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7 地球温暖化と国内外の動向 2章 地球温暖化に対する問題意識を共有するため、地球温暖化 の現状や国内外の温暖化対策の動向を整理します

地球温暖化に対する問題意識を共有するため、地球温暖化 の現状 … · 1995 年(平成7年)にドイツのベルリンで開催された「気候変動枠組条約第1回締約

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Page 1: 地球温暖化に対する問題意識を共有するため、地球温暖化 の現状 … · 1995 年(平成7年)にドイツのベルリンで開催された「気候変動枠組条約第1回締約

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2 章 地球温暖化と国内外の動向

2章

地球温暖化に対する問題意識を共有するため、地球温暖化

の現状や国内外の温暖化対策の動向を整理します

Page 2: 地球温暖化に対する問題意識を共有するため、地球温暖化 の現状 … · 1995 年(平成7年)にドイツのベルリンで開催された「気候変動枠組条約第1回締約

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2.1 地球温暖化のメカニズムとその影響

1) 地球温暖化のメカニズム

地球では、地球上に降り注いだ太陽光

エネルギーが地表を暖め、その一部が

地表から赤外線として宇宙に放出され

ますが、この熱を大気中の二酸化炭素

などの温室効果ガスが吸収し、再び地

表に戻す(温室効果)ことにより、地

球の平均気温は14℃前後と、生物が生

きるのに適した環境に保たれてきまし

た。

しかし、18世紀後半の産業革命以降、

人の活動によって、石炭や石油などの

化石燃料の燃焼により排出される二酸

化炭素が急速に増え続けています。日

本の2014 年(平成26年)の二酸化

炭素濃度は397.7 ppm であり、前年

に比べて1.9 ppm 増えています。

その結果、太陽の光から得た熱のうち、

地球から宇宙に出ていく割合が小さく

なり、地表の温度が上昇する「地球温

暖化」の現象が起きているとされていま

す。 図2.1 温室効果ガスと地球温暖化メカニズム

出典:全国地球温暖化防止活動推進センターウェブサイト(http://www.jccca.org/)、気候変動監視レポート2014

図2.2 大気中の二酸化炭素濃度の経年変化

出典:全国地球温暖化防止活動推進センターウェブサイト

(http://www.jccca.org/)

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2) 地球温暖化の影響

(1) 世界における現状と将来予測

2013年(平成25年)9月に公表された「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の

第5次評価報告書(速報版)」によれば、19世紀後半から21世紀前半にかけて、世界の

平均地上気温の上昇(約0.85℃)や平均海面水位の上昇(約0.19m)、暑い日や大雨の頻

度などの増加、氷河や積雪面積の減少など、様々な気候の変化が観測されており、人間活

動が20世紀半ば以降観測された地球温暖化の主な要因であった可能性が極めて高いとさ

れています。

同報告書では、複数のケースに対する将来予測がなされています。それによると、1986

~2005年平均に対する2081年~2100年の世界平均地上気温の上昇量は、可能な限りの

温暖化対策を前提としたシナリオでは0.3~1.7℃の範囲に入る可能性が高いとする一方、

かなり高い排出量が続くシナリオでは2.6~4.8℃の範囲に入る可能性が高いと予測されて

おり、気温の上昇が農林水産業、生態系、水資源、人の健康などに影響を与えることが予

想されています。

出典:全国地球温暖化防止活動推進センターウェブサイト (http://www.jccca.org/) 図2.3 気温が高くなったときの影響

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(2) 日本における現状と将来予測

2016年(平成28年)の日本の年平均気温の1981年~2010年の平均基準における偏

差は+0.88℃で、1898年の気象庁の統計開始以降、最も高い値となっています。日本の

年平均気温は、長期的には100年あたり約1.19℃の割合で上昇しており、特に1990年代

以降に高温となる年が増えています。

出典:気象庁ホームページ(http://www.jma.go.jp/jma/index.html)

図2.4 日本の年平均気温偏差

また、渇水や大雨災害のリスクの増加に加え、米や果樹の品質低下やリンゴやみかんなどの

栽培適地の変化、ヒトスジシマカなどの感染症の媒介生物の分布拡大や熱中症の増加など、農

林水産業や生態系、人の健康などに影響を与えるこれらの原因の一つとして地球温暖化が指摘

されています。

出典:全国地球温暖化防止活動推進センターウェブサイト(http://www.jccca.org/) 図2.5 温暖化に伴って生じる自然環境の変化

Page 5: 地球温暖化に対する問題意識を共有するため、地球温暖化 の現状 … · 1995 年(平成7年)にドイツのベルリンで開催された「気候変動枠組条約第1回締約

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2.2 地球温暖化対策の動向

1) 国際的な動向

(1) 京都議定書の発効

1995 年(平成 7年)にドイツのベルリンで開催された「気候変動枠組条約第 1 回締約

国会議(COP1)」では、先進国の温室効果ガス排出量削減の取組が不十分であるという結

論に達し、COP3 までに議定書等の形で先進国の取組について結論を得ることを目指し検

討を開始することが決定されました。そして、1997 年(平成 9 年)に京都市で開催された

COP3 において、先進国の温室効果ガス排出量に対し、法的拘束力のある数値目標とその達

成方法等を定める京都議定書が採択されました。その後、運用ルールについての協議や各国

の締結手続きを経て、2005 年(平成 17年)2 月に京都議定書が発効されました。

(2) ポスト京都議定書に向けた動き

京都議定書第一約束期間(2008 年(平成 20 年)~2012 年(平成 24年))の最終年

であった 2012年(平成 24 年)にカタールのドーハで開催された COP18 で、京都議定

書の第二約束期間(2013 年(平成 25 年)~2020 年(平成 32 年))が成立するととも

に、2020 年(平成 32 年)以降の新たな枠組みに向けた作業計画が決定されました。

しかしながら、京都議定書の第二約束期間には、日本、ロシア、ニュージーランド等が不

参加となり、EU、オーストラリア等の一部の国のみによって取組がスタートされました。

この結果、第二約束期間は、世界の二酸化炭素排出量の約 15%しかカバーしておらず、京

都議定書に代わる 2020 年以降のすべての国が参加する地球温暖化防止の新たな体制づく

りの構築が重要な課題となっていました。

(3) パリ協定の発効

2014 年(平成 26年)12 月にペルーのリマで開催された COP20 では、「気候行動の

ためのリマ声明」が採択されました。この決定において、気候変動枠組条約第 2 条の目的(大

気中の温室効果ガスの濃度安定化)達成に向けて各国が約束草案を提出し、その内容を現実

のものよりも進んだものとすること、適応計画の取組を提出することなどが決定されました。

そして、2015年(平成 27 年)11 月から 12 月にかけてフランスのパリで開催された

COP21 において、全ての国が参加する公平で実効的な 2020 年度(平成 32 年度)以降の

法的枠組みとして、「パリ協定」が採択され、世界共通の長期目標として気温上昇を産業革

命前から2℃未満に抑える目標が設定されました。

その後、2016 年(平成 28 年)10 月 5 日に 55 カ国以上かつ世界全体の温室効果ガス

排出量の 55%以上を占める国の批准という発効要件を満たしたことから、同年 11月 4 日

にパリ協定が発効されました。

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2) 国内の動向

日本国内では、京都議定書の採択を受け、1998 年(平成 10 年)に地球温暖化防止を目

的とする世界初の法律である「地球温暖化対策の推進に関する法律」が制定されました。

また、温室効果ガス 6%削減(1990年(平成 2 年)比)約束の確実な達成と長期的かつ

持続的な排出削減を目的とする「京都議定書目標達成計画」に基づく様々な取組を実施して

きた結果、京都議定書第一約束期間(2008 年~2012 年)の平均で、8.4%削減を達成し

たことが発表されています。

2015 年(平成 27年)7月には、地球温暖化対策推進本部が「日本の約束草案」を決定

し、2030 年度(平成 42 年度)の温室効果ガス排出量を 2013 年度(平成 25 年度)比

26.0%減(2005年度比 25.4%減)の水準にすることを目標としています。

これまでの国内の主な動き

1979年(昭和 54年) 6月 「エネルギーの使用の合理化(現:合理化等)に関する法律(省エネ法)」

公布

1998年(平成 10年) 10月 「地球温暖化対策の推進に関する法律」公布

2002年(平成 14年) 3月 「地球温暖化対策推進大綱」改正

2004年(平成 16年) 3~6月 社会資本整備審議会環境部会(計 4回開催)

(社会資本整備分野における地球温暖化対策について)

2005年(平成 17年) 2月 ロシアの批准に伴い、「京都議定書」発効

2005年(平成 17年) 4月 「京都議定書目標達成計画」閣議決定

「チーム・マイナス 6%」スタート(2009年で終了、「チャレンジ 25」へ移行)

2006年(平成 18年) 12月 社会資本整備審議会環境部会

(社会資本整備分野における地球温暖化対策の評価・見直し)

2007年(平成 19年) 3月 「京都議定書目標達成計画」の定量的な評価・見直し

2008年(平成 20年) 1月 京都議定書第一約束期間開始

2010年(平成 22年) 1月 「チャレンジ 25」スタート(2014年 3月で終了、「Fun to Share」へ移行)

2011年(平成 23年) 3月 東日本大震災、東京電力福島第一原子力発電所事故の発生

(エネルギー政策をめぐる状況の変化・変動)

2012年(平成 24年) 7月 「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」開始

2012年(平成 24年) 10月 温室効果ガス 25%削減目標を事実上撤回

2012年(平成 24年) 12月 京都議定書第一約束期間終了

2013年(平成 25年) 4月

「電力システム改革に関する改革方針」閣議決定

広域系統運用の拡大、小売及び発電の全面自由化、発送電分離からなる改革

の全体像を提示

2013年(平成 25年) 5月 「地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律」公布

「エネルギーの使用の合理化に関する法律の一部を改正する等の法律」公布

2013年(平成 25年) 12月 「カンクン合意履行のための地球温暖化対策について」公表

(2020年度の温室効果ガス排出量を 2005年度比で 3.8%削減)

2014年(平成 26年) 3月 「Fun to Share」スタート

2014年(平成 26年) 4月 「第4次エネルギー基本計画」閣議決定

2015年(平成 27年) 7月

「日本の約束草案」決定

「長期エネルギー需給見通し(エネルギーミックス)」決定

「COOL CHOICE」スタート

2016年(平成 28年) 5月 「地球温暖化対策計画」閣議決定

「地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律」公布

2016年(平成 28年) 11月 「パリ協定」の発効(11月 4日)及び日本における「パリ協定」の批准(11

月 8日)

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「COOL CHOICE(クールチョイス)」とは?

「COOL CHOICE」とは、2030 年度(平成 42 年度)の温室効果ガスの排出量を 2013

年度(平成 25 年度)比で 26%削減するという国の目標達成のために、日本が世界に誇る省エネ・

低炭素型の製品・サービス・行動など、温暖化対策に資するあらゆる「賢い選択」を促す国民運動

です。

例えば、エコカーを買う、エコ住宅を建てる、エコ家電にするという「選択」、高効率な照明に

替える、公共交通機関を利用するという「選択」、クールビズをはじめ、低炭素なアクションを実

践するというライフスタイルの「選択」など。

国民全員が一丸となって温暖化防止に資する選択を行ってもらうため、統一ロゴマークを設定

し、政府・産業界・労働界・自治体・NPO等が連携して、広く国民に「賢い選択」を呼びかける

運動を 2015 年(平成 27 年)7月1日より実施しています。具体的には、ロゴマークの使用やキ

ャンペーンを通じて、温暖化防止に向けた意識改革や行動喚起を促していくものです。

大分市でも啓発活動や市の率先行動におけるロゴマークの使用や、市域で低炭素型の製品やサー

ビスを提供している事業者との連携、地球温暖化対策おおいた市民会議との連携を通して、「CO

OL CHOICE」運動を推進していく必要があります。

出典:環境省ホームページ

COOL CHOICEのロゴマーク

<ロゴマークの使い方>

・ エコカー、省エネ住宅、省エネ家電などの「CO2削減につながる製品」の広告や販促ツール

に使用する。

・ クールビズ製品などの広告や販促ツールに使用する。

・ LED 照明を採用している店舗、車両などで、LED 使用を案内する掲出物に使用する。

・ 公共交通機関の駅や停留所、車体や車内などで、利用促進の告知ツールに使用する。

・ 共同輸配送を実施している車体に使用する。

・ カーシェアリングの案内パンフレットや、利用促進の告知ツールに使用する。

・ 庁舎等施設のエコ改修を呼びかける掲出物に使用する。

・ エコドライブなどを呼びかける掲出物に使用する。

・ 消灯、温度設定、節水などを呼びかける掲出物に使用する。 など

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2.3 大分市の概要

1) 大分市の概況

大分市は、県沿海部のほぼ中央に位置した東九州の中心都市で、総面積は 502.39km2(平

成 28 年 1 月現在)です。周辺部には鎧ヶ岳よろいがだけ

、樅木山もみのきやま

等の山々が連なり、市の東部には南か

ら大野川が、西部には西から大分川が流れ、瀬戸内海に注いでいます。その下流部には、三

角州及び沖積平野からなる大分平野が広がっています。

産業は、高度経済成長期以降、新産業都市として鉄鋼、石油化学、銅の精錬等、重化学工

業を中心とし、また近年ではIT関連企業が進出するなど、様々な産業が集積し発展を遂げ

てきました。

1997 年(平成 9 年)4月には中核市の指定を受け、2005 年(平成 17年)1 月には 旧

佐賀関町、旧野津原町と合併し、現在の大分市が誕生しました。

図2.6 大分市の位置

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2) 大分市の人口・世帯

2015 年(平成 27年)国勢調査によると大分市の総人口は 478,146人、総世帯数は

203,515 世帯となっています。2010年(平成 22 年)と比較すると、総人口、総世帯

数ともに増加しているものの、1世帯あたりの人数は減少傾向にあります。

図2.7 人口及び世帯数の推移

3) 大分市の産業

大分市の2013年(平成25年)の産業別総生産から見た産業構造は、第1次産業が0.4%、

第 2 次産業が 29.1%、第 3 次産業が 70.5%となっており、この構造を踏まえたうえで、

産業部門及び民生業務部門等の温室効果ガス排出削減の取組を進めていく必要があります。

8,836 8,132 7,969 8,117 8,086

584,852

755,079 725,933 716,737

546,060

1,393,733 1,367,050 1,349,510

1,292,080 1,322,315

0

500,000

1,000,000

1,500,000

2,000,000

2,500,000

2001(H13)

2004(H16)

2007(H19)

2010(H22)

2013(H25)

第3次産業

第2次産業

第1次産業

年度

百万円

図2.8 産業別総生産

資料:平成 25 年度 大分の市町村民経済計算(大分県)

資料:総務省統計局(国勢調査)

8,836 8,132 7,969 8,117 8,086

584,852

755,079 725,933 716,737

546,060

1,393,733 1,367,050 1,349,510

1,292,080 1,322,315

0

500,000

1,000,000

1,500,000

2,000,000

2,500,000

2001(H13)

2004(H16)

2007(H19)

2010(H22)

2013(H25)

第3次産業

第2次産業

第1次産業

年度

百万円

年度

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4) 大分市の交通状況

(1) 自動車保有台数

2013年度(平成 25年度)の自動車保有台数は、375 千台となっており、近年ほぼ横

ばいとなっています。車種別にみると、燃費で乗用車より優れる軽乗用車の割合が増加して

います。

367 369 370 372 373 375 375

0

100

200

300

400

500

2007

(H19)

2008

(H20)

2009

(H21)

2010

(H22)

2011

(H23)2012

(H24)

2013

(H25)

千台

年度

特殊車 普通貨物 小型貨物 軽貨物 バス 乗用車 軽乗用車

軽貨物:四輪貨物トラック、四輪貨物バン、三輪貨物トラック(排気量 660cc 以下)

小型貨物:小型貨物車、貨客車(排気量 2,000cc 以下)

図 2.9 自動車保有台数の推移

(2) 道路網

大分市内の道路網は、国道 10 号をはじめ、国道 197 号、国道 210号など計 6本の国

道を軸に、主要地方道 7 本、県道 24 本となっています。大分市の道路延長は、国県市道あ

わせて 2,767km となっています。

道路のネットワーク化が進み、渋滞が緩和されると、自動車の平均走行速度や燃費が向上

するため、温室効果ガスの削減に寄与します。

2,328 2,350 2,356 2,354 2,360 2,357 2,365 2,371 2,374

252 254 254 256 256 256 257 261 263128 128 129 129 119 130 131 131 130

2,708 2,732 2,739 2,739 2,735 2,743 2,753 2,763 2,767

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

3,500

2007

(H19)

2008

(H20)

2009

(H21)

2010

(H22)

2011

(H23)2012

(H24)

2013

(H25)

2014

(H26)

2015

(H27)

km

年度

市道 県道 国道

図2.10 道路路線延長

資料:大分市統計年鑑

資料:大分市統計年鑑

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(3) 公共交通

大分市の鉄道は、JR 大分駅を中心に3つの路線、17駅があります。2014 年度(平成

26 年度)の JR の乗車人数は 11,225 千人となっており、2005年度(平成 17 年度)か

らほぼ横ばいで推移しています。

一方で、2014年度(平成 26 年度)のバス乗車人数は、10,020 千人となっており、

2005 年度(平成 17年度)から約 13%減少しています。

鉄道やバスなどの公共交通機関は、1 人あたりの温室効果ガス排出量が自動車と比較して

少ない低炭素な交通であり、温暖化防止のためには積極的に利用していく必要があります。

10,563 10,709 10,752 10,94410,551

10,612

10,71810,962

11,429 11,22511,518 11,227 10,856

10,524

9,688

10,899

10,686 10,515 10,266 10,020

6,000

7,000

8,000

9,000

10,000

11,000

12,000

13,000

2005

(H17)

2006

(H18)

2007

(H19)

2008

(H20)

2009

(H21)

2010

(H22)

2011

(H23)

2012

(H24)

2013

(H25)

2014

(H26)

千人

年度

JR市内乗車人数 バス市内乗車人数

図2.11 公共交通機関の利用状況

資料:大分市統計年鑑

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2.4 大分市における温暖化の状況

1) 大分市の気温

大分市の発展に伴い気温も変化しており、2015年(平成27年)には観測史上最も高い

最高気温37.8℃を記録しました。

また、1915年から2015年までの間に、日最高気温の年平均は約1.3℃上昇、日最低気

温の年平均は約2.6℃の上昇となっています。

18

19

20

21

22

1910 1930 1950 1970 1990 2010

日最高気温各年の日最高気温

11年移動平均

9

10

11

12

13

14

1910 1930 1950 1970 1990 2010

日最低気温

各年の日最低気温

11年移動平均

資料:気象庁 気象統計情報

図 2.12 大分市の気温 経年変化

約 1.3℃

上昇

約 2.6℃

上昇

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19

2) 大分市の熱帯夜、冬日の日数

大分市では、熱帯夜(最低気温が25度以上の日)の日数が増えてきています。特に、2010

年(平成22年)は暑さが厳しい夏で、熱帯夜が35日と観測史上最高を記録しました。熱帯

夜日数が増加すると、熱中症患者が増えることが懸念されます。

また、冬日(最低気温が0度未満の日)については減少している傾向にあります。以前は

50日程度あった冬日も、今では15日程度になっています。

0

10

20

30

40

50

60

1930 1940 1950 1960 1970 1980 1990 2000 2010

日数

各年の日数

長期変化傾向

図 2.13 大分市の熱帯夜の日数 経年変化

0

10

20

30

40

50

60

1930 1940 1950 1960 1970 1980 1990 2000 2010

日数

各年の日数

長期変化傾向

図 2.14 大分市の冬日の日数 経年変化

資料:気象庁 気象統計情報

資料:気象庁 気象統計情報

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20

3) 大分市の地球温暖化対策

大分市では、2008年(平成20年)6月に、本計画の前身である「大分市地球温暖化対策

行動指針」を策定し、市民・事業者・行政の協働による積極的な地球温暖化対策の取組を

推進してきました。

2013年(平成25年)以降は、「大分市地球温暖化対策実行計画(区域施策編、事務事

業編)」に基づき、節電キャンペーンの実施や太陽光発電設備等を設置する方への補助金

の交付など、温暖化対策を計画的に推進しています。

大分市の地球温暖化対策の主な動き

2000年(平成 12年) 3月 「大分市環境基本計画」策定

2006年(平成 18年) 12月 「大分市環境基本条例」制定

2007年(平成 19年) 6月 「市民協働のまちづくり」の柱の一つに「地球環境保全の取り組み」を追加

2007年(平成 19年) 12月 「地球温暖化対策おおいた市民会議」設立

2008年(平成 20年) 5月 「大分市環境基本計画」改定

2008年(平成 20年) 6月 「大分市地球温暖化対策行動指針」策定

2008年(平成 20年) 12月 「おおいた市民一斉省エネチャレンジ」開始

2009年(平成 21年) 4月 電気自動車等を購入する方への補助を開始(平成 25年度で終了)

2009年(平成 21年) 9月 「おおいた市民環境大学」創設

2010年(平成 22年) 3月 「大分市地球環境保全基金」創設

2010年(平成 22年) 5月 市役所本庁舎に「緑のカーテン」の設置を開始

2011年(平成 23年) 5月 東日本大震災に伴い、節電の取組を強化

(夏季・冬季の節電キャンペーンを開始)

2012年(平成 24年) 4月 住宅に太陽光発電設備を設置する方への補助を開始

2013年(平成 25年) 3月 「大分市地球温暖化対策実行計画(区域施策編)」策定

「大分市地球温暖化対策実行計画(事務事業編)」策定

2014年(平成 26年) 4月 家庭用燃料電池(エネファーム)を設置する方への補助を開始

2015年(平成 27年) 4月 「大分市地球温暖化対策ガイドブック」作成

2016年(平成 28年) 4月 住宅に定置用リチウムイオン蓄電池を設置する方への補助を開始

燃料電池自動車を購入する方への補助を開始

Page 15: 地球温暖化に対する問題意識を共有するため、地球温暖化 の現状 … · 1995 年(平成7年)にドイツのベルリンで開催された「気候変動枠組条約第1回締約

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大分市の主な取組

地球温暖化対策おおいた市民会議

大分市が進める地球温暖化対策の中心的な組織

として「地球温暖化対策おおいた市民会議」を

設立し、家庭や事業所、地域における地球温暖

化対策への取組の誘導と意識啓発を図っていま

す。

大分市地球温暖化対策ガイドブック

大分市における地球温暖化の状況や、地球温暖

化を防止するための市民・事業者の取組を子ど

もたちに周知するため、大分市と地球温暖化対

策おおいた市民会議が協働で作成しています。

地球温暖化対策出前授業

小学校や中学校において、地球温暖化対策おお

いた市民会議委員や市職員等が講師となり、

「大分市地球温暖化対策ガイドブック」を用い

て温暖化の仕組みを説明したり、普段の生活で

取り組むことのできる温暖化対策などについて

講義したりする出前授業を行っています。

環境ブックの読み聞かせ運動

子ども自らが環境問題に関心を持ち、将来にわ

たって環境問題について考えるきっかけづくり

を目的として、学校、図書館などで、子どもを

対象とした環境関連図書の読み聞かせや紙芝居

を行っています。

Page 16: 地球温暖化に対する問題意識を共有するため、地球温暖化 の現状 … · 1995 年(平成7年)にドイツのベルリンで開催された「気候変動枠組条約第1回締約

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大分市の主な取組

エコチャレンジ日誌

市内の小学生、中学生が環境問題について関心

を高め、地球温暖化を防止するための身近な行

動を知り、実践するきっかけとするために、エ

コチャレンジ日誌の取組を実施しています。

大分市再エネ・省エネ設備設置費補助金

再生可能エネルギーの利用及び省エネルギー設

備の導入を促進し、地球温暖化対策を推進する

ため、住宅等に太陽光発電設備等を設置する方

に対して、設置費用の一部を補助しています。

緑のカーテン運動

緑のカーテンは、建物への日差しを遮り、周囲

の温度を下げる効果もあることから、市役所庁

舎への設置や市民・事業者への啓発に努めてい

ます。

大分市役所 本庁舎南側壁面「緑のカーテン」

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大分市の主な取組

みんなで節電キャンペーン

電力需要の高まる夏季と冬季に市民・事業者に

節電の取組を広く呼びかけるため、「みんなで

節電キャンペーン」を実施しています。キャン

ペーン期間中は自治会や事業所での節電ポス

ターの掲示やイベントでの節電うちわの配布

等を通じて啓発を行っています。

大分市環境展

大分市環境保全活動団体等の協力のもと、市民

一人ひとりの環境に配慮する意識の高揚を図

るため、大分市環境展を開催しています。

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