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化学物質の リスクアセスメント 2019年度 化学物質取扱者講習会 環境安全衛生管理室 錦見 端 1 本日の内容 化学物質リスクアセスメントとは 大学における化学物質関連事故 名大の方針 化学物質リスクアセスメントの実施方法 リスクアセスメントの進め方 リスクアセスメント方法の例 まとめ 2 化学物質リスクアセスメント義務化 労働安全衛生法改正(H28年6月1日施行) 対象:一定の危険有害性のある化学物質 SDS交付義務のある「通知対象物質」(673物質) 上記以外の物質:努力義務 化学物質の製造・取扱のすべての事業者(大学も該当) 化学物質リスクアセスメント 3 目的 化学物質リスクアセスメントの実施 化学物質取扱者の危険・健康障害を防止 (注)673物質のリスト:http://www.esmc.nagoya-u.ac.jp/risk/risk.html 化学物質リスクアセスメント法制化 【契機】 印刷会社従業員に胆管がんが多発 インク洗浄作業での1,2-ジクロロプロパンおよび ジクロロメタンのばく露 労災認定者30名(うち13名は認定時死亡) 1,2-ジクロロプロパン 当時は健康有害性に関する法規制はなかった 本事案後、法規制化(2013年、「特定化学物質」に指定) 4 これまでの個別の化学物質ごとの規制では限界 個別の化学物質に対する規制は限界(多くは後追い規制) 化学物質の使用場面に応じたリスクアセスメントが必須 法規制の有無にかかわらず、事業者が自主的に管理する

化学物質の リスクアセスメント - 名古屋大学化学物質リスクアセスメント:名大の進め方(2) 実験条件が大きく変わった場合、再度実施する

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Page 1: 化学物質の リスクアセスメント - 名古屋大学化学物質リスクアセスメント:名大の進め方(2) 実験条件が大きく変わった場合、再度実施する

化学物質の

リスクアセスメント

2019年度

化学物質取扱者講習会

環境安全衛生管理室

錦見 端

1

本日の内容

• 化学物質リスクアセスメントとは

• 大学における化学物質関連事故

• 名大の方針

• 化学物質リスクアセスメントの実施方法• リスクアセスメントの進め方

• リスクアセスメント方法の例

• まとめ

2

化学物質リスクアセスメント義務化

• 労働安全衛生法改正(H28年6月1日施行)

• 対象:一定の危険有害性のある化学物質➡ SDS交付義務のある「通知対象物質」(673物質)

• 上記以外の物質:努力義務

• 化学物質の製造・取扱のすべての事業者(大学も該当)

化学物質リスクアセスメント

3

目的 化学物質リスクアセスメントの実施

化学物質取扱者の危険・健康障害を防止

(注)673物質のリスト:http://www.esmc.nagoya-u.ac.jp/risk/risk.html

化学物質リスクアセスメント法制化

【契機】 印刷会社従業員に胆管がんが多発

• インク洗浄作業での1,2-ジクロロプロパンおよびジクロロメタンのばく露

• 労災認定者30名(うち13名は認定時死亡)

• 1,2-ジクロロプロパン当時は健康有害性に関する法規制はなかった本事案後、法規制化(2013年、「特定化学物質」に指定)

4

これまでの個別の化学物質ごとの規制では限界

• 個別の化学物質に対する規制は限界(多くは後追い規制)

• 化学物質の使用場面に応じたリスクアセスメントが必須

• 法規制の有無にかかわらず、事業者が自主的に管理する

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大学における最近の化学物質関係の重大事故(例)

発生年 大学 表題 被害 概要 673物質?

2008 UCLAt-ブチルリチウムの発火

研究員1名全身火傷で死亡

薬品を注射器で採取時、体に浴び発火

No

2011 東工大金属ナトリウムの爆発

院生3名火傷(顔など)うち1名重傷

実験使用ナトリウムの後処理時

No

2011首都大学東京

過酢酸の爆発学生1名ガラス破片で重傷

酢酸と過酸化水素水を混合

No

2014 九州大薬品容器の破裂(アジ化物)

研究員1名、両手指(複数)切断

グローブボックス内で実験中

No

2014 東大化学実験中に爆発・火災

学生1名、火傷・ガラス破片で重傷

詳細不明(廃液処理中)

No(混合物)

2017 大阪大化学実験中に爆発

学生1名ガラス破片で重傷

芳香族ジアゾニウム塩の爆発

No

5 6

2-プロパノール過酸化物(約0.3g)の爆発(2016年度)

名大の実験室における最近の爆発事故(例)

名古屋大学における実験関連事故

7

化学物質

(薬傷)

化学物質

(爆発・破裂・火災)

切創

火傷

はさまれ・巻き込まれ

実験動物・虫刺され

その他

対象:休業または不休業災害期間:2013~2017年度(5年間)全件数:148件

化学物質の事故は切創と並び最多

多くは薬傷、他に爆発・破裂・火災

化学物質リスクアセスメント:名大の進め方(1)

対象化学物質

• 法定物質(673物質)に限定しない

• 特に消防法で定める危険物は実施すべき(火災・爆発を考慮)

• 「実験」に限定しない ➡ 廃棄物処理時などでも事故多発

• 取扱化学物質数が多い場合、危険有害性の大きいものから優先して実施

リスクアセスメントの方法

• 任意:研究内容を一番良く知っている研究者が判断

誰がいつ実施するのか?

• 原則として取扱者(学生等)が当該物質を初めて使用するとき

(教員がリスクアセスメントの結果を確認する)

• 研究室等でリスクアセスメントを実施し、それを取扱者に教育しても良い 8

「重大事故」を未然防止するために実施

対象物質:法定物質に限定しない

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化学物質リスクアセスメント:名大の進め方(2)

実験条件が大きく変わった場合、再度実施する

• スケールアップ

• 取扱い条件の大きな変化(例、より高温での取扱い)

関連学内規程および通知類

• 名大化学物質等安全管理規程:リスクアセスメント実施(第10条)

• 学内通知(平成28年6月9日)「化学物質のリスクアセスメントの実施義務化について」

• 学内通知(平成28年10月8日)「化学物質のリスクアセスメントの運用について」

• 環境安全衛生管理室HPhttp://www.esmc.nagoya-u.ac.jp/risk/risk.html

9

化学物質リスクアセスメントをどう進めるか?

10

危険有害

性の特定

•化学物質やそれを含む混合物の

危険性や有害性を特定する

リスク

見積り

•それによる作業者への危険又は健康障

害を生じるおそれの程度を見積もる

リスク低

減対策

•リスクの低減対策を検討(実施)する

以下の3ステップで進める

危険有害性とは

危険有害性の調査方法

• 薬品容器のラベル:GHS表示

• 安全データシート(SDS):薬品業者のHP等から入手

※ 文献情報、あるいは研究室での過去の経験などは非常に重要

危険有害性 内容

物理化学的危険性 爆発・火災など

健康有害性眼・皮ふへの障害(腐食性・急性毒性)急性・慢性健康障害(中毒・発がんなど)

環境有害性 水生生物毒性、オゾン層破壊など

【第1ステップ】 化学物質の危険有害性の調査

11

化学物質の危険有害性をもれなく調べる

最も重要なステップ

危険有害性を知らなければ以下のステップが無意味

化学物質の危険有害性情報の確認手順

12

薬品容器のラベル(又はSDS)を確認

GHS絵記号があるか?

顕著な危険有害性はない

No

SDSを確認する

Yes

SDS:(化学物質の)安全データシート(Safety Data Sheet)

GHS:化学品の分類および表示に関する世界調和システム

特に、「2.危険有害性の要約」の中の「危険有害性情報」

及び「15.適用法令」

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薬品のラベル表示例(実験用試薬類)

GHSに基づく表示

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SDSの例(メタノール)

14

2.危険有害性の要約

15.適用法令

危険有害性(例):メタノールのSDSより

15

必ず見る!• 絵表示• 注意喚起語(危険/警告)• 危険有害性情報

GHS資料

実験前に確認!

16

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化学物質リスクアセスメントをどう進めるか?

17

危険有害

性の特定

•化学物質やそれを含む混合物の

危険性や有害性を特定する

リスク

見積り

•それによる作業者への危険又は健康障

害を生じるおそれの程度を見積もる

リスク低

減対策

•リスクの低減対策を検討(実施)する

以下の3ステップで進める

【第2ステップ】 リスクの見積り

リスクの大きさ リスクは許容できるか? リスク低減対策の必要性

大 許容できない 即座に必要、実験中止

中 許容できない 必要

小 許容できる 不要、実験継続

リスクの大きい場合、リスク低減対策を実施する

化学物質の危険有害性の大きさ

発生の確率リスク = X

化学物質を使用する条件(使用量、温度、作業時間、実験環境など)を考慮し、決定

18

化学物質の危険有害性の大きさ、及び

それを取り扱う作業方法、作業環境等を考慮し、

作業者へのリスクを見積もる

【例】

【第2ステップ】 リスクアセスメントの例

実験者の保護具着用状況

実験場所健康障害リスク

引火リスク

リスク

対策前 保護具の未着用オープンの実験台上

大 大大

(許容できない)

実施予定の実験

(1) 固体のサンプル (10 g) を500 mL のフラスコに入れる

(2) フラスコに300 mL のメタノールを加える

(3) フラスコを50 ℃に加熱、固体サンプルを溶解し、メタノール溶液を作る

19

薬品ラベル及びSDSからの情報(第1ステップ)

作業方法等を考慮してリスクを見積る(第2ステップ)

対策後保護メガネ及び保護手袋を着用

ドラフトチャンバー内

小 小小

(許容できる)

メタノールの危険有害性(一部)

(1) 引火性の高い液体及び蒸気

(2) 強い眼刺激をおこす

(3) 以下の臓器に障害を生じる 中枢神経系、視覚器、全身毒性

化学物質リスクアセスメントをどう進めるか?

20

危険有害

性の特定

•化学物質やそれを含む混合物の

危険性や有害性を特定する

リスク

見積り

•それによる作業者への危険又は健康障

害を生じるおそれの程度を見積もる

リスク低

減対策

•リスクの低減対策を検討(実施)する

以下の3ステップで進める

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【第3ステップ】 リスク低減対策

対策の優先順位

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リスク評価結果に基き、必要なものには対策を実施

分類 具体例

本質安全化 より安全な化学物質への変更

実験条件の変更 小スケール化、温度・圧力条件緩和、専用装置の使用等

工学的対策設備密閉化(グローブボックス)、局所排気装置(ドラフト)などの使用

管理的対策 マニュアル整備、立入禁止措置等

保護具の使用 適切な保護メガネ、保護手袋などの着用

事故発生時対応 消火器、緊急シャワー、周囲に可燃物を置かない、等

実際のリスクアセスメント例(名大の研究室で実施されているもの)

• 化学合成の研究室:チェックシート方式

• 反応で使用するすべての化学物質を列挙

• その危険有害性をチェックシートで確認

• 対策を確認(例、保護具の着用、ドラフトチャンバー使用)

• 指導教員の確認を受けたのち、実験を開始する

• 材料関係の研究室:調査レポート提出

• 学生に実験で使用する化学物質の

危険有害性を調べさせ、レポートを提出

• 調査方法をきちんと教えないと、

危険有害性に漏れがある

おそれがある

22

化学関係研究室の例

(チェックシート方式)出典:インペリアル大学 Dept. Safety Handbook

23

リスクアセスメント例:名大方式

• シンプル

化学の専攻でなくとも、実施可能

必要な情報:SDSのみ

• 1つの化学物質:A4のチェックシート1枚

• 使用化学物質の危険有害性の理解

• 最低限実施すべき安全対策の理解・実施

• 関連法規制の概要も理解できる

関連HP:http://www.esmc.nagoya-u.ac.jp/kagaku/risk.html

24

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名大 化学物質リスクアセスメントシート

メタノール 名大太郎

サンプルをメタノールに50℃で溶解する

65 11 H28.5.23

25

危険有害性(例):メタノールのSDSより

26

必ず見る!• 絵表示• 注意喚起語(危険/警告)• 危険有害性情報

名大 化学物質リスクアセスメントシート

メタノール 名大太郎

サンプルをメタノールに50℃で溶解する

65 11

×

H28.5.23

27

適用法令(例):メタノールのSDSより

28

この3つの法規は必ず見る!

• 消防法:危険物?

• 毒劇法:毒物又は劇物?

• 安衛法:特定化学物質又は有機溶剤?

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名大 化学物質リスクアセスメントシート

メタノール 名大太郎

サンプルをメタノールに50℃で溶解する

65 11

×

××

ドラフト内で作業し、周囲に電気器具・可燃物を置かない

H28.5.23

×

29

SDS調査のポイント

• 主なSDS提供サイト

• 厚労省「職場のあんぜんサイト」 ⇒ GHS対応モデルSDS情報

• 日本試薬協会MSDS検索(メーカー別検索)

• MaCS-NUでも閲覧可能

• 留意点

• SDSは信頼できる発行元のできるだけ新しいものを(できれば複数)見る(SDSはメーカーや発行時期により内容が異なる)

• GHS対応しているSDSを見る(古いSDSは未対応のものあり)

• 「職場のあんぜんサイト」(厚労省)は有用だが、情報が古いこともある

• Google検索は有用だが、古いSDSがトップに来ることがあり、注意が必要

30

SDSは信頼できる発行元のできるだけ新しいものを見る

化学物質リスクアセスメント:一般に公開されている手法

31

健康障害防止: 使いやすい手法がある

爆発火災防止: あまり良い手法がない

• 厚労省

国内外の様々な手法の紹介

http://anzeninfo.mhlw.go.jp/user/anzen/kag/ankgc07.htm

• 名大環境安全衛生管理室

厚労省や他大学等の手法の紹介

http://www.esmc.nagoya-u.ac.jp/risk/risk.html

※ 環境安全衛生管理室

• 不明な点はお問合せください

• 各研究室のリスクアセスメントの進め方のご相談にも応じます

CREATE-SIMPLE使ってみる価値あり

まとめ

• 初めて使う化学物質は使用前にリスクアセスメントを必ず実施し、記録を残す

• リスクアセスメントの進め方(1) 危険有害性の特定(最重要)(2) リスクの見積り(方法は任意)(3) リスク低減対策の検討・実施

• 化学物質の危険有害性(1) 火災・爆発(2) 目や皮膚への傷害(3) 健康障害(急性、慢性)

• 実施時の留意点

• メインの実験だけでなく、廃棄物処理等も考慮する

• 原則として、実験前に取扱者(学生等)が行い、管理者が確認する

• スケールアップなど実験条件が大きく変化した場合は再度実施する 32

• 危険有害性を漏れなく調査する(ラベル、SDSの読み方)

• リスク見積り手法は任意

大学における過去の事故事例では(1)が最も重篤な事故(2)がもっとも多く発生

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化学物質リスクアセスメントチェックシート

使用化学

物質

沸点(C) 引火点(C)

日付

氏名

【留意事項】

(1) 実験をスケールアップした場合、極端にリスクが高くなる場合が

多い。できるだけ小スケールで実験すること。

スケールアップした場合は、再度アセスメントを実施し、より厳重

な安全対策をとること。

(2) 取扱い温度が高温になれば、一般的に格段にリスクは増大する

ことに留意する。

操作概要

追加の安全

対策等

リスク低減措置

チェ

ック

チェック項目 判断基準 危険性(ハザード)

実験用

一般ゴミ

箱に投入

しない

保護メガ

ネを着用

する

着火源

(注 1)から

遠ざける

周囲に可燃物

を置かない。消

火方法を確認し

ておく

緊急シャワ

ー、洗眼器

等を確認し

ておく

局所排気

装置(ドラ

フト等)を使

用する

その他

1 つ以上の不明成分

を含む廃液・廃棄物

の処理、あるいは不

明薬品類の処理か?

左に同じ

・加熱、濃縮、衝撃あるいは他の化学物質の添

加等により、爆発・火災・有害物質発生の可能性

がある。

● ● ● ● ● ○

不明物を含む物質(群)の処理は絶対に自

分で行わない。専門の処理業者等に委託

する。それまでは冷暗所に保管する。

爆発性または自己反

応性がある物質か? 消防法危険物 5 類

・エネルギー(熱、衝撃、摩擦など)が加えられた

時に、急速に分解し、爆発する可能性がある。

・空気中に長時間放置すると分解が進み、自然

発火するものがある。

● ● ● ● ● ○ ・破砕、衝撃、摩擦などの取扱いをしない。

・加熱を避ける。

自然発火性または水

と反応する物質(禁水

性物質)か?

消防法危険物 3 類

・空気または水と接触することで、ただちに発火

や可燃性ガスの生成の可能性がある。

・周囲に可燃物があると、着火し火災となる可能

性がある。

● ● ● ● ● ○

・容器は密閉しておく。

・空気に接触させない(自然発火性物質)。

・水と接触させない(禁水性物質)。

・湿気を遮断し、不活性ガス下で取り扱う。

可燃性の物質か? 消防法危険物 2 類 ・酸化されやすく、打撃や酸化剤との接触または

混合などにより爆発する可能性がある。 ● ● ● ● ● ○

・酸化剤など酸化性物質との接触・混合を

避ける。

引火性の物質か? 消防法危険物 4 類

・蒸気が空気と混合することで、火気(裸火、高

温物、火花など)により引火または爆発する可能

性がある。

● ● ● ● ● ○

以下に該当する場合、特に注意をする。

・引火点が室温以下または操作温度以下

・沸点以上での操作

酸化性の物質か? 消防法危険物 1 類

または 6 類

・エネルギーが加わると分解し、酸素を放出し、

周囲の可燃物の燃焼を著しく促進する。 ● ● ● ● ● ○

腐食性の物質か?

GHS 分類で「金属

腐食性、皮ふ腐食

性、眼に対する重

篤な損傷性」を有

するもの

・皮ふに不可逆/可逆的な損傷を与える(皮ふ

腐食性)。最悪の場合、失明する。

・眼に重篤な/可逆的な損傷を与える(眼に対す

る重篤な損傷性)。

・化学反応によって、金属を著しく損傷または破

壊する(金属腐食性)。

● ●

● ○

・取扱い時は、不浸透性保護手袋を着用

する。

・ガスの発生するものは局所排気装置(ド

ラフト等)のもとで取扱う。

有機溶剤または特定

化学物質か?

労働安全衛生法に

定める有機溶剤ま

たは特定化学物質

・蒸気、ミストまたは粉じんの吸入により健康障

害(急性、慢性)を生ずる。 ● ● ● ●

・使用時、部屋の換気を十分にする。

・当該物質を含んだ廃液等についてもでき

るだけ密閉しておく。

毒物または劇物か?

毒劇物取締法に定

める毒物または劇

・人体に有害(経口、経気、皮ふ吸収等)

・盗難等の危険性がある。 ● ●

● ○

・一般の薬品と区分した保管庫に施錠して

保管する。

・MaCS-NU を用いて、秤量管理する。

(注1) 熱、高温物、火花、裸火、静電気など ●:必須 ○:必須ではないが、強く推奨される

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平成 28 年 6 月 3 日(一部改訂)

環境安全衛生管理室

名大 化学物質リスクアセスメント手順

1. 使用化学物質の危険性情報の収集

化学物質のラベルおよび SDS から以下の情報を確認する。

(ア) 危険有害性の要約(GHS 分類)

まず GHS に基づく絵表示見て、大まかなハザードを認識する。

GHS 分類の「危険有害性情報」の中から、「眼に対する重篤な損傷・眼刺激性」、「皮膚腐

食性・刺激性」等の有無を確認する。(チェックシート項目)

(イ) 適用法令

消防法危険物、労働安全衛生法の有機溶剤/特定化学物質および毒劇物に該当するか

どうかを確認する。(チェックシート項目)

(ウ) 化学物質の性質

沸点および引火点を確認する。(チェックシートに記載)

2. リスクアセスメント(RA)の実施(RA チェックシート使用)

(ア) 基礎情報(使用化学物質、実験概要、日付、氏名)を記載する。

(イ) 使用化学物質の沸点および引火点を記載する。

(ウ) チェックシートの「チェック項目」および「判断基準」を確認し、該当区分(チェック欄)にチェック

する。

(エ) チェックした行の情報(ハザード等)をすべて確認する。

(オ) (エ)で該当したリスク低減措置を確認する。「その他」欄も必ず読む。

(カ) シート右上の「留意事項」を確認する。

(キ) 以上の情報から「追加の安全対策等」の欄に追加のリスク低減措置などを記載する。

3. 化学物質を用いた実験の実施

必ずチェックシートで該当あるいは記載したリスク低減措置を実施すること。

4. RA チェックシートの取り扱い

RA チェックシートは実験ノートに貼り付けるとともに、コピーを指導教官等に提出する。

5. RA チェックシートの保存

RA チェックシートは 3 年間保存する。

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