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1 化学発光タンパク質を利用した イルミネーション技術の開発 大阪大学 産業科学研究所 生体分子機能科学研究分野 助教 中野 雅裕 特任助教 岩野

化学発光タンパク質を利用した イルミネーション技術の開発 …...13 スマートフォンを利用したオンサイト診断 試料採取部 400 500 600 700

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化学発光タンパク質を利用したイルミネーション技術の開発

大阪大学 産業科学研究所

生体分子機能科学研究分野

助教 中野 雅裕

特任助教 岩野 恵

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研究室紹介大阪大学・産業科学研究所・永井研究室

教授 永井 健治助教 中野 雅裕特任助教 岩野 恵

産業科学研究所

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生物の持つ発光・蛍光タンパク質を利用

世界一明るい発光タンパク質の開発

生体分子を感知するセンサーの開発

研究室紹介

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自発的に発光する生物

ホタルやツキヨタケなどの光るキノコ、オワンクラゲの

ように、自ら光を発する事のできる生き物が存在します

ホタル ツキヨタケ オワンクラゲ

自然界の発光生物

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発光タンパク質が発光基質を酸化することで光ります

(化学エネルギーを利用→化学発光)

発光タンパク質(酸化酵素)

発光基質

化学発光のメカニズム

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蛍光と化学発光では、光を発するメカニズムが異なります

蛍光 化学発光

化学発光と蛍光の違い

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(利点)

高い時間・空間分解能光による操作が可能

(欠点)励起光の必要性蛍光褪色光損傷・光毒性自家蛍光低コントラスト光遺伝学との併用が不可

(利点)

生体に優しい褪色がない高いコントラスト光遺伝学との併用が可能

(欠点)シグナルが弱い低い時間・空間分解能発光基質の導入が必要

蛍光 化学発光

化学発光と蛍光の違い

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シグナルが極めて弱い

http://www.summitpharma.co.jp/

毛の無いヌードマウス

麻酔

長時間露光

・正常状態での観察が困難

・リアルタイム観察が不可能

・高感度カメラが必要

従来の化学発光の弱点

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熱として放出されるエネルギーも光に変換

蛍光タンパク質

化学発光タンパク質

リアルタイム観察が可能に!

高効率な励起エネルギー移動

Saito et al. Nat. Commun. 2012; Takai et al. PNAS, 2015

高輝度発光タンパク質“ナノランタン”

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化学発光タンパク質

従来の発光タンパク質

超高輝度発光タンパク質

100倍以上蛍光タンパク質

励起エネルギー移動効率を高めて高輝度化を実現

“ナノランタン”の技術革新−1

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5色のナノランタンシリーズの開発

単細胞レベルで多色イメージング

“ナノランタン”の技術革新−2

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iPS細胞から分化した心筋細胞のカルシウム動態を長時間観察

ハイコンテンツ化合物スクリーニング

1200

1700

2200

2700

3200

0 10 20 30 40 50

コントロール

時間 (秒)シ

グナ

ル強

20 μM イソプロテレノール添加

Suzuki et al. Nat. Commun. 2016

“ナノランタン”の応用展開−1

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スマートフォンを利用したオンサイト診断

試料採取部

400 500 600 700

0.0

0.2

0.4

0.6

0.8

1.0

1.2

規格

化し

た発

光強

波長 (nm)

(-)(+)血液成分A

地球上のどこでもオンサイト診断が可能に!

血液成分診断用発光センサー

特願2017-013463

WiFiで医療機関へ送信

特願2017-018773化学発光診断用基板作製法

極微量血液採取(1マイクロリットル以下)

http://www.bdj.co.jp/pas/products/safety-lancet.html

“ナノランタン”の応用展開−2

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・世界最高の発光強度を誇る、生物発光・蛍光ハイブリッド蛋白質「ナノ・ランタン」を開発済・可視光のほとんどをカバーする青、緑、黄緑、橙、赤の5色をラインアップ・発光コケ・発光シロイヌナズナの作製には成功

◆豊富なカラーバリエーション(世界最多)

◆様々な発光蛋白質の遺伝子導入植物作製

発光コケ発光花のイメージ図

発光植物を作成

市場展開

世界初煌めく植物市場創出

“ナノランタン”の応用展開−事業目標

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「煌めく植物」の現状1

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発光シロイヌナズナ

1 cm

ReNLCeNLシロイヌナズナ

「煌めく植物」の現状2

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発光像明視野像

発光シロイヌナズナ「煌めく植物」の現状3

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明視野像 蛍光像 発光像

発光ペチュニア

「煌めく植物」の現状4

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■日経新聞、大手新聞社、NHKニュースなど多数に紹介• 大阪・朝日放送ナイト in ナイト「ビーバップ!ハイヒール」

2015年9月10日放映• テレビ東京「未来シティ研究所」

2016年8月22日放映• 阪大NewsLetter2016年度春号• 関西サイエンスマガジン

“虹色に光るタンパク質阪大、街灯やがん研究に”

2016年9月20日(日経web版)

メディアでの紹介(1)メディアでの紹介

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新技術の特徴・従来技術との比較本プロジェクト

VS農研機構ら

紫外線照射で光るトレニア

10分露光

発光カーネーション

明るさ・多色発光の点で圧倒的優位

発光コケ

発光タバコ

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(1)さらなる高光度化を実現

→ 遺伝子改変技術を開発します

(2)基質添加なしで発光

→ 発光基質合成系の遺伝子を導入します

(3)社会実装化

→ 環境に影響を及ぼさない植物を開発します

実用化に向けた課題

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実用化に向けた課題

「煌めく植物」は、遺伝子組換え植物であるため、一般圃場で栽培し販売するためには、カルタヘナ法で定められた「生物多様性影響評価」について調査し、農水省、文科省、環境省から第1種使用の承認を得る必要があります。

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「みんなで考えよう遺伝子組換え農作物・食品」より(農研機構発行)

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http://www.suntory.co.jp/flower/ifg/

承認されている遺伝子組換え植物

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企業への期待

• カルタヘナ法の承認に必要な農地・植物工場での栽培を自治体・企業と連携して進めたい。

• 「発光タンパク質」、「煌めく植物」を利用したイルミネーション事業に関心のある自治体・企業と連携して進めたい。

• 発光タンパク質を利用したセンシング技術に興味のある、企業との共同研究を希望。

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本技術に関する知的財産権• 発明の名称 :蛍光蛋白質

• 出願番号 :特許第 6115923 号

• 出願人 :大阪大学

• 発明者 :永井健治、ティバリ・ダーメンドラ・クマール、新井由之

• 発明の名称 :蛍光蛋白質

• 出願番号 :PCT/JP2017/009759

• 出願人 :大阪大学

• 発明者 :永井健治、篠田肇、松田知己、マ ユアンキン

• 発明の名称 :蛍光蛋白質• 出願番号 :PCT/JP2016/064132

• 出願人 :大阪大学• 発明者 :中野雅裕、永井健治、高内高貴、新井由之

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産学連携の経歴

2017年-

JST大学発新産業創出プログラム(START)

プロジェクト支援型

平成29年度採択プロジェクト

「化学発光タンパク質を利用した

イルミネーション技術の開発」

プロモーター:野村證券

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お問い合わせ先

大阪大学産業科学研究所

新産業創生研究部門知的財産研究分野

加藤 久明

TEL 06-6879-8448

e-mail [email protected]