Upload
others
View
1
Download
0
Embed Size (px)
Citation preview
「NRIニュースレター」に掲載されているあらゆる内容の無断転載・複製を禁じます。すべての内容は日本の著作権法及び国際条約により保護されています。 Copyright © 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All Rights Reserved. 1
2011 .2 Vol.101
お問い合わせ先
TEL 03-6660-8370(担当:海かい
藤とう
、竹内)
E-mail [email protected]〒135-0042 東京都江東区木場 1- 5-15 タワーN 棟
NRIオリジナル見解と最新情報の定期便
コーポレートコミュニケーション部
清瀬 一善 きよせ・かずよし
経営コンサルティング部 主任コンサルタント。専門は雇用政策。企業の人材戦略策定も手掛ける。日本がグローバル化していくための産業構造の変革および雇用の変革が関心事。その一環として、医療産業の国際化を追っている。
医療ツーリズムによる日本の医療の可能性
外国人が、海外で優れた治療や検診・健診を受ける医療ツーリズム。シンガポールやタイ、韓国では、すでに国を挙げて外国の患者を受け入れており、日本でも医療ツーリズム実現に向けた動きが始まっています。医療産業政策を追っている、野村総合研究所(NRI)の清瀬一善が、日本での医療ツーリズムの可能性を探ります。
外国人が治療や検診・健診を
日本で受ける医療ツーリズムの
取り組みが、国や自治体で始ま
っています。より良い医療サー
ビスを求めて患者が国境を越え
る動きは世界的に活発化してお
り、シンガポールやタイ、韓国は、
国を挙げて積極的に外国人の受
け入れを推進しています。
外国人患者を受け入れるには、
医療サービスはもちろん、プロ
モーションや問い合わせ窓口な
どの来日前のサービス、旅行・
宿泊手配、医療通訳・翻訳、食
事などの滞在中のサービス、そ
して帰国後のアフターフォローな
ど、さまざまな分野のサービス
提供が必要になります。そのた
め医療を中心とした周辺サービ
ス産業の活性化が期待できます。
しかし医療ツーリズムの狙い
はそれだけではありません。
日本の医療技術の発展や医療
機器・医薬品などの開発の充実
に伴って国内医療の充実が図れ
ること、さらに将来的には、日
本の医療サービスの海外展開に
よる、医療機器・医療関連サー
ビスの新たな内外市場の開拓も
期待できます。
特 集
データ潮流NRIオリジナル調査データから世の中の動きをとらえます。
■ スマートフォンならではの 用途定着が普及の鍵
著者のこころNRIの著者にインタビュー。書籍執筆にまつわる、ちょっとした想いを伝えます。
■「ITを網羅的に把握できる本書を 役立ててほしい」 『ITロードマップ2011年版』著者古明地正俊
NRIからのお知らせイベント
■「ITと新社会デザインフォーラム2011 ~日本が変わる。ITが創る。」 NRIがNTTデータと共同で開催
新 刊
■ リユースITで俊敏な企業になる 経営戦略とITを融合させるために
経 営
■「NRIネットコム」を正式社名に NRIネットワークコミュニケーションズ社名変更
事業
■ NRIと北京郵電大学が「中日物聯網推進連盟」を設立 中国の情報ネットワーク産業発展のために
「NRIニュースレター」に掲載されているあらゆる内容の無断転載・複製を禁じます。すべての内容は日本の著作権法及び国際条約により保護されています。 Copyright © 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All Rights Reserved.2
各国の医療ツーリズム取り組み状況
少子高齢化が進む日本では今
後、症例数の増加は期待できま
せん。医療の発展には臨床研究
が大きく関係するため、現在日
本が強みを持つ領域においても、
このままでは人口の多い新興国
に追い抜かれる恐れがあります。
外 国 人の 受 け入れ体 制 を 整 え
れば、海外の患者に日本の優れ
た医療を受けてもらえるととも
に、国内の症例数が増えて日本
の医療サービスの質が上がりま
す。その結果、国民も高度な医
療を受けることができます。こ
うした好循環が医療ツーリズム
に取り組む狙いでもあるのです。
日本の強みは世界屈指の医療レベル アジアにおいて、医療ツーリ
ズムが先行しているシンガポー
ルやタイ、韓国の取り組み状況
は下表のとおりです。それぞれ
特徴があるなかで、日本ならで
はの強みとなるのは、先進的な
医療技術です。たとえば、日本
の細胞の再生技術は世界屈指の
レベルにあります。重粒子線治
療に代表される高度ながん治療、
手先の器用さが求められる循環
器系や脳神経外科系の手術など、
強みとする治療領域はいくつも
あります。さらに中小規模の多
数の医療機関において高度な健
診を受診できる点も特長です。
日本で医療ツーリズムを実現
させるには、まず、受け入れ対
象 国や日本 の 医 療 に対 する 海
外ニーズのリサーチが必要です。
その上で、対象となる国におい
て、日本の医療についての認知
度を高める必要があります。
実際の受け入れとなれば、医
療 機 関 での 受け入れ体 制の 整
備はもちろん、通訳・翻訳、コ
ールセンターなど滞在中のサポ
ート、治療後には経過観察や継
続的治療が必要になることから、
海外医療機関との相互交流や連
携も求められます。
外国人を受け入れる余力が日
本 の 医 療 にあるのかと危 惧す
る声は挙がっています。しかし、
日本の医療とその周辺サービス
産業の質的向上、ならびに地域
医療の活性化を促す契機として
医療ツーリズムには大きな可能
性があると考えています。長期
的な視点では「医療ツーリズム」
の枠組みを超えて、海外諸国と
日本との国際医療交流という概
念で医療の国際化をとらえるこ
とが重要だと考えています。
長期的な視点で医療ツーリズムをとらえる医療ツーリズムによる日本の医療の可能性
シンガポール タイ 韓国 日本
主な推進目的 医療技術レベルと質の向上 外貨獲得の手段 国家ブランドの形成 医療サービスの
質の向上
受け入れ外国人患者数
実績:64.6万人(2008年)
目標:100万人(2012年)
実績:140万人(2006年)
目標:200万人(2010年)
実績:6万人(2009年)
目標:10万人(2012年)未定
主な誘致対象国・地域 東南アジア、中東など 日本、米国、英国、
中東、南アジアなど
米国(在米韓国人)、日本、中国、ロシア、モンゴルなど
中国、ロシアなど
強み・売り
・ 世界最先端の高度な医療(臓器移植など)
・ 洗練された付帯サービス
・ エステやスパも含めたヘルスケアサービス
・ 低コスト
・ 国を挙げての高度先進医療(ロボット手術)、美容整形、漢方の推進
・ 高度医療(再生医療、がん治療、循環器、小児、内視鏡治療など)
・ 高度健診
特集
シンガポール タイ 韓国 日本
「NRIニュースレター」に掲載されているあらゆる内容の無断転載・複製を禁じます。すべての内容は日本の著作権法及び国際条約により保護されています。 Copyright © 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All Rights Reserved. 3
データ潮流
スマートフォンの利用用途(複数回答)
スマートフォンならではの用途定着が普及の鍵 企 業でのスマートフォンの利用状 況について
N R I が調査したところ、「現在利用している」また
は「1年以内に利用予定がある」企業は合わせて
10%であり、9割の企業は導入に踏み切っていな
い状況です。企業におけるスマートフォンの利用
用途を調べたところ、グラフの結果となりました。
2位の連絡手段以外は、これまで携帯電話では
対応できず、会社に戻らなければ対処できなかっ
た項目です。企業においてスマートフォンが普及
していくには、たんに携帯電話の代替とするだけ
でなく、スマートフォンならではの用途を定着させ
ていくことが鍵になりそうです。
「ITを網羅的に把握できる本書を役立ててほしい」著者 古明地正俊
最新の I T
動 向 を 追う
とともに、IT
がビジネスや社会でどのように
活用されていくかを毎年予測し
ている『 ITロードマップ』の最新
版。古明地は、シリーズ当初か
らこの本にかかわってきました。
「本書は 2005 年から毎年刊行
しています。基本的に、5年先
までの I T 動向を描くロードマッ
プと、約 100 種類の技術の成熟
度を網羅的に配置した情報技術
マップを作成して、二つの軸から
情報技術を眺められるようにし
ています」
この本を手に取る多くの人は、
企業の情報システム部門やシス
テム開発に携わっている方々で
す。毎年、新しい技術が現れる
なか、技術を取捨選択する見通
しを立てる際に、本書を活用し
てもらいたいと古明地は思って
います。
「今の時代、サービスやソリュ
ーションは多様な技術の組み合
わせで成り立っています。自分
の専門分野に限らず、周辺分野
についても把握していなければ、
きちんとしたシステムを
つくることはできま
せ ん。 だ か らこそ、
IT について網羅的に
把握できる本書を
役立ててほしい
と思います」
ITロードマップ2011年版
こめいち・まさとし N R I 情報技術本部技術調査部の上級研究員。
著者のこころ
東洋経済新報社
会社メールやスケジュールの閲覧・更新職場や顧客との連絡手段(主に電話連絡)
Word、Excel、PowerPointなどの業務ファイルの閲覧営業日報の入力顧客情報の閲覧電子申請や承認
商品の在庫確認や発注処理商品カタログや商品情報の閲覧
企業ホームページやニュースサイト閲覧による情報収集ブログやSNSなどの閲覧、書き込み
ポッドキャストやビデオ視聴などのeラーニング利用その他無回答
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90(%)
78.5 45.5 41.0 26.6 21.5 20.2 16.7 14.4 8.3 2.2 1.9 3.81.6出所)NRI「企業情報システムとITキーワードに
関する調査」2010 年 7~8月実施
N=312
「NRIニュースレター」に掲載されているあらゆる内容の無断転載・複製を禁じます。すべての内容は日本の著作権法及び国際条約により保護されています。 Copyright © 2011 Nomura Research Institute, Ltd. All Rights Reserved.4
NRIからのお知らせ
お問い合わせ先TEL 03-6660-8370(担当:海
かいとう
藤、竹内) E-mail [email protected] 株式会社野村総合研究所 コーポレートコミュニケーション部
「ITと新社会デザインフォーラム 2011 ~日本が変わる。ITが創る。」NRIが NTTデータと共同で開催
IT サービス産業の活性化をテーマに、IT による社
会課題の解決や、その実現に向けた I T サービス産
業のビジネスモデル、求められる人材像について考
えていきます。
経営
「NRI ネットコム」を正式社名にNRIネットワークコミュニケーションズ社名変更
N R Iグループの N R I ネットワークコミュニケーショ
ンズは、今年、会社設立 20 周年を迎えます。これを
機に、これまで通称として用いてきた「N R I ネットコ
ム」を、正式な社名とすることにしました。これか
らも、お客様のビジネスを I T 面からさらに強力にご
支援することを通じて、事業の発展拡大に取り組ん
でいきます。
詳細はこちらhttp://www.nri.co.jp/news/2011/110127_2.html
イベント
日時 2011年2月28日㈪13:00~17:30(12:00開場)
場所 東京国際フォーラムホールC
「ITと新社会デザインフォーラム」ホームページ http://www.shin-shakai.com/
※ 参加費は無料ですが、事前のお申し込みが必要です。 上記ホームページよりお申し込みください。
プログラム
1.特別講演「創造性経済へのデザイン」 KIRO 代表 多摩大学大学院 経営情報学研究科 教授 紺野登氏
2.講演「価値創造を担うシステム・アーキテクト~IT人材のパラダイム・シフト~」 NRI コンサルティング事業本部副本部長 執行役員 村田佳生
3.講演「クリエイティブ・シティをデザインする~新たなアプローチによる一考察~」NTTデータ経営研究所 情報戦略コンサルティング本部長・パートナー 三谷慶一郎氏
4.パネルディスカッション「新社会ビジョンとデザイン思考~変わる人づくりとITへの期待~」〈モデレーター〉東京工業大学 ソリューション研究機構 特任教授 鴨志田晃氏
※ 報道関係の方々もぜひご参加ください。 事前に「[email protected]」までご連絡をお願いします。
NRIと北京郵電大学が「中日物聯網推進連盟」を設立
中国の情報ネットワーク産業発展のために
N R I は、中 国 に お
ける情報通信分野の
有 力 大学「北 京 郵電
大学」と共同で、中国
での物聯網(ウーレン
ワン)プロジェクトへ
の 提 案・参 画 を目 的
とした「中日物聯網推進連盟(The China and Japan
Business All iance on the Internet of Things)」を
発足させました。
中国政府は、物聯網を使った情報ネットワーク産
業を、「戦略振興産業」として発展させることを表明
しています。今後、さまざまな分野で、都市や産業
の成長に合わせた物聯網の活用が期待されます。
「中日物聯網推進連盟」は当面の活動として、「北
京市政府が推進する物聯網プロジェクトへの提案」
「物聯網に関する標準化の提案」「会員相互の協業に
向けた意見交換」を進めていきます。
詳細はこちらhttp://www.nri.co.jp/news/2011/110114.html
新刊
リユースITで俊敏な企業になる経営戦略とITを融合させるために
現在、I T は、企業経営にとっ
てなくてはならない、経営基盤
そのものといえます。こうした
なかで I T を経営戦略、事業戦
略に融合させることが重要とな
っています。本書では、経営戦
略と I T を融合させる「リユース
I T」の実現について、国内外の
事例を挙げて紹介しています。 経営者や事業責任者、
C IO はもちろん、「リユース I T」の実践を担うすべて
の方に最適な一冊です。
発行:日経BP社定価:2,000円+税
事業
NRI常務の山田澤明(左)と北京郵電大学の張英海副学長