接続ルート)維持管理費 2,600m 15.6 (5人槽)

k 計 1,687.4 r 計 1,872.7

a:接続対象となる集合処理区域の記号

b:区域A+B+接続ルート沿い家屋の将来フレーム想定年次における家屋戸数

<接続する場合>

c:区域A+B+接続ルート沿い家屋の将来フレーム想定年次における日 大汚水量と処理場建設費

d:区域A+B+接続ルート沿い家屋の将来フレーム想定年次における日 大汚水量と処理場維持管理費

e:接続ルートに必要なマンホールポンプの箇所数と建設費

f:接続ルートに必要なマンホールポンプの箇所数と維持管理費

g:接続ルートに必要な開削工法と想定される管渠の延長と建設費

h:接続ルートに必要な推進工法と想定される管渠の延長と建設費

i:接続ルートに必要な圧送管と想定される管渠の延長と建設費 j:接続ルートに必要な管渠の総延長と維持管理費

k:接続した場合に必要となる費用の合計

<各々で処理する場合>

l:区域Aの将来フレーム想定年次における日 大汚水量と処理場建設費

m:区域Aの将来フレーム想定年次における日 大汚水量と処理場維持管理費

n:区域Bの将来フレーム想定年次における日 大汚水量と処理場建設費

o:区域Bの将来フレーム想定年次における日 大汚水量と処理場維持管理費

p:接続ルート沿いの家屋に必要な浄化槽の基数と設置費

q:接続ルート沿いの家屋に必要な浄化槽の基数と維持管理費

r:各々で処理する場合に必要となる費用の合計

<判定>

s:接続した方が有利か、各々処理した方が有利かの判定(kとrを比較)

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表4-3(2) 集合処理区域同士の接続判定表の例(集落排水同士の比較)

<例>集合処理区域A(130 戸)と集合処理区域B(110 戸)の接続判定。接続ルート沿い家屋 5 戸。

a No. A+B

b 戸数 245 戸 o 判定 接続するほうが

有利

接続する場合 数量 (万円/年) 各々で処理する場合 数量 (万円/年)

c 処理場(A+B+接続ルート沿い家屋)

建設費 588 人 481.9 h 処理場(A)建設費 312 人 315.9

d 処理場(A+B+接続ルート沿い家屋)

維持管理費 588 人 295.5 i 処理場(A)維持管理費 312 人 191.6

e 管渠(接続ルート)建設費 2,500m 194.4 j 処理場(B)建設費 264 人 282.7

f 管渠(接続ルート)維持管理費 2,500m 7.8 k 処理場(B)維持管理費 264 人 170.9

(ルート沿い家屋)

l浄化槽(接続ルート沿い)

建設費 5 基 13.1

m浄化槽(接続ルート沿い)

維持管理費 5 基 32.5

(5人槽)

g 計 979.6 n 計 1,006.7

a:接続対象となる集合処理区域の記号

b:区域A+B+接続ルート沿い家屋の将来フレーム想定年次における家屋戸数

<接続する場合>

c:区域A+B+接続ルート沿い家屋の将来フレーム想定年次における計画人口と処理場建設費

d:区域A+B+接続ルート沿い家屋の将来フレーム想定年次における計画人口と処理場維持管理費

e:接続ルートに必要な管渠の総延長と建設費

f:接続ルートに必要な管渠の総延長と維持管理費

g:接続した場合に必要となる費用の合計

<各々で処理する場合>

h:区域Aの将来フレーム想定年次における計画人口と処理場建設費

i:区域Aの将来フレーム想定年次における計画人口と処理場維持管理費

j:区域Bの将来フレーム想定年次における計画人口と処理場建設費

k:区域Bの将来フレーム想定年次における計画人口と処理場維持管理費

l:接続ルート沿いの家屋に必要な浄化槽の基数と設置費

m:接続ルート沿いの家屋に必要な浄化槽の基数と維持管理費

n:各々で処理する場合に必要となる費用の合計

<判定>

o:接続した方が有利か、各々処理した方が有利かの判定(gとnを比較)

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(2)既整備区域等と他の集合処理区域の接続検討

既整備区域等に、他の集合処理区域を接続する場合の検討を行う。この検討では、既整備区域

等Aと集合処理区域Bについて、それぞれ単独の処理区として処理を行う方が経済的か、既整備

区域等Aと集合処理区域Bを管渠で接続し、1つの処理区として処理を行う方が経済的かについ

て検討する。(図4-6に示す)

仮に、既整備区域等に他の集合処理区域を接続することが有利となった場合には、新たに形成

された集合処理区域(既整備区域等A+集合処理区域B)と別の集合処理区域Cについて、順次

同様の手法を用いて接続検討を行う。

比較

(接続して1処理区として整備)

既整備区域等の処理場(A+B+接続ルート沿い家屋)建設費

+既整備区域等の処理場(A+B+接続ルート沿い家屋)維持管理費

+接続管渠建設費

+接続管渠維持管理費

家屋

集合処理区域B接続管渠

家屋

浄化槽

(A、Bそれぞれで集合処理)

既整備区域等の処理場(A)建設費

+既整備区域等の処理場(A)維持管理費

+処理場(B)建設費

+処理場(B)維持管理費

+接続ルート沿いの家屋の浄化槽建設費

+接続ルート沿いの家屋の浄化槽維持管理費

集合処理区域B既整備区域等

既整備区域等

図4-6 既整備区域等と集合処理区域との接続検討イメージ

4-7 整備時期、水質保全効果、地域特性、住民の意向等を考慮した集合処理、個別処理区域

の設定

集合処理区域、個別処理区域の設定にあたっては、経済性の比較による判定を基本としつ

つ、整備時期、水質保全効果、地域特性、地域住民の意向等を考慮し、総合的判断に基づい

て設定する。

【解 説】

4-6までの検討では、経済性による集合処理と個別処理の比較を行ったが、集合処理区域、

個別処理区域の設定にあたっては、経済性以外の特性についても考慮し、総合的判断に基づいて

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50

設定する。

経済性以外の特性としては、特に今後 10 年程度を目処に汚水処理施設を概成することを目指し、

整備期間を短縮する手法も検討する(具体事例については、「Ⅱ 事例集」を参照)。

さらには、以下のような各地域の特性を総合的に勘案して集合処理と個別処理の判定を行うこ

ととする。

・ 汚水処理施設毎に整備時期の早期化等についても留意し、地域における水質保全効果のた

めに望ましい手法を考慮する。

・ 個別処理では放流先が確保できない、あるいは浄化槽設置スペースの確保が困難な家屋が

多い。

・ 集合処理用地の確保が困難である。

・ 地域一体となって既に浄化槽を設置しており、改めて集合処理とすることについて住民の

合意が得られない。

・ 地域における水利用の形態(農業用水としての利用等)から集約的な処理水質の管理が必

要である。

また、既整備区域等への統合を行う場合には、経済性や汚水処理施設の施設規模だけではなく、

都市計画や農業振興地域整備計画等の土地利用計画や既存の汚水処理に関する事業計画との整合

性についても十分に留意する必要がある(2-2参照)。

なお、都市計画法の運用では、地方公共団体が、合理的な判断のもと、市街化区域内の下水道

区域を浄化槽区域に変更することを妨げるものではないことに留意する。

(参考)都市計画運用指針(抜粋)

Ⅰ.運用指針策定の趣旨

また、・・・、地域の実情等によっては、本指針で示した原則的な考え方によらない運用が

必要となる場合もあり得るが、当該地域の実情等に即して合理的なものであれば、その運用が

尊重されるべきである。

Ⅲ-4 都市施設、市街地開発事業について

2.区域区分と都市施設の関係

(市街化区域)

市街化区域においては、少なくとも道路、公園、下水道を定めるべきである。

※汚水処理施設の早期概成を踏まえた整備・運営管理手法については、第6章にて検討を行う。

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51

第5章 整備・運営管理手法の選定

5-1 事業手法の選定

(1)第4章で設定した処理区毎に、どの汚水処理施設整備事業を適用すべきかについて

検討し、整備・運営管理手法を選定する。

(2)既計画等で事業手法が明らかな処理区については、それを採用する。

(3)(2)以外の処理区については、各事業の採択基準のほか、汚泥処理に関する基本

的方針(第7章)及び維持管理の集約化の方針を勘案した上で、適用可能な事業及

び 適な事業を選定する。

【解 説】

ここでは、第4章で設定した処理区域について、以下の汚水処理事業よりそれぞれの特性を踏

まえ事業種別の選定を行う。なお、各汚水処理事業の特性を図5-1、表5-1(1)、表5-

1(2)に示す。

① 公共下水道事業(単独・流域関連別)

② 特定環境保全公共下水道事業(単独・流域関連別)

③ 農業集落排水事業

④ 漁業集落排水事業

⑤ 林業集落排水事業

⑥ 簡易排水施設整備事業

⑦ 小規模集合排水処理施設整備事業

⑧ コミュニティ・プラント

⑨ 浄化槽市町村整備推進事業

⑩ 個別排水処理施設整備事業

⑪ 浄化槽(個人設置)

※このうち①、②については、独自の処理場を持つ単独公共下水道と、流域下水道に接続するた

め独自の処理場を持たない流域関連公共下水道とを区別して取り扱う。

適用する事業の種別は、未整備区域における整備時期、既整備区域における運営管理の現状及

び課題を整理した上で、今後の施設整備や施設の有効活用、効率化を目指し、改築・更新や統合

等の時期を考慮して選定することとする。また、事業の選定にあたっては、各事業の予算上の措

置となる根拠法並び予算制度を踏まえるとともに、例えば、市街化区域外及び用途地域外での下

水道事業(都市計画事業として行われない下水道事業)においては地方自治法に基づいて分担金

が徴収できる制度を活用することや、個別処理と判断された区域での整備・維持管理については、

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早期整備の推進や適切な維持管理の確保のため、浄化槽市町村整備推進事業等、公的関与を強め

る手法についても検討を行う必要がある。

都市域(原則として

市街化区域内)

都市郊外,自然公園地区,

山間集落等農業振興地域

漁港漁場整備法で指定された

漁港の背後集落

森林法で指定された

森林整備市町村等

山村振興法により指定された

新興山村地域等

公共下水道事業(特に制限なし)

特定環境保全公共下水道事業

(1,000~10,000人)

(1,000人程度)※

(100~5,000人)※

(1,000人以下)※

(住宅戸数3戸以上20戸未満 )

(101~30,000人)

(20戸/年以上の整備)

(20戸/年未満の整備)

集合処理

               地域の特徴整備手法

※対象人口は原則であり、例外もあり

個別排水処理施設整備事業

浄化槽(個人設置)

個別処理

林業集落排水事業

漁業集落排水事業

農業集落排水事業

下水道

小規模集合排水処理施設整備事業

コミュニティ・プラント

浄化槽市町村整備推進事業

簡易排水施設整備事業

(住宅戸数2戸以上20戸未満)

対 象 地 域

対象地域が次のいずれかに該当する。①農業振興地域②漁港漁場整備法で指定された漁港の背後集落③森林法で指定された森林整備市町村等④山村振興法により指定された振興山村地域等

No

Yes

該当しない

① ② ③ ④

市街化区域または用途地域であるあるいは

市街化調整区域であり、開発行為を行う予定がある

図5-1 適用可能事業選定表(区域等の指定状況及び人口規模別)

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表5-1(1) 汚水処理施設の比較(事業概要)

区分 公共下水道事業特定環境保全

公共下水道事業農業集落排水事業

漁業集落排水事業

林業集落排水事業

目的 都市の健全な発達及び公衆衛生の向上に寄与し合わせて公共用水域の保全に資する。

自然環境の保全または農山漁村における水質の保全に資する。

農業集落における農業用用排水の水質保全、農業用用排水施設の機能維持及び農村生活環境の改善を図り、併せて公共用水域の水質保全に寄与する。

漁港の機能の増進とその背後の漁業集落における生活環境の改善を総合的に図る。

山村地域の生活環境基盤の整備を促進する。

設置主体維持管理主体

地方公共団体 地方公共団体 地方公共団体、土地改良区等

地方公共団体 地方公共団体、森林組合等

根拠法又は予算上の措置

下水道法 下水道法 農業集落排水事業(集排単独)、農業集落排水資源循環統合補助事業、農村振興総合整備事業、むらづくり総合整備事業、美しい村づくり総合整備事業、村づくり交付金の事業、汚水処理施設整備交付金の事業、農山漁村地域整備交付金のうち農業集落排水事業

漁業集落環境整備事業漁村づくり総合整備事業漁村再生交付金の事業村づくり交付金の事業汚水処理施設整備交付金の事業農山漁村地域整備交付金のうち漁業集落排水事業

森林居住環境整備事業美しい村づくり総合整備事業村づくり交付金の事業、里山エリア再生交付金の事業

制度の創設時期

昭和33年(下水道法制定)

昭和50年(特定環境保全公共下水道)昭和61年(簡易な公共下水道)

集排単独(昭和58年)、農業集落排水資源循環統合補助事業(平成14年)、農村振興総合整備事業(平成13年)、むらづくり総合整備事業(平成15年)、美しい村づくり総合整備事業(平成16年)、村づくり交付金の事業(平成16年)、汚水処理施設整備交付金の事業(平成17年)、農山漁村地域整備交付金のうち農業集落排水事業(平成24年)

漁業集落排水施設(漁業集落環境整備事業)(昭和53年)、漁業集落排水施設(漁村づくり総合整備事業)(平成6年)、漁村再生交付金の事業(平成17年)、村づくり交付金の事業(平成17年)、汚水処理施設整備交付金の事業(平成17年)、農山漁村地域整備交付金のうち漁業集落排水事業(平成24年)

林業集落排水施設(平成5年)、森林居住環境整備事業(平成14年)、美しい村づくり総合整備事業(平成16年)、村づくり交付金の事業(平成16年)、里山エリア再生交付金の事業(平成18年)

対象地域 主として市街地 市街化区域外の自然公園区域、農山漁村、水質保全上特に緊急を要する区域

農業振興地域の整備に関する法律に基づく農業振興地域(これと一体的に整備することを相当とする区域を含む。)内の農業集落

漁港漁場整備法により指定された漁港の背後集落

森林法により指定された森林整備市町村若しくは林業振興地域育成対策事業実施要網により指定された林業振興地域又は市町村森林整備計画策定等事業実施要領による森林整備推進市町村の区域

対象人口 制限なし 1,000~10,000人ただし、水質保全上特に緊急に下水道の整備を必要とする地区においては、1,000人未満も実施できる。

原則として概ね1,000人程度なお、1,000人以上で実施する場合は、市町村及び都道府県の関係部局間で協議調整を行う。

100人~5,000人なお、1,000人以上で実施する場合は、市町村及び都道府県の関係部局間で協議調整を行う。

原則として概ね1,000人以下なお、1,000人以上で実施する場合は、市町村及び都道府県の関係部局間で協議調整を行う。

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54

表5-1(2) 汚水処理施設の比較(事業概要)

区分簡易排水施設

整備事業小規模集合排水

処理施設整備事業コミュニティ・プラント

浄化槽市町村整備推進事業

個別排水処理施設整備事業

浄化槽(個人設置)

目的 農山漁村における定住者や滞在者の増加などを通じた農山漁村の活性化を図る計画を作成し、その実現に必要な生活環境施設、地域間交流拠点施設などの施設整備を中心とした総合的な取組を図る。

市町村が汚水等を集合的に処理する施設であって、小規模なものの整備促進を図る。

地方公共団体が地域し尿処理施設を設置し、し尿と雑排水を併せて処理することにより、生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図る。

水道水源の保全のために、生活排水対策の緊急性が高い地域において市町村が設置主体となって個別浄化槽の面的整備を行う。

下水道や農業集落排水施設等により汚水等を集合的に処理することが適当でない地域について、生活雑排水等の処理の促進を図る。

下水道未整備地域における雑排水による公共用水域の汚濁等の生活環境の悪化に対処する。

設置主体維持管理主体

地方公共団体、農業協同組合等

地方公共団体 地方公共団体 地方公共団体 地方公共団体 個人

根拠法又は予算上の措置

農山漁村活性化プロジェクト支援交付金の事業

小規模集合排水処理施設整備事業

廃棄物の処理及び清掃に関する法律

浄化槽法浄化槽市町村整備推進事業循環型社会形成推進交付金の事業汚水処理施設整備交付金の事業

個別排水処理施設整備事業

浄化槽法浄化槽設置整備事業循環型社会形成推進交付金の事業汚水処理施設整備交付金の事業

制度の創設時期

農山漁村活性化プロジェクト支援交付金の事業(平成19年)

小規模集合排水処理施設(平成6年)

廃棄物処理施設設置整備補助(昭和41年)

特定地域生活排水処理施設(平成6年)循環型社会形成推進交付金の事業(平成17年)汚水処理施設整備交付金の事業(平成17年)

個別排水処理施設(平成6年)

浄化槽(昭和62年)変則浄化槽(昭和63年)

対象地域 農山漁村滞在型余暇活動のための基盤整備の促進に関する法律に規定する市町村計画に定める整備地区の区域、又は、五法指定地域等((1)山村振興法にて指定された地域、(2)過疎地域自立促進特別措置法にて規定された地域、(3)離島振興法にて指定された地域、(4)半島振興法にて指定された地域、(5)特定農山村地域における農林業等の活性化のための基盤整備の促進に関する法律にて規定された地域

特に制限なし 特に制限なし 浄化槽による汚水処理が経済的・効率的である地域であって、環境大臣が適当と認める地域

①下水道、農業集落排水施設等の集合排水処理施設に係る処理区域の周辺地域(単年度あたり20戸未満の住宅を整備)②①以外の事業であって、特定地域生活排水処理事業の対象となる地域(単年度あたり20戸未満の住宅を整備)

ア下水道法予定処理区域以外の地域であって、脚注※の(ア)から(キ)のいずれかに該当する地域であること。イ下水道の整備が当分の間(原則として七年以上)見込まれない下水道事業計画区域内の地域であって、脚注※の(ア)又は(イ)のいずれかに該当する地域であること。ウ水道原水水質保全事業の実施の促進に関する法律第5条の規定に基づく都道府県計画に定められた浄化槽の整備地域

対象人口 受益戸数が原則として3戸以上20戸未満なお、農山漁村活性化プロジェクト支援交付金で新たに整備される基幹的施設と各戸から排出されるし尿・生活雑排水を管路により一体的に集合処理するものとする。

原則として住宅戸数2戸以上20戸未満

101人~30,000人 住宅戸数20戸以上(離島地域等にあたっては、10戸以上)

原則として住宅戸数20戸未満

特に制限なし

    ※浄化槽設置整備事業の対象地域    (ア)湖沼水質保全特別措置法(昭和59年法律第61号)第3条第2項に規定する指定地域    (イ)水質汚濁防止法(昭和45年法律第138号)第14条の7第1項に規定する生活排水対策重点地域    (ウ)水道水源の流域    (エ)水質汚濁の著しい閉鎖性水域の流域    (オ)水質汚濁の著しい都市内中小河川の流域    (カ)自然公園法(昭和32年法律第161号)第2条第1項に規定する自然公園等優れた自然環境を有する地域    (キ)その他人口増加が著しい等上記の地域と同等以上に雑排水対策を推進する必要があると認められる地域

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5-2 事業間連携の検討

効率的な汚水処理施設の整備・管理にあたっては、各施設の整備進捗や維持管理状況等を

踏まえ、汚水処理施設の事業間連携を検討する。

【解 説】

汚水処理施設については、適切な役割分担のもと、各施設が計画的に整備されてきたところで

あるが、現在の社会情勢においては本格的な人口減少社会の到来、市町村合併による行政区域の

再編、依然として厳しい地方財政状況がある。これらに的確に対応するためには、各施設の整備

進捗や老朽化の度合いや施設改築予定等の状況を的確に把握し、汚水処理施設の連携方策を検討

し、より効率的な汚水処理施設の整備や管理を行うことが重要である。

汚水処理施設の連携事業としては、表5-2のものがあり、これまで多くの地方公共団体にお

いて実施されてきたところである。また、農業集落排水施設と公共下水道の接続における実施フ

ロー等、連携事業の詳細な検討内容については「Ⅱ 事例集」に記載しているため併せて参考にさ

れたい。

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56

表5-2 事業間連携に関する方策

制度名 地域再生基盤強化交付金

(汚水処理施設整備交付金) 社会資本整備総合交付金 社会資本整備総合交付金

事業名 下水道、農業集落排水、漁

業集落排水、浄化槽 下水道

下水道、集落排水、浄化槽

― 特定下水道施設共同整備事業

(スクラム)

汚水処理施設共同整備事業

(MICS)

制度・事業目的 ・ 地域が自主性・裁量性の高

い資金として活用できる交

付金制度。 ・ 3省(農林水産省、国土交

通省、環境省)が所管する

下水道、農業集落排水、漁

業集落排水、浄化槽の2以

上の施設を連携して一体的

に整備することにより地域

再生を図る制度。

・ 複数小規模都市による下水

道施設の共同化・共有化を

図ることで、効率的かつ経

済的な下水道事業を推進。

・ 下水道等複数(農集排・浄

化槽)の汚水処理施設が共

同で利用できる施設を整備

することにより、効率的な

汚水処理事業を推進。

制度・事業内容 ・ 地域再生法に基づく、内閣

総理大臣の認定を受けた地

域再生計画に対して、事業

間での融通や年度間での事

業量の変更が可能な交付金

を交付。

社会資本整備総合交付金交付

要綱に基づき、以下施設が交

付対象となる。 ・ 共同水質検査施設 ・ 移動式汚泥処理施設 ・ 汚泥運搬施設 ・ 汚泥処理処分施設 ・ 共同管理施設 等

社会資本整備総合交付金交付

要綱に基づき、以下施設が交付

対象となる。 ・ 共同水質検査施設 ・ 移動式汚泥処理施設 ・ 汚泥運搬施設 ・ 汚泥処理処分施設 ・ 共同管理施設 等

導入効果 ・ 各事業の進捗状況の変化に

対応して、事業間での融通

や年度間の事業量の変更が

可能。

・ 事業調整による効率的な早

期水洗化、施設の稼働率の

向上。

・コスト縮減(建設・維持管

理費)に大きく貢献。(概

ね2割~5割と幅がある) ・維持管理の効率化に寄与。 ・同時期供用による地方公共

団体間の協力意識と職員の

スキル向上に寄与。 ・住民の下水道に対する意識

向上に寄与。 ・公共用水域の保全に寄与。 ・汚泥有効利用の促進に寄与。

・コスト縮減(建設・維持管

理費)に大きく貢献。 ・集約化による周辺環境改善

への貢献。 ・維持管理の効率化に寄与。 ・一元化による情報管理の容

易性と質的向上への寄与。 ・汚泥の有効利用の促進に貢

献。 ・遠方監視による故障時の復

旧時間短縮と住民サービス

低下の防止。 ・集約化による公共用水域の

保全に寄与。 ・コンポスト化が住民の意

識・関心の向上に寄与

導入にあたって

の留意点

・ 市町村は、地域再生法第5

条に基づく「地域再生計画」

を策定し、内閣総理大臣の

認定が必要。 ・ 「地域再生計画」の目標を

達成するために「汚水処理

施設」の整備事項の位置づ

けが必要。 ・各事業の事業量調整(整備

スケジュール調整)。 ・事業完了後の成果について

事後評価が必要。

・事業効率性を踏まえた地方

公共団体間の施設整備スピ

ードの調整。 ・事業費(移動脱水車設備等)

に関する計画と実施の乖離

の是正。 ・変更認可書類及び説明資料

の作成内容・期間。 ・都道府県及び実施市町村間

の事前調整。

・周辺地区住民のコンセンサ

スの確認。 ・市町村合併時等の各地方公

共団体保有施設のグレード

差への配慮。 ・共同監視施設の設置場所・

監視者等効率的体制の明確

化。 ・炭化物等再利用先と需要量

の把握。(実証事例研究等)

・省庁間の事前調整と補助対

象範囲等の確認。

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57

第6章 整備・運営管理手法を定めた整備計画の策定

6-1 市町村の効率的な運営管理を見据えた整備計画の策定

市町村は、財政状況、予算・人員等からみた整備可能量、事業の実施順位(優先度)、

概算事業費等を勘案し、市町村の整備計画を策定する。

ここでの整備計画では、目標年次を踏まえ、中期(概ね 10 年程度)の汚水処理施設整備

内容等を示す。また、将来フレーム想定年次(20~30 年)にわたる長期的な汚水処理施設

の対象地域、整備・運営管理の内容等を示すこととする。

なお、整備計画の策定にあたっては、長期的な人口動向等を踏まえて、汚水流入量に応

じた柔軟かつ機動的な施設整備手法の導入等を検討するものとする。

(1)事業実施優先度の検討

(2)概算事業費の算定

(3)汚水処理施設の経営の長期見通しを踏まえた実施可能事業量の検討

(4)効率性・公平性を考慮した整備方針の設定

(5)整備計画のとりまとめ

【解 説】

市町村における早期の汚水処理施設の概成と効率的な改築・更新及び運営管理を見据えた整備

計画は、都道府県構想を地域的、時間的にどのように実現していくかについての基本的方針であ

り、各事業の概算事業費や事業実施優先度及び実施可能事業量を踏まえた上で、以下の事項を定

めるものである。

なお、開発時期及び規模等の計画が不確定で将来にわたる想定が困難な地域の整備計画への記

載方法については、計画の実現性を踏まえて十分に検討することとする。

■中期(10 年程度)で汚水処理施設を概成するための整備内容等を明らかにする(本マニュア

ルではアクションプランと位置づける)

■将来フレーム想定年次(20~30 年後)に至るまでの長期的な整備・運営管理内容等について

明らかにする。

併せて、中長期における既存施設の改築・更新及び必要な事業執行上の組織、執行体制につい

ても検討を行う。

また、人口減少下における汚水処理施設整備にあたっては、汚水流入量の減少に応じた柔軟か

つ機動的な施設整備の導入等について検討する必要がある。

なお、都道府県構想の実施に向けた整備計画策定の関係性を後出の図6-1に示しているので、

市町村における整備計画の策定において参考にされたい。

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58

(1)事業実施優先度の検討

各市町村内における地域の意向の他、水質保全効果や産業特性等を背景とした処理水の再利用

等、汚水処理事業に求められるニーズ等の地域特性及び整備の効率性等を総合的に判断し、事業

実施優先度を決定する。

なお、整備・運営管理手法の選定(第5章)により適切と判断された汚水処理整備手法につい

ても、整備計画の策定(第6章)では早期整備の観点から弾力的な対応を図ることを検討する。

例えば、汚水処理施設の有する特性、経済性等を総合的に勘案した上で、集合処理区域が適切と

判断された区域であっても、10 年以内に整備が概成しない地域については、地域住民の意向等を

踏まえ、早期概成が可能な手法を導入する等の弾力的な対応を検討する。

(2)概算事業費の算定

各処理区域の建設(未整備地域の整備、統合・広域化、改築・更新等)、維持管理に係る概算

費用を算定、整理する。

(3)汚水処理施設の経営の長期見通しを踏まえた実施可能事業量の検討

各市町村が整備すべき汚水処理施設の概算事業費の算定結果を基に、建設費及び維持管理費の

財源内訳を整理するとともに、料金の適正化や一般会計からの繰入額の想定等も踏まえ、事業の

継続性を確保するための経営的視点に立って、人口減少を見込んだ適切な財政見通しに基づいた

実施可能事業量の検討を行い、整備計画作成の基礎資料とする。

(4)効率性・公平性を考慮した整備方針の設定

(1)~(3)の内容を踏まえて、各事業の事業実施順位、整備スケジュールを設定する。設

定にあたっては、市町村財政を圧迫しないように事業種別間の調整を行う必要がある。

ここでは、効率性を考慮することが必要と考えられるが、効率性のみを重視することなく、市

町村内の各地区の公平性も勘案し、地区毎の汚水処理施設の整備に大きな相違が生じないような

整備計画が望ましい。

(5)整備計画のとりまとめ

各事業の概算事業費や事業実施優先度及び実施可能事業量を踏まえた上で、目標年次を踏まえ

た、中期(10 年程度)で汚水処理施設を概成するための整備内容等とともに、将来フレーム想定

年次(20~30 年後)に至るまでの長期的な整備・運営管理内容等についても明らかにする。

整備計画において整理すべき主要項目は以下に示すとおりである。

・各処理区域において汚水処理施設を概成させるための整備手法

・整備手法毎の整備面積

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・各処理区域の運営管理手法※

※施設の有効活用、施設の統合・広域化、水質管理、経営計画、組織体制等

・ベンチマーク(指標)とその目標値

・計画処理人口と計画汚水量、計画汚泥量

・必要な概算事業費

参考として、市町村が策定する整備計画のアウトプットイメージを後出の表6-1(1)、表

6-1(2)に示す。

ただし、運営管理手法については、詳細な個別検討により具体的な手法が定まる状況も想定さ

れるため、都道府県構想により具体的な手法を定め難い場合には、現状の課題を十分に把握する

とともに既定計画の内容を踏まえ、今後の実施方針や実行メニュー等を検討する。なお、都道府

県構想策定後に行う運営管理手法についての詳細な計画策定の際には、都道府県構想との整合を

確認するとともに、差異が生じた場合は都道府県構想へ適切に反映することに留意する。

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60

6-2 目標年次における広域的かつ効率的な運営管理のための整備計画の策定

都道府県は、個々の市町村が策定する整備計画を踏まえた上で、広域的な観点から都道府

県構想を実現するための整備計画を策定する。

整備計画の策定にあたっては、水質保全要請等の事業の緊急性、効率性、地域間の公平性

を考慮するとともに、小規模市町村の汚水処理施設整備推進のために必要な事業執行上の組

織、執行体制としてどのような方策が適用できるかについても検討の上、市町村の作成した

整備計画を見直すこととなる。作成の手順を以下に示す。

(1)事業実施順位の検討

(2)概算事業費の算定

(3)整備計画のとりまとめ

【解 説】

都道府県は、生活排水対策に係る広域にわたる施策の実施及び市町村が行う生活排水に係る施

策の総合調整に努め、市町村が策定した整備計画(アクションプランを含む)を集約・整理した

上で、目標年次毎に都道府県構想を実現していくための汚水処理の効率的な運営管理を踏まえた

整備内容を示した整備計画としてとりまとめる。

都道府県構想の実施に向けた整備計画策定の関係性を図6-1に示す。

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61

図6-1 都道府県構想の実施に向けた整備計画策定の関係性

(1)事業実施順位の検討

地域特性等から事業の緊急を要する地域を抽出し、既往の汚水処理施設整備の動向を踏まえて、

事業実施順位を検討する。

(2)概算事業費の算定

都道府県が整備する施設の建設(未整備地域の整備、統合・広域化、改築・更新等)・維持管

理に係る概算費用を算定する。また、市町村の事業費について集計・整理する。

6-1 市町村の効率的な運営管理を見据えた整備計画の策定

……

中期(10 年程度)で汚水処理施設

を概成するための整備内容

(アクションプラン)

長期的(20~30 年)な

整備・運営管理内容

【A 市】

中期(10 年程度)で汚水処理施設

を概成するための整備内容

(アクションプラン)

長期的(20~30 年)な

整備・運営管理内容

【B 市】

6-2 目標年次における広域的かつ効率的な運営管理のための整備計画の策定

【都道府県】

【全市町村の整備計画のとりまとめ】

中期(10 年程度)で汚水処理施設

を概成するための整備内容

(アクションプラン)

長期的(20~30 年)な

整備・運営管理内容

・集約 ・調整

・必要に応じて見直し指導

■都道府県構想■

① 手法毎の汚水処理整備区域を設定

② ①を実現するための整備計画の策定

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(3)整備計画のとりまとめ

市町村が策定した整備計画をとりまとめる。また、(1)、(2)の検討結果を踏まえ、事業

執行の可能性等について、必要に応じて都道府県の立場からとりまとめる。この際に、小規模市

町村の汚水処理施設整備推進のため、必要に応じて以下のような組織、事業執行体制等の検討を

行い、都道府県として行うべき事項について明らかにする。

・広域的維持管理体制の整備

・広域的公共下水道方式(スクラム等)

・代行制度(過疎地域)

・一部事務組合

参考として、都道府県が策定する整備計画のアウトプットイメージを表6-1(3)、表6-

1(4)に示す。

ただし、運営管理手法については、詳細な個別検討により具体的な手法が定まる状況も想定さ

れるため、都道府県構想により具体的な手法を定め難い場合には、現状の課題を十分に把握する

とともに既定計画の内容を踏まえ、都道府県の立場から調整・指導すべき取り組み事項を検討す

る。なお、都道府県構想策定後に行う運営管理手法についての詳細な計画策定の際には、都道府

県構想との整合を確認するとともに、差異が生じた場合は都道府県構想へ適切に反映することに

留意する。

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表6-1(1) (参考):都道府県構想(整備計画)策定のアウトプットイメージ(1/4)

1)市町村が策定するアクションプラン(イメージ)

■目標年次 ○○年

■手法毎の汚水処理整備区域(区域図)(例)

下水道

集落排水

浄化槽

整備区域の凡例

下水道整備に長期間を要する地域について、早期の汚水処理概成可能な手法を検討。

TT

T

浄化槽今後10年程度で

整備する区域

浄化槽(既整備区域)

集落排水(既整備区域)

下水道(既整備区域)

下水道(既整備区域)

T

T下水道(既整備区域)

下水道今後10年程度で

整備する区域

T

集落排水今後10年程度で

整備する区域

集落排水(既整備区域)

■整備計画

① 整備スケジュール(例) 計画区分 事業 事業内容 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

平成○ 平成○ 平成○ 平成○ 平成○ 平成○ 平成○ 平成○ 平成○ 平成○

施設整備 下水道 未整備地域の整備農集排 □□農業集落排水処理施設の整備浄化槽 浄化槽市町村整備推進事業

浄化槽設置整備事業

期間短縮手法による整備の実施

フレックスプランの導入(○△地区)

・・・・・・・

実行メニュー(早期概成)

共通

② 目標値及び概算事業費等(例)

個人設置型

市町村設置型

整備人口1人当たりの建設費用(千円/人)

全体 公共下水道集落排水

施設

概算事業費

計画汚泥量(t/日)

総建設事業費(百万円)

年間維持管理費(百万円/年)

早期概成手法その他

整備手法整備人口(人)

整備面積(集合処理分)(ha)

浄化槽

汚水処理人口普及率(%)目標値

・・・・・・

計画水量(m3/日)

備考(早期概成手法の内容)

実行メニュー

期間短縮手法による整備の実施

・・・・・・

フレックスプランの導入(○△地区)

・設定した整備スケジュールに従い、目標年次並びに中間年次における

各指標の数値を記載。

※長期的(20~30 年)な整備・運営管理内容の目標値、ベンチマーク(指標)についても、必要に応じて併記。

※ベンチマーク(指標)については、8 章及び「Ⅲ 資料編 資料-4」に示した例を参考に市町村毎に設定可能。

※実行メニューについては、市町村の実情に応じて記載。

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表6-1(2) (参考):都道府県構想(整備計画)策定のアウトプットイメージ(2/4)

2)市町村が策定する長期的(20~30 年)な整備・運営管理内容(イメージ)

■目標年次 ○○年

■手法毎の汚水処理整備区域(区域図)(例)

下水道

集落排水

浄化槽

整備区域の凡例

下水道

浄化槽

浄化槽TT

集落排水

T下水道

処理施設の老朽化(改築更新)に合わせて施設の統合を検討。

集落排水

T

■整備計画

① 課題の整理(例)

課題1 B処理区の処理場の老朽化、A処理区の施設の余裕が増大している

課題2 C地区の処理場が老朽化しており、高額な更新費用が見込まれている

課題3 ・・・・・・

② スケジュール(例) 計画区分 事業 事業内容 15 20 25 30

平成○ 平成○ 平成○ 平成○

B処理区をA処理区へ統合

C地区をA処理区へ統合

・・・・・・

実行メニュー(運営管理)

共通

③ 目標値及び概算事業費等(例)

個人設置型

市町村設置型

B処理区をA処理区へ統合

・・・・・・・

集落排水施設

実行メニュー C地区をA処理区へ統合

浄化槽

その他

整備手法整備人口(人)

整備面積(集合処理分)(ha)

全体 公共下水道

概算事業費

・・・・・・・・

・・・・・・・・

総建設事業費(百万円)

年間維持管理費(百万円/年)

・・・・・・・・

ベンチマーク(指標)

計画水量(m3/日)

計画汚泥量(t/日)

・設定した整備スケジュールに従い、目標年次並びに中間年次における各指標の数値を記載。

※アクションプランの目標値、ベンチマーク(指標)についても、必要に応じて併記。

※ベンチマーク(指標)については、8 章及び「Ⅲ 資料編 資料-4」に示した例を参考に市町村毎に設定可能。

※実行メニューについては、市町村の実情に応じて記載。

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表6-1(3) (参考):都道府県構想(整備計画)策定のアウトプットイメージ(3/4)

3)都道府県が策定するアクションプラン(イメージ)

集落排水施設 浄化槽 その他 早期概成手法 処理施設数 目標値

個人設置

市町村設置

合計個人設置

市町村設置

合計

A市

B市C市D市E市・・・F町G町H町I町J町・・・K村L村M村・・・

合計

目標値

H○年度 H○年度 H○年度 H○年度 H○年度 H○年度ベンチマーク

(指標)

○○流域□□流域△△流域・・××流域○○公共△△農集

- - -

K村、M村 - - - - - -・ - - - - - -

整備人口(人)

普及率(%)

市町村との連携による実行メニュー(概要)

実行メニ

ュー

都道府県

全体

普及率(%)

下水道

整備人口(人)

項目 区分

流域幹線整備進捗率(%)

流域処理場整備進捗率(%)

ベンチマーク(指標)

普及率(%)実行メニュー

(概要)

し尿処理場

その他

整備人口(人)

普及率(%)

下水道

集落排水

市町村集計

行政人口(人)

汚水処理人口(人)

整備人口(人)

項目 市町村名

汚水処理人口

普及率(%)

整備人口(人)

普及率(%)

 各市町村の中期(10年)の目標値を集計して記載

例えば、下水道整備に長期間を要する地域について、早期の汚水処理概成可能な手法の検討内容等を記載

市町村が汚水処理を早期に概成するための手法等の実行内容を記載。

【実行メニュー(記載例)】 ・汚水処理施設共同整備事業(MICS) ・特定下水道施設共同整備事業(スクラム) ・代行制度(過疎地域) ・一部事務組合の設置 ・流域下水汚泥処理事業      等

関連市町村の整備進捗に合わせて目標値を記載

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表6-1(4) (参考):都道府県構想(整備計画)策定のアウトプットイメージ(4/4)

4)都道府県が策定する長期的(20~30 年)な整備・運営管理内容(イメージ)

集落排水施設 浄化槽 その他 処理施設数 目標値

個人設置

市町村設置

合計個人設置

市町村設置

合計

A市

B市C市D市E市・・・F町G町H町I町J町・・・K村L村M村・・・

合計

目標値

15 20 ・・・ 30平成○年 平成○年 ・・・ 平成○年

○○流域

□□流域△△流域・・××流域○○公共△△農集K村、M村・

ベンチマーク(指標)

項目 市町村名

市町村との連携による実行メニュー(概要)

整備人口(人)

長期的な整備・運営管理に対する課題

汚水処理人口(人)

汚水処理人口

普及率(%)

実行メニューに対する実行スケジュール(実行目標年次)

実行メニ

ュー

都道府県

市町村集計

項目 区分

全体 流域関連下水道 公共下水道

実行メニュー(概要)

その他

整備人口(人)

普及率(%)

整備人口(人)

普及率(%)行政人口(人)

ベンチマーク(指標)

普及率(%)

整備人口(人)

普及率(%)

整備人口(人) 集落排水

し尿処理場

普及率(%)

下水道

 各市町村の長期(20~30年)の目標値を集計して記載

例えば、処理施設の老朽化等(改築更新)に合わせた施設の統合等の検討内容を記載

効率的かつ適切な汚水処理事業の運営管理が実施できるよう、例えば、流域処理場への接続等の実行内容を記載。

【実行メニュー(記載例)】 ・広域的維持管理体制の整備 ・汚水処理施設共同整備事業(MICS) ・特定下水道施設共同整備事業(スクラム) ・一部事務組合の設置

 ・流域下水汚泥処理事業      等

都道府県や市町村が管理する処理施設の更新時期、施設稼働の予測(流入水量減等)や事業執行体制等に対する予想される課題を記載。

各実行メニューのスケジュールを記載

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第7章 汚泥処理の基本方針・計画

7-1 汚泥処理の基本方針・計画

都道府県は、都道府県構想を策定するにあたり、市町村と連携し、汚泥処理の現況、課題

及び汚泥処理に関連する計画等を踏まえ、将来的な発生汚泥の効率的かつ適切な処理を図る

観点から、汚泥処理システムについての検討を行う上での基本方針をとりまとめる。また、

基本方針に基づき、汚泥の利活用を踏まえた汚泥処理の計画について検討する。

具体的な手順は、以下のとおりである。

(1)汚泥処理の現況と課題の把握及び汚泥処理に関連する計画の整理

(2)汚泥処理に関する基本方針のとりまとめ

(3)汚泥の利活用を踏まえた汚泥処理の計画の検討

【解 説】

都道府県構想においては、将来的な発生汚泥の効率的かつ適切な処理を図る必要がある。その

観点から、都道府県は、汚泥処理に関する各地域の実情や特性を踏まえつつ、市町村と連携して

汚泥処理についての基本方針をとりまとめる。そして、この基本方針に基づき、都道府県及び市

町村は、汚泥の利活用及び広域的な観点を踏まえ、汚泥処理の計画を検討する。

標準的な基本方針のとりまとめ・計画の検討のフローを図7-1に示す。

市町村

都道府県

図7-1 標準的な汚泥処理の基本方針・計画の検討のフロー

(1)汚泥処理の現況と課題の把握及び汚泥処理に関連する計画の整理

汚泥処理に関する基本方針のとりまとめ及び計画の検討に先立ち、市町村は汚泥処理の現況と

●市町村における基礎調査と検討

○現況・課題の把握

○市町村が有する汚泥処理の関連計画の整理

○将来発生汚泥量の算出

■基本方針のとりまとめ

□各市町村の調査・検討結果の集約

□都道府県が有する汚泥処理の関連計画の確認

□汚泥処理に関する基本方針のとりまとめと市町村

への周知

◆汚泥の利活用を踏まえた汚泥処理の計画の検討

◆広域的な観点を踏まえ、都道府県と市町村が連携し、汚泥処理の計画を検討

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課題を把握する必要がある。そこで、第4章で設定した処理区域を踏まえ、各事業主体の発生汚

泥量を将来にわたって算出する。

各事業主体の発生汚泥量は、当該市町村の汚泥処理システムを検討する上での基礎となる数値

であり、原則として当該市町村における下水道、集落排水及び浄化槽等の実績や、都道府県及び

市町村の廃棄物処理計画等の汚泥処理に関連する既計画に基づいて算出する。なお、実績等がな

く、これにより難い場合には、一般的な発生汚泥量原単位あるいは余剰汚泥発生量の予測式等を

用いて算出しても差し支えない。

調査内容(例)を表7-1に示す。

表7-1 調査内容(例)

①既整備施設の現況と課題

(汚水処理方式、汚泥処理方式、処理能力、施設の老朽度、発生汚泥量等)

②都道府県、市町村の廃棄物処理計画等、汚泥処理に関連する計画

③既整備施設の将来計画(汚水処理方式、汚泥処理方式、処理能力、発生汚泥量等)

④未整備地域の現況と課題(汲み取り便所、単独処理浄化槽設置数、発生汚泥量等)

⑤し尿処理場の現況と課題(処理方式、処理能力、収集範囲、施設の老朽度等)

⑥し尿処理場の将来計画(処理方式、処理能力、収集範囲、発生汚泥量等)

⑦発生汚泥の利活用の現況と課題及び将来計画(堆肥化、エネルギー利用等)

⑧汚泥 終処分地の現況と課題及び将来計画

⑨上記を踏まえた将来にわたる発生汚泥量

(2)汚泥処理に関する基本方針のとりまとめ

都道府県は、各市町村の現況及び将来の事業主体別発生汚泥量の算定結果を踏まえ、都道府県

及び市町村の廃棄物処理計画等との調整を図り、汚泥処理に関する基本方針をとりまとめる。

基本方針においては、汚泥を資源あるいはエネルギーとして活用する等、循環型社会の形成を

念頭に置き、とりまとめるものとする。なお、汚泥処理の検討方法の例を「Ⅱ 事例集」にとりま

とめたので、検討の参考にされたい。

(3)汚泥の利活用を踏まえた汚泥処理の計画の検討

市町村は、都道府県がとりまとめた汚泥処理に関する基本方針に基づき、汚泥処理の計画を検

討する。この際、今後の人口減少社会等も考慮し、必要に応じて、運営管理の効率化及び地域の

特性を踏まえた利活用(資源利用あるいはエネルギー利用)の観点から、複数の汚水処理施設か

ら発生する汚泥の集約化も含めた検討を行う。

都道府県は、市町村の汚泥処理の検討を踏まえ、広域的な観点(複数の市町村による連携や災

害時の広域処理等)も含め、必要な助言等を行う。

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第8章 都道府県構想策定時の住民関与と進捗状況等の見える化

8-1 住民の意向の把握

都道府県構想の策定に際し、あらかじめ都道府県構想の案を公表・周知する等、住民の

意向の把握に努める。

(1) 住民の意向の把握・反映

(2) 住民への計画(案)の公表

【解 説】

汚水処理施設はそれぞれ特性が異なるとともに、施設によって住民負担、住民の義務等も異な

ることに留意し、地域毎に予定している汚水処理施設の整備手法や整備スケジュール等の都道府

県構想(案)を公表・周知し、十分、住民の意見を把握した上で、適切に都道府県構想へ反映す

る必要がある。また、住民の意向は、事業実施優先度を判断する際の貴重な資料でもあることか

ら、十分活用を図るよう留意すべきである。

なお、汚水処理事業を円滑に推進し、健全な事業運営を行うためには、都道府県構想や計画等

事業の早い段階から、適切な情報提供を適宜行い、住民と認識を共有することが重要である。

住民の意向の把握、反映の方法として、①パブリックコメントの実施、②地元住民への説明会、

③パブリック・インボルブメント(PI)の実施、④学識経験者を含む委員会の設置等、⑤その

他の手法がある。住民の意向の把握、反映の方法の例を「Ⅱ 事例集」としてとりまとめたので実

施の参考にされたい。

(1)住民の意向の把握・反映

住民の意向の把握、反映の方法として、以下のようなものがある。

①パブリックコメントの実施

パブリックコメントは、行政機関が政策の立案等を行おうとする際にその案を公表し、この

案に対して広く国民・事業者等から意見や情報を提出してもらう機会を設け、行政機関は、提

出された意見等を考慮して 終的な意思決定を行うものである。

パブリックコメントを実施する際は、各種整備手法の位置図やその設定根拠等を開示し、住

民の意向の把握を行うこととする。

②地元住民への説明会

各自治会単位等で説明会を開き、住民の意向を把握する。特に、都道府県構想の見直しによ

り汚水処理整備手法が変更となる住民に対しては、汚水処理サービスを適正に確保すること等

について説明を行い、理解を求めることが重要である。

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住民説明の実施例としては、各自治会に検討手法を示し、その検討結果について説明を行っ

ている例がある。また、集合処理から個別処理へ計画変更を行う際に、市町村設置型の浄化槽

事業を行う旨を説明し、汚水処理サービスが同等のものであることに理解を得た例がある。

③パブリック・インボルブメント(PI)の実施

パブリック・インボルブメント(Public Involvement)は、公共事業の計画づくりや事業を

進める過程で、関係する住民や利用者に情報を公開した上で、広く意見を聴取し、計画づくり

や事業実施に住民の意見を反映させるものである。

PIの目的は、都道府県構想の意義や基本方針を住民に周知すること、都道府県構想につい

て住民の意見を聴取すること、その意見を反映させること及び住民とのコミュニケーションを

図ること等が挙げられる。

PIでは、都道府県構想の基本的な方針やその根拠、住民の財政的負担等について、パンフ

レットやインターネットを用いて周知し、アンケートや意見交換会等を行い、住民の意向を聴

取し、都道府県構想に活かすことができる。

④学識経験者を含む委員会の設置等

学識経験者を含む委員会を設置する等、有識者から意見を聴取する場を設け、その審議結果

を都道府県構想策定に反映させるものである。

学識経験者の専門的な立場からの意見を踏まえることで、第三者の立場からの視点を入れる

ことによる都道府県構想の客観性の担保や水環境保全等の専門的な見地からの汚水処理施設整

備手法の選定が可能になることが考えられる。

⑤その他の手法

汚水処理事業に関連するイベントや、地域住民が集まる場(地域集会、出前講座等)を、都

道府県構想の内容説明や今後の円滑な事業推進のための理解と協力を得る場として活用するこ

とが考えられる。

また、汚水処理施設に関するアンケート調査を実施し、住民の意向を把握することで、都道

府県構想の検討に活かす手法等が考えられる。

(2)住民への計画(案)の公表

都道府県構想(案)の計画図や各事業の対象面積、人口等の基本データ等をホームページや

広報誌等により公表・周知することで住民の意向を把握し、これらの結果を考慮した都道府県

構想を策定することが考えられる。

なお、公表・周知にあたっては、地域住民等に対し、計画案の内容をわかり易く表現するこ

とに留意する。

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71

8-2 都道府県構想の進捗状況等の見える化

住民等に対する汚水処理事業に関する理解を得るため、策定した都道府県構想についての

ベンチマーク(指標)の公表を行い、都道府県構想の見える化を図る。

【解 説】

汚水処理事業を進めていく上では、汚水処理施設の整備の進捗のみならず、個別処理施設の維

持管理等、住民等の理解と協力を得ることが重要となる。そのため、策定した都道府県構想の客

観性・透明性の確保や、都道府県構想の着実な実行のため、都道府県構想の内容や目標に対する

進捗状況を公表するといった、都道府県構想の見える化を図る。なお、都道府県構想の見える化

を図るための取り組み事例を「Ⅱ 事例集」にとりまとめたので参考にされたい。

策定した都道府県構想については、ホームページや広報紙での公表する、パンフレットを作成

して配布する等、広く周知できる方法により、都道府県民へ積極的に情報提供を図る。

なお、都道府県構想策定時においては、計画図や各事業の対象面積、人口等の基本データの他、

進捗管理のためのベンチマーク(指標)の目標値や整備計画についても公表し、その後は、目標

達成に向け、ベンチマーク(指標)を基にした進捗状況を定期的(例えば、1年毎等)に公表し

ていくものとする。

なお、「Ⅲ 資料編 資料-4」にベンチマーク(指標)の一覧を掲載しているので参考とされ

たい。