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冷害への感受性は大きく変化
Hayase et al., (1969) 日本作物学会紀事 38: 706-711.
12℃4日間
22 20 18 16 14 12 10 8 6 4 2 0
出穂前日数(低温処理開始時)
収量
(g/pl)
無処理
4
6
8
10
12
14
16
18
20
1937 1947 1957 1967 1977 1987 1997
札幌 旭川 八戸 盛岡 仙台 秋田 酒田 福島 富山 水戸 神戸 高知 鹿児島
年平均気温は全地点で上昇傾向 (過去70年間,1937-2006)
下野(2008)日本作物学会紀事 77: 489-497.
-1
0
1
2
3
4
5
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
月
札幌
旭川
八戸
盛岡
仙台
秋田
酒田
福島
水戸
富山
神戸
高知
鹿児島
地域により夏の昇温トレンドが異なる
平均値(全地点)
2.8 2.9 2.4 2.5 2.3 1.8 0.6 0.9 1.9 2.3 2.1 2.3
昇温量(℃/100年)
下野(2008)日本作物学会紀事 77: 489-497.
-1
0
1
2
3
4札幌
旭川
八戸
盛岡
仙台
秋田
酒田
福島
水戸
富山
神戸
高知
鹿児島
7月
8月
北日本では夏は昇温していない
昇温量(℃/100年)
下野(2008)日本作物学会紀事 77: 489-497.
-5
0
5
10
15
20
25
30
1月1日 2月20日 4月11日 5月31日 7月20日 9月8日 10月28日 12月17日
寒冷地のコメ生産は温度が制限 (わずかな変動が冷害を引き起こす)
4.安全な生殖成長期間
盛岡の平年気温℃ (1979~2008)
22℃以上
12℃以上 3.栽培可能期間
1.移植早限 2.成熟晩限
解析データ:過去46年(1961~2006),4地点(札幌,青森,盛岡,仙台)の日平均気温。
4月2日
4月7日
4月12日
4月17日
4月22日
4月27日
5月2日
5月7日
5月12日
5月17日
5月22日
5月27日
1960 1970 1980 1990 2000 2010
年次
移植早限
移植早限は10年あたり1~2日早まっている
● 北海道
▲ 青森
■ 岩手
× 宮城
Shimono et al. (2010)
Field Crops Research.118:126-134
5月2日
5月7日
5月12日
5月17日
5月22日
5月27日
6月1日
6月6日
1960 1970 1980 1990 2000 2010
年次
実測移植日
実測の移植日は東北地方では1980年までは早まるがその後は変化なし
● 北海道
▲ 青森
■ 岩手
× 宮城
解析データ:作物統計
Shimono et al. (2010)
Field Crops Research.118:126-134
9月14日
9月24日
10月4日
10月14日
10月24日
11月3日
11月13日
1960 1970 1980 1990 2000 2010
年次
成熟晩限
成熟晩限は10年あたり2~3日遅くなっている
● 北海道
▲ 青森
■ 岩手
× 宮城
Shimono et al. (2010)
Field Crops Research.118:126-134
9月9日
9月14日
9月19日
9月24日
9月29日
10月4日
10月9日
10月14日
10月19日
10月24日
10月29日
1960 1970 1980 1990 2000 2010
年次
実測収穫期
実測の収穫期は一定の傾向がないが,近年,早まる傾向
● 北海道
▲ 青森
■ 岩手
× 宮城
解析データ:作物統計
Shimono et al. (2010)
Field Crops Research.118:126-134
実測の生育日数と可能生育日数の差(可能-実測)は広がりつつある
y = 0.0158x2 - 62.33x + 61470
R2 = 0.1503
0
10
20
30
40
50
60
70
1950 1960 1970 1980 1990 2000 2010
北海道 y = 0.0253x2 - 99.979x + 98879
R2 = 0.196
-10
0
10
20
30
40
50
60
1950 1960 1970 1980 1990 2000 2010
青森
y = 0.0324x2 - 128.32x + 127229
R2 = 0.1881
-20
-10
0
10
20
30
40
50
60
1950 1960 1970 1980 1990 2000 2010
y = 0.0527x2 - 209.26x + 207632
R2 = 0.3152
0
10
20
30
40
50
60
70
80
1950 1960 1970 1980 1990 2000 2010
岩手 宮城
Shimono et al. (2010)
Field Crops Research.118:126-134
-5
0
5
10
15
20
25
30
1月1日 2月20日 4月11日 5月31日 7月20日 9月8日 10月28日 12月17日
温度資源を評価するパラメータ
(安全な生殖成長期間) 4 安全な生殖成長期間
(冷害回避) 22℃以上
(30日間平均)
0
10
20
30
40
50
60
70
80
90
1960 1970 1980 1990 2000 2010
年次
安全な生殖成長期間(日
)安全な生殖成長期間には一定の
傾向がない
● 北海道
▲ 青森
■ 岩手
× 宮城
Shimono et al. (2010)
Field Crops Research.118:126-134
●生育全体の期間については,前後に広く設定でき,生産性向上の可能性あり.
●その一方,冷害発生に関わる生殖成長期については大きな向上がない.
2.まとめ:栽培スケジュール
延長された栽培可能期間を有効に利用し,冷害の危険性を軽減する作期の策定が必要。
出穂日は10年あたり1日早くなっている(北海道は2日)
● 北海道
▲ 青森
■ 岩手
× 宮城
Shimono (in press)
Agricultural, Ecosystems & Environment
7月21日
7月31日
8月10日
8月20日
8月30日
1960 1970 1980 1990 2000 2010
Year
出穂日
0
5
10
15
20
25
30
35
1960 1970 1980 1990 2000 2010
Year
冷害による潜在的な減収率(%)
潜在的な冷害リスクを出穂の
早まりで高めている
● 北海道
▲ 青森
■ 岩手
× 宮城
穂ばらみ期の気温(℃) 冷害による潜在的な減収率(%)
Shimono (in press)
Agricultural, Ecosystems & Environment
18
20
22
24
26
28
1960 1970 1980 1990 2000 2010
Year
穂ばらみ期の気温(℃)
穂ばらみ期=出穂15~5日前
減収率は,穂ばらみ期の冷却度と作況指数より換算
将来予測:モデル解析 シナリオ 1.通常 2.春のみ昇温する場合 1~3℃の気温上昇(春=5~6月,夏=7~8月)
モデル ●発育モデル 葉齢進展モデル(有効積算温度),神田ら(2000,2002)
●冷害モデル 冷却度(20℃以下の気温の20℃からの差分を幼穂形成から出穂期まで積算,℃・日),内島ら(1970),Shimonoら(2005)
データ 盛岡,八戸,仙台の過去17年間(1980~2007)の日平均気温(計51データセット)
冷害強度は春のみの昇温により1℃あたり16%増加
下野(2008)日本作物学会紀事 77: 489-497.
y = 0.1626x + 1
R2 = 0.9744
1
1.1
1.2
1.3
1.4
1.5
1.6
0 1 2 3
春の気温上昇(℃)
冷却度の相対増加率
14
16
18
20
22
24
26
5月20日 6月9日 6月29日 7月19日 8月8日 8月28日 9月17日
14
16
18
20
22
24
26
5月20日 6月9日 6月29日 7月19日 8月8日 8月28日 9月17日
3(2)まとめ:モデル解析
下野(2008)日本作物学会紀事 77: 489-497.
通常 春のみ昇温
栄養成長 生殖成長 登熟期 栄養成長 生殖成長 登熟期
現在までのように,夏の昇温がなく,春の昇温が進行すると仮定した場合,品種,栽培方法を適正化しないと,発育ステージの前倒しにより,冷害危険期に低温に会う頻度を高めてしまうことが示唆された。
冷害感受期
冷害限界