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1 富士重工業株式会社 通 称 名 車両型式 エンジン型式 適用時期 出 典 資 料 レガシィ DBA-BMM DBA-BRM FB25A 2012.4~ 新車解説書  U2490JJ サービスマニュアル  G2490JJ-CD 取扱説明書  A2490JJ オートマティック・トランスミッションの構造・機能及び故障診断 1 システムの概要 オートマティック・トランスミッション(TR580型リニアトロニック)は,従来のTR690型リニアトロニッ クと比較して,軽量・コンパクトで,かつ環境性能にも優れたチェーン式無段変速機である。FB 型エンジ ンとの組み合わせにより,環境性能と動力性能の両面で大きく進化させ,燃費性能の向上と軽快な走りも実 現した。バリエータ・チェーンにはショート・ピッチ・チェーンを採用し,ワイドなギヤ比及び高効率化, 更にアイドリング・ストップ・システムにより,優れた燃費性能を実現した。 制御面でも,FB 型エンジン及び車体への適合を行い,CVT 特有の滑らかさと同時に,常に運転者の意思に 忠実かつ軽快な走りを併せ持つ走行性を実現した。 1 ) 主要緒元 項 目 TR580 TR690 2.5L・DOHC・NA 2.5L・SOHC・NA ギヤ比 プライマリ・リダクション・ギヤ 1.129 バリエータ(Low) 2.549 2.362 バリエータ(OD) 0.406 0.374 レシオ・カバレージ 6.28 6.32 セカンダリ・リダクション・ギヤ 1.405 1.322 トランスファ・ギヤ 1.000 1.000 ファイナル・ギヤ 3.700 3.700 REV 1.024 0.669 総ギヤ比 Low 13.251 13.043 OD 2.111 2.065 REV 13.569 8.726 AWD 機構 型式 アクティブ・トルク・スプリット AWD トルク・コンバータ 呼び径(mm) φ236 ストール・トルク比 2.07

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富 士 重 工 業 株 式 会 社

通 称 名 車 両 型 式 エンジン型式 適 用 時 期 出 典 資 料

レガシィ DBA-BMMDBA-BRM FB25A 2012.4~

新車解説書  U2490JJサービスマニュアル  G2490JJ-CD取扱説明書  A2490JJ

オートマティック・トランスミッションの構造・機能及び故障診断

1 システムの概要

オートマティック・トランスミッション(TR580型リニアトロニック)は,従来のTR690型リニアトロニックと比較して,軽量・コンパクトで,かつ環境性能にも優れたチェーン式無段変速機である。FB型エンジンとの組み合わせにより,環境性能と動力性能の両面で大きく進化させ,燃費性能の向上と軽快な走りも実現した。バリエータ・チェーンにはショート・ピッチ・チェーンを採用し,ワイドなギヤ比及び高効率化,更にアイドリング・ストップ・システムにより,優れた燃費性能を実現した。制御面でも,FB型エンジン及び車体への適合を行い,CVT特有の滑らかさと同時に,常に運転者の意思に忠実かつ軽快な走りを併せ持つ走行性を実現した。1) 主要緒元

項 目TR580 TR690

2.5L・DOHC・NA 2.5L・SOHC・NA

ギヤ比

プライマリ・リダクション・ギヤ ― 1.129バリエータ(Low) 2.549 2.362バリエータ(OD) 0.406 0.374レシオ・カバレージ 6.28 6.32セカンダリ・リダクション・ギヤ 1.405 1.322トランスファ・ギヤ 1.000 1.000ファイナル・ギヤ 3.700 3.700REV 1.024 0.669

総ギヤ比Low 13.251 13.043OD 2.111 2.065REV 13.569 8.726

AWD機構 型式 アクティブ・トルク・スプリットAWD

トルク・コンバータ呼び径(mm) φ236ストール・トルク比 2.07

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2 構造・機能

1) 構成部品の配置(図-1,2)

エンジンからの入力は,トルク・コンバータ⇒前後進切り替え機構⇒プライマリ・プーリ⇒バリエータ・チェーン⇒セカンダリ・プーリ⇒セカンダリ・リダクション・ギヤを介して伝達した駆動力を,フロント・ディファレンシャルから前輪へ,またトランスファ・ギヤを介して,AWDシステムによって後輪側への駆動力配分を決定している。

図-1 構成部品の配置⑴

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図-2 構成部品の配置⑵

2) 構成部品の機能

⑴ バリエータ・チェーン(図-3)

従来のチェーンより,ピッチを10%ほど短くしロッカ・ピン数を増やすことで,1個あたりのロッカ・ピンの接触面圧を低減し,チェーンとプーリの回転時に発生する起振力を下げることによって,チェーン音を低減した。

TR580 TR690

サイズ

ピッチ

図-3 バリエータ・チェーン

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⑵ オイル・ポンプ(図-4)

オイル・ポンプはTR690と同様に,駆動軸をエンジン軸とは別軸とし,スプロケット及びチェーンを用いて増速することで必要流量を確保した。

図-4 オイル・ポンプ

⑶ プーリ(図-5)

プライマリ・プーリ,セカンダリ・プーリ及びチェーンによって構成されている。プーリの油圧室で発生する圧力でチェーンを押付け,プーリ斜面とチェーンの間に摩擦力を発生させることで動力を伝達している。プライマリ・プーリとセカンダリ・プーリの油圧を制御し,プーリ幅を変化させることで無段階に変速が可能である。更に変速比幅を大きくとることで,走行性能と燃費性能を向上させている。またガイド・レールをチェーンの張り側と緩み側の両方に設定し,チェーンの弦振動を抑え,騒音を低減している。

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図-5 プーリ

⑷ 前後進切り替え機構(図-6)

フォワード・クラッチ,リバース・ブレーキ,ダブル・ピニオン式遊星歯車で構成されている。

図-6 前後進切り替え機構

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⑸ コントロール・バルブ (図-7)

No 名 称 項 目 内 容⑴ セカンダリ・リニア・ソレノイド ライン圧制御 実セカンダリ圧を調圧する。(ライン圧)⑵ AWDデューティ・ソレノイド トランスファ圧制御 トランスファ・クラッチ圧を調圧する。

⑶ ロックアップ・デューティ・ソレノイド

トルク・コンバータ・ロックアップ制御 トルク・コンバータ・ロックアップ圧を調圧する。

⑷ プライマリUPデューティ・ソレノイド

変速制御変速制御(アップ・シフト)

⑸ プライマリDOWNデューティ・ソレノイド 変速制御(ダウン・シフト)

⑹ F&Rクラッチ・リニア・ソレノイド F&Rクラッチ圧制御 F&Rクラッチ圧を調圧する。

図-7 コントロール・バルブ

⑹ センサ及びスイッチ

タービン回転センサ インプット・シャフト回転速度を検出する

プライマリ回転センサ プライマリ・プーリの回転速度を検出する

セカンダリ回転センサ セカンダリ・プーリの回転速度を検出する

セカンダリ油圧センサ セカンダリ油圧回路の圧力を検出する

インヒビタ・スイッチ シフト・ポジションを検出する

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3) リニア・トロニック制御システム

⑴ 制御システム概念図(図-8)

図-8 制御システム概念図

⑵ スバル・セレクト・モニタⅢ対応制御

イ AWD・ON/OFF切り替え機能

従来,ヒューズ・ボックスに併設していたAWD機構のフリー化を行うためのAWDヒューズを廃止し,同機能をスバル・セレクト・モニタⅢを用いて行えるようにした。ロ 学習作業モード

TCU,トランスミッションAss'yや,コントロール・バルブの交換作業を行った場合,新たにスバル・セレクト・モニタⅢにより,再学習を行うことができる。ハ リヤ・デフ点検モード

トランスミッションAss'yやリヤ・デフAss'y交換時に発生する可能性のある不慮の前後輪ファイナル・ギ

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ヤ比違いに備えて,前後輪ファイナル・ギヤ比点検モードを新設した。コントロール・ユニットが正規のファイナル・ギヤ比ではないものを走行中に検出すると,車両をFWD化すると共に,AWDランプを点滅させて注意を喚起する。⑶ フェイルセーフ機能

下記デバイスに対し故障診断を行い,故障発生時の安全と最低限の走行性を確保している。また故障発生時はAT・OIL・TEMPランプが2Hzの周期で点滅して故障を知らせ,スバル・セレクト・モニタⅢを用いてDTCを出力することで,故障部位の特定を容易にしている。

デバイス フェイルセーフ・モード

タービン回転センサ プライマリ回転センサの値もしくは,エンジン回転速度の値をもとに制御する。

プライマリ回転センサ セカンダリ回転センサの値もしくは,タービン回転センサの値をもとに制御する。

セカンダリ回転センサ ABS/VDC・CUの値をもとに制御する。

セカンダリ油圧センサ 油圧フィードバック制御を停止し,オープン制御する。

セカンダリ・リニア・ソレノイド ソレノイド駆動電流供給を停止し,セカンダリ圧は機械的な最大油圧となる。

F&Rクラッチ・リニア・ソレノイド ソレノイド駆動電流供給を停止し,F&Rクラッチ圧はセカンダリ圧に応じた最大油圧となる。

プライマリUP,DOWNデューティ・ソレノイド 各ソレノイドの駆動を順次停止し,最低限の走行が可能な変速比となるようにする。

ロックアップ・デューティ・ソレノイド ソレノイドの駆動を停止し,ロックアップを禁止する。

AWDデューティ・ソレノイド ソレノイドの駆動を停止し,前輪駆動状態とする。

ATF油温センサ 所定の油温を想定して制御する。

インヒビタ・スイッチ D→R→N→Pの優先順位でレンジを選択し,制御を行う。

マニュアル・スイッチ マニュアル・モードを禁止する。

高速CAN通信 変速機の制御に必要な情報を適切なバックアップ値に置き換えて制御

セルフ・シャット・リレー各ソレノイドに電源を供給できないため変速機は無制御状態となるが,TCUはCAN通信を経由してAT・OIL・TEMPランプを点滅させ運転者に異常を知らせる。

⑷ AT・OIL・TEMPランプの表示(図-9)

AT・OIL・TEMPランプは,ATF温度が高温時及びリニア・トロニックに故障が発生しているときに,点灯又は点滅する。イ 正常時

イグニッション・スイッチがON(エンジンOFF)のとき,AT・OIL・TEMPランプは常時点灯する。エンジンがONになると,2秒後に消灯する。ロ ATF高温時

エンジンがONでATFの温度が異常に高くなっているとき,AT・OIL・TEMPランプが点灯する。ハ 故障検知時

エンジンがONで,コントロール・ユニット(TCU)がリニア・トロニックの故障を検知すると,AT・OIL・TEMPランプが2Hzで点滅する。この場合,ダイアグ・コード(DTC)を参照して点検を行う。

ニ 学習未完了時

エンジンがONで,学習未完了時に,AT・OIL・TEMPランプは「4Hz点滅→消灯」を2秒毎に繰り返す。この場合,「学習作業」を行う。(学習中は,2Hzで点滅又は点灯する。)

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図-9 AT・OIL・TEMPランプの表示

⑸ AWDランプの表示(図-10)

AWDランプは,AWDが特殊な制御状態及びAWDに故障が発生しているときに,点灯又は点滅する。イ 正常時

イグニッション・スイッチがON(エンジンOFF)のとき,AWDランプは常時点灯する。エンジンがONになると,2秒後に消灯する。ロ FWDモード選択時

エンジンがONでAWD・ON/OFF切り替え機能が「FWDモード」のとき,AWDランプは点灯する。ハ 故障検知時

エンジンがONで以下のいずれかの故障を検知しているとき,AWDランプは2Hzで点滅する。①外径の異なるタイヤを取り付けたとき,又は4輪いずれかのタイヤの空気圧が著しく低いとき。②「リヤ・デフ点検モード」NG判定時。

図-10 AWDランプの表示

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3 点検・整備

1) ダイアグノーシス・コードの読み取り・消去方法(図-11)

図-11 スバル・セレクト・モニタⅢ接続方法

⑴ 読み取り方法(図-12,13,14,15,16,17)

①スバル・セレクト・モニタⅢ(以下,SSM-Ⅲ)を用意する。②データ・リンク・ケーブルを車両のデータ・リンク・コネクタに接続する。③データ・リンク・ケーブルを車両に接続すると,自動的にスバル・ダイアグノーシス・インタ・フェース(以下,SDI)の電源がONになる。もし,SDIのPWR・LEDが点灯しないときは,イグニッション・スイッチをON又はエンジンを始動してから,SDIの[PWR]キーを押してPWR・LEDが点灯することを確認する。④USBケーブルで,SDIをパソコンに接続する。⑤車両のイグニッション・スイッチをONにする。⑥パソコン画面上の《SSM-Ⅲ》アイコンをダブル・クリックし,アプリケーションを起動する。⑦表示された《メインメニュー》画面で《個別システムの点検》を選択し,[Enter]キーを押すか,マウスの左ボタンをクリックする。

図-12 読み取り方法⑴

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⑨診断対象システムの適合確認ダイアログ・ボックスが表示されるので,マウスで[OK]をクリックする。

⑧《システム選択メニュー》で目的のシステムを選択して[Enter]キーを押すか,マウスの左ボタンをクリックする。

図-13 読み取り方法⑵

図-14 読み取り方法⑶

⑩故障診断項目から{ダイアグコードの点検}を選択して[Enter]キーを押すか,マウスの左ボタンをクリックする。

図-15 読み取り方法⑷

⑪目的の項目を選択して[Enter]キーを押すか,マウスの左ボタンをクリックする。

⑫ダイアグ・コード画面が表示される。

図-17 読み取り方法⑹

図-16 読み取り方法⑸

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⑤メモリ・クリアの確認画面が表示されるので,マウスで[はい]をクリックする。

⑵ 消去方法

①《メインメニュー》画面で《個別システムの点検》を選択し,[Enter]キーを押すか,マウスの左ボタンをクリックする。(読み取り方法と同じ要領)②《システム選択メニュー》で目的のシステムを選択して[Enter]キーを押すか,マウスの左ボタンをクリックする。(読み取り方法と同じ要領)③診断対象システムの適合確認ダイアログ・ボックスが表示されるので,[OK]をクリックする。(読み取り方法と同じ要領)④故障診断項目から{メモリクリア}を選択して,[Enter]キーを押すか,マウスの左ボタンをクリックする。

図-18 読み取り方法⑺

図-19 読み取り方法⑻

メモリ・クリアが実行されると右の画面が表示されるので,表示に従って,イグニッション・スイッチをOFFにして,マウスで[OK]をクリックする。

図-20 読み取り方法⑼

注意  トランスミッション・システムの「メモリクリア2」について

トランスミッション・システムでは,故障診断画面に「メモリクリア」と「メモリクリア2」が表示される場合が

ある。「メモリクリア2」を実行した場合は,トランスミッション・コントロール・ユニットに記憶されている

ダイアグノーシス・コードのほかに学習制御値も消去されるので,別途,学習作業モードを行う必要がある。

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富士重工

⑶ ダイアグノーシス・コード

DTC 項 目 診断内容P0705 ATレンジ・スイッチ系回路 インヒビタ・スイッチの不良又は回路のショートP0708 ATレンジ・スイッチ無入力 インヒビタ・スイッチの不良又は回路の断線P0712 ATF油温センサ系回路(Low) ATF温度センサの不良又は入力信号回路系統のショートP0713 ATF油温センサ系回路(High) ATF温度センサの不良又は入力信号回路系統の断線,ショートP0716 ATタービン回転速度 タービン回転センサの不良又は入力信号回路系統の断線,ショートP0719 ATブレーキ・スイッチ系回路(Low) ブレーキ・スイッチの不良又は入力信号回路系統の断線,ショートP0720 AT車速センサ系回路 前輪回転センサの不良又は入力信号回路系統の断線,ショートP0724 ATブレーキ・スイッチ系回路(High) ブレーキ・スイッチの不良又は入力信号回路系統のショート

P0730 変速制御機能異常 プライマリ回転センサ,セカンダリ回転センサなどの不良又はコントロール・バルブの不良又はチェーンの不良

P0801 ATシフト・ロック・ソレノイド系回路 シフト・ロック・ソレノイドの不良又は出力信号回路の断線,ショートP0841 セカンダリ油圧センサ特性 セカンダリ圧センサの不良又はコントロール・バルブの不良P0842 セカンダリ油圧センサ回路(Low) セカンダリ圧センサの不良又は入力信号回路系統の断線,ショートP0843 セカンダリ油圧センサ回路(High) セカンダリ圧センサの不良又は入力信号回路系統のショート

P0890 ATセルフ・シャット・リレー診断(Low) セルフ・シャット・リレーの不良又は入力信号回路系統の断線,ショート

P0951 マニュアル・スイッチ系 マニュアル・モード・スイッチの不良又は入力信号回路系統の断線,ショート

P0962 セカンダリ・ソレノイド回路(Low) セカンダリ・ソレノイドの不良又は出力信号回路系統のショートP0963 セカンダリ・ソレノイド回路(High) セカンダリ・ソレノイドの不良又は出力信号回路系統の断線,ショート

P0965 F&Rソレノイド系機能 F&Rソレノイドの不良又はフォワード・クラッチの不良又はコントロール・バルブの不良

P0966 F&Rソレノイド回路(Low) F&Rソレノイドの不良又は出力信号回路系統のショートP0967 F&Rリニア・ソレノイド回路(High) F&Rソレノイドの不良又は出力信号回路系統の断線,ショートP0970 トランスファ・ソレノイド回路(Low) AWDソレノイドの不良又は出力信号回路系統のショートP0971 トランスファ・ソレノイド回路(High) AWDソレノイドの不良又は出力信号回路系統の断線,ショートP0973 プライマリ・ソレノイドA系回路(Low) プライマリUPソレノイドの不良又は出力信号回路系統のショート

P0974 プライマリ・ソレノイドA系回路(High) プライマリUPソレノイドの不良又は出力信号回路系統の断線,ショートP0976 プライマリ・ソレノイドB系回路(Low) プライマリDOWNソレノイドの不良又は出力信号回路系統のショート

P0977 プライマリ・ソレノイドB系回路(High) プライマリDOWNソレノイドの不良又は出力信号回路系統の断線,ショート

P1706 AT車速センサ系回路(後輪) 後輪回転センサの不良又は入力信号回路系統の断線,ショートP170A Lレンジ・スイッチ系 Lレンジ・スイッチの不良又は入力信号回路系統の断線,ショートP1718 AT・CAN通信系回路 CAN通信線の断線,ショートP1725 ATボデー系CAN通信異常 コンビネーション・メータ,A/C,統合CUのCAN通信系の異常P2746 プライマリ回転センサ系 プライマリ回転センサの不良又は入力信号回路系統の断線,ショートP2750 セカンダリ回転センサ系 セカンダリ回転センサの不良又は入力信号回路系統の断線,ショート

P2762 ロックアップ・デューティ・ソレノイド系機能

ロックアップ・デューティ・ソレノイドの不良又はロックアップ・クラッチの不良又はコントロール・バルブの不良

P2763 ロックアップ・デューティ・ソレノイド回路(High)

ロックアップ・デューティ・ソレノイドの不良又は出力信号回路系統の断線,ショート

P2764 ロックアップ・デューティ・ソレノイド回路(Low)

ロックアップ・デューティ・ソレノイドの不良又は出力信号回路系統のショート

P2769 ロックアップON/OFFソレノイド回路(Low)

ロックアップON/OFFソレノイドの不良又は出力信号回路系統のショート

P2770 ロックアップON/OFFソレノイド回路(High)

ロックアップON/OFFソレノイドの不良又は出力信号回路系統の断線,ショート

P2797 電動オイル・ポンプ機能系 電動オイル・ポンプのエア噛み,コンタミ詰まり,油路系の異常

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富士重工

DTC 項 目 診断内容U0073 CANフェール・A系バスオフ検出 CANバスのショート又は通信系異常U0100 エンジン・データ未着 エンジン・データ未着検出U0122 VDCデータ未着 VDCデータ未着検出U0140 ボデー統合データ未着 ボデー統合データ未着検出U0155 メータ・データ未着 メータ・データ未着検出U0401 エンジン・データ異常 エンジン・データ異常検出U0416 VDCデータ異常 VDCデータ異常検出U0422 ボデー統合データ異常 ボデー統合データ異常検出U0423 メータ・データ異常 メータ・データ異常検出U1120 アイドリング・ストップ・データ未着 アイドリング・ストップ・データ未着検出U1469 アイドリング・ストップ・データ異常 アイドリング・ストップ・データ異常検出

2) 車載状態での点検

⑴ ディファレンシャル・ギヤ・オイルの点検(図-21,22,23,24)

①車両をリフト・アップする。②オーバ・フロー・ドレン・プラグを取り外す。(締め付けトルク:50Nm)注意  このときギヤ・オイルが約8cc流れ出るが,これはオーバ・フロー管内に溜まっていたものであり,これによっ

て規定量と判断してはいけない。

③フィラ・プラグを取り外す。(締め付けトルク:50Nm)④フィラ・プラグ穴からギヤ・オイルを注入し,オーバ・フロー・ドレン・プラグ穴からギヤ・オイルが溢れ出てくるまで補充する。⑤流出するギヤ・オイルが細い流れに変わったら,オーバ・フロー・ドレン・プラグを取り付ける。

図-21 ②オーバ・フロー・ドレン・プラグ 図-22 ③フィラ・プラグ

図-23 ④ギヤ・オイル注入 図-24 ⑤ギヤ・オイル溢れ出し

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⑵ CVTフルードの点検(図-25)

①エンジンをアイドリングさせ,スバル・セレクト・モニタに表示されるCVTフルードの温度を35~45にする。②アイドリング状態で,セレクト・レバーを,P→R→N→D→N→R→Pと操作し,CVTフルードを循環させる。③アイドリング状態のまま車両をリフト・アップし,フィラ・プラグを取り外す。④フィラ・プラグ穴の下端部に,CVTフルード・レベルがあれば規定量である。(締め付けトルク:50Nm)

図-25 CVTフルードの点検

⑶ ストール・テスト

①CVTフルードの温度を,60~80にしてから実施する。【ストール回転速度基準値】  Dレンジ:2000~2700rpm

Rレンジ:1900~2600rpm

テスト結果 レンジ 推定原因

基準値より低い D,R ・エンジンの出力不良・トルク・コンバータの不良

基準値より高い

D・フォワード・クラッチのすべり・セカンダリ圧(ライン圧)が低い・バリエータ・チェーンの不良

R・リバース・ブレーキのすべり・セカンダリ圧(ライン圧)が低い・バリエータ・チェーンの不良

D,R

・トルク・コンバータの不良・コントロール・バルブ・ボデーの不良・コントロール・ユニットの不良・ハーネス及びハーネス・コネクタの不良

⑷ タイム・ラグ・テスト

①CVTフルードの温度は,60~80の間で実施する。【タイム・ラグ基準値】  Nレンジ→Dレンジ:1.2秒以下

Nレンジ→Rレンジ:1.5秒以下

テスト結果 推定原因

Nレンジ→Dレンジのタイム・ラグが基準値より長い

・セカンダリ圧(ライン圧)が低すぎる・フォワード・クラッチの磨耗・フォワード・クラッチ・ピストンの不良・コントロール・バルブ・ボデーの不良・学習の不良

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テスト結果 推定原因

Nレンジ→Rレンジのタイム・ラグが基準値より長い

・セカンダリ圧(ライン圧)が低すぎる・リバース・ブレーキの磨耗・リバース・ブレーキ・ピストンの不良・コントロール・バルブ・ボデーの不良・学習の不良

⑸ セカンダリ圧(ライン圧)テスト(図-26)

①CVTフルードの温度は,60~80の間で実施する。

【セカンダリ圧(ライン圧)基準値】

レンジ スロットル ブレーキ セカンダリ圧(ライン圧):MPa

アイドリング P,N 全閉 OFF 0.5~1.5

ストール D,R 全開 ON 4.5~6.0

図-26 セカンダリ圧(ライン圧)テスト

参考  故障現象別故障診断表

故障現象 推定原因部品

「D」又は「R」レンジで走行中,もしくは「N」→「D」,「N」→「R」セレクト時にエンストする。

・コントロール・バルブ・エンジン・コントロール・システム

「D」レンジで走行中,停止直前で振動が起きる又はエンストする。 ・コントロール・バルブ・トルク・コンバータ

「D」レンジで走行中,変速しない。

・コントロール・バルブ・コントロール・ユニット・変速機構・電源システム

「N」→「D」,「N」→「R」セレクト時にショックが大きい。

・コントロール・バルブ・コントロール・ユニット・フォワード・クラッチ・リバース・ブレーキ・ATFの劣化又は不足

「D」レンジで発進時にショックが大きい。

・コントロール・バルブ・コントロール・ユニット・フォワード・クラッチ・リバース・ブレーキ・ATFの劣化又は不足

「D」又は「R」レンジで走行中,エンジンが吹け上がる。

・コントロール・バルブ・セカンダリ圧センサ・フォワード・クラッチ・リバース・ブレーキ・ATFの劣化又は不足

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故障現象 推定原因部品

「D」又は「R」レンジでアクセル・ペダルを踏んでも発進できない,又は極端に加速しない。(エンジン吹け上がりを伴わない場合)

・コントロール・バルブ・フォワード・クラッチ・リバース・ブレーキ・変速機構・パーキング機構・エンジン・コントロール・システム・電源システム

コンビネーション・メータのシフト・インジケータにセレクト・レバー位置と異なった表示がされる。

・インヒビタ・スイッチ・セレクト・ケーブル系・コンビネーション・メータ

セレクト・レバーやパドル・シフト・スイッチを操作していないのにマニュアル・モードになる。

・マニュアル・モード・スイッチ・パドル・シフト・スイッチ・セレクト・レバー・コントロール・ユニット

「D」又は「R」レンジでエンジンが吹け上がり,発進できない。・フォワード・クラッチ・リバース・ブレーキ・セレクト・ケーブル系

マニュアル・モードにならない。 ・セレクト・レバー・コントロール・ユニット

3) 外部診断器及び車載故障診断装置の活用による点検・整備

リニアトロニック制御システムに不具合が発生し,外部診断器によりダイアグノーシス・コードが出力された場合には,ダイアグノーシス・コード一覧表の項目に従って点検・整備を行う必要がある。ここでは以下に示す,セカンダリ回転センサ系統異常,センサ電源系統異常及びシフト・ロック系統異常を例として,点検・整備方法を説明する。ⅰ) セカンダリ回転センサ系統異常①症状:AT・OIL・TEMPランプ点滅 【DTC:P2750 セカンダリ回転センサ系】   変速ショックがある,発進時の加速が悪い,変速制御不良②故障内容:セカンダリ回転センサの信号線断線③点検方法:外部診断器を使用する場合ⅱ) センサ電源系統異常①症状:AT・OIL・TEMPランプ点滅 【DTC:P0716 ATタービン回転速度】,

【DTC:P2746 プライマリ回転センサ系】, 【DTC:P2750 セカンダリ回転センサ系】

   シフト・セレクト時にショックがある,発進性不良,ロックアップ締結時ショックがある②故障内容:センサ電源ハーネスのショート(ヒューズ溶断)③点検方法:外部診断器を使用する場合ⅲ) シフト・ロック機構系統異常①症状:AT・OIL・TEMPランプ点滅 【DTC:P0801 ATシフト・ロック・ソレノイド系回路】   Pレンジからセレクト・レバーを操作できない②故障内容:シフト・ロック・ソレノイド回路のアース断線③点検方法:外部診断器を使用する場合

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⑴ セカンダリ回転センサ系統異常(図-27)

図-27 セカンダリ回転センサ系統

イ 症 状

・AT・OIL・TEMPランプ点滅する。・変速ショックがある。・発進時の加速が悪い。・変速制御不良

ダイアグ・コード 故障系統 診断内容P2750 セカンダリ回転センサ系 不具合発生と同時に検出

ロ 原因説明

センサの信号線断線により,トランスミッション・コントロール・ユニット(TCU)に信号が入力されないため異常と判断し,AT・OIL・TEMPランプを点滅させ,DTCを入力する。ハ 点検の進め方

ステップ チェック はい いいえ1.ヒューズの点検1)イグニッション・スイッチをOFFにする。2)M/Bヒューズ(No.38)を点検する。

ヒューズは正常か? 次へ ヒューズ交換及び,ハーネスのショートした回路を修理する。

2.ハーネスの点検1)イグニッション・スイッチをOFFにする。2)トランスミッションのコネクタ(B12),TCUのコネクタ(B54)を切り離す。

3)コネクタ端子間の抵抗を測定する。コネクタ&端子(B54)No.1~(B12)No.7(B54)No.7~(B12)No.5(M/B No.38)No.2~(B12)No.6

抵抗は1Ω未満か? 次へ ハーネスの断線した回路を修理する。

3.ハーネスの点検1)TCUコネクタとボデー・アース間の抵抗を測定する。コネクタ&端子(B54)No.7~ボデー・アース

抵抗は1MΩ以上か? 次へ ハーネスのショートした回路を修理する。

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ステップ チェック はい いいえ4.トランスミッション・ハーネスの点検1)TCUのコネクタ(B54)を接続する。2)イグニッション・スイッチをONする。3)トランスミッション・コネクタ端子間の電圧を測定する。コネクタ&端子(B12)No.6(+)~(B12)No.7(-)

電圧は10~13Vか? 次へ ハーネスの断線又はコネクタの接触不良を修理する。

5.TCUの入力信号の点検1)イグニッション・スイッチをOFFする。2)トランスミッションのコネクタ(B12)を接続する。

3)車両をリフト・アップする。4)エンジンを始動する。5)セレクト・レバーを「D」レンジにする。6)SSM-Ⅲを使用して,《セカンダリ回転数》のデータを読み取る。

《セカンダリ回転数》の数値が《前輪車速》に応じて変化するか?

現在正常である。セカンダリ回転センサとトランスミッション・コネクタのハーネスの接触不良を修理する。

次へ

6.トランスミッションハーネスの点検1)イグニッション・スイッチをOFFにする。2)トランスミッションのコネクタ(T3)を切り離す。

3)セカンダリ回転センサのコネクタ(AT4)を切り離す。

3)コネクタ端子間の抵抗を測定する。コネクタ&端子(T3)No.6~(AT4)No.3(T3)No.7~(AT4)No.1(T3)No.5~(AT4)No.2

抵抗は1Ω未満か? セカンダリ回転センサを交換する。

トランスミッション・ハーネスを交換する。

⑵ センサ電源系統異常(図-28)

図-28 センサ電源系統

イ 症 状

・AT・OIL・TEMPランプ点滅する。・シフト・セレクト時にショックがある。

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・発進性不良・ロックアップ・クラッチ締結時にショックがある。

ダイアグ・コード 故障系統 診断内容P0716 ATタービン回転速度 不具合発生と同時に検出P2746 プライマリ回転センサ系 ↑P2750 セカンダリ回転センサ系 ↑

ロ 原因説明

センサ電源回路(三つのセンサ共通)のショートによりヒューズが溶断し,センサに電源が供給されなくなったため,センサ信号が発生しない。トランスミッション・コントロール・ユニット(TCU)は異常と判断し,AT・OIL・TEMPランプを点滅させ,DTCを入力する。

ハ 点検の進め方

ステップ チェック はい いいえ1.ヒューズの点検1)イグニッション・スイッチをOFFにする。2)M/Bヒューズ(No.38)を点検する。

ヒューズは正常か? 次へ ヒューズ交換及び,ハーネスのショートした回路を修理する。

2.ハーネスの点検1)イグニッション・スイッチをOFFにする。2)トランスミッションのコネクタ(B12),TCUのコネクタ(B54)を切り離す。

3)コネクタ端子間の抵抗を測定する。コネクタ&端子(B54)No.1~(B12)No.7(M/B No.38)No.2~(B12)No.6(B54)No.7~(B12)No.5(B54)No.20~(B12)No.9(B54)No.6~(B12)No.8

各抵抗は1Ω未満か? 次へ ハーネスの断線した回路を修理する。

3.ハーネスの点検1)TCUコネクタとボデー・アース間の抵抗を測定する。コネクタ&端子(B54)No.20~ボデー・アース(B54)No.6~ボデー・アース(B54)No.7~ボデー・アース

抵抗は1MΩ以上か? 次へ ハーネスのショートした回路を修理する。

4.トランスミッション・ハーネスの点検1)TCUのコネクタ(B54)を接続する。2)イグニッション・スイッチをONする。3)トランスミッション・コネクタ端子間の電圧を測定する。コネクタ&端子(B12)No.6(+)~(B12)No.7(-)

電圧は10~13Vか? 次へ ハーネスの断線又はコネクタの接触不良を修理する。

5. TCUの入力信号の点検1)イグニッション・スイッチをOFFする。2)トランスミッションのコネクタ(B12)を接続する。

3)車両をリフト・アップする。4)エンジンを始動する。5)セレクト・レバーを「D」レンジにする。6)SSM-Ⅲを使用して,《タービン回転数》《プライマリ回転数》《セカンダリ回転数》のデータを読み取る。

《タービン回転数》がエンジン回転に,《プライマリ回転数》が《タービン回転数》に,《セカンダリ回転数》が《前輪車速》に応じて変化するか?

現在正常である。各センサとトランスミッション・コネクタのハーネスの接触不良を修理する。

次へ

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富士重工

ステップ チェック はい いいえ6.トランスミッション・ハーネスの点検1)イグニッション・スイッチをOFFにする。2)トランスミッションのコネクタ(T3)を切り離す。

3)タービン回転センサ,プライマリ回転センサ,セカンダリ回転センサのコネクタ(AT5)(AT1)(AT4)を切り離す。3)コネクタ端子間の抵抗を測定する。コネクタ&端子(T3)No.6~(AT5)No.1(T3)No.7~(AT5)No.3(T3)No.9~(AT5)No.2(T3)No.6~(AT1)No.3(T3)No.7~(AT1)No.1(T3)No.8~(AT1)No.2(T3)No.6~(AT4)No.3(T3)No.7~(AT4)No.1(T3)No.5~(AT4)No.2

抵抗は1Ω未満か? タービン回転センサ又はプライマリ回転センサ又はセカンダリ回転センサを交換する。

トランスミッション・ハーネスを交換する。

⑶ ATシフト・ロック・ソレノイド系回路異常(図-29)

図-29 ATシフト・ロック・ソレノイド系回路

イ 症 状

・AT・OIL・TEMPランプ点滅する。・Pレンジからセレクト・レバーを操作できない。

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ダイアグ・コード 故障系統 診断内容P0801 ATシフト・ロック・ソレノイド系回路 不具合発生と同時に検出

注意  DTC:B1106(ボデー統合ユニット)が同時に入力されることがある。

ロ 原因説明

シフト・ロック・ソレノイドのアース線が断線すると,シフト・ロック・ソレノイドが作動しなくなるため,ソフト・ロックが解除できない。ボデー統合ユニットが故障を検知し,ATコントロール・ユニットが警告灯を点滅させる。ハ 点検の進め方

ステップ チェック はい いいえ1.ハーネスの点検1)イグニッション・スイッチをOFFする。2)シフト・ロック・ソレノイド・コネクタ(B116)を切り離す。3)コネクタ端子とボデー・アース間の抵抗を測定する。コネクタ&端子(B116)No.4~ボデー・アース(B116)No.2~ボデー・アース

抵抗は1Ω未満か? 次へ ハーネスの断線した回路を修理する。

2.シフト・ロック・ソレノイドの点検1)シフト・ロック・ソレノイド端子間の抵抗を測定する。端子No.3~No.4

抵抗は27~31Ω未満か? 次へ シフト・ロック・ソレノイドを交換する。

3.シフト・ロック・ソレノイドの点検1)シフト・ロック・ソレノイドにバッテリ電圧を与える。端子No.3(+)No.4(-)

シフト・ロック・ソレノイドが作動してシフト・ロックが解除されるか?

次へ シフト・ロック・ソレノイドを交換する。

4.ハーネスの点検1)イグニッション・スイッチをOFFする。2)ボデー統合ユニット・コネクタ(B281)を切り離す。

3)コネクタ端子間の抵抗を測定する。コネクタ&端子(B116)No.3~(B281)No.5

抵抗は1Ω未満か? ボデー統合ユニットを交換する。

ハーネスの断線した回路を修理する。

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参 考

⑴ コントロール・ユニットI/O信号

項 目 コネクタNo.

端子No. 測定条件 測定値 端子とボデー・

アース間の抵抗 備 考

バックアップ電源 B55 1 - 10~13V -イグニッション電源 B55 21 - 10~13V -メイン電源 B55 11 - 10~13V -メイン電源 B55 2 - 10~13V -メイン電源 B55 22 - 10~13V -

マニュアル・モード・スイッチ B55 4

マニュアル・モード・スイッチON 1V未満 -

マニュアル・モード・スイッチOFF 8V以上 -

マニュアル・モード・アップ・スイッチ B55 5

マニュアル・モード・アップ・スイッチ 1V未満 -

マニュアル・モード・アップ・スイッチOFF 8V以上 -

マニュアル・モード・ダウン・スイッチ B55 16

マニュアル・モード・ダウン・スイッチON 1V未満 -

マニュアル・モード・ダウン・スイッチOFF 8V以上 -

ストップ・ランプ・スイッチ B55 13

ストップ・ランプ・スイッチON 8V以上 -

ストップ・ランプ・スイッチOFF 1V未満 -

Pレンジ・スイッチ B54 5Pレンジ時 1V未満 -Pレンジ以外 8V以上 -

Rレンジ・スイッチ B54 18Rレンジ時 1V未満 -Rレンジ以外 8V以上 -

Nレンジ・スイッチ B54 9Nレンジ時 1V未満 -Nレンジ以外 8V以上 -

Dレンジ・スイッチ B54 22Dレンジ時 1V未満 -Dレンジ以外 8V以上 -

ATF温度センサ B54 3

ATF温度20(68)時 約2.5V 約2.5kΩ

ATF温度80(176)時 約0.7V 約330Ω

ATF温度センサGND B54 16 常時 約0V -セカンダリ圧センサ電源出力 B54 2 イグニッション・スイッ

チON 5V -

セカンダリ圧センサ B54 17

イグニッション・スイッチON,エンジンOFF

約0.5V(0MPa) - エンジン負荷が大

きくなるほど,値は大きくなる。(0.5~4.5V)

イグニッション・スイッチON,エンジンON

約1.0V(1.0MPa) -

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項 目 コネクタNo.

端子No. 測定条件 測定値 端子とボデー・

アース間の抵抗 備 考

セカンダリ圧センサGND B54 15 常時 約0V -

プライマリ回転センサ B54 6 走行時 0又は5V - 波形参照(センサ)セカンダリ回転センサ B54 7 走行時 0又は5V - 波形参照(センサ)

タービン回転センサ B54 20 エンジンON,「P」又は「N」レンジ 0又は5V - 波形参照(センサ)

セルフ・シャット出力 B55 20

イグニッション・スイッチON及びOFFから3 1V未満

-イグニッション・スイッチOFF 8V以上

F&Rソレノイド B54 11 エンジンON 波形参照(ソレノイド⑴) 約4~6Ω

抵抗値は20(68)時。高温ほど,大きくなる。

セカンダリ・ソレノイド B54 12 エンジンON 波形参照(ソレ

ノイド⑵) 約5~7Ω抵抗値は20(68)時。高温ほど,大きくなる。

プライマリUPソレノイド B54 24 エンジンON,UP変速

時波形参照(ソレノイド⑶) 約10~13.5Ω

抵抗値は20(68)時。高温ほど,大きくなる。

プライマリDOWNソレノイド B54 25 エンジンON,DOWN

変速時波形参照(ソレノイド⑷) 約10~13.5Ω

抵抗値は20(68)時。高温ほど,大きくなる。

ロックアップ・デューティ・ソレノイド B54 26 ロックアップON 波形参照(ソレ

ノイド⑸) 約10~13.5Ω抵抗値は20(68)時。高温ほど,大きくなる。

AWDソレノイド B54 13

エンジンON,「P」又は「N」レンジ

波形参照(ソレノイド⑹)

約2~4.5Ω抵抗値は20(68)時。高温ほど,大きくなる。エンジンON,「D」レ

ンジでブレーキON波形参照(ソレノイド⑺)

CAN通信線(+) B55 18 - - -CAN通信線(-) B55 17 - - -GND B54 1 常時 約0V -GND B54 14 常時 約0V -

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⑵ 配線図

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