23
Copyright (C) 2011 JTB Corp. all rights reserved Copyright (C) 2018JTB Corp. all rights reserved 1 全国エコツーリズム大会 in 屋久島 持続可能なエコツーリズムとは? 2018.2.10 株式会社JTB 代表取締役会長 一般社団法人日本旅行業協会 会長 NPO法人日本エコツーリズム協会 副会長 田川 博己

持続可能なエコツーリズムとは? · 「国立公園満喫プロジェクト」 「国立公園ステップアッププログラム2020」を策定 現状の課題 自然保護がメインであり、観光への活用が不十分

  • Upload
    others

  • View
    1

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

Page 1: 持続可能なエコツーリズムとは? · 「国立公園満喫プロジェクト」 「国立公園ステップアッププログラム2020」を策定 現状の課題 自然保護がメインであり、観光への活用が不十分

Copyright (C) 2011 JTB Corp. all rights reservedCopyright (C) 2018JTB Corp. all rights reserved1

全国エコツーリズム大会in屋久島

持続可能なエコツーリズムとは?

2018.2.10

株式会社JTB 代表取締役会長一般社団法人日本旅行業協会 会長NPO法人日本エコツーリズム協会 副会長

田川博己

Page 2: 持続可能なエコツーリズムとは? · 「国立公園満喫プロジェクト」 「国立公園ステップアッププログラム2020」を策定 現状の課題 自然保護がメインであり、観光への活用が不十分

Copyright (C) 2011 JTB Corp. all rights reservedCopyright (C) 2018JTB Corp. all rights reserved2

目次

1. 持続可能なツーリズムとは• ツーリズムとは(ツーリズムブランドの機能とは)• 観光立国の基本理念• 新たな観光立国基本計画の目標 2017年3月変更(明日の日本を支える観光ビジョン変更)• 「観光ビジョン実現プログラム2017」 -世界が訪れたくなる日本を目指して-• 国立公園の「ナショナルパーク」としてのブランド化• 訪日外国人の国立公園利用者目標• 国立公園満喫プロジェクトステップアッププログラム2020選定&公園における取組例• ツーリズム産業を取り巻くグローバルな課題• WTTC(世界旅行ツーリズム協議会)• 持続可能なツーリズムに向けて• オーバーツーリズムの解決のために

2. 日本のエコツーリズムの現状と目指すべき方向• 「エコツーリズム」の定義• エコツーリズムの3大要素• サスティナブルツーリズムを実現するエコツーリズム• エコツーリズムに取り組む世界の事例①~ツェルマット~• エコツーリズムに取り組む世界の事例②~イエローストーン~• 屋久島の事例• 今後目指すべき方向性

Page 3: 持続可能なエコツーリズムとは? · 「国立公園満喫プロジェクト」 「国立公園ステップアッププログラム2020」を策定 現状の課題 自然保護がメインであり、観光への活用が不十分

Copyright (C) 2011 JTB Corp. all rights reservedCopyright (C) 2018JTB Corp. all rights reserved3

1.持続可能なツーリズムとは

~2030年までに達成すべき持続可能な開発目標:SDGs~

Page 4: 持続可能なエコツーリズムとは? · 「国立公園満喫プロジェクト」 「国立公園ステップアッププログラム2020」を策定 現状の課題 自然保護がメインであり、観光への活用が不十分

Copyright (C) 2011 JTB Corp. all rights reservedCopyright (C) 2018JTB Corp. all rights reserved4

ツーリズムとは(ツーリズムブランドの機能とは)

Tourism ≠ Travel日本における「ツーリズムブランド」とは?

自然と人間の営み

日常文化、生活文化自然環境

(四季折々の自然、動植物)

「おもてなし」の感性 クール・ジャパン

文化財と匠の技術

Page 5: 持続可能なエコツーリズムとは? · 「国立公園満喫プロジェクト」 「国立公園ステップアッププログラム2020」を策定 現状の課題 自然保護がメインであり、観光への活用が不十分

Copyright (C) 2011 JTB Corp. all rights reservedCopyright (C) 2018JTB Corp. all rights reserved5

観光立国の基本理念

住んでよし、訪れてよし

観光立国の基本理念

Page 6: 持続可能なエコツーリズムとは? · 「国立公園満喫プロジェクト」 「国立公園ステップアッププログラム2020」を策定 現状の課題 自然保護がメインであり、観光への活用が不十分

Copyright (C) 2011 JTB Corp. all rights reservedCopyright (C) 2018JTB Corp. all rights reserved6

新たな観光立国推進基本計画の目標2017年3月変更(明日の日本を支える観光ビジョン変更)

出典:観光庁HP 2017年3月 観光立国推進基本計画見直し分より

国内旅行消費額

従来目標:2020年2000万人、2030年3000万人

従来目標:2000万人が訪れる年に4兆円

訪日外国人旅行者数

訪日外国人旅行消費額

訪日外国人リピーター数

訪日外国人の地方部(三大都市圏以外)における延べ宿泊者数

アジア主要国における国際会議開催件数に占める割合

日本人の海外旅行者数

2020年:21兆円

2030年:22兆円

2020年:4,000万人

2030年:6,000万人

2020年:8兆円

2030年:15兆円

2020年:2,400万人

2030年:3,600万人

2020年:7,000万人泊

2030年:1億3,000万人泊

2020年:3割以上(アジア最大)2030年:未定

2020年:2,000万人2030年:未定

Page 7: 持続可能なエコツーリズムとは? · 「国立公園満喫プロジェクト」 「国立公園ステップアッププログラム2020」を策定 現状の課題 自然保護がメインであり、観光への活用が不十分

Copyright (C) 2011 JTB Corp. all rights reservedCopyright (C) 2018JTB Corp. all rights reserved7

「観光ビジョン実現プログラム2017」-世界が訪れたくなる日本を目指して-

出典:「観光ビジョン実現プログラム2017- 世界が訪れたくなる日本を目指して-」

魅力ある公的施設・インフラの大胆な公開・開放

• 赤坂・京都の迎賓館の他、我が国の歴史伝統にあふれる公的施設を一般向けに公開・開放

文化財の観光資源としての開花• 「文化財活用・理解促進戦略プログラム

2020」を踏まえ、文化財を中核とする観光拠点を全国で200拠点程度を整備

景観の優れた観光資産の保全・活用による観光地の魅力向上

• 景観まちづくり刷新支援事業等を活用し景観まちづくり刷新モデル地区へ重点支援

国立公園の「ナショナルパーク」としてのブランド化

• 日本の国立公園を世界水準の「ナショナルパーク」に。

滞在型農山漁村の確立・形成• 農山漁村において「農泊」に取り組む地域を2020年までに500地域創出を目指す

古民家等の歴史的資源を活用した観光まちづくりの推進

• 地域の古民家を上質な宿泊施設やレストランに改修

新たな観光資源の開拓• 「楽しい国日本」という新たなブランドの確立に向け、歴史、文化だけにとどまらない新たな観光資源開拓の取組を促進

主要施策①観光資源の魅力を極め、「地方創生」の礎に

主要施策②観光産業を革新し、国際競争力を高め、我が国の基幹産業に

主要施策③すべての旅行者が、

ストレスなく 快適に観光を満喫できる環境に

観光関係の規制・制度の総合的な見直し• 通訳案内士の定期的な研修受講の義務化、試験内容の見直し、ランドオペレーターの登録制度の導入、地域限定旅行業の業務範囲の見直し

• ICTの活用、宿泊施設間の連携、泊食分離等により宿泊施設の生産性向上

民泊サービスへの対応• 届出制度、登録制度の設置により、民泊サービスの適正な運営の確保

産業界ニーズを踏まえた観光経営人材の育成・強化

• 観光MBAの開学準備を推進、専門職大学院を創設、外国人人材の活用

「観光地再生・活性化ファンド」の継続的な展開

• 観光まちづくりに関する投資ノウハウ・人材支援等に関する機能を、2018年度以降も継続的に実施

次世代の観光立国実現のための財源の検討

• 観光先進国を参考に、受益者負担による財源確保を検討

訪日プロモーションの戦略的高度化及び多様な魅力の対外発信強化

• オリパラ後も見据えた訪日プロモーション

MICE誘致の促進

ビザの戦略的緩和

最先端技術を活用した革新的な出入国審査等の実現

• バイオカードの実施状況等を踏まえ、対象空港の拡大検討、先進的ボディスキャナー、高性能爆発等自動探知機の導入

• 顔認証技術を活用した自動化ゲートを一部空港で先行導入

通信環境の飛躍的向上と誰もが一人歩きできる環境の実現

• 多言語音声翻訳システムの実証実験を実施、JNTO認定外国人観光案内所を1,000箇所程度整備、公衆トイレの洋式化

急患等にも十分対応できる外国人患者受入体制の充実

• 訪日外国人旅行者受入れ医療機関(約900箇所)をさらに充実

「地方創生回廊」の完備等• 鉄道駅の多言語表示、ナンバリング、Wi-Fi環境の充実、外国人向け企画乗車券の利便性向上を促進、高速道路ナンバリング、道路標識の整備

クルーズ船受入れの更なる拡充• 民間による旅客ターミナルビルの整備を無利子貸付制度で支援

• 旅客施設への投資を行うクルーズ商社に岸壁の優先利用を認める仕組の創設

休暇改革• 「キッズウィーク」の導入により、学校休業日の分散化、有給休暇取得等の促進

Page 8: 持続可能なエコツーリズムとは? · 「国立公園満喫プロジェクト」 「国立公園ステップアッププログラム2020」を策定 現状の課題 自然保護がメインであり、観光への活用が不十分

Copyright (C) 2011 JTB Corp. all rights reservedCopyright (C) 2018JTB Corp. all rights reserved8

「国立公園」を、 世界水準の 「ナショナルパーク」へ

「国立公園満喫プロジェクト」「国立公園ステップアッププログラム2020」を策定

現状の課題

自然保護がメインであり、観光への活用が不十分 四季折々の豊かな自然を満喫する体験メニューや快適な滞在

環境が不足し、観光客にとっての魅力に欠ける。 インバウンドに対して国立公園のポテンシャルが十分に引き出されていない• 外国人が満喫できるメニュー、快適な利用環境の未整備• 外国人をも魅了する公園利用拠点の不備• 外国人に日本の国立公園の魅力が伝わっていない

2020年までに外国人国立公園利用者数を年間430万人から、1000万人へ増加を目指す

奥入瀬渓流 銚子大滝

尾瀬

国立公園の「ナショナルパーク」としてのブランド化

Page 9: 持続可能なエコツーリズムとは? · 「国立公園満喫プロジェクト」 「国立公園ステップアッププログラム2020」を策定 現状の課題 自然保護がメインであり、観光への活用が不十分

Copyright (C) 2011 JTB Corp. all rights reservedCopyright (C) 2018JTB Corp. all rights reserved9

成果を全国の国立公園に展開

先行的・集中的に取り組む8つの国立公園が決定

地域協議会の形成(関係自治体、民間団体、環境省、観光庁)

• ホテル誘致• 案内標識の多言語化• 旅行商品開発• 情報資源のためのコンテンツ作成• 体験メニューの素材発掘• 質の高いガイド育成• 地域自然資産法の利用促進による入域料徴収

・ 海外への効果的な情報発信などを推進

霧島山 韓国岳の朝日

伊勢

男体山と中禅寺湖 屈斜路湖 美幌峠

訪日外国人の国立公園利用者目標

Page 10: 持続可能なエコツーリズムとは? · 「国立公園満喫プロジェクト」 「国立公園ステップアッププログラム2020」を策定 現状の課題 自然保護がメインであり、観光への活用が不十分

Copyright (C) 2011 JTB Corp. all rights reservedCopyright (C) 2018JTB Corp. all rights reserved10

国立公園満喫プロジェクトステップアッププログラム2020選定&公園における取組例

慶良間諸島国立公園美ら海慶良間 ~リトリート・海と島と人がつく

るケラマブルーの世界~

大山隠岐国立公園日本の大地の成り立ちが刻まれ、神話・信仰が息づく山・島・海 ~山から海まで多彩な自

然の恵みを楽しむ~

阿寒国立公園火山と森と湖が織りなす原生的な自然を

堪能する

阿蘇くじゅう国立公園復興の大地 ~草原のかほり、火山の呼吸。

人が継ぎ、風と遊ぶ感動の大地~

十和田八幡平国立公園みちのくの青梁 ~原生林が彩る静謐の湖水、

息づく火山と奥山の湯治場~

日光国立公園NIKKO is NIPPON

自然・歴史・文化・美しい「日本」を感じられる東京圏のプレミアムリゾート

伊勢志摩国立公園悠久の歴史を刻む伊勢神宮

人々の営みと自然が織りなす里山里海

霧島錦江湾国立公園多様な火山とその恵み、壮大な歴史と神話に彩られた霧島・錦江湾 ~まるごと楽しむ南九州の自然・文化・食

➢ 民間企業や関係機関と連携した国内外への魅力発信

➢ 国立公園のエントランス標識整備による結界感の創出

➢ ビジターセンターにおける公園利用の総合案内

➢ トイレの洋式化などのユニバーサルデザイン化

共通の取組

Page 11: 持続可能なエコツーリズムとは? · 「国立公園満喫プロジェクト」 「国立公園ステップアッププログラム2020」を策定 現状の課題 自然保護がメインであり、観光への活用が不十分

Copyright (C) 2011 JTB Corp. all rights reservedCopyright (C) 2018JTB Corp. all rights reserved11

ツーリズム産業は課題解決に努力し、グローバルリーダーになる必要がある!

<ツーリズム産業を取り巻くグローバルな課題>

ポピュリズムの台頭

貧困環境破壊 テロリズム

安全保障問題

気候変動

観光地の劣化

2030年までに達成すべき持続可能な開発目標 SDGs(SUSTAINABLE DEVELOPMENT GOALS)

①貧困を終わらせる ⑦再生可能エネルギー ⑬気候変動対策

②飢餓を終わらせる ⑧持続可能な雇用と経済成長 ⑭海洋の持続可能な利用

③健康的な生活 ⑨インフラ構築、イノベーション ⑮陸地の持続可能な利用

④質の高い教育 ⑩不平等の是正 ⑯平和と正義

⑤ジェンダー平等 ⑪住み続けられる都市、人間生活(生活環境) ⑰持続可能な開発のための実施手段とグローバル・パートナーシップ

⑥水と衛生の利用と管理 ⑫持続可能な生産と消費

ツーリズム産業を取り巻くグローバルな課題

2017年は国連「開発のための持続可能な観光の国際年」

Page 12: 持続可能なエコツーリズムとは? · 「国立公園満喫プロジェクト」 「国立公園ステップアッププログラム2020」を策定 現状の課題 自然保護がメインであり、観光への活用が不十分

Copyright (C) 2011 JTB Corp. all rights reservedCopyright (C) 2018JTB Corp. all rights reserved12

2012年4月 東京・仙台開催

2013年4月 アブダビ

2014年4月 中国・海南島

2015年4月 マドリード

2016年4月 ダラス

2017年4月 バンコク

2018年4月 ブエノスアイレスにて開催

1990年に創設された、世界の主要ツーリズム関連企業トップ約140名で構成される民間の非営利団体。ツーリズムに関わる全ての主要分野を世界規模でカバーする唯一の団体であり、国連世界観光機構(UNWTO)のカウンターパートとしてツーリズムに関わる調査研究、各国政府・国際機関に対するロビー活動を行っている。また、毎年WTTCグローバルサミットを各国で開催している。

写真提供:World Travel & Tourism Council

WTTC(世界旅行ツーリズム協議会)

「大統領として多くの時間を世界の戦争の終結、相互理解の促進に取り組んできた。旅行・観光の中に、平和の大切さが表れている。」

「これからの20年の間に、旅行・観光産業は、エネルギー政策の再検討をリードすることになるだろう。それだけ、観光産業は環境とのかかわりが深い。」

WTTC Global Summit2013 Abu Dhabi クリントン元米国大統領の特別講演

Page 13: 持続可能なエコツーリズムとは? · 「国立公園満喫プロジェクト」 「国立公園ステップアッププログラム2020」を策定 現状の課題 自然保護がメインであり、観光への活用が不十分

Copyright (C) 2011 JTB Corp. all rights reservedCopyright (C) 2018JTB Corp. all rights reserved13

ツーリズムEXPO ジャパン 2017

持続可能なツーリズムに向けて

「民間を代表する立場から、目下の懸念は、旅行者の激増によりバランスが崩れ、地元の生活にマイナス影響が生じているケースです。ベネチアやバルセロナでは、物価の高騰や、住環境の悪化を招きました。解決策の一つは、都市に偏る観光需要の地方分散です。また異なる宗教との共通点を発見するなど、心が豊かになり、平和促進につながる観光が求められています。」

世界旅行ツーリズム協議会(WTTC) 会長 ジェラルド・ローレス氏

写真提供:World Travel & Tourism Council

Page 14: 持続可能なエコツーリズムとは? · 「国立公園満喫プロジェクト」 「国立公園ステップアッププログラム2020」を策定 現状の課題 自然保護がメインであり、観光への活用が不十分

Copyright (C) 2011 JTB Corp. all rights reservedCopyright (C) 2018JTB Corp. all rights reserved14

エコツーリズムへの取組みが課題を解決する

オーバーツーリズムの解決のために

オーバー・ツーリズム=観光地が受け入れられる許容限度を超えて訪問客が訪問している過剰混雑の状態

居住する地域の人々に負担と悪影響を与え、生活や地域環境を破壊

町内インフラへの負担

渋滞悪化ゴミの増加

景観の損失

既に起きている世界の事例や取り組みから学ぶことで、

ツーリズムによる持続可能な成長を目指すことが必要

写真提供:SOZAI×FAN

Page 15: 持続可能なエコツーリズムとは? · 「国立公園満喫プロジェクト」 「国立公園ステップアッププログラム2020」を策定 現状の課題 自然保護がメインであり、観光への活用が不十分

Copyright (C) 2011 JTB Corp. all rights reservedCopyright (C) 2018JTB Corp. all rights reserved15

2.日本のエコツーリズムの現状と目指すべき方向

Page 16: 持続可能なエコツーリズムとは? · 「国立公園満喫プロジェクト」 「国立公園ステップアッププログラム2020」を策定 現状の課題 自然保護がメインであり、観光への活用が不十分

Copyright (C) 2011 JTB Corp. all rights reservedCopyright (C) 2018JTB Corp. all rights reserved16

エコツーリズム=サスティナブルツーリズム

1.自然・歴史・文化など地域固有の資源を生かした観光を成立させること

2.観光によってそれらの資源が損なわれることがないよう、適切な管理に基づく

保護・保全をはかること

3.地域資源の健全な存続による地域経済への波及効果が実現することをねらい

とする、資源の保護+観光業の成立+地域振興の融合をめざす観光の考え方

である。それにより、旅行者に魅力的な地域資源とのふれあいの機会が永続的

に提供され、地域の暮らしが安定し、資源が守られていくことを目的とする。

エコツーリズムとは

屋久島ウィルソン株Vietnamese village

出典:日本エコツーリズム協会HP

「エコツーリズム」の定義

Page 17: 持続可能なエコツーリズムとは? · 「国立公園満喫プロジェクト」 「国立公園ステップアッププログラム2020」を策定 現状の課題 自然保護がメインであり、観光への活用が不十分

Copyright (C) 2011 JTB Corp. all rights reservedCopyright (C) 2018JTB Corp. all rights reserved17

観光振興

環境保全地域振興

地域住民の参画なくして、資源は守れず。

経済効果なくして地域住民の参画は望めず。

資源の持続なくして、観光は成立せず。

エコツーリズムの効力

エコツーリズムを導入することで

1.元気のなくなっている観光地に新しい力を

つけることができる

2.新しい観光を作っていける現地の生活が

観光資源になりうる

3.これまでと違った旅の楽しみが生まれる

従って、エコツーリズムは

地方創生に大いに役立つ考え方である。

観光客の増加による環境破壊、ごみ問題

⇒環境保全を最優先したツーリズムが必要

エコツーリズムの課題

エコツーリズムの3大要素

Page 18: 持続可能なエコツーリズムとは? · 「国立公園満喫プロジェクト」 「国立公園ステップアッププログラム2020」を策定 現状の課題 自然保護がメインであり、観光への活用が不十分

Copyright (C) 2011 JTB Corp. all rights reservedCopyright (C) 2018JTB Corp. all rights reserved18

エコツーリズム=環境を守りながらその価値を伝えること

• 新たな観光需要による地域・観光振興

• 観光教育に活用

■エコツーリズムの概念と5つの主体

エコツーリズム

資源を生かした観光

環境の保全

地域振興

地域住民

行政

専門家

旅行会社

観光客

世界の潮流

サスティナブルツーリズムを実現するエコツーリズム

Page 19: 持続可能なエコツーリズムとは? · 「国立公園満喫プロジェクト」 「国立公園ステップアッププログラム2020」を策定 現状の課題 自然保護がメインであり、観光への活用が不十分

Copyright (C) 2011 JTB Corp. all rights reservedCopyright (C) 2018JTB Corp. all rights reserved19

<ツェルマット観光クラスターの全体像>

【出展】日本政策投資銀行レポート「地域ビジネスとして発展するインバウンド観光」

ツェルマット(スイス)が取組む持続可能な観光地づくりに向けた体制(組織)づくり→DMO+地域共同体による観光クラスターの形成

マーケティングを担う「ツェルマット観光局」と地域マネジメントを担う「ブルガーゲマインデ・ツェルマット」が連携しながら、持続可能な国際観光地を形成している

【ツェルマット観光局】•マーケティング、中期計画策定、インフォメーション・センター/コールセンターの運営等を行っている。•財源の大半は地方政府からの補助金•会員企業に対して、マーケティングにかかるノウハウ提供や、研修等を行っている。•バレー州観光局やスイス政府観光局、民間企業とも連携。•国境を越えてアルプスを観光資源とした12

の地域(スイス、フランス、イタリア、ドイツ、オーストリア)とも連携。(Best of the Alps)

【ブルガーゲマインデ・ツェルマット】•森林や牧草地などの地域の共有財産の管理を行う。•地域の一番館に相当するホテルや人気レストランを所有・運営している。•自主財源により社会的責任を果たす組織。•地域住民約1,500人がメンバー、7人の役員で意思決定される。•ホテル、レストランで毎期約6,000万スイスフラン(約57.6億円)の売上高がある。•収益をホテル・レストランの更新投資や、地域資源改善のために充てる。

エコツーリズムに取り組む世界の事例①~ツェルマット~

Page 20: 持続可能なエコツーリズムとは? · 「国立公園満喫プロジェクト」 「国立公園ステップアッププログラム2020」を策定 現状の課題 自然保護がメインであり、観光への活用が不十分

Copyright (C) 2011 JTB Corp. all rights reservedCopyright (C) 2018JTB Corp. all rights reserved20

イエローストーンでは20世紀初頭から家畜を守り、弱い野性動物を保護するという名目で狼を退治⇒1970年代には絶滅

生態系(生物の多様性)の再生のために狼を呼び戻すプロジェクトを開始

=野生動物をめぐる「20世紀最大の実験」

*自然発火の林野火災は生態系の営みの一部である

⇒「ただちに消火」から「火を利用する森林保全」に

世界に先駆けた、持続可能な自然保護によるツーリズム⇒日本でも学ぶことが多い

1872年に世界初の国立公園として誕生。アメリカ最大の高原湖、イエローストーン湖、間欠泉、温泉、巨大な滝や大峡谷など雄大な自然のパノラマが展開する。温泉と野生生物が魅力。ツアーでは野生動物と遭遇するツアーで生態系や大自然の大切さを学ぶ

イエローストーン国立公園

エコツーリズムに取り組む世界の事例②~イエローストーン~

一度失いかけたイエローストーン生態系の均衡を取り戻すことに成功した→オオカミ導入プロジェクト

Page 21: 持続可能なエコツーリズムとは? · 「国立公園満喫プロジェクト」 「国立公園ステップアッププログラム2020」を策定 現状の課題 自然保護がメインであり、観光への活用が不十分

Copyright (C) 2011 JTB Corp. all rights reservedCopyright (C) 2018JTB Corp. all rights reserved21

地域協議会の合意形成を図り、自然環境維持・ルールづくりを確立

約10年前からガイドツアーが始まり、現在は約100名のエコツアーガイドが活動し、地域振興にも大きく貢献している。登山、沢登り、カヌー、ダイビングなど、里山地域を含めた屋久島全域の資源を活用した活動プログラムを開発。(財)屋久島環境文化財団による屋久島エコツーリズム支援会議と連携しエコツーリズムに取り組んでいる。

屋久島の事例

Page 22: 持続可能なエコツーリズムとは? · 「国立公園満喫プロジェクト」 「国立公園ステップアッププログラム2020」を策定 現状の課題 自然保護がメインであり、観光への活用が不十分

Copyright (C) 2011 JTB Corp. all rights reservedCopyright (C) 2018JTB Corp. all rights reserved22

エコツーリズムを推進するためのDMOの形成を!

更なるエコツーリズムの発展のためにれからは欧米人も増やすことが大切

✓ これからはエコツーリズムが大事✓ ナショナルパークが受け皿に✓ DMOが大切な役割を果たす

今後目指すべき方向性

日本の伝統文化、生活文化とエコツーリズムの融合

滞在/受入環境の整備 人財育成

Page 23: 持続可能なエコツーリズムとは? · 「国立公園満喫プロジェクト」 「国立公園ステップアッププログラム2020」を策定 現状の課題 自然保護がメインであり、観光への活用が不十分

Copyright (C) 2011 JTB Corp. all rights reservedCopyright (C) 2018JTB Corp. all rights reserved23

ご清聴ありがとうございました。