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~愛知県・名古屋市 平成29年度化学物質適正管理セミナー~ 化学物質管理と関連する法規制 東京工業大学 非常勤講師 横浜国立大学環境情報研究院 研究員 化学物質アドバイザー 小山 富士雄 2017. 10. 30

化学物質管理と関連する法規制 - Aichi Prefecture...~愛知県・古屋市 平成29年度化学物質適正管理セミナー~ 化学物質管理と関連する法規制

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~愛知県・名古屋市 平成29年度化学物質適正管理セミナー~

化学物質管理と関連する法規制

東京工業大学 非常勤講師横浜国立大学環境情報研究院 研究員

化学物質アドバイザー

小山 富士雄

2017. 10. 30

自己紹介東京大学燃料工学修士課程修了

三菱化成(現三菱ケミカル)入社水島工場で現場の生産管理、工場の省エネ・物流改善担当本社で石油化学部門の技術・企画、海外事業

及び事業のリストラ等を担当後環境安全本部でRC(レスポンシブルケア)担当

東京大学環境安全本部特任教授、東工大総合安全管理センター特任教授現在 東京工業大学非常勤講師

横浜国立大学環境情報研究院 研究員

化学会社の環境安全管理、大学の安全衛生管理等の中で、現場や実験室における化学物質管理、リスク管理・危機管理や社会への情報発信に従事。

その他 NPO環境管理監査人協会理事長、 NPOリスクセンス研究会理事(一社)エコステージ協会理事 TREIN賛助会員

NPO放射線安全フォーラム理事特に中小企業を対象に経営改善や組織改善の視点で指導。

現場の改善が顧客の信頼性確保、環境や安全の向上につながることを強調2

3

内容1.化学物質取扱の現状と問題点

2.化学物質が有するリスクと

適正な管理の必要性3.化学物質に関する情報共有と表示

4.化学物質に関する主な法規制

5.製品含有化学物質管理と製造者責任

6.環境経営導入による経営改善とBCP、CSRへの取組み

4

1.化学物質の取扱の現状と問題点

5

• ハインリッヒの法則

事故とヒヤリハット

重大な事故災害 1例

軽微な事故災害 29例

ヒヤリハット 300件

6

1.取り扱い危険物の性状確認(SDS、事故事例,RA)2.実験マニュアルの整備、実験前の再確認3.危険物の適切な取り扱い、保管、化学物質管理システムへの登録

危険物の保有数量をMINに、適切な保管、容器の破損防止、保管庫の転倒防止蒸気の飛散防止、より安全な代替物はないか

4.実験台やドラフトの整備、機能確認5.実験室、実験台の5S、安全通路、避難出入り口6.服装、履物や保護具

ポリエステルのフリースは厳禁、木綿の白衣が好ましい7.作業環境(可燃物の環境濃度、着火源、室内空気の流れ)8.火災発生時の対応、適切な消火器具の配置と使用訓練9.地震時の対応(土足禁止の部屋の入口の履物整理)10. 教員不在時の対応、終夜実験

実験室の化学物質管理と安全の基本

7

環境安全の重要性

実験者は保護具をつけて安全

だけど,同室にいる他の人は?実験室にいる人は排気をして安全

だけど,実験建物外にいる人は?

排ガス処理装置をつけることにより

実験建物外にいる人も安全!

8

廃棄物管理に関する基本原則(3:原点処理)

【従来】大学における廃棄物の流れ

・・・・

・・・・

個人

研究室

部局

大学

個人 個人個人

研究室 研究室

部局

・・・・

運搬業者

廃棄物処理業者

「大学」が一つの排出原点廃棄物に関する社会的責任

下流ほど処理が難しくなる

・ 量が膨大

・ 内容物の不確実さ

・ 混合による危険性の増加と

処理の非効率化

できるだけ発生源に近い段階で

の対処が重要[無害化処理]

9

廃棄物の安全管理

購入 廃棄

① 廃棄物の素性を知っているのは排出者だけ

分別は正しく確実に

処理する立場になって分別する

情報伝達を正確に

② 内容のわからない廃棄物を絶対につくらない

不要なものは早く廃棄

年度末には棚卸し

生活系廃棄物

排水

実験系廃棄物医療系廃棄物

排ガス

明確な区別

発生抑制分別とリサイクル

10

下水道に流す排水に関する法則規制(41項目)

1) 健康項目(人の健康に影響する有害物質)

Cd,Pb,As,Hg,シアン,有機リン,PCB, 四塩化炭素,ベンゼン,

ジクロロメタン,トリクロロエチレン,フッ素など

2) 生活環境項目(生活環境の保全)

水温,pH,BOD,SS,n-ヘキサン抽出物質,フェノール類,銅,鉄,

マンガン・亜鉛・クロムおよびそれらの化合物,ヨウ素消費量,窒素,リン

・月に1回を原則として水質の自主検査(下水道法,水質汚濁防止法)

・排水基準に違反した(予備的注意を受けた)場合

→ 部局長へ勧告し,部局環境安全管理室にて調査

各排水源で,水質基準を確認して流す(排出者責任)

11

天津 爆発事故 全景 2015年8月19日

12

宝組勝島倉庫爆発火災の現場

写真提供:東京消防庁消防博物館 13

2013(平成25)年8月15日

京都府福知山市花火大会 露店爆発事故による大惨事

▲ 本来なら楽しい花火大会のはずが

イメージ画像

由良川河川敷の花火大会開催中、露店のガソリン缶から引火爆発、死者3名 負傷者59名の大惨事に

14

平成26年5月13日 禁水性質物質の火災 東京都町田市

マグネシウム80キロを無許可貯蔵・取扱い中、火災に

特殊な危険物災害事例

15

厚労省:職場のあんぜんサイトより

アルミニウムとマグネシウムの合金を粉砕加工する作業中に粉じん爆発が発生し,作業者2名が死亡した.

無機化学工業製品製造工場において,黄リンと硝酸とが異常反応を起こして処理槽が爆発し,作業者2名が死傷した.

のど飴の製造工場において,原料溶液に含まれていたエタノールが釜で撹拌中に引火し,近くにいた作業員がやけどを負った.

事業場内で灯油をポリタンクに給油中にホースが破損し,噴き出した灯油がストーブの火により引火して火災となった.

オフセット印刷機で印刷作業中,都市ガスを燃料とする乾燥設備が爆発し,作業員が負傷した.

集合住宅の室内改装工事において,接着材に含まれていた有機溶剤の蒸気に引火爆発し,労働者3人が休業災害を負った.

16

化学物質の体内への侵入経路

経気道的

(吸入)

経皮的

経口的

(経消化管的)

17

ナノ粒子状化学物質の有害作用

カーボンナノチューブ ⇒ 悪性中皮腫を発症する

(アスベストと同様)

その他のナノ物質については、

その有害性については明らかでない

未知の有害性の存在を想定して慎重な取扱いが必要

18

厚生労働省指針「ナノマテリアルの労働現場におけるばく露防止などの対策について」

• ナノ物質の作業環境における飛散の防止

・製造・取扱装置の密閉化、

・局所排気装置や除じん措置などの有効活用

・作業環境中の空気の測定によるナノ物質の濃度の把握

• 労働者のナノ物質へのばく露のおそれがないことが確認できないとき

・面体形, フェイスシー ルド形またはフード形の粒子捕集効率が99.9%

以上の電動ファン付き呼吸用保護具を着用

・保護手袋、ゴーグル型保護眼鏡、保護衣の着用を徹底

・作業記録の保存

19

わが国における地震の被害

発生する火災によるもの >

家屋や施設等の崩壊によるもの

出火原因の20~30%が化学薬品

関東大震災でも東大や蔵前(現東工大)が火元

・研究施設や化学工場

⇒ 多量、多種類の化学薬品を使用・保有 &

扱う化学薬品が研究や技術の進展と共に変動

⇒ 出火の潜在危険大

⇒ 化学薬品の安全な保管、地震対策が必要

地震と薬品出火

20

1.火災・爆発や中毒等の事故災害防止

2.有害化学物質の暴露による職場の健康衛生問題の発生防止

3.有害化学物質の外部への流出による環境汚染防止

4.適切な廃棄物処理

5.原材料購入から製品の使用、最終処分までサプライチェーン全てにわたる化学物質管理

6.作業者等への化学物質教育、情報開示

事業者に必要な化学物質管理の視点

21

一定の危険有害性のある化学物質(640物質)について

1.事業場におけるリスクアセスメントが義務づけられました。

2.譲渡提供時に容器などへのラベル表示が義務づけられました。

厚労省パンフレットより

22

リスク低減措置の考え方(指針より)化学物質適正管理セミナー(中災防)’13.10.29

23

2.化学物質が有するリスクと

適正な管理の必要性

24

25

化学物質、化学産業から連想するもの、イメージ・プラスチック~廃棄物、ダイオキシン・化学物質 ~環境ホルモン、アレルギー・医薬品・食品・土壌汚染・発ガン性

・ 無くてはならないものでありながら負のイメージが強い。

・ 便利、快適な生活の追求資源、エネルギーの消費、廃棄物生活での化学物質とのかかわり増大

26

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健康影響度

死亡

生理機能変化など

生理機能変化など

疾患、中毒

無作用

用量-反応関係線

影響量(最大無作用量)

中毒量 致死量

摂取量

有害性(ハザード)と危険性(リスク)

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30

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化学物質のリスクアセスメント

●プロセス災害防止(爆発・火災・漏洩を防ぐ)A 化学物質RA(爆発・火災・漏洩防止)・取り扱い物質に対する危険性把握(中災防方式,埼玉県方式,ZHA,Dow,ICI,など)

B プラント・設備RA・安全なプラント・設備の設計(操作ミスなどへの対応も含む)(HAZOP,FMEA,など)

●労働災害防止(作業者の被災を防ぐ)C 化学物質RA(健康障害防止)・毒性の有無,取扱量,作業環境で評価(コントローバンディングなど)

D 作業安全RA・作業環境の安全性に対する評価・機械設備の特性に対する評価(JSA,HRA,HFE,機械RA,など) 32

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1.一般には・リスクは事象の発生確率と事象の結果の組合せ

と言われてきた・ISOによるリスクの定義 「諸目的に対する不確かさの影響」

リスクにはプラスのリスク、マイナスのリスクもある2.本来の語源

・「岩山の間を航行する」から「恐れずに試みる」から新事業に果敢に挑戦すること17世紀のRISQUE(仏)、RISKO(伊)、ARRISCAR(西)、

RISCO(葡)、RISICARE(羅)が語源3.日本語のリスク

・日本語では危機に近い意味で使われること多い災害、危険、事故、死亡、失敗、損害

・大半の人はリスクが現実になることは想定外例:掛捨生命保険の不人気、株より貯金指向

リスクの概念

36

1.万一の場合の具体的内容・損失規模を明確に・化学物質の安全性、有害性、データの充実・化学物質の安全性データの提供、公表・化学物質の危険性、有害性の表示

2.発生の可能性最小化と万一の対応・化学物質の適切な管理と環境への排出の削減

・化学物質の適切な使用と消費、廃棄・事故等による大規模漏洩や重篤事故の防止・より安全な物質の使用、危険源を隔離・万一の場合の被害最小化と適切な広報

リスクを如何に小さくするか(化学物質の例)

37

1.絶対安全・安心は存在しない常に想定外は存在(人知の限界)リスクゼロは存在しない

2.リスクの認識・評価・最小化の努力が必須リスクマネジメントの重要性リスク最小化の努力の限界

3.万一に備えてのBCP、BCM危機管理とBCMの一体化保険代替手段の確保

4.日常の対策・訓練が被害の拡大防止へ

事故・災害はいつでも、どこでも

38

3.化学物質に関する情報共有と表示

39

40

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試薬の表示

42

公表時は黒塗りにします

43

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(追加:平成29年1月22日)

厚労省公開資料より 49

50

4.化学物質に関する主な法規制

51

52

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最新の環境関連法規制動向

・省エネ法の運用について

・水俣条約 発効が決定 条約発効日 2017.8.16

水銀汚染防止法(新法)

廃棄物処理法 廃水銀等を特管物指定

水銀使用製品産廃他、処理基準等追加 2017.10.1施行

大気汚染防止法 水銀排出施設等に係る規制追加 2018.8.16 施行

・建築物省エネ法(新法)

・ 特化則 オルトトルイジン追加 2017.1.1、三酸化二アンチモン2017.6.1 施行

・土対法、化審法、廃棄物処理法、バーゼル法改正・土対法2017.5.19 ・化審法2017.6.7 ・廃棄物処理法 ・バーゼル法2017.6.19公布

・食品リサイクル法判断基準等改正 2017.1.26施行

・PCB廃棄物特措法全面改正 2016.8.1施行

54

1.危険物の分類と指定数量危険物を性質に応じて分類し品名を示す。危険物の貯蔵・取り扱いの基準(別紙参照)

2.少量危険物(市町村条例)指定数量未満で、指定数量の0.2倍以上0.2倍未満は微量危険物とする

3.指定可燃物

綿花類、かんなくず、紙くず、糸類、わら類、再生資源燃料、可燃性固体類、石炭木炭、可燃性液体、木材加工品および木くず、合成樹脂類(発泡、その他)

4.指定数量かどうかの計算5.混載禁止6.危険物取扱者および免状

消防法の危険物の指定数量と少量危険物

55

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危険物の分類

57

危険物の混載・貯蔵の可否

58

1.取扱のポイント

盗難や紛失の防止

毒物または劇物とその他の物を区分して貯蔵容器は飛散、漏れ、しみ出る恐れがないこと貯蔵場所は施錠できること、陳列場所も同じ運搬用具も同様

通常飲食に利用される容器の使用禁止

2.毒物・劇物の表示医薬用外

毒物 赤地に白 劇物 白地に赤容器の表示 名称・成分と含量・解毒剤・取扱上の必要事項

3.農業や一般消費者向けの販売の規制4.薬機法(旧薬事法)は毒薬、劇薬として規制、農薬取締法での農薬規制

毒物及び劇物の取扱

59

60

高圧ガス保安法の概要

圧縮ガス・液化ガスのうち法で定められた圧力以上のもの(種類は関係ない)(高圧

ガス保安法第2条)

(1) 常温で 1 MPa(10 kg/cm2)以上または

35℃において圧力が 1 MPa以上の圧縮ガス

(2) 常温で0.2MPa以上または

温度 15℃において圧力 0.2 MPa以上の

圧縮アセチレンガス

(3) 常温で0.2 MPa以上または

圧力 0.2 MPaとなる温度が 35℃ 以下の液化ガス

(4) (3)以外で 35℃において0 Paを超える

液化シアン化水素、液化ブロムメチル、液化酸化エチレン

61

高圧ガスの分類図

可燃性 支燃性 不燃性

毒性

腐蝕性

水素、メタン

アルシン、ジボラン、ホスフィン、ゲルマン一酸化炭素

硫化水素、アンモニア、ジクロロシラン

空気、酸素

三フッ化窒素、一酸化窒素、亜酸化窒素(笑気ガス)

塩素、フッ素、二酸化窒素

窒素、アルゴン、二酸化炭素、ネオン、ヘリウム…

オクタフルオロシクロペンテン、ヘキサフルオロプロピレン

塩化水素、フッ化水素、二酸化硫黄三フッ化ホウ素

62

低温液化ガス

63

ガス名(化学式) 沸点[℃](1atm)

二酸化炭素(CO2) -78.5(昇華)

液化天然ガス(CH4) -162

酸素(O2) -183

アルゴン(Ar) -186

窒素(N2) -196

水素(H2) -253

ヘリウム(He) -269

■おもな低温液化ガスの沸点

ガス名(化学式)気体の比重(空気=1)

体積比(気体/液体)

二酸化炭素(CO2) 1.53 ―

酸素(O2) 1.11 800

アルゴン(Ar) 1.38 770

窒素(N2) 0.97 650

水素(H2) 0.07 800

ヘリウム(He) 0.14 700

■低温液化ガスの比重と気化時の体積比

高圧ガス容器

保護キャップ

容器弁

容器

容器の外観

メーカーラベル

(製品仕様等・・・)

PLラベル

燃、毒の塗装(燃;可燃性ガス、毒;毒性ガス)

容器塗色

毒燃

混合

アルシン

充填ガス名

(裏)容器所有者名など

ガス名 塗色区分

水素 赤色

酸素 黒色

液化炭酸ガス 緑色

液化アンモニア 白色

塩素 黄色

アセチレン かっ色

上記以外のガス ねずみ色

高圧ガス容器の塗色

注;但し、輸入(外国製)容器は例外

64

1.労働基準法2.労働安全衛生法3.附属法

じん肺法(じん肺の予防および健康管理)労働災害防止団体法炭鉱災害における一酸化炭素中毒症に関する特別措置法作業環境測定法

4.労働者派遣法5.特別法

船員法国家公務員法地方公務員法鉱山保安法

6.家内労働法7.広義の安全衛生法

産業保安法(高圧ガス等)環境法

労働安全衛生法とその附属法

65

1.労働安全衛生規則2.特定機械等に係る安全規則

ボイラー及び圧力容器安全規則クレーン等安全規則ゴンドラ安全規則

3.特別衛生規則電離放射線障害防止規則四アルキル鉛中毒予防規則有機溶剤中毒予防規則高気圧作業安全衛生規則鉛中毒予防規則特定化学物質障害予防規則事務所衛生基準規則酸素欠乏症等防止規則粉じん障害防止規則石綿障害予防規則除染業務等に係る電離放射線障害防止規則

労働安全衛生法に関する諸規則

66

1.目的職場における労働者の安全と健康の確保

危険有害要因の放置による労働災害の発生防止危害防止基準の確立、責任体制の明確化、自主的活動の促進

快適な職場環境の形成を促進

2.事業者の責務(労安法の主たる義務主体)法人企業は法人そのもの、個人企業は事業経営主

労災発生防止のため義務主体を定め、義務規定を設けている。適用除外

同居の親族のみの事業、家事使用人船員(船員法)非現業の公務員(国家公務員法、地方公務員法)

なお、学生は労働者ではない。ただしアルバイト時は労働者となる。企業の役員は事業者側の一員であり労働者ではない。

労働安全衛生法の基本事項

67

1.危険防止のための事業者の責務機械等による危険爆発性の物、発火性の物、引火性の物等による危険電気、熱その他のエネルギーによる危険掘削、採石、荷役、伐木による危険墜落、崩壊に係る危険健康障害防止(ガス、酸欠、粉じん、病原体、放射線、騒音、異常気圧等)衛生的で健康に問題のない作業場の確保、作業行動起因、退避の措置

これらは政省令で規定2.労働者の義務

事業者の定めた措置に応じて必要な事項を守らなければならない3.技術上の指針

工作機械の構造、鉄鋼業の水蒸気爆発防止等14件4.リスクアセスメントの義務付け

労働安全マネジメントシステムの導入指導5.発注者等による危険・有害情報の提供

化学物質取扱、作業環境の安全衛生の確保に関する発注者の責務

危害防止のための措置

68

1.安全衛生教育雇い入れ時作業内容変更時危険または有害な業務についての特別の安全教育職長教育建設現場への新規入場者への教育

2.就業制限有資格者以外の就業禁止(免許や技能講習受講)年少者の危険有害業務の就業制限妊産婦等に係る危険有害業務の就業制限

3.中高年齢者等への配慮

安全衛生教育と就業制限

69

1.労働衛生の3管理作業環境の管理、作業の管理、健康の管理

2.作業環境管理事業者による作業環境測定

指定作業場(粉じん、特定化学物質、鉛、有機溶剤、放射線)測定結果の評価、実施後の措置

3.作業管理作業に伴う疲労やストレスからの悪影響軽減作業時間制限(坑内、潜水・高気圧下、振動工具使用は2時間以下)

4.健康管理事業者による健康診断の実施

雇い入れ時、定期、特定業務従事(有害物、粉塵、深夜業)海外派遣労働者、結核健康診断、給食従業員の検便

労働者の受診義務診断後の措置、記録の保存長時間労働者に対する産業医の面接指導

5.メンタルヘルスケア、健康増進、快適な職場

労働者の健康の確保

70

71

(追加:平成29年1月22日)

厚労省公開資料より 72

5.製品含有化学物質管理と製造者責任

73

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1.購入原材料中の化学物質管理金属材料に含まれる有害重金属電線被覆、プラスチック材料に含まれる有害化学物質

2.製造工程で取り扱う化学物質、職場環境と化学物質塗料と塗装、溶剤金属洗浄剤燃料や冷媒

3.排水、排ガス、廃棄物の適正管理4.製品の使用・運転や保守保全に関する化学物質管理5.製品の廃棄に伴う化学物質管理⇒ 国内での各種関係法令対応⇒ 欧州のREACH、ROHS、WEEE

サプライチェーンにおける化学物質管理情報伝達

事業者の活動と化学物質管理の必要性

79

6.環境経営導入による経営改善とBCP、CSRへの取組み

80

1.化学物質についてのリスクゼロはありえない→如何にリスクが現実の災害となる事を防止するか

リスクを管理しながら、便益を享受するのが人間の知恵

2.問題発生の防止のために

i) 取り扱う化学物質の性状についての十分な知識の提供と誰でも危険性がわかる表示(SDS,GHS)

ii) 危険な化学物質の暴露の可能性低減適切な管理と環境への排出最小化(PRTR)

3.企業の自主的な努力に加え、前広な情報開示と関係者間の適切なコミュニケーションの重要性

化学物質への理解向上のためには

81

1.法対応から自主的取り組みへ・E・S・H・Q・D・C等全てをカバーしたMSへ

個別のMS取得の限界、独自のMS導入の動き例としてエコステージ活動は環境からスタートし、総合的MSへ

・工場やオフィスはショールーム5S、各種見える化、従業員の満足度向上が良い応対へ

・トップのリーダーシップと明確な戦略構築・HP、環境報告書等による顧客や社会への情報発信・法を先取りした自主的取り組み(PRTR、温暖化防止等)

2.環境・安全から企業の社会的責任(CSR)へ・サプライチェーンを念頭に、三方良しの経営思想・社会の一員としての企業活動、社会からの信頼確保

遵法、企業倫理、安全・安心の確保、社会貢献

中小企業の環境・安全活動の方向

82

マネジメントシステムのあるべき姿に向けて

統合共通化

ISO基準・業務手順書等社内規定・基準・標準等

品質管理要素

環境管理要素

労働安全管理要素

財務管理要素

○○管理要素

基本方針・行動指針

経営理念

中 期 経 営 計 画

○○管理要素

環境マニュアル

品質マニュアル

労働安全マニュアル

財務マニュアル

経営マネジメントシステムのあるべき姿

★ ISOは、必要の都度誕生させた各種のマネジメントシステムの統合・一元化を図り、採用する組織の運用に係る負荷の軽減を目指している。

★ 一部のエコステージ認証企業では、既にEMSの持つ 「PDCAサイクル」 を本業の活動に取込み成果を挙げている。 今回の改正では、従来の仕組の改善からパフォーマンスの改善を確実なものとするため 「経営戦略とEMSの一元化」 を図り、真の 「環境経営MS」の構築を目指している。

83

1.経営トップのリーダーシップ

2.全員参加(一部の人達の活動ではない)

3.経営改善(紙・ゴミ・電気からの脱却)

4.適合性より有効性→成果の追求

5.成果目標管理+目標達成のためのプロセス管理

エコステージが重視していること

本来業務の改善

不良削減

納期改善

在庫削減

経営改善

エコステージ

規格・要求事項本来業務の改善に取組む

既存の会議体を活かす

経営会議・品質会議・全体朝礼など

自分たちの組織に見合った方法

適切な対象範囲

組織・業務・事業所・場所など

環境経営システム

環境改善

本業 環境Mgt活動

本業

環境Mgt活動

有害な側面

有益な側面

重点業務

日常業務

本来業務と環境活動のドッキング

本業の重点課題

・新商品の開発

・オフィス生産性の向上

・販売量の拡大

・コストダウンの追及

・アフターサービス改善

有益な環境側面

・エコ商品の開発

・電子化による省資源化

・環境配慮型商品の拡販

・リサイクル促進による

コストダウン

・苦情クレームDB化に

よる対応時間の短縮

(例)

84

4. 組織の状況

4.1 組織及びその状況の理解

4.2 利害関係者のニーズ及び期待の理解

6. 計画

6.1 リスク及び機会への取組み

6.2 環境経営目標及びそれを達成するた

めの計画策定

5. リーダーシップ・モラル及びコミットメント

9. パフォーマンス評価

7. 支援8. 運用

10. 改善

Do

Check

Plan

Act

継続的改善

①組織のおかれた状況を分析・認識

③経営者のリーダーシップと支援

②取り組むべきリスクと機会を決定するという戦略的環境経営

新規格の骨子

2015年版エコステージ規格の骨子

「環境経営システムの確立」とは

この継続的システムをつくることです。

①組織が置かれた状況の理解:明確化

②リスク及び機会への取り組み:追加

③経営層のリーダーシップ・支援:追加

環境MSと事業経営の

戦略立案・実行プロセス

の一元化による真の環

境経営システムの確立

85

事業プロセスとEMSの相互関係の例(製造業)

EMS支援プロセス【7.1 資源、7.2, 7.3 教育訓練・認識、7.4 コミュニケーション、7.5 文書・記録管理】

マネジメントプロセス【5.1 環境方針、6.1 リスク及び機会への取組み、6.2 目標管理、8.1 運用管理、8.2 緊急事態への対応、9.1 監視測定分析評価、9.2 内部監査、9.3 マネジメントレビュー】

受注プロセス

購買プロセス

意図した製品・サービス

開発・設計プロセス

製造プロセス

廃棄物処理プロセス

output

エネルギー管理プロセス

公害防止プロセス

化学物質管理プロセス

ICT管理プロセス

出荷プロセス

人事、総務、経理、広報等プロセス

環境経営は「企業経営の隅々まで環境の意識を浸透させる経営」

環境経営は「企業経営の隅々まで環境の意識を浸透させる経営」

意思決定、内部統制等プロセス

箇条4.4 意図した成果を達成するために、必要なプロセス及びそれらの相互作用を含む、EMSを確立

86

・ 企業も社会の一員安全・安心な社会を構築する責務がある利益追求だけの企業は反社会的企業具体的に行動で示すことにより、信頼獲得

・ 個々人の価値観の変化金銭的な豊かさはほぼ手に入れた働き蜂・社畜から心豊かな生活指向へ少子高齢化社会と多様な労働形態

・ 社会と共生できない企業は存在が許されない

企業に求める価値観の変化

87

8.国連が持続可能な開発目標(SDGs)を提示

持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)

地球環境の持続可能性 + 人間社会の持続可能性

2015年9月国連総会で採択 2016年1月施行

ミレニアム開発目標(MDGs:2001年~2015年、開発途上国が対象)

2016年から2030年までに達成すべき17目標、169ターゲット、230指標(先進国+開発途上国全てが対象)

193加盟国は進捗状況を報告(国連が年次進捗報告)

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9.SDGs の17目標

1 貧困根絶

2 飢餓撲滅

3 健康と福祉

4 質の高い教育

5 ジェンダー平等

6 水と衛生

7 クリーンエネルギー

8 適切な雇用・経済成長

9 産業、技術革新、社会基盤

10 格差是正

11 持続可能な都市・コミュニティ

12 責任ある生産と消費

13 気候変動への対応

14 海洋資源の保全

15 陸域生態系の保全

16 平和、法の正義、有効な制度

17 パートナーシップ

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