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医療従事者の「働き方改革」と 医療勤務環境マネジメントシステム の仕組み 特定社会保険労務士 福島通子 医療勤務環境改善マネジメントシステム普及促進事業 平成31年3⽉3⽇(⽇)有床診療所セミナー 資料2 【講演1】 なぜ、今、働き方改革が必要なのか 〇医療従事者は、他の職種と比較しても 抜きんでた長時間労働の実態にある 〇一人ひとりの崇高な理念により医療は支えられ てきた 〇しかし、医療従事者とはいえ一人の人間であり、 長時間労働による健康への影響が懸念される 1

医療従事者の「働き方改革」と 医療勤務環境マネジ …...労働時間の把握義務 •管理監督者も含め、医師も含め、全ての職員の労働 時間の把握が必要

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Page 1: 医療従事者の「働き方改革」と 医療勤務環境マネジ …...労働時間の把握義務 •管理監督者も含め、医師も含め、全ての職員の労働 時間の把握が必要

医療従事者の「働き方改革」と医療勤務環境マネジメントシステム

の仕組み

特定社会保険労務士

福島通子

医療勤務環境改善マネジメントシステム普及促進事業平成31年3⽉3⽇(⽇)有床診療所セミナー

資料2

【講演1】

なぜ、今、働き方改革が必要なのか

〇医療従事者は、他の職種と比較しても

抜きんでた長時間労働の実態にある

〇一人ひとりの崇高な理念により医療は支えられ

てきた

〇しかし、医療従事者とはいえ一人の人間であり、

長時間労働による健康への影響が懸念される

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「働き方改革」でやらなければならないこと法改正スケジュールの確認

施行内容 医師以外 医師 管理監督者

時間外労働の上限規制

中小規模の医療機関

法人単位で「常時使用する」職員が100人以下

2020 年4月適用

2024年4月適用

(施行内容を検討中)

適用なし

大規模の医療機関

法人単位で「常時使用する」職員が100人超

2019年4月適用

年次有給休暇の時季指定義務2019年4月適用産業医等との連携強化

労働時間の把握義務

*資本金又は出資金の額が5,000万円超の場合

大規模とされますが、資本金又は出資金のない医療機関は職員数のみで判断*法人単位で判断 2

「管理監督者」って?

• 「役職名」がついているから「管理監督者」ではない

①経営と一体的な立場で仕事をしている

②出勤、退勤、勤務時間等制限なし

③ふさわしい処遇がなされている

• それ以外は「管理職」であっても「管理監督者」ではな

• 残業代支給の必要あり

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まず現状を確認

Q 残業する場合がありますか?

⇒ある場合は、36協定届を締結、届出していますか?

Q 医師を含め年間10日以上有給休暇を付与される職員

が有給休暇を5日以上とっていますか?

Q 有給休暇について、付与日数や残日数を職員に知らせ

ていますか?

Q 労働時間をタイムカード等で把握していますか?

Q 産業医は選任されていますか?

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「働き方改革」でやらなければならないこと労働時間とは?

• 労働時間=使用者の指揮命令下にある時間

• 診療開始時刻 ≠ 始業時間・着替え、清掃等も労働時間

「うちの看護師さん、朝早く来て掃除してって言ってるのに、始業時間にぎりぎりに来るんですよ。患者さんが来ちゃうのに」‥この発言どうでしょう?

• 手待時間院内で緊急時に備えて待っている=労働時間

• 研修・教育時間、会議・委員会等への出席時間強制・命令であれば明らかに労働時間

出席は任意としながらも出ないと不利益な取り扱いがあるならば労働時間

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「働き方改革」でやらなければならないこと労働時間の把握義務

• 管理監督者も含め、医師も含め、全ての職員の労働時間の把握が必要

• 客観的な方法その他適切な方法で把握

・使用者が現認

・タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等を確認し、適正に記録

• 賃金台帳に、労働日数、労働時間数、休日労働時間数、時間外労働時間数、深夜労働時間数を記入

6

「働き方改革」でやらなければならないこと労働時間の把握義務

• 自己申告制の場合

・適正な運用について十分な説明

・自己申告とタイムカード等の記録にかい離がある場

合は調査し、補正を

・自己申告できる時間数の上限を設けてはならない

・記録上、36の範囲内に収まっているように守らせる

などしてはならない

• 労働時間の記録に関する書類は3年保存7

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「夜勤」と「当直」の違い

• 夜勤は休憩時間を除いてすべて労働時間

• 当直は、許可があれば労働時間ではない

• 当直途中に緊急対応などをした場合はその時間だけが

労働時間

• 緊急対応が恒常的であると、当直と認められず、取り消

しも有り得る

• 当直は労働時間ではないので、連続勤務制限にも係ら

ない8

12/5医師の働き方に関する検討会資料より

* 宿日直許可のない当直は待機時間も含めて時間外労働

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12/5医師の働き方に関する検討会資料より

これまであいまいだった時間が労働時間になると‥

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「働き方改革」でやらなければならないこと時間外労働の上限規制

厚労省リーフレットより

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「働き方改革」でやらなければならないこと36協定届の見直し

• 1日8時間、1週40時間(法律上の労働時間の限度)

• 1週1日又は4週4休の休日(法定休日)

(医療機関の場合は変形労働時間制における労働時間及び休日)

• これを超えて働かせるには、36協定届の締結・届出が必要

*届出なく時間外労働をさせると違法

*法改正により、罰則あり!

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「働き方改革」でやらなければならないこと36協定届の見直し

• 特別な事情がなければ月45時間、年360時間を超えることはできない

⇒特別条項の締結が必要

• 経過措置あり

2019年4月1日(中小規模医療機関は2020年4月1日)以後の期間のみを定めた36協定届に上限規制

• 時間外労働・休日労働を行う業務の区分の細分化、範囲の明確化が必要

• 36協定届の範囲内でも安全配慮義務を負う13

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「働き方改革」でやらなければならないこと36協定届に関する留意点

• 「1日」「1カ月」「1年」について時間外労働の限度⇒ それぞれの限度を超えないよう管理

• 協定期間の「起算日」• 特別条項時間外労働+休日労働<月100時間

≦複数月平均80時間*施行日以後は36協定届の対象期間に関わらず計算の必要あり

• 過半数代表者・管理監督者でないこと・投票、挙手等の方法で選出・使用者の意向で選ばれた者でないこと

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「働き方改革」でやらなければならないこと36協定届に関する留意点

• 施行前までは旧様式で可、施工後は新様式で作成・届出

• 「常時使用する労働者」 ≠ 常勤

*臨時に雇入れた労働者以外の数(パート、アルバイトで

あっても臨時的でなければ含める)

• 派遣労働者に関しては、36協定届は派遣元で締結・届

出。36協定越えの場合は派遣先が法違反となる

• オンラインで36協定届の作成ツール、電子申請も15

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「働き方改革」でやらなければならないこと勤務間インターバル

厚労省リーフレットより努力義務

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「働き方改革」でやらなければならないこと年次有給休暇の時季指定義務

厚労省リーフレットより義務

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「働き方改革」でやらなければならないこと年次有給休暇の時季指定義務

• 自ら申し出て取得した日数

+計画的付与

+時季指定付与 ≧ 5

• これまで年次有給休暇の付与日(基準日)から1年以内に5日とれていない者がいた?

なぜ? どうする?

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「働き方改革」でやらなければならないこと年次有給休暇の時季指定義務

• 就業規則の改定(例)

第〇条 年次有給休暇が10日以上付与された職員に対しては、付与日から1年以内に、5日について、職員の意見を聴取したうえで、時季を指定して取得させる。但し、〇項の規定による年次有給休暇を取得した場合は、その日数分を5日から控除するものとする。

• 基準日統一の検討

• 管理の方法(年次有給休暇管理簿等)の検討

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「働き方改革」でやらなければならないこと同一労働同一賃金

• 均衡待遇規程の明確化

・基本給、賞与、役職手当、福利厚生、教育訓練などについて、待遇差の判断のもとになるルール

*例

・職務内容、責任の範囲・程度の違い

・配置の変更範囲の違い

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罰則

1.時間外労働の上限規制

6か月以下の懲役または30万円以下の罰金

2.年休取得義務化

30万円以下の罰金

*取得義務以外の有休拒否は6か月以下の懲役または30万円以下の罰金

3.労働時間の適正把握義務

なし

4.勤務間インターバル

なし

5.産業医・産業保健機能の強化

なし

6.パートタイム・有期雇用労働者の待遇格差の是正

なし

(派遣については30万円以下の罰金あり)21

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副業容認の動きも

• 厚労省モデル就業規則も、副業を原則として認める

方向に変更

• 就業時間の把握については、労働者の自己申告によ

り、副業・兼業先での労働時間を把握?

• 長時間労働を招くものになっていないか確認

• 兼業・副業先の状況も踏まえて健康確保措置が必要

• 勤務先のルールに従い、適切な副業・兼業を選択

• 秘密漏えいのリスク

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問題がある兼業・副業

• 勤務先の名称や影響力を使った兼業・副業

• 守秘義務の反故、情報漏えいのおそれ

• 遅刻、欠勤などの勤務態度の悪化を招く

• 勤務先の品位を落とす恐れのある兼業・副業

• 勤務先の利益の損失を起こす

• 年収アップのため無理なタイムスケジュールを組み、副業による疲れや寝不足を持ち込む

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副業・兼業における労働時間の考え方

• 同一日にA+Bの労働をした場合A病院「所定労働時間8時間」⇒法定労働時間内、割増賃金の支払い無

B病院「所定労働時間5時間」⇒すべて法定時間外労働時間、割増賃金

の支払い義務を負う

• リスクもある① 労災認定の問題(労働時間不通算)

*長時間労働についての労災は認定されにくい?*平均賃金が低くなる可能性*労働基準法では通算(割増賃金の問題あり)② 責任の所在

*副業先で労災(本業の指揮命令下にないので責任なし?)*長時間労働を承知している場合は、本業の時

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〇 長時間労働をさせた場合の管理職の責任について

管理職に周知

労基法違反、安全配慮義務違反

・ 労働時間規制、割増賃金支払い義務違反については、刑事罰あり

(6か月以下の懲役または30万円以下の罰)

・過労死などの重大な事故を起こした場合は刑事責任を問われることもある。

・自殺の原因が使用者側にあるとされた場合、多額の損害賠償を求められる

可能性がある。

・安全配慮義務に対する社会的責任を果たしていないとされ信用失墜につな

がる可能性がある。

注意! 安全配慮義務

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医療従事者の勤務環境改善の促進

医療従事者の離職防⽌や医療安全の確保等を図るため、改正医療法(平成26年10⽉1⽇施⾏)に基づき、 医療機関がPDCAサイクルを活⽤して計画的に医療従事者の勤務環境改善に取り組む仕組み(勤務環境改善マネジメントシステム)を創設。医療機関の⾃主的な取組を⽀援するガイドラインを国で策定。

医療機関のニーズに応じた総合的・専⾨的な⽀援を⾏う体制(医療勤務環境改善⽀援センター)を各都道府県で整備。センターの運営には「地域医療介護総合確保基⾦」を活⽤。医療従事者の勤務環境改善に向けた各医療機関の取組(現状分析、改善計画の策定等)を促進。

勤務環境改善に取り組む医療機関

取組の実施

更なる改善

定期的な評価

Plan

Do

Check

Act

勤務環境改善マネジメントシステム

院内で、院長、各部門責任者やスタッフが集まり協議

計画策定

ガイドラインを参考に改善計画を策定

現状の分析

医療勤務環境改善マネジメントシステムに関する指針(厚労省告⽰) 勤務環境改善マネジメントシステム導⼊の⼿引き(厚労省研究班)

「医療従事者の働き⽅・休み⽅の改善」の取組例 多職種の役割分担・連携、チーム医療の推進 医師事務作業補助者や看護補助者の配置 勤務シフトの⼯夫、休暇取得の促進 など

「働きやすさ確保のための環境整備」の取組例 院内保育所・休憩スペース等の整備 短時間正職員制度の導⼊ ⼦育て中・介護中の者に対する残業の免除 暴⼒・ハラスメントへの組織的対応 医療スタッフのキャリア形成の⽀援 など

マネジメントシステムの普及(研修会等)・導入支援、勤務環境改善に関する相談対応、情報提供等

課題の抽出

改善計画の策定

都道府県 医療勤務環境改善支援センター

医療労務管理アドバイザー(社会保険労務⼠等)と医業経営アドバイザー(医業経営コンサルタント等)が連携して医療機関を⽀援

センターの運営協議会等を通じ、地域の関係機関・団体(都道府県、都道府県労働局、医師会、⻭科医師会、薬剤師会、看護協会、病院団体、社会保険労務⼠会、医業経営コンサルタント協会等)が連携して医療機関を⽀援 26

医療勤務環境改善マネジメントシステムについて

医療勤務環境改善マネジメントシステムに関する指針(厚生労働省告示第三百七十六号)

(⽬的)• 第⼀条 この指針は、病院⼜は診療所の管理者が医師、看護師等の医療従事者その他

の職員の協⼒の下に⼀連の過程を定めて継続的に⾏う⾃主的な勤務環境を改善する活動を促進することにより、医療従事者の勤務環境の改善その他の医療従事者の確保に資する措置の適切かつ有効な実施を図り、もって安全で質の⾼い医療の提供に資することを⽬的とする。

詳しくは「いきサポ」へ http://iryou-kinmukankyou.mhlw.go.jp/ 27

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医療勤務環境改善マネジメントシステムに関する指針(厚⽣労働省告⽰第三百七⼗六号)

(定義)第⼆条 この指針において次の各号に掲げる⽤語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。⼀ 医療勤務環境改善マネジメントシステム︓病院⼜は診療所において、次に掲げる事項を体系的かつ継続的に実施する医療従事者の勤務環境の改善に係る⼀連の⾃主的活動に関する仕組みであって、当該病院⼜は診療所における業務実施に係る管理と⼀体となって運⽤されるものをいう。イ 勤務環境の改善に関する⽅針(以下「改善⽅針」という。)の表明及び勤務環境の改善の実施

に係る体制の整備ロ 勤務環境に関する現状の分析(以下「現状分析」という。)、勤務環境の改善に関する⽬標

(以下「改善⽬標」という。)の設定及び勤務環境の改善に関する計画(以下「改善計画」という。)の作成

ハ 改善計画の実施ニ 改善⽬標の達成状況及び改善計画の実施状況の評価(以下「評価」という。)並びにこれを踏

まえた改善⽬標及び改善計画等の⾒直し⼆ ⼿引書︓医療勤務環境改善マネジメントシステムに関して、厚⽣労働省医政局⻑が定める⼿引書をいう。

Check&Act評価・改善

Do実⾏

Plan計画

マネジメントシステム導⼊準備

ステップ1⽅針表明

ステップ2体制整備

ステップ3現状分析

ステップ4⽬標設定

ステップ5計画策定

ステップ6取組の実施

ステップ7評価・改善

医療勤務環境改善マネジメントシステム導⼊ステップ

詳しくは「いきサポ」へ http://iryou-kinmukankyou.mhlw.go.jp/ 28

医療分野の「雇⽤の質」向上のための勤務環境改善マネジメントシステム導⼊の⼿引き(改訂版)

<⼿引き(改訂版)の構成>1.勤務環境改善マネジメントシステム導⼊のねらい・⽬的2.マネジメントシステム導⼊のフローと具体的な進め⽅3.マネジメントシステム導⼊に関する取組事例の紹介4.マネジメントシステム導⼊の⽀援ツールの使い⽅

・推進体制整備シート ・現状分析シート・現状診断・対策⽴案シート・アクションプラン・シート ・PDCA運営シート

5.「雇⽤の質」向上の取組メニュー・働き⽅・休み⽅改善・職員の健康⽀援・働きやすさ確保のための環境整備(ソフト⾯・ハード⾯)・働きがいの向上

6.「雇⽤の質」向上の取組メニューの実施例7.その他の⽀援ツール

・労務管理チェックリスト【すべての医療機関で実施】・勤務環境セルフチェックリスト(簡易版)

8.参考情報

各種⽀援ツールの紹介とその使い⽅、取組メニューの実施例などを記載 「いきいき働く医療機関サポートWeb(いきサポ)」 から、全てダウンロード可能

詳しくは「いきサポ」へ http://iryou-kinmukankyou.mhlw.go.jp/ 29

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マネジメントシステムの使い道

• マネジメントシステムは、当該医療機関で働く医療従事者全般を対象に、自機関における「雇用の質」の向上に資する4つの領域に属する幅広い項目への取組状況について分析を行い、自機関の現状を客観的に把握し、現状における問題点を整理し、問題点を解決するための課題を抽出するもの

30詳しくは「いきサポ」へ http://iryou-kinmukankyou.mhlw.go.jp/

いきいき働く医療機関サポートWeb(通称「いきサポ」)

【主なコンテンツ・機能】

• 国の施策や各種通知・審議会等の 新動向

• 各種イベントや過去に実施したセミナー資料

• 医療機関における具体的な事例を紹介

(キーワードで取組事例を検索可能)

• 相談先となる支援センター連絡先

• 医療勤務環境改善マネジメントシステム導

入の手引き、支援ツール

• セミナーの開催情報や参加申込み 等

※FacebookやTwitterで情報発信中

http://iryou-kinmukankyou.mhlw.go.jp/

いきサポFacebook いきサポTwitter

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■医療機関の勤務環境改善のイメージ

◆様々な職種の医療スタッフがお互いに連携し、業務分担を図りながら「チーム医療」を進めたことで、患者さんにとって安心・安全な医療が提供できるようになりました!

◆労務管理や経営面で悩んだとき、専門家チームに相談したところ、こちらのニーズにあったアドバイスがもらえました!

◆ナースセンターとハローワークの連携強化のおかげで、看護職員の確保がしやすくなりました!

◆保育環境が整備されたことで、育児をしながらでも働き続けられるようになりました! ◆職員の勤務

環境を見直す際、他の病院の取組事例を掲載したサイトが参考になりました!

医師 看護職員

病院経営者

薬剤師など様々な医療スタッフ

事務部門スタッフ

◆短時間正社員制度の導入で、柔軟な働き方が選択でき、仕事と家庭生活の両立が図れるようになりました!

◆「補助者」が増えたことで、事務作業が軽減され、医療行為に専念できるようになりました!!

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労働基準監督署の立ち入り調査が目立つ?

• 医師の違法残業

• 労使協定を上回る時間外労働

• 残業代未払、割増賃金支払い不足

• 長時間労働と過労死、過労自殺を巡る問題

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労働基準監督署の監督とは(臨検、立入)

• 定期監督労働基準監督署の年度計画に基づき、行政課題に合った事業所を選定して定期的に査察

• 申告監督労働者の申告に基づく査察

• 災害調査労災で死亡、重症、中毒、爆発事故などがあった場合

• 災害時監督災害調査をすぐに行うような重大な労働災害以外の場合

• 再監督重大な法違反、申告事件がらみの場合等、再度臨検して是正状況を確認 34

是正勧告とは

• 労働基準監督署による調査の結果、違反が確認された場合に、その違反事項に対して「是正」を「勧告」すること

• 繰り返し是正しない場合、または過度に悪質と判断される場合等は、検察庁に書類送検される場合がある

• これまでは、いわゆる「行政指導」だった

平成29年厚生労働省通達により企業名公表制度開始

改正法により、罰則が適用されるようになる

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是正勧告調査から見た労基法違反の実態(「医療現場の労務管理に関する研究-勤務医等の過重労働を中心に-」

平成24年社労士会連合会社労士総研研究プロジェクト報告から)

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交付文書(是正勧告書)について

• 是正勧告内容を記載した書面

• 各労働基準監督官から事業主宛てに出される

• 記載内容には、違反している法条項等、違反事項の詳細、是正期日が含まれる

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是正勧告の実情

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是正勧告の実情

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交付文書(指導票)について

• 指導票は罰則のある法令違反ではないが、改善事項すべきことがある場合に交付される

• 監督官だけでなく、厚生労働技官や事務官も行政指導を行う際に使用する

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是正勧告の実情

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是正・改善報告書について

• 是正勧告等を受けたことに対して、是正・改善をした

ことを所轄労働基準監督署長に書面にて報告する文書

• 是正期日が長期にわたる場合は、是正期日ごとに段階的に報告する場合がある

• 是正が間に合わない場合は、事前に監督官の了解を取り延期したり、項目によっては是正計画を報告することで対応できる場合もある

• 監督署から交付される様式があるが、全国統一されたものはなく、任意の様式でも可

(指摘事項を網羅していれば問題なし)42

是正報告例

• 時間外労働の申請がなされていない労働について

調査する

• 病院運営連絡会議において管理部門に周知徹底

• 超過勤務についての共通認識と理解を得るために

研修会を開催し、周知徹底を図った(時間管理)

• 時間外業務の内容を確認し、該当業務への時間確

保を図ることとした

• 業務命令として受講する必要のある研修会及び各

種委員会について申請漏れを確認した

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是正報告例

• 開業医等へ患者紹介

• 各職員の時間外勤務の状況を適切に把握して、時間外勤務の平準化に取り組む

• 特に超過勤務の多い医師について「医師の負担軽減に資する計画」に基づく対策を進める

• 医師事務作業補助者を増員して配置

• 長時間労働が顕著な職員に対し、面接指導の申出をするように文書で勧奨

44

是正報告例

• PCの電源オン・オフの記録情報、新電子カルテシステムのログ情報を活用

• 勤務状況について各部門管理職による聞取調査を行い、労働時間と判明した部分について超過勤務手当の追加支給手続きを実施

• 職員に対し、時間外労働時間の的確・適正な記録につき周知徹底す

• 出勤簿に、時間外労働時間及び就業時間を記入する欄を設ける

+各病棟の看護師長が、翌日に出勤簿及び時間外勤務命令簿を確認する

• 定期的に看護局幹部職員及び事務局幹部職員による職場巡視を行い、実態との乖離の有無を確認する

• ノー超勤ウィークの実施

• 管理者のマネジメント能力の向上、仕事の進め方の見直し、仕事の工夫・改善を図る

• 安全衛生委員会メンバーで職場内の見回りの実施45

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(関連実例)医師高額年俸訴訟 高裁、高裁差し戻し

【1審、2審】「医師の仕事は労働時間に応じた賃金の支払いになじまない」=高額な年俸に含まれる

【 高裁】神奈川県男性医師1700万円に残業代が含まれるか?高裁:「年俸によって残業代が支払われたとはいえない」

として、審理を高裁に差し戻し

*残業代と通常勤務の賃金は区別できる仕組みにする必要あり⇒ 労働時間の適性把握の必要性が出てくる

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(年俸契約書改定例)☆もし、このような契約書が交わされていたら‥

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様々な工夫例

• 夜勤希望日を指定できる

• 4日以上の連続休暇を2年に1回を目途に取得

• シフトの調整において、特定日に休みたい看護師と休暇日を交換可能に

• シフト表に応援当番を明記(応援に行く人をあらかじめ設定しておく)

• 仮眠時間延長

• 就業前の残業確認、協力体制

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様々な工夫例

• 意見交換会を開き、具体的な改善要望を把握

• 多様な勤務選択肢

(フレックス勤務、夜勤専従、短時間正職員等)

• 自院の労務に関する制度の周知

• 腰痛対策のストレッチ教室開催

• 職員退職時には学会発表などの実績証明書や感謝状を渡す

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